[実施の形態1]
本実施の形態に係る消火システムの制御装置について、その電気的構成を説明する。消火システムの制御を行う制御手段としての、消火システム制御盤300と、現地操作盤400とがあり(図1参照)、それぞれ図5における消火システム制御盤10と現地操作盤7と置き換えて設置される。
消火システム制御盤300は、記憶部101と、出力ポート102と、制御部103と、電源部104と、表示・操作部105と、入出力部106とを備える(図4参照)。
前記電源部104は、前記記憶部101と、前記出力ポート102と、前記制御部103と、前記表示・操作部105と、前記入出力部106とへ電気的に接続され、これらに電力を供給するとともに、前記入出力部106を介して、前記現地操作盤400と、消火システム専用の火災感知器3とに電力を供給し、さらに制御出力として遠隔操作弁5と、消火ポンプ制御盤9とに電力を送出する。
前記入出力部106は、消火システム制御盤300の外部機器である、火災検出手段としての消火システム専用の火災感知器3と、火災受信機8と、遠隔操作弁5と、消火ポンプ制御盤9と、現地操作盤400とへ電気的に接続され、信号授受を行うとともに、前記制御部103と電気的に接続され、前記外部機器との信号授受を仲介する。
前記表示・操作部105は、前記制御部103と電気的に接続され、表示・操作部105上の操作スイッチ等からの信号を前記制御部103へ送出するとともに、制御部103からの制御信号によって表示・操作部105上のLED等の表示手段を制御する。
前記記憶部101は、前記制御部103と電気的に接続され、消火システム全体の制御を行う前記制御部103を作動させる為の制御プログラムを格納するとともに、発生したイベント情報を前記制御部103から受けてこれを記憶する。
前記出力ポート102は、前記制御部103上に設けられ、可搬型コンピュータ等の外部端末PCを接続して通信を行うものであり、前記イベント情報を外部端末で読み出すものである。
前記制御部103は、前記記憶部101に格納された制御プログラムにしたがって、消火システム制御盤300内部の制御を行うとともに、消火システム全体の制御を行う。
また、現地操作盤400は、盤面に消火システムの作動状況を表示し、各種の操作を行う為のスイッチ等を配置した図示しない表示・操作部と、消火システム制御盤300と電気的に接続する為の図示しない入出力部とを備える。
次に制御装置の盤面の構成について説明する。
消火システム制御盤300および現地制御盤400の表示・操作部105について、本体正面に設けられる盤面の構成例をそれぞれ図2、図3に示す。以下、図2および図3に基いて、盤面構成を説明する。
図2において、消火システム制御盤300の盤面300Cは高さ方向において4つの領域に、図3において、現地操作盤400の盤面400Cは高さ方向において3つの領域に、それぞれ分けられている。盤面300Cおよび400Cの最上部には、(1)表示灯領域20が設けられ、その下側には、(2)放水モード領域30が設けられ、その下側には(3)放水制御領域40が設けられる。さらに、消火システム制御盤の盤面最下部には、(4)その他操作部領域50が設けられる。4つの領域20〜50には、表示灯領域20を除いて、火災や放水に関する各種操作部が設けられる。また、表示灯領域20には、火災時に点灯する表示部としての火災灯21が設けられ、放水制御領域40には、放水時に点灯する放水中灯41が設けられる。各領域20〜50にあるスイッチ等で構成される操作部の左側には、LEDからなる表示部が設けられ、スイッチの操作時に点灯または点滅するように構成されている。
この消火システム制御盤300の盤面300Cおよび現地操作盤400の盤面400Cに設けられる各種操作部は、火災発生から放水中までの流れに沿って盤面上の上方から右下方に向かって略一方向に配置されている。言い換えれば、火災発生時において、操作すべきスイッチ(操作部)から盤面の上部に配置されており、盤面300Cおよび400Cの右下方へ行くほど、操作処理において、後で操作すればよいスイッチとなっている。
また、表示部についても、同様に、火災発生から放水中までの流れに沿って盤面上の上部から下部にわたって略一方向に配置されている。言い換えれば、火災発生時において、はじめに点灯する表示部から盤面の上部に配置されており、放水中灯のように火災発生時において、最終的に点灯する表示部は盤面300Cおよび400Cの右下方に配置されている。
操作部や表示部が、このように配置されるため、火災時には、操作員は盤面の上方から右下方へわたって順々に操作していくことで、確実に消火装置の放水等の操作を行うことが可能となっており、操作性にも視認性にも優れているという効果がある。
各領域20〜50に設けられる操作部同士または操作部と表示部同士は、操作の順番を示す矢印部60で結んで表示されている。矢印部60は、盤面300Cおよび400Cにおいて、例えば、所定の幅を有した白抜きで表示されるように盤面に印刷したものである。火災時における操作手順は、この矢印部60の矢印の先端側に向かって、処理をすすめれば良いようになっている。つまり盤面全体が、あたかもフローチャートのような表示形式となっている。
以下に、図2、図3における表示部と操作部の詳細を領域20〜50毎に説明する。
(1)表示灯領域20
表示灯領域20は、上部のシステム状態表示部と下部の火災発生表示部とから構成される領域である。火災時に点灯する火災灯21の上部には、交流電源灯や故障時に点灯する故障灯などの表示灯をまとめた各種表示灯22が設けられる。そして、火災灯21の下部には、区画毎の火災状況を示す地区灯23が設けられる。地区灯23は、3つの表示灯から構成されており、最上部に区画灯23A、真ん中に自火報灯23B、最下部に消火専用灯23Cが設けられる。この地区灯23は、区画数に応じて設けられ、図2および図3の場合には、5区画(5回線)に相当するものとなっている。
(2)放水モード領域30
この領域は、消火システム制御盤300と現地操作盤400とでは異なる部分があるので、それぞれについて分けて説明する。
<消火システム制御盤の放水モード領域>
消火システム制御盤300の盤面300Cにおいて、放水モード領域30の上部には、自動放水モードと手動放水モードのいずれかを選択する放水モード選択部31が設けられる。放水モードの選択は、専用の鍵(キースイッチ)を使用して行われ、その鍵を回すことで、放水モードを選択できる。放水モード選択部31の横には、いずれの放水モードであるかを表示する放水モード表示灯31A、31Bが設けられる。通常は、自動放水モードに設定されており、自動モード側の放水モード表示灯31Aが点灯しており、火災時には、火災検出手段としての火災感知器の作動により、自動で遠隔操作弁が開放されて消火水が供給され、消火手段としての消火装置から放水を行うようになっている。
放水モード選択部31の横には、放水モードの説明書きを記載した領域を介して、音響停止スイッチ33が設けられる。このように盤面上に説明書きを記載した領域を、対象となる操作部の近傍に設けることで、操作の理解を助けるようにしてある。
そして放水モード選択部31の下側には、手動放水モードの説明を記載したモード説明領域34が設けられ、その横であって、音響停止スイッチ33の下側に自動放水モードの表示が設けられ、制御部103の内部に備わった図示しない放水開始タイマの表示部35が設けられる。放水開始タイマは、所定の遅延時間の後に消火手段としての消火装置を作動させる遅延動作を行うものであり、放水が開始されるまでの残り時間をカウントし、放水開始タイマ表示部35に前記カウントの値を表示する。例えば、180秒からカウントダウンし、0秒になったときに、放水を開始する制御を行う。なお、放水開始タイマ表示部35の近傍には、必要に応じて、「放水開始タイマ」の説明書きを記載した領域を設けるようにしてもよい。
前記放水開始タイマは、消火システム制御盤300の盤面300Cにおいて放水モード選択部31を手動放水モードに切り換えるとカウントダウンを中断し、そのときのカウント値のまま停止する。そして、放水モード選択部31を再び自動放水モードに戻すと、停止したカウント値からカウントダウンを再開する。
また、現地操作盤400の盤面400Cで、遅延動作停止操作としてタイマ停止スイッチを操作すると、現地操作盤から消火システム制御盤に対して遅延動作停止を要求する信号が送出され、これを受信した消火システム制御盤300の制御部103は、前記遅延動作を中止し、前記放水開始タイマのカウントダウンを停止するとともにカウント値を初期化し、消火装置の作動を中止するとともに、前記手動放水モードに移行する制御を行い、消火システム制御盤300および現地操作盤400は手動放水モードとなる。
放水モード選択部31とモード説明領域34との間には、モード説明領域34側に向かって下方に矢印が伸びる下向きの第1の矢印部60Aが表示される。この第1の矢印部60Aは、その後端が、地区灯23の部分に接しており、地区灯23からモード説明領域34まで伸びる矢印となっている。放水モード選択部31と放水開始タイマ35との間には、放水開始タイマ35側に向かって右方に矢印が伸びる右向きの第2の矢印部60Bが表示される。この第2の矢印部60Bは、放水モード選択部31の下方で、第1の矢印部60Aと分岐している。このように、放水モード領域30においては、操作手順(操作の順番)を示すために、矢印部としての第1の矢印部60Aと、第2の矢印部60Bとが盤面上に表示されている。
<現地操作盤の放水モード領域>
一方、現地操作盤400の盤面400Cにおいては、放水モード領域30の上部には、盤面操作を行うか否かの選択部(盤面操作可否選択部)32が設けられ、専用の鍵(キースイッチ)が盤面操作可否選択部32に挿入されて操作可能位置に回されると、現地操作盤400から消火システム制御盤300に、現地操作盤400の盤面操作要求信号が送出され、これを消火システム制御盤300の制御部103が受信する。該制御部103は、火災検出手段の作動状況と前記盤面操作要求信号によって、現地操作盤400の前記盤面操作要求信号以外の盤面操作による信号を受けても無視し、現地操作盤の盤面操作禁止手段として作用したり、前記盤面操作禁止手段を解除したりする。
前記専用の鍵(キースイッチ)は盤面操作不可の位置で盤面操作選択部32から外れるようになっており、平常時、すなわち前記専用の鍵が抜かれ、かつ、火災が発生していない状態では現地操作盤400の盤面操作は出来ないように、現地操作盤の盤面操作禁止手段として、前記消火システム制御盤300の制御部103に制御される。
火災発生時には、自動放水モードで遠隔操作弁が開放されて消火水が供給され、消火手段としての消火装置4から放水を行うように制御されるとともに、消火システム制御盤300の制御部103が現地操作盤400の盤面操作禁止を自動的に解除する制御を行い、盤面操作選択部32の側方に位置する盤面操作可能灯32Bが点灯し、盤面操作が可能となる。このとき、現地操作盤400でタイマ停止スイッチ35Bの操作が行われると、その盤面操作による信号が消火システム制御盤300に対して送出され、消火システム制御盤300は放水を中止し、手動放水モードに移行する。すなわち、火災発生時、たまたま火災現場に遭遇して専用の鍵(キースイッチ)を所持していない場合であっても、現地操作盤400の盤面を操作して消火活動を行えるようになっているのである。また、火災検出手段が誤報を発した場合、たまたま火災現場に遭遇して専用の鍵(キースイッチ)を所持していない場合であっても、現場が火災でないことを確認して、現地操作盤400を操作して、誤った放水による水損を防止することもできる。
また、火災検出手段が火災を検出していない場合でも、専用の鍵(キースイッチ)を盤面操作可否選択部32に挿入して、その鍵を盤面操作可能の位置へ回すことによって、前記盤面操作禁止手段として作用している消火システム制御盤300の制御部103は、盤面操作禁止を解除し、現地操作盤400の盤面操作を可能とすることができる。ただし、消火システム制御盤300において現地操作盤400の盤面操作を禁止する操作を行っている場合、現地操作盤400の盤面操作選択部32の側方に位置する盤面操作不可灯32Aが点灯し、前記専用の鍵(キースイッチ)を挿入して盤面操作可能の位置に回しても、盤面操作が無効となるようにしている。この無効処理は、消火システム制御盤300が現地操作盤400から送出される盤面操作信号を受け付けないことによって行われる。このような消火システム制御盤300の操作は、消火システム制御盤300等、現地操作盤400以外の場所で点検などを行っている場合に、不意な現地操作盤400からの操作で事故が起きることを防止する目的などで用いる。
盤面操作可否選択部32の横には、盤面操作の説明書きが記載される。このように盤面上に説明書きを記載した領域を、対象となる操作部の近傍に設けることで、操作の理解を助けるようにしてある。
そして盤面操作可否選択部32の下側には、手動放水モードの説明を記載したモード説明領域34と、自動放水モードの表示とが、横方向に設けられ、放水開始タイマの作動を表示する表示部35が設けられる。放水開始タイマ表示部35は、放水が開始されるまでの残り時間の間に点滅表示するもので、これが点灯に変わって放水を開始するまでの間に、タイマ停止スイッチ35Bを操作すると、放水開始タイマは停止し、手動放水モードへと切り替わる。なお、タイマ停止スイッチ35Bの近傍には、必要に応じて、「放水開始タイマ」の説明書きを記載した領域を設けるようにしてもよい。
盤面操作可否選択部32とモード説明領域34との間には、モード説明領域34側に向かって下方に矢印が伸びる下向きの第1の矢印部60Aが表示される。この第1の矢印部60Aは、その後端が、地区灯23の部分に接しており、地区灯23からモード説明領域34まで伸びる矢印となっている。盤面操作可否選択部32と放水開始タイマ表示部35との間には、放水開始タイマ35側に向かって右方に矢印が伸びる右向きの第2の矢印部60Bが表示される。この第2の矢印部60Bは、盤面操作可否選択部32の下方で、第1の矢印部60Aと分岐している。このように、放水モード領域30においては、操作手順(操作の順番)を示すために、矢印部としての第1の矢印部60Aと、第2の矢印部60Bとが盤面上に表示されている。
(3)放水制御領域40
放水制御領域40には、放水時に点灯して放水中であることを示す放水中灯41が設けられる。放水中灯41は、横長の矩形領域で形成され、火災灯21と同等以上の長さであり、視認性をよくしてある。放水中灯41の上方には、放水を開始させる放水開始スイッチ42が設けられ、また放水中灯41の下方には、放水を停止させる放水停止スイッチ43が設けられる。
放水開始スイッチ42の上方には、消火活動を行う防護区画(放水区画)を選択する区画選択手段である区画選択部44が設けられる。本実施例では、区画数が5つのため、区画選択部44は、5つの放水区画選択スイッチから構成されている。
この放水区画選択スイッチを操作することで、消火装置4を手動で遠隔操作する権限である操作権を取得でき、スイッチの操作を行った制御装置側に操作権があることを示す表示灯45A、45B、45Cのいずれか1つが点灯する。逆に他方の制御装置側で放水区画選択スイッチの操作があれば、他方の制御装置側に操作権が移り、操作権があることを示す表示灯45A、45B、45Cのいずれか1つを点灯させる。この操作権の制御は、操作が有効な(盤面操作不可の状態でない)制御装置において、放水区画選択スイッチを最後に操作した制御装置側に操作権を付与し、他の制御装置からの手動操作が無効となるように、消火システム制御盤300の制御部103で制御する。すなわち、放水区画選択スイッチを操作することによって随時操作権を取得できるわけであり、どの制御装置(消火システム制御盤、現地操作盤)からも操作権を取得して手動操作することができると同時に、複数の制御装置(消火システム制御盤、現地操作盤)から同時に操作できないようにして、操作員が混乱しないようにすることができるのである。
モード説明領域34と区画選択部44との間には、区画選択部44側に向かって垂直方向に矢印が伸びる下向きの第3の矢印部60Cが表示される。また、区画選択部44と放水開始スイッチ42との間には、放水開始スイッチ42側に向かって垂直方向に矢印が伸びる下向きの第4の矢印部60Dが表示される。また、放水開始スイッチ42と放水中灯41との間には、放水中灯41側に向かって右方に矢印が伸びる右向きの第5の矢印部60Eが表示される。また、放水開始タイマ表示部35と放水中灯41との間には、放水中灯41側に向かって垂直方向に矢印が伸びる下向きの第6の矢印部60Fが表示される。そして、放水中灯41と放水停止スイッチ43との間には、垂直方向に放水停止スイッチ43側に向かって矢印が伸びる下向きの第7の矢印部60Gが表示される。
このように操作手順(操作の順番)を示すために、矢印部60は、7つの矢印部60A〜60Gによって構成されているが、必ずしも全ての矢印部が必要というわけではない。いずれか一部分だけに矢印部を設けるようにしたものであってもよい。
(4)その他操作部領域50(保守操作部領域)
その他操作部領域50には、消火システム制御盤300の盤面300Cにおいては、遮断用スイッチ51、試験用スイッチ52、復旧スイッチ53、保安用電話ジャック54が、現地操作盤400の盤面400Cにおいては保安用電話ジャック54だけが、それぞれ設けられる。図示はしないが、放水停止スイッチ43と復旧スイッチ53との間に矢印部を表示するようにしてもよい。
次に、この消火システム制御盤300および現地操作盤400における火災時の放水処理の操作手順について説明する。
消火システムが防護する防火対象物において火災が発生すると、まず自火報用の火災感知器1または2が火災を検知して、火災信号を火災受信機8に出力する。火災受信機8は、この火災信号を消火システム制御盤300に移報する。消火システム制御盤300で、前記火災信号を受信すると、火災が発生した区画における自火報灯23Bを点灯するとともに、現地操作盤400に対して信号を送出し、火災が発生した区画における自火報灯23Bを点灯させる。
続いて、火災検出手段としての消火システム専用の火災感知器3が動作(火災発報)すると、火災が発生した区画における消火専用灯23Cを点灯するとともに、現地操作盤400に対して信号を送出し、火災が発生した区画における消火専用灯23Cを点灯させる。消火システム制御盤300では、同じ区画にある自火報用の火災感知器1または2と消火システム専用の火災感知器3が発報すると、火災が発生したものと断定し、区画灯23Aと火災灯21を点灯させるとともに、現地操作盤400に対して信号を送出し、消火システム制御盤と同じ区画の区画灯23Aと火災灯21とを点灯させる。防災センタまたは現地の操作員は、区画灯23Aと火災灯21の点灯により、防火対象物のどの防護区画で火災が発生したかを認識する。この際、消火システム制御盤300は音響装置で火災警報し、音響停止スイッチ33を押すことで、火災警報の音響を停止することができる。なお、この後、引き続き別の区画でも火災が発生した場合には、消火システム制御盤300および現地操作盤400の該当する区画の区画灯23Aが点滅表示となって、どの区画で第2報が発生したかがわかるようになっている。
区画灯23Aの点灯に伴い、矢印部60Aを見ることで、次の操作として、放水モードを操作すればいいことが理解できる。消火システム制御盤300が自動放水モードに設定されている場合、火災が発生したことが断定されると、図示しない放水開始タイマが180秒の状態からカウントダウンを開始し、消火システム制御盤300においては残り時間を、現地操作盤400においてはカウントダウンを行っていることを点滅によって、それぞれ放水タイマ表示部35に表示する。このとき、消火システム制御盤300の放水モード選択部31にある放水モード表示灯31Aの「自動放水」の部分が点灯し、現地操作盤400の盤面操作可否選択部32は自動的に盤面操作可能となり、盤面操作可能灯32Bが点灯する。
ここで、矢印部60A、矢印部60Bおよび矢印部60Cの矢印側を見ることで、モード説明領域34の内容を読んで、手動放水モードを選択するかを検討でき、また放水開始タイマ表示部35でカウントダウンがはじまったことを認識することができる。
放水開始タイマのカウントダウン中は「放水開始タイマ作動中」灯35Aが点滅する。放水開始タイマのカウントダウンが進み、カウント値が0になると、自動的に放水を開始する。
放水開始タイマのカウントダウン中に、直ちに放水を行いたい場合には、消火システム制御盤300では放水モード選択部31を手動放水モードに切り換え、現地操作盤400においてはタイマ停止スイッチ35Bを操作する。
なお、火災時に限り、消火システム制御盤300は平常時には禁止している現地操作盤400の盤面操作を自動的に解除するので、現地操作盤400の盤面操作を可能とするための専用の鍵(キースイッチ)を携行していなくても、現場に居合わせた操作員が現地操作盤400を操作することができる。この操作により、放水開始タイマは停止するので、区画選択部44を操作して放水したい区画を選択すると同時に操作権を自動的に獲得し、放水開始スイッチ42を押すと、対象となる区画に放水をすることが可能となる。このとき、区画選択部44の操作により、操作されたスイッチの所の表示灯(放水区画選択灯)が点滅する。逆に、手動放水モードに切り換えることによって、放水開始タイマは停止するので、そのまま区画選択部44または放水開始スイッチ42を操作しなければ自動放水を停止したままとすることも可能である。
放水開始タイマのカウント値が0になると、自動的に選択されて消火対象となっている区画の遠隔操作弁5が開放するとともに、ポンプ制御盤9を介して加圧送水装置6が起動され、その結果、火災が発生した防護区画において消火手段としての消火装置4から放水が行われ火災を消火する。この遠隔操作弁5の開放制御が行われると、放水中灯41が点灯する。防災センタの操作員は、消火システム制御盤300の放水開始タイマ表示部35の値が0になったとき、矢印部60Fの先端に案内されて、放水中灯41を見るので、放水が行われていることを認識できる。なお、手動放水モードの場合には、矢印部60D、60Eに案内されて、放水中灯41の点灯を認識することが可能となる。
火災が完全に消火されたことを確認したら、矢印部60Gの先端にある放水停止スイッチ43を操作して、遠隔操作弁5を閉止制御して、消火水の供給を停止する。消火水の供給が停止すると、放水中灯43は消灯する。また復旧スイッチ53を押すことで、火災灯21、区画灯23A、消火専用灯23Cも消灯される。自火報灯23Bについては、火災受信機8から出力がなくなったときに消灯する。
ところで、消火装置4が放水するとき、すなわち、放水開始タイマがカウントを開始したときや、消火装置4が放水中のときに、直ちに放水を停止したい状況が起こり得る。例えば、操作員による誤った操作や、火災感知器2、3の誤動作によって、放水開始タイマがカウントを開始したり、放水を開始したりしてしまったような場合である。このような状況では、操作員は慌てて放水停止操作を行おうとすることが想定されるので、その操作方法は、より直感的で簡便である必要がある。
そこで、放水開始タイマのカウント時、または、放水中、のとき、自動的に放水停止スイッチ43の操作を許可しておき、このとき放水停止スイッチ43の操作を行うと消火装置4を手動で遠隔操作する権限である操作権を取得できるようにしておく。つまり、放水停止スイッチ43の第1回目の操作で操作権を取得し、さらに連続して放水停止スイッチ43の操作を行うと消火装置4の放水を停止するようにしておく。したがって、放水停止スイッチ43を2回連続して操作することによって確実に放水を停止することができる。
本発明によれば、消火システム制御盤300および現地操作盤400の盤面上に設けられる操作部や表示部は、操作の順番に従うように、上方から右下方にわたって略一方向に配置されているので、視認性が良い。また、操作部や表示部の間には、操作の順番を示す矢印部がフローチャートのように表示されているので、どの順番で操作部を操作していいのかがわかりやすく、操作性が向上する。
そして、上記の如く順番に操作していく過程で、操作権を意識することなく自然に操作権を獲得するので、操作権を獲得する為の専用スイッチを設ける必要がなく、先に述べたように盤面上の操作部と表示部とを操作の順番に従うように略一方向に配置し、これらを操作する動線が、操作権を取得する為だけの操作でぶれることがないのである。
なお、矢印部は、単なる白抜きの印刷表示としたが、矢印部の輪郭内にLEDなどの発光体を設けたり、矢印部を面発光体で形成したり背面に照光するための発光体を設けたりして、次に操作する操作部への流れを示す矢印部だけを点滅または点灯するようにして、操作の案内機能を高めるようにしてもよい。
なお、操作スイッチの横にあるLEDは、点滅周期を変えて点滅表示させるようにしてもよい。例えば、放水区画の選択スイッチの横にあるLEDを、放水開始タイマのカウントダウン中(放水予告中)には2Hzで点滅させ、放水制御中に1Hzで点滅させ、放水中に点灯させるようにしてもよい。このようにすることで、操作に対する状況が認識しやすくなる。
また、火災発生を示す区画灯を、第1報目の区画は点灯させ、第2報目の区画は2Hzで点滅させ、第3報目の区画は1Hzで点滅させるようにしてもよい。このようにすると、火災が複数の箇所で発生した場合に、火災が発生した順番を認識することが可能となる。
ところで、消火活動が終了した後や、不具合が発生した場合などは、何時に、何が起きたか、といったイベント情報が調査に役立つ。消火システム制御盤300は、記憶部101を備え、発生時刻情報を含む発生したイベント情報を記憶するようになっている。そして、前記イベント情報は前記制御部103上に備えた出力ポート102を介して外部の情報端末PCへ読み出すことができるようにしているので、イベント情報を調査することが可能となる。
また、放水開始タイマのカウント時、または、放水中、のいずれかのとき、放水停止スイッチ43を2回連続して操作することによって確実に放水を停止することができるので、より直感的で簡便な操作によって放水を停止することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る消火システムの制御装置は、実施の形態1における構成を一部変更したものであり、同一の部分については説明を省略する。
本実施の形態においては、防護区画毎の火災を検出する火災検出手段としての消火システム専用の火災感知器3に代えて、赤外線受光素子等の視野を走査して防護区画内の火災源から放射される放射光を受光し、火災の検出に加えて火災源の位置を特定する図示しない火源探査装置を備え、これを以て消火システム専用の火災感知器に代えるものである。
さらに、前記火源探査装置が自動火災報知設備を代替できるものであれば、自動火災報知設備そのものを省略することができる。すなわち、前記火災受信機8と前記自動火災報知設備用の火災感知器1および2を省略することができる。
このような火源探査装置を備えると火災源位置を特定できるので、消火手段としての固定式ヘッド4に代えて図示しない放水銃等の可動式ヘッドを設置し、特定された火災源に向けて放水するようにしても良い。このような場合であっても、可動式ヘッド等の消火装置を手動で操作する際には、実施の形態1で述べたことと同様に、操作員が手動操作を行う権限を取得する為だけの操作を行う必要が無く、複数の操作員が複数箇所から操作する場合でも混乱を招くことがなく、火災発生場所に居合わせた操作員が現場状況に応じて手動操作を行おうとするときに現地操作盤を操作して自動放水を停止したり手動で防護区画を選択して放水を行ったりすることができ、現場に居合わせた操作員が専用の鍵(キースイッチ)を持ち合わせていなくても、現場状況に応じて現地操作盤を手動操作して消火活動にあたることができるといった効果に変わりはない。