以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本発明に係る可視光通信用照明器具を、天井に埋め込まれるスポットライトに適用した実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図4は可視光通信システムのシステム構成を示し、この可視光通信システムは、可視光通信用照明器具(以下、照明器具と略称する。)1と受信器2とで構成される。
照明器具1は、光源である発光ダイオード(以下、LEDと略称する。)11と、点灯回路12と、通信回路14とを備える。
LED11は、照明用の光源としての役割を果たし、例えば青色発光ダイオードと黄蛍光体とを組み合わせた高輝度白色LEDにより構成される。LED11は、点灯回路12から供給される電流により駆動されて、発光する。
点灯回路12は、商用交流電源ACを所定の電圧値の直流電圧に変換するAC/DCコンバータ13を備える。AC/DCコンバータ13の出力端子間には、点灯回路12の抵抗15を介して複数のLED11が直列に接続されており、AC/DCコンバータ13から抵抗R15を介してLED11に電流が供給されて、LED11が点灯する。
通信回路14は、LED11に直列接続された抵抗15と、抵抗15の両端間に接続されたスイッチング素子16(例えばFETからなる)と、変調回路17とを備える。変調回路17は、通信信号に応じてスイッチング素子16のオン/オフを切り替えており、これによってLED11に流れる電流のピーク値が変化して、LED11の発光強度が変化するので、LED11からの照射光に変調成分が重畳される。尚、LED11からの照射光に重畳される変調成分の周波数は、人間の目に光がちらついていると視認できない程度の高い周波数に設定されており、照明エリア内の人間に不快感を与えることなく可視光を用いた通信を行うことができる。
一方、受信器2は、LED11の光を受光するフォトダイオード2aと、信号処理部2bとを備える。信号処理部2bは例えばマイクロコンピュータからなり、フォトダイオード2aの出力を解析することによって、LED11からの照射光に重畳された変調成分を検出し、照明器具1から可視光により送信された通信信号を得る。
次に照明器具1の構造を図1〜図3に基づいて説明する。尚、以下の説明では、特に断りが無いかぎり、図1(a)の上下方向を左右方向、図1(a)の左右方向を前後方向、図1(b)の上下方向を上下方向として説明を行う。
照明器具1は、図1及び図2に示すように、基台30及び枠体40からなる器具本体20と、上述した点灯回路12を収納する第1ケース50と、上述の通信回路14を収納する第2ケース51とを備える。この照明器具1は、図1(b)に示すように、天井材100に開口する取付孔101に埋め込まれた状態で設置されて、下側を照明するダウンライトである。
基台30は、絶縁性を有する硬質な樹脂材料により、天板31及び周壁32を有する円筒形状に形成されている。基台30は直径に比べて高さ寸法が小さい、低背の円筒形状に形成されている。天板31の下面には、周壁32で囲まれた中央位置に、複数のLED11が実装された基板18が配置されている。天板31の上面には、複数の放熱フィン33が、上方に向かって突出するように形成されている。放熱フィン33は、天板31のほぼ半分の半円領域に形成されている。天板31の上面において、放熱フィン33が形成されていない、残り半分の半円領域には後述する第1ケース50の一部が載置されている。
枠体40は、基台30と同等の材料により、軸方向の両端が開口した円筒形状に形成されており、枠体40の外径寸法は基台30の外径寸法と略同じ寸法に形成されている。天板31を上下方向に貫通する貫通孔(図示せず)に天板31の上側から通したネジ(図示せず)が枠体40にねじ込まれることによって、枠体40は基台30に一体的に取り付けられる。基台30の内側には、LED11からの照射光を反射する反射部材34が配置されており、取付状態において反射部材34の下側となる枠体40の内周面には反射面41が形成されている。
枠体40の下端部からは径方向における外側向きに突出して、天井材100に設けられた取付孔101の周部下面に当接するリング状の鍔部42が、枠体40と一体に設けられている。
枠体40の外周面には、枠体40の中心軸に対して対称な位置に金属製の取付バネ43が1個ずつ取り付けられている。
器具本体20は、取付バネ43を上側に弾性変形させた状態で、基台30側から取付孔101内に挿入される。器具本体20が取付孔101内に挿入されると、取付バネ43は弾性復元力によって水平方向に拡がる状態に戻り、天井材100の上面に係止する。この時、天井材100の下面に鍔部42が当接するとともに、天井材100の上面に係止バネ43が係止することによって、器具本体20が天井材100に取り付けられる。
第1ケース50は金属材料によって直方体状の箱型に形成されており、その内部には点灯回路12の回路部品が実装された基板(図示せず)が収納されている。第1ケース50の長手方向における一端部は、天板31の上面において、放熱フィン33が形成されていない半円領域に載置された状態で、例えばネジを用いて基台30に固定されている。第1ケース50の長手方向における他端部には端子台56が取り付けられ、この端子台56には商用交流電源ACからの電源ケーブル(図示せず)が接続されて、商用交流電源ACが点灯回路12に供給される。
第2ケース51は金属材料によって直方体状の箱型に形成されており、縦、横、高さの各寸法は第1ケース33よりも小さい寸法に設定されている。第2ケース51の長手方向における一端面には、第2ケース51の底面(第1ケース50の上面に載置される面)と平行な方向に突出する矩形板状の被取付片53が、一体に設けられている。この第2ケース51は、取付金具52を用いて第1ケース50の上面の所定位置に固定される。
取付金具52は、例えば板金にプレス加工を施すことによって形成され、固定片52aと縦片52bと取付片52cとを一体に備えている。固定片52aは、前後方向の寸法に比べて左右方向の寸法が長い矩形板状に形成され、第1ケース50の上面に載置された状態で、長手方向(左右方向)に沿う一辺の両端付近でネジ54を用いて第1ケース50にネジ止めされる。縦片52bは矩形板状であって、固定片52aの長手方向に沿う他の一辺(ネジ固定される側と反対側の一辺)から上方に突出する。取付片52cは矩形板状に形成され、縦片52bの上端から、固定片52aと反対側で且つ水平方向よりもやや斜め下向きに突出する。尚、取付金具52の取付片52cに比べて被取付片53は板厚が薄く形成されているので、被取付片53は取付片52cよりも撓みやすくなっている。
第2ケース51を第1ケース50の上面に取り付ける場合、先ず取付金具52を第1ケース50の上面に取り付けておく。そして、第1ケース50の上面に第2ケース51を載置し、取付片52cの上側に被取付片53が重なるように、第2ケース51を配置する。その後、被取付片53に設けた貫通孔(図示せず)にネジ55が挿通され、取付片52cのネジ孔(図示せず)にネジ55がねじ込まれることによって、第2ケース51が、第1ケース50に固定された取付金具52に取り付けられる。ここで、図2(a)(b)に示すように、取付片52cは、縦片52bの上端部から先端側に向かって斜め下向きに傾斜しているので、ネジ55が取付片52cにねじ込まれることによって、被取付片53の中間部は下向きに凸となるように撓められた状態となる。その結果、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51の長手方向における他端側(被取付片53が設けられた側と反対側)が第1ケース50側に押し付けられた状態となる。よって、第2ケース51は、長手方向における一端側のみで第1ケース50に取り付けられているが、被取付片53に発生する弾性力により、第2ケース5lの長手方向における他端側が第1ケース50に押し付けられるから、第2ケース51は第1ケース50に対してがたづきなく取り付けられる。
尚、器具本体20に保持された基板18(LED11)及び第1ケース50に収納された点灯回路12と、第2ケース51に収納された通信回路15の間はケーブル57を介して電気的に接続されている。
以上説明したように、本実施形態の可視光通信用照明器具1は、光源であるLED11と、点灯回路12と、通信回路14と、第1ケース50と、第2ケース51とを備える。LED11は可視光を照射して照明する。点灯回路12はLED11を点灯させる。通信回路14は、点灯回路12の出力を通信信号に応じて変調させることによって、LED11の光出力に通信信号に応じた変調成分を重畳させる。第1ケース50は、少なくとも点灯回路12を収納する。第2ケース51は、第1ケース50とは別体に構成され、通信回路14を収納して、第1ケース50に取り付けられる。
このように、点灯回路12を収納する第1ケース50とは別体に構成された第2ケース51の内部に可視光通信のための通信回路14が収納されているので、既に商品化されている点灯回路12に通信回路14を追加することで、可視光通信用照明器具を実現できる。よって、既に商品化されている多品種の照明器具に可視光通信機能を追加する場合に、点灯回路12を含めた全体回路を新規に設計し直す必要はなく、点灯回路12は既に商品化されたものを流用し、通信回路14の部分を新規に設計することで対応できる。したがって、可視光通信機能を付加した照明器具を製造するための追加投資が少なくて済み、安価な可視光通信用照明器具を実現できる。また、点灯回路12と通信回路14は別々のケース内に収納されており、したがって点灯回路12と通信回路14は別々の基板に実装されるから、点灯回路12と通信回路14が同じ基板に実装される場合に比べて、1枚1枚の基板の大きさを小さくできる。よって、点灯回路12と通信回路14を同じケースに収納する場合に比べて、第1ケース50及び第2ケース51を小型にできるという効果もある。また、点灯回路12がスイッチング電源からなる場合、通信回路14を点灯回路12とは別のケースに収納することによって、点灯回路12が発するノイズ(例えばスイッチングによるノイズなど)の影響を通信回路14が受けにくくなり、耐ノイズ性が向上する。
また、第2ケース51は直方体状に形成され、第2ケース51の一面を第1ケース50の表面に当接させた状態で、第2ケース51の一側面に設けられた被取付片53に重ねて結合される取付片(取付金具52の取付片52c)が第1ケース50に設けられている。そして、被取付片53が取付片52cに結合されることによって、第2ケース51において一側面と反対側の端部を第1ケース50に押し付ける弾性力が発生する方向に被取付片53が撓められる。
これにより、第2ケース51が被取付片53のみで第1ケース50に取り付けられた場合でも、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51において一側面と反対側の端部が第1ケース50に押し付けられる。したがって、第2ケース51における一側面と反対側の端部、すなわち第1ケース50に固定されていない側の端部が浮き上がりにくくなり、第2ケース51をがたつきなく第1ケース50に取り付けることができる。そして、第2ケース51は一端側に設けた被取付片53のみで第1ケース50に取り付けられるから、取付作業が簡単になり、また被取付片53は片側のみに設けられていればよいから、コストダウンを図ることができる。
また本実施形態では、取付片52cは、第2ケース51の一側面(被取付片53が設けられた側面)に近付くほど、第1ケース50の一面(第2ケース51が載置される面)との距離が短くなるように傾斜している。
これにより、被取付片53を取付片52cに結合すると、被取付片53が取付片52c側に撓められるから、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51において一側面と反対側の端部が第1ケース50に押し付けられる。したがって、第2ケース51における一側面と反対側の端部、すなわち第1ケース50に固定されていない側の端部が浮き上がりにくくなり、第2ケース51を第1ケース50に対してがたつきなく取り付けることができる。尚、本実施形態では水平面(第1ケース50の表面と平行な面)に対する取付片52cの傾斜角θを約5°に設定しているが、その傾斜角θは適宜変更が可能である。また本実施形態では、取付片52cを縦片52bの上端部から斜め下向きに傾斜させているが、取付片52cを第1ケース50の表面に対して略平行とし、被取付片53を先端に行くほど斜め下向き(第1ケース50の表面に近付く向き)に傾斜させてもよい。この場合にも、被取付片53をネジ55で取付片52cに結合することによって、被取付片53が下向きに凸となるように撓められ、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51の長手方向における他端側が第1ケース50の表面に押し付けられることになる。
また本実施形態では、第1ケース50において、取付片52cは光源の中央付近から離れた位置、すなわち上側から見て器具本体20の中心付近から離れた位置に設けられている。そして、第2ケース51は、取付片52cに対して、光源の中央付近(上側から見た状態において器具本体20の中心付近)と反対側に配置されているから、通信回路14を構成する回路部品が光源の発熱による影響を受けにくくなる。
また本実施形態では、被取付片53及び取付片52cは、第2ケース51の一側面の中央位置(左右方向における中央位置)を通り、一側面と直交する平面P1(図1(a)参照)に対して対称な位置でそれぞれ結合部材(ネジ55)を介して結合されている。被取付片53及び取付片52cが1点で結合されている場合、第2ケース51が結合箇所を中心に回転する可能性があるが、上述のように被取付片53及び取付片52cは、上記の平面P1に対して対称な位置で結合されている。したがって、第2ケース51が回転しにくくなり、第2ケース51における一側面と反対側の端部の位置が左右方向においてずれにくくなる。
また本実施形態では、図3に示すように、器具本体20は、天井材100に設けられた取付孔101に下側から挿入されることによって天井材100に固定される。そして、第1ケース50は、器具本体20の上部から側方に突出するようにして器具本体20に取り付けられており、第2ケース51は、第1ケース50の上側に取り付けられている。第2ケース51が第1ケース50の下面に取り付けられていると、天井材100の厚みが厚い場合には、第2ケース51が天井材100と干渉する可能性があった。また、第2ケース51が第1ケース50の下側に取り付けられた場合、第2ケース51の下面と鍔部42との間の隙間は、第1ケース50の下面と鍔部42との間の隙間に比べて狭くなる。そのため、取付孔101に第1ケース50及び第2ケース51を挿入する際に、取付孔101の周縁部に第2ケース51が引っ掛かりやすくなり、取付作業がやりにくくなるという問題もある。それに対して、本実施形態では、第2ケース51が第1ケース50の上側に取り付けられているから、天井材100と干渉しにくくなり、また取付作業性が向上するという効果がある。
(実施形態2)
本発明に係る可視光通信用照明器具を、天井に設置された配線ダクトに取り付けられるスポットライトに適用した実施形態について図5〜図7を参照して説明する。尚、以下の説明では、特に断りが無いかぎり、図5(b)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図5(a)における左右方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の可視光通信用照明器具(以下、照明器具と略称する。)1も、実施形態1と同様、図4の可視光通信システムに用いられるものであり、照明器具1の回路構成は実施形態1と同様であるから、その説明は省略する。
先ず、照明器具1が取り付けられる配線ダクト200について説明する。配線ダクト200は、図5(a)(b)に示すように、金属材料により、幅寸法に比べて高さ寸法が小さい長尺の四角筒状に形成されており、天井材100に設置された状態で下側となる面には、長手方向に沿って開口201が設けられている。配線ダクト200の内部には、開口201を挟んで左右両側に溝部202が下側寄りに設けられている。また、配線ダクト200の内部には、開口201を挟んで左右両側に、商用交流電源ACに接続された導電バー203が配置されている。
次に照明器具1について説明する。照明器具1は、配線ダクト200に取り付けられる第1ケース60と、第2ケース51と、第1ケース60にアーム71を介して吊り下げられる灯体ブロック70と、カバー80とを備える。
第1ケース60は例えば合成樹脂により直方体状に形成されており、第1ケース60の内部には実施形態1で説明した点灯回路12が収納されている。また第1ケース60の上面には、長手方向における一端部にプラグ部61が設けられ、長手方向における他端側に固定部62が設けられている。
プラグ部61は、合成樹脂により丸棒状に形成された回転軸61aを備える。回転軸61aは、第1ケース60の上面から上側に向かって突出する。回転軸61aの周面において、溝部202に対応する高さ位置であって、回転軸61aの中心軸に対して対称な位置からは、溝部202に嵌合する矩形板状の嵌合片61bが、それぞれ径方向に向かって突出する。また回転軸61aの周面において、導電バー203に対応する高さ位置であって、上側から見て各嵌合片61bとそれぞれ重なる位置からは、導電バー203に接触する端子片61cが、それぞれ径方向に向かって突出している。回転軸61aはレバー63の操作によって回転させられ、嵌合片61b及び端子片61cが開口201の長手方向と平行する位置と、嵌合片61b及び端子片61cが開口201の長手方向と直交する位置との間で回転自在となっている。
固定部62は、合成樹脂により丸棒状に形成された回転軸62aを備える。回転軸62aの周面において、溝部202に対応する高さ位置であって、回転軸62aの中心軸に対して対称な位置からは、溝部202に嵌合する矩形板状の嵌合片62bが、それぞれ径方向に向かって突出する。ここで、嵌合片62bは嵌合片61bと平行するように設けられ、嵌合片62bが開口201の長手方向と平行する位置と、嵌合片62bが開口201の長手方向と直交する位置との間で、回転軸62aは回転自在となっている。
第1ケース60の下面には、長手方向においてプラグ部61が設けられた側と反対側の端部に、アーム71が設けられている。アーム71は逆U字形に形成され、第1ケース60に対して水平面内で回転自在に取り付けられている。
アーム71の下端部には、LED11を保持する灯体ブロック70が、アーム71の下端部に設けられた軸部71aを中心として回転自在に取り付けられている。灯体ブロック70に保持されたLED11と、第1ケース60内に収納された点灯回路12の間は、ケーブル72を介して電気的に接続されており、点灯回路12からLED11に電流が供給されてLED11が点灯するようになっている。
第2ケース51は金属材料により直方体状に形成されており、縦、横、高さの各寸法は第1ケース60よりも小さい寸法に設定されている。第2ケース51の長手方向における一端面には、第2ケース51の上面(第1ケース60の下面に当接する面)と平行な方向に突出する被取付片53が、一体に設けられている。そして、第2ケース51は、後述する取付金具64を用いて、第1ケース60の下面の所定位置に固定される。
取付金具64は、例えば板金にプレス加工を施すことによって形成され、固定片64aと縦片64bと取付片64cとを一体に備えている。固定片64aは、矩形板状に形成され、長手方向が第1ケース60の幅方向と平行するように、溶接或いはネジ止めなどの適宜の方法で第1ケース60に固定されている。縦片64bは矩形板状であって、固定片64aの長手方向に沿う一辺(第2ケース51と反対側の辺)から下側に突出する。取付片64cは、縦片64bの下端から、第2ケース51側に向かって、水平方向よりもやや斜め下向きに突出する。尚、取付金具64の取付片64cに比べて被取付片53は板厚が薄く形成されているので、被取付片53は取付片64cよりも撓みやすくなっている。
カバー80は上面が開口した箱状に形成されている。カバー80の縦、横、高さの各寸法は第2ケース51よりも大きい寸法に形成されており、カバー80は第2ケース51を覆うようにして第1ケース60の下面に取り付けられている。前後方向において対向するカバー80の側壁の上端部からは内側に向かって突出する突片81が設けられている。第1ケース60には下壁を上下方向に貫通する貫通孔60aが設けられ、第1ケース60の内側から貫通孔60aに通されたネジ83を、突片81に形成されたネジ部82にねじ込むことによって、カバー80が第1ケース60に取り付けられている。したがって、第2ケース51やネジ83や後述のケーブル57がカバー80で覆われるから、外観の見栄えを良くできる。
第2ケース51を第1ケース60の下面に取り付ける場合、第1ケース50の表面(配線ダクト200に取り付けた状態で下面となる面)に第2ケース51を載置し、取付片64cの上側に被取付片53が重なるように、第2ケース51を配置する。その後、被取付片53に形成された貫通孔(図示せず)にネジ55を挿通し、取付片64cに設けられたネジ孔(図示せず)にネジ55をねじ込むことによって、第2ケース51が、第1ケース60に固定された取付金具64に取り付けられる。点灯ブロック70に保持されたLED11及び第1ケース60に収納された点灯回路12と、第2ケース51に収納された通信回路15の間はケーブル57を介して電気的に接続されている。このケーブル57は第1ケース60の表面の孔65を通して第1ケース60内に導入されている。そして、第2ケース51を覆うようにカバー80が被せられ、第1ケース60の内側から、第1ケース60の貫通孔60aに通されたネジ83を突片81のネジ部82にねじ込むことによって、カバー80が第1ケース60に取り付けられる。
ここで、図5(c)に示すように、取付片64cは、縦片64bの下端部から先端側に向かって斜め上向きに傾斜しているので、ネジ55をねじ込むにつれて、被取付片53の中間部が上向きに凸となるように撓められた状態となる。その結果、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51の長手方向における他端側(被取付片53が設けられた側と反対側)が第1ケース60側に押し付けられた状態となる。第2ケース51は、長手方向における一端側のみで第1ケース60に取り付けられているが、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース5lの長手方向における他端側が第1ケース60に押し付けられる。したがって、第2ケース5lの長手方向における他端側が第1ケース60の表面から浮き上がりにくくなり、第2ケース51が第1ケース60に対してがたつきなく取り付けられるのである。
以上説明したように、本実施形態の可視光通信用照明器具1は、光源であるLED11と、点灯回路12と、通信回路14と、第1ケース60と、第2ケース51とを備える。LED11は可視光を照射して照明する。点灯回路12はLED11を点灯させる。通信回路14は、点灯回路12の出力を通信信号に応じて変調させることによって、LED11の光出力に通信信号に応じた変調成分を重畳させる。第1ケース50は、少なくとも点灯回路12を収納する。第2ケース51は、第1ケース50とは別体に構成され、通信回路14を収納して、第1ケース60に取り付けられる。
このように、点灯回路12を収納する第1ケース60とは別体に構成された第2ケース51の内部に可視光通信のための通信回路14が収納されているので、既に商品化されている点灯回路12に通信回路14を追加することで、可視光通信用照明器具を実現できる。よって、既に商品化されている多品種の照明器具に可視光通信機能を追加する場合に、点灯回路12を含めた全体回路を新規に設計し直す必要はなく、点灯回路12は既に商品化されたものを流用し、通信回路14の部分を新規に設計することで対応できる。したがって、可視光通信機能を付加した照明器具を製造するための追加投資が少なくて済み、安価な可視光通信用照明器具を実現できる。また、点灯回路12と通信回路14は別々のケース内に収納されており、したがって点灯回路12と通信回路14は別々の基板に実装されるから、点灯回路12と通信回路14が同じ基板に実装される場合に比べて、1枚1枚の基板の大きさを小さくできる。よって、点灯回路12と通信回路14を同じケースに収納する場合に比べて、第1ケース60及び第2ケース51を小型にできるという効果もある。また、点灯回路12がスイッチング電源からなる場合、通信回路14を点灯回路12とは別のケースに収納することによって、点灯回路12が発するノイズ(例えばスイッチングによるノイズなど)の影響を通信回路14が受けにくくなり、耐ノイズ性が向上する。
また、第2ケース51は直方体状に形成され、第2ケース51の一面を第1ケース60の表面に当接させた状態で、第2ケース51の一側面に設けられた被取付片53に重ねて結合される取付片(取付金具64の取付片64c)が第1ケース60に設けられている。そして、被取付片53が取付片64cに結合されることによって、第2ケース51において一側面と反対側の端部を第1ケース60に押し付ける弾性力が発生する方向に被取付片53が撓められる。
これにより、第2ケース51が被取付片53のみで第1ケース60に取り付けられた場合でも、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51において一側面と反対側の端部が第1ケース60に押し付けられる。したがって、第2ケース51における一側面と反対側の端部、すなわち第1ケース60に固定されていない側の端部が浮き上がりにくくなり、第2ケース51をがたつきなく第1ケース60に取り付けることができる。そして、第2ケース51は一端側に設けた被取付片53のみで第1ケース60に取り付けられるから、取付作業が簡単になり、また被取付片53は片側のみに設けられていればよいから、コストダウンを図ることができる。
また本実施形態では、取付片64cは、第2ケース51の一側面(被取付片53が設けられた側面)に近付くほど、第1ケース60の一面(第2ケース51が載置される平面であって、施工状態における下面)との距離が短くなるように傾斜している。
これにより、被取付片53を取付片64cに結合すると、被取付片53が取付片64c側に撓められるから、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51において一側面と反対側の端部が第1ケース60に押し付けられる。したがって、第2ケース51における一側面と反対側の端部、すなわち第1ケース60に固定されていない側の端部が浮き上がりにくくなり、第2ケース51をがたつきなく第1ケース60に取り付けることができる。尚、本実施形態では水平面(第1ケース60の表面と平行な面)に対する取付片64cの傾斜角θを約5°に設定しているが、その傾斜角θは適宜変更が可能である。また本実施形態では、取付片64cを縦片64bの下端部から斜め上向きに傾斜させているが、取付片64cを第1ケース60の表面に対して略平行とし、被取付片53を先端に行くほど斜め上向き(第1ケース60の表面に近付く向き)に傾斜させてもよい。この場合にも、被取付片53をネジ55で取付片64cに結合することによって、被取付片53が上向きに凸となるように撓められ、被取付片53に発生する弾性力によって、第2ケース51の長手方向における他端側が第1ケース60の表面に押し付けられることになる。
また本実施形態では、第1ケース60において、取付片64cは光源の中央付近から離れた位置、すなわち下側から見て灯体ブロック70の中心付近から離れた位置に設けられている。そして、第2ケース51は、取付片64cに対して、光源の中央付近(下側から見た状態において灯体ブロック70の中心付近)と反対側に配置されているから、通信回路14を構成する回路部品が光源の発熱による影響を受けにくくなる。
また本実施形態では、被取付片53及び取付片52cは、第2ケース51の一側面の中央位置(左右方向における中央位置)を通り、一側面と直交する平面P2(図7参照)に対して対称な位置でそれぞれ結合部材(ネジ55)を介して結合されている。被取付片53及び取付片52cが1点で結合されている場合、第2ケース51が結合箇所を中心に回転する可能性があるが、上述のように被取付片53及び取付片52cは、上記の平面P2に対して対称な位置で結合されている。したがって、第2ケース51が回転しにくくなり、第2ケース51における一側面と反対側の端部の位置が左右方向においてずれにくくなる。
また本実施形態の照明器具1は、第2ケース51の外側を覆うようにして、第1ケース60に取り付けられるカバー80を備えている。そして、第1ケース60の表面に設けられた貫通孔60aに第1ケース60の内側から通したネジ83を、カバー80の内側に設けられたネジ部82にねじ込むことによって、カバー80が第1ケース60に取り付けられる。これにより、カバー80で第2ケース51が覆われるから、外観の意匠性が向上する。また、カバー80を第1ケース60に取り付けるためのネジ83もカバー80で覆われているから、外観の意匠性がさらに向上し、配線ダクト200に取り付けられるスポットライトのように室内に露出して設置される照明器具の場合は特に有効である。