以下、本発明に係る棒金収納装置について、この装置を備えたシステムとの関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
1.棒金収納管理システムの全体構成の説明
先ず、第1の実施形態に係る棒金収納装置10を適用したレジシステム(棒金収納管理システム)12の構成例について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る棒金収納管理システムであるレジシステム12の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、レジシステム12は、POSレジスタ(金銭登録装置)14と、貨幣処理装置16と、棒金収納装置10とを備える。レジシステム12は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置され、釣銭や棒金の管理・収納等を行うためのシステム(棒金収納管理システム)を構成する。
POSレジスタ14は、装置の統括的な制御や各種の演算処理等を行う制御ユニット15を備え、利用者であるレジ担当者の操作により商品のコードを読み取り、商品のコード、数量を登録する一方、商品のコードから商品のアイテム、商品の金額を呼び出し、商品の合計金額(請求金額)と顧客から受け取ったお金との差額(釣銭額)とを算出する。そして、POSレジスタ14は、これに付随する金額表示器(図示せず)に算出した請求金額を表示すると共に、釣銭額を表示する。これにより、顧客は請求金額と釣銭額とを知ることができる。POSレジスタ14の制御ユニット15からは、貨幣処理装置16を構成する釣銭機18の制御ユニット19へと釣銭額(出金額)が通知される。
POSレジスタ14には、貨幣処理装置16を構成する釣銭機18が接続してある。釣銭機18は、装置の統括的な制御や各種の演算処理等を行う制御ユニット19を備える。釣銭機18には、該釣銭機18と共に貨幣処理装置16を構成する釣札機20が接続してある。貨幣処理装置16は、レジ担当者が投入した貨幣(硬貨及び紙幣)を受け入れる一方、釣銭となる貨幣を払い出すもので、釣銭機18において、受け入れた貨幣の金額(入金額)、払い出された貨幣の金額(出金額)、有り高を管理する。そして、釣銭機18は、釣銭機18又は釣札機20が貨幣を受け入れた場合にその入金額をPOSレジスタ14に通知する一方、POSレジスタ14の制御ユニット15から通知された出金額を受信し、釣銭機18又は釣札機20から出金額に相当する貨幣を払い出す。これにより、レジ担当者は、貨幣を数えることなく釣銭を出金できる。
釣銭機18には、棒金収納装置10が接続してある。棒金収納装置10は、装置の統括的な制御や各種の演算処理、さらには後述する棒金種類の判別処理等を行う制御ユニット21を備え、釣銭機18に補充する硬貨を準備金として収納するものである。棒金収納装置10の制御ユニット21から釣銭機18の制御ユニット19へと、該棒金収納装置10に収納している棒金(棒状硬貨)の種類や数量が通知される。ここで、棒金(棒状硬貨)とは、同一種類の硬貨を予め設定した枚数だけ積層して包装し、1つの取扱単位として構成したものである。本実施形態に係る棒金収納装置10は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨をそれぞれ所定の枚数ずつ包装した棒金を収納対象としており、特に同一硬貨を積層枚数の違いによって種類分けされた棒金(本実施形態では500円硬貨の棒金)の収納に有効である。棒金収納装置10は、釣銭機18ではなく釣札機20に接続してもよい。
上記のレジシステム12を用いて商品の代金を精算する場合には、先ず、レジ担当者がPOSレジスタ14を操作し、商品のコード、数量を入力することにより、POSレジスタ14に商品のコード、数量を登録する。商品のコード、数量がPOSレジスタ14に登録されると、制御ユニット15は、商品のコードから商品のアイテム、商品の金額を呼び出し商品の合計金額(請求金額)を算出し、POSレジスタ14に付随する金額表示器に請求金額を表示する。これにより、顧客は請求金額を認識し、請求金額以上のお金(預かり金)をレジ担当者に支払うことになる。
レジ担当者は、顧客が支払ったお金を確認して受け取り、それを貨幣処理装置16に投入する。貨幣処理装置16は、レジ担当者が投入したお金(貨幣)を受け入れ、受け入れた金額(入金額)を釣銭機18からPOSレジスタ14に通知する。POSレジスタ14は、釣銭機18から通知された金額を預かり金として金額表示器に表示する。そして、レジ担当者がお金の投入完了をPOSレジスタ14に入力すると、制御ユニット15は、預かり金と請求金額の差額を算出し、釣銭額として金額表示器に表示すると共に、その差額を出金額として釣銭機18の制御ユニット19に通知し、POSレジスタ14に付随するプリンタ(図示せず)からレシートを出力する。
POSレジスタ14から釣銭機18に出金額が通知されると、釣銭機18は、釣札機20と釣銭機18とから出金額に相当する金額の貨幣を払い出す。レジ担当者は、プリンタから出力されたレシートと共にこの貨幣をお釣りとして顧客に受け渡し、代金の精算を終了する。
このようなレジシステム12において、釣銭機18の硬貨が足りなくなると、釣銭機18からPOSレジスタ14に硬貨の補充が必要である旨を通知する。釣銭機18からPOSレジスタ14に硬貨の補充が必要である旨が通知されると、POSレジスタ14は、その旨をPOSレジスタ14に付随する表示部(図示せず)に表示する。この表示を見てレジ担当者がPOSレジスタ14に付随する操作部(図示せず)から補充操作を入力すると、POSレジスタ14から釣銭機18に補充指令を通知する。POSレジスタ14から補充指令が通知された釣銭機18は、硬貨の補充を許可し、棒金収納装置10から棒金の取り出しを可能にする。これにより、レジ担当者は棒金収納装置10から棒金を取り出して、釣銭機18に硬貨を補充することになる。釣銭機18への硬貨の補充が終了すると、釣銭機18はPOSレジスタ14に硬貨の補充を終了した旨を通知する。釣銭機18から硬貨の補充が終了した旨が通知されると、POSレジスタ14は、商品の代金の精算が可能な状態に復帰する。
2.棒金収納装置の構成例の説明
2.1 第1の実施形態に係る棒金収納装置の説明
次に、第1の実施形態に係る棒金収納装置(棒金収納庫)10について説明する。
図2は、貨幣処理装置16と棒金収納装置10の正面図であり、図3は、図2に示す貨幣処理装置16の平面図である。図4は、図2に示す棒金収納装置10の斜視図であり、図5は、図4に示す棒金収納装置10において、装置本体22から引出し24を引き出した状態を示す斜視図である。
図2〜図5に示すように、本実施形態に係る棒金収納装置10は、装置本体22と、装置本体22の前面から手前側に引き出し可能に配設された引出し24とを備え、制御ユニット21は、例えば装置本体22内に搭載される。装置本体22は、前面が開口した直方体形状を成すものである。引出し24は、装置本体22に挿入可能な大きさに構成した箱体であり、上面が開口した直方体形状を成している。
図5に示すように、引出し24の内部には、収納トレイ26が取り付けてある。収納トレイ26は、予め定めた種類の棒金を予め定めた位置に収納するためのものである。図5に示す例において、収納トレイ26には、棒金を収納する複数の収納ポケット(収納溝)28と、紙幣や商品券等の紙葉類を収納する紙葉類収納庫30と、棒金をばらしたバラ硬貨等を収納するバラ硬貨収納庫32とが設けてある。
ところで、上記したように、一般的に用いられる棒金において、10円や100円等の硬貨は、同一種類を、例えば50枚単位で包装したものが用いられているが、例えば500円硬貨は、積層枚数が異なる2種類の棒金、すなわち、50枚単位の棒金(通常棒金、長棒金)と20枚単位の棒金(短棒金)とが用いられている。
図6(A)及び図6(B)に示すように、50枚単位の棒金である通常棒金(第1棒金)Aの長手方向(積層方向)の長さをLA(例えば、500円硬貨の場合に94mm程度)と称し、20枚単位の棒金である短棒金(第2棒金)Bの長手方向(積層方向)の長さをLB(例えば、500円硬貨の場合に40mm程度)と称すると、当然に、長さLA>長さLBとなる。ここで、短棒金Bの長さLBは、通常棒金Aの長さLAの半分未満であり、また長さLBは長さLAの3分の1より大きい値となっており(1/3LA<LB<1/2LA)、LB×2<LA、とも言える。通常、これら通常棒金A及び短棒金B等の棒金は、その長手方向両端面に、硬貨を包み込むラミネート材の端縁部分である丸まり部分33(例えば、長手方向左右にそれぞれ2mm程度)が形成されている。
棒金収納装置10は、このように積層枚数の違いによって区別された複数種類の棒金が収納ポケット28に収納された場合に、その種類と本数を検出・判別する検出手段及び判別手段を有することにより、収納される種類を予め設定等する必要がなく、利用者の利便性が高いものとなっている。
図7は、第1の実施形態に係る棒金収納装置10に設けられる収納ポケット28の構成図であり、図7(A)は、収納ポケット28を上面側から見た斜視図であり、図7(B)は、収納ポケット28を底面側から見た斜視図である。また、図8は、図7に示す収納ポケット28の側面断面図である。図8では、図面の見易さを確保するため、断面ハッチング等を省略して図示しており、以降の各図面についても同様である。
図7(A)、図7(B)及び図8に示すように、棒金収納装置10は、同一硬貨の積層枚数が異なる複数種類、ここでは2種類の棒金である通常棒金A又は短棒金Bが収納ポケット28に収納された場合に、該収納された棒金を検出する検出部(検出手段)34と、検出部34による検出結果を受けて、収納ポケット28内に収納された棒金の種類と本数を判別する棒金制御部(判別手段)36とを備える。
棒金制御部36は、制御ユニット21に設けられ、上位となる釣銭機18の制御ユニット19との間で情報のやり取りが可能であり、釣銭機18からの指示により、検出部34によって検出された棒金の種類及び本数を釣銭機18に通知し、さらに引出し24に付設されたロック機構(図示せず)に対して引出し24の開閉の要否(ロック指示及びアンロック指示)を通知する。また、棒金制御部36には、検出部34による棒金の検出が異常(検出異常)と判断された場合に、利用者に対して検出異常であることを通知する異常通知器37が接続されている。異常通知器37は、例えばランプや警報機等で構成するとよい。
棒金制御部36は、棒金収納装置10の制御ユニット21ではなく、図1に示すように、貨幣処理装置16を構成する釣銭機18の制御ユニット19、POSレジスタ14の制御ユニット15、又は釣札機20の制御ユニット23に設けてもよい。さらには、これらPOSレジスタ14、貨幣処理装置16及び棒金収納装置10とは別体で制御ユニット(制御装置)25を設け、この制御ユニット25に棒金制御部36を設けてもよい。制御ユニット25は、少なくとも棒金収納装置10、貨幣処理装置16及びPOSレジスタ14のいずれか1つと通信可能に接続されればよい。
検出部34は、収納ポケット28への棒金の収納方向である長手方向に沿って、一端側から他端側に向かって順に並べられた第1センサS1、第2センサS2、第3センサS3、第4センサS4、及び第5センサS5からなる5個のセンサを有する。第3センサS3は、収納ポケット28の長手方向中央に配置されている。第1センサS1は、収納ポケット28の一端側であって一端面28aのやや中央寄りに配置され、第5センサS5は、収納ポケット28の他端側であって他端面28bのやや中央寄りに配置されている。第2センサS2は、第1センサS1と第3センサS3との間であって第1センサS1にやや寄った位置に配置され、第4センサS4は、第3センサS3と第5センサS5との間であって第5センサS5にやや寄った位置に配置されている。
図7(A)及び図7(B)に示すように、本実施形態の場合、検出部34を構成する各センサS1〜S5は、それぞれ投光器35a及び受光器35bからなる光センサである。センサS1〜S5は、収納ポケット28内に載置された棒金の有無を検知できるものであればよく、例えば、上下動式やレバー式等のON・OFFスイッチ(リミットスイッチ)や、棒金を構成する磁性体(金属媒体)に反応する磁気コイル式のセンサ等で構成してもよい。また、各センサS1〜S5をそれぞれ異なる方式のセンサによって構成してもよい。
各センサS1〜S5は、投光器35aからの光を受光器35bが受光している場合には非検出状態(OFF)となり、この光が収納ポケット28内に収納された棒金によって遮断されると検出状態(ON)となることで、センサS1〜S5が各位置での棒金の有無を検出する。このような検出部34によって検出された検出結果は、図示しないセンサ処理回路等を介して棒金制御部36に送信される。そこで、棒金制御部36は、送信された検出結果に基づき、棒金の種類や本数を特定する判別処理を実行し、判別結果をPOSレジスタ14等に送信し、必要に応じて異常通知器37を駆動する。この異常通知器37の駆動と共に、引出し24に付設された前記ロック機構を駆動して引出し24を閉じることができないようにロックする制御を行ってもよい。
図7(A)及び図7(B)に示すように、収納ポケット28の長手方向両端の上部には、収納ポケット28の上方で棒金の有無を検出する投光器39a及び受光器39bからなるセンサ39が設けられている。センサ39は、収納ポケット28内に収納された棒金を構成する硬貨の種類に応じた検出を行うものであり、例えば、収納ポケット28内に収納される棒金を構成する硬貨の中で最も大径の500円硬貨が収納された場合にこれを検出して検出状態(ON)となり、それより小径の10円硬貨等が収納された場合には非検出状態(OFF)となり、その硬貨の種類の違いによる棒金の種類を検出することができる。
図8に示すように、収納ポケット28は、各棒金を硬貨の積層方向に沿った向きで収納可能であると共に、最も積層枚数が長い棒金、ここでは通常棒金Aを収納可能な長さL1を有し(L1≧LA)、通常棒金Aや短棒金Bを横倒し姿勢で収納可能に形成された半円状の溝部である。本実施形態では、上記のように通常棒金Aの長さLAが94mm程度であり、収納ポケット28の長さL1は、棒金のセットのし易さ及び取出し易さを考慮して、通常棒金の長さLAよりも数mm程度長くなっており、例えば、通常棒金Aが着地する底面の長さを96mm程度に構成している。
本実施形態の場合、収納ポケット28は、1本の通常棒金A、又は、1本若しくは2本の短棒金Bを収納可能であり、検出部34によって収納された棒金が1本の通常棒金Aであるか、1本若しくは2本の短棒金Bであるかを検出可能となっている。そこで、次に、図8を参照しながら、各棒金と各センサS1〜S5の配置との関係について説明する。
検出部34を構成する5個のセンサS1〜S5は、通常棒金Aが収納ポケット28に収納された場合には、全てのセンサS1〜S5が検出状態(ON)となる(図10等参照)。また、1本の短棒金Bが収納ポケット28に収納された場合には、1個のセンサ(図22等参照)又は隣接する2個のセンサ(図19等参照)が検出状態となる。さらに、2本の短棒金Bが収納ポケット28に収納された場合には、隣接しない2個のセンサ(図15参照)、3個のセンサ(図16参照)、又は、4個のセンサ(図13等参照)が検出状態(ON)となる位置関係で設置されている。
従って、棒金制御部36では、5個のセンサS1〜S5の全てが検出状態の場合に通常棒金Aが1本収納されていると判別し、1個のセンサ、又は、隣接する2個のセンサが検出状態の場合に、短棒金Bが1本収納されていると判別し、隣接しない2個のセンサ、3個のセンサ、又は、4個のセンサが検出状態の場合に、短棒金が2本収納されていると判別する。
そこで、5個のセンサS1〜S5を用いて上記のように棒金種類を検出し判別するためのセンサの配置例について図8を参照して説明すると、例えば、次の(1)〜(4)に示す関係で規定することができる。例えば、これらの関係を満たすと、通常棒金Aと短棒金Bについて、収納された棒金の種類と本数を判別することができる。
(1)両端の第1センサS1と第5センサS5の間の間隔D1(例えば、86mm程度)は、通常棒金Aの長さLAより小さく、且つ短棒金Bの長さLBの2倍より大きい(LB×2<D1<LA)。すなわち、収納ポケット28に通常棒金Aを収納した場合に全てのセンサS1〜S5で検知可能とするため、間隔D1は、通常棒金Aの長さLAから、収納ポケット28の長さL1から長さLAを減算した差(L1−LA)を減算した間隔{LA−(L1−LA)}よりも短くする。
(2)隣接するセンサ同士の間隔、つまり、第1センサS1と第2センサS2の間隔D2(例えば、18mm程度)と、第2センサS2と第3センサS3の間隔D3(例えば、25mm程度)と、第3センサS3と第4センサS4の間隔D4(例えば、25mm程度)と、第4センサS4と第5センサS5の間隔D5(例えば、18mm程度)とが、短棒金Bの長さLBよりも小さい(D2〜D4<LB)。この場合、間隔D2,D5よりも間隔D3,D4が大きい(D2,D5<D3,D4)。
(3)中央の第3センサS3と一端の第1センサS1の間隔(D2+D3)、及び中央の第3センサS3と他端の第5センサS5の間隔(D4+D5)が、短棒金Bの長さLBよりも大きい(LB<D2+D3,D4+D5)。つまり、1本の短棒金Bでは第1,第3センサS1,S3又は第3,第5センサS3,S5で検知できない距離とする。
(4)中央の第3センサS3の両側に設けられた第2センサS2と第4センサS4の間隔(D3+D4)が、短棒金Bの長さLBよりも大きい(LB<D3+D4)。つまり、1本の短棒金Bでは第3センサS3を挟んで第2,第4センサS2,S4が共に検知できない距離とする。
また、収納ポケット28とセンサS1〜S5との関係については、例えば、次の(5)〜(8)に示す関係で規定することができる。例えば、上記の(1)〜(4)に加えてこれらの関係を満たすと、収納された棒金の種類と本数をより正確に判別することが可能となる。
(5)各端面28a,28bから両端のセンサS1,S5までの長さをL2,L3(例えば、5mm程度)とすると、一端面28aから他端側の第5センサS5までの距離(L2+D1)が、通常棒金Aの長さLAより小さく(L2+D1<LA)、且つ他端面28bから一端側の第1センサS1までの距離(L3+D1)が、通常棒金Aの長さLAより小さい(L3+D1<LA)。
(6)各端面28a,28bから両端のセンサS1,S5までの長さL2,L3が、短棒金Bの長さLBより小さい(L2,L3<LB)。
(7)収納ポケット28の両端面28a,28b間の長さL1が、通常棒金Aの長さLAより大きい(LA<L1)。
(8)収納ポケット28の両端面28a,28b間の長さL1が、短棒金Bの長さLBの3倍より小さい(L1<LB×3)。
次に、以上のように構成される棒金収納装置10による通常棒金A及び短棒金Bの種類判別方法と計数方法について説明する。
図9は、第1の実施形態に係る棒金収納装置10による棒金の種類及び本数の判別方法並びに判別結果の一例を示す表である。図9に示すように、本実施形態に係る棒金収納装置10では、通常棒金Aや短棒金Bの収納ポケット28への収納パターンとして、検出部34を構成する各センサS1〜S5による棒金の検出状態により、例えば15種類の組合せパターンを想定しており、各組合せパターン毎の棒金判別結果(種類と本数)が図9に示すようなテーブルデータとして棒金制御部36に記憶されている。すなわち、棒金制御部36は、各センサS1〜S5の検出状態により、収納された棒金が13種類の組合せパターンのいずれに該当するかを判定し、その判定結果に基づき、収納された棒金の種類と本数を判別する。
以下、図9中の各組合せパターンに該当する棒金の収納状態と、そのときの検出部34による検出状態及び棒金判別結果について順に説明する。
図9中の組合せパターン1は、収納ポケット28内に棒金が収納されていない状態(空状態)を示すものであり、図8に示すように、各センサS1〜S5は、全て非検出状態(OFF)となっている。従って、棒金制御部36は、特に棒金種類や本数の判別を行わない。
図10は、図9中の組合せパターン2に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。ここで、図10〜図25では、図面の見易さを確保するため、棒金によって検出状態(ON)となったセンサS1〜S5を黒丸で図示し、非検出状態(OFF)のセンサS1〜S5を白丸で図示している。
図10に示すように、収納ポケット28に通常棒金Aが収納された場合には、全てのセンサである第1〜第5センサS1〜S5が検出状態(ON)となる。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン2に該当するものと判定し、通常棒金Aが1本収納されたと判別する。なお、図10は、通常棒金Aが収納ポケット28内で一端面28a側に寄って収納された状態を示しているが、通常棒金Aが収納ポケット28の略中央に収納された場合(図11参照)や、通常棒金Aが収納ポケット28内で他端面28b側に寄って収納された場合(図12参照)についても、全てのセンサS1〜S5が検出状態となり、組合せパターン2に該当すると判別される。
図13は、図9中の組合せパターン3に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図13に示すように、収納ポケット28内に2本の短棒金Bがそれぞれ両端側に寄って収納された場合には、一方の短棒金Bによって第1,第2センサS1,S2が検出状態(ON)となり、他方の短棒金Bによって第4,第5センサS4,S5が検出状態(ON)となり、中央の第3センサS3は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン3に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
図14は、図9中の組合せパターン4に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図14に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄りに2本の短棒金Bが収納された場合には、第1〜第4センサS1〜S4が検出状態(ON)となり、他端側の第5センサS5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン4に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。なお、2本の短棒金Bが他端面28b寄りに収納された場合には、第2〜第4センサS2〜S4が検出状態(ON)となることで判別される。
図15は、図9中の組合せパターン5に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図15に示すように、2本の短棒金Bが収納ポケット28の中央付近で互いに多少間隔を空けた状態で収納された場合には、一方の短棒金Bによって第2センサS2が検出状態(ON)となり、他方の短棒金Bによって第4センサS4が検出状態(ON)となり、両端と中央の第1,第3,第5センサS1,S3,S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン5に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
図16は、図9中の組合せパターン6に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図16に示すように、2本の短棒金Bが収納ポケット28の中央付近に寄って収納された場合には、中央とそれに隣接する3つのセンサである第2〜第4センサS2〜S4が検出状態(ON)となり、両端の第1,第5センサS1,S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン6に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
なお、図16に示す棒金の収納状態において、2本の短棒金Bの硬貨をそれぞれ包み込むラミネート材の丸まり部分33,33同士の当接によって形成される空間(2本の短棒金B同士の当接部分に形成される空間)が、中央の第3センサS3に対応する位置に対応した場合には、第3センサS3が非検出状態(OFF)となる可能性もある。しかしながら、この状態の場合には、図15に示す組合せパターン5と同じ検出状態が得られるため、結果的には2本の短棒金Bが収納されていることを正確に判別することができる。
図17は、図9中の組合せパターン7に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図17に示すように、一端面28a寄りに短棒金Bが収納され、さらに、他端面28b側やや中央寄りに短棒金Bが収納された場合には、一方の短棒金Bによって第1,第2センサS1,S2が検出状態(ON)となり、他方の短棒金Bによって第4センサS4が検出状態(ON)となり、中央と他端の第3,第5センサS3,S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン7に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。なお、図18に示すように、一端面28a側やや中央寄りに短棒金Bが収納され、さらに、他端面28b寄りに短棒金Bが収納された場合には、第2,第4,第5センサS2,S4,S5が検出状態(ON)となり、図9中の組合せパターン8に該当し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
図19は、図9中の組合せパターン9に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図19に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄りに短棒金Bが1本収納された場合には、第1,第2センサS1,S2が検出状態(ON)となり、第3〜第5センサS3〜S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン9に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。なお、図25に示すように、1本の短棒金Bが他端面28b寄りに収納された場合には、第4,第5センサS4,S5が検出状態(ON)となり、図9中の組合せパターン15に該当し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
図20は、図9中の組合せパターン10に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図20に示すように、収納ポケット28の一端面28a側やや中央寄りに短棒金Bが1本収納された場合には、第2センサS2が検出状態(ON)となり、第1,第3〜第5センサS1,S3〜S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン10に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。なお、図24に示すように、1本の短棒金Bが他端面28b側やや中央寄りに収納された場合には、第4センサS4が検出状態(ON)となり、図9中の組合せパターン14に該当し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
図21は、図9中の組合せパターン11に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図21に示すように、収納ポケット28の中央やや一端面28a寄りに短棒金Bが1本収納された場合には、第2,第3センサS2,S3が検出状態(ON)となり、第1,第4,第5センサS1,S4,S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン11に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。なお、図23に示すように、1本の短棒金Bが中央やや他端面28b寄りに収納された場合には、第3,第4センサS3,S4が検出状態(ON)となり、図9中の組合せパターン13に該当し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
図22は、図9中の組合せパターン12に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図22に示すように、収納ポケット28の中央に短棒金Bが1本収納された場合には、第3センサS3が検出状態(ON)となり、第1,第2,第4,第5センサS1,S2,S4,S5は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS1〜S5の検出結果が図9中の組合せパターン12に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
以上のように、本実施形態に係る棒金収納装置10によれば、棒金を硬貨の積層方向に沿った向きで収納可能であると共に、複数種類の棒金(例えば、通常棒金A及び短棒金B)のうち、硬貨の積層枚数が最も多く設定された棒金(例えば、通常棒金A)を収納可能に形成された収納ポケット28と、収納ポケット28内に収納された棒金を検出可能であると共に、該収納された棒金の硬貨の積層枚数による種類の違いに応じた検出結果を出力可能な検出部34とを備える。
例えば、棒金収納装置10では、通常棒金Aが収納された場合には、全てのセンサS1〜S5が検出状態となり(図10等参照)、1本の短棒金Bが収納された場合には、1個のセンサ(図22等参照)又は隣接する2個のセンサ(図19等参照)が検出状態となり、2本の短棒金Bが収納された場合には、隣接しない2個のセンサ(図15参照)、3個のセンサ(図16参照)、又は、4個のセンサ(図13等参照)が検出状態となる位置関係で検出部34を構成する5個のセンサS1〜S5を収納ポケット28内に設置している。
従って、硬貨の積層枚数の異なる複数種類の棒金のいずれかを収納ポケット28内に収納するだけで、その種類に応じて異なる検出結果が検出部34から出力されるため、例えば制御ユニット21において収納ポケット28内に収納された棒金の種類を確実に判別でき、低コストで利用者の利便性を向上させることができる。さらに、棒金の種類毎に設定処理等を行う必要がないため、装置の汎用性が向上する。
また、上記実施形態に係る棒金収納管理システムであるレジシステム12では、棒金収納装置10の制御ユニット21(又は制御ユニット15,19,23,25)に、検出部34から出力される検出結果に基づき、硬貨の積層枚数の違いによる棒金の種類を判別する判別手段である棒金制御部36を備えることにより、該棒金制御部36によって収納ポケット28に収納された棒金の種類を判別し、その収納状態を管理することができる。
2.2 第2の実施形態に係る棒金収納装置の説明
次に、第2の実施形態に係る棒金収納装置(棒金収納庫)10aについて説明する。
本実施形態に係る棒金収納装置10aは、上記第1の実施形態に係る棒金収納装置10と比べて、検出部34と構成の異なる検出部34aを備える点以外は略同様な装置であり、例えばレジシステム12に搭載され(図1〜図5参照)、通常棒金A及び短棒金Bの収納・検出・判別が可能である。そこで、第2の実施形態に係る棒金収納装置10aにおいて、上記第1の実施形態に係る棒金収納装置10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略し、以下同様とする。
図26は、棒金収納装置10aに設けられる収納ポケット28の構成図であり、図26(A)は、収納ポケット28の平面図であり、図26(B)は、収納ポケット28の側面断面図である。
図26(A)及び図26(B)に示すように、棒金収納装置10aは、同一硬貨の積層枚数が異なる複数種類、ここでは2種類の棒金である通常棒金A又は短棒金Bが収納ポケット28に収納された場合に、該収納された棒金を検出する検出部(検出手段)34aと、検出部34aによる検出結果を受けて、収納ポケット28内に収納された棒金の種類と本数を判別する棒金制御部(判別手段)36とを備える。
検出部34aは、収納ポケット28の長手方向一端側に配置される第1センサS11と、収納ポケット28の長手方向中央に配置される第2センサS12と、収納ポケット28の長手方向他端側に配置される第3センサS13とを有する。本実施形態では、第1センサS11を、収納ポケット28の一端面28aのやや中央寄りに配置し、第3センサS13を、収納ポケット28の他端面28bのやや中央寄りに配置している。
第1センサS11及び第3センサS13は、小片状のセンサヘッド38a、38cを収納ポケット28の底面に設けた開口から該収納ポケット28内へと出没可能に構成した上下動式(ロッド式)のON・OFFスイッチ(リミットスイッチ)である。センサヘッド38a、38cは、収納ポケット28内に通常棒金Aや短棒金Bが収納されていない状態では、コイルばね(弾性部材)40による付勢力によって収納ポケット28内に突出している。一方、収納ポケット28内に通常棒金Aや短棒金Bが収納されると、これら通常棒金A又は短棒金Bの自重(重量)により、コイルばね40の付勢力に抗して押し下げられ、収納ポケット28内から没して棒金の収納を許容しつつ検出する(図28等参照)。
略同様に、第2センサS12は、センサヘッド38a、38cより大形のセンサヘッド38bを収納ポケット28の底面に設けた開口から該収納ポケット28内へと出没可能に構成した上下動式(ロッド式)のON・OFFスイッチ(リミットスイッチ)である。センサヘッド38bは、収納ポケット28内に通常棒金Aや短棒金Bが収納されていない状態では、コイルばね40による付勢力によって収納ポケット28内に突出している。一方、収納ポケット28内に通常棒金Aや短棒金Bが収納されると、これら通常棒金A又は短棒金Bの自重(重量)により、コイルばね40の付勢力に抗して押し下げられ、収納ポケット28内から没して棒金の収納を許容しつつ検出する(図29等参照)。
これら各センサS11〜S13は、コイルばね40による付勢力を受けつつ、上下動可能に構成されおり、棒金による荷重を受けずにセンサヘッド38a〜38cが収納ポケット28内に突出(上昇)している場合には非検出状態(OFF状態)であり、センサヘッド38a〜38cが棒金による荷重によって押し下げられた場合に検出状態(ON状態)となる。検出部34aによって検出された検出結果は、図示しないセンサ処理回路等を介して棒金制御部36に送信される。
本実施形態の場合にも、収納ポケット28は、1本の通常棒金A、又は、1本若しくは2本の短棒金Bを収納可能とされている。そこで、図26(B)に示すように、収納ポケット28内において、該収納ポケット28の長手方向一端側の端面である一端面28aとセンサヘッド38bの一側面42aとの間の長さL4(例えば、42mm程度)は、短棒金Bを1本収納可能な長さを有し(L4≧LB)、収納ポケット28の長手方向他端側の端面である他端面28bとセンサヘッド38bの他側面42bとの間も同様な長さL4に設定されている。また、収納ポケット28内において、センサヘッド38aの内側面とセンサヘッド38bの一側面42aとの間の間隔D6(例えば、37mm程度)は、短棒金BがセンサS11,S12間に落下して検出不能となることを防止するために長さLBより短く設定されており(D6<LB)、センサヘッド38cの内側面とセンサヘッド38bの他側面42bとの間も同様な間隔D6に設定されている。さらに、センサヘッド38bの幅W1(例えば、12mm程度)は、通常棒金Aの長さLAから短棒金Bの長さLBの2倍の値を引いた長さ以下に設定されている{W1≦(LA−LB×2)}。つまり、W1≦(L1−L4×2)と言うこともできる。
次に、以上のように構成される棒金収納装置10aによる通常棒金A及び短棒金Bの種類判別方法と計数方法について説明する。
図27は、第2の実施形態に係る棒金収納装置10aによる棒金の種類及び本数の判別方法並びに判別結果の一例を示す表である。図27に示すように、本実施形態に係る棒金収納装置10aでは、通常棒金Aや短棒金Bの収納ポケット28への収納パターンとして、検出部34aを構成する各センサS11〜S13による棒金の検出状態により、例えば8種類の組合せパターンを想定しており、各組合せパターン毎の棒金判別結果(種類と本数)が図27に示すようなテーブルデータとして棒金制御部36に記憶されている。すなわち、棒金制御部36は、各センサS11〜S13の検出状態により、収納された棒金が8種類の組合せパターンのいずれに該当するかを判定し、その判定結果に基づき、収納された棒金の種類と本数を判別する。
以下、図27中の各組合せパターンに該当する棒金の収納状態と、そのときの検出部34aによる検出状態及び棒金判別結果について順に説明する。
図27中の組合せパターン1は、収納ポケット28内に棒金が収納されていない状態(空状態)を示すものであり、図26(B)に示すように、各センサS11〜S13は、全て非検出状態(OFF)となっている。従って、棒金制御部36は、特に棒金種類や本数の判別を行わない。
図28は、図27中の組合せパターン2に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図28に示すように、収納ポケット28の一端面28aと第2センサS12の一側面42aとの間に短棒金Bが収納された場合には、第1センサS11が下降して収納ポケット28内から没した検出状態(ON)となり、第2,第3センサS12,S13は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11〜S13の検出結果が図27中の組合せパターン2に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。なお、図31に示すように、1本の短棒金Bが収納ポケット28の他端面28bと第2センサS12の他側面42bとの間に収納された場合には、第3センサS13が検出状態(ON)となり、図27中の組合せパターン5に該当し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
図29は、図27中の組合せパターン3に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図29に示すように、収納ポケット28の中央付近に短棒金Bが収納された場合には、第2センサS12が下降して収納ポケット28内から没した検出状態(ON)となり、第1,第3センサS11,S13が非検出状態(OFF)にある。但し、2本の短棒金Bがそれぞれの端部で第2センサS2を同時に押し下げた状態で、第1,第3センサS11,S13間に収納された場合にも同様な検出状態となり得る。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11〜S13の検出結果が図27中の組合せパターン3に該当するものと判定し、検出異常と判別して異常通知器37を駆動する。
すなわち、この状態では、短棒金Bによって第2センサS12のセンサヘッド38bが没した状態となり、収納ポケット28内に棒金が収納されたこと自体は検出できるものの、短棒金Bが1本であるか、又は、短棒金Bが2本であるか、又は、想定した規格外、例えば通常棒金Aの一部を使用した40枚程度の棒金であるかの判別ができないため、検出異常としている。
図30は、図27中の組合せパターン4に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図30に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄りに短棒金Bより多少長い規格外、例えば通常棒金Aの一部を使用した25枚程度の異常棒金Cが収納された場合には、第1,第2センサS11,S12が下降して収納ポケット28内から没した検出状態(ON)となり、第3センサS13が非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11〜S13の検出結果が図27中の組合せパターン4に該当するものと判定し、検出異常と判別して異常通知器37を駆動する。
すなわち、この状態では、異常棒金Cによって第1,第2センサS11、S12のセンサヘッド38a、38bが没した状態となり、収納ポケット28内に棒金が収納されたこと自体は検出できるものの、その棒金が想定した規格以外の棒金(異常棒金C)である可能性が高いため、検出異常としている。なお、図33に示すように、異常棒金Cが収納ポケット28の他端面28b寄りに収納された場合には、第2,第3センサS12,S13が検出状態(ON)となり、図27中の組合せパターン7に該当し、検出異常と判別する。
図32は、図27中の組合せパターン6に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図32に示すように、収納ポケット28の一端面28aと第2センサS12の一側面42aとの間に短棒金Bが収納され、さらに、収納ポケット28の他端面28bと第2センサS12の他側面42bとの間に短棒金Bが収納された場合には、第1,第3センサS11,S13が下降して収納ポケット28内から没した検出状態(ON)となり、第2センサS12は非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11〜S13の検出結果が図27中の組合せパターン6に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
図34は、図27中の組合せパターン8に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図34に示すように、収納ポケット28の一端面28aと他端面28bとの間にわたって通常棒金Aが収納された場合には、全てのセンサである第1〜第3センサS11〜S13が下降して収納ポケット28内から没した検出状態(ON)となる。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11〜S13の検出結果が図27中の組合せパターン8に該当するものと判定し、通常棒金Aが1本収納されたと判別する。
なお、収納ポケット28内で中央の第2センサS12以外のセンサ、すなわち第1センサS11及び第3センサS13は、棒金の有無を検知できるものであればよく、必ずしも収納ポケット28内で上下動可能である必要はない。例えば、図35に示すように、第1センサS11に代えて、図7に示す検出部34と同様な投光部と受光部を有して棒金を検出する第1センサ(光センサ)S11aを用いてもよい。また、第3センサS13に代えて、棒金を構成する磁性体(金属媒体)である硬貨との距離に応じて出力が変化する磁気コイル式の第3センサ(コイルセンサ)S13aを用いてもよい。勿論、第1センサS11をコイルセンサに変更し、第3センサS13を光センサに変更してもよい。
ところで、上記構成の場合、利用者の使用状況によっては、例えば、図30に示すように異常棒金Cによって第1センサS11及び第2センサS12が検出状態(ON)となった状態で、さらに、図31に示すように1本の短棒金Bが収納され、この短棒金Bによって第3センサS13も検出状態(ON)となる可能性がある。そうすると全てのセンサS11〜S13が検出状態(ON)となり、棒金制御部36は、図27中の組合せパターン8であると誤判定する可能性がある。
そこで、このような誤判定を防止するために、棒金収納装置10aでは、例えば、図36に示すように、検出部34aに代えて、第2センサS12を第2センサS12aに変更した検出部(検出手段)34bを用いてもよい。
図36は、第2の実施形態に係る棒金収納装置10aにおいて第1変形例に係る検出部34bを設けた収納ポケット28の側面断面図である。検出部34bを構成する第2センサS12aでは、図26(B)等に示す第2センサS12のコイルばね40よりも高いばね強度(ばね定数)を持ったコイルばね(弾性部材)40aによってセンサヘッド38bを弾性支持している。コイルばね40aのばね強度は、短棒金Bの自重(重量)やこれより多少大きな程度の荷重ではセンサヘッド38bが下降せず、当該第2センサS12aが検出状態(ON)とはならずに非検出状態(OFF)を維持する一方、通常棒金Aの自重によってセンサヘッド38bが下降し、当該第2センサS12aが検出状態(ON)となる程度のものに設定されている。
従って、図37に示すように、収納ポケット28に通常棒金Aが収納されると、検出部34bでは、第2センサS12aは、センサヘッド38bが通常棒金Aの自重によってコイルばね40aの付勢力に抗して収納ポケット28内から没することで検出状態(ON)となり、同時に第1センサS11及び第3センサS13も検出状態(ON)となる。このため、棒金制御部36は、図37に示す状態は図27中の組合せパターン8に該当するものと判定し、通常棒金Aが1本収納されたと判別する。
これに対して、図38に示すように、収納ポケット28の一端面28aと第2センサS12aの一側面42aとの間に短棒金Bが収納された状態で、さらに、収納ポケット28の他端面28b寄りに異常棒金Cが収納された場合には、第2センサS12aのセンサヘッド38bは異常棒金Cの自重によっては下降しないことから、異常棒金Cは正しく収納されずに傾いた状態で載置された状態となる。この状態は、異常棒金Cの上端部が収納ポケット28の上部から外部に大きく突出しており、その収納が適正でないことを利用者が目視で認識することができ、しかも、前記上端部の突出により、引出し24を装置本体22内へと押し込むことが物理的にできなくなるため、適正な収納が成されていないことを利用者が確実に判別することができる。なお、図38に示すように、例えば収納ポケット28の長手方向両側部上方に、収納ポケット28の上部から外部に大きく突出した異常棒金Cの上端部を検出する異常検出センサS14を設けておき、この異常検出センサS14が検出状態となった場合に異常通知器37を駆動する構成としてもよい。
略同様に、検出部34bを用いることにより、図29の例のように収納ポケット28の中央部に短棒金Bが1本収納された場合や、異常棒金Cが1本収納された場合であっても、短棒金Bや異常棒金Cの自重では第2センサS12aを押し下げることができないため、誤収納であることを迅速に判別することができる。
2.3 第3の実施形態に係る棒金収納装置の説明
次に、第3の実施形態に係る棒金収納装置(棒金収納庫)10bについて説明する。
図39は、第3の実施形態に係る棒金収納装置10bに設けられる収納ポケット28の側面断面図である。
図39に示すように、本実施形態に係る棒金収納装置10bは、検出部34に代えて、第2センサS12を第2センサS12bに変更した検出部34cを備える。第2センサS12bは、図35に示す第3センサS13aと同様に棒金を構成する硬貨(磁性体、金属媒体)との距離に応じて出力が変化する磁気コイル式のセンサ(コイルセンサ)である。なお、図39では、収納ポケット28の長手方向両端側に、光式の前記第1センサS11aと、該第1センサS11aと同様な構成からなる光式の第3センサ(光センサ)S13bとを配置した構成を例示しているが、第1センサS11aに代えて、図26(B)に示す第1センサS11やコイルセンサを用いてもよく、略同様に第3センサS13bに代えて、図26(B)に示す第3センサS13や図35に示す第3センサS13aを用いてもよい。
このような検出部34cを備えた棒金収納装置10bにおいても、収納ポケット28は、図26(B)に示す棒金収納装置10aと同様に、1本の通常棒金A、又は、1本若しくは2本の短棒金Bを収納可能とされている。
図39に示すように、第2センサS12bは、上記の第2センサS12、S12aと同様に、収納ポケット28の長手方向中央に配置されると共に、その長手方向長さである幅W2(例えば、20mm程度)は、通常棒金Aの長さLAから短棒金Bの長さLBの2倍の値を引いた長さ以上に設定されている(W2≧LA−LB×2)。つまり、W2≧(L1−L4×2)と言うこともできる。換言すれば、第2センサS12bは、その幅W2を画成する両端位置が、収納ポケット28の一端面28a、他端面28bからの長さL4,L4と重なる大きさに設定されている。これにより、収納ポケット28の一端面28a側寄りに短棒金Bが収納された場合、又は、収納ポケット28の他端面28b側寄りに短棒金Bが収納された場合であっても、これら短棒金Bの先端が第2センサS12bに重なる位置となり、第2センサS12bで各短棒金Bを検出することができる(例えば、図45参照)。
次に、以上のように構成される検出部34cを備えた棒金収納装置10bによる通常棒金A及び短棒金Bの種類判別方法と計数方法について説明する。
図40は、第3の実施形態に係る棒金収納装置10bによる棒金の種類及び本数の判別方法並びに判別結果の一例を示す表である。図40に示すように、この場合の棒金収納装置10bでは、通常棒金Aや短棒金Bの収納ポケット28への収納パターンとして、検出部34cを構成する各センサS11a,S12b,S13bによる棒金の検出状態により、例えば9種類の組合せパターンを想定しており、各組合せパターン毎の棒金判別結果(種類と本数)が図40に示すようなテーブルデータとして棒金制御部36に記憶されている。すなわち、棒金制御部36は、各センサS11a,S12b,S13bの検出状態により、収納された棒金が9種類の組合せパターンのいずれに該当するかを判定し、その判定結果に基づき、収納された棒金の種類と本数を判別する。
以下、図40中の各組合せパターンに該当する棒金の収納状態と、そのときの検出部34cによる検出状態及び棒金判別結果について順に説明する。
図40中の組合せパターン1は、収納ポケット28内に棒金が収納されていない状態(空状態)を示すものであり、図39に示すように、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)となっており、第2センサS12bの出力がゼロ(0%)となっている。従って、棒金制御部36は、特に棒金種類や本数の判別を行わない。
ここで、磁気コイル式のコイルセンサである第2センサS12bの出力変化について説明すると、第2センサS12bは、その上面に磁性体である硬貨が全く配置されていない場合、例えば、図39に示す場合の出力がなし又はゼロ(例えば、0%)として予め設定される一方、その上面の全面が磁性体である硬貨によって連続的に覆われた場合、例えば、図41に示す場合の出力が上限値又は最大値(例えば、100%)として予め設定されている。そして、その中間的な位置に磁性体である硬貨が配置された場合は、0〜100%の間で出力が変化するように予め設定されている。
図41は、図40中の組合せパターン2に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図41に示すように、収納ポケット28の一端面28aと他端面28bとの間にわたって通常棒金Aが収納された場合には、第1,第3センサS11a,S13bが検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が上限値(例えば、90%)以上、例えば100%となっている。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン2に該当するものと判定し、通常棒金Aが1本収納されたと判別する。
図42は、図40中の組合せパターン3に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図42に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄りに短棒金Bが収納された場合には、第1センサS11aが検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した下限値(例えば、30%)以下、例えば20%となり、第3センサS13bが非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン3に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
なお、図31の例と略同様に収納ポケット28の他端面28b寄りに短棒金Bが収納された場合には、第1センサS11aが非検出状態(OFF)にあり、第2センサS12bの出力が予め規定した下限値(例えば、30%)以下、例えば20%となり、第3センサS13bが検出状態(ON)となるため、図42に示す組合せパターン3の場合と略同様に、棒金制御部36は、短棒金Bが1本収納されたと判別する。つまり、第1センサS11a及び第3センサS13bのうちの一方のみが検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した下限値(例えば、30%)以下となった場合には、短棒金Bが1本収納されたと判別される。
図43は、図40中の組合せパターン4に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図43に示すように、収納ポケット28の中央やや一端面28a寄りに短棒金Bが収納された場合には、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)にあり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、60%)以下、例えば50%となる。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン4に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。同様に、収納ポケット28の中央やや他端面28b寄りに短棒金Bが収納された場合にも、棒金制御部36は、各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン4に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
図44は、図40中の組合せパターン5に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図44に示すように、収納ポケット28の中央付近に短棒金Bが収納された場合には、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)にあり、第2センサS12bの出力が予め規定した上限値(例えば、90%)以上、例えば100%となる。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン5に該当するものと判定し、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
このように、図43に示す組合せパターン4と図44に示す組合せパターン5は、共に短棒金Bが1本のみ収納され、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)にある状態における検出・判別となっている。つまり、棒金制御部36は、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)にあり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、60%)以下、又は、上限値(例えば、90%)以上の場合に、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
図45は、図40中の組合せパターン6に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図45に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄りに短棒金Bが収納され、さらに他端面28b寄りに短棒金Bが収納された場合には、第1,第3センサS11a,S13bが検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、60%)以下、例えば50%となる。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン6に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
図46は、図40中の組合せパターン7に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図46に示すように、収納ポケット28の中央付近で2本の短棒金Bの先端面同士が当接した状態で収納された場合には、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、70%)以上、例えば80%となる。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン7に該当するものと判定し、検出異常と判別して異常通知器37を駆動する。
すなわち、この状態では、2本の短棒金Bの互いに当接する先端面同士の間に、硬貨を包み込むラミネート材の丸まり部分33、33同士の当接によって形成される空間(非磁性体部分、非金属部分)Sが形成されるため、図41や図44に示す例のように第2センサS12bの出力が上限値とはならず、この上限値より多少低い前記所定値以上の値(例えば、80%)となる。ところが、図46中に2点鎖線で示す短棒金Bのように、1本の短棒金Bが左右方向に多少寄った状態で中央付近に収納された場合にも、第1,第3センサS11a,S13bが非検出状態(OFF)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、70%)以上、例えば80%となる。このため、図40中の組合せパターン7の場合には、検出異常と判別している。
図47は、図40中の組合せパターン8に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図47に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄りに2本の短棒金Bの先端面同士が当接した状態で収納された場合には、第1センサS11aが検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、70%)以上且つ前記上限値(例えば、90%)未満、例えば80%となり、第3センサS13bが非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン8に該当するものと判定し、短棒金Bが2本収納されたと判別する。
すなわち、この状態では、2本の短棒金Bの互いに当接する先端面同士の間に形成される空間Sが第2センサS12b上に位置するため、第2センサS12bの出力が上限値(例えば、90%)以上とはならず、この上限値より多少低い前記所定値以上の値(例えば、80%)となる。
なお、図47の例と同様に2本の短棒金Bの先端面同士が当接した状態のものが、収納ポケット28の他端面28b寄りに収納された場合には、第1センサS11aが非検出状態(OFF)にあり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、70%)以上且つ前記上限値(例えば、90%)未満、例えば80%となり、第3センサS13bが検出状態(ON)となるため、図47に示す組合せパターン8の場合と略同様に、棒金制御部36は、短棒金Bが2本収納されたと判別する。つまり、第1センサS11a及び第3センサS13bのうちの一方のみが検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した所定値(例えば、70%)以上且つ前記上限値(例えば、90%)未満の値(例えば、80%)となった場合には、短棒金Bが2本収納されたと判別される。
図48は、図40中の組合せパターン9に該当する棒金の収納状態の一例を示す図である。図48に示すように、収納ポケット28の一端面28a寄り(又は他端面28b寄り)に通常棒金Aより多少短い規格外、例えば通常棒金Aの一部を使用した40枚程度の異常棒金Dが収納された場合には、第1センサS11a(又は第3センサS13b)が検出状態(ON)となり、第2センサS12bの出力が予め規定した上限値(例えば、90%)以上、例えば100%となり、第3センサS13b(又は第1センサS11a)が非検出状態(OFF)にある。そこで、棒金制御部36は、これら各センサS11a,S12b,S13bの検出結果が図40中の組合せパターン9に該当するものと判定し、検出異常と判別して異常通知器37を駆動する。
すなわち、図48に示す例の検出部34cによる検出状態は、通常棒金Aや短棒金Bによって形成される状態ではなく、収納ポケット28内に棒金が収納されたこと自体は検出できるものの、その棒金が想定した規格外の棒金(異常棒金D)である可能性が高いため、検出異常としている。
このように、例えば2種類の棒金を収納する収納ポケット28内の中央部に、硬貨を形成する金属媒体(磁性体)との間の距離に応じて、その出力が変化するコイルセンサからなる第2センサS12bを備える構成とすると、3個のセンサを用いた構成の場合であっても、第2の実施形態に係る棒金収納装置10aのように第2センサをON・OFF式のスイッチで構成した場合に比べて、収納ポケット28の中央部付近に配置された棒金の種別をより詳細に判別することができる。このため、棒金がばらついて収納された場合であっても、その種類や本数をより正確に判別することができる。すなわち、コイルセンサからなる第2センサS12bを用いることにより、該第2センサS12b上に配置された棒金が連続した一連の棒金(通常棒金A)であるか、又は、非金属部分である空間Sを有する2本の棒金(短棒金B)であるかを識別することができる。
なお、このようなコイルセンサからなる第2センサS12bの出力変化を利用した検出は、上記した図38に示す例に適用することも可能である。すなわち、図49に示す構成は、図38に示す検出部34bを用いた構成に代えて、該検出部34bにさらにコイルセンサからなる第2センサS12bを追加した構成からなる検出部(検出手段)34dを備える。第2センサS12bは、収納ポケット28の側壁面中央部に配置されている。
図49に示すように、検出部34dによれば、収納ポケット28の一端面28aと第2センサS12aの一側面42aとの間に短棒金Bが収納された状態で、さらに、収納ポケット28の他端面28b寄りに異常棒金Cが収納された場合であっても、傾斜した異常棒金Cの先端面と短棒金Bの先端面との間部分を収納ポケット28の側壁面に設けた第2センサS12bによって検出し、その出力値に基づき、図40に示す各組合せパターンと略同様にして異常棒金Cが収納されたことを検出することができる。
2.4 第4の実施形態に係る棒金収納装置の説明
次に、第4の実施形態に係る棒金収納装置(棒金収納庫)10cについて説明する。
上記各実施形態では、1本の通常棒金A、又は、1本若しくは2本の短棒金Bを収納する棒金収納装置10,10a,10bについて説明したが、図50に示す棒金収納装置10cのように、3本(又は3本以上)の棒金を収納可能に構成することもできる。
図50に示すように、棒金収納装置10cにおいて、収納ポケット28は、例えば、500円硬貨を20枚単位で包装した棒金である短棒金Bと、40枚単位で包装した棒金である中棒金Eと、60枚単位で包装した棒金である長棒金Fとを収納可能に構成されている。この棒金収納装置10cでは、5個のセンサを有する検出部(検出手段)34eを備え、この検出部34eによる検出結果に基づき、棒金制御部36が棒金の種類と本数を判別する。
検出部34eは、収納ポケット28の長手方向一端側から順に、第1センサS21と、第2センサS22と、第3センサS23と、第4センサS24と、第5センサS25とを設けて構成されている。
図50に示す例において、第1センサS21、第3センサS23及び第5センサS25は、上記した第1センサS11aと同様な光式のセンサであるが、光式のセンサに代えて、第3センサS13aと同様な磁気コイル式のセンサや、第1センサS11と同様な上下動式(ロッド式)のON・OFFスイッチ(リミットスイッチ)を用いてもよい。
一方、これら各センサS21,S23,S25間にそれぞれ配置される第2センサS22及び第4センサS24は、第2センサS12と同様な上下動式(ロッド式)のON・OFFスイッチ(リミットスイッチ)である。例えば、収納ポケット28の他端面28bと第4センサS24の他側面42bとの間の長さは、短棒金Bの長さと略同一又は僅かに長い程度に設定され、収納ポケット28の他端面28bと第2センサS22の他側面42bとの間の長さは、中棒金Eの長さと略同一又は僅かに長い程度に設定され、収納ポケット28の他端面28bと一端面28aとの間の長さは、長棒金Fの長さと略同一又は僅かに長い程度に設定されている。
従って、図50に示すように、検出部34eを備えた棒金収納装置10cでは、例えば、短棒金Bが収納ポケット28の他端面28bと第4センサS24の他側面42bとの間に収納された場合には、第5センサS25のみが検出状態(ON)となる。このため、棒金制御部36は、これら各センサS21〜S25の検出結果と、図27や図40のテーブルデータと同様な図示しないテーブルデータに記載された組合せパターンとを比較することにより、短棒金Bが1本収納されたと判別する。
また、例えば、中棒金Eが収納ポケット28の他端面28bと第2センサS22の他側面42bとの間に収納された場合には、第5センサS25、第4センサS24及び第3センサS23が検出状態(ON)となる。このため、棒金制御部36は、これら各センサS21〜S25の検出結果と、前記テーブルデータに記載された組合せパターンとを比較することにより、中棒金Eが1本収納されたと判別する。略同様に、長棒金Fが収納ポケット28の他端面28bと一端面28aとの間にわたって収納された場合には、全てのセンサS21〜S25が検出状態(ON)となる。このため、棒金制御部36は、これら各センサS21〜S25の検出結果と、前記テーブルデータに記載された組合せパターンとを比較することにより、長棒金Fが1本収納されたと判別する。
このように、棒金収納装置10cでは、硬貨の積層枚数が最も多く設定された棒金(長棒金F)は、収納ポケット28の一端面28aと他端面28bの間に収納されることで、検出部34eを構成する全てのセンサS21〜S25によって検出される。一方、長棒金Fよりも硬貨の積層枚数が少なく設定された棒金(短棒金Bや中棒金E)は、センサヘッド38bの一側面42aや他側面42bと収納ポケット28の一端面28aや他端面28bとの間に収納されることで、該センサヘッド38bの一側面42aや他側面42bと該収納ポケット28の一端面28aや他端面28bとの間に設けられた1個以上のセンサ(例えば、第2センサS22〜第5センサS25)によって検出される。このため、棒金収納装置10cを用いることにより、3種類の棒金の種類や本数を容易に判別することができるようになり、当該装置の汎用性や利便性が一層向上することになる。棒金収納装置10cで4種類以上の棒金を判別可能に構成する場合には、棒金の種類数mに対して、検出部のセンサ数を少なくとも(2m−1)個配置すればよい。
なお、このような棒金収納装置10cにおいても、例えば、収納ポケット28の他端面28bと第4センサS24の他側面42bとの間に短棒金Bが収納され、さらに、第4センサS24の一側面42aと第2センサS22の他側面42bとの間に短棒金Bが収納された場合であっても、第5センサS25と第3センサS23の検出状態(ON)により、短棒金Bが2本収納されたと判別できる。
以上のように、上記第2〜第4の実施形態に係る棒金収納装置10a〜10cによれば、棒金を硬貨の積層方向に沿った向きで収納可能であると共に、複数種類の棒金(例えば、通常棒金A及び短棒金B、又は、短棒金B及び中棒金E及び長棒金F)のうち、硬貨の積層枚数が最も多く設定された棒金(例えば、通常棒金A又は長棒金F)を収納可能に形成された収納ポケット28と、収納ポケット28内に収納された棒金を検出可能であると共に、該収納された棒金の硬貨の積層枚数による種類の違いに応じた検出結果を出力可能な検出部34a〜34eとを備える。
例えば、棒金収納装置10aでは、通常棒金Aが収納された場合には、全てのセンサS11〜S13が検出状態となり(図34参照)、1本の短棒金Bが収納された場合には、第1〜第3センサS11〜S13のいずれか1つが検出状態となり(図28等参照)、2本の短棒金Bが収納された場合には、両端の第1,第3センサS11,S13が検出状態となる位置関係で検出部34aを構成する3個のセンサS11〜S13を収納ポケット28内に設置している。また、棒金収納装置10bでは、第1,第3センサS11a,S13bの検出状態と、第2センサS12bの出力により、収納された棒金に応じた検出結果が出力される位置関係で検出部34cを収納ポケット28内に設置している。さらに、棒金収納装置10cでは、第1〜第5センサS21〜S25の検出状態により、収納された棒金に応じた検出結果が出力される位置関係で検出部34eを収納ポケット28内に設置している。
従って、硬貨の積層枚数の異なる複数種類の棒金のいずれかを収納ポケット28内に収納するだけで、その種類に応じた検出結果が検出部34から出力されるため、例えば制御ユニット21において収納ポケット28内に収納された棒金の種類を確実に判別でき、低コストで利用者の利便性を向上させることができる。また、棒金の種類毎に設定処理等を行う必要がないため、装置の汎用性が向上する。
また、上記第2〜第4の実施形態に係る棒金収納装置10a〜10cを備えた棒金収納管理システムであるレジシステム12では、棒金収納装置10の制御ユニット21(又は制御ユニット15,19,23,25)に、検出部34a〜34eから出力される検出結果に基づき、硬貨の積層枚数の違いによる棒金の種類(例えば、通常棒金A及び短棒金B、又は、短棒金B及び中棒金E及び長棒金F)を判別する判別手段である棒金制御部36を備えることにより、該棒金制御部36によって収納ポケット28に収納された棒金の種類を判別し、その収納状態を管理することができる。
この場合、図26〜図49に示す棒金収納装置10a,10bでは、2種類の棒金(通常棒金A、短棒金B)を検出するための検出部34a〜34dとして、3つのセンサ(例えば、第1〜第3センサS11〜S13)を設けることにより、これら2種類の棒金の種類を判別でき、しかもその本数も判別することができ、装置構成を一層簡素化することができる。また、図50に示す棒金収納装置10cでは、3種類の棒金(短棒金B、中棒金E、長棒金F)を検出するための検出部34eとして、5個のセンサ(例えば、第1〜第5センサS21〜S25)を設けることにより、これら3種類の棒金の種類を確実に判別でき、しかもその本数も判別することができる。
すなわち、棒金収納装置10a〜10cでは、その収納対象となる棒金の種類がm種類である場合に、検出部34(34a〜34e)は少なくとも(2m−1)個のセンサを有すれば、各棒金の種類や本数を判別することができる。例えば、収納される棒金の種類が4種類想定される場合には、センサを7個設ければよく、5種類以上の場合であっても同様である。なお、上記第1の実施形態に係る棒金収納装置10では、2種類の棒金に対して5個のセンサを用いることにより、より正確に種類と本数を判別することを可能としている。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。