以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図、図2は、図1に示す印刷装置の制御系の構成を示すブロック図である。以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に示すように、ユーザから視て、上下左右を上下左右方向とする。
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD1,RD2、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
図1、図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、印刷部3と、フェイスアップ排紙部4と、上面搬送部5と、フェイスダウン排紙部6と、反転部7と、画像読取部8と、操作パネル部9と、記憶部10と、制御部11と、各部を収納または保持する筐体12とを備える。
給紙部2は、用紙Pの給紙を行う。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に配置されている。給紙部2は、外部給紙台21と、外部給紙ローラ22と、複数の内部給紙台23と、複数の内部給紙ローラ24と、複数対の縦搬送ローラ25と、外部給紙モータ26と、内部給紙モータ27とを備える。
外部給紙台21は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台21は、一部が筐体12の外部に露出して設置されている。
外部給紙ローラ22は、外部給紙台21から用紙Pを1枚ずつ取り出し、給紙経路RSに沿って後述のレジストローラ26へ向けて搬送する。外部給紙ローラ22は、外部給紙台21の上側に配置されている。
内部給紙台23は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台23は、筐体12の内部に配置されている。
内部給紙ローラ24は、内部給紙台23から用紙Pを1枚ずつ取り出して給紙経路RSへと送り出す。内部給紙ローラ24は、内部給紙台23の上側に設けられている。
縦搬送ローラ25は、内部給紙台23から取り出された用紙Pをレジストローラ31へ向けて搬送する。縦搬送ローラ25は、給紙経路RSに沿って配置されている。
外部給紙モータ26は、外部給紙ローラ22および最下流の縦搬送ローラ25を回転駆動させる。外部給紙モータ26は、外部給紙ローラ22および最下流の縦搬送ローラ25にそれぞれ図示しないワンウェイクラッチを介して接続されている。これにより、外部給紙モータ26の正転駆動により外部給紙ローラ22が駆動し、外部給紙モータ26の逆転駆動により最下流の縦搬送ローラ25が駆動するようになっている。
内部給紙モータ27は、内部給紙ローラ24、および最下流の縦搬送ローラ25以外の他の縦搬送ローラ25を回転駆動させる。内部給紙モータ27は、図示しないクラッチを介して内部給紙ローラ24および他の縦搬送ローラ25に接続/解除可能になっている。クラッチにより、回転駆動する内部給紙ローラ24、縦搬送ローラ25が切り替えられる。
印刷部3は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。印刷部3は、レジストローラ31と、レジストモータ32と、ベルト搬送部33と、ベルトモータ34と、インクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yとを備える。
レジストローラ31は、給紙部2または反転部7から搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、ベルト搬送部33に向けて搬送する。レジストローラ31は、給紙経路RSと反転経路RRとの合流地点の近傍の通常経路RC上に配置されている。
レジストモータ32は、レジストローラ31を回転駆動させる。
ベルト搬送部33は、レジストローラ31から搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送部33は、レジストローラ31の下流側に配置されている。
ベルトモータ34は、ベルト搬送部33を駆動させる。
インクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yは、ライン型のインクジェットヘッドであり、ベルト搬送部33により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。インクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yは、それぞれ、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する。インクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yは、インクを吐出する複数のノズルを有する。複数のノズルは、用紙Pの搬送方向(副走査方向)と略直交する主走査方向(前後方向)に配列されている。インクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yは、ベルト搬送部33の上方において、左右方向に並列して配置されている。なお、色の区別が必要ない場合等に、符号における色を示すアルファベットの添え字(C,K,M,Y)を省略することがある。
フェイスアップ排紙部4は、印刷済みの用紙Pを、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が上向きの状態で排紙する。フェイスアップ排紙部4は、切替部41と、ソレノイド42と、フェイスアップ排紙ローラ43と、フェイスアップ排紙モータ44と、フェイスアップ排紙台45とを備える。
切替部41は、用紙Pの搬送経路を通常経路RCと排紙経路RD1との間で切り替える。切替部41は、通常経路RCと排紙経路RD1との分岐点に配置されている。
ソレノイド42は、切替部41を駆動させる。
フェイスアップ排紙ローラ43は、ベルト搬送部33により搬送されてきた用紙Pを搬送してフェイスアップ排紙台45へ排紙する。フェイスアップ排紙ローラ43は、排紙経路RD1に沿って、切替部41とフェイスアップ排紙台45との間に配置されている。
フェイスアップ排紙モータ44は、フェイスアップ排紙ローラ43を回転駆動させる。
フェイスアップ排紙台45は、フェイスアップ排紙ローラ43により搬送されてきた印刷済みの用紙Pが積載されるものである。フェイスアップ排紙台45には、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が上向きの状態で用紙Pが積載される。
上面搬送部5は、ベルト搬送部33によって搬送されてきた用紙Pを右方向から左方向へとUターンするように搬送する。上面搬送部5は、複数対の上昇搬送ローラ46と、上昇搬送モータ47と、複数対の水平搬送ローラ48と、水平搬送モータ49とを備える。
上昇搬送ローラ46は、用紙Pをニップしつつ上方の水平搬送ローラ48へ搬送する。上昇搬送ローラ46は、通常経路RCに沿って配置されている。上昇搬送ローラ46が配置される領域の通常経路RCは、左側が開口された半円状に構成されている。
上昇搬送モータ47は、複数対の上昇搬送ローラ46を回転駆動させる。
水平搬送ローラ48は、用紙Pをニップしつつフェイスダウン排紙部6または反転部7へ搬送する。最下流の水平搬送ローラ48は、反転経路RRの上流部に配置されている。他の水平搬送ローラ48は、通常経路RCの下流域の水平部分に配置されている。
水平搬送モータ49は、複数対の水平搬送ローラ48を回転駆動させる。
フェイスダウン排紙部6は、印刷済みの用紙Pを、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が下向きの状態で排紙する。フェイスダウン排紙部6は、切替部51と、ソレノイド52と、フェイスダウン排紙ローラ53と、フェイスダウン排紙モータ54と、フェイスダウン排紙台55と、オフセットモータ(請求項のオフセット手段に相当)56とを備える。
切替部51は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RD2と反転経路RRとの間で切り替える。切替部51は、排紙経路RD2と反転経路RRとの分岐点に配置されている。
ソレノイド52は、切替部51を駆動させる。
フェイスダウン排紙ローラ53は、切替部51によって排紙経路RD2へと導かれた用紙Pを搬送してフェイスダウン排紙台55へ排紙する。フェイスダウン排紙ローラ53は、排紙経路RD2に沿って、切替部51とフェイスダウン排紙台55との間に配置されている。
フェイスダウン排紙モータ54は、フェイスダウン排紙ローラ53を回転駆動させる。
フェイスダウン排紙台55は、フェイスダウン排紙ローラ53により搬送されてきた印刷済みの用紙Pが積載されるものである。フェイスダウン排紙台55には、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が下向きの状態で用紙Pが積載される。
オフセットモータ56は、フェイスダウン排紙台55を排紙方向に略直交する方向(前後方向)に往復移動させる。これにより、排紙される用紙Pのフェイスダウン排紙台55上における位置(排紙位置)をオフセットさせることが可能になっている。
反転部7は、両面印刷の際に、片面印刷済みの用紙Pを反転させてレジストローラ31へ搬送する。反転部7は、反転ローラ61と、反転モータ62と、スイッチバック部63と、再給紙ローラ64と、再給紙モータ65と、切替ゲート66とを備える。
反転ローラ61は、上面搬送部5の水平搬送ローラ48により搬送されてきた用紙Pをスイッチバック部63に一時的に搬入した後に搬出して、再給紙ローラ64へ搬送する。反転ローラ61は、最下流の水平搬送ローラ48とスイッチバック部63の搬入口との間の反転経路RR上に配置されている。
反転モータ62は、反転ローラ61を回転駆動させる。
スイッチバック部63は、反転ローラ61が用紙Pを一時的に搬入するための空間である。スイッチバック部63は、フェイスダウン排紙台55の下部に形成されている。スイッチバック部63は、反転ローラ61の近傍が用紙Pを搬入するために開口されている。
再給紙ローラ64は、反転ローラ61により搬送されてきた用紙Pをレジストローラ31へ搬送する。再給紙ローラ64は、反転ローラ61とレジストローラ31との間の反転経路RR上に配置されている。
再給紙モータ65は、再給紙ローラ64を回転駆動させる。
切替ゲート66は、水平搬送ローラ48により搬送されてきた用紙Pを反転ローラ61へとガイドする。また、切替ゲート66は、反転ローラ61によってスイッチバック部63から搬出される用紙Pを再給紙ローラ64へとガイドする。切替ゲート66は、最下流の水平搬送ローラ48、反転ローラ61、および再給紙ローラ64の3個所の重心近傍に配置されている。
画像読取部8は、用紙上の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。
操作パネル部9は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報等を表示するものである。操作パネル部9は、入力部68と、表示部69とを備える。
入力部68は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部68は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する。
表示部69は、各種の画面等を表示するものである。表示部69は、液晶表示パネル等を有する。
記憶部10は、自動再印刷が設定されている場合において、印刷済みの原稿画像データを保存する。
制御部11は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。制御部11は、原稿画像の複数枚数の印刷時において、インクジェットヘッド35におけるインクの不吐出の確認に用いるための不吐出確認用画像の印刷を混入する。
次に、印刷装置1の動作について説明する。
片面印刷において、排紙先がフェイスアップ排紙台45である場合、給紙部2の外部給紙台21および複数の内部給紙台23のいずれかから、用紙Pが印刷部3へ搬送される。印刷部3では、用紙Pは、レジストローラ31によってベルト搬送部33へ搬送される。用紙Pは、ベルト搬送部33によって搬送されつつ、インクジェットヘッド35によって印刷される。印刷された用紙Pは、切替部41によって通常経路RCから排紙経路RD1へと導かれる。そして、用紙Pは、フェイスアップ排紙ローラ43によってフェイスアップ排紙台45へ排紙される。
一方、片面印刷において、排紙先がフェイスダウン排紙台55である場合、印刷された用紙Pは、切替部41によって上面搬送部5へと導かれる。上面搬送部5では、用紙Pは、上昇搬送ローラ46および水平搬送ローラ48によって搬送される。その後、用紙Pは、切替部51によって通常経路RCから排紙経路RD2へと導かれる。そして、用紙Pは、フェイスダウン排紙ローラ53によってフェイスダウン排紙台55へ排紙される。
両面印刷において、排紙先がフェイスアップ排紙台45である場合、給紙部2から給紙された用紙Pは、印刷部3によって搬送されつつ、インクジェットヘッド35によって一方の面に印刷される。一方の面に印刷された用紙Pは、切替部41によって上面搬送部5へと導かれ、上面搬送部5によって搬送された後、切替部51によって通常経路RCから反転経路RRへと導かれる。反転部7において、用紙Pは、切替ゲート66によって反転ローラ61へと導かれ、反転ローラ61によってスイッチバック部63へと搬入される。その後、用紙Pは、反転ローラ61によってスイッチバック部63から搬出されるとともに、切替ゲート66によって再給紙ローラ64へと導かれ、再給紙ローラ64によってレジストローラ31へ搬送される。そして、用紙Pは、レジストローラ31によってベルト搬送部33へ搬送される。ここで、用紙Pは、反転部7によって反転されているので、未印刷面(他方の面)が上に向けられており、ベルト搬送部33によって搬送されつつ、インクジェットヘッド35によって他方の面に印刷される。両面印刷済みの用紙Pは、切替部41によって通常経路RCから排紙経路RD1へと導かれる。そして、用紙Pは、フェイスアップ排紙ローラ43によってフェイスアップ排紙台45へ排紙される。
一方、両面印刷において、排紙先がフェイスダウン排紙台55である場合、両面印刷済みの用紙Pは、上面搬送部5によって搬送され、フェイスダウン排紙部6においてフェイスダウン排紙台55へ排紙される。
複数枚数の印刷の場合、用紙Pは、順次、給紙部2から印刷部3へと給紙され、複数枚の用紙Pが同時に搬送経路上を搬送される。複数枚数の両面印刷では、給紙部2から給紙される未印刷の用紙Pと、反転部7から再給紙される片面印刷済みの用紙Pとが、交互に印刷部3へと送られる。これにより、未印刷の用紙Pの一方の面への印刷と、片面印刷済みの用紙Pの未印刷面(他方の面)への印刷とが交互に行われる。
ここで、複数枚数の印刷においては、印刷対象の原稿画像の印刷の他に、メンテナンス用画像の印刷と、不吐出確認用画像の印刷とが行われる。
メンテナンス用画像は、インクジェットヘッド35におけるインクの不吐出を予防するために、原稿画像とは別の用紙Pに印刷される画像である。メンテナンス用画像の一例を図3に示す。図3に示すように、メンテナンス用画像71は、ベタ画像であり、インクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yの全ノズルから、1画素あたりに所定数のインク液適数が吐出されることにより形成されるものである。
不吐出確認用画像は、インクジェットヘッド35におけるインクの不吐出の確認に用いるために、原稿画像とは別の用紙Pに印刷される画像である。不吐出確認用画像の一例を図4に示す。図4に示すように、不吐出確認用画像は、色ごとに設けられる。各色の不吐出確認用画像72C,72K,72M,72Yは、それぞれインクジェットヘッド35C,35K,35M,35Yの全ノズルから、1画素あたりに所定数のインク液適数が吐出されることにより形成されるものである。ここで、不吐出確認用画像72の1画素あたりのインク液適数は、インクジェットヘッド35における1画素あたりの最大インク液滴数よりも小さいことが好ましい。これにより、印刷された不吐出確認用画像72における不吐出の部分を判別しやすくすることができる。
また、図4に示すように、不吐出確認用画像72に対応して、文字列73が印刷されるようになっている。文字列73は、原稿画像の複数枚数の印刷時における当該不吐出確認用画像72の印刷の混入タイミングを示す情報を含む。
上述したメンテナンス用画像71および不吐出確認用画像72の印刷を含む複数枚数(多枚数)の印刷処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
印刷ジョブを受信すると、図5のステップS1において、制御部11は、不吐出確認用画像72の印刷周期を設定する。不吐出確認用画像72の印刷周期は、原稿画像の印刷枚数の何枚ごとに不吐出確認用画像72の印刷を行うかを示す。
ここで、制御部11は、印刷に用いる用紙種類に応じて、不吐出確認用画像72の印刷周期を設定する。具体的には、インクが滲みにくい用紙種類ほど印刷周期を小さくする。例えば、インクジェット用紙を用いる場合、普通紙を用いる場合よりも印刷周期を小さくする。また、マット紙を用いる場合、インクジェット用紙を用いる場合よりも印刷周期を小さくする。インクが滲みにくい用紙種類ほど、不吐出が印刷画質に与える影響が大きい。そこで、インクが滲みにくい用紙種類ほど、原稿画像の複数枚数の印刷物のうちの不吐出が発生した範囲(不吐出発生範囲)を細かく判断できるように、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。また、インクが滲みやすい用紙種類では、不吐出確認用画像72の印刷周期を大きくして、印刷の所要時間を抑える。
次いで、ステップS2において、制御部11は、メンテナンス用画像71の印刷を実行する。
次いで、ステップS3において、制御部11は、印刷対象の原稿画像の印刷を実行する。
次いで、ステップS4において、制御部11は、現在の印刷周期における原稿画像の印刷が終了したか否かを判断する。現在の印刷周期における原稿画像の印刷が終了していないと判断した場合(ステップS4:NO)、制御部11は、ステップS3に戻る。
現在の印刷周期における原稿画像の印刷が終了したと判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御部11は、不吐出確認用画像72の印刷を実行する。この際、制御部11は、不吐出確認用画像72に対応して、今回の印刷周期に応じた文字列73も印刷させる。
次いで、ステップS6において、制御部11は、印刷ジョブで指定された印刷枚数分の原稿画像の印刷が終了したか否かを判断する。指定された印刷枚数分の原稿画像の印刷が終了していないと判断した場合(ステップS6:NO)、制御部11は、ステップS2に戻る。指定された印刷枚数分の原稿画像の印刷が終了したと判断した場合(ステップS6:YES)、制御部11は、一連の処理を終了する。
上記のような図5のフローチャートの処理により、まず、メンテナンス用画像71の印刷が行われる。次いで、1周期分の原稿画像の印刷が行われる。その後、不吐出確認用画像72および文字列73の印刷が行われる。これが、指定された印刷枚数分の原稿画像の印刷が終了するまで繰り返される。すなわち、1周期分の原稿画像の印刷の前にメンテナンス用画像71の印刷、1周期分の原稿画像の印刷の後に不吐出確認用画像72および文字列73の印刷が混入する。
これにより、排紙台(フェイスアップ排紙台45またはフェイスダウン排紙台55)上には、図6に示すように印刷物が積載される。すなわち、メンテナンス用画像71の印刷物Pmの上に1周期分の原稿画像の印刷物Psが積載され、その上に不吐出確認用画像72および文字列73の印刷物Ptが積載される。不吐出確認用画像72および文字列73の印刷物Ptの上には、次の印刷周期に対応したメンテナンス用画像71の印刷物Pmが積載され、以降、上記と同様の積載が繰り返された状態となる。
前述のように、文字列73は、対応する不吐出確認用画像72の印刷の混入タイミングを示す情報を含む。例えば、印刷周期が100枚の場合において、2周期目の原稿画像の後に印刷される不吐出確認用画像72に対応する文字列73は、図4の例のように、原稿画像の200枚目の印刷後が混入タイミングであることを示す。
なお、両面印刷の場合でも、メンテナンス用画像71、不吐出確認用画像72および文字列73は片面のみに印刷すればよい。この場合、メンテナンス用画像71が片面に印刷された用紙P、不吐出確認用画像72および文字列73が片面に印刷された用紙Pは、ともに、原稿画像が両面印刷される用紙Pと同様の経路を搬送されて排紙されるが、裏面への印刷は行われない。
図5のフローチャートで説明した一連の印刷処理が終了すると、印刷装置1は、不吐出確認用画像72および文字列73の印刷物Ptを用いた不吐出の確認およびその後処理を行う。
図7は、不吐出の確認およびその後処理のフローチャートである。図7のフローチャートの処理は、ユーザが不吐出確認用画像72および文字列73の印刷物Ptを画像読取部8に読み取らせるための読み取り操作を行うことにより開始となる。
ユーザが印刷物Ptの読み取り操作を行うと、制御部11は、ステップS11において、画像読取部8に印刷物Ptの画像を読み取らせ、読取画像データを生成させる。ここで、ユーザは、複数枚の印刷物Ptが印刷順で読み取られるように読み取り操作を行う。
次いで、ステップS12において、制御部11は、不吐出発生範囲判断処理を行う。不吐出発生範囲判断処理は、原稿画像の複数枚数の印刷物Psのうちの不吐出が発生した範囲(不吐出発生範囲)を判断するための処理である。不吐出発生範囲判断処理により、制御部11は、不吐出が発生したか否か、および、不吐出が発生した場合、原稿画像の印刷物Psのうちの何枚目から何枚目までの間で不吐出が発生しているかを判断する。不吐出発生範囲判断処理の詳細については後述する。
次いで、ステップS13において、制御部11は、不吐出発生範囲判断処理の結果に基づき、印刷中に不吐出が発生したか否かを判断する。印刷中に不吐出は発生しなかったと判断した場合(ステップS13:NO)、制御部11は、そのまま一連の処理を終了する。
印刷中に不吐出が発生したと判断した場合(ステップS13:YES)、ステップS14において、制御部11は、不吐出通知メッセージを表示部69に表示させる。不吐出通知メッセージは、不吐出が発生した旨および不吐出発生範囲をその内容に含むものである。これにより、制御部11は、不吐出が発生した旨および不吐出発生範囲をユーザに通知する。
次いで、ステップS15において、制御部11は、不吐出発生範囲判断処理の結果に基づき、印刷終了時点で不吐出が解消しているか否かを判断する。
不吐出が解消していないと判断した場合(ステップS15:NO)、ステップS16において、制御部11は、図示しないクリーニング機構部により、インクジェットヘッド35のクリーニングを実行する。この後、制御部11は、ステップS17に進む。
不吐出が解消していると判断した場合(ステップS15:YES)、制御部11は、ステップS16を行わずにステップS17に進む。
ステップS17において、制御部11は、自動再印刷が設定されているか否かを判断する。自動再印刷は、不吐出の発生が確認された場合に、不吐出発生範囲に対応する原稿画像の印刷を自動的にやり直す機能である。自動再印刷は、事前にユーザが入力部68を操作して設定できるようになっている。自動再印刷が設定されている場合、制御部11は、原稿画像の印刷が終了しても、原稿画像データを記憶部10に保存させておく。ただし、例えば、原稿画像データが複数ページの場合において、全ページの合計のデータ量が記憶部10の残量を超える場合、一部のページの画像データが保存されずに消去されることがある。
自動再印刷が設定されていると判断した場合(ステップS17:YES)、ステップS18において、制御部11は、不吐出発生範囲に対応する原稿画像の再印刷に必要な原稿画像データが記憶部10に保存されているか否かを判断する。
再印刷に必要な原稿画像データが記憶部10に保存されていると判断した場合(ステップS18:YES)、ステップS19において、制御部11は、不吐出発生範囲に対応する原稿画像の再印刷を実行する。
ステップS17において自動再印刷が設定されていないと判断した場合(ステップS17:NO)、および、ステップS18において再印刷に必要な原稿画像データが記憶部10に保存されていないと判断した場合(ステップS18:NO)、ステップS20において、制御部11は、ステップS14で表示部69に表示させた不吐出通知メッセージに追加して、再印刷指示メッセージを表示させる。再印刷指示メッセージは、ユーザに再印刷の指示を通知するためのものである。再印刷指示メッセージを見たユーザは、例えば、外部端末を操作することにより、再印刷を実行させる。
次に、上述した図7のステップS12における不吐出発生範囲判断処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
まず、図8のステップS21において、制御部11は、変数nに1を設定する。
次いで、ステップS22において、制御部11は、画像読取部8が読み取ったn枚目の印刷物Ptに不吐出があるか否かを判断する。具体的には、制御部11は、画像読取部8によるn枚目の印刷物Ptの読取画像データを解析し、不吐出確認用画像72C,72K,72M,72Yの少なくともいずれかに白い線が検出された場合、n枚目の印刷物Ptに不吐出があると判断する。例えば、インクジェットヘッド35Kに不吐出のノズルがある場合、図9に示すように、不吐出確認用画像72Kに白い線が現れるため、不吐出があると判断できる。
n枚目の印刷物Ptに不吐出があると判断した場合(ステップS22:YES)、ステップS23において、制御部11は、n周期目には不吐出が発生していると判断する。この後、制御部11は、ステップS26に進む。
ここで、前述のように、複数枚の印刷物Ptが印刷順で読み取られているため、n枚目の印刷物Ptは、n周期目に対応するものである。なお、制御部11が、OCR技術を用いて印刷物Ptの文字列73の内容を認識して、各印刷物Ptに対応する印刷周期を判断してもよい。
n枚目の印刷物Ptに不吐出はないと判断した場合(ステップS22:NO)、ステップS24において、制御部11は、(n−1)枚目の印刷物Ptに不吐出があるか否かを判断する。(n−1)枚目の印刷物Ptに不吐出があると判断した場合(ステップS24:YES)、制御部11は、ステップS23に進み、n周期目には不吐出が発生していると判断する。
ここで、n枚目の印刷物Ptに不吐出がなく、(n−1)枚目の印刷物Ptに不吐出がある場合(ステップS22:NO)、n周期目の全印刷物Psで不吐出がない可能性がある。しかし、n周期目の途中で不吐出が解消された可能性がある。このため、n周期目の一部の印刷物Psで不吐出が発生しているおそれがある。そこで、n枚目の印刷物Ptに不吐出がなく、(n−1)枚目の印刷物Ptに不吐出がある場合(ステップS22:NO)、n周期目には不吐出が発生していると判断するものとする。
(n−1)枚目の印刷物Ptに不吐出はないと判断した場合(ステップS24:NO)、ステップS25において、制御部11は、n周期目には不吐出は発生していないと判断する。この後、制御部11は、ステップS26に進む。
ステップS26において、制御部11は、変数nが、最後の印刷周期を示すNであるか否かを判断する。
n=Nでないと判断した場合(ステップS26:NO)、ステップS27において、制御部11は、変数nに1を加算する。この後、制御部11は、ステップS22に戻る。
n=Nであると判断した場合(ステップS26:YES)、制御部11は、不吐出発生範囲判断処理を終了する。
上記のような図8のフローチャートの処理により、制御部11は、各印刷周期における不吐出の発生の有無を判断でき、その結果から、不吐出発生範囲を判断できる。
また、制御部11は、いずれの印刷物Ptでも不吐出が検出されなかった場合、印刷中に不吐出は発生しなかったと判断する。また、制御部11は、最後(N枚目)の印刷物Ptで不吐出が検出されなかった場合、印刷終了時点で不吐出が解消していると判断する。
以上説明したように、印刷装置1では、原稿画像の印刷時において、不吐出確認用画像72の印刷を混入する。これにより、印刷された不吐出確認用画像72を用いて、不吐出の確認を行うことができる。また、不吐出が検出された不吐出確認用画像72の印刷の混入タイミングから不吐出発生範囲を判断することが可能となる。このように、印刷装置1によれば、印刷時におけるインクジェットヘッド35からのインクの不吐出の確認を簡単に行うことが可能となる。
また、印刷装置1では、不吐出確認用画像72に対応して、当該不吐出確認用画像72の印刷の混入タイミングを示す情報を含む文字列73を印刷する。これにより、不吐出確認用画像72の印刷の混入タイミングをユーザに容易に把握させることができる。
また、印刷装置1では、制御部11が、印刷された不吐出確認用画像72を画像読取部8で読み取って得られた読取画像データに基づき、不吐出が発生したか否かを判断する。これにより、ユーザが印刷物Ptの読み取り操作を行えば、その後は自動的に不吐出の有無が判断される。なお、ユーザの目視により、印刷された不吐出確認用画像72から不吐出を確認することも可能である。
また、印刷装置1では、制御部11が、インクの不吐出が検出された不吐出確認用画像72の印刷の混入タイミングに基づき不吐出発生範囲を判断し、この不吐出発生範囲を含む不吐出通知メッセージを表示部69に表示させる。これにより、不吐出発生範囲をユーザに把握させることができる。
また、印刷装置1では、不吐出発生範囲の自動再印刷を実行可能である。これにより、不吐出が発生した場合でもユーザが再印刷の操作を行う必要がなく、利便性が向上する。
また、印刷装置1では、不吐出発生範囲の自動再印刷を行わない場合には、再印刷指示メッセージを表示部69に表示させる。これにより、ユーザに再印刷を促すことができる。
なお、本実施の形態では、用紙種類に応じて不吐出確認用画像72の印刷周期を設定したが、これに限らない。例えば、原稿画像の内容に応じて不吐出確認用画像72の印刷周期を設定してもよい。
具体的には、バーコードを含む1ページの原稿画像を多枚数印刷する場合において、バーコードのバー(黒線)が印刷時の用紙Pの搬送方向(副走査方向)に平行なバーコード(縦方向のバーコード)である場合は、バーが搬送方向に垂直なバーコード(横方向のバーコード)である場合よりも、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。縦方向のバーコードの場合、不吐出が発生すると、バーの幅が本来の幅から変化し、バーコードの読取不可や誤読を招くおそれがある。そこで、原稿画像に含まれるバーコードが縦方向の場合、不吐出発生範囲を細かく判断できるように、横方向の場合よりも不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。
また、縦方向のバーコードを含む1ページの原稿画像を多枚数印刷する場合において、バーコード中のバーの密度が高いほど、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。前述のように、縦方向のバーコードの場合、不吐出が発生すると、バーの幅が本来の幅から変化し、バーコードの読取不可や誤読を招くおそれがある。バーコード中のバーの密度が高いほど、不吐出の影響でバーの幅が変化する可能性が大きい。そこで、バーコード中のバーの密度が高いほど、不吐出発生範囲を細かく判断できるように、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。
また、原稿画像に含まれるオブジェクトの種類に応じて不吐出確認用画像72の印刷周期を設定してもよい。
例えば、原稿画像が文字のみからなる場合、他の種類のオブジェクト(写真、バーコード等)を含む場合よりも、不吐出確認用画像72の印刷周期を大きくする。原稿画像が文字のみからなる場合、不吐出が発生しても印刷画質への影響が小さいため、不吐出確認用画像72の印刷周期を大きくして、印刷の所要時間を抑える。
また、原稿画像に縦方向のバーコードが含まれる場合は、縦方向のバーコードが含まれない場合よりも、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。前述のように、縦方向のバーコードの場合、不吐出が発生すると、バーの幅が本来の幅から変化し、バーコードの読取不可や誤読を招くおそれがある。そこで、原稿画像に縦方向のバーコードが含まれる場合、不吐出発生範囲を細かく判断できるように、縦方向のバーコードが含まれない場合よりも、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。
また、インクジェットヘッド35における1画素あたりの最大インク液滴数に応じて不吐出確認用画像72の印刷周期を設定してもよい。1画素あたりの最大インク液滴数は、用紙種類に応じて設定されるが、同じ用紙種類でも印刷濃度の設定に応じて変わる。1画素あたりの最大インク液滴数が大きいほど、着弾ドットが大きくなる。着弾ドットが大きいほど、印刷された画像に不吐出の部分があっても、周囲の着弾ドットにより不吐出の部分が狭くなって目立ちにくい。逆に、着弾ドットが小さいほど、不吐出の部分が目立ちやすい。そこで、1画素あたりの最大インク液滴数が小さいほど、不吐出発生範囲を細かく判断できるように、不吐出確認用画像72の印刷周期を小さくする。
上記のように、印刷装置1では、用紙種類の他に、原稿画像の内容、インクジェットヘッドにおける1画素あたりの最大インク液滴数を用いて、不吐出確認用画像72の印刷周期を設定できる。これらを組み合わせて用いてもよいし、それぞれ単独で用いてもよい。これにより、各種の設定や原稿画像の内容に応じて、不吐出確認用画像の印刷周期を適切に設定できる。
また、本実施の形態では、不吐出確認用画像72は、インクジェットヘッド35の全ノズルからインクが吐出されることにより形成されるものとした。すなわち、インクジェットヘッド35の全ノズルによる印刷可能な範囲を、不吐出確認範囲とした。しかし、原稿画像の内容に応じて、不吐出確認範囲を変更してもよい。
例えば、図10に示すような、縦方向のバーコード81を含む原稿画像に対し、バーコード81に対応する位置にある一部のノズルによる印刷可能な範囲を、不吐出確認範囲としてもよい。この場合、不吐出確認範囲内における各ノズルからインクが吐出されることにより形成される不吐出確認用画像として、図11に示す不吐出確認用画像82が用いられる。ここで、図10のバーコード81はブラック(K)のインクのみで印刷されるものであり、原稿画像中のバーコード81以外の部分については、不吐出の確認は不要としている。
このように、不吐出確認範囲を変更することで、原稿画像内の所望の部分における不吐出を確認可能としつつ、インクの消費量を抑えることができる。
また、本実施の形態では、メンテナンス用画像71の印刷物Pm、原稿画像の印刷物Ps、不吐出確認用画像72および文字列73の印刷物Ptを1つの排紙台上に積載したが、印刷物Ptを他の印刷物Pm,Psとは異なる排紙台に排紙してもよい。そして、印刷物Pm,Psに対し、印刷周期の区切りの位置に、仕分け用紙としての用紙Pを挿入してもよい。
具体的には、制御部11は、印刷物Ptをフェイスアップ排紙台45に排紙させ、印刷物Pm,Psをフェイスダウン排紙台55に排紙させる。そして、制御部11は、各印刷周期の1周期分の最後の印刷物Psの後に、仕分け用紙としての用紙Pを排紙させる。この仕分け用紙としての用紙Pには、識別しやすくするため、予め指定された色(例えば、イエロー(Y))でベタ画像を印刷することが好ましい。また、この仕分け用紙としての用紙Pに、印刷周期に対応した文字列73を印刷してもよい。
これにより、不吐出の確認を行う際、印刷物Ptを他の印刷物Pm,Psから分離する手間を省くことができる。印刷物Pm,Psに対しては、印刷周期の区切りに仕分け用紙を挿入することで、印刷周期の区切りを明確にすることができる。なお、メンテナンス用画像71の印刷物Pmの余白部分に予め指定された色でベタ画像を印刷して、印刷物Pmを仕分け用紙として用いてもよい。
また、制御部11は、仕分け用紙を挿入するかわりに、オフセットモータ56を制御して、印刷周期ごとに印刷物Pm,Psの排紙位置をオフセットさせてもよい。このようにしても、印刷周期の区切りを明確にすることができる。
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。