JP6013392B2 - 溶液製膜方法及び設備 - Google Patents

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Description

本発明は、溶液製膜方法及び設備に関する。
光透過性を有するポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルムなど光学フィルムとして多岐に利用されている。フィルムには、厚み均一性や光学特性が要求される。従来は厚さが80μm以上の厚膜フィルムが中心に用いられていたが、最近では、光学フィルムの多様化に伴い、フィルムの薄膜化の要望が強くなってきており、厚みが15μm以上40μm以下程度の薄膜フィルムが求められている。
フィルムの製造方法としては、溶液製膜方法が用いられる。溶液製膜方法は、例えば、流延ダイによりポリマーを溶剤に溶かした溶液(以下、ドープ、と称する)を金属製のドラムやバンドなどの支持体上に流延して流延膜を形成し、乾燥させて剥ぎ取ることによってフィルムを得る方法である。流延膜から溶剤を蒸発させ、剥ぎ取り可能なレベルまで流延膜を乾燥させる膜乾燥工程は、溶液製膜方法全体において長い時間がかかる工程であるため、膜乾燥工程の短縮化が望まれている。
膜乾燥工程の短縮化のために、特許文献1に記載の溶液製膜方法では、ドープが流延ダイから流出されてから支持体に流延されるまでの間に赤外線を照射し、支持体上に形成された流延膜に100℃程度の熱風を当てて流延膜を加熱及び乾燥している。
特開2012−066483号公報
薄膜フィルムを得るためには、薄い流延膜(以下、薄流延膜と称する)を形成する必要がある。このため、従来の厚膜フィルムを得るための厚い流延膜(以下、厚流延膜と称する)を乾燥するために、乾燥風を流延膜に吹き付けて乾燥を行う方式では、乾燥風により厚みむらが生じて、表面平滑性が損なわれるという問題がある。このため、特許文献1に記載の溶液製膜方法では、ダイから支持体上にかけて流出したドープからなるビードに対して、赤外線ヒータにより赤外線を照射して、ビードにおける溶剤の蒸発を促進させて、流延膜の乾燥を効率良く行っている。
流延膜が剥ぎ取れる程に乾燥が進行した段階で、支持体から流延膜を剥がして湿潤フィルムとしてクリップテンタに送り、クリップテンタで湿潤フィルムの乾燥を促進させる。クリップテンタでは、湿潤フィルムの両側縁部をクリップにより把持して搬送し、この搬送中に乾燥風によってさらに乾燥を促進させる。しかしながら、単に赤外線ヒータでビードの段階から溶剤の蒸発を促進させても、薄いフィルムの場合には次の延伸工程で、クリップによりフィルム側縁部が噛み千切られることがあり、改良が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するものであり、薄いフィルムを製造する場合に延伸工程でフィルム側縁部の噛み千切れを発生させることなく、厚みむらや延伸むらのないフィルムを製造することができる溶液製膜方法及び設備を提供することを目的とする。
本発明の溶液製膜方法は、流延膜形成工程と、流延膜乾燥工程と、剥取工程と、フィルム乾燥工程と、側縁部乾燥工程とを有する。流延膜形成工程は、移動する支持体に向けて流延ダイからポリマー及び溶剤を含むドープを流出し、支持体上に両側縁部が中央部に比べて厚い流延膜を形成する。流延膜乾燥工程は、流延膜から溶剤を蒸発させて乾燥させる。剥取工程は、流延膜乾燥工程を経た流延膜を支持体から剥ぎ取って湿潤フィルムとする。フィルム乾燥工程は、湿潤フィルムの両側縁部をクリップにより把持して溶剤を蒸発させ且つ延伸しフィルムとする。側縁部乾燥工程は、流延膜乾燥工程中に、流延膜の両側縁部を輻射方式で遠赤外線を照射して加熱し、流延膜を剥ぎ取る際の流延膜の両側縁部の残留溶剤量をVS1とし、流延膜を剥ぎ取る際の流延膜の中央部の残留溶剤量をVC1とした際に、50%DB<VC1≦100%DBの場合に(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)の範囲内とし、20%DB<VC1≦50%DBの場合に(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とし、VC1≦20%DBの場合にVS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とするべく、剥ぎ取り前の流延膜の中央部の残留溶剤量及び側縁部の残留溶剤量を検出し、検出した残留溶剤量に基づき、両側縁部への加熱量を制御する。流延膜形成工程では、フィルム乾燥工程後に、フィルムの中央部の最大厚みをTCとし、側縁部の最大厚みをTSとした際に、1.1×TC≦TSとなるように流延膜を形成し、且つ流延膜の両側縁部は、クリップにより把持される範囲を含む。
本発明の溶液製膜設備は、流延膜形成装置と、流延膜乾燥部と、剥取ローラと、フィルム乾燥部と、側縁部乾燥部とを備える。流延膜形成装置は、移動する支持体に向けて流延ダイからポリマー及び溶剤を含むドープを流出し、支持体上に両側縁部が中央部に比べて厚い流延膜を形成する。流延膜乾燥部は、支持体上に形成された流延膜から溶剤を蒸発させて乾燥させる。剥取ローラは、乾燥された流延膜を剥ぎ取り、湿潤フィルムとする。フィルム乾燥部は、湿潤フィルムの両側縁部をクリップにより保持して溶剤を蒸発させ且つ延伸しフィルムとする。側縁部乾燥部は、流延膜乾燥部に設けられ、流延膜の両側縁部を輻射方式で遠赤外線を照射して加熱し、流延膜を剥ぎ取る際の流延膜の両側縁部の残留溶剤量をVS1とし、流延膜を剥ぎ取る際の流延膜の中央部の残留溶剤量をVC1とした際に、50%DB<VC1≦100%DBの場合に(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)の範囲内とし、20%DB<VC1≦50%DBの場合に(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とし、VC1≦20%DBの場合にVS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とするべく、剥ぎ取り前の流延膜の中央部の残留溶剤量及び側縁部の残留溶剤量を検出し、検出した残留溶剤量に基づき、両側縁部への加熱量を制御する流延膜形成部では、フィルム乾燥部による乾燥後に、フィルムの中央部の最大厚みをTCとし、側縁部の最大厚みをTSとした際に、1.1×TC≦TSとなるように流延膜を形成し、且つ流延膜の両側縁部は、クリップにより把持される範囲を含む。
本発明によれば、剥ぎ取った後の湿潤フィルムの両側縁部が十分乾燥されており、延伸工程でのフィルム側縁部の千切れや噛み込み不良の発生を防止することができ、厚みむらや延伸むらのないフィルムを製造することができる。
溶液製膜設備の概要を示す側面図である。 流延膜形成装置を示す側面図である。 流延ダイのスリット形状の一例を示す側面図である。 両側縁部が厚い流延膜の一例を示す斜視図である。 流延膜の乾燥方法の一例を示す断面図である。 溶液製膜方法のフローチャートである。 逐次流延により両側縁部が厚い流延膜を形成する一例を示す斜視図である。 ドープ追加により両側縁部が厚い流延膜を形成する一例を示す断面図である。 流延膜の厚みを測定するセンサを設けた別の実施形態を示す側面図である。 実施例1〜19及び比較例1〜17の結果を示す表である。 流延膜の残留溶剤量VC1とVS1との関係を示すグラフである。
図1に示すように、本発明を実施した溶液製膜設備10は、製造ラインの上流側から順に、流延膜形成装置12と、クリップテンタ(フィルム乾燥部)13と、乾燥室15と、冷却室16と、巻取室17とを有する。流延膜形成装置12では、ポリマーと溶剤とを含むドープ18から、湿潤フィルム19を形成する。
流延膜形成装置12とクリップテンタ13との間の渡り部21には、湿潤フィルム19に乾燥風を送る送風機21aと、湿潤フィルム19を支持する複数の支持ローラ21bとが設けられている。複数の支持ローラ21bは、湿潤フィルム19の搬送方向へ並べられている。支持ローラ21bは、流延膜形成装置12から送出された湿潤フィルム19を支持して、クリップテンタ13へ案内する。
クリップテンタ13は、湿潤フィルム19の両側縁部をクリップ(図示せず)で把持しながら搬送する。クリップテンタ13は、湿潤フィルム19に乾燥や延伸などの所定の処理を施すことにより、フィルム23とする。フィルム23は、クリップテンタ13から乾燥室15へ送出される。
乾燥室15には、多数のローラ27が設けられている。乾燥室15内の雰囲気の温度や湿度などは、図示しない空調機により調節されている。フィルム23は、乾燥室15内を多数のローラ27に巻き掛けられて搬送され、乾燥室15内で乾燥処理が施される。乾燥室15には、吸着回収装置28が接続されている。吸着回収装置28は、フィルム23から蒸発した溶剤ガスを吸着剤に吸着して回収する。
冷却室16は、フィルム23の温度が略室温となるまで、フィルム23を冷却する。冷却室16と巻取室17との間には、上流側から順に、除電バー29、ナーリング付与ローラ30が設けられている。除電バー29は、冷却室から送出され、帯電したフィルム23を除電する。ナーリング付与ローラ30は、フィルム23の幅方向両端に巻取用のナーリングを付与する。
巻取室17には、プレスローラ34と巻き芯35とを有する巻取機36が設けられている。巻取室17に送出されたフィルム23は、プレスローラ34によって押し付けられながら巻き芯35に巻き取られ、ロール状となる。
(流延膜形成装置)
図2に示すように、流延膜形成装置12には、流延室38内に、流延ダイ41、流延バンド42、ドラム43a,43b及び剥取ローラ44が設けられている。流延室38は、仕切り板39a〜39cにより、流延部38a、乾燥部38b、剥取部38cに区画されている。仕切り板39a〜39cは、流延室38の内壁面から流延バンド42に向かって延びており、先端にはラビリンスシール40が形成されている。ラビリンスシール40は、流延バンド42に近接して配されており、各部38a〜38c間の雰囲気ガスの出入りを抑制する。
流延バンド42は、金属製帯板の長手方向の一端と他端とを連結することにより形成され、環状となっている。流延バンド42は、例えば十分な耐腐食性と強度とを有するステンレス(SUS316)から構成されている。流延バンド42は、ドラム43a,43bに巻き掛けられている。ドラム43a,43bは、軸方向が水平となるように、互いに同じ高さに略平行に並べられている。図示しないモータの駆動により、一方のドラム43aが回転すると、流延バンド42はX方向へ循環移動する。これにより、ドラム43a,43bの上側では、流延バンド42はドラム43aからドラム43bに向かって移動し、ドラム43bに接触している際にはドラム43bに沿って流延バンド42は上側から下側へ移動する。また、ドラム43a,43bの下側では、流延バンド42はドラム43bからドラム43aに向かって移動し、ドラム43aに接触している際にはドラム43aに沿って流延バンド42は下側から上側へ移動する。
流延ダイ41はドラム43aの上方に位置し、支持体である流延バンド42に近接して配されている。図3に示すように、流延ダイ41の先端には、スリット出口41aが設けられている。スリット出口41aの隙間は、例えばスリット隙間調整ボルト(図示せず)によって調整されている。これにより、スリット出口41aは、幅方向(Y方向)の両側縁部、例えば端から25mmの範囲の隙間が、幅方向中央部に比べて広くなっている。なお、図3では、流延ダイ41の先端面のみを図示している。
図4に示すように、流延したドープ18は、循環移動する流延バンド42上に、X方向に長く延びる帯状の流延膜45を形成する。流延膜45は、流延バンド42の移動によってX方向に搬送される。また、スリット出口41aの隙間形状によって、流延膜45は、Y方向における両側縁部45aが中央部45bに比べて肉厚となる。本実施形態では、両側縁部45aは、流延膜45の端から25mmの範囲となっているが、その範囲は、クリップテンタ13のクリップにより把持される範囲を含むものであればよい。例えば、流延膜45の端から15mm以上60mm以下の範囲内が好ましく、より好ましくは15mm以上40mm以下である。なお、流延膜45や流延バンド42の厚さは流延膜45や流延バンド42の幅に比べて微小であるため、厚みは幅に比べて誇張して図示し、また、判り易くするために簡略化している。
図2に示すように、流延ダイ41のX方向上流側には、減圧チャンバ47が流延ダイ41に接して設けられている。減圧チャンバ47により、流延ダイ41から流延バンド42に至るまでのドープ18、いわゆる流延ビードの上流側のエリアが減圧される。これにより、流延バンド42の循環移動により発生する同伴風に起因する流延ビードの振動が抑えられ、厚みむらが抑えられる。
流延バンド42の周りには、流延バンド42に近接させて側縁部用赤外線照射装置(側縁部乾燥部)51,52、中央部用赤外線照射装置53,54(図5参照)が設けられている。
図4に示すように、側縁部用赤外線照射装置51は、流延ダイ41よりX方向下流側であり、ドラム43aからドラム43b(図2参照)へ向かう流延バンド42の上方で、流延膜45の両側縁部45aに対面するように配されている。図5に示すように、側縁部用赤外線照射装置51は、赤外線ヒータ51aを有する。赤外線ヒータ51aからは、流延膜45の両側縁部45aに赤外線が照射され、両側縁部45aの溶剤を蒸発させて両側縁部45aを乾燥する。
中央部用赤外線照射装置53は、側縁部用赤外線照射装置51に挟まれ、流延膜45の中央部45bに対面するように配されている。中央部用赤外線照射装置53も、側縁部用赤外線照射装置51と同じように、赤外線ヒータ53aを有し、流延膜45の両側縁部45aを除いた中央部45bに赤外線を照射して、中央部45bを乾燥する。なお、図4では、中央部用赤外線照射装置53の図示を省略している。
側縁部用赤外線照射装置52及び中央部用赤外線照射装置54は、ドラム43bからドラム43aへ向かう流延バンド42の下方近傍に配されている。側縁部用赤外線照射装置52及び中央部用赤外線照射装置54は、側縁部用赤外線照射装置51及び中央部用赤外線照射装置53と同様に構成されており、赤外線ヒータ52a,54aを有し、流延膜45を乾燥する。これら各赤外線照射装置51〜54により流延膜乾燥部が構成され、流延膜乾燥工程73(図6参照)が行われる。なお、各赤外線照射装置51〜54の赤外線ヒータ51a〜54aは、1個または複数個から構成されており、複数個を用いるものでは、個別に温度制御してもよい。
各赤外線照射装置51〜54は、コントローラ50(図2参照)に接続されている。コントローラ50は、各赤外線照射装置51〜54を制御して、流延膜45のY方向厚み変動に対応して、剥ぎ取る際の流延膜45の残留溶剤量が下記の範囲内になるように、流延膜45を乾燥させる。
各赤外線照射装置51〜54による赤外線の照射により、流延膜45は、中央部45bの残留溶剤量が100%DB(Dry Base:乾量基準)以下になるまで乾燥される。なお、本実施形態では、流延膜45や各フィルム中に残留する溶剤量を乾量基準で示したものを残留溶剤量とする。残留溶剤量は、残留溶剤量を求めるべき測定対象の流延膜45の質量をx、この流延膜45を完全に乾燥した後の質量をyとする際に、{(x−y)/y}×100で求められる。なお、「完全に乾燥」とは溶剤の量が厳格に0(ゼロ)である必要はない。例えば、110℃で3時間、測定対象のフィルム23に対して乾燥処理を行った後の質量をyとすればよい。
コントローラ50は、側縁部用赤外線照射装置51,52及び中央部用赤外線照射装置53,54を制御して、流延膜45を剥ぎ取る際の流延膜45の両側縁部45aの残留溶剤量と、中央部45bの残留溶剤量とをある一定範囲にする。具体的には、流延膜45を剥ぎ取る際の流延膜45の両側縁部45aの残留溶剤量をVS1とし、流延膜45を剥ぎ取る際の流延膜45の中央部45bの残留溶剤量をVC1とした際に、
50%DB<VC1≦100%DBの場合に、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)の範囲内とする。また、
20%DB<VC1≦50%DBの場合に、(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とする。さらに、
VC1≦20%DBの場合に、VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とする。
コントローラ50における各赤外線照射装置51〜54の温度制御は、以下のようにして行う。まず、製品となるフィルム23の厚み、流延膜45の両側縁部45aと中央部45bとの厚み比率、流延した際のドープ濃度、流延バンド42の長さ及び走行速度の各種条件に応じて、剥ぎ取る際の両側縁部45aと中央部45bとの残留溶剤量と、その際の各赤外線照射装置51〜54の温度(以下、制御温度と称する)とを求めておく。残留溶剤量の算出は、例えば、(株)キーエンス製の分光干渉式ウェハ厚み計SI−F80Rを用いて、剥ぎ取る際の流延膜45の各部の厚みを測定し、(株)小野測器のディジタルリニアゲージDG−525を用いてフィルム23の各部の厚みを測定し、これらの測定結果に基づいて、剥ぎ取る際の流延膜45の各部の残留溶剤量を算出する。コントローラ50は、各赤外線照射装置51〜54の温度が各種条件から特定される制御温度となるように、各赤外線照射装置51〜54を制御する。
図2に示すように、流延ダイ41よりX方向上流側であるドラム43aの近傍には、剥取ローラ44が設けられている。剥取ローラ44は、各赤外線照射装置51〜54によって赤外線が照射されて自己支持性を得た流延膜45を流延バンド42から剥ぎ取る。流延膜45が剥ぎ取られた流延バンド42は、流延ダイ41の下方へ移動し、再びドープ18が流延されて支持体として機能する。
ドラム43a,43bには、温調装置58が接続されている。温調装置58は、伝熱媒体の温度を調節する温度調節部を内蔵する。温調装置58は、温度調節部とドラム43a,43b内に設けられる流路との間で、所望の温度に調節された伝熱媒体を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延バンド42の温度を所望の温度に保持する。
また、流延バンド42の内側には、図示は省略したが、ヒータが設けられている。このヒータは、流延バンド42を加熱することにより、流延膜45から溶剤を蒸発させて流延膜45の乾燥を進行させる。
流延膜形成装置12には、排気装置59が設けられている。排気装置59は、流延膜形成装置12の雰囲気を排気する。流延膜形成装置12の外に設けられた図示しない凝縮回収装置は、排気された雰囲気に含まれる溶剤ガスを凝縮して、凝縮した溶剤ガスを回収する。凝縮回収装置は、流延膜形成装置12の雰囲気に含まれる溶剤ガスを流延膜形成装置12内の雰囲気に含まれる溶剤ガスの濃度を一定の範囲に保持する。排気装置59は、雰囲気を排気することにより、流延膜形成装置12内のガスの流れを制御する。
(溶液製膜方法)
次に、溶液製膜方法について説明する。図1に示す溶液製膜設備10では、図6に示す溶液製膜方法が行われる。溶液製膜方法では、流延膜形成工程71と、側縁部乾燥工程72を有する流延膜乾燥工程73と、剥取工程74と、フィルム乾燥工程75とが順に行われる。
(流延膜形成工程)
図2に示すように、ドラム43a,43bの回転により、流延バンド42はX方向へ循環移動する。流延バンド42の移動速度は、例えば、10m/分以上150m/分以下であり、好ましくは40m/分以上120m/分以下である。流延バンド42の上に流延ダイ41からドープ18を流延すると、X方向に長く延びる帯状の流延膜45が形成される。図3に示すように、スリット出口41aは両側縁部の隙間が中央部に比べて広いため、図4に示すように、流延膜45は、幅方向の端から25mmの範囲である両側縁部45aが、中央部45bに比べて厚くなる。
(流延膜乾燥工程)
流延膜45は、移動する流延バンド42により搬送される。図5に示すように、側縁部用赤外線照射装置51の赤外線ヒータ51aは、搬送されてきた流延膜45の両側縁部45aに向けて赤外線を照射する。中央部用赤外線照射装置53の赤外線ヒータ53aは、流延膜45の中央部45bに向けて赤外線を照射する。
各赤外線照射装置51,53によって赤外線が照射されて乾燥が進行した流延膜45は、移動する流延バンド42により、各赤外線照射装置52,54の上方を通過する。各赤外線照射装置52,54は、各赤外線照射装置51,53と同様に、流延膜45を加熱する。
赤外線ヒータ51a〜54aの温度は、100℃以上500℃以下の範囲内が好ましく、100℃以上350℃以下の範囲内がより好ましい。赤外線の波長は、0.8μm以上50μm以下の範囲内が好ましく、2μm以上30μm以下の範囲内がより好ましい。側縁部用赤外線照射装置51,52の赤外線ヒータ51a,52aの温度は、例えば180℃であり、中央部用赤外線照射装置53,54の赤外線ヒータ53a,54aの温度は、赤外線ヒータ51a,52aの温度に合わせて、適宜設定される。本実施形態では、赤外線ヒータ51a〜54aは、波長が2μm以上30μm以下の範囲で、且つ、4μm以上20μm以下の範囲が他の範囲よりも強く照射される赤外線を照射する。
ステンレス製の流延バンド42は赤外線を反射するので、流延バンド42は加熱が抑えられる。また、流延膜45は赤外線を吸収し易い。そのため、流延バンド42の温度上昇を抑えた状態で流延膜45は加熱され、流延膜45から溶剤が蒸発して流延膜45は乾燥される。流延膜45は、両側縁部45aが中央部45bに比べて厚いが、この両側縁部45aに赤外線を照射する赤外線ヒータ51a,52aは、中央部45bに赤外線を照射する赤外線ヒータ53a,54aに比べて温度が高い。これにより、流延膜45は、両側縁部45aが中央部45bと略同様に乾燥される。この乾燥によって、剥ぎ取る際の中央部残留溶剤量VC1と側縁部残留溶剤量VS1とは、以下の関係範囲内になる。
50%DB<VC1≦100%DBの場合に、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)の範囲内となり、
20%DB<VC1≦50%DBの場合に、(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内となり、
VC1≦20%DBの場合に、VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内となる。
(剥取工程)
剥取ローラ44は、自己支持性を得た流延膜45を、流延バンド42から湿潤フィルム19として剥ぎ取り、渡り部21を介してクリップテンタ13へ送出する。
(フィルム乾燥工程)
クリップテンタ13では、湿潤フィルム19の両側縁部をクリップにより把持し、湿潤フィルム19に所定の乾燥風を送って、湿潤フィルム19から溶剤を蒸発させる。この結果、湿潤フィルム19からフィルム23を得る。流延膜45を剥ぎ取る際の中央部残留溶剤量VC1及び側縁部残留溶剤量VS1とは、上記の所定範囲内になっているので、剥ぎ取った後の湿潤フィルム19の両側縁部が十分乾燥されており、クリップの把持による噛み千切りは発生しない。また、フィルム23の厚みむらや延伸むらの発生も防止される。さらに、フィルム23の幅方向の両端から25mmの範囲である両側縁部の最大厚みTSと、フィルム23の幅方向中央部の最大厚みTCとの関係は、1.1×TC≦TSとなっている。このように、湿潤フィルム19は、両側縁部が中央部に比べて肉厚に形成されているため、クリップの把持による噛み千切り防止には、より一層効果的である。また、両側縁部が肉厚になっているため、クリップの噛み込み不良が発生することがなくなる。なお、TSは、TCよりも厚ければ厚いほど、クリップによる把持が安定するが、流延ダイ41によるドープ18の流延や、流延バンド42での流延膜45の形成の安定化を考慮して、TS≦5×TCが好ましく、TS≦2×TCがより好ましい。
クリップテンタ13から送出されたフィルム23は、乾燥室15及び冷却室16を順次通過し、各室において所定の処理が施される。冷却室16から送出されたフィルム23は、除電バー29による除電処理、ナーリング付与ローラ30によるナーリング付与処理が順次施され、巻取室17に送出される。巻取室17に送出されたフィルム23は、プレスローラ34によって押し付けられながら巻き芯35に巻き取られ、ロール状となる。
上記実施形態では、流延膜45の製品となる中央部45bを、両側縁部45aと同様に、赤外線により乾燥しているが、中央部45bの乾燥方法は上記方法に限定されることなく、熱風乾燥や、流延バンド42の内側に設けたヒータによる流延バンド42を介した加熱乾燥などを用いて乾燥してもよい。熱風乾燥を行う場合には、流延膜45の表面が波打つことがないように、流延膜45に対する乾燥風の相対速度を小さくして厚みむらが出ないようにする。
上記実施形態では、流延ダイ41のスリット出口41aの両側縁部の隙間を中央部に比べて広く形成することにより、流延膜45の両側縁部45aを中央部45bに比べて厚くしているが、図7に示すように、逐次流延により両者の厚み差を設けてもよい。この場合には、スリット出口が直線状に形成された流延ダイ100から流延バンド42にドープ18を流して流延膜45を形成し、この流延膜45の両側縁部に対して、側縁部用流延ダイ101からドープ18を流延して、流延膜45の両側縁部45aを中央部45bに比べて肉厚にする。
上記の逐次流延に代えて、図8に示すように、流延ダイ100から流出されたドープ18の両側縁部にドープ供給ノズル111からドープ18を供給することにより、流延膜45の両側縁部45aを、中央部45bに比べて厚くしてもよい。なお、追加ドープの合流は、流延ビードの側方から行う他に、流延ビードの前後方向いずれかまたは両方向から行ってもよい。さらに、スリットの隙間による側縁部肉厚化と、逐次流延による側縁部肉厚化と、流延ビードへの追加ドープ合流による側縁部肉厚化のいずれかを適宜組み合わせて、流延膜45の両側縁部45aを中央部45bに比べて厚くしてもよい。
上記実施形態では、コントローラ50は、各赤外線照射装置51〜54の赤外線ヒータ51a〜54aの温度を、それぞれ制御温度で一定にしているが、図9に示すように、制御温度での制御に加えて、第1,第2流延膜厚みセンサ121,122での厚み検出結果に基づき、各赤外線照射装置51〜54を制御して、剥ぎ取る際の流延膜45の残留溶剤量が上記の所定範囲内になるように、流延膜45を乾燥させてもよい。この場合には、ドラム43bの上方に第1流延膜厚みセンサ121を配し、ドラム43aの下方に第2流延膜厚みセンサ122を配する。コントローラ50は、各流延膜厚みセンサ121,122での厚み検出結果に基づき、剥ぎ取る前の流延膜45の中央部45bの残留溶剤量と、剥ぎ取る前の流延膜45の両側縁部45aの残留溶剤量とを算出する。この算出結果に基づいて、コントローラ50は、各赤外線照射装置51〜54の赤外線ヒータ51a〜54aを制御して、剥ぎ取る際の中央部残留溶剤量VC1及び側縁部残留溶剤量VS1を上記所定の範囲内にする。例えば、流延膜45の厚みが規定値よりも増加した場合には、各流延膜厚みセンサ121,122での検出結果も、厚みが増加した検出結果となる。この場合、赤外線ヒータ51a〜54aの温度が、制御温度のままであると、中央部残留溶剤量VC1及び側縁部残留溶剤量VS1が上記所定の範囲内から外れる。これを防止するために、コントローラ50は、各流延膜厚みセンサ121,122での検出結果に基づき、赤外線ヒータ51a〜54aの温度を上げる。流延膜厚みセンサは1個以上あればよく、また、流延膜厚みセンサの検出位置は適宜変更してもよい。
上記実施形態では、流延膜45の支持体としてドラム43a,43bに巻き掛けられた流延バンド42を用いているが、流延バンド42に代えて回転可能な流延ドラムを流延膜の支持体として用いてもよい。
上記実施形態では、各側縁部用赤外線照射装置51,52の赤外線ヒータ51a,52aから照射される赤外線により流延膜45の両側縁部45aを加熱しているが、近赤外線を放射して流延膜45の両側縁部45aを加熱してもよい。また、輻射方式で加熱可能であれば、他の方式のヒータを用いてもよい。
以下、本発明の効果を確認するための実験の例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、ここに示す例はあくまで本発明に係る一例であり、本発明を限定するものではない。
ドープ18の原料としては、下記のポリマー原料及び溶剤原料を用いた。
〔ポリマー原料〕
セルローストリアセテート 100質量部トリフェニルフォスフェート 7質量部ビフェニルジフェニルフォスフェート 5.0質量部
〔溶剤原料〕
メチレンクロライド 92質量部
メタノール 8質量部
ポリマー原料を溶剤原料に溶解して、固形分濃度が19.0質量%のドープ18を調製した。なお、上記のセルローストリアセテートは、置換度2.84、粘度平均重合度306、含水率0.2質量%、ジクロロメタン溶液中の6質量%の粘度315mPa・s、平均粒子径1.5mm、標準偏差0.5mmの粉体である。また、トリフェニルフォスフェート及びビフェニルジフェニルフォスフェートは可塑剤である。本実施例では、調整されたドープ18を静置することにより脱泡し、送液ポンプによりフィルタを経由させたものを用いた。
図1の溶液製膜設備10を用いて、図6の流延膜形成工程71,側縁部乾燥工程72を有する流延膜乾燥工程73,剥取工程74,フィルム乾燥工程75を順次行い、中央部の最大厚み40μmのフィルム23を製造した。流延バンド42の幅は2000mmとし、流延膜45の幅は1500mmとした。また、流延バンド42の走行速度を、80m/分とした。
実施例1では、フィルム23の幅方向の両端から25mmの範囲である両側縁部の最大厚みTSを46.8μmとし、フィルム23の幅方向中央部の最大厚みTCを40μmとし、剥ぎ取る際の流延膜45の両側縁部45aの残留溶剤量VS1を100%DB、剥ぎ取る際の流延膜45の中央部45bの残留溶剤量VC1を110%DB、側縁部用赤外線照射装置51,52の赤外線ヒータ51a,52aの温度を180℃とした。中央部用赤外線照射装置53,54の赤外線ヒータ53a,54aの温度を250℃とした。
実施例2〜19、比較例1〜17では、図10に示す条件で実験を行った。他の条件は、実施例1と同じにした。この実験の結果を図10及び図11に示す。図10の「噛み千切り」は、湿潤フィルム19の両側縁部をクリップテンタ13のクリップで把持した際に、湿潤フィルム19が破断する噛み千切りが発生したか否かであり、噛み千切りが発生していない場合は評価Aとし、噛み千切りが発生した場合には評価Bとした。この判定は目視により行った。また、Re幅方向変動量は、フィルム23の全幅に亘って面内レターデーションReを測定し、その変動量が±3nmの範囲内である場合は評価Aとし、±3nmの範囲を超える場合には評価Bとした。
面内レターデーションReの測定方法としては、サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21ADH 王子計測(株))にて589.3nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より次式に従い算出した。
Re=|nX−nY|×d
nXはX方向の屈折率,nYはY方向の屈折率,dはフィルムの厚み(膜厚)を表す。
図11では、横軸に中央部残留溶剤量VC1をとり、縦軸に側縁部残留溶剤量VS1をとって、実施例1〜19、比較例1〜17の実験結果を2次元のグラフにプロットした。50<VC1≦100の場合に(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)、20<VC1≦50の場合に(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)、VC1≦20の場合にVS1≦(1.28×VC1+5.71)の各条件式の上限値及び下限値を、上限線L1及び下限線L2で示している。
比較例1〜4では、50<VC1≦100の場合に、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしていない。比較例1では、VS1が125%DB、VC1が100%DBで、(0.96×VC1+25)が121%DBであり、VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしていない。同様に、比較例3でも、VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしていない。このため、比較例1及び3では、剥ぎ取った後の湿潤フィルム19の側縁部が十分乾燥されておらず、噛み千切りが発生した。
比較例2では、VS1が80%DB、VC1が100%DBで、(VC1−15)が85%DBであり、(VC1−15)≦VS1を満たしていない。同様に、比較例4でも、(VC1−15)≦VS1を満たしていない。このため、比較例2及び4は、Re幅方向変動量で±3nmの範囲を超えた。
比較例5及び6では、20<VC1≦50の場合に、(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たしていない。比較例5では、VS1が66%DB、VC1が45%DBで、(1.28×VC1+5.71)が63.31%DBであり、VS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たしていない。このため、比較例5では、噛み千切りが発生した。比較例6では、VS1が28%DB、VC1が45%DBで、(0.85×VC1−7.86)が30.39%DBであり、(0.85×VC1−7.86)≦VS1を満たしていない。このため、比較例6は、Re幅方向変動量で±3nmの範囲を超えた。
比較例7では、20≦VC1の場合に、VS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たしていないため、噛み千切りが発生した。
比較例8,9,14,15でも、50<VC1≦100の場合に、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしていない。また、比較例10〜13,16,17では、20<VC1≦50の場合に、(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たしていない。このため、比較例8〜17では、噛み千切りが発生、または、Re幅方向変動量で±3nmの範囲を超えた。
これに対して、実施例1では、50<VC1≦100の場合に、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしている。実施例1では、VS1が110%DB、VC1が100%DBで、(VC1−15)が85%DB、(0.96×VC1+25)が121%DBであり、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしている。これにより、剥ぎ取った後の湿潤フィルム19の両側縁部が十分乾燥されており、噛み千切りは発生しなかった。また、Re幅方向変動量は、±3nmの範囲内であった。実施例2〜4,9,10,15,16でも、50<VC1≦100の場合に、(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)を満たしており、実施例1と同様に、噛み千切りは発生せず、Re幅方向変動量も、±3nmの範囲内であった。
実施例5,6,11〜14,17,18では、20<VC1≦50の場合に、(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たしている。これにより、実施例5,6,11〜14,17,18では、噛み千切りは発生せず、Re幅方向変動量は、±3nmの範囲内であった。
実施例7,8,19では、VC1≦20の場合に、VS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たしている。これにより、実施例7,8,19では、噛み千切りは発生せず、Re幅方向変動量は、±3nmの範囲内であった。
以上のように、剥ぎ取る際の流延膜45の両側縁部45aの残留溶剤量VS1と、剥ぎ取る際の流延膜45の中央部45bの残留溶剤量VC1とが、50<VC1≦100の場合に(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)、20<VC1≦50の場合に(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)、VC1≦20の場合にVS1≦(1.28×VC1+5.71)を満たすと、噛み千切りは発生せず、Re幅方向変動量も、±3nmの範囲内であり、厚みむらや延伸むらのないフィルム23を製造することができる。
図11に示すように、上限線L1は、50<VC1≦100の場合の傾きが、20<VC1≦50の場合の傾きに比べて小さい。50<VC1≦100の場合の傾きを、20<VC1≦50の場合の傾きと同じにすると、中央部残留溶剤量VC1が100%DBの際に側縁部残留溶剤量VS1が130%DBを超え、噛み千切りが発生する。本発明では、50<VC1≦100の場合の傾きを、20<VC1≦50の場合の傾きに比べて小さくすることで、噛み千切りを防止している。また、下限線L2は、50<VC1≦100の場合の傾きが、20<VC1≦50の場合の傾きに比べて大きい。50<VC1≦100の場合の傾きを、20<VC1≦50の場合の傾きと同じにすると、下限線L2に比べて、中央部残留溶剤量VC1と側縁部残留溶剤量VS1との差が大きくなり、Re幅方向変動量で、±3nmの範囲を超える。本発明では、50<VC1≦100の場合の傾きを、20<VC1≦50の場合の傾きに比べて大きくすることで、Re幅方向変動量を、±3nmの範囲内にしている。
10 溶液製膜設備
12 流延膜形成装置
13 クリップテンタ(フィルム乾燥部)
18 ドープ
19 湿潤フィルム
23 フィルム
41,100 流延ダイ
42 流延バンド(支持体)
44 剥取ローラ
45 流延膜
45a 側縁部
45b 中央部
51,52 側縁部用赤外線照射装置(側縁部乾燥部)
51a〜54a 赤外線ヒータ
53,54 中央部分用赤外線照射装置
71 流延膜形成工程
72 側縁部乾燥工程
73 流延膜乾燥工程
74 剥取工程
75 フィルム乾燥工程

Claims (2)

  1. 移動する支持体に向けて流延ダイからポリマー及び溶剤を含むドープを流出し、前記支持体上に両側縁部が中央部に比べて厚い流延膜を形成する流延膜形成工程と、
    前記流延膜から前記溶剤を蒸発させて乾燥させる流延膜乾燥工程と、
    前記流延膜乾燥工程を経た前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取工程と、
    前記湿潤フィルムの前記両側縁部をクリップにより把持して前記溶剤を蒸発させフィルムとするフィルム乾燥工程と、
    前記流延膜乾燥工程中で、前記流延膜の前記両側縁部を輻射方式で遠赤外線を照射して加熱し、前記流延膜を剥ぎ取る際の前記流延膜の両側縁部の残留溶剤量をVS1とし、前記流延膜を剥ぎ取る際の前記流延膜の中央部の残留溶剤量をVC1とした際に、
    50%DB<VC1≦100%DBの場合に(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)の範囲内とし、
    20%DB<VC1≦50%DBの場合に(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とし、
    VC1≦20%DBの場合にVS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とするべく、
    剥ぎ取り前の前記流延膜の中央部の残留溶剤量及び側縁部の残留溶剤量を検出し、検出した残留溶剤量に基づき、前記両側縁部への加熱量を制御する側縁部乾燥工程と、
    を有し、
    前記流延膜形成工程では、前記フィルム乾燥工程後に、前記フィルムの中央部の最大厚みをTCとし、側縁部の最大厚みをTSとした際に、1.1×TC≦TSとなるように前記流延膜を形成し、且つ前記流延膜の両側縁部は、前記クリップにより把持される範囲を含む溶液製膜方法。
  2. 移動する支持体に向けて流延ダイからポリマー及び溶剤を含むドープを流出し、前記支持体上に両側縁部が中央部に比べて厚い流延膜を形成する流延膜形成装置と、
    前記支持体上に形成された前記流延膜から前記溶剤を蒸発させて乾燥させる流延膜乾燥部と、
    乾燥された前記流延膜を剥ぎ取り、湿潤フィルムとする剥取ローラと、
    前記湿潤フィルムの両側縁部をクリップにより保持して前記溶剤を蒸発させフィルムとするフィルム乾燥部と、
    前記流延膜乾燥部に設けられ、前記流延膜の前記両側縁部を輻射方式で遠赤外線を照射して加熱し、前記流延膜を剥ぎ取る際の前記流延膜の両側縁部の残留溶剤量をVS1とし、前記流延膜を剥ぎ取る際の前記流延膜の中央部の残留溶剤量をVC1とした際に、
    50%DB<VC1≦100%DBの場合に(VC1−15)≦VS1≦(0.96×VC1+25)の範囲内とし、
    20%DB<VC1≦50%DBの場合に(0.85×VC1−7.86)≦VS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とし、
    VC1≦20%DBの場合にVS1≦(1.28×VC1+5.71)の範囲内とするべく、
    剥ぎ取り前の前記流延膜の中央部の残留溶剤量及び側縁部の残留溶剤量を検出し、検出した残留溶剤量に基づき、前記両側縁部への加熱量を制御する側縁部乾燥部と、
    を有し、
    前記流延膜形成部では、前記フィルム乾燥部による乾燥後に、前記フィルムの中央部の最大厚みをTCとし、側縁部の最大厚みをTSとした際に、1.1×TC≦TSとなるように前記流延膜を形成し、且つ前記流延膜の両側縁部は、前記クリップにより把持される範囲を含む
    溶液製膜設備。
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