JP6009745B2 - 希土類樹脂磁石の製造方法 - Google Patents

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本発明は、永久磁石界磁型直流モータ、或いは永久磁石回転子型ブラシレスモータなどに搭載される希土類樹脂磁石に関するものである。更に詳しくは、一軸延伸、並びに一軸不等延伸に基づく、薄肉環状の希土類樹脂磁石の製造方法に関するものである。
1986年、本発明者らは、Nd2Fe14B化学量論組成に近い溶湯合金を急冷凝固した薄片を粉砕したR-TM-B(R=Nd、Pr、TM=Fe、Co)系粉末を、樹脂と共に肉厚1.0〜1.5mm程度の円筒状に圧縮成形した直径≦25mmの、磁気的に等方性の環状希土類樹脂磁石が、小型モータに有用なことを見出し、特許文献1にて明らかにした。その後、T. Shimodaも、前記R-TM-B系粉末を樹脂と共に円筒状に圧縮成形した環状樹脂磁石と、ラジアル異方性Sm2TM17(TM=Co、Fe、Cu、Zr)系樹脂磁石との小型モータ特性を比較し、前者が有用であるとした(非特許文献1参照)。更に、小型モータに有用であるという報告が相次いでなされた(例えば、非特許文献2参照)。これらにより、R-TM-B系粉末を樹脂と共に円弧状、円筒状に圧縮成形した環状希土類樹脂磁石は、1980年代後半からOA、AV、PCおよびその周辺機器、情報通信機器など、各種高性能小型モータの磁石として広く普及した経緯がある。
近年では、本発明が対象とする小型モータの等方性希土類樹脂磁石に含まれる金属間化合物として、R2TM14B(R=Pr、Nd、TM=Fe、Co)以外に、Sm2Fe17N3、或いはαFe-R2TM14B、FeB-R2TM14B、αFe-Sm2Fe17N3系ナノコンポジットなどがあり、主としてSm、Pr、Ndなどの軽希土類が希土類樹脂磁石に使用されることは周知である。
ところで、希土類磁石は、主に本発明が対象とする樹脂磁石とともに、燒結磁石が広く普及している。希土類燒結磁石はSm、Pr、Ndなどの軽希土類に加えて、高保磁力化に必要な異方性磁界Haを高めるために、Dy、Tbなどの重希土類も利用される。このような希土類燒結磁石は、ハイブリッド自動車(HEVs)駆動モータ市場を独占している。予測では同傾向が継続し、加えて全プラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEVs)、電気自動車(Evs)にも拡大し、更には風力発電市場でも、磁石にかかる希土類需要の大幅拡大が予見されている。
以上のように、磁石にかかる希土類資源(Sm、Pr、Nd、Dy、Tbなど)、価格動向、或いは将来にわたる希土類磁石の需要動向などの背景から、希土類供給源の分散、希土類使用量の削減、リサイクル率の向上、代替材料開発などが求められている。
米国特許第4689163号明細書 特開2001−254159号公報 特開平9−180919号公報 米国特許第6143193号明細書 特開平5−55017号公報 特開平5−55021号公報 特開平5−47576号公報
T. Shimoda, SUPPLEMENTARY MATERIAL, "PERMANENT MAGNETS 1988 UPDATE", Wheeler Associate, INC (1988) G. X. Huang, W. M. Gao, S. F. Yu, "Application of Melt-Spun Nd-Fe-B Bonded Magnet to the Micro-motor", Proc. of the 11thInternational Rare-Earth Magnets and Their Applications, Pittsburgh, USA, pp.583-595, (1990) F. Yamashita, K. Takasugi, H. Yamamoto, H. Fukunaga, "Relation between mechanical output of small stepping motor and intrinsic coercivity of unsaturated αFe/R2Fe14B nanocomposite magnet (R=Pr, Nd)", Transaction on Magn. Soc.Japan, Vol.2, No.2, pp.32-35 (2002)
ところで、Nd2Fe14B化学量論組成に近い溶湯合金を急冷凝固した薄片を粉砕した、磁気的に等方性のR-TM-B(R=Nd、Pr、TM=Fe、Co)系希土類磁石粉末の典型的な磁気特性は、残留磁化Mrが0.90T、保磁力HcJが770kA/m、最大エネルギー積(BH)maxが128kJ/m3である。また、希土類樹脂磁石の最大エネルギー積(BH)maxは、当該磁石の成形加工で律則される体積分率(磁石粉末の充填限界)Vpで決定付けられる。例えば、圧縮成形ではVpが80体積%、(BH)maxが86kJ/m3、押出成形ではVpが78体積%、(BH)maxが82kJ/m3、射出成形ではVpが62体積%、(BH)maxが54kJ/m3、カレンダリングではVpが65体積%、(BH)maxが59kJ/m3、スクリーン印刷ではVpが60体積%、(BH)maxが50kJ/m3となり、圧縮成形の磁石粉末充填限界約80体積%を超えるような一般的な成形加工法は見当たらない。
以上のことから、小型モータに利用される環状希土類樹脂磁石では、(BH)maxの観点から、希土類磁石粉末を樹脂とともに円弧状、円筒状など、環状形状に圧縮成形する方法が1986年以来、現在に至るまで一般的な製造方法となっている。しかし、Nd2Fe14B化学量論組成に近い溶湯合金を急冷凝固した薄片を、粒子径約50〜300μm程度に粉砕して作製したR-TM-B(R=Nd、Pr、TM=Fe、Co)系粉末を、樹脂とともに円弧状、円筒状などの環状に圧縮成形する場合、当該磁石の肉厚と直角方向のパンチにて、通常1GPa程度の圧縮を行う必要がある。このため、環状樹脂磁石の肉厚は0.8mm程度が最小限界とされる(例えば、特許文献2参照)。したがって、磁石長さLと外径Dとの比L/Dにもよるが、環状希土類樹脂磁石に占める磁石粉末体積分率Vpを概ね80体積%とし、(BH)max≧80kJ/m3を確保するには、ある程度の肉厚が必要となり、工業的に安定して製造するには1.0mm程度の肉厚が必要と考えられる。
例えば、圧縮成形での磁石粉末充填限界約80体積%に近いものとして、ポリアミド、液晶ポリマー、またはポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂をベースとし、加工温度230〜320℃で押出成形する、希土類樹脂磁石が知られる(特許文献3参照)。更に、Nd2Fe14B化学量論組成に近い溶湯合金を急冷凝固した薄片を粉砕した、磁気的に等方性のR-TM-B(R=Nd、Pr、TM=Fe、Co)系希土類磁石粉末を77.6体積%とし、ポリアミド(ナイロン-12)とともに230℃で混練した混練物(ペレット)を、240℃のシリンダと250℃のダイ(Die)を介して押出成形した、肉厚0.7mmの環状希土類樹脂磁石(外径18mm)が例示されている(特許文献4参照)。このように、押出成形による環状希土類樹脂磁石の肉厚も0.7mm以上が必要であり、加えてこの方法は加工温度が高いため、希土類磁石粉末の特性劣化が免れない。
更に、R-TM-B(R=Nd、Pr、TM=Fe、Co)系希土類磁石粉末を67〜70体積%とし、ポリアミド-12とともに230℃で混練した、(BH)maxが53〜57kJ/m3の材料を、260〜280℃で射出成形した10mm×10mmの板状でも、肉厚は1mmが限界とされ、肉厚0.8mmでは成形困難であることが示されている(特許文献5参照)。
また、肉厚1.0mm以下の可撓性シート磁石として、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムを使用したゴムベースの磁石(特許文献6参照)、或いは熱可塑性エラストマーベースの磁石が開示されている(特許文献7参照)。しかし、ゴムや熱可塑性エラストマーは、希土類磁石粉末との接着力、耐熱、耐環境性に乏しい。更に、圧縮成形の磁石粉末充填限界の約80体積%には遥かに及ばず、(BH)maxの観点からも圧縮成形希土類樹脂磁石の代替にはならない。更に、励磁された電機子鉄心の磁気吸引力で希土類磁石粉末が脱落飛散し、回転雑音や回転障害、或いはまた、ゴムの加硫と切断面の再加熱など工程が瀕雑で、残存硫黄ガスによるブラシ−整流子などの電気摺動接点の腐食、或いは磨耗を促進する、などの課題があった。
本発明は、例えば、(BH)maxを圧縮成形希土類樹脂磁石に近い水準に維持・確保しながら、肉厚0.5〜0.8mm程度の環状希土類樹脂磁石を、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂ベースではなく、最終的に不溶不融の3次元網目構造となる、延伸可能な樹脂組成物をベースとし、圧縮成形によらず一軸延伸、または一軸不等延伸に基づく筒状、円弧状などに成形する、薄肉環状の希土類樹脂磁石を製造する方法を開示するものである。これにより、例えば、小型モータの永久磁石界磁に使用する圧縮成形環状希土類樹脂磁石を、従来よりも20%以上薄肉化するなど、本発明の目的である、小型モータの性能を維持・確保しながら、希土類(Sm、Pr、Ndなど)使用量を削減する、という要求に応えるものとなる。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
なお、各項の理解を容易にするために、図1に基づき説明をする。図1は、一軸延伸による円筒状、一軸不等延伸による円弧状など、本発明にかかる一軸延伸、または一軸不等延伸の、希土類樹脂磁石の製造工程を例示するブロック図である。
(1)希土類磁石粉末を[A]、室温で固体のエポキシオリゴマーを[B]、[B]と反応し得る反応基質を有し、かつ延伸可能なポリマーを[C]、並びに[B]の架橋剤を[D]としたとき、[C]の軟化点以上、かつ[B]と[D]の反応開始温度以下で、[A]、[B]、[C]、および[D]を溶融混練して混練物Iとする第1の工程と、前記混練物Iを、前記第1の工程の混練温度以下にてロール装置によりシート化した後裁断して、所定寸法の熱可塑シートIIとする第2の工程と、前記熱可塑シートIIを、[B]と[D]との反応開始温度以上に加熱し、[B]と[C]、および[B]と[D]との架橋により、熱硬化シートIIIとする第3の工程と、前記熱硬化シートIIIの延伸工程とを含む希土類樹脂磁石の製造方法(請求項1)。
先ず、本項に記載の発明にかかる磁石構成成分を説明する。図1で示す[A]は、希土類磁石粉末、[B]は、室温で固体のエポキシオリゴマー、[C]は、エポキシオリゴマー[B]と反応し得る反応基質を有し、かつ延伸可能なポリマー、ならびに[D]は、エポキシオリゴマー[B]の架橋剤であり、これら[A]、[B]、[C]、および[D]が、本項に記載の発明にかかる希土類樹脂磁石の必須成分である。なお、加工助剤として知られる内部滑剤、酸化防止剤などは、必要に応じて適宜使用できる。
次に、本項に記載の発明にかかる希土類樹脂磁石の、製造方法の各工程について説明する。図1において、工程1では、延伸可能なポリマー[C]の軟化点以上、かつエポキシオリゴマー[B]と架橋剤[D]の反応開始温度以下で、希土類磁石粉末[A]、エポキシオリゴマー[B]、延伸可能なポリマー[C]、および架橋剤[D]を溶融混練して混練物Iとする。ただし、予め希土類磁石粉末[A]の表面に、エポキシオリゴマー[B]を被覆した表面被覆磁石粉末[(A+B)]、例えば、エポキシオリゴマー[B]の有機溶媒溶液を作製し、磁石粉末[A]と湿式混合したのち、乾燥して、解砕・分級したものであっても差し支えない。
工程2では、混練物Iを当該混練温度以下にて、例えば、非等速回転双ロールなどを使用してシート化し、トムソン型などの裁断器を用いて所定寸法の熱可塑シートIIとする。なお、所定形状とする際に発生する裁断屑は、もとの混練物Iと混合し、或いはそのまま直接シート化する。
工程3では、熱可塑シートIIを、エポキシオリゴマー[B]と架橋剤[D]との反応開始温度以上に加熱し、エポキシオリゴマー[B]と延伸可能なポリマー[C]、および前記[B]を架橋剤[D]で架橋することにより、熱硬化シートIIIとする。
(2)上記(1)項において、前記熱硬化シートIIIの延伸工程に、前記熱硬化シートIIIを一軸延伸し、熱硬化一軸延伸シートIVとする第4の工程と、前記熱硬化一軸延伸シートIVを、円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrngとする第5の工程とを含む希土類樹脂磁石の製造方法(請求項2)。
本項に記載の発明において、工程4では、熱硬化シートIIIに含まれる延伸可能なポリマー[C]を一軸延伸し、熱硬化一軸延伸シートIVとする。例えば、等速双ロールで熱硬化シートIIIを圧延すると、延伸可能なポリマー[C]の一軸延伸によって、熱硬化一軸延伸シートIVは、圧延方向にのみ可撓性が発現する。なお、熱硬化一軸延伸シートIVのC-stage状態は、不完全でも差し支えない。
工程5では、前記熱硬化一軸延伸シートIVを、カーリングなどの常法により変形させ、必要に応じて後硬化を施し、一軸延伸に基づく円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrngとする。
(3)上記(1)項において、前記熱硬化シートIIIの延伸工程に、前記熱硬化シートIIIを厚さ方向に一軸不等延伸し、円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmとする第6の工程を含む希土類樹脂磁石の製造方法(請求項3)。
本項に記載の発明では、工程3で得た熱硬化シートIIIを、工程6で一軸不等延伸する。ここで言う一軸不等延伸とは、熱硬化シートIIIの肉厚方向で延伸率が連続的に異なるもので、これにより、本発明にかかる所定の外半径、内半径をもつ、円弧状セグメント型の環状希土類樹脂磁石Vsgmが得られる。なお、一軸不等延伸に基づく円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmの熱硬化をB-stage、あるいは不完全なC-stage状態とし、他の部材と組合せて後硬化すると、当該部材と一体的に剛体化することもできる。
(4)上記(1)から(3)項において、前記第1から第6の工程において、全ての加工温度、熱処理温度範囲が60〜200℃である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項4)。
(5)上記(1)から(3)項において、前記希土類磁石粉末[A]が、溶湯合金の急冷凝固法で得られる保磁力HcJ≧600kA/mのR2TM14B(R=Pr、Nd、TM=Fe、Co)、αFe-R2TM14B、FeB-R2TM14B、αFe-Sm2Fe17N3、Sm2Fe17N3金属間化合物のうち、1種または2種以上である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項5)。
(6)上記(1)から(3)項において、前記エポキシオリゴマー[B]が、オキシラン環を有する融点70〜100℃のエポキシ化合物の1種または2種以上である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項6)。
(7)上記(1)から(3)項において、前記延伸可能なポリマー[C]が、軟化点80〜150℃、20℃の伸び率が300%以上のポリアミド樹脂である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項7)。
(8)上記(7)項において、前記ポリアミド樹脂が、ダイマー酸を主成分とする二塩基酸とポリアミン類とを縮合重合させて得られる、ダイマー酸変性ポリアミド樹脂である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項8)。
(9)上記(8)項において、前記ダイマー酸が、ダイマー酸65〜100重量%、モノマー酸20重量%以下、トリマー酸30重量%以下、含有するものである希土類樹脂磁石の製造方法(請求項9)。
(10)上記(7)項において、前記ポリアミド樹脂が、ジカルボン酸をダイマー酸100重量部に対して0〜30重量部、モノカルボン酸をダイマー酸100重量部に対して0〜10重量部用いて縮合重合したものである希土類樹脂磁石の製造方法(請求項10)。
(11)上記(1)から(3)項において、前記架橋剤[D]が、粉末状イミダゾール化合物、またはその誘導体であり、前記エポキシオリゴマー[B]との反応開始温度が、前記延伸可能なポリマー[C]の軟化点よりも高いものである希土類樹脂磁石の製造方法(請求項11)。
(12)上記(2)項において、前記熱硬化シートIIIの厚さをta、前記熱硬化一軸延伸シートIVの厚さをtb、圧延率Rrを((ta-tb)/ta)×100(%)としたとき、前記圧延率Rrが5〜15%である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項10)。
(13)上記(2)(3)項において、前記円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrng、または前記円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmに占める、前記希土類磁石粉末[A]の割合が、75体積%以上である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項13)。
(14)上記(2)(3)項において、前記円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrng、または前記円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmを、2.4MA/mで磁化した際の20℃の最大エネルギー積(BH)maxが、75kJ/m3以上である希土類樹脂磁石の製造方法(請求項14)。
本発明はこのように構成したので、例えば、(BH)maxを圧縮成形希土類樹脂磁石に近い水準に維持・確保しながら、肉厚0.5〜0.8mm程度の環状希土類樹脂磁石を、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂ベースではなく、最終的に不溶不融の3次元網目構造となる、延伸可能な樹脂組成物をベースとし、圧縮成形によらず一軸延伸、または一軸不等延伸に基づく筒状、円弧状などに成形する、薄肉環状の希土類樹脂磁石を製造する方法を提供できる。これにより、例えば、小型モータの永久磁石界磁に使用する圧縮成形環状希土類樹脂磁石を、20%以上薄肉化するなど、本発明の目的である、小型モータの性能を維持・確保しながら、希土類(Sm、Pr、Ndなど)使用量を削減する、という要求に応えることができる。
本発明の実施の形態にかかる希土類樹脂磁石の製造工程を示すブロック図である。 本発明の実施の形態にかかる混練物Iの高温暴露による保磁力変化を示す特性図である。 一軸延伸による機械的性質の変化を示す特性図である。 直流モータの永久磁石界磁の肉厚と空隙磁束密度の関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態にかかる希土類樹脂磁石(実施例)と、圧縮成形希土類樹脂磁石(従来例)との磁気特性の一例を対比した図表である。
以下、本発明を実施するための形態について、更に詳しく説明する。先ず、本実施の形態で言う希土類磁石粉末[A]とは、溶湯合金の急冷凝固法で得られる、保磁力HcJ≧600kA/mのR2TM14B(R=Pr、Nd、TM=Fe、Co)、αFe-R2TM14B、FeB-R2TM14B、αFe-Sm2Fe17N3、Sm2Fe17N3金属間化合物のうち、1種または2種以上である。なお、溶湯合金の急冷凝固としては、単ロールメルトスピニング、双ロールメルトスピニング、ストリップキャストティング、スピニングカップガスアトマイゼーションなどがある。また、それら急冷凝固法で得られる磁石粉末形態は、薄片、塊状、球状など多様であるが、本実施の形態では何れの粉末形態でも差し支えない。また、磁気的に等方性のR2TM14B、およびSm2Fe17N3などのハード相は、それらの単磁区臨界寸法以下とし、α-Fe、Fe-B系などのソフト相は、10〜50nmの範囲に調整したものが望ましい。
上記のような希土類磁石粉末[A]の、本発明の実施の形態にかかる希土類樹脂磁石に占める割合は、75vol.%以上、好ましくは78〜80vol.%とする。そして、2.4MA/mで磁化した当該磁石の20℃での保磁力HcJ≧600kA/m、(BH)max≧75 kJ/m3とすることが望ましい。保磁力HcJ≧600kA/mとする理由は、希土類磁石粉末[A]がαFe-R2TM14B、FeB-R2TM14B、αFe-Sm2Fe17N3などナノコンポジットの場合、残留磁化Mrが1Tを越えるものが多く存在することは周知であり、高Mr希土類磁石粉末[A]であっても、保磁力HcJが600kA/m未満では、例えば120℃など、高温暴露での不可逆減磁が増すことで、小型モータのトルク低下を招くからである(例えば、非特許文献3参照)。
また、(BH)max≧75kJ/m3とする理由は、Nd2Fe14B化学量論組成に近い溶湯合金を急冷凝固した薄片を粉砕したR-TM-B(R=Nd、Pr、TM=Fe、Co)系粉末を、樹脂と共に圧縮成形した、磁気的に等方性の環状希土類樹脂磁石の典型的な(BH)maxが、概ね80kJ/m3だからである。ただし、希土類磁石粉末[A]の材料形態、磁気特性は、本発明が第1の目的とする環状希土類樹脂磁石の薄肉化による希土類(Sm、Pr、Ndなど)削減効果が得られ、かつ小型モータの特性を維持、確保するような範囲であれば、1種、または2種以上を適宜選択できる。
次に、本発明の実施の形態で言うエポキシオリゴマー[B]は、オキシラン環を有する融点70〜100℃のエポキシ化合物の1種または2種以上であることが好ましい。例えば、エポキシ当量205〜220g/eq、融点70〜76℃の、o-クレゾールノボラック型エポキシオリゴマーを挙げることができる。
上記のようなエポキシオリゴマー[B]の架橋剤[D]としては、エポキシオリゴマー[B]との反応開始温度が、延伸可能なポリマー[C]の軟化点よりも高い、粒子径10μm未満の粉末状イミダゾール化合物、またはその誘導体である。具体的には、エポキシオリゴマー[B]との反応開始温度が、145〜155℃の2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、130〜140℃の2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどを挙げることができる。
次に、本発明の実施の形態で言う延伸可能なポリマー[C]としては、ホモポリアミドとしてラクタム、或いはアミノカルボン酸より合成されるものと、ジアミンとジカルボン酸、或いはそのエステルやハロゲン化物から合成されるポリアミド樹脂がある。例えば、酸価10以下、アミン価20以下、分子量4000〜12000、軟化点80〜150℃、20℃の伸び率が≧300%のポリアミド共重合体、アルコール可溶性ポリアミドなどが例示できる。このようなポリアミド共重合体としては、ダイマー酸を主成分とする二塩基酸とポリアミン類とを縮合重合させて得られるダイマー酸変性ポリアミド樹脂、さらには前記ダイマー酸が、ダイマー酸65〜100重量%、モノマー酸20重量%以下、トリマー酸30重量%以下含有するものがある。更に具体的には、ジカルボン酸をダイマー酸100重量部に対して0〜30重量部、モノカルボン酸をダイマー酸100重量部に対して0〜10重量部用いて縮合重合したポリアミド樹脂を例示できる。
ところで、一般に熱可塑性樹脂ベースの押出成形、或いは射出成形希土類樹脂磁石の加工温度は、希土類磁石粉末の保磁力HcJなどの特性劣化がある230〜320℃で行われる(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、本発明の実施の形態にかかる希土類磁石粉末[A]、エポキシオリゴマー[B]、延伸可能なポリマー[C]、架橋剤[D]を必須とする混練物I、ならびに熱可塑シートIIは、少なくともエポキシオリゴマー[B]と架橋剤[D]との反応開始温度以下で加工する。例えば、当該加工温度は容易に200℃以下とすることができる。これにより、希土類磁石粉末[A]の劣化を防ぐことができる。加えて、A-stageからB-stage(図1参照)を維持することで、熱可塑シートIIの裁断屑などをリユースすることにより、混練物Iを熱可塑シートIIとする際の歩留まりを、限りなく100%に近づけることができる。
また、熱硬化シートIIIの厚さをta、熱硬化一軸延伸シートIVの厚さをtb、圧延率Rrを((ta-tb)/ta)×100(%)としたとき、圧延率Rrは5〜15%とすることが好ましい。延伸可能なポリマー[C]の一軸延伸によって、熱硬化一軸延伸シートIVは圧延方向にのみ可撓性が発現する。しかし、圧延率Rrが5%未満では可撓性の発現が乏しく、小口径の筒状ではカーリングが困難になる。また、圧延率Rrが15%を越えると、熱硬化一軸延伸シートIVの周縁部で、延伸方向にほぼ直角方向に生じるマイクロクラックにより、その抗張力が低下する。過大な延伸に伴って周縁部に生じるマイクロクラックの発生頻度は、圧延率Rrとともに薄片、塊状、球状など希土類磁石粉末の材料形態によっても支配される。しかしながら、エポキシオリゴマー[B]の全てのオキシラン環は、架橋剤[D]と架橋するのではなく、延伸可能なポリマー[C]の分子鎖内アミノ活性水素(-HNCO-)との開環反応がある。この開環反応は比較的穏やかに進行する。このため、必要に応じて熱硬化一軸延伸シートIVを加熱再圧縮することでマイクロクラックを修復し、熱硬化一軸延伸シートIVの抗張力を回復できる。
また、熱硬化シートIIIを工程6で肉厚方向に不等延伸する。本発明の実施の形態で言う不等延伸とは、シートの肉厚方向で圧延率が連続変化したもので、これにより所定の外半径、内半径をもつ円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmが得られる。なお、不等延伸に基づく円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmの熱硬化をB-stage(図1参照)状態で停止し、他の部材と組合せてC-stage(図1参照)とすると、当該部材と一体的に剛体化することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。ただし、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(原料)
希土類磁石粉末[A]は、Nd12Fe77Co5B6溶湯合金を単ロールメルトスピニング、熱処理、粒度調整(≦150μm)した薄片(残留磁化Mr 0.90T、保磁力HcJ 770kA/m、最大エネルギー積(BH)max128kJ/m3)、エポキシオリゴマー[B]は、エポキシ当量205〜220g/eq、融点70〜76℃のo-クレゾールノボラック型エポキシオリゴマー、延伸可能なポリマー[C]は、酸価10以下、アミン価20以下、分子量4000〜12000、軟化点80〜150℃、20℃の伸び率が≧300%のポリアミド共重合体、架橋剤[D]は、エポキシオリゴマー[B]との反応開始温度が145〜155℃の2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、内部滑剤としてペンタエリスリトールC17トリエステルを使用した。
ただし、延伸可能なポリマー[C]としてのポリアミド共重合体は、攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ダイマー酸(ダイマー酸95重量%、モノマー酸2重量%、トリマー酸3重量%)660部、二塩基酸としてセバシン酸50部、モノカルボン酸としてプロピオン酸10部、ジアミンとしてエチレンジアミン40部、ピペラジン40部、ヘキサメチレンジアミン40部を添加し、230℃に2時間かけて昇温し、さらに3時間熟成して、酸化防止剤3.6部を添加してポリアミド樹脂としたもので、軟化点119℃、伸び率480%、180℃×96時間での粘度変化1.2%の特性を有する。
(一軸延伸、または一軸不等延伸希土類樹脂磁石の製造)
図1の製造工程のブロック図に基づき、本発明にかかる一軸延伸、ならびに一軸不等延伸の希土類樹脂磁石の製造方法を、実施例により説明する。
工程1は、希土類磁石粉末[A]95.68重量%、エポキシオリゴマー[B]0.96重量%、延伸可能なポリマー[C]2.8重量%、架橋剤[D]0.28重量%、および内部滑剤0.28重量%を混合し、延伸可能なポリマー[C]の軟化点(119℃)以上、かつエポキシオリゴマー[B]と架橋剤[D]の反応開始温度(145〜155℃)以下の条件、すなわち、ロール表面温度130℃の8-inchミキシングロールにて一括して溶融混練し、混練物Iとした。
工程2では、ロール表面温度を混練物Iの混練温度(130℃)以下の60〜70℃に設定した8-inch非等速度回転双ロール(異方向回転速度比1対1.2)にて、肉厚0.5〜1.0mmにシート化し、当該シートをロールから剥離した。更に、当該シートをトムソン型で裁断し、幅12mm以下、長さ150mm以下の所定寸法の熱可塑シートIIとした。なお、熱可塑シートIIの裁断屑は、もとの混練物Iと混合、または裁断屑のみを用いて熱可塑シートIIとした。これにより、混練物Iから熱可塑シートIIとする際の歩留まりは、95%以上とすることができる。また、得られた熱可塑シートIIの抗張力は3.1MPa程度であり、保磁力HcJの劣化はなかった。なお、図2は混練物Iを大気中に1時間高温暴露したとき、暴露前後の保磁力HcJの比を求めた結果である。図から明らかなように、溶融混練、並びに成形加工温度がポリアミド-12ベースでも250℃程度となる押出成形(例えば、特許文献4参照)、或いは射出成形樹脂磁石では、HcJなどの酸化による特性劣化が生じるが、本発明は全ての工程が200℃未満のため、希土類磁石粉末[A]の特性劣化はない。
工程3では、熱可塑シートIIを、エポキシオリゴマー[B]と架橋剤[D]との反応開始温度(145〜155℃)以上の160〜170℃に大気中1時間加熱した。これにより、エポキシオリゴマー[B]と延伸可能なポリマー[C]、および前記[B]を架橋剤[D]で架橋し、熱硬化シートIIIとした。この熱硬化シートIIIの抗張力は11.6MPaであり、熱硬化によって抗張力は約3.8倍となった。このとき、延伸可能なポリマー[C]は[B]、[]と3次元網目構造を形成し、不溶不融の熱硬化性シートIIIとなる。
工程4では、ロール表面温度60〜70℃に設定した8-inch等速双ロールで熱硬化シートIIIを圧延し、熱硬化一軸延伸シートIVとした。なお、可撓性は延伸により圧延方向にのみ発現する。ここで、図3は熱硬化シートIIIの厚さをta、熱硬化一軸延伸シートIVの厚さをtb、圧延率Rrを((ta-tb)/ta)×100(%)としたとき、圧延率Rrと抗張力、伸び率の関係を示す特性図である。図から明らかなように、抗張力と伸び率とはトレードオフの関係にある。このことから、一軸延伸する前の段階でエポキシオリゴマー[B]と延伸可能なポリマー[C]、および前記[B]を架橋剤[D]で架橋し、3次元網目構造の熱硬化シートIIIとすることで予め抗張力を高めておく。また、圧延率Rrを5〜15%とすると、抗張力の減少を抑制しながら、伸び率≧5%を確保できる。伸び率5%の水準は、本発明にかかる熱硬化一軸延伸シートIVを、直径25mmのマンドレルに室温で直接カーリングできる程度の可撓性である。なお、圧延率Rrが15%を越えると、周縁部にマイクロクラックが生じ、これがネックとなって抗張力は変動幅が大きくなる。なお、小口径では適宜加熱軟化することで対処できる。なお、熱硬化一軸延伸シートIVのC-stage状態は不完全でも差し支えない。
工程5では、前記熱硬化一軸延伸シートIVを、カーリングなどの常法により変形させ、外径20〜45mm、肉厚0.5〜0.8mm、長さ5〜12mmの、本発明にかかる一軸延伸に基づく円筒状の薄肉環状希土類樹脂磁石Vrngとした。
一方、工程6では、工程3で得た所定寸法の熱硬化シートIIIを、直接外半径30mm、内半径29.5mm、開口角30度のスタンピング型を用い、温度120℃にて不等延伸した。これにより、本発明にかかる不等延伸に基づく円弧状の薄肉環状希土類樹脂磁石Vsgmが得られた。
(磁気特性と薄肉化による小型モータの希土類削減)
希土類磁石粉末[A]は、残留磁化Mr 0.90T、保磁力HcJ 770kA/m、最大エネルギー積(BH)max 128kJ/m3の特性をもつ。前記希土類磁石粉末[A]の真密度doを7.6Mg/m3とすると、外径20〜45mm、肉厚0.5〜0.8mm、長さ5〜12mmの、本発明にかかる円筒状の薄肉環状希土類樹脂磁石Vrngに占める希土類磁石粉末の割合は、75.9体積%である。
図5の図表は、熱硬化シートIIIを7mm立方体にスタンピング加工した、本発明にかかる希土類樹脂磁石(実施例)と、圧縮成形希土類樹脂磁石(従来例)の、25℃における磁気特性を示す。ただし、従来例は、希土類磁石粉末[A]を樹脂と共に1GPaで圧縮成形したもので、希土類樹脂磁石に占める希土類磁石粉末の割合は、80.1体積%である。また、測定はB-Hトレーサを用い、測定磁界Hmは±2.4MA/mである。図5から、実施例の残留磁化Mrは、従来例に比べ2.5%程度減少しているに過ぎない。しかし、外径20〜45mm、肉厚0.5〜0.8mm、長さ5〜12mmの、本発明にかかる円筒状の薄肉環状希土類樹脂磁石Vrngとすることができる。
次に、図5の従来例を筒状(内径20mm、肉厚1.0mm、長さ29.7mm)に形成した永久磁石界磁とし、電機子鉄心との空隙距離Lgを0.3mmとした。このような永久磁石界磁型直流モータの空隙磁束密度φgは28641maxwell、パーミアンスPcは1.92であった。
上記に対して、図5で示した磁気特性をもつ実施例の空隙磁束密度φgの比率を、図4に示す。図から明らかなように、空隙距離Lgを0.2mmとすれば、永久磁石界磁型小型直流モータの特性を維持、確保しながら、希土類使用量を20重量%以上削減できる。また、空隙距離Lgを同じとして、モータ特性を維持、確保しながら、希土類使用量を20重量%削減するには、電機子巻線の巻数nを8%程増すことで対応できる。また、空隙距離Lgを0.25mmと0.05mmだけ狭めると、モータ特性を維持、確保しながら、希土類使用量を20重量%削減するには、電機子巻線の巻数nを3%程増すことで対応できる。このように、本発明のような環状希土類樹脂磁石の薄肉化をベースとして、小型モータの希土類使用量を削減するには、空隙距離Lg、および電機子巻線仕様の他、最適磁気回路設計で、効果を更に高めることが期待できる。
[A]:希土類磁石粉末、[B]:エポキシオリゴマー、[C]:延伸可能なポリマー、[D]:架橋剤

Claims (14)

  1. 希土類磁石粉末を[A]、室温で固体のエポキシオリゴマーを[B]、[B]と反応し得る反応基質を有し、かつ延伸可能なポリマーを[C]、並びに[B]の架橋剤を[D]としたとき、
    [C]の軟化点以上、かつ[B]と[D]の反応開始温度以下で、[A]、[B]、[C]、および[D]を溶融混練して混練物Iとする第1の工程と、
    前記混練物Iを、前記第1の工程の混練温度以下にてロール装置によりシート化した後裁断して、所定寸法の熱可塑シートIIとする第2の工程と、
    前記熱可塑シートIIを、[B]と[D]との反応開始温度以上に加熱し、[B]と[C]、および[B]と[D]との架橋により、熱硬化シートIIIとする第3の工程と、
    前記熱硬化シートIIIの延伸工程とを含むことを特徴する希土類樹脂磁石の製造方法。
  2. 前記熱硬化シートIIIの延伸工程に、前記熱硬化シートIIIを一軸延伸し、熱硬化一軸延伸シートIVとする第4の工程と、
    前記熱硬化一軸延伸シートIVを、円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrngとする第5の工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  3. 前記熱硬化シートIIIの延伸工程に、前記熱硬化シートIIIを厚さ方向に一軸不等延伸し、円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmとする第6の工程を含むことを特徴する請求項1記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  4. 前記第1から第6の工程において、全ての加工温度、熱処理温度範囲が60〜200℃であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  5. 前記希土類磁石粉末[A]が、溶湯合金の急冷凝固法で得られる保磁力HcJ≧600kA/mのR2TM14B(R=Pr、Nd、TM=Fe、Co)、αFe-R2TM14B、FeB-R2TM14B、αFe-Sm2Fe17N3、Sm2Fe17N3金属間化合物のうち、1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  6. 前記エポキシオリゴマー[B]が、オキシラン環を有する融点70〜100℃のエポキシ化合物の1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  7. 前記延伸可能なポリマー[C]が、軟化点80〜150℃、20℃の伸び率が300%以上のポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  8. 前記ポリアミド樹脂が、ダイマー酸を主成分とする二塩基酸とポリアミン類とを縮合重合させて得られる、ダイマー酸変性ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項7記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  9. 前記ダイマー酸が、ダイマー酸65〜100重量%、モノマー酸20重量%以下、トリマー酸30重量%以下、含有するものであることを特徴とする請求項8記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  10. 前記ポリアミド樹脂が、ジカルボン酸をダイマー酸100重量部に対して0〜30重量部、モノカルボン酸をダイマー酸100重量部に対して0〜10重量部用いて縮合重合したものであることを特徴とする請求項7記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  11. 前記架橋剤[D]が、粉末状イミダゾール化合物、またはその誘導体であり、前記エポキシオリゴマー[B]との反応開始温度が、前記延伸可能なポリマー[C]の軟化点よりも高いものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  12. 前記熱硬化シートIIIの厚さをta、前記熱硬化一軸延伸シートIVの厚さをtb、圧延率Rrを((ta-tb)/ta)×100(%)としたとき、前記圧延率Rrが5〜15%であることを特徴とする請求項2記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  13. 前記円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrng、または前記円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmに占める、前記希土類磁石粉末[A]の割合が、75体積%以上であることを特徴とする請求項2または3記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
  14. 前記円筒状の環状希土類樹脂磁石Vrng、または前記円弧状の環状希土類樹脂磁石Vsgmを、2.4MA/mで磁化した際の20℃の最大エネルギー積(BH)maxが、75kJ/m3以上であることを特徴とする請求項2または3記載の希土類樹脂磁石の製造方法。
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