JP6008529B2 - 厚板用サブマージドアーク溶接設備のフラックス充填装置 - Google Patents
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Description
被溶接材の開先部に平行に設置された案内部材に沿って移動自在な溶接台車に、開先部を横向き溶接する溶接トーチと、開先部にフラックスを給送、回収するフラックス送給・回収装置と、溶接トーチの下方で開先部に供給されたフラックスを、開先部下部の被溶接材に押し付けられて転動自在な無端状の弾性ベルトにより保持するフラックス受けコンベヤを有するフラックス受け装置とを具備し、被溶接材の開先部を横向き溶接する厚板用サブマージドアーク溶接設備のフラックス充填装置であって、
前記開先部をレ形開先またはV形開先とするとともに、前記被溶接材の厚さを40mm以上で120mm以下とし、
溶接トーチの溶接方向の前後に配置され、フラックス送給・回収装置の供給シュートから供給されるフラックスを開先部の奥に向かって案内するフラックスガイド板と、
溶接トーチの近傍で、押込み部材を開先部の奥側に向かって所定出退ストロークおよび所定サイクルで出退して、フラックスに開先部の奥側に向かう振動を与えるフラックス押込み機と、を具備し、
前記フラックス押込み機は、開先部の奥側から中間部までの溶接時に使用されるとともに、前記押込み部材の先端部が突出位置で前記被溶接材の表面近傍となるように設定されたものである。
前記フラックス押込み機は、粒状のフラックスを使用する場合、前記押込み部材の出退サイクルを、200〜350回/分としたものである。
前記フラックス押込み機は、粒状のフラックスを使用する場合、前記押込み部材の出退ストロークSを、S=(0.1〜0.15)×T、Tは前記被溶接材の厚さ(mm)としたものである。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(全体構造)
この厚板用サブマージドアーク溶接設備(以下、溶接設備という)は、たとえば石油液化プラントなどの大口径圧力タンクを構成する厚板被溶接材である上胴板TUと下胴板TDの継ぎ目を溶接線WLに沿って据付現場近傍で溶接するためのもので、上下胴板TU,TDは、厚さ40mm以上で120mm以下の厚板が対象とされている。そして上下胴板TU,TDの継ぎ目に沿う溶接線WLに沿って形成されたたとえば非対称レ形(対称V形も可)の開先部WGを横向きに溶接する。もちろん、圧力タンクの上下胴板TU,TDに限るものではない。
図1〜図4に示すように、上胴板TUで溶接線WLの所定距離上方には、吸着磁石12aおよび吸着パッド12bを有するレール保持具12により、円筒形断面の走行レール11が上胴板TUの表面と平行で、かつ開先部WGと平行に設置されている。
図6に示すように、先行従動台車13Fに搭載されたフラックス送給・回収装置19は、回収ダクト81が接続された吸湿用のサイクロンタンク82を有するフラックス供給ホッパ83と、このフラックス供給ホッパ83の下部に接続された傾斜型の供給シュート84と、回収ダクト81に介在されたエア吸引機(エクザイヤーガン)85と、サイクロンタンク82から導出された排気ダクト86が接続される除塵フィルタ87とを具備している。そしてこれらサイクロンタンク82付きのフラックス供給ホッパ83や供給シュート84、エア吸引機85、除塵フィルタ87などの構成部材は、先行従動台車13Fに設置され、回収ダクト81の吸引口側が後行駆動台車13Rに支持されている。
後行駆動台車13Rは、図1、図2、図4に示すように、台車フレーム21Rに後方上部の支柱材26にワイヤリール16が回転自在に支持され、後方下部のブラケット27に制御盤18が垂直軸心周りに回動可能に支持されている。
[溶接トーチ]
図4、図7に示すように、トーチ支持装置15は、トーチ架台36上に、ワイヤ送給モータ37と減速装置38とが設置され、減速装置38の出力軸38aに外嵌された軸受39に、複数のワイヤガイドローラ41を有するトーチ支持体42が上下揺動調整可能に支持され、トーチ支持体42の前部に溶接トーチ14が取り付けられている。また前記減速装置38の出力軸39aに、ワイヤガイドローラ41の上方に対向して溶接ワイヤWiを導入するためのワイヤ駆動ローラ41Dが取り付けられている。溶接トーチ14には、図示しないが、制御盤18から溶接用電源ケーブルが接続され、またワイヤリール16から繰り出された溶接ワイヤWiが、トーチ支持体42のワイヤガイドローラ41およびワイヤ駆動ローラ41Dにより導入されて溶接トーチ14のワイヤ導入穴14aに送給されている。
フラックス充填装置20は、溶接トーチ14に設けられたフラックスガイド板43と、トーチ支持体42に付設されたフラックス押込み機40と、フラックス受けコンベヤ50に設けられたフラックスガード板52とを具備している。
図4(b)、図7に示すように、フラックスガイド板43は、開先部WGの奥端から中間部までを溶接する図10(a)に示す初期〜中期の溶接工程で使用されるもので、溶接トーチ14に取付ブラケット44を介して取り外し可能に設けられる。またフラックスガイド板43は、溶接トーチ14の底部に所定間隔をあけて互いに平行または略平行に配置され、フラックス送給・回収装置19の供給シュート84から供給されるフラックスを開先部WGの奥側に案内する。このフラックスガイド板43は、溶接線WLに平行な一対の内辺および外辺と、溶接トーチ14の傾斜角β°に略平行な前後一対の斜辺からなる平面視、略平行四辺形に形成され、開先部WGの最も奥部を溶接する時に、先端の内辺部が開先部WGの奥行きWGdの略1/2程度まで侵入するように取り付けられる。
図7、図8に示すように、フラックス押込み機40は、図10(a)に示す初期〜中期の溶接工程で使用されるもので、トーチ支持体42のフレーム部42aに、回動軸穴と円弧状長穴にそれぞれ調整ボルトが固定可能に装着された上下傾斜調整具47を介して取り付けられ、溶接トーチ14に並設されている。このフラックス押込み機40は、先端部が溶接トーチ14の溶接線WLの外方近傍に配置された板状またはロッド上の押込み部材45と、収容ボックス46b内に収容された出退駆動装置(エアシリンダ)46aにより、押込み部材45を所定の出退ストロークおよび所定のサイクルで出退させる押込み駆動部46とを具備し、開先部WGの中間部から開口までを溶接する図10(b)に示す中期〜後期の溶接工程で、押込み部材45の全体または先端側を取り外せるように構成されている。この押込み部材45の出退方向は、溶接トーチ14と略平行か、または仮想線で示すように、上部外方に傾斜するように設定されるとともに、その先端部が突出位置で上下胴板TU,TDの表面近傍となるように設定される。
フラックス受け装置17は、図8〜図9に示すように、フラックス受けコンベヤ50とフラックス落下防止具51とを具備し、フラックス充填装置20を構成するフラックスガード板52が着脱自在に設けられている。
フラックスガード板52は、図10(b)に示す中期〜後期の溶接工程で使用されるもので、フラックス受けコンベヤ50に着脱可能に取り付けられている。図7〜図9に示すように、上支持プレート60uにプレート支持材66を介してフラックスガード板52が外側上方に傾斜されて着脱自在に取り付けられ、たとえば歯付きホイール61F,61Rの軸間距離にわたる長さで、歯付きホイール61F,61Rの略直径の幅に形成されている。そして内端縁が上支持プレート60uの内辺部に接するように配置され、開先部WGから溢れ出すフラックスの漏れ出しを規制して、フラックスを開先部WGに押し戻す役目を果たすことができる。
上記実施例によれば、フラックス充填装置20のフラックスガイド板43により開先部WGに向かって送り込まれたフラックスを、さらにフラックス押込み機40により押込み部材45を出退させてフラックスに奥側への振動を与えるので、奥深い開先部WGをあっても、フラックスを十分に充填することができ、オープンエアとなるのを確実に防止することができる。
WL 溶接線
Wi 溶接ワイヤ
TU 上胴板
TD 下胴板
11 走行レール
12 レール支持具
13 溶接台車
13F 先行従動台車
13R 後行駆動台車
13C 台車接続具
14 溶接トーチ
15 トーチ支持装置
16 ワイヤリール
17 フラックス受け装置
19 フラックス送給・回収装置
20 フラックス充填装置
21F,21R 台車フレーム
22F,22R 走行ローラ
22D 駆動ローラ
23 走行駆動装置
26 支柱材
31 溶接用高さ調整機構
32 溶接用出退調整機構
34 上下傾動調整部
35 左右傾動調整部
36 トーチ架台
42 トーチ支持体
43 フラックスガイド板
44 取付ブラケット
45 押込み部材
46 押込み駆動部
47 上下傾斜調整具
50 フラックス受けコンベヤ
51 フラックス落下防止具
52 フラックスガード板
60 コンベヤフレーム
61F,61R 歯付きホイール
63 テンションホイール
64 弾性ベルト
65 ベルト押圧具
Claims (3)
- 被溶接材の開先部に平行に設置された案内部材に沿って移動自在な溶接台車に、開先部を横向き溶接する溶接トーチと、開先部にフラックスを給送、回収するフラックス送給・回収装置と、溶接トーチの下方で開先部に供給されたフラックスを、開先部下部の被溶接材に押し付けられて転動自在な無端状の弾性ベルトにより保持するフラックス受けコンベヤを有するフラックス受け装置とを具備し、被溶接材の開先部を横向き溶接する厚板用サブマージドアーク溶接設備のフラックス充填装置であって、
前記開先部をレ形開先またはV形開先とするとともに、前記被溶接材の厚さを40mm以上で120mm以下とし、
溶接トーチの溶接方向の前後に配置され、フラックス送給・回収装置の供給シュートから供給されるフラックスを開先部の奥に向かって案内するフラックスガイド板と、
溶接トーチの近傍で、押込み部材を開先部の奥側に向かって所定出退ストロークおよび所定サイクルで出退して、フラックスに開先部の奥側に向かう振動を与えるフラックス押込み機と、を具備し、
前記フラックス押込み機は、開先部の奥側から中間部までの溶接時に使用されるとともに、前記押込み部材の先端部が突出位置で前記被溶接材の表面近傍となるように設定された
ことを特徴とする厚板用サブマージドアーク溶接設備のフラックス充填装置。 - 前記フラックス押込み機は、粒状のフラックスを使用する場合、前記押込み部材の出退サイクルを、200〜350回/分とした
ことを特徴とする請求項1記載の厚板用サブマージドアーク溶接設備のフラックス充填装置。 - 前記フラックス押込み機は、粒状のフラックスを使用する場合、前記押込み部材の出退ストロークSを、S=(0.1〜0.15)×T、Tは前記被溶接材の厚さ(mm)とした
ことを特徴とする請求項1または2記載の厚板用サブマージドアーク溶接設備のフラックス充填装置。
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