[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光アンプモジュールが適用された光伝送装置の外観を示す斜視図である。この光伝送装置1は、略箱型状のシャーシ2を有し、このシャーシ2に複数(2つ)の光アンプモジュール10、及び光伝送に必要な各種のモジュール3が装着されて構成されている。すなわち、この光伝送装置1は、シャーシ2に装着されるモジュールを適宜選択することにより、必要とされる通信仕様に柔軟に対応することが可能である。
光伝送装置1は、例えば端局間の伝送距離が100km以上の光伝送路に介在する中継局に配置され、減衰した光信号を増幅して下流側に伝送する。光伝送装置1に装着された2つの光アンプモジュール10のうち、一方の光アンプモジュール10(以下、この光アンプモジュールを「第1の光アンプモジュール10A」という)には光伝送路における一方の端局側の光ファイバが接続され、他方の光アンプモジュール10(以下、この光アンプモジュールを「第2の光アンプモジュール10B」という)には他方の端局側の光ファイバが接続される。
第1及び第2の光アンプモジュール10A,10Bは、それぞれ1つのプリアンプ及び1つのブースターアンプを有している。一方の端局側から送出された光信号は、第1の光アンプモジュール10Aのプリアンプに入力され、プリアンプで増幅された後に図略の分散補償器を介して第2の光アンプモジュール10Bのブースターアンプに入力される。伝送ファイバの波長分散により歪んだ光信号はその逆波長分散特性を有する分散補償器でその歪を補償され、かつブースターアンプで増幅された光信号は、第2の光アンプモジュール10Bに接続された光ファイバによって他方の端局側に送出される。
また、他方の端局から送出された光信号は、第2の光アンプモジュール10Bのプリアンプ、分散補償器、及び第1の光アンプモジュール10Aのブースターアンプを経由して一方の端局側に送出される。
図2は、光アンプモジュール10を斜め上方から見た斜視図であり、図3は、光アンプモジュール10を図2とは反対側から見た斜視図である。図4は、図1のA−A線断面でシャーシ2及び光アンプモジュール10の筐体11を切断した断面図である。
この光アンプモジュール10は、直方体状の筐体11を有し、図4に示す回路基板14、第1のアンプユニットとしてのプリアンプユニット15、及び第2のアンプユニットとしてのブースターアンプユニット16を筐体11内に備えている。筐体11は、図2及び図3に示すように、前面パネル110、第1の放熱板111、第2の放熱板112、側板113、ケース構成基板114、及び背面板115を備えた箱型に構成され、前面パネル110と背面板115とが光アンプモジュール10の奥行方向に対向している。またさらに、筐体11は、前面パネル110の内側に4つのネジ103(図2に示す)によって固定された前面板116(図4に示す)を備えている。本実施の形態では、第1の放熱板111と側板113とが断面L字状の一体の部材に形成されている。
光アンプモジュール10は、第1の放熱板111が鉛直方向の下側に配置され、第2の放熱板112が鉛直方向の上側に配置されるように、シャーシ2に装着される。光アンプモジュール10をシャーシ2に装着する際は、シャーシ2の前面に形成された開口に光アンプモジュール10を背面板115側から挿入してスライドさせる。
第1の放熱板111、第2の放熱板112、側板113、背面板115、及び前面板116は、放熱性を考慮してアルミニウム等の金属から形成されている。
第1の放熱板111には、前面パネル110から背面板115に向かって延びる第1のレール部材131が取り付けられている。また、第2の放熱板112には、同じく前面パネル110から背面板115に向かって延びる第2のレール部材132が取り付けられている。第1のレール部材131は、第1の放熱板111と平行な横部材131aと、第1の放熱板111に対して直角な縦部材131bとからなる断面L字状である。同様に、第2のレール部材132は、第2の放熱板112と平行な横部材132aと、第2の放熱板112に対して直角な縦部材132bからなる断面L字状である。
ケース構成基板114は、ガラスエポキシ等の樹脂からなるリジッド基板であり、筐体11の側板としても機能する。ケース構成基板114は、長手方向の一端部が背面板115に2つのネジ19によって固定されている。ケース構成基板114の下端部114aは、第1の放熱板111よりも下方に突出している。また、ケース構成基板114の上端部114bは、第2の放熱板112よりも上方に突出している。ケース構成基板114の下端部114a及び上端部114b、ならびに第1及び第2のレール部材131,132の縦部材131b,132bは、光アンプモジュール10をシャーシ2に装着する際に、シャーシ2のガイド部21(図4に示す)と摺動して光アンプモジュール10をシャーシ2の奥側に案内する。
シャーシ2への光アンプモジュール10の装着が完了すると、ケース構成基板114の奥側の端部に設けられたコネクタ18がシャーシ2に設けられたシャーシ側コネクタ6(図4に示す)に嵌合し、このシャーシ側コネクタ6から電源及び各種の電気信号が光アンプモジュール10に供給される。
前面パネル110は、両側が後方に折り返された鍔部110b,110cを有する。鍔部110bは、側板113にネジ止めされ、鍔部110cは、ケース構成基板114にネジ止めされている。
前面パネル110には、水平方向(幅方向)に配列された複数(7つ)の光コネクタ12A〜12Gが設けられている。複数の光コネクタ12A〜12Gは、プリアンプユニット15及びブースターアンプユニット16に接続される光ファイバを筐体11内に導入する光ファイバ導入部100を構成する。
また、前面パネル110には、複数の光コネクタ12A〜12Gの上方及び下方に、丸孔からなる複数の通気孔110aが形成されている。光コネクタ12A〜12Gの下方に設けられた複数の通気孔110aは、筐体11における第1の放熱板111の外面に外気を導入する第1の外気導入部101を構成し、光コネクタ12A〜12Gの上方に設けられた複数の通気孔110aは、筐体11における第2の放熱板112の外面に外気を導入する第2の外気導入部102を構成する。
光コネクタ12Aは、プリアンプユニット15への入力用の光コネクタであり、光コネクタ12Bは、プリアンプユニット15からの出力用の光コネクタである。光コネクタ12Cは、ブースターアンプユニット16への入力用の光コネクタであり、光コネクタ12Dは、ブースターアンプユニット16からの出力用の光コネクタである。光コネクタ12Eは、ブースターアンプユニット16の出力確認用の光コネクタである。光コネクタ12Fは、プリアンプユニット15へ入力される光信号から監視のための監視信号を分離して出力するDEMUXポート用の光コネクタである。また、光コネクタ12Gは、ブースターアンプユニット16から出力される光信号へ監視のための監視信号を合波するMUXポート用の光コネクタである。
光コネクタ12A,12B,12Fは、プリアンプユニット15に光ファイバによって接続される本発明の第1の光コネクタの一態様である。光コネクタ12C,12D,12E,12Gは、ブースターアンプユニット16に光ファイバによって接続される本発明の第2の光コネクタの一態様である。
回路基板14は、図4に示すように、第1の主面14aと、第1の主面14aの裏側の第2の主面14bとを有する板状であり、筐体11に収容されている。本実施の形態では、回路基板14が例えば熱硬化処理を施されたガラスエポキシ等の樹脂からなるリジッド基板であるが、柔軟性を有するフレキシブル基板を回路基板14として用いてもよい。
回路基板14は、筐体11内の収容空間を第1の収容空間11aと第2の収容空間11bとに区画している。本実施の形態では、光アンプモジュール10がシャーシ2に装着された状態において、回路基板14が水平となるように配置され、第1の収容空間11aが回路基板14の下方に、また第2の収容空間11bが回路基板14の上方に形成される。第1の主面14aは第1の収容空間11aに面し、第2の主面14bは第2の収容空間11bに面する。
回路基板14の第1の主面14aには、プリアンプユニット15に接続されるコネクタ141が実装され、回路基板14の第2の主面14bには、ブースターアンプユニット16に接続されるコネクタ142が実装されている。なお、図4では、プリアンプユニット15に接続されたコネクタ141、及びブースターアンプユニット16に接続されたコネクタ142を破線で示している。
プリアンプユニット15は、第1の収容空間11aに収容され、光コネクタ12A,12B,12Fに後述する光ファイバ13A,13B,13F(図7に示す)によって接続される。ブースターアンプユニット16は、第2の収容空間11bに収容され、光コネクタ12C,12D,12E,12Gに後述する光ファイバ13C,13D,13E,13G(図7に示す)によって接続される。
プリアンプユニット15は、ケース部材150の内部に光増幅器等の発熱部品151を収容して回路基板14の第1の主面14a側に配置され、ケース部材150が回路基板14に複数のネジ143によって固定されている。また、ブースターアンプユニット16は、ケース部材160の内部に光増幅器等の発熱部品161を収容して回路基板14の第2の主面14b側に配置され、ケース部材160が回路基板14に複数のネジ144によって固定されている。
回路基板14の第2の主面14bには、プリアンプユニット15の動作のためのIC等の電子部品171,172が実装されている。また、回路基板14の第1の主面14a側には複数の光ファイバ保持部材145が固定され、回路基板14の第2の主面14b側には複数の光ファイバ保持部材146が固定されている。
回路基板14の第1及び第2の主面14a,14bには、図略の配線パターンが形成され、この配線パターンの表面がソルダーレジスト等の絶縁被膜によって覆われている。
第1の放熱板111は、プリアンプユニット15を挟んで回路基板14の第1の主面14aに対向し、プリアンプユニット15の発熱部品151の熱をケース部材150を介した熱伝導によって放熱する。また、第2の放熱板112は、ブースターアンプユニット16を挟んで回路基板14の第2の主面14bに対向し、ブースターアンプユニット16の発熱部品161の熱をケース部材160を介した熱伝導によって放熱する。第1の放熱板111及び第2の放熱板112は、前面パネル110と背面板115との間に介在し、回路基板14の第1及び第2の主面14a,14bの略全体を覆うように配置されている。
本実施の形態では、プリアンプユニット15のケース部材150の下面150bと第1の放熱板111の内面111aとの間に放熱シート153が配置され、ブースターアンプユニット16のケース部材160の上面160aと第2の放熱板112の内面112aとの間に放熱シート163が配置されているが、プリアンプユニット15のケース部材150と第1の放熱板111、及びブースターアンプユニット16のケース部材160と第2の放熱板112を直接接触させてもよい。また、プリアンプユニット15のケース部材150と第1の放熱板111との間、及びブースターアンプユニット16のケース部材160と第2の放熱板112との間に放熱グリスを介在させてもよい。すなわち、プリアンプユニット15のケース部材150と第1の放熱板111、及びブースターアンプユニット16のケース部材160と第2の放熱板112が直接的に接触し、もしくは熱伝導性に優れた熱伝導部材を介在させて、熱的に結合されていればよい。
プリアンプユニット15及びブースターアンプユニット16は、それぞれのケース部材150,160と前面パネル110との間の距離が異なる位置に配置されている。つまり、図4に示すように、前面パネル110に直交する奥行方向D(回路基板14の長手方向)における前面パネル110とプリアンプユニット15との間の距離をL1とし、同じく奥行方向Dにおける前面パネル110とブースターアンプユニット16との間の距離をL2とすると、L2はL1よりも長い。
本実施の形態では、プリアンプユニット15が回路基板14の長手方向における前面パネル110寄りに配置され、ブースターアンプユニット16が回路基板14の長手方向における背面板115寄りに配置されている。また、プリアンプユニット15及びブースターアンプユニット16は、それぞれのケース部材150,160の配置領域が回路基板14の厚さ方向に重ならない位置に配置されている。つまり、回路基板14を厚さ方向に透視したとき、プリアンプユニット15及びブースターアンプユニット16のケース部材150,160が重ならず、プリアンプユニット15のケース部材150の第1の主面14aにおける配置領域と、ブースターアンプユニット16のケース部材160の第2の主面14bにおける配置領域とは、回路基板14の長手方向にずれている。なお、ブースターアンプユニット16は、プリアンプユニット15よりも、光アンプモジュール10の奥行方向の寸法及び幅方向の寸法が共に小さくなっている。
上記のように構成された光アンプモジュール10は、シャーシ2内において空冷される。図4に示すように、光アンプモジュール10がシャーシ2に装着された状態において、第1の放熱板111とシャーシ2の下板2aとの間、及び第2の放熱板112とシャーシ2の上板2bとの間には空気が光アンプモジュール10の奥行方向Dに沿って流動する隙間が形成される。また、シャーシ2には、筐体11の背面板115に対向する後壁2cに開口部2dが形成され、開口部2dの近傍にシャーシ2内の空気を外部に排出するファン7が取り付けられている。
第1の外気導入部101から導入された外気は、第1の放熱板111の外面111bに沿ってシャーシ2の奥側に流動し、開口部2dから外部に排出される。また、第2の外気導入部102から導入された外気は、第2の放熱板112の外面112bに沿ってシャーシ2の奥側に流動し、開口部2dから外部に排出される。この第1及び第2の外気導入部101,102から開口部2dへの空気の流れにより、第1及び第2の放熱板111,112から熱が放熱される。
シャーシ2内における光アンプモジュール10の後方には、シャーシ側コネクタ6が実装されたマザーボード5が取付板4によって取り付けられている。マザーボード5は、ファン7によるシャーシ2内の空気の流れを阻害しないように、その上側を空気が流動可能な形状及び寸法に形成されている。
図5は、前面パネル110ならびに第1及び第2のレール部材131,132を省略して筐体11を示す斜視図であり、(a)は第2の放熱板112側を、(b)は第1の放熱板111側を、それぞれ示す。
筐体11は、奥行方向の両端部に背面板115及び前面板116を有し、この背面板115及び前面板116に第1の放熱板111、第2の放熱板112、及び側板113が固定されている。つまり、背面板115及び前面板116は、奥行方向の両端部に配置された固定部材として機能する。前面板116には、前面パネル110の光ファイバ導入部100に対応する部位に、開口116aが形成されている。
第1の放熱板111は、奥行方向の一端部が背面板115に固定され、他端部が前面板116に固定されている。つまり、第1の放熱板111は、奥行方向の両端部が固定部材に固定されている。側板113は、第1の放熱板111と同様に、奥行方向の一端部が背面板115に固定され、他端部が前面板116に固定されている。
第2の放熱板112は、奥行方向の一端部がブースターアンプユニット16のケース部材160に固定され、奥行方向の他端部が前面板116に固定されている。より詳細には、第2の放熱板112は、上記他端部が、奥行方向に直交する幅方向の一方の端部において前面板116に固定されている。また、第2の放熱板112は、前面板116に固定された側の端面112cから奥行方向に沿って延びる切込み112dが形成された矩形状である。
第1の放熱板111及び側板113は、複数のネジ117によって背面板115及び前面板116に固定されている。第2の放熱板112は、一端部が背面板115との間に隙間を有して配置され、他端部が1つのネジ117によって前面板116に固定されている。
図6は、複数の光ファイバを配策した状態を示す回路基板14の第1の主面14a側の平面図である。図7は、複数の光ファイバを配策した状態を示す回路基板14の第2の主面14b側の平面図である。
図6及び図7に示すように、複数の光ファイバ13A〜13Gは、光コネクタ12A〜12Gとプリアンプユニット15及びブースターアンプユニット16とを接続している。具体的には、光コネクタ12Aとプリアンプユニット15の入力ポート15aとが光ファイバ13Aによって接続され、光コネクタ12Eとプリアンプユニット15の入力ポート15aとが光ファイバ13Eによって接続される。また、光コネクタ12Bとプリアンプユニット15の出力ポート15bとが光ファイバ13Bによって接続される。また、光コネクタ12Cとブースターアンプユニット16の入力ポート16aとが光ファイバ13Cによって接続され、光コネクタ12Gとブースターアンプユニット16の入力ポート16aとが光ファイバ13Gによって接続される。またさらに、光コネクタ12Dとブースターアンプユニット16の出力ポート16bとが光ファイバ13Dによって接続され、光コネクタ12Fとブースターアンプユニット16の出力ポート16bとが光ファイバ13Fによって接続される。
光ファイバ13A,13B,13Fは、本発明の第1の光ファイバの一態様である。また、光ファイバ13C,13D,13E,13Gは、本発明の第2の光ファイバの一態様である。
また、図6及び図7に示すように、回路基板14には、筐体11における前面パネル110と背面板115との間に延在する側板113との間の隙間を拡大する切欠き部14cが形成されている。この切欠き部14cは、回路基板14におけるブースターアンプユニット16の配置領域と側板113との間に形成されている。つまり、図7に示すように、回路基板14を第2の主面14b側から見た場合に、切欠き部14cは、ブースターアンプユニット16のケース部材160よりも側板113側に形成されている。光ファイバ13A,13B,13Fは、切欠き部14cを通過して第1の収容空間11aと第2の収容空間11bとの間に亘って配置されている。
図7に示すように、光コネクタ12A〜12Gは、光ファイバが導出される光ファイバ導出部12a〜12gを含む少なくとも一部が前面パネル110から第2の収容空間11b内に突出している。本実施の形態では、光コネクタ12A〜12Gが筐体11の内外に亘って配置され、それぞれの光コネクタ12A〜12Gの光ファイバ導出部12a〜12gが第2の収容空間11bに収容されている。
図6に示すように、第1の収容空間11aにおける背面板115とプリアンプユニット15との間には、光ファイバ13A,13B,13Fの余長部分を巻回状態で収納する第1の余長収納部11cが形成されている。光ファイバ13A,13B,13Fは、回路基板14の第1の主面14a側に固定された複数の光ファイバ保持部材145に保持され、環状に巻き回されている。複数の光ファイバ保持部材145は、光ファイバ13A,13B,13Fの巻き回し方向に沿って配置されている。本実施の形態では、4つの光ファイバ保持部材145が等間隔に配置されている。
また、図7に示すように、第2の収容空間11bにおける前面パネル110とブースターアンプユニット16との間には、光ファイバ13C,13D,13E,13Gの余長部分を巻回状態で収納する第2の余長収納部11dが形成されている。光ファイバ13C,13D,13E,13Gは、回路基板14の第2の主面14b側に固定された複数の光ファイバ保持部材146に保持され、環状に巻き回されている。複数の光ファイバ保持部材146は、光ファイバ13C,13D,13E,13Gの巻き回し方向に沿って配置されている。本実施の形態では、4つの光ファイバ保持部材146が等間隔に配置されている。
なお、光ファイバ13A,13B,13Fを第2の主面14b側において複数の光ファイバ保持部材146によって環状に保持してもよい。
図4に示すように、第1の余長収納部11cは、回路基板14の第2の主面14b側におけるブースターアンプユニット16の配置領域の下方に形成されている。第2の余長収納部11dは、回路基板14の第1の主面14a側におけるプリアンプユニット15の配置領域の上方に形成されている。
第2の余長収納部11dは、第1の余長収納部11cよりも前面パネル110側に偏在している。すなわち、第2の余長収納部11dにおいて巻き回された光ファイバ13C,13D,13E,13Gの中心位置は、第1の余長収納部11cにおいて巻き回された13A,13B,13Fの中心位置よりも奥行方向において前面パネル110側にある。
第1の放熱板111は、第1の余長収納部11c及びプリアンプユニット15を挟んで回路基板14の第1の主面14aに対向している。第2の放熱板112は、第2の余長収納部11d及びブースターアンプユニット16を挟んで回路基板14の第2の主面14bに対向している。
図8は、第2のレール部材132及び第2の放熱板112を取り外して筐体11の内部を示す斜視図である。なお、図8及び後述する図9,図10では光ファイバ13A〜13Gの図示を省略している。
図8に示すように、ブースターアンプユニット16には、上面160aの四隅に4つのネジ孔16cが形成されている。第2の放熱板112は、内面112aをブースターアンプユニット16の上面160aに向かい合わせ、ネジ孔16cに螺合するネジ(後述するネジ164;図11に示す)によってブースターアンプユニット16に固定される。
図9は、図8におけるブースターアンプユニット16を仮想線(二点鎖線)で示した斜視図である。図9に示すように、回路基板14には、複数のネジ144(図4に示す)を挿通させる複数(4つ)の貫通孔14dが形成され、ブースターアンプユニット16は、これらの貫通孔14dを挿通した4つのネジ144(図4に示す)によって回路基板14に固定される。また、回路基板14は、背面板115における開口部115aの内面に2つのネジ143によって固定される。
図10は、図9においてさらに回路基板14の図示を省略して第1の放熱板111に固定されたプリアンプユニット15の上面150a側を示す斜視図である。プリアンプユニット15の上面150aには、その四隅に4つのネジ孔15c(図10には1つのネジ孔15cのみを示す)が形成されている。プリアンプユニット15は、回路基板14を挿通したネジ143(図4に示す)がネジ孔15cに螺合することによって回路基板14に固定される。
(光アンプモジュール10の組み立て手順)
光アンプモジュール10の組み立て手順の一例について説明する。なお、この組み立て手順は一例として示すものであり、他の手順によっても光アンプモジュール10の組み立てることは可能である。
光アンプモジュール10を組み立てる際は、まず電子部品171,172等を実装した回路基板14の第2の主面14b側にブースターアンプユニット16をネジ144によって取り付け、さらに回路基板14の後端部に背面板115をネジ143によって取り付ける。その後、回路基板14の第1の主面14aに複数の光ファイバ保持部材145を固定し、回路基板14の第2の主面14bに複数の光ファイバ保持部材146を固定する。光ファイバ保持部材145,146は、例えば接着又は両面テープによって回路基板14に固定される。
次に、回路基板14の第1の主面14a側にプリアンプユニット15をネジ143によって取り付け、プリアンプユニット15の下面150b側に第1の放熱板111を取り付ける。その後、第1の放熱板111の前端部に前面板116をネジ117によって取り付け、さらに側板113を背面板115及び前面板116にネジ117によって固定する。
次に、予めケース構成基板114を取り付けた前面パネル110を前面板116にネジ103によって取り付け、さらにケース構成基板114の後端部をネジ19によって背面板115に固定する。その後、前面パネル110に光コネクタ12A〜12Gを内側から固定する。
次に、ブースターアンプユニット16の上面160a側に第2の放熱板112を取り付け、さらに第2の放熱板112の外面112b側に第2のレール部材132を取り付けると共に、第1の放熱板111の外面111b側に第1のレール部材131を取り付け、光アンプモジュール10を組み立てが完了する。
図11は、ブースターアンプユニット16の上面160a側に第2の放熱板112を取り付けた状態を示す斜視図である。第2の放熱板112のブースターアンプユニット16への固定は、4つのネジ孔16c(図8に示す)にそれぞれ螺合する4つのネジ164によって行う。第2の放熱板112の前面パネル110側の端部における幅方向の一端には、貫通孔112eが形成されている。この貫通孔112eは、前面板116の上側の端面に形成されたネジ孔116b(図8〜図10に示す)に連通する位置に形成されている。
図12は、第2の放熱板112の外面112b側に第2のレール部材132を取り付けた状態を示す斜視図である。第2の放熱板112のブースターアンプユニット16へ固定した後、図13に示すように、第2の放熱板112の外面112b側に第2のレール部材132を配置し、第2のレール部材132の横部材132aの両端部を2つのネジ117によって背面板115及び前面板116に固定する。この際、前面板116側のネジ117は、第2の放熱板112の前面パネル110側の端部における幅方向の一端に形成された貫通孔112eを挿通して前面板116のネジ孔116bに螺合する。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、次に述べる作用及び効果が得られる。
(1)第1の余長収納部11cは背面板115とプリアンプユニット15との間に形成されているので、光コネクタ12A,12B,12Fと第1の余長収納部11cとの間の距離を光アンプモジュール10の奥行方向に長く取ることができ、光コネクタ12A,12B,12Fに接続される光ファイバ13A,13B,13Fの配策経路における最小曲率半径を許容曲率半径よりも大きくすることが容易となる。また、第2の余長収納部11dは、第1の余長収納部11cよりも前面パネル110側に偏在しているので、光コネクタ12C,12D,12E,12Gとブースターアンプユニット16の入出力ポート16a,16bとの間をとの間の距離を長くすることができ、光ファイバ13C,13D,13E,13Gの配策経路における最小曲率半径を許容曲率半径よりも大きくすることが容易となる。これにより、光ファイバ13A〜13Gが許容曲率半径よりも小さな曲率半径で屈曲されることを回避しながら小型化を図ることが可能となる。
(2)光ファイバ13A,13B,13Fは、回路基板14における側板113側の端部に形成された切欠き部14cを介して配策されるので、光ファイバ13A,13B,13Fを容易に第1の収容空間11aから第2の収容空間11b側へ引き回すことが可能であると共に、第1の収容空間11aにおいて巻き回された状態から大きく屈曲させることなく第2の収容空間11b側へ導くことができる。これにより、光ファイバ13A,13B,13Fの最小曲率半径を許容曲率半径よりも大きくしながら、さらなる小型化を図ることが可能となる。
(3)切欠き部14cは、回路基板14におけるブースターアンプユニット16の配置領域と側板113との間に形成されているので、第2の余長収納部11dに面した回路基板14の第2の主面14bに部品を実装するにあたり、その実装面積を狭めることなく光ファイバ13A,13B,13Fを無理なく挿通させることが可能となる。また、第1の余長収納部11cは、ブースターアンプユニット16の配置領域の下方に形成されているので、円滑に光ファイバ13A,13B,13Fを切欠き部14cに挿通させることが可能となる。
(4)第1の放熱板111は、第1の余長収納部11c及びプリアンプユニット15を挟んで回路基板14の第1の主面14aに対向しているので、プリアンプユニット15で発した熱が第1の放熱板111の外面111bから放熱される。また、第1の放熱板111は、前面パネル110と背面板115との間に介在し、プリアンプユニット15の下面150bよりも面積が大きいので、プリアンプユニット15の下面150bを空冷する場合よりも放熱効率を高めることが可能となる。
(5)同様に、第2の放熱板112は、第2の余長収納部11d及びブースターアンプユニット16を挟んで回路基板14の第2の主面14bに対向しているので、ブースターアンプユニット16で発した熱が第2の放熱板112の外面112bから放熱される。また、第2の放熱板112は、前面パネル110と背面板115との間に介在し、ブースターアンプユニット16の上面160aよりも面積が大きいので、ブースターアンプユニット16の上面160aを空冷する場合よりも放熱効率を高めることが可能となる。
(6)前面パネル110には、前面パネル110を貫通する複数の通気孔110aからなる第1の外気導入部101及び第2の外気導入部102が形成されているので、第1の放熱板111の外面111b及び第2の放熱板112の外面112bに効率よく外気を導くことができる。これにより、光アンプモジュール10の放熱効率をより高めることが可能となる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]第1及び第2の光コネクタ(12A〜12G)が設けられた前面パネル(110)、及び前記前面パネル(110)と奥行き方向に対向する背面板(115)を含む直方体状の筐体(11)と、前記筐体(11)に収容され、前記筐体(11)内の収容空間を第1の収容空間(11a)と第2の収容空間(11b)とに区画する基板(14)と、前記第1の収容空間(11a)に収容され、前記第1の光コネクタ(12A,12B,12F)に第1の光ファイバ(13A,13B,13F)によって接続された第1のアンプユニット(15)と、前記第2の収容空間(11b)に収容され、前記第2の光コネクタ(12C,12D,12E,12G)に第2の光ファイバ(13C,13D,13E,13G)によって接続された第2のアンプユニット(16)とを備え、前記第1及び第2の光コネクタ(12A〜12G)は、光ファイバ導出部(12a〜12g)を含む少なくとも一部が前記前面パネル(110)から前記第2の収容空間(11b)内に突出し、前記第1の収容空間(11a)における前記背面板(115)と前記第1のアンプユニット(15)との間に前記第1の光ファイバ(13A,13B,13F)の余長部分を巻回状態で収納する第1の余長収納部(11c)が形成され、前記第2の収容空間(11b)における前記前面パネル(110)と前記第2のアンプユニット(16)との間に前記第2の光ファイバ(13C,13D,13E,13G)の余長部分を巻回状態で収納する第2の余長収納部(11d)が形成され、前記第2の余長収納部(11d)が前記第1の余長収納部(11c)よりも前記前面パネル(110)側に偏在する光アンプモジュール(10)。
[2]前記基板(14)には、前記筐体(11)における前記前面パネル(110)と前記背面板(115)との間に延在する側板(113)との間の隙間を拡大する切欠き部(14c)が形成され、前記第1の光ファイバ(13A,13B,13F)は、前記切欠き部(14c)を通過して前記第1の収容空間(11a)と前記第2の収容空間(11b)との間に亘って配置された、前記[1]に記載の光アンプモジュール(10)。
[3]前記切欠き部(14c)は、前記基板(14)における前記第2のアンプユニット(16)の配置領域と前記側板(113)との間に形成された、前記[2]に記載の光アンプモジュール(10)。
[4]前記筐体(11)は、前記第1の余長収納部(11c)及び前記第1のアンプユニット(15)を挟んで前記基板(14)の第1の主面(14a)に対向し、前記前面パネル(110)と前記背面板(115)との間に介在する第1の放熱板(111)と、前記第2の余長収納部(11d)及び前記第2のアンプユニット(16)を挟んで前記基板(14)の第2の主面(14b)に対向し、前記前面パネル(110)と前記背面板(115)との間に介在する第2の放熱板(112)とを有する、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の光アンプモジュール(10)。
[5]前記前面パネル(110)には、前記第1の放熱板(111)の外面(111b)に外気を導入する第1の外気導入部(101)、及び前記第2の放熱板(112)の外面(112b)に外気を導入する第2の外気導入部(102)が形成された、前記[4]に記載の光アンプモジュール(10)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
例えば、上記した実施の形態では、第1のアンプユニットとしてプリアンプユニット15を用い、第2のアンプユニットとしてブースターアンプユニット16を用いた場合について説明したが、これとは反対に、第1のアンプユニットとしてブースターアンプユニットを用い、第2のアンプユニットとしてプリアンプユニットを用いてもよい。また、第1及び第2のアンプユニットが共にプリアンプユニット又はブースターアンプユニットであってもよい。
また、上記実施の形態では、光アンプモジュール10をラック2に着脱可能にした光伝送装置1について説明したが、これに限らず、単体で用いられる光アンプモジュールに本発明を適用してもよい。
また、上記実施の形態では、筐体11の幅方向の両端面のうち、一方の端面を金属からなる側板113によって形成し、他方の端面をケース構成基板114によって形成した場合について説明したが、幅方向の両端に金属からなる側板113を配置してもよい。