JP6011418B2 - 自動車用フロアカーペットの構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のフロアパネル上に敷設される自動車用フロアカーペットの構造に関するものである。
従来から、自動車用フロアカーペット(以下、単に「カーペット」と言う。)としては、車室外から車室内へ侵入する騒音を低減するように構成されたものが開発されている。このようなカーペットは、自動車のフロアパネル上に敷設されて用いられる。
図7に、従来のカーペットの構造の一例を模式的に示す。図7に車幅方向の断面図を示すように、一般に、フロアパネル110には、図示しないプロペラシャフトを通すためのセンタートンネル部111,サイドシル120と結合するサイドシル結合部112が設けられ、補強のための波型断面部113が設けられている場合もある。なお、波型断面部113は、フレーム相当の構造要素になるので、フロアフレームとも呼ぶ。これらのセンタートンネル部111,サイドシル結合部112及び波型断面部113は、それぞれフロアパネル110の前後方向に延びて形成され、フロアパネル基面115よりも高くなった箇所であり、以下、これらを総称して「突出部」という。
通常、カーペットは、フロアパネル上で部分的に浮くことがないように、フロアパネルの形状に応じてプレス等により成形された後、フロアパネル上に敷設される。或いは、フロアパネルの形状に応じて下層部分を隙間なく敷き詰めて、その上面をフラットにしてから上層部分を載せることにより、フロアパネル上に敷設される。
つまり、図7に示すように、カーペット130は、その下面がフロアパネル110の突出部111,112,113に対応して凹凸を持ったものに成形される。一方で、カーペット130の表面は、車室内空間を広くすると共に乗員が足を乗せ易いように、できるだけ上方(車室側)への突出を抑えて低い位置でフラットに成形される。
特許文献1には、フロアパネル上の凹凸(フロアパネル基面と、これよりも高い位置に形成されたフロアフレーム上面との段差)を埋めるように、嵩上げ材を設けたカーペットが開示されている。このカーペットは、嵩上げ材の上面に、下(フロアパネル側)から順に、第1フェルト材(遮音層)、遮音シート体(樹脂シート体)、第2フェルト材(吸音層)及び表皮材層を積層し、車室内外の騒音を低減すると共に、引張強度が高い遮音シート体を用いることによってカーペット全体の剛性を確保するようにしている。
特開2008−285027号公報
ところで、一般的にカーペットは、図7に示すように、非通気もしくは通気抵抗の高い表皮材層131と、表皮材層131よりも通気抵抗の低いフェルト材(中間層)134との積層構造とし、表皮材層131とフロアパネル110とで二重壁をつくることによって、遮音性能(透過損失)を材料の面密度(又は質量)と周波数との積の対数に比例する特性(いわゆる、質量則)によるものよりも大きく向上させたものとしている。
このように二重壁によって遮音性能を高める二重壁効果は、表皮材層131とフロアパネル110との間に構成される中間層134の厚みによって程度が異なる。つまり、中間層134の厚みが所定の厚みより大きい場合は二重壁効果が得られるが、中間層134の厚みが所定の厚み以下の場合は二重壁効果が得られ難くなり、遮音性能は質量則に基づいたものに近くなる。
図7に示すように、カーペット130は、表皮材層131とフロアパネル基面115との間に構成される中間層134の厚みが所定の厚みより大きく、二重壁効果が得られるようになっているが、フロアパネル110の突出部111,112,113と係合する中間層134は、その厚みが相対的に小さい薄肉箇所133a,133b,133c,133d,133eとなる。
つまり、フロアパネル110のサイドシル結合部112及び波型断面部113はフロアパネル基面115よりも高くなっているのに対し、これらに被覆する部分のカーペット130の表面は、乗員が足を乗せ易いようにフラットに形成されているため、これらの部分の中間層134は薄肉箇所133b,133eとなる。
また、上述したように、上方に突出するセンタートンネル部111及びサイドシル部120,120に被覆する部分のカーペット130は、車室内空間を広くするために薄く成形されて車室側への突出を抑えているので、これらの部分の中間層134は薄肉箇所133a,133c,133dとなる。
このような薄肉箇所133a,133b,133c,133d,133eでは、中間層134の厚みが小さいため、二重壁効果が得られ難くなる。その結果、カーペット130の遮音性能を低下させてしまう。カーペット130が一定の遮音性能を満たさない場合には、カーペット130の遮音性能を向上させる対策が必要になる。
この場合、カーペット130の厚みを増大させることなく遮音性能を向上させなくてはならない。二重壁効果が期待できない限り、例えば、表皮材層131をより面密度の高いものにすることが考えられるが、これにも限度がある。そこで、例えば図7に二点鎖線で示すように、表皮材層131の裏面の全面に遮音層を追加することも考えられる。いずれにしても、カーペット130の質量を増やすことにより、質量則に基づいて遮音性能を向上させる必要がある。
遮音層を用いる場合、遮音層に質量のより大きい(高密度の)材料を用いることで、質量則に基づく遮音性能をより向上させることができる。
一方、カーペットには、組み付け時に作業者が無理なく持ち運ぶことができるように重量制限が設けられているため、遮音層を過剰に追加すれば、カーペットの重量増が過剰になり、カーペットの重量が重量制限を超えてしまって一枚ものでは扱えなくなってしまう。
本願は、このような課題に鑑みて案出されたもので、効率よく遮音性能を向上させつつも、重量増を抑制することができるようにした、自動車用フロアカーペットの構造を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明の自動車用フロアカーペットの構造は、表皮材層と前記表皮材層の裏面側の中間層とを有し、自動車のフロアパネル上への敷設時に、前記中間層を介して前記フロアパネルと離隔して配置される前記表皮材層が前記フロアパネルと協働して二重壁構造を構成する自動車用フロアカーペットの構造であって、前記中間層には、厚みが所定の厚み以下の薄肉箇所が部分的に設けられ、前記薄肉箇所にのみ部分遮音層が設けられていることを特徴としている。
なお、本発明において、薄肉箇所は中間層に部分的に設けられた厚みの無い箇所も含むものとする。
(2)前記フロアパネルの中央部にはフロアパネル基面よりも上方に突出したトンネル部が前後に延びて形成され、前記フロアパネルの左右端部のサイドシルと結合する箇所には前記フロアパネル基面よりも高くなったサイドシル結合部が前後に延びて形成され、前記薄肉箇所は、前記トンネル部及び前記サイドシル結合部を含む、前記フロアパネル基面よりも高くなった箇所に対応して設けられていることが好ましい。
(3)また、前記部分遮音層はシート状材料を型抜きした一枚ものであることが好ましい。
(4)また、前記表皮材層には高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗の大きい材料が用いられ、前記中間層には低密度で且つ通気抵抗の小さい材料が用いられ、前記部分遮音層には高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗の大きい材料が用いられていることが好ましい。
(5)また、前記部分遮音層は前記表皮材層と前記中間層の前記薄肉箇所との間に介装されることが好ましい。
(1)本発明の自動車用フロアカーペットの構造によれば、薄肉箇所は中間層が薄いため二重壁効果が得られ難く、相対的に遮音の弱点部位になるが、薄肉箇所には部分遮音層が設けられているので、部分遮音層により弱点部位の遮音性能を向上させることができる。また、遮音層は高密度のものほど遮音性能が高いが、カーペット全面に遮音層を設けると、カーペット全体の重量増が過剰になり使用できなくなる場合がある。しかし、部分遮音層はカーペットの一部である薄肉箇所にのみ設けられるので、高密度で遮音性の高い材料を部分遮音層に用いてもカーペット全体の重量増を抑えることができ、薄肉箇所において効率よく高い遮音効果を得ることができる。
(2)また、フロアパネルには、トンネル部やサイドシル結合部などのフロアパネル基面よりも高くなった箇所が形成され、このような個所に対応して、中間層の厚みが所定の厚み以下の薄肉箇所を設けることにより、フロアカーペットの表面の高さを抑えられ車室内空間を確保できる。しかし、この薄肉箇所は、中間層が薄く二重壁効果が得られ難いだけでなく、比較的乗員の耳の近くに位置するので遮音すべき重要部位になるが、部分遮音層によりこの部位に対して効率よく遮音性能を向上させることができる。
(3)また、部分遮音層はシート状材料を型抜きした一枚ものであれば、部分遮音層が一点ものになるため部品管理が容易になり、組み付け作業性の向上も図ることができる。
(4)また、表皮材層及び部分遮音層には高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗の大きい材料が用いられ、中間層には低密度で且つ通気抵抗の小さい材料が用いられれば、表皮材層とフロアパネルとによる二重壁効果によって高い遮音性能を確実に得ることができ、部分遮音層によって質量則に基づく遮音性能を確実に得ることができる。
(5)また、部分遮音層は表皮材層と中間層の薄肉箇所との間に介装されるものであれば、例えば、予め表皮材層の裏面に部分遮音層を張り付けておいて組み付けることができ、組み付け作業性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る自動車用フロアカーペットの構造を示す車幅方向全体の模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る自動車用フロアカーペットの車幅方向中央部を拡大して示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る自動車用フロアカーペットの車幅方向一端部を拡大して示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る自動車用フロアカーペットに設けられる部分遮音層を示す上面図である。 本発明に係る実施例及び比較例の遮音性能(透過損失)と音の周波数との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施例及び比較例の構造を示す模式的な断面図であり、(a)は実施例1の構造を、(b)は実施例2の構造を、(c)は比較例1の構造を、(d)は比較例2の構造をそれぞれ示している。 二重壁構造を構成する従来の自動車用フロアカーペットの構造を示す車幅方向全体の模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明における前後方向は、本実施形態に係る自動車用フロアカーペットが備えられた自動車の前後方向に対応しており、以下の説明における左右方向は、本実施形態に係る自動車用フロアカーペットが備えられた自動車の前方を向いたときの左右方向に対応している。
図1は、本発明の実施形態に係る自動車用フロアカーペットの構造を示すもので、前席の足元部分における車幅方向全体の模式的な断面図であり、自動車のフロアパネル10上にフロアカーペット30が敷設された状態を示している。なお、本実施形態に係る自動車用フロアカーペットの構造は、図1の断面では左右対称の構造となっている。
まず、フロアパネル10の構造について説明する。図1に示すように、フロアパネル10は、例えば鋼板をプレス成形したもので、後述するトンネル部11,サイドシル結合部12及び波型断面部13などの上方に突出した部分と、それ以外の水平面(フロアパネル基面)15とから構成される。
フロアパネル10の車幅方向中央部には、図示しないプロペラシャフトを通すために、断面が略コ字状でフロアパネル基面15よりも鉛直上方(車室側)に突出したトンネル部11が前後に延びて形成されている。また、フロアパネル10の左右端部のサイドシル20,20と結合する箇所には、フロアパネル基面15よりも鉛直上方にやや高くなったサイドシル結合部12,12がそれぞれ前後に延びて形成されている。なお、このサイドシル結合部12,12とサイドシル20,20とは、スポット溶接などにより接合されている。また、図1においては省略しているが、車室内前部の運転席と助手席との間のトンネル部11には、その上端部にセンターコンソール装着用の穴部が設けられている。
また、フロアパネル10のトンネル部11と各サイドシル結合部12,12との間には、フロアパネル10を補強するために、断面が略コ字状でフロアパネル基面15よりも鉛直上方にやや高くなった波型断面部13,13がそれぞれ前後に延びて形成されている。波型断面部13は、フレーム相当の構造要素であるため、フロアフレームとも呼ぶ。
なお、本発明に係る自動車用フロアカーペットの構造は、上述したような形状のフロアパネルに限定されず、例えば、トンネル部,サイドシル結合部及び波型断面部を有さないフロアパネル上に敷設されるカーペットに対しても適用することができる。
次に、フロアパネル10の上面に敷設されるカーペット30について説明する。
図1に示すように、カーペット30は、表皮材層31とその裏面側の中間層34とを有していて、フロアパネル10上への敷設時に、表皮材層31が、中間層34を介してフロアパネル10と離隔して配置され、フロアパネル10と協働して二重壁構造を構成するようになっている。
図2及び図3は、本実施形態に係る自動車用フロアカーペットの構造の車幅方向中央部及び一端部を拡大して示す模式的な断面図である。図2及び図3に示すように、表皮材層31には、ここでは、表側の不織布の層31aと裏側のバッキング層31bとから成る、例えばニードルパンチカーペットなどが用いられる。バッキング層31bは、合成樹脂により高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗が大きい層として構成されている。
また、中間層34には、例えば、フェルトなどの低密度で且つ通気抵抗の小さい材料が用いられる。なお、本実施形態では、表皮材層31は2〜3mm程度で略一様な厚みに形成されている。
図1に示すように、カーペット30の上層部分を形成する表皮材層31は、フロアパネル10のトンネル部11及びサイドシル20,20に対応する部分を除いて、乗員が足を乗せ易いようにフラットに形成されている。また、表皮材層31において、フロアパネル10のトンネル部11及びサイドシル20,20に対応する部分に沿って敷設される個所は、各部の平面に沿ってフラットに形成されている。
また、カーペット30の下層部分を形成する中間層34は、トンネル部11及びサイドシル20,20に対応する部分を除いて、その下面が、サイドシル結合部12,12や波型断面部13,13を有するフロアパネル10と隙間なく係合するように、フロアパネル10の形状に応じて凹凸を持ったものに形成され、その上面が、表皮材層31と隙間なく係合するように、フラットに形成されている。
また、フロアパネル10のトンネル部11及びサイドシル20,20は、それぞれ複数の面(平面又は略平面)から成るが、中間層34のうち、フロアパネル10のトンネル部11及びサイドシル20,20に対応する部分に沿って敷設される個所は、各部の平面に沿ってフラットに且つそれぞれの面で一定の厚みに形成されている。これにより、カーペット30は、フロアパネル10の上面に敷設された際に、フロアパネル10上で部分的に浮くことがないように、フロアパネル10上に敷設される。
なお、本実施形態では、表皮材層31はプレス等により所定の形状に形成されている。また、中間層34もプレス等によりフロアパネル10及び表皮材層31の形状に合わせて所定の形状に形成されるものとするが、フェルトなどの柔らかい材料で構成される中間層34は、特段に成形することなく、フロアパネル10の各部分に応じた所定の厚みのシート状のものをフロアパネル10の各部分形状に合わせて断裁して、各面毎に敷設していくようにしても良い。
カーペット30は、フロアパネル10上への敷設時に、表皮材層31とフロアパネル10とが協働して二重壁構造を構成するようになっている。この二重壁構造は、両壁間の距離、すなわち、表皮材層31とフロアパネル10との間の距離が一定以上確保されていれば、遮音性能大きく向上させる二重壁効果を得ることができる。表皮材層31とフロアパネル10との間には中間層34が介装されるので、表皮材層31とフロアパネル10との間の距離はこの中間層34の厚みに依存する。
つまり、二重壁構造により良好な遮音性能を得るためには、中間層34に、二重壁効果が得られる程度の厚みを確保する必要がある。一方で、車室内空間を広くするためには、カーペット30をできるだけ薄く形成することが望ましい。
そこで、本実施形態のカーペット30は、中間層34の厚みが、遮音性能上一定以上の二重壁効果が得られ、且つ、カーペット30の上面をできるだけ低く設定することができるように設定されている。なお、本実施形態では、中間層34の基準的な厚みは10〜20mmとなっている。
ただし、図1〜図3に示すように、中間層34には、フロアパネル基面15よりも高くなった箇所、すなわち、フロアパネル10のトンネル部11,サイドシル結合部12及び波型断面部13と対応して、厚みが他の部分よりも薄くなる薄肉箇所33a,33b,33c,33d,33e(以下、これらを区別しない場合は、単に「薄肉箇所33」という。)が設けられている。
つまり、図1に示すように、フロアパネル10のサイドシル結合部12及び波型断面部13はフロアパネル基面15よりも高くなっており、フロアパネル基面15との間に段差を形成しているのに対し、これらの部分に被覆するカーペット30の表面はフラットに形成されているため、中間層34には、サイドシル結合部12及び波型断面部13に対応して、厚みが相対的に小さい薄肉箇所33b,33eが設けられている。
また、図2及び図3に示すように、カーペット30は、車室側への突出を抑えるために、フロアパネル10のトンネル部11及びサイドシル20に被覆する部分が薄く形成されている。このため、図2に示すように、中間層34のうち、トンネル部11に被覆する部分は薄肉箇所33aとなる。また、図3に示すように、中間層34のうち、サイドシル20の側面及び上面に被覆する部分は、それぞれ薄肉箇所33c,33dとなる。
本実施形態では、薄肉箇所33b,33d,33eの厚みは3〜4mm、薄肉箇所33a,33cの厚みは約1mmとなっている。
なお、薄肉箇所は上記のものに限定されず、中間層34に部分的に設けられ、且つ、厚みが所定の厚み以下となり二重壁効果が得られ難い箇所であれば、如何なる箇所も該当し得る。例えば、中間層34に部分的に設けられた厚みの無い箇所も薄肉箇所となる。
図1〜図3に示すように、これらの薄肉箇所33a,33b,33c,33d,33eと表皮材層31との間には、それぞれ部分遮音層32a,32b,32c,32d,32e(以下、これらを区別しない場合は単に「部分遮音層32」という。)が設けられている。部分遮音層32は、所望の二重壁効果が得られない厚み(即ち、所定の厚み以下の厚み)の薄肉箇所33にのみ設けられているものであり、所望の二重壁効果が得られる厚み(所定の厚みよりも大きい厚み)の箇所には設けられていない。
部分遮音層32には、例えば、オレフィンなどの、高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗の大きい材料が用いられる。本実施形態では、部分遮音層32の厚みは約1mmで略一様な厚みとなっている。
図4は、カーペット30及び部分遮音層32の上面図を示している。図4に示すように、部分遮音層32は、シート状のオレフィンを型抜きした一枚ものであり、カーペット30の薄肉箇所に対応して形成されている。また、カーペット30には、図示しない運転席と助手席との間にセンターコンソールを介装するための穴部35が、フロアパネル10のトンネル部11に設けられた穴部と対応させて設けられている。なお、図4に示した実線はカーペット30を構成する複数の面(平面又は略平面)の境界線であり、図4に示した点線はカーペット30をフロアパネル10上へ敷設した際に、フロアパネル10の波型断面部13,13と対応する部分である。
本実施形態では、カーペット30は、フロアパネル10上へ敷設された中間層34の上面に、予め表皮材層31の裏面に部分遮音層32が張り付けられたものが積層されることによって組み付けられるものとしている。
なお、中間層34には、部分遮音層32を積層するための凹みを設けても良い。つまり、中間層34の上面に、部分遮音層32に応じた凹凸を形成し、中間層34と部分遮音層32とがフロアパネル10と表皮材層31との間で隙間なく係合するように構成しても良い。
ただし、中間層34に比較的軟らかい素材が用いられていて、中間層34が部分遮音層32に応じて圧縮変形し得る場合には上述したような凹みを設ける必要はない。本実施形態では、中間層34に用いられるフェルトが部分遮音層32に応じて圧縮変形し得るものであるため、中間層34の上面に特に凹みは設けていない。
また、本実施形態では、中間層34がフェルトなどの材料で均一に充填されているものとしているが、例えば薄肉箇所33eは、フェルトなどの材料が他の箇所よりも低密度に充填されていても良い。つまり、薄肉箇所33eはカーペット30の比較的小部分でしかないため、これ以外の箇所でカーペット30の剛性が十分に確保できるのであれば、薄肉箇所33eにはフェルトなどの材料が多少の隙間を持って設けられていても良い。
また、本実施形態では、表皮材層31及び各部分遮音層32の厚みはそれぞれ略一様としたが、これらはそれぞれ適宜の箇所で異なる厚みを持ったものに形成されても良い。
本実施形態に係る自動車用フロアカーペットの構造は上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
上述したように、カーペット30は、その表皮材層31とフロアパネル10とで二重壁構造を構成していて、これにより、遮音性能上一定以上の二重壁効果が得られるようになっている。また、カーペット30の上面はできるだけ低く設定されているため、車室内空間が確保されている。
特に、フロアパネル基面15よりも高くなったサイドシル結合部12及び波型断面部13と対応して、中間層34に薄肉箇所33b,33eが設けられ、これらの部分におけるカーペット30の表面をフラットにしているため乗員が足を乗せ易くなるだけでなく、カーペット30の表面の高さが抑えられるため車室内空間を確保することができる。
また、フロアパネル基面15よりも上方に突出したトンネル部11及びサイドシル20と対応して、薄肉箇所33a,33c,33dが設けられているので、これらの部分におけるカーペット30を薄く形成することができるため車室内空間を確保することができる。
一方で、カーペット30の上面をできるだけ低く設定したことにより、薄肉箇所33では中間層34の厚みが所定の厚み以下となって、二重壁効果が得られ難くなる。このため、薄肉箇所33は遮音の弱点部位となり、カーペット30の遮音性能を低下させてしまうが、本発明の自動車用フロアカーペットの構造によれば、薄肉箇所33には部分遮音層32が設けられているため、この部分の遮音性能の低下を抑制することができる。
つまり、例えばカーペット30の大部分において二重壁効果により高い遮音性能を得られる場合であっても、カーペット30に薄肉箇所33が存在すれば、遮音性能が相対的に低い薄肉箇所33を通じて、車室外の騒音は車室内へ侵入してしまう。したがって、カーペット30の遮音性能を向上させるには、遮音の弱点部位となる薄肉箇所33の遮音性能を少しでも向上させることが重要である。
さらに、例えばトンネル部11に沿った薄肉箇所33aは比較的乗員の耳の近くに位置するので、薄肉箇所33aから侵入した騒音は乗員の耳へ届き易く、特に遮音すべき重要部位になるが、部分遮音層32aによりこの部位の遮音性能を向上させることができるので、遮音効果が大きい。
また、部分遮音層32は薄肉箇所33にのみ設けられるので、もともと二重壁効果の得られた部分に過剰な遮音性能を持たせることを回避しながら、弱点部位の遮音性能を効率よく向上させることができる。
換言すれば、従来のようにカーペット全面に設けられる遮音層には使用できなかった高密度な材料を部分遮音層32には使用することができる。このため、部分遮音層32で弱点部位の質量を増加させることができるので、質量則に基づいて遮音性能を向上させることができると共に、弱点部位以外の質量は増加しないので、カーペット全体の重量増を抑制することができる。
また、図1に示すように、部分遮音層32が、表皮材層31と中間層34の薄肉箇所33との間に介装される場合、予め表皮材層31の裏面に部分遮音層32を張り付けておき、フロアパネル10上に中間層34を敷設した後、部分遮音層32が貼り付けられた表皮材層31を中間層34の上面に敷設することによって、カーペット30を容易に組み付けることができる。したがって、組み付け作業性の向上を図ることができる。
また、図4に示すように、部分遮音層32がシート状材料を型抜きした一枚ものとすることにより、中間層34及び表皮材層31に対する部分遮音層32の位置決めを容易にすることができるため、作業性が向上する。さらに、部品点数も減少するため、部品管理も容易になる。
(シミュレーション結果)
図5は、シミュレーションによって得られた、本発明に係るカーペット30の各部の構造をモデル化して、その遮音性能(透過損失)と音の周波数との関係、即ち、遮音特性を、比較例モデルの遮音特性と共に示すグラフである。
図5には、実施例1,実施例2,比較例1及び比較例2の各モデルの特性を示すが、このうち、実施例1は、図6(a)に示すように、フロアパネル10上に敷設されたカーペット30のうち、薄肉箇所33に部分遮音層32が設けられた部分をモデル化したものである。また、実施例2は、図6(b)に示すように、フロアパネル10上に敷設されたカーペット30のうち、中間層34の厚みが所定の厚みより大きく、二重壁効果の得られる部分をモデル化したものである。
また、比較例1は、図6(c)に示すように、実施例1の部分遮音層32が設けられていないもの、すなわち、従来のカーペット130の一部と同様に、フロアパネル110上に薄肉箇所133及び表皮材層131のみ、から成るものをモデル化したものである。また、比較例2は、図6(d)に示すように、フロアパネル110のみのものをモデル化したものである。
なお、実施例1,実施例2,比較例1及び比較例2の対応する各層(実施例1及び実施例2の表皮材層31と比較例1の表皮材層131,実施例1の薄肉箇所33と比較例1の薄肉箇所133,実施例1及び実施例2のフロアパネル10と比較例1及び比較例2のフロアパネル110)には、それぞれ実質的に同一のものを用いた。また、各層の厚み,面密度比及び通気抵抗比は、表1に示すような値に設定した。
Figure 0006011418
図5に示すように、実施例2は、比較例2と比較すると、周波数が900Hz以上の中高周波数領域では遮音性能が大幅に高くなることが分かる。このような周波数領域の音は耳障りであり、自動車の車室内の遮音対策の上で重要な対象となるものであるが、実施例2は、このような周波数領域の音に対して二重壁効果による良好な遮音性能が得られることが分かる。
なお、実施例2は、他の実施例及び比較例と比較すると、低周波数領域の遮音性能はやや低下しているが、これは共振効果によるものと考えられる。図5に示すものは各モデルの遮音特性であり、実車のフロアは、例えば、波型断面部13のような剛性を高める構造を設けるなど、このような低周波数領域の共振を回避する処理が可能なので、支障はない。
また、実施例1は、比較例1と比較して、中高周波数領域の遮音性能が高くなることが分かる。換言すれば、比較例1としてモデル化した従来のカーペット130の薄肉箇所133は、中高周波数領域の遮音性能が低くなることが分かる。これに対し、実施例1は、シミュレーションした全ての周波数領域の遮音性能が比較例1よりも高くなることが分かる。
以上の結果から、本発明の自動車用フロアカーペットの構造によれば、二重壁効果が得られる部分では、中高周波数領域の音に対する良好な遮音性能を得ることができ、二重壁効果が得られ難い薄肉箇所33では、部分遮音層32によって全周波数領域の音に対する遮音性能を確実に向上させることが分かった。
また、部分遮音層32は質量則に基づいて遮音性能を向上させるものであるので、部分遮音層32に、より高密度な材料を用いることによって、図5に二点鎖線で示すように、全周波数域の音に対する遮音性能をより向上させることができると考えられる。本発明の自動車用フロアカーペットの構造によれば、上述したように、従来は使用できなかった高密度な材料を部分遮音層32に使用することができるため、質量則に基づいて薄肉箇所33の遮音性能を効果的に向上させることができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲でかかる実施形態に対して種々の変形を加えて実施することができる。
例えば、表皮材層31,部分遮音層32及び中間層34の各材料は、上記のものに限定されず、カーペットの重量制限,要求される遮音性能,使用感などに応じて、種々の材料を適用することが可能である。この場合、表皮材層31及び部分遮音層32には、カーペット30の重量制限を超えない範囲でより高密度な材料を用いることによって、カーペット30の遮音性能を質量則に基づいてより向上させることができる。また、中間層34に吸音材料(多孔質材料)を用いれば、上述した遮音効果に加えて吸音効果も得ることができる。
また、上述した実施形態では、部分遮音層32はシート状のものを型抜きした一枚ものとしたが、部分遮音層32は一枚ものでなくても良い。複数のシートによって部分遮音層32を構成する場合、シート毎に異なる材料を用いることもできる。例えば、厚みがより小さい薄肉箇所33a,33cに対しては、より高密度な材料を用いたシートによって部分遮音層32a,32cを構成することによって、これらの箇所における遮音性能を効果的に高めることができる。
また、フロアパネル10と中間層34との間に制振材層を設けても良い。このような構成にすれば、制振材層によってフロアパネル10の振動を抑制することができるため、カーペット30の吸音性能を高めることができる。
10 フロアパネル
11 トンネル部
12 サイドシル結合部
13 波型断面部
15 フロアパネル基面
20 サイドシル
30 カーペット
31 表皮材層
32 部分遮音層
33 薄肉箇所
34 中間層

Claims (5)

  1. 表皮材層と前記表皮材層の裏面側の中間層とを有し、
    自動車のフロアパネル上への敷設時に、前記中間層を介して前記フロアパネルと離隔して配置される前記表皮材層が前記フロアパネルと協働して二重壁構造を構成する自動車用フロアカーペットの構造であって、
    前記中間層には、厚みが所定の厚み以下の薄肉箇所が部分的に設けられ、
    前記薄肉箇所にのみ部分遮音層が設けられている
    ことを特徴とする、自動車用フロアカーペットの構造。
  2. 前記フロアパネルの中央部にはフロアパネル基面よりも上方に突出したトンネル部が前後に延びて形成され、前記フロアパネルの左右端部のサイドシルと結合する箇所には前記フロアパネル基面よりも高くなったサイドシル結合部が前後に延びて形成され、
    前記薄肉箇所は、前記トンネル部及び前記サイドシル結合部を含む、前記フロアパネル基面よりも高くなった箇所に対応して設けられている
    ことを特徴とする、請求項1記載の自動車用フロアカーペットの構造。
  3. 前記部分遮音層はシート状材料を型抜きした一枚ものである
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の自動車用フロアカーペットの構造。
  4. 前記表皮材層には高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗の大きい材料が用いられ、
    前記中間層には低密度で且つ通気抵抗の小さい材料が用いられ、
    前記部分遮音層には高密度で且つ非通気もしくは通気抵抗の大きい材料が用いられている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車用フロアカーペットの構造。
  5. 前記部分遮音層は前記表皮材層と前記中間層の前記薄肉箇所との間に介装される
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車用フロアカーペットの構造。
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