JP5877229B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

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本発明は、溶液製膜方法に関する。
光透過性を有するポリマーフィルム(以下、フィルムと称する。)は、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルムなど光学フィルムとして多岐に利用されている。フィルムには、厚み均一性や光学特性が要求される。従来は厚さが80μm以上の厚膜フィルムが中心に用いられていたが、近年は、フィルムの薄膜化の要望が強くなってきており、厚さが40μm以下の薄膜フィルムが求められている。
フィルムの製造方法としては、溶液製膜方法が用いられる。溶液製膜方法は、例えば、流延ダイによりポリマーを溶剤に溶かした溶液(以下、ドープ、と称する)を金属製のドラムやバンドなどの支持体上に流延して流延膜を形成し、乾燥させて剥ぎ取ることによってフィルムを得る方法である。流延膜から溶剤を蒸発させ、剥ぎ取り可能なレベルまで流延膜を乾燥させる膜乾燥工程は、溶液製膜方法全体において長い時間がかかる工程であるため、膜乾燥工程の短縮化が望まれている。
膜乾燥工程の短縮化のために、特許文献1に記載の溶液製膜方法では、ドープが流延ダイから流出されてから支持体に流延されるまでの間に赤外線を照射し、支持体上に形成された流延膜に100℃程度の熱風を当てて流延膜を加熱及び乾燥している。
特開2012−066483号公報
流延膜に熱風を当てると、流延膜の膜面が波打つ。厚膜フィルムを得るための流延膜(以下、厚流延膜と称する)においては、流延膜をなすドープの流動性や表面張力等の働きで流延膜がレベリングされる。レベリングとは、膜面が平坦化されて厚みが均一になることである。一方、薄膜フィルムを得るための流延膜(以下、薄流延膜と称する)においては、十分にレベリングされない。このため、薄流延膜は、膜面が波打ったまま乾燥されるので、形成されるフィルムには、波打ったようなちりめん状のしわが表面にできてしまい、厚みむらが生じてしまう。
また、支持体の流延膜が流延される流延領域は、流延膜が加熱されても、流延膜からの溶剤の蒸発により潜熱が奪われるので温度はさほど上昇しない。一方で、支持体の流延膜が流延されない非流延領域は、温度が上昇する。そして、非流延領域から流延領域へ熱伝達が起こることにより、流延領域の幅方向両側端部の温度が上昇する。これにより、流延領域の幅方向両側端部上にある流延膜温度が急激に上昇し、流延膜の幅方向両側端部が発泡する。こうした幅方向両側端部の発泡は、熱容量が比較的低い薄流延膜の方が厚流延膜よりも顕著に発生するため、特に薄膜フィルムを得る場合に大きな問題となる。
一方、流延膜を加熱することなく、溶剤が蒸発するのを待つ場合には、厚みむらも発泡も無い薄膜フィルムが得られるが、膜乾燥工程にかかる時間が長くなる。そのため、生産効率が悪い。
そこで、本発明は、薄膜フィルムを生産する場合において、厚みむらや発泡を引き起こすことなく、比較的短時間で流延膜を乾燥させることができる溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマー及び溶剤を含むドープを支持体の表面に流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、風速が2.0m/s以下に抑えられた雰囲気中で、流延膜に赤外線を照射することにより流延膜を加熱して、流延膜の膜面上の第1の位置における膜面温度T1を、流延膜が形成されていない支持体上の第1の位置より幅方向外側にある第2の位置における支持体温度T2以上に保持しながら、流延膜を乾燥し、流延膜中の溶剤の残留量を100質量%以下とする赤外線照射乾燥工程と、溶剤の残留量が100質量%以下となった流延膜を支持体から剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取工程と、剥ぎ取った湿潤フィルムを乾燥してフィルムとするフィルム乾燥工程とを有し、流延膜に赤外線を照射する赤外線ヒータの照射幅を、前記流延膜の幅の0.8倍以上1.0倍以下の範囲内とし、赤外線ヒータの赤外線の射出側に、赤外線ヒータの幅方向両側端部を覆い、赤外線を反射する一対の反射板が互いに離間して設けられ、照射幅は、反射板により制限される
反射板は支持体の幅方向に移動可能に設けられ、反射板を幅方向に移動させることにより照射幅を調節することがさらに好ましい。
赤外線ヒータの温度は、100℃以上500℃以下の範囲内であることが好ましい。また、赤外線の波長は、1μm以上1000μm以下の範囲内であることが好ましい。
本発明によると、流延膜に厚みむらや発泡が生じない。また、流延膜を加熱することなく、溶剤が蒸発するのを待つ場合と比較して、短時間で流延膜から溶剤を蒸発させることができる。そのため、効率良く薄膜フィルムを生産することができる。
本発明を実施した溶液製膜設備の概略図である。 第1実施形態の流延室の概略図である。 第1実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 溶液製膜方法の概略図である。 第1実施形態における、流延膜及び流延バンドの幅方向における温度分布を示すグラフである。 第2実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 第2実施形態における、流延膜及び流延バンドの幅方向における温度分布を示すグラフである。 第3実施形態の流延室の概略図である。 第3実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 第4実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 第5実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 第6実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 第7実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 第8実施形態の流延室の概略図である。 第8実施形態の赤外線照射装置の説明図である。 実施例の実験1〜6における温度測定結果をプロットしたグラフである。
[第1実施形態]
(溶液製膜設備)
図1に示すように、本発明を実施した溶液製膜設備10は、製造ラインの上流側から順に、流延室12とクリップテンタ13と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。流延室12では、ポリマーと溶剤とを含むドープ18から、湿潤フィルム19が得られる。ポリマー及び溶剤の詳細並びに流延室12の詳細は、後述する。
流延室12とクリップテンタ13との間の渡り部21には、湿潤フィルム19に乾燥風を当てる送風機21aと、湿潤フィルム19を支持する複数の支持ローラ21bとが設けられている。複数の支持ローラ21bは、湿潤フィルム19の搬送方向へ並べられている。支持ローラ21bは、流延室12から送出された湿潤フィルム19を支持して、クリップテンタ13へ案内する。
クリップテンタ13は、湿潤フィルム19の幅方向両側端部をクリップで把持しながら搬送する。クリップテンタ13は、湿潤フィルム19に乾燥や幅方向への延伸などの所定の処理を施すことにより、フィルム23とする。フィルム23は、クリップテンタ13から耳切装置25へ送出される。耳切装置25は、フィルム23の両端を切断する。フィルム23は、耳切装置25から乾燥室15へ送出される。
乾燥室15には、多数のローラ27が設けられている。乾燥室15内の雰囲気の温度や湿度などは、図示しない空調機により調節されている。フィルム23は、乾燥室15内を多数のローラ27に巻き掛けられて搬送され、乾燥室15内で乾燥処理が施される。乾燥室15には、吸着回収装置28が接続されている。吸着回収装置28は、フィルム23から蒸発した溶剤、すなわち溶剤ガスを吸着剤に吸着して回収する。
冷却室16は、フィルム23の温度が略室温となるまで、フィルム23を冷却する。冷却室16及び巻取室17の間では、上流側から順に、除電バー29、ナーリング付与ローラ30、及び耳切装置31が設けられている。除電バー29は、冷却室から送出され、帯電したフィルム23を除電する。ナーリング付与ローラ30は、フィルム23の幅方向両側端部に巻取用のナーリングを付与する。耳切装置31は、切断後のフィルム23の幅方向両側端部にナーリングが残るように、フィルム23の幅方向両側端部を切断する。
巻取室17には、プレスローラ34と巻き芯35とを有する巻取機36が設けられている。巻取室17に送出されたフィルム23は、プレスローラ34によって押し付けられながら巻き芯35に巻き取られ、ロール状となる。
(ポリマー)
本発明に用いることのできるポリマーは、熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、セルロースアシレート、ラクトン環含有重合体、環状オレフィン、ポリカーボネイト等が挙げられる。中でも好ましいのがセルロースアシレート、環状オレフィンであり、中でも好ましいのがアセテート基、プロピオネート基を含むセルロースアシレート、付加重合によって得られた環状オレフィンであり、さらに好ましくは付加重合によって得られた環状オレフィンである。なお、第1実施形態では、ポリマーにはセルロースアシレートの一種であるセルローストリアセテート(Triacetylcellulose、TAC)が用いられている。
(セルロースアシレート)
セルロースアシレートとしては、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)を満たすものであることが好ましい。下記式(I)〜(III)において、A及びBは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素原子数が3〜22のアシル基の置換度である。セルロースアシレートの90質量%以上が0.1〜4mmの粒子であることが好ましい。ただし、本発明に用いることができるポリマーは、セルロースアシレートに限定されるものではない。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化の場合を置換度1とする)を意味する。
全アシル化置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値は、2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)の値は、0.28が好ましく、より好ましくは0.30以上であり、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2は、グルコース単位における2位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下「2位のアシル置換度」とする)であり、DS3は、グルコース単位における3位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下「3位のアシル置換度」という)であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下「6位のアシル置換度」という)である。
本発明に用いることができるセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が用いられてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。
また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBは、その20%以上が6位の水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上であることが好ましい。さらに、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましく、これらのセルロースアシレートを用いることで、より溶解性に優れたドープを作製することができる。特に、非塩素系有機溶剤を使用すると、優れた溶解性を示し、低粘度で濾過性に優れるドープを作製することができる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター、パルプのいずれかから得られたものでもよい。
本発明に用いることができるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特には限定されない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどが挙げられ、それぞれ、さらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが挙げられる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。
(溶剤)
ドープを調製する溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、第1実施形態では、溶剤にはジクロロメタン(別名:メチレンクロライド)にメタノールなどのアルコールを少量混合したものが用いられている。
上記のハロゲン化炭化水素の中でも、炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。セルロースアシレートの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度及び光学特性など物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対して2〜25質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない溶剤組成も検討されている。この場合には、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素原子数1〜12のアルコールが好ましく、これらを適宜混合して用いる場合もある。例えば、酢酸メチル、アセトン、エタノール、n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン、エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン、エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−、−CO−、−COO−および−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も溶剤として用いることができる。
(流延室)
図2に示すように、流延室12には、流延ダイ41、流延バンド42、ドラム43a,43b及び剥取ローラ44が設けられている。
流延バンド42は環状であり、帯状に形成されたバンド体の長手方向の一端と他端とを連結することにより形成されており、本発明の支持体に相当する。流延バンド42は、周長さが50m以上150m以下の範囲内のものが好ましく用いられる。流延バンド42は、幅が1000mm以上3000mm以下の範囲内のものが好ましく用いられる。流延バンド42は、十分な耐腐食性と強度とを有するステンレス(例えば、SUS316)製のものが好ましく用いられる。軸を中心に回転自在であるドラム43a,43bは、それぞれ軸方向が水平となるように、互いに同じ高さに略平行に並べられている。流延バンド42は、ドラム43a,43bに巻き掛けられている。図示しないモータの駆動により、ドラム43a,43bのうち少なくとも一方が回転することにより、流延バンド42は所定の方向へ循環移動する。流延バンドの移動方向を、以下では、MD方向と称する。第1実施形態では、ドラム43a,43bの上側では、流延バンド42はドラム43aからドラム43bに向かって移動し、ドラム43bに接触している時にはドラム43bに沿って流延バンド42は上側から下側へ移動する。また、ドラム43a,43bの下側では、流延バンド42はドラム43bからドラム43aに向かって移動し、ドラム43aに接触している時にはドラム43aに沿って流延バンド42は下側から上側へ移動する。
流延ダイ41はドラム43aの上方に位置し、支持体である流延バンド42に近接して配されている。流延ダイ41は、循環移動する流延バンド42上に、連続的にドープ18を流延して、MD方向に長く延びる帯状の流延膜45を形成する。流延膜45は、幅が500mm以上2500mm以下の範囲内のものであり、流延バンド42よりも幅の狭いものが好ましく形成される。循環移動する流延バンド42により、流延膜45はMD方向に搬送される。
流延ダイ41のMD方向上流側には、減圧チャンバ41aが流延ダイ41に接して設けられている。減圧チャンバ41aにより、流延ダイ41から流延バンド42に至るまでのドープ18、いわゆる流延ビードの上流側のエリアが減圧される。これにより、流延バンド42の循環移動により発生する同伴風に起因する流延ビードの振動が抑えられ、厚みむらが抑えられる。
流延ダイ41よりMD方向下流側であり、ドラム43aからドラム43bへ向かう流延バンド42の上方近傍には、赤外線照射装置51が設けられている。赤外線照射装置51は、赤外線ヒータ51aを備える。赤外線照射装置51は、赤外線ヒータ51aから流延膜45に赤外線を照射する。第1実施形態では、赤外線ヒータ51aと流延膜45との距離は、200mmとしている。赤外線ヒータ51aと流延膜45との距離は、25mm以上300mm以下の範囲内が好ましく、50mm以上200mm以下の範囲内がより好ましい。なお、赤外線照射装置51は、所定のサイズの赤外線ヒータ51aがMD方向に複数並べられることにより形成されていてもかまわない。複数の赤外線ヒータ51aにより、赤外線の照射を断続的にしてもかまわない。
赤外線ヒータ51aと流延バンド42との間には、緊急赤外線遮断機構51bが設けられている。緊急赤外線遮断機構51bは、赤外線ヒータ51aからの赤外線を遮断することにより、赤外線により流延膜45が加熱され続けるのを防ぐための機構である。緊急赤外線遮断機構51bは、設備故障などのトラブルが発生したために流延バンド42の循環移動が停止してしまった等の緊急の場合に作動する。緊急赤外線遮断機構51bは、例えば、赤外線を遮断する遮断板と、赤外線を遮断する位置に遮断板を移動させる移動機構とからなる。遮断板には、例えば赤外線を反射するアルミニウムの板が用いられる。
赤外線照射装置51のMD方向下流側近傍には、温度計53及び風速計55が配されている。温度計53は、赤外線照射装置51の下を通過した直後の流延膜45の膜面及び流延バンド42の温度を測定する。第1実施形態では、赤外線照射装置51の通過直後の流延膜45の膜面及び流延バンド42のうち非流延領域の温度を測定することにより、赤外線照射装置51を通過中のこれらの温度が、本発明の条件を満たしていることを確認している。風速計55は、赤外線照射装置51のMD方向下流側近傍の風速を測定する。赤外線照射装置51と流延膜45との間における風速と、赤外線照射装置51のMD方向下流側近傍の風速とはほぼ等しい。そのため、第1実施形態では、赤外線照射装置51のMD方向下流側近傍の風速を、赤外線照射装置51と流延膜45との間における風速として測定している。なお、赤外線照射装置51を構成する複数の赤外線ヒータ51aの各間に適宜温度計53や風速計55を配して、温度及び風速の測定箇所を増やしてもよい。
赤外線照射装置51よりMD方向下流側であり、ドラム43bからドラム43aへ向かう流延バンド42の下方近傍には、赤外線照射装置52が設けられている。赤外線照射装置52は、赤外線照射装置51と同様の構成をとっている。赤外線照射装置52は、赤外線ヒータ52aを備える。赤外線照射装置52は、赤外線ヒータ52aから流延膜45に赤外線を照射する。赤外線ヒータ52aと流延膜45との距離は、300mm以上1200mm以下の範囲内が好ましく、400mm以上1000mm以下の範囲内がより好ましい。なお、赤外線照射装置52は、所定のサイズの赤外線ヒータ51aがMD方向に複数並べられることにより形成されていてもかまわない。複数の赤外線ヒータ51aにより、赤外線の照射を断続的にしてもかまわない。
赤外線ヒータ52aと流延バンド42との間には、緊急赤外線遮断機構52bが設けられている。緊急赤外線遮断機構52bは、緊急赤外線遮断機構51bと同様の構成を有し、緊急時に赤外線ヒータ52aからの赤外線を遮断する機能を有するものである。
赤外線照射装置51と同様に、赤外線照射装置52のMD方向下流側近傍には、温度計53及び風速計55が配されている。なお、赤外線照射装置52を構成する複数の赤外線ヒータ51aの各間に適宜温度計53や風速計55を配して、温度及び風速の測定箇所を増やしてもよい。
赤外線照射装置52よりMD方向下流側であり、流延ダイ41よりMD方向上流側にあるドラム43aの近傍には、剥取ローラ44が設けられている。剥取ローラ44は、赤外線照射装置51,52によって赤外線が照射されて自己支持性を得た流延膜45を流延バンド42から剥ぎ取る。流延膜45が剥ぎ取られた流延バンド42は、流延ダイ41の下方へ移動し、再びドープ18が流延されて支持体として機能する。
ドラム43a,43bには、温調装置57が接続されている。温調装置57は、伝熱媒体の温度を調節する温度調節部を内蔵する。温調装置57は、温度調節部とドラム43a,43b内に設けられる流路との間で、所望の温度に調節された伝熱媒体を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延バンド42の温度を所望の温度に保持する。
流延室12には、排気装置58が設けられている。排気装置58は、流延室12の雰囲気を排気する。流延室12の外に設けられた図示しない凝縮回収装置は、排気された雰囲気に含まれる溶剤ガスを凝縮して、凝縮した溶剤ガスを回収する。凝縮回収装置は、流延室12の雰囲気に含まれる溶剤ガスを流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤ガスの濃度を一定の範囲に保持する。排気装置58は、雰囲気を排気することにより、流延室12内のガスの流れを制御する。
赤外線照射装置52と剥取ローラ44との間には、ラビリンスシール59aが設けられている。また、剥取ローラ44と流延ダイ41との間には、ラビリンスシール59bが設けられ、流延ダイ41と赤外線照射装置51との間には、ラビリンスシール59cが設けられている。ラビリンスシール59a,59b,59cは、いずれも、流延室12の内壁面から流延バンド42に向かって延びるように形成されている。また、ラビリンスシール59a,59b,59cの先端は、流延バンド42に近接している。ラビリンスシール59a,59b,59cにより、流延室12の内部における雰囲気の流れを安定化させる。
(赤外線照射装置)
流延バンド42の幅方向をTD方向と称する。流延膜45の幅方向もTD方向となる。図3に示すように、赤外線照射装置51は、赤外線ヒータ51aのTD方向における中央と流延膜45のTD方向における中央とが、互いに対向するように設けられる。赤外線照射装置51並びに流延膜45及び流延バンド42は、これらの概ね中央を通る直線に対して線対称となっている。赤外線ヒータ51aのTD方向の長さはLh1である。Lh1は、流延膜45のTD方向の幅Lmの0.9倍である。
第1実施形態においては、赤外線照射装置51と流延膜45との距離が小さいため、実質的に赤外線の広がりは小さい。そのため、第1実施形態では、赤外線ヒータ51aからの赤外線の射出幅と、流延膜45に赤外線が照射される照射幅とは、概ね等しくなる。すなわち、赤外線照射装置51による流延膜45への赤外線の照射幅を、Lh1とみなすことができる。なお、図3は、MD方向上流側からMD方向下流側に向かって赤外線照射装置51と、流延膜45及び流延バンド42の断面を見た図であり、流延膜45及び流延バンド42の厚さを誇張して描いている。また、図3では、風速計55及び緊急赤外線遮断機構51bの図示を省略している。
ここで、流延膜45の膜面のTD方向略中央にある位置を位置Cとおく。また、赤外線ヒータ51aのTD方向両側端から流延膜45の膜面への垂線の足の位置をいずれもBとおく。また、流延膜45の膜面両側端の位置をいずれもEとおく。このとき、Eから流延バンド42への垂線の足の位置は、いずれも流延領域と非流延領域との境界位置Gとなっている。なお、流延領域とは、流延膜が流延される流延バンド42の領域であり、非流延領域とは、流延膜が流延されない流延バンド42の領域である。
流延領域と非流延領域との両側の境界位置Gからそれぞれ非流延領域側にL入った流延バンド42上の位置をいずれもSとおく。第1実施形態においては、Lは50mmである。なお、MD方向に垂直な方向で切った断面図である図3においては、位置C,B,E,Gは点状で示されているが、いずれもMD方向(図3の紙面に垂直な方向)に伸びて直線状に形成されている。赤外線照射装置51並びに流延膜45及び流延バンド42は、位置Cに対して線対称となっている。
位置Bの2本の直線の間の流延膜45の膜面の領域、すなわち赤外線ヒータ51aと対向しており赤外線ヒータ51aの直下にある流延膜45の膜面の領域を流延膜面45aとおく。また、位置Cに対して同じ側にある位置Bの直線と位置Eの直線との間の流延膜45の膜面の領域、すなわち赤外線ヒータ51aと対向していない赤外線ヒータ51aの直下からTD方向両側端部に外れた流延膜45の膜面の領域を流延膜面45bとおく。流延膜面45bは、流延膜面45aのTD方向両側端部に形成される。流延膜面45aには赤外線が照射される一方、流延膜面45b及び非流延領域には赤外線は照射されない。
赤外線照射装置52も、赤外線照射装置51と同様の構成を有している。つまり、赤外線照射装置52に備えられた赤外線ヒータ52aのTD方向の長さはLh1であり、その照射幅はLh1である。赤外線照射装置52も、赤外線照射装置51と同様の赤外線照射を流延膜45に対して行う。
(溶液製膜方法)
次に、溶液製膜方法について説明する。図1に示す溶液製膜設備10では、溶液製膜方法が行われる。溶液製膜方法は、図4に示すように、流延膜形成工程61と、赤外線照射乾燥工程62と、剥取工程63と、フィルム乾燥工程64とを有する。
(流延膜形成工程)
図2に示すように、ドラム43a,43bの回転により、流延バンド42はMD方向へ循環移動する。流延バンド42の移動速度V1は、例えば、10m/分以上150m/分以下である。移動速度V1は、40m/分以上120m/分以下が好ましい。移動速度V1で移動する流延バンド42の上に、流延ダイ41からドープ18を流延すると、MD方向に長く延びる帯状の流延膜45が形成される。
(赤外線照射乾燥工程)
流延膜45は、移動する流延バンド42により搬送される。図3に示すように、赤外線照射装置51は、搬送されてくる流延膜45の膜面に向けて赤外線を照射する。赤外線により、流延膜45が加熱される。流延膜45は赤外線を吸収しやすいが、流延バンド42にステンレスが用いられている場合には、流延バンド42は赤外線を吸収しにくい。そのため、流延バンド42は温度がほとんど上昇することなく、流延膜45は加熱され、流延膜45から溶剤が蒸発して流延膜45は乾燥される。
赤外線照射乾燥工程62においては、流延膜45の膜面付近の雰囲気の風速が2.0m/s以下となるように制御される。ここで、流延膜45の膜面付近の雰囲気とは、流延膜45の膜面からある一定の距離までに存在する雰囲気のことであり、流延膜45の厚みむらに影響を及ぼすものである。流延膜45の膜面付近とは、具体的には流延膜45の膜面から50mm以下の範囲内の領域をいう。また、制御される風速の方向は、特に限定されない。この風速は、排気装置58により制御される。流延膜45の膜面付近の雰囲気の風速は、小さいほど好ましく、1.0m/s以下とすることが好ましく、0.5m/s以下とすることがより好ましい。
薄流延膜は、前述のように、厚流延膜よりもレベリングしにくい。そのため、薄流延膜を熱風により乾燥すると、熱風の方向に関係なく、熱風により流延膜45の膜面が波打ち、この波打ちに起因して、ちりめん状のしわが表面に生じた、厚みむらがある薄膜フィルムとなってしまう。また、熱風により、流延バンド42の非流延領域が加熱され、この加熱に起因して、流延膜45のTD方向両側端部が適温度領域より高い温度となり、流延膜45のTD方向両側端部に発泡が生じてしまう。発泡を低減しようとして熱風を当てる幅を流延膜45の幅未満にしても、流延膜45の膜面の波打ちに起因する厚みむらを低減することはできない。
一方、第1実施形態では、熱風を用いず、赤外線により流延膜45を乾燥しており、流延膜45の膜面付近の雰囲気の風速を2.0m/s以下に抑えている。なお、この風速は、風速計55により常に測定され、風速2.0m/s以下に抑えられているかどうかが確認されている。そのため、熱風を用いる場合と比較して、流延膜45の膜面が波打つことは極めて少なくなり、厚みむらが大きく低減される。この風速が小さいほど厚みむらは低減される。具体的には、この風速を1.0m/s以下に抑えた場合には、さらに厚みむらが低減され、この風速を0.5m/s以下に抑えた場合には、またさらに厚みむらが低減される。
また、第1実施形態では、赤外線ヒータ51aの照射幅Lh1は流延膜45の幅Lmの0.9倍としている。赤外線が照射されている際の流延膜45の膜面と流延バンド42の表面とのTD方向における各温度について、図5を参照しながら説明する。図5においては、流延膜45の膜面の温度分布曲線を実線で示し、これに符号Tm(0.9)を付しており、また、非流延領域における流延バンド42の表面の温度分布曲線を破線で示し、これに符号Ts(0.9)を付している。Ts(0.9)はTD方向両側端部の温度分布曲線である。
赤外線は、流延膜45の膜面に対して略中央位置Cに関して略左右対称に照射されるため、温度分布曲線は、流延膜45の膜面の略中央位置Cに関して略左右対称で滑らかな曲線となる。略中央位置Cで最大値T(C)[単位;℃]をとり、略中央位置CからTD方向両側端部へ向かうにつれて緩やかに減少し、位置Bで値T(B)[単位;℃]をとる。位置BからさらにTD方向両側端部へ向かうにつれて値は緩やかに減少し、位置Eで値T(E)[単位;℃]をとる。このように、流延膜45の膜面における最高温度はT(C)となり、流延膜45の膜面における最低温度はT(E)となる。
流延膜面45aは赤外線が照射されて加熱されるが、流延膜面45b及び流延バンド42の非流延領域は赤外線が照射されず加熱されない。このため、流延膜面45aと、流延膜面45b及び非流延領域との間には、温度差が生じる。よって、赤外線により加熱される流延膜面45aから、流延膜面45b及び流延バンド42の非流延領域へ熱伝達が起こる。流延膜面45aのうち、略中央位置C付近ではこの熱伝達の影響を受けにくい一方、流延膜面45bと接している位置Bではこの熱伝達の影響を受けて温度が上がりにくくなる。そのため、流延膜45の膜面において、略中央位置Cで温度が最大となり、全体として流延膜面温度曲線Tm(0.9)のような温度分布を示す。一方、流延領域及び非流延領域に熱風を当てる従来技術においては、非流延領域のほうが流延領域よりも高温となる。すなわち、本発明における赤外線照射によって生じる流延領域及び非流延領域の温度分布は、従来の熱風による温度分布とは全く逆の傾向になる。
位置Gにおける温度T(G)[単位;℃]は、位置Eにおける温度T(E)より僅かに低くなる。そして、流延バンド42表面の非流延領域におけるTD方向の温度分布曲線は、T(G)から流延バンド42のTD方向両側端部に向かうにつれて緩やかに減少するような温度分布曲線になる。また、位置Sおける温度T(S)[単位;℃]は、T(E)より僅かに低くなる。
ここで、第1実施形態では、位置Sの温度を、流延バンド42の非流延領域の温度として測定している。位置Sは位置Gとさほど離れておらず、温度の差は僅かである。そのため、位置Sは、非流延領域のうち温度の測定が可能であり、かつ最も高温な位置とみなすことができる。第1実施形態ではLは50mmであるが、これに限ることは無い。Lが短ければ短いほど好ましい。
流延膜45の膜面における最低温度であるT(E)は、流延バンド42の非流延領域の温度として測定されるT(S)以上の温度となっている。したがって、流延膜45及び流延バンド42の任意のMD方向に垂直な断面において、流延膜45の膜面上における任意の位置の膜面温度T1[単位;℃]は、流延バンド42の表面上の非流延領域における任意の位置のバンド温度T2[単位;℃]以上となっている。
T1及びT2の好ましい範囲(以下、適温度範囲と称する)は、ドープ18に用いられるポリマーや溶剤によって決められる。T1及びT2は、ポリマーが熱によりダメージを受けない範囲内であり、溶剤が十分な速さで蒸発するような範囲内であり、かつ、溶剤の沸点を超えない範囲内であればよい。一般的に用いられるポリマー及び溶剤の物性から、T2の範囲は、25℃以上60℃以下の範囲内とするのが好ましい。また、より好ましくは、以下の式(1)を満たすように赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。
T1≧1.05×T2−1.25 (25≦T2≦60)・・・式(1)
赤外線照射時の赤外線ヒータ51a,52aの温度と、照射される赤外線の波長とは、いずれも、膜面温度T1がバンド温度T2以上となるように、溶剤に応じて決められる。赤外線ヒータ51a,52aの温度は、100℃以上500℃以下の範囲内が好ましく、100℃以上350℃以下の範囲内がより好ましい。赤外線の波長は、1μm以上1000μm以下の範囲内が好ましく、2.5μm以上30μm以下の範囲内がより好ましい。なお、膜面温度T1及びバンド温度T2は、温度計53により測定され、膜面温度T1がバンド温度T2より高いかどうか確認できる。好ましくは、膜面温度T1及びバンド温度T2が適温度範囲にあるかどうか確認できる。
第1実施形態では、赤外線照射装置51の通過直後の流延膜45の膜面及び流延バンド42の温度を測定することにより、赤外線照射装置51を通過中のこれらの温度が、本発明の条件を満たしていることを確認しているが、これは、次のような理由からである。溶液製膜方法においては、流延されるドープ18の温度は、流延ダイ41の直下を通過する流延バンド42の温度よりも高くなるように制御される。つまり、流延膜45が加熱され始める前までは、当然に膜面温度T1はバンド温度T2以上である。また、前の周回の赤外線照射により流延バンド42に余熱があるので、流延膜45を所望の残留溶剤量(後述する)まで乾燥させている場合には、バンド温度T2は当然に25℃以上である。流延膜45が形成された後、流延膜45を乾燥するために加熱されることにより、流延膜45の膜面温度は上昇し、これに伴い流延膜45から流延バンド42へ熱が伝えられて、流延バンド42の表面温度も上昇する。このことから、流延膜45と流延バンド42との加熱が終了する時点においてさえ膜面温度T1がバンド温度T2以上であれば、流延膜45と流延バンド42との加熱中のいかなる時点においても、膜面温度T1がバンド温度T2以上となるからである。以上により、第1実施形態では、赤外線照射装置51の通過直後の流延膜45の膜面及び流延バンド42の温度を測定することにより、赤外線照射装置51を通過中のこれらの温度が、本発明の条件を満たしていることを確認している。なお、このことは、赤外線照射装置52による赤外線の照射にも当てはまる。
赤外線照射装置51によって赤外線が照射された流延膜45は、流延バンド42が移動することにより、赤外線照射装置52の上方を通過する。赤外線照射装置52は、赤外線照射装置51と同様に、流延膜45を加熱することにより乾燥させる。
赤外線照射装置52によって赤外線が照射される場合も、赤外線照射装置51によって赤外線55が照射された場合と同様に、赤外線照射時の流延膜45の膜面におけるTD方向の温度分布は、上述の流延膜面温度曲線Tm(0.9),バンド面温度曲線Ts(0.9)のようになる。そのため、赤外線照射装置52では、赤外線照射装置51を用いる時と同様に、膜面温度T1がバンド温度T2以上となるように、好ましくは式(1)を満たすように、赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。
従来のように、薄流延膜の幅よりも広い幅の範囲を赤外線で照射しても問題が生じる場合がある。このような赤外線の照射をすれば、流延バンド42の非流延領域が赤外線により加熱され、非流延領域から流延領域へ熱伝達が起こることにより、流延領域のTD方向両側端部の温度が上昇する。これにより、流延領域のTD方向両側端部上にある流延膜45の温度が急激に上昇し、流延膜45のTD方向両側端部に発泡が生じてしまうおそれがある。
一方、第1実施形態では、流延膜45の幅Lmの0.9倍の幅をもつ赤外線ヒータ51a,52aにより、流延膜45の膜面へ赤外線照射が行われるので、流延膜45の膜面及びその両側の流延バンド42の表面の温度分布は、それぞれ上述のTm(0.9),Ts(0.9)となる。すなわち、流延膜45の膜面温度T1の方が、そのTD方向両側端部の流延バンド42表面のバンド温度T2よりも高い。好ましくは、バンド温度T2が25℃以上60℃以下となるように制御される。より好ましくは、一般的に用いられるポリマー及び溶剤の物性から、上記式(1)を満たすように制御される。
このように、膜面温度T1を溶剤の沸点温度以下に制御しているので、流延膜45に発泡が生じる確率が大きく低減する。また、同時に、膜面温度T1を溶剤が十分に蒸発することができる温度に制御しているので、効率よく流延膜45内の溶剤が蒸発する。そのため、流延膜を加熱することなく、溶剤が蒸発するのを待つ場合と比較して、短時間で流延膜45の残留溶剤量が100質量%以下になる。なお、残留溶剤量は100質量%になれば十分であるが、残留溶剤量が少ない方がより流延膜45の自己支持性が得られるため、50質量%以下になるまで流延膜45に赤外線が照射されることがより好ましい。
以上により、第1実施形態では、厚みむらや発泡を引き起こすことなく、比較的短時間で流延膜45から溶剤が蒸発する。
赤外線照射装置51,52による赤外線の照射により、流延膜45は、残留溶剤量が100質量%以下になるまで乾燥される。なお、本発明では、流延膜45や各フィルム中に残留する溶剤量を乾量基準で示したものを残留溶剤量とする。この残留溶剤量は、対象のフィルムからサンプルを採取し、このサンプルの質量をx、サンプルを乾燥した後の質量をyとするとき、{(x−y)/y}×100[単位;質量%]で算出する。
(剥取工程)
剥取ローラ44は、残留溶剤量が100質量%以下となって自己支持性を得た流延膜45を、流延バンド42から湿潤フィルム19として剥ぎ取り、渡り部21を介してクリップテンタ13へ送出する。
(フィルム乾燥工程)
クリップテンタ13では、湿潤フィルム19をTD方向に延伸しながら、所定の乾燥風をあてて、湿潤フィルム19から溶剤を蒸発させる。この結果、湿潤フィルム19からフィルム23を得る。
クリップテンタ13から送出されたフィルム23は、耳切装置25による耳切処理が施される。耳切装置25から送出されたフィルム23は、乾燥室15及び冷却室16を順次通過し、各室において所定の処理が施される。冷却室16から送出されたフィルム23は、除電バー29による除電処理、ナーリング付与ローラ30によるナーリング付与処理、耳切装置31による耳切処理が順次施され、巻取室17に送出される。巻取室17に送出されたフィルム23は、プレスローラ34によって押し付けられながら巻き芯35に巻き取られ、ロール状となる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態にかかる溶液製膜設備は、溶液製膜設備10の赤外線照射装置51,52を赤外線照射装置67,68に代えたものである。図6に示すように、赤外線照射装置67,68には、それぞれ赤外線ヒータ67a,68aが備えられている。また、赤外線ヒータ67a,68aと流延バンド42との間に、緊急赤外線遮断機構51b,52bと同様の機能を持つ緊急赤外線遮断機構(図示省略)がそれぞれ設けられている。赤外線ヒータ67a,68aのTD方向の長さはいずれもLh2であり、Lh2は、流延膜の幅Lmの1.0倍である。つまり、赤外線ヒータ67a,68aのTD方向の照射幅はいずれもLh2であり、流延膜の幅Lmと略等しい。第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図6では、図3と同様に、流延膜45及び流延バンド42の厚さを誇張して描いている。また、図6では、風速計55及び緊急赤外線遮断機構の図示を省略している。
第2実施形態では、赤外線照射乾燥工程62は、赤外線照射装置67,68を用いて行われる。赤外線照射装置67は、赤外線ヒータ67aから流延膜面45aに向けて赤外線を照射する。赤外線により、流延膜45が加熱される。加熱された流延膜45から溶剤が蒸発し、流延膜45は乾燥される。第2実施形態では、流延膜45の膜面の全域が赤外線ヒータ67aの直下にあるため、膜面の全域に赤外線が照射される。一方で、流延膜45が流延されない非流延領域には赤外線は照射されない。すなわち、第2実施形態は、第1実施形態において、実質的に、流延膜45の膜面の全域を流延膜面45aとし、流延膜面45bの面積を0とし、位置Bと位置Eとが一致した形態となっている。赤外線照射装置68も赤外線照射装置67と同様の構成をとり、赤外線照射装置67と同様に赤外線を流延膜45に照射する。
赤外線ヒータ67aの照射幅Lh2は流延膜45の幅Lmの1.0倍としている。赤外線が照射されている際の流延膜45の膜面と流延バンド42の表面とのTD方向における各温度について、図7を参照しながら説明する。図7においては、流延膜45の膜面の温度分布曲線を実線で示し、これに符号Tm(1.0)を付しており、また、非流延領域における流延バンド42の表面の温度分布曲線を破線で示し、これに符号Ts(1.0)を付している。Ts(1.0)はTD方向の両側端側の温度分布曲線である。
赤外線は、流延膜45の膜面に対して略中央位置Cに関して略左右対称に照射されるため、温度分布曲線は、流延膜45の膜面の略中央位置Cに関して略左右対称で滑らかな曲線となる。略中央位置Cで最大値T(C)をとり、略中央位置CからTD方向両側端部へ向かうにつれて緩やかに減少し、位置Eで値T(E)をとる。このように、流延膜45の膜面における最高温度はT(C)となり、流延膜45の膜面における最低温度はT(E)となる。このような温度分布になる理由は、第1実施形態と同様である。第2実施形態における赤外線照射の際の温度分布は、第1実施形態とほぼ同じ傾向である。
流延バンド42表面の非流延領域におけるTD方向の温度分布曲線は、第1実施形態と同様に、T(E)から流延バンド42のTD方向両側端部へ向かうにつれて緩やかに減少するような温度分布曲線になる。第1実施形態と同様に、位置Sにおける温度T(S)は、位置EにおけるT(E)より僅かに低くなる。
これにより、第1実施形態と同様に、流延膜45の膜面における最低温度であるT(E)はT(S)以上の温度となる。したがって、流延膜45及び流延バンド42の任意のMD方向に垂直な断面において、流延膜45の膜面上における任意の位置の膜面温度T1[単位;℃]は、流延バンド42の表面上の非流延領域における任意の位置のバンド温度T2[単位;℃]以上となる。
T1及びT2の好ましい範囲(適温度範囲)は、第1実施形態と同様である。一般的に用いられるポリマー及び溶剤の物性から、T2の範囲は、25℃以上60℃以下の範囲内とするのが好ましい。また、好ましくは、上記の式(1)を満たすように赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。
赤外線照射装置68によって赤外線が照射された場合も、赤外線照射装置67によって赤外線が照射された場合と同様に、赤外線照射時の流延膜45の膜面におけるTD方向の温度分布は上述のTm(1.0),Ts(1.0)となる。そのため、赤外線照射装置68では、赤外線照射装置67を用いる時と同様に、膜面温度T1がバンド温度T2以上となるように、好ましくは式(1)を満たすように、赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。なお、第1実施形態と同様に、温度計53により、連続して温度が温度計53により常に測定され、膜面温度T1がバンド温度T2より高いかどうか確認される。好ましくは、膜面温度T1及びバンド温度T2が適温度範囲にあるかどうか確認される。
膜面温度T1を上述の範囲に制御しているので、第1実施形態と同様に、流延膜45に発泡が生じる確率が大きく低減され、かつ、効率よく流延膜45内の溶剤が蒸発し、短時間で流延膜45の残留溶剤量が100質量%以下になる。また、第1実施形態と同様に、残留溶剤量が100質量%になれば十分であるが、50質量%以下になるまで赤外線が照射されることがより好ましい。
第2実施形態における赤外線照射時の赤外線ヒータ67a,68aの温度と、照射される赤外線の波長とは、いずれも、第1実施形態と同様にして決められる。赤外線ヒータ67a,68aの温度の好ましい範囲及び赤外線の波長の好ましい範囲は、いずれも第1実施形態と同じである。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、熱風を用いず、赤外線により流延膜45を乾燥しており、流延膜45の膜面付近の雰囲気の風速を2.0m/s以下に抑えている。そのため、第1実施形態と同様に、厚みむらが大きく低減される。第1実施形態と同様に、この風速が小さいほど厚みむらは低減される。なお、この風速は、風速計55により常に測定され、風速2.0m/s以下に抑えられているかどうかが確認されている。
以上により、第2実施形態も、第1実施形態と同様に、厚みむらや発泡を引き起こすことなく、比較的短時間で流延膜45から溶剤が蒸発する。
第1実施形態では、赤外線ヒータ51a,52aのTD方向の長さLh1を流延膜45の幅Lmの0.9倍とし、第2実施形態では、赤外線ヒータ67a,68aのTD方向の長さLh2を流延膜45の幅Lmの1.0倍としたが、これに限ることは無く、赤外線ヒータのTD方向の長さLhは、流延膜45の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内であればよく、好ましくは流延膜45の幅Lmの0.9倍以上1.0倍以下の範囲内であれば、厚みむらや発泡を低減しつつ比較的短時間で流延膜が乾燥する。
赤外線ヒータのTD方向の長さLhがLmの0.8倍以上0.9倍未満の範囲内にある場合には、第1実施形態よりもさらに位置Bが位置Cに近づくので、流延膜45の膜面及び流延バンド42の表面の温度分布の傾向は同じものの、勾配の傾斜が増し、T(C)とT(S)との温度差が増した温度分布となる。一方、赤外線ヒータのTD方向の長さLhがLmの0.9倍以上1.0倍以下の範囲内にある場合には、流延膜45の膜面及び流延バンド42の表面の温度分布は第1実施形態と第2実施形態における温度分布の中間の状態をとる。
第1及び第2実施形態では、2つの赤外線ヒータのTD方向の長さLhを同一としたが、これに限ることは無く、流延膜45の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内で、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内で、TD方向の長さLhがそれぞれ異なる2つの赤外線ヒータを組み合わせて用いても構わない。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態にかかる溶液製膜設備10は、溶液製膜設備10の流延室12を流延室72に代えたものである。流延室72は、図8に示すように、流延室12における赤外線照射装置51,52に代えて、それぞれ赤外線照射装置73,74を備える。赤外線照射装置73,74には、それぞれ赤外線ヒータ73a,74aが備えられている。また、赤外線ヒータ73a,74aと流延バンド42との間に、緊急赤外線遮断機構51b,52bと同様の機能を持つ緊急赤外線遮断機構(図示省略)がそれぞれ設けられている。赤外線ヒータ73a,74aのTD方向の長さはいずれも、流延膜の幅Lmより広い。第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図8では、緊急赤外線遮断機構を省略している。また、図9では、図3及び図6と同様に、流延膜45及び流延バンド42の厚さを誇張して描いており、風速計55及び緊急赤外線遮断機構の図示を省略している。図9ではさらに温度計53の図示も省略している。
また、赤外線照射装置73と流延バンド42との間には、一対の反射板77aが設けられている。また、赤外線照射装置74と流延バンド42との間には、一対の反射板78aが設けられている。なお、反射板77a,78aの位置と、緊急赤外線遮断機構に用いられる遮断板の移動経路とは、いずれが赤外線照射装置73,74に近くなるように設計されても構わない。二対の反射板77a,78aは、いずれも赤外線を反射する材料で作られており、例えば研磨したアルミニウムが用いられている。図9に示すように、一対の反射板77aは、赤外線ヒータ73aの赤外線照射側に、それぞれ赤外線ヒータ73aのTD方向両側端部を覆うように、互いに離間幅Lh3の間隔をあけて設けられている。離間幅Lh3は、流延膜45の幅Lmの0.9倍である。これにより、赤外線ヒータ73aの照射幅は、Lh3に制限される。また、赤外線ヒータ74aと反射板78aとの位置関係は、上述の赤外線ヒータ73aと反射板77aとの位置関係と同様になっており、これにより赤外線ヒータ74aの照射幅も反射板78aによりLh3に制限される。
第3実施形態では、赤外線照射装置73,74を用いて赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。赤外線ヒータ73aは、流延膜45の膜面に向けて赤外線を照射する。赤外線ヒータ73aから、赤外線ヒータ73aの照射幅の領域の直下にある流延膜面45aに向けて射出された赤外線は、流延膜面45aに照射される。一方、赤外線ヒータ73aから、赤外線ヒータ73aの照射幅の領域からTD方向両側端部に外れた流延膜面45bに向けて射出された赤外線は、反射板77aによって遮られ、反射される。非流延領域に向けて射出された赤外線も同様に、反射板77aによって遮られ、反射される。そのため、流延膜面45aには赤外線が照射されるが、流延膜面45b及び非流延領域には赤外線が照射されない。
この結果、流延膜45及び流延バンド42に対する赤外線照射の様態は、第1実施形態とほぼ同じになる。そのため、第3実施形態では、第1実施形態と同じ効果を奏するので、詳細の説明は省略する。
なお、第3実施形態では、反射板77a,78aの離間幅をLh3とすることにより、赤外線ヒータのうち反射板77a,78aに遮られていない部分のTD方向の長さ、すなわち赤外線ヒータのTD方向の照射幅Lh3を流延膜45の幅Lmの0.9倍としているが、これに限ることは無く、Lh3を流延膜45の幅Lmの1.0倍としてもよい。Lh3を流延膜45の幅Lmの1.0倍とした場合には、流延膜45の膜面の全面には赤外線が照射されるが、非流延領域には赤外線が照射されない。そのため、赤外線照射の様態は、第2実施形態とほぼ同じになり、第2実施形態と同じ効果を奏する。
第3実施形態においては、Lh3は、流延膜45の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内であればよく、好ましくは流延膜45の幅Lmの0.9倍以上1.0倍以下の範囲内であればよい。Lh3がこの範囲内にある場合には、第1及び第2実施形態のところで記載したのと同様に、本発明の効果が得られる。また、第3実施形態では、赤外線ヒータ73a,74aにおけるLh3を同一としたが、これに限ることは無く、流延膜45の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内で、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内で、異なるものを組み合わせて用いても構わない。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態にかかる溶液製膜設備10は、図10に示すように、第3実施形態にかかる溶液製膜設備10における二対の反射板77a,78aに、それぞれ反射板制御器77b、78bを接続したものである。第3実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図10では、図3,図6及び図9と同様に、流延膜45及び流延バンド42の厚さを誇張して描いている。また、図10では、図9と同様に、温度計53、風速計55及び緊急赤外線遮断機構の図示を省略している。
第4実施形態では、赤外線照射装置73,74を用いて赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。図10に示すように、反射板制御器77b、78bは、反射板77a,78aをそれぞれTD方向に移動させて、一対の反射板77a,78aのそれぞれのTD方向の離間幅Lh4を変更する機構である。これらの離間幅Lh4は、それぞれ赤外線ヒータ73a,74aの照射幅と等しくなる。そのため、反射板制御器77b,78bは、一対の反射板77a,78aのTD方向の離間幅Lh4を制御することにより、赤外線ヒータ73a,74aの照射幅を制御することができる。なお、反射板77a,78aと反射板制御器77b、78bとを合わせて、それぞれ照射幅制御装置77,78と称する。照射幅制御装置77,78により、照射幅Lh4が流延膜45の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内に、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内に制御されて、赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。
第4実施形態は、第3実施形態において照射幅Lh3を流延膜45の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内に、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内に設定していたのに代えて、照射幅制御装置77,78により照射幅Lh4を同じ範囲内に制御しているものである。そのため、第4実施形態は第3実施形態と同じ赤外線照射状態を作り出すので、当然に第3実施形態と同様の効果を奏する。そのため、その詳細の説明は省略する。なお、第4実施形態の場合は、第3実施形態と異なり、照射幅Lh4をいつでも変更することができるので、第3実施形態より操作性がよくなる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態は、第1〜第4実施形態とは異なり、本発明にかかる赤外線照射乾燥工程62にいわゆるバッチ式の赤外線照射装置を用いるものである。図11に示すように、十分大きな流延シート81の上には、a方向に長さLma,b方向に長さLmbの長方形状の流延膜82が流延されている。なお、流延シート81の上の流延膜82は、第1〜第4実施形態と同様に流延ダイを用いて流延しても構わないし、塗布により流延しても構わない(流延膜形成工程61)。また、例えば、ヘラなどを用いて、流延膜82を流延シート81から剥ぎ取る(剥取工程63)。また、例えば、剥ぎ取って得られる帯状でない湿潤フィルムのa方向又はb方向の両側端部をクリップで挟んで把持し、乾燥風を当てて湿潤フィルムを乾燥する(フィルム乾燥工程64)。また、第1〜第4実施形態と同様に、緊急赤外線遮断機構を設けても構わない。
流延膜82の上方に赤外線照射装置83が設けられている。赤外線照射装置83は赤外線ヒータ83aを備えており、赤外線ヒータ83aの中心が流延膜82の中心に対向するように配されている。赤外線ヒータ83aと流延膜82との距離は、25mm以上300mm以下の範囲内が好ましく、50mm以上200mm以下の範囲内がより好ましい。赤外線ヒータ83aは薄い直方体状であり、a方向の長さはLha1であり、b方向の長さはLhb1である。Lha1はLmaの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内であり、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内である。また、Lhb1はLmbの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内であり、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内である。
また、流延シート81の表面及び流延膜82の膜面の温度を測定する温度計85aと、流延シートと流延膜82との間の雰囲気の風速を測定する風速計85bとが、流延膜82の上方近傍に設けられている。温度計85aにより、流延シート81の表面及び流延膜82の膜面の温度を連続して測定することにより、第1〜第4実施形態と同様の温度条件が満たされていることを確認している。また、風速計85bにより、この風速を連続して測定することにより、第1〜第4実施形態と同様の風速条件が満たされていることを確認している。
これにより、流延膜82の膜面のうち、赤外線ヒータ83aの直下にある流延膜面82aには赤外線が照射される。一方で、赤外線ヒータ83aの直下からa方向又はb方向の両側端部に外れた流延膜面82bや、流延膜82が流延されない非流延領域には赤外線はほとんど照射されない。
そのため、流延膜82の膜面及び流延シート81の非流延領域は、a方向とb方向のそれぞれについて、第1〜第4実施形態における流延膜45の膜面及び流延バンド42の非流延領域における温度分布とほぼ同様の温度分布が形成される。例えば、流延膜82の中心位置Cを通りb方向に垂直な断面において、流延膜82の膜面のうちa方向両側端部の位置Eaが最も低温となる位置であり、位置Eaからa方向両側端部に非流延領域へ向かってLだけ入った位置Saの温度は、位置Eaの温度よりもさらに低温になる。ここで、位置Saの温度は、非流延領域の温度として測定されている。これにより、a方向では、第1〜第4実施形態における流延膜45の膜面及び流延バンド42の非流延領域における温度分布とほぼ同様の温度分布が形成されていることがわかる。a方向のその他の断面においても、b方向においても、同様である。また、流延膜45の膜面付近の雰囲気の風速についても、第1〜第4実施形態と同様の範囲内に抑えられる。そのため、第5実施形態についても、第1〜第4実施形態と同様に、本発明の効果が得られるので、その詳細の説明は省略する。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態は、図12に示すように、第5実施形態の赤外線照射装置83を赤外線照射装置86に代え、流延膜82と赤外線照射装置86との間に新たに長方形状の反射板88を備えたものである。赤外線照射装置86には、赤外線ヒータ86aが備えられている。赤外線ヒータ86aのa,b方向の長さはいずれも、流延膜の幅Lmより広い。第5実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
反射板88の中央部には、長方形状の穴が設けられている。この穴のa方向の長さはLha2であり、b方向の長さはLhb2である。ここで、Lha2,Lhb2は、それぞれ、Lma,Lmbの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内であり、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内である。反射板88は、赤外線ヒータ86aのa方向又はb方向の両側端部を覆うように配されている。反射板88は、赤外線を反射する材料で作られており、例えば研磨したアルミニウムが用いられている。
第6実施形態では、赤外線照射装置86を用いて赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。赤外線ヒータ86aは、流延膜82の膜面に向けて赤外線を照射する。反射板88により、赤外線ヒータ86aのa,b方向の照射幅はそれぞれ制限される。つまり、赤外線ヒータ86aから、流延膜82のうち、赤外線ヒータ86aの照射幅内の領域の直下にある流延膜面82aに向けて射出された赤外線は、流延膜面82aに照射される。一方、赤外線ヒータ86aから、流延膜82のうち、赤外線ヒータ86aの照射幅内の領域から両端に外れた流延膜面82bに向けて射出された赤外線は、反射板88によって遮られ、反射される。非流延領域に向けて射出された赤外線も同様に、反射板88によって遮られ、反射される。
そのため、流延膜面82b及び非流延領域には赤外線が照射されない。赤外線ヒータ86aの照射領域は反射板88の長方形状の穴の設けられた領域と略等しくなり、赤外線ヒータ86aの照射幅は、a方向がLha2であり、b方向がLhb2となっている。
この結果、流延膜82及び流延シート81に対する赤外線照射の様態は、第5実施形態と同じになる。そのため、第6実施形態では、第5実施形態と同じ効果を奏するので、詳細の説明は省略する。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態は、図13に示すように、第6実施形態の反射板88を二対の反射板89a,90aに代え、二対の反射板89a,90aにそれぞれ反射板制御器89b,90bを接続したものである。第6実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図13では、温度計85a及び風速計85bの図示を簡略化している。
第7実施形態では、赤外線照射装置86を用いて赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。一対の反射板89aは、それぞれ、赤外線照射装置86の赤外線照射側に、赤外線ヒータ86aのa方向両側端部を覆うように互いに離間して設けられている。また、一対の反射板90aは、それぞれ、赤外線照射装置86の赤外線照射側に、赤外線ヒータ86aのb方向両側端部を覆うように互いに離間して設けられている。
反射板制御器89b、90bは、反射板89a,90aをそれぞれa,b方向に移動させて、一対の反射板89a,90aのそれぞれa,b方向の離間幅Lha3,Lhb3を変更する機構である。これらの離間幅Lha3,Lhb3は、それぞれ赤外線ヒータ86のa,b方向の照射幅と等しくなる。そのため、反射板制御器89b、90bは、それぞれ一対の反射板89a,90aのa,b方向の離間幅Lha3,Lhb3を制御することにより、それぞれ赤外線ヒータ86のa,b方向の照射幅を制御することができる。なお、反射板89a,90aと反射板制御器89b,90bとを合わせて、それぞれ照射幅制御装置89,90と称する。照射幅制御装置89,90により、それぞれ照射幅Lha3,Lhb3が流延膜82の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内に、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内に制御されて、赤外線が照射される(赤外線照射乾燥工程62)。
第7実施形態は、第6実施形態においてa,b方向の照射幅Lha2,Lhb2を流延膜82の幅Lmの0.8倍以上1.0倍以下の範囲内に、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲内に設定していたのに代えて、照射幅制御装置89,90によりa,b方向の照射幅Lha3,Lhb3を同じ範囲内に制御しているものである。そのため、第7実施形態は第6実施形態と同じ赤外線照射状態を作り出すので、当然に第6実施形態と同様の効果を奏する。そのため、その詳細の説明は省略する。なお、第7実施形態の場合は、第6実施形態と異なり、照射幅Lha3,Lhb3をいつでも変更することができるので、第6実施形態より操作性がよくなる。
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態にかかる溶液製膜設備10は、第1実施形態にかかる溶液製膜設備10の流延室12を流延室102に代えたものである。流延室102は、図14に示すように、流延室12における赤外線照射装置51,52に代えて、それぞれ赤外線照射装置111及び112,113及び114を備える。第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図15では、図3,6,9,10と同様に、流延膜45及び流延バンド42の厚さが誇張して描かれている。また、図15では、図9,10と同様に、温度計53、風速計55及び緊急赤外線遮断機構の図示を省略している。
図14に示すように、赤外線照射装置111,112,113,114には、それぞれ赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aが備えられている。また、赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aと流延バンド42との間に、緊急赤外線遮断機構51b,52bと同様の機能を持つ緊急赤外線遮断機構111b,112b,113b,114bがそれぞれ設けられている。赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aのTD方向の長さはいずれもLh1である。赤外線照射装置111,112,113,114のすべてについて、MD方向下流側近傍には、温度計53及び風速計55が配されている。
第8実施形態では、赤外線照射装置111,112,113,114は、流延バンド42から、それぞれヒータ距離H1,H2,H3,H4をもって配されている。ヒータ距離は、H1,H2,H3,H4の順で、大きくなる。ここで、ヒータ距離H1,H2,H3,H4とは、それぞれ、流延膜面45aと流延膜面45aに対向する各赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aの面との間の距離のことを指す。
ヒータ距離H1,H2,H3,H4が大きくなるにしたがって、流延膜45が受ける赤外線のエネルギー量は小さくなるので、流延膜45が加熱されにくくなり、流延膜45中の溶剤が蒸発しにくくなる。ただし、流延膜45のTD方向における位置によって、受ける赤外線のエネルギー量は以下に説明する通り異なり、赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aから射出される赤外線のエネルギー量が大きくなるにしたがって、TD方向における中央の例えば位置Cと両側端の位置Bとに照射される赤外線のエネルギー量の差は大きくなる。具体的には以下である。
赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aの各々は、赤外線を射出する複数の射出部(図示なし)から形成されている。第8実施形態の赤外線ヒータ111aは、複数の射出部が流延バンド42の表面に沿って面状に並べられて形成されており、個々の射出部から射出された赤外線が流延膜45に照射される。なお、赤外線ヒータ112a,113a,114aについても同様であるので、図15を参照する以下の説明は赤外線ヒータ111aでの照射を例にして行い、赤外線ヒータ112a,113a,114aの赤外線の照射については説明を省略する。
射出部から射出された赤外線は周囲に均等に広がり、エネルギー量の大きさが等しい位置を示す等エネルギー線は球面状になる。図15では、この等エネルギー線を円弧状の二点鎖線で示している。このため、TD方向においては、位置Cには真上の射出部の他にその両側の近傍の射出部から射出された赤外線が照射されるが、位置Bには真上の射出部の他にその片側の近傍の射出部から射出された赤外線しか照射されない。位置Bの真上の射出部から射出された赤外線の一部は、TD方向側端部へ出て行ってしまう。したがって、赤外線ヒータ111aについてのヒータ距離H1が大きくなるほど、TD方向側端部の射出部から射出されたより多くの赤外線がTD方向側端部へ出て行ってしまうため、位置Cと位置Bとに照射される赤外線のエネルギー量の差は大きくなる。赤外線ヒータ112a,113a,114aの赤外線の照射についても同様である。
上記の位置Cと位置Bとに照射される赤外線のエネルギー量の差が大きい場合ほど、流延膜45の位置Cと位置Bとにおける残留溶剤量の差が大きくなる。この場合には、流延膜45が流延バンド42から剥ぎ取られて得られる湿潤フィルム19のTD方向中央部とTD方向両側端部とにおける残留溶剤量の差が大きくなる。このようなTD方向中央部とTD方向両側端部とで残留溶剤量の差が大きな湿潤フィルム19をクリップテンタ13でTD方向に延伸すると、TD方向に延伸むらが顕著になってしまう。
流延バンド42のMD方向上流へ行くほど流延膜45の残留溶剤量が多いので、上流へ行くほど、この流延膜45の残留溶剤量のTD方向における差が生じやすくなり、剥ぎ取った後の湿潤フィルム19をTD方向に延伸することによる延伸むらの発生につながりやすい。そこで、流延膜45の残留溶剤量が多い上流ほど、ヒータ距離H1,H2,H3,H4を小さくすることが好ましく、本実施形態でもそのようにしている。すなわち、ヒータ距離H1,H2,H3,H4の順に、大きく設定されている。これにより、流延膜45の残留溶剤量が多い上流ほど、位置Cと位置Bとに照射される赤外線のエネルギー量の差が小さく抑えられる。
また、赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aのヒータ温度が高くなるほど、流延膜45に照射される赤外線のエネルギー量のTD方向における差は大きくなる。そこで、流延膜45の残留溶剤量が少ない下流ほど、赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aのヒータ温度を低くすることが好ましく、本実施形態でもそのようにしている。すなわち、赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aの順に、ヒータ温度が低く設定されている。これにより、流延膜45の残留溶剤量が少ない下流ほど、流延膜45に照射される赤外線のエネルギー量のTD方向における差が小さく抑えられる。
第8実施形態において、第1実施形態と同様に、ポリマーとしてセルローストリアセテート、溶剤としてジクロロメタン(別名:メチレンクロライド)にメタノールなどのアルコールを少量混合したものを用いる場合には、例えば、赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aのヒータ温度を、それぞれ350℃程度,300℃程度,250℃程度,200℃程度と設定することが好ましい。また、例えば、ヒータ距離H1,H2,H3,H4を、それぞれ約50mm,約200mm,約400mm,約1000mmと設定することが好ましい。
このように赤外線ヒータ111a,112a,113a,114aのヒータ温度及びヒータ距離H1,H2,H3,H4を設定した場合には、ドープ18の残留溶剤量は400質量%より多い量であり、流延された流延膜45の残留溶剤量が300質量%程度になるまでは350℃程度の赤外線ヒータ111aにより流延膜45が加熱され、流延膜45の残留溶剤量が200質量%程度になるまでは300℃程度の赤外線ヒータ112aにより流延膜45が加熱され、流延膜45の残留溶剤量が100質量%程度になるまでは250℃程度の赤外線ヒータ113aにより流延膜45が加熱され、流延膜45の残留溶剤量が100質量%未満のところでは200℃程度の赤外線ヒータ114aにより流延膜45が加熱されることになる。このように、流延膜45において残留溶剤量が多い領域ではヒータ距離が短く、温度が高い赤外線ヒータにより流延膜45の温度が高く保持されるので、流延膜45の溶剤が早く蒸発する。また、剥ぎ取り直前(剥取ローラ44のMD方向上流側)では比較的ヒータ距離が長く、比較的温度の低い赤外線ヒータ114aで加熱されるため、流延膜45に照射される赤外線のエネルギー量のTD方向における差が小さく抑えられる。これにより、流延膜45が流延バンド42から剥ぎ取られて得られる湿潤フィルム19をクリップテンタ13でTD方向に延伸する際に生じる延伸むらの発生が抑えられる。さらに、剥取ローラ44を通過する際の流延バンド42の温度が比較的低く抑えられる。そのため、再び流延ダイ41の下に至るまでに、流延バンド42は確実に降温する。
本発明は、第1〜第8実施形態に限られない。適宜、互いに相容れない要素の組み合わせを除き、第1〜第8実施形態の要素を組み合わせてもよい。流延膜の膜面付近の雰囲気の風速を所定の値以下に抑え、かつ、流延膜45に赤外線を照射して、流延膜45及び流延バンド42の任意のMD方向に垂直な断面において、流延膜45の膜面上における任意の位置の膜面温度T1[単位;℃]が流延バンド42の表面上の非流延領域における任意の位置のバンド温度T2[単位;℃]以上となるように、好ましくは上述の式(1)を満たすように温度を保持して流延膜45を乾燥すれば、本発明の効果と同様の効果が得られる。よって、膜面温度T1がバンド温度T2以上となるように、好ましくは上述の式(1)を満たすように、流延膜45に赤外線を照射するいかなる方法も、本発明の範囲内の方法であると解するものとする。
以下、本発明の効果を確認するための実験の例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、ここに示す例はあくまで本発明に係る一例であり、本発明を限定するものではない。
〔実験1〕
ドープ18の原料としては、下記のポリマー原料及び溶剤原料を用いた。
〔ポリマー原料〕
セルローストリアセテート 100質量部トリフェニルフォスフェート 7質量部ビフェニルジフェニルフォスフェート 5.0質量部
〔溶剤原料〕
メチレンクロライド 92質量部
メタノール 8質量部
ポリマー原料を溶剤原料に溶解して、固形分濃度が19.0質量%のドープ18を調製した。なお、上記のセルローストリアセテートは、置換度2.84、粘度平均重合度306、含水率0.2質量%、ジクロロメタン溶液中の6質量%の粘度315mPa・s、平均粒子径1.5mm、標準偏差0.5mmの粉体である。また、トリフェニルフォスフェート及びビフェニルジフェニルフォスフェートは可塑剤である。本実施例では、調整されたドープ18を静置することにより脱泡し、送液ポンプによりフィルタを経由させたものを用いた。
図1の溶液製膜設備10を用いて、図4の流延膜形成工程61,赤外線照射乾燥工程62,剥取工程63,フィルム乾燥工程64を有する溶液製膜方法を行い、膜厚40μmのフィルム23を製造した。流延バンド42のMD方向の長さは100mよりやや長く、TD方向の幅は2000mmとし、流延膜45の幅Lmは1500mmとした。また、流延バンド42のMD方向への移動速度を、100m/分とした。後述する温度測定のために、非流延領域には黒体テープを貼った。
実験1では、溶液製膜設備10において、赤外線照射装置51に代えて、TD方向の長さLhが流延膜45の幅Lmの0.9倍であり、MD方向の長さが25mである赤外線ヒータを備える2つの赤外線照射装置IR1,IR2をMD方向に順次並べて配した。また、赤外線照射装置52に代えて、赤外線照射装置IR1,IR2と同様の赤外線照射装置IR3,IR4をMD方向に順次並べて配した。すなわち、流延バンド42のうち合計100mの区間に赤外線照射装置を配し、赤外線ヒータによる赤外線照射時間を60秒とした。赤外線照射装置IR1,IR2の間、及び赤外線照射装置IR3,IR4の間には、後述する温度測定が可能な最低限度の隙間を設けた。赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の各赤外線ヒータと流延膜45との距離をおよそ200mmとした。赤外線ヒータの温度THを、いずれも250℃とした。この赤外線は、波長が2〜30μmのものが混じっており、この赤外線の放射特性を測定したところ、プランクの法則に従っていた。赤外線ヒータの条件を表1の乾燥条件の欄に示す。
10分以上連続してフィルム23を製造し、流延室12内の温度が安定してから、位置C(図3参照)の温度,位置E(図3参照)の温度,及び位置S(図3参照)の温度を、株式会社KEYENCE製の赤外線温度計(IT2−50)を用いて測定した。位置C及び位置Eについては、流延膜45から輻射される赤外線を用いて温度測定をした。位置Sについては、非流延領域に貼った黒体テープから輻射される赤外線を用いて温度測定をした。この温度の測定は、次のMD方向6座標で行った。この6座標は、赤外線照射装置IR1の直下に流延膜45が導入される直前(座標1)、赤外線照射装置IR1と赤外線照射装置IR2との間(座標2)、赤外線照射装置IR2の直下を完全に通過した直後(座標3)、赤外線照射装置IR3の直下に流延膜45が導入される直前(座標4)、赤外線照射装置IR3と赤外線照射装置IR4との間(座標5)、赤外線照射装置IR3の直下を完全に通過した直後(座標6)の6座標である。これらの温度の測定結果を表1のT(C),T(E),T(S)の欄に示す。
また、座標1〜6にて測定した温度から、座標1〜6にて膜面温度T1≧バンド温度T2及び式(1)を満たすかどうかを評価した。T1≧T2,式(1)を満たす場合には「A」を、満たさない場合には「B」を、表1のそれぞれT1≧T2,式(1)の欄に示す。
また、同じ座標1〜6の6箇所で、移動する流延膜45の膜面から30mm離れた位置の風速(以下、膜面付近の風速)を測定した。これらの風速は、カノマックス社製のクリモマスター(Climomasterは登録商標)モデル6542を用いて測定した。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でも1.2m/sであった。
また、同じ座標1〜6の6箇所で、移動する流延膜45の膜厚Thを、株式会社キーエンス製の多層膜厚測定器(SI−Tシリーズ)を用いて測定した。この膜厚Th及び流延膜45を完全に乾燥させた時の膜厚Tdから、座標1〜6の6箇所における残留溶剤量Zを算出した。ここで、残留溶剤量Zの算出には、Z={(Th−Td)/Td}×100[単位;質量%]の式を用いた。算出した残留溶剤量Zを表1のZの欄に示す。
得られたフィルム23の両面のうち、流延バンド42に接触していた側とは反対側の面について、FUJINON社製のFRINGE ANALYZER FX03を用いて、流延方向の表面粗さRa[単位;μ]を測定した。なお、FRINGE ANALYZER FX03は、被検品の波面位相をフリンジスキャン方式で取得することにより、被検品の平滑性を測定する装置である。この表面粗さRaを、厚みむらの値とした。厚みむらの値を表1の厚みむらの値の欄に示す。また、厚みむらの値を、以下の基準に基づき評価した。以下の基準Aを満たすと、フィルムの製品仕様としての合格基準を満たす。この評価結果を表1の厚みむらの評価の欄に示す。
A:表面粗さRaが、0.3μm未満
B:表面粗さRaが、0.3μm以上
また、赤外線照射乾燥工程62において、流延膜45に発泡が生じたか否かを、以下の基準に基づき評価した。この評価結果を表1の発泡の欄に示す。
A:発泡が生じなかった
B:発泡が生じた
〔実験2〕
赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の全てに対し、赤外線ヒータのTD方向の長さLhを流延膜45の幅Lmの1.0倍とした以外は、実験1と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でも1.2m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表1のそれぞれの欄に示す。
〔実験3〕
赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の全てに対し、赤外線ヒータのTD方向の長さLhを流延膜45の幅Lmの0.8倍とした以外は、実験1と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でも1.2m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表1のそれぞれの欄に示す。
〔実験4〕
赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の全てに対し、赤外線ヒータのTD方向の長さLhを流延膜45の幅Lmの1.1倍とした以外は、実験1と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でも1.2m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表2のそれぞれの欄に示す。
〔実験5〕
赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の全てに対し、赤外線ヒータのTD方向の長さLhを流延膜45の幅Lmの1.2倍とした以外は、実験1と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でも1.2m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表2のそれぞれの欄に示す。
〔実験6〕
赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の全てに対し、赤外線ヒータのTD方向の長さLhを流延膜45の幅Lmの1.3倍とした以外は、実験1と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でも1.2m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表2のそれぞれの欄に示す。
〔実験7〕
赤外線照射装置IR1,IR2,IR3,IR4の全てに代えて、熱風乾燥装置HW1,HW2,HW3,HW4を設けた以外は、実験1と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。なお、熱風乾燥装置HW1,HW2,HW3,HW4の出す熱風の温度TWはいずれも100℃とし、熱風の風速VWはいずれも5.0m/sとした。また、熱風を出す熱風口のTD方向の長さLwは、いずれも流延膜45のTD方向の幅Lmの0.9倍とした。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でもVWと同じ5.0m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表3のそれぞれの欄に示す。
〔実験8〕
熱風乾燥装置HW1,HW2,HW3,HW4の熱風口のTD方向の長さLwをいずれも流延膜45のTD方向の幅Lmの1.2倍とした以外は、実験7と同じ条件にて各測定及び各評価を行った。各箇所の膜面付近の風速の測定結果はいずれの箇所でもVWと同じ5.0m/sであった。温度の測定結果,T1≧T2を満たすか否か,式(1)を満たすか否か,残留溶剤量Z,厚みむらの値及びその評価結果、発泡の評価結果を表3のそれぞれの欄に示す。
〔実験9〕
実験1と同じ方法で流延バンド42上に流延膜45を形成し、一定長さの流延膜45を形成したところで、流延バンド42の循環移動及び流延をやめ、赤外線も熱風も用いることなく、放置した。約200秒放置したところで、流延膜45の残留溶剤量Zが100質量%以下となった。この際の流延膜45には、発泡は生じなかった。その後、実験1と同様に、剥取工程63,フィルム乾燥工程64を順次行った。これにより得られたフィルム23に対して、実験1と同様に厚みむらの値を測定したところ、0.2μmであった。
Figure 0005877229
Figure 0005877229
Figure 0005877229
実験1〜9の結果より、流延膜45の乾燥に熱風を用いると厚みむらが生じるが、赤外線を用いると厚みむらが抑えられることがわかった。なお、実験8のように、熱風を当てる幅を制限しても、実験9と比較して厚みむらを低減することはできなかったことから、単に熱風を当てる幅を制限することは熱風が発生させる厚みむらの問題を解消することには寄与しないこともわかった。
実験1〜6の全ての座標における温度測定結果を、横軸T2にT(S)をとり、縦軸T1にT(C)又はT(E)をとって、2次元のグラフにプロットした。このグラフを図16に示す。このグラフには、T1=T2を示す直線U1と、T1=1.05×T2−1.25を示す直線U2とも合わせて示した。実験1〜3では、全ての温度測定結果について、T1≧T2となり、かつ、25≦T2≦60となった。一方、実験4〜6では、全ての温度測定結果についてT1<T2となり、T2>60の点が発生した。また、実験1〜3では発泡が抑えられ、実験4〜6では発泡が生じた。このことより、直線U1とT2=60の直線とが、赤外線照射を用いて発泡を抑えつつ流延膜45を乾燥させることができるか否かの境界線となっていることがわかった。
また、実験1〜3では、赤外線を60秒照射すると流延膜45の残留溶剤量Zが100質量%以下となった。実験3よりも実験1の方が流延膜45の乾燥が進んでおり、また、実験1よりも実験2の方が流延膜45の乾燥が進んでいた。このことから、Lh/Lmが0.8以上0.9未満の範囲内にあるよりも、0.9以上1.0以下の範囲内にある方が、流延膜45の乾燥をより進めることができるため、好ましいことが確認できた。
これらより、T1≧T2を満たし、流延膜45の乾燥に赤外線を用いた系では、各箇所の流延膜25の膜面付近の風速は、いずれの箇所でも2.0m/s以下に抑えられた。そして、赤外線の照射時間60秒以内で流延膜から溶剤を蒸発させることができ、厚みむら不良や発泡不良を引き起こすことなく、薄膜フィルムを得られることがわかった。特に、実験1〜3では好ましい結果が得られ、安定して赤外線の照射時間60秒以内に流延膜45の残留溶剤量Zを100質量%以下にすることができる系であることがわかった。
10 溶液製膜設備
12,66,72,79,102 流延室
42 流延バンド
45,82 流延膜
51,52,67,68,73,74,83,86,111〜114 赤外線照射装置
51a,52a,67a,68a,73a,74a,83a,86a,111a〜114a 赤外線ヒータ
77a,78a,88,89a,90a 反射板
77b,78b,89b,90b 反射板制御器

Claims (4)

  1. ポリマー及び溶剤を含むドープを支持体の表面に流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、
    風速が2.0m/s以下に抑えられた雰囲気中で、前記流延膜に赤外線を照射することにより前記流延膜を加熱して、前記流延膜の膜面上の第1の位置における膜面温度T1を、前記流延膜が形成されていない前記支持体上の前記第1の位置より幅方向外側にある第2の位置における支持体温度T2以上に保持しながら、前記流延膜を乾燥し、前記流延膜中の前記溶剤の残留量を100質量%以下とする赤外線照射乾燥工程と、
    前記溶剤の残留量が100質量%以下となった前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取工程と、
    前記剥ぎ取った湿潤フィルムを乾燥してフィルムとするフィルム乾燥工程とを有し、
    前記流延膜に前記赤外線を照射する赤外線ヒータの照射幅を、前記流延膜の幅の0.8倍以上1.0倍以下の範囲内とし、
    前記赤外線ヒータの前記赤外線の射出側に、前記赤外線ヒータの幅方向両側端部を覆い、前記赤外線を反射する一対の反射板が互いに離間して設けられ、
    前記照射幅は、前記反射板により制限されることを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記反射板は前記支持体の幅方向に移動可能に設けられ、
    前記反射板を前記幅方向に移動させることにより前記照射幅を調節することを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記赤外線ヒータの温度は、100℃以上500℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記赤外線の波長は、1μm以上1000μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の溶液製膜方法。
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