JP6007541B2 - 振動片およびその製造方法並びにジャイロセンサーおよび電子機器および移動体 - Google Patents

振動片およびその製造方法並びにジャイロセンサーおよび電子機器および移動体 Download PDF

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Description

本発明は、振動片およびその製造方法、その振動片を利用したジャイロセンサー、並びに、その振動片が組み込まれる電子機器および移動体等に関する。
例えばジャイロセンサーに利用される振動片は一般に知られる。振動片に角速度運動が加わると、コリオリ力の働きで駆動用振動腕の振動方向が変化する。コリオリ力に対応して特定の方向に新たに力成分が生起される。この力成分は検出用振動腕の運動を引き起こす。こうして力成分に応じた出力信号が検出用振動腕から出力される。
特開2008−267983号公報
振動片の本体は例えば圧電材といった素材から削り出されることができる。削り出しにあたって素材の表面および裏面にはマスクが配置される。マスク同士の間でアライメントずれが生じると、駆動用振動腕の側面は表面および裏面に直交することができず傾斜してしまう。こうして駆動用振動腕の断面形状に加工誤差が生じると、駆動用振動腕は規定の仮想平面内で振動することができず規定の仮想平面から傾斜する仮想平面内で振動してしまう。いわゆる斜め振動が生じる。こうした現象は振動漏れと呼ばれ、検出用振動腕の出力信号では力成分に漏れ振動の成分が重畳される。その結果、出力信号のS/N比は悪化する。つまり、角速度運動が入力されていない状態で振動片からノイズとなる信号が出力されてしまう。特許文献1では、漏れ振動の成分の除去にあたって検出電極が部分的に削られる。しかしながら、こうした検出電極の除去は信号強度の低下を誘引する。したがって、期待されるほど出力信号のS/N比を向上することができない。
本発明の少なくとも1つの態様によれば、出力信号の強度を低下させることなく、出力信号のS/N比を向上することができる振動片を提供することができる。
(1)本発明の一態様は、少なくとも一部に圧電体を含む基部と、前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、前記検出用振動腕に設けられている電極に接続され、前記圧電体に配置されている配線と、前記配線の少なくとも一部であり、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成する調整用電極とを備えている振動片に関する。
こうした振動片は角速度の検出に用いることができる。角速度の検出にあたって駆動用振動腕で振動が励起される。このとき、振動片に角速度運動が加わると、コリオリ力の働きで駆動用振動腕の振動方向が変化する。コリオリ力に対応して特定の方向に新たに力成分が生起される。この力成分は検出用振動腕の運動を引き起こす。こうして力成分に応じた出力信号が検出用振動腕から出力される。
検出用振動腕の形状が設計された形状からずれると、検出用振動腕の出力信号では力成分に漏れ振動の成分が重畳される。このとき、調整用電極は検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成する。生成された電気信号は検出用振動腕の出力信号に重畳される。その結果、検出用振動腕の出力信号では漏れ振動の成分は打ち消される。こうして出力信号のS/N比は向上する。
(2)前記調整用電極の少なくとも一部が除去されていることができる。こうして調整用電極が除去されると、調整用電極に接する圧電体の領域は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する圧電体は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。
(3)前記調整用電極は、前記検出用振動腕に設けられている電極と接続されている配線本体と、前記配線本体の長手方向に沿って配列され、個々に導電細線で前記配線本体に連結されている複数の導電片と、を備えていることができる。
導電片と電極とから圧電体の電流は取り出される。導電片から配線本体に電流は流れる。導電細線が除去されると、導電片から配線本体に流通する電流は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量は調整されることができる。漏れ振動の成分は良好に打ち消されることができる。導電片の大きさで電荷量の増減量は決定されることから、導電細線の維持または除去といった簡単な作業で逆位相の電気信号の電荷量は調整されることができる。
(4)前記調整用電極対は、前記基部の第1平面に配置されている第1調整用電極と、前記第1平面と互いに表裏関係にある前記基部の第2平面に形成されている第2調整用電極とを備えていることができる。調整用電極の配置面積を倍増することができる。したがって、電気信号の調整範囲を広げることができる。あるいは、電気信号の電荷量をきめ細かく調整することができる。
(5)前記第1調整用電極の配置領域と前記第2調整用電極の配置領域との少なくとも一部がずれていることができる。こうした電極のずれによれば、たとえ基部が透明性を有する材料で形成されても、除去加工の影響は裏面の配線に及ばない。裏面の配線を設計通りに維持することができる。
(6)前記第1調整用電極から出力される電気信号と前記第2調整用電極から出力される電気信号とが、互いに同位相であることができる。駆動用振動腕の振動時に基部で歪みが生じると、第1調整用電極および第2調整用電極から同位相の電気信号を取り出すことができる。したがって、電気信号の大きさは倍増する。
(7)前記第1調整用電極から出力される電気信号と前記第2調整用電極から出力される電気信号とが、互いに逆位相であることができる。駆動用振動腕の振動時に基部で歪みが生じると、第1調整用電極および第2調整用電極から逆位相の電気信号を取り出すことができる。したがって、逆位相の電気信号を相互に打ち消し合うことができる。
(8)本発明の他の態様は、非圧電体である基部と、前記基部に設けられている調整用圧電体と、前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、前記検出用振動腕に設けられている電極に接続され、前記調整用圧電体に配置されている配線と、前記配線の少なくとも一部であり、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成する調整用電極と、を備える振動片に関する。
こうした振動片は角速度の検出にあたって用いられることができる。角速度の検出にあたって駆動用振動腕で振動が励起される。このとき、振動片に角速度運動が加わると、コリオリ力の働きで駆動用振動腕の振動方向が変化する。コリオリ力に対応して特定の方向に新たに力成分が生起される。この力成分は検出用振動腕の運動を引き起こす。力成分に応じた出力信号が検出用振動腕から出力される。
検出用振動腕の形状が設計された形状からずれると、検出用振動腕の出力信号では力成分に漏れ振動の成分が重畳される。このとき、調整用電極は検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成する。生成された電気信号は検出用振動腕の出力信号に重畳される。その結果、検出用振動腕の出力信号では漏れ振動の成分は打ち消される。こうして出力信号のS/N比は向上する。
(9)前記調整用電極の少なくとも一部が除去されていることができる。こうして調整用電極が除去されると、調整用電極に接する圧電体の領域は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する圧電体は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。
(10)前記調整用電極は、前記検出用振動腕に設けられている電極と接続されている配線本体と、前記配線本体の長手方向に沿って配列され、個々に導電細線で前記配線本体に連結されている複数の導電片と、を備えていることができる。
導電片と電極とから圧電体の電流は取り出される。導電片から配線本体に電流は流れる。導電細線が除去されると、導電片から配線本体に流通する電流は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。導電片の大きさで電流の増減量は決定されることから、導電細線の維持または除去といった簡単な作業で逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。
(11)振動片はジャイロセンサーに組み込まれて利用されることができる。ジャイロセンサーは振動片を有することができる。
(12)振動片は電子機器に組み込まれて利用されることができる。電子機器は振動片を有することができる。
(13)振動片は移動体に組み込まれて利用されることができる。移動体は振動片を有することができる。
(14)振動片の製造にあたって特定の製造方法は提供されることができる。振動片の製造方法は、少なくとも一部に圧電体を含む基部と、前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、前記検出用振動腕に設けられている電極に接続され、前記圧電体に配置されている配線と、を備えている振動片の製造方法であって、前記配線の少なくとも一部であり、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成する調整用電極の少なくとも一部を除去する工程を備えることができる。
(15)振動片の製造にあたって特定の製造方法は提供されることができる。振動片の製造方法は、非圧電体である基部と、前記基部に設けられている調整用圧電体と、前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、前記検出用振動腕に設けられている電極に接続され、前記調整用圧電体に接続されている配線と、を備えている振動片の製造方法であって、前記配線の少なくとも一部であり、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成する調整用電極の少なくとも一部を除去する工程を備えることができる。
第1実施形態に係るジャイロセンサーの構成を概略的に示す垂直断面図である。 振動片の表面の構成を概略的に示す拡大平面図である。 表側から振動片の裏面の構成を概略的に示す拡大透視平面図である。 第2振動腕すなわち駆動用振動腕の振動の様子を概略的に示す振動片の斜視図である。 第1振動腕すなわち検出用振動腕の振動の様子を概略的に示す振動片の斜視図である。 第2振動腕の振動時に振動片の応力分布を示す平面図である。 漏れ振動の出力信号とチューニング電極対の出力信号との関係を示すグラフである。 図2に対応し、チューニング処理前の振動片を概略的に示す拡大平面図である。 第2実施形態に係るジャイロセンサーで用いられる振動片の基部を概略的に示す拡大平面図である。 変形例に係る振動片の基部を概略的に示す拡大平面図である。 他の変形例に係る振動片の基部を概略的に示す拡大平面図である。 (a)第3実施形態に係るジャイロセンサーで用いられる振動片の基部の表面を概略的に示す拡大平面図、および(b)表側から基部の裏面の構成を概略的に示す拡大透視平面図である。 図12の13−13線に沿った断面図である。 (a)第4実施形態に係るジャイロセンサーで用いられる振動片の基部の表面を概略的に示す拡大平面図、および(b)表側から基部の裏面の構成を概略的に示す拡大透視平面図である。 図14の15−15線に沿った断面図である。 第5実施形態に係るジャイロセンサーで用いられる振動片の構成を概略的に示す拡大平面図である。 調整用圧電体の拡大平面図である。 調整用圧電体の拡大平面図である。 電子機器の一具体例としてのスマートフォンの構成を概略的に示す概念図である。 電子機器の他の具体例としてのデジタルスチルカメラの構成を概略的に示す概念図である。 移動体の一具体例としての自動車の構成を概略的に示す概念図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)第1実施形態に係るジャイロセンサーの構成
図1は第1実施形態に係るジャイロセンサー11の構成を概略的に示す。ジャイロセンサー11は例えば箱形の容器12を備える。容器12は容器本体13および蓋材14を備える。容器本体13の開口は蓋材14で気密に塞がれる。容器12の内部空間は例えば真空に封止されることができる。容器12は剛体として機能する。少なくとも蓋材14は導体から形成されることができる。蓋材14が接地されれば、蓋材14は電磁波に対してシールド効果を発揮することができる。
容器12には振動片15およびIC(集積回路)チップ16が収容される。振動片15およびICチップ16は容器12の内部空間内に配置される。振動片15は本体17および導電膜18を備える。本体17の表面に導電膜18が積層される。導電膜18は金(Au)、銅(Cu)、その他の金属といった導電材から形成することができる。導電膜18は薄膜や厚膜で構成することができる。図1から明らかなように、振動片15の本体17は表面17aおよび裏面17bを有する。表面17aは第1基準平面RP1内に広がる。裏面17bは第2基準平面RP2内に広がる。第2基準平面RP2は第1基準平面RP1に平行に広がる。ここでは、本体17全体は1つの圧電体から形成される。圧電体には例えば水晶を用いることができる。
振動片15は容器本体13に片持ち支持される。片持ち支持にあたって本体17の一端には固定部19が区画される。固定部19には接続端子群21が配置される。接続端子群21は裏面17bに広がる導電膜18の一部で形成される。接続端子群21は複数の接続端子すなわち導電材製パッドを含む。接続端子の詳細は後述される。その一方で、容器本体13の底板には導電端子群22が配置される。接続端子群22は複数の接続端子すなわち導電材製パッドを含む。振動片15の導電端子群21は底板上の導電端子群22に接合される。接合にあたって例えばはんだバンプや金バンプといった導電接合材23を用いることができる。こうして振動片15は固定部19で容器本体13の底板に固着される。導電端子群22は導電膜18の配線(図示されず)でICチップ16に接続される。ICチップ16は例えば容器本体13の底板に接着されればよい。
図2に示されるように、振動片15の本体17は基部25、1対の第1振動腕26a、26bおよび1対の第2振動腕27a、27bを有する。1対の第1振動腕26a、26bは基部25から第1方向D1に延びる。第1振動腕26a、26bは基部25に片持ち支持される。第1振動腕26a、26b同士は相互に平行に延びる。第1振動腕26a、26bは、基部25の重心を含み第1および第2基準平面RP1、RP2に直交する対称面28に関して面対称に形作られる。ここでは、1対の第1振動腕26a、26bは1対の検出用振動腕として機能する。基部25は所定の剛性を有する。
1対の第2振動腕27a、27bは基部25から第2方向D2に延びる。第2方向D2は第1方向D1の逆向きに相当する。第2振動腕27a、27bは基部25に片持ち支持される。第2振動腕27a、27b同士は相互に平行に延びる。第2振動腕27a、27bは、基部25の重心を含み第1および第2基準平面RP1、RP2に直交する対称面28に関して面対称に形作られる。ここでは、1対の第2振動腕27a、27bは1対の駆動用振動腕として機能する。
固定部19は第1振動腕26a、26bよりも第1方向D1側に位置する。固定部19は第1固定片29および1対の第2固定片31を有する。第1固定片29は前述の対称面28に直交しつつ対称面28から遠ざかる第3方向D3に延びる。第1固定片29の両端にそれぞれ第2固定片31が連結される。個々の第2固定片31は第2方向D2に延びる。固定部19は所定の剛性を有する。固定部19は剛体として機能する。
振動片15の本体17は少なくとも1本の第1吊り腕32a、32bと1対の第2吊り腕33a、33bとを有する。ここでは、本体17には1対の第1吊り腕32a、32bが区画される。第1吊り腕32a、32bは、1対の第1振動腕26a、26bを挟むように固定部19の第1固定片29から第2方向D2にそれぞれ延びる。第1吊り腕32a、32bの先端は基部25の第1連結部34にそれぞれ連結される。2つの第1連結部34は1対の第1振動腕26a、26bの両側に位置する。ここでは、個々の第1吊り腕32a、32bは第1直腕35aおよび第2直腕35bで構成される。第1直腕35aは第1固定片29から第2方向D2に直線的に延びる。第2直腕35bは第1連結部34から第3方向D3に延びる。第2直腕35bの先端は第1直腕35aの先端に結合される。こうして第1吊り腕32a、32bには1つの曲部36が形成される。ここでは、第2直腕35bは基部25の重心を貫通する1直線上で延びることができる。曲部36は屈折で構成されてもよく湾曲で構成されてもよい。なお、ここでいう「挟む」には、物と物との間にそれらと空間的に離れてある物が配置される構成も含まれる。以下、同様とする。
第2吊り腕33a、33bは、1対の第1振動腕26a、26bおよび1対の第1吊り腕32a、32bを挟むようにそれぞれ固定部19の第2固定片31から第2方向D2に延びる。第1振動腕26a、26bおよび第1吊り腕32a、32bは1対の第2吊り腕33a、33bの間の空間に配置される。第2吊り腕33a、33bの先端は基部25の第2連結部37に連結される。第2連結部37は第1連結部34よりも第2方向D2側に位置する。ここでは、個々の第2吊り腕33a、33bは第3直腕38a、第4直腕38b、第5直腕38cおよび第6直腕38dで構成される。第3直腕38aは第2固定片31から第2方向D2に直線的に延びる。第6直腕38dは第2連結部37から第3方向D3に延びる。第5直腕38cは第6直腕38dの先端から第2方向D2に延びる。第4直腕38bは第5直腕38cの先端から第3方向D3に延びる。第4直腕38bの先端は第3直腕38aの先端に結合される。こうして第2吊り腕33a、33bには3つの曲部39が形成される。
導電膜18は2対の第1検出電極(電極)41a、41bおよび2対の第2検出電極(電極)42a、42bを形成する。第1検出電極41a、41bは一方の第1振動腕26aに配置される。第1検出電極の信号電極41aは第1振動腕26aの表面および裏面で第1振動腕26aの根元から先端に向かって延びる。信号電極41a同士は基部25で相互に接続される。第1検出電極のグラウンド電極41bは第1振動腕26aの表面および裏面で第1振動腕26aの全長にわたって延びる。グラウンド電極41b同士は第1振動腕26aの先端で相互に接続される。信号電極41aおよびグラウンド電極41bの間に第1振動腕26aは挟まれる。一方の第1振動腕26aの変形に応じて信号電極41aおよびグラウンド電極41bから電流は取り出される。
第2検出電極42a、42bは他方の第1振動腕26bに配置される。第1検出電極の信号電極42aは第1振動腕26bの表面および裏面で第1振動腕26bの根元から先端に向かって延びる。信号電極42a同士は基部25で相互に接続される。第1検出電極のグラウンド電極42bは第1振動腕26bの表面および裏面で第1振動腕26bの全長にわたって延びる。グラウンド電極42b同士は第1振動腕26bの先端で相互に接続される。信号電極42aおよびグラウンド電極42bの間に第1振動腕26aは挟まれる。他方の第1振動腕26bの変形に応じて信号電極42aおよびグラウンド電極42bから電流は取り出される。
導電膜18は2対の第1駆動電極43a、43bおよび2対の第2駆動電極44a、44bを形成する。第1駆動電極43aは一方の第2振動腕27aに配置される。第1駆動電極43aは第2振動腕27aの根元側で第2振動腕27aの表面および裏面に広がる。第1駆動電極43a同士の間に第2振動腕27aは挟まれる。第1駆動電極43bは他方の第2振動腕27bに配置される。第1駆動電極43bは第2振動腕27bの自由端側で第2振動腕27bの表面および裏面に広がる。第1駆動電極43b同士の間に第2振動腕27bは挟まれる。第1駆動電極43bは第1駆動電極43aに基部25で接続される。
第2駆動電極44aは一方の第2振動腕27aに配置される。第2駆動電極44aは第2振動腕27aの自由端側で第2振動腕27aの表面および裏面に広がる。第2駆動電極44a同士の間に第2振動腕27aは挟まれる。第2駆動電極44bは他方の第2振動腕27bに配置される。第2駆動電極44bは第2振動腕27bの根元側で第2振動腕27bの表面および裏面に広がる。第2駆動電極44b同士の間に第2振動腕27bは挟まれる。第2駆動電極44bは第2駆動電極44aに基部25で接続される。第1駆動電極43a、43bおよび第2駆動電極44a、44bの間に電界が加えられると、第2振動腕27a、27bは変形する。
導電膜18は第1検出配線(配線)45a、45bおよび第2検出配線(配線)46a、46bを形成する。第1検出配線45a、45bは一方の第1吊り腕32aに配置される。第1検出配線の信号配線45aおよびグラウンド配線45bは第1吊り腕32aの全長にわたって第1吊り腕32aに配置される。信号配線45aは信号電極41aに接続される。グラウンド配線45bはグラウンド電極41bに接続される。第2検出配線46a、46bは他方の第1吊り腕32bに配置される。第2検出配線の信号配線46aおよびグラウンド配線46bは第1吊り腕32bの全長にわたって第1吊り腕32bに配置される。信号配線46aは信号電極42aに接続される。グラウンド配線46bはグラウンド電極42bに接続される。
導電膜18は第1駆動配線47および第2駆動配線48を形成する。第1駆動配線47は一方の第2吊り腕33bに配置される。第1駆動配線47は第2吊り腕33bの全長にわたって第2吊り腕33bに配置される。第1駆動配線47は第1駆動電極43a、43bに接続される。第2駆動配線48は他方の第2吊り腕33aに配置される。第2駆動配線48は第2吊り腕33aの全長にわたって第2吊り腕33aに配置される。第2駆動配線48は第2駆動電極44a、44bに接続される。
図3に示されるように、接続端子群21は1対の第1検出端子49a、49bおよび1対の第2検出端子51a、51bを含む。第1検出端子の信号端子49aおよび第2検出端子の信号端子51aは第1固定片29に配置される。信号端子49a、51aは1対の第1吊り腕32a、32bの内側に配置される。第1検出端子の信号端子49aは第1検出配線の信号線45aに接続される。第2検出端子の信号端子51aは第2検出配線の信号線46aに接続される。信号端子49a、51aは導電材製パッドとして形成される。
第1検出端子のグラウンド端子49bおよび第2検出端子のグラウンド端子51bはそれぞれ第2固定片31に配置される。第1検出端子のグラウンド端子49bは第1検出配線のグラウンド配線45bに接続される。第2検出端子のグラウンド端子51bは第2検出配線のグラウンド配線46bに接続される。グラウンド端子49b、51bは導電材製パッドとして形成される。
接続端子群21は第1駆動端子52および第2駆動端子53をさらに含む。第1駆動端子52および第2駆動端子53はそれぞれ第2固定片31に配置される。第1駆動端子52は第1駆動配線47に接続される。第2駆動端子53は第2駆動配線48に接続される。第1駆動端子52と第2検出端子の信号端子51aとの間に第2検出端子のグラウンド端子51bが配置される。第2駆動端子53と第1検出端子の信号端子49aとの間に第1検出端子のグラウンド端子49bが配置される。
図2に示されるように、導電膜18は本体17の表面17aで基部25の表面に第1電極用配線(調整用電極)54a、54bを形成する。第1電極用配線54a、54bは基部25の表面を這う。一方の第1電極用配線54aは第1検出電極41aから延びて第1検出配線45aに接続される。他方の第1電極用配線54bは第1検出電極41bから延びて第1検出配線45bに接続される。第1電極用配線54a、54b同士は所定の間隔で並列する。こうして基部25の表面で隔てられる第1電極用配線54a、54bで第1チューニング電極対54cは構成される。ここでは、第1電極用配線54a、54bの輪郭線に「欠け55」が形成される。その結果、第1電極用配線54a、54bの輪郭線同士の間で部分的に間隔が広げられる。輪郭線の「欠け55」には例えばレーザー痕が形成される。
導電膜18は本体17の表面17aで基部25の表面に第2電極用配線(調整用電極)56a、56bを形成する。第2電極用配線56a、56bは基部25の表面を這う。一方の第2電極用配線56aは第2検出電極42aから延びて第2検出配線46aに接続される。他方の第2電極用配線56bは第2検出電極42bから延びて途切れる。第2電極用配線56a、56b同士は所定の間隔で並列する。こうして基部25の表面で隔てられる第2電極用配線56a、56bで第2チューニング電極対56cは構成される。ここでは、第2電極用配線56bの長さは調整される。第2電極用配線56bの先端は除去されている。その結果、第2電極用配線56a、56b同士で挟まれる基部25の表面の面積は減少する。第2電極用配線56bの先端の延長線上には例えばレーザー痕が形成される。
図3に示されるように、導電膜18は本体17の裏面17bで基部25の表面に第3電極用配線(調整用電極)57a、57bを形成する。第3電極用配線57a、57bは基部25の表面を這う。一方の第3電極用配線57aは第1検出電極41aから延びて第1検出配線45aに接続される。他方の第3電極用配線57bは第1検出電極41bから延びて途切れる。第3電極用配線57a、57b同士は所定の間隔で並列する。こうして基部25の表面で隔てられる第3電極用配線57a、57bで第3チューニング電極対57cは構成される。ここでは、第3電極用配線57a、57bは積層形成されたままの形で残される。第3電極用配線57a、57bの輪郭線にレーザーの痕跡は形成されない。
導電膜18は本体17の裏面17bで基部25の表面に第4電極用配線(調整用電極)58a、58bを形成する。第4電極用配線58a、58bは基部25の表面を這う。一方の第4電極用配線58aは第2検出電極42aから延びて第2検出配線46aに接続される。他方の第4電極用配線58bは第2検出電極42bから延びて第2検出配線46bに接続される。第4電極用配線58a、58b同士は所定の間隔で並列する。こうして基部25の表面で隔てられる第4電極用配線58a、58bで第4チューニング電極対58cは構成される。ここでは、第4電極用配線58a、58bは積層形成されたままの形で残される。第4電極用配線58a、58bの輪郭線にレーザーの痕跡は形成されない。
(2)第1実施形態に係るジャイロセンサーの動作
次にジャイロセンサー11の動作を簡単に説明する。図4に示されるように、角速度の検出にあたって第2振動腕27a、27bで振動が励起される。振動の励起にあたって振動片15には第1駆動端子52および第2駆動端子53から駆動信号が入力される。その結果、第1駆動電極43a、43bと第2駆動電極44a、44bとの間で振動片15の本体17に電界が作用する。特定の周波数の波形が入力されることで、第2振動腕27a、27bは第1基準平面RP1および第2基準平面RP2の間で屈曲運動する。相互に離れたり相互に近づいたりを繰り返す。
ジャイロセンサー11に角速度運動が加わると、図5に示されるように、コリオリ力の働きで第2振動腕27a、27bの振動方向が変化する。いわゆるウォークモード励振が引き起こされる。このとき、コリオリ力に対応して対称面28に平行に新たに力成分が生起される。第2振動腕27a、27bは対称面28に平行に屈曲運動する。第2振動腕27a、27bは基部25の重心回りで揺動する。
第2振動腕27a、27bのウォークモード励振は基部25から第1振動腕26a、26bに伝播する。その結果、対称面28に平行な力成分に基づき第1振動腕26a、26bの運動が引き起こされる。第1振動腕26a、26bは対称面28に平行に屈曲運動する。第1振動腕26a、26bは基部25の重心回りで揺動する。こうした屈曲運動に応じて第1振動腕26a、26bでは圧電効果に基づき電界が生じ、電荷が生み出される。第1振動腕26aの屈曲運動は第1検出電極の信号電極41aおよびグラウンド電極41bの間で電位差を生み出す。同様に、第1振動腕26bの屈曲運動は第2検出電極の信号電極42aおよびグラウンド電極42bの間で電位差を生み出す。このとき、第1振動腕26a、26bの形状が例えば加工誤差に基づき設計された形状からずれると、第1振動腕26a、26bの出力信号ではコリオリ力の力成分に漏れ振動の成分が重畳される。
図6に示されるように、第2振動腕27a、27bの振動時、基部25には応力が形成される。基部25では圧電効果に基づき電界が生じ、電荷が生み出される。したがって、第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cで圧電効果に基づき電荷が生み出され、第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cで電位差が生み出される。こうした電位差は、図7に示されるように、第1振動腕26a、26bの漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成することができる。生成された電気信号は第1振動腕26a、26bの出力信号に重畳される。その結果、第1振動腕26a、26bの出力信号では漏れ振動の成分は打ち消される。その結果、出力信号のS/N比は向上する。ここでは、図6から明らかなように、基部25の電荷量は領域ごとに相違することから、漏れ振動の電荷量に応じて第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cの配置は調整されればよい。特に、第2振動腕27a、27bに近いほど、大きな応力が生成されることから、第2振動腕27a、27bに近い領域に位置するチューニング電極対で大まかに電荷量が調整され、第2振動腕27a、27bから遠ざかる領域に位置するチューニング電極対で電荷量がさらに微調整されることができる。
例えば第2チューニング電極対56cでは第2電極用配線56bは少なくとも部分的に除去される。第2電極用配線56bの先端は除去される。その結果、第2電極用配線56a、56b同士で挟まれる基部25の表面の面積は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する圧電体は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。
例えば第1チューニング電極対54cでは第1電極用配線54a、54bは少なくとも部分的に除去される。第1電極用配線54a、54bの輪郭線に「欠け55」が形成される。その結果、第1電極用配線54a、54bの輪郭線同士の間で部分的に間隔が広げられる。こうして輪郭線同士の間で間隔が広げられると、第1電極用配線54a、54b同士の間で流通する電流は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。
加えて、第1チューニング電極対54cおよび第2チューニング電極対56cは表面17aで基部25の表面に配置される。第3チューニング電極対57cおよび第4チューニング電極対58cは裏面27bで基部25の表面に配置される。その結果、表面17aまたは裏面27bのいずれか一方にのみチューニング電極対が配置される場合に比べて、チューニング電極対の配置面積は倍増する。したがって、電気信号の調整範囲を広げることができる。あるいは、電気信号の電荷量をきめ細かく調整することができる。ただし、表面17aにのみチューニング電極対が形成されてもよい。
(3)第1実施形態に係るジャイロセンサーの製造方法
ジャイロセンサー11の製造にあたって振動片15が製造される。水晶体から振動片15の本体17が削り出される。本体17上には導電膜18が形成される。図8に示されるように、導電膜18は設計通りのパターンで形成される。導電膜18の形成にあたって例えばフォトリソグラフィ技術が用いられることができる。
容器12が用意される。容器本体13内にICチップ16が固着される。続いて容器本体13内に振動片15が固着される。接続端子群21は接続端子群22に接合される。第1検出端子49a、49b、第2検出端子51a、51b、並びに、第1および第2駆動端子52、53はそれぞれ対応の接続端子に受け止められる。こうして振動片15はICチップ16に電気的に接続される。
ここで、ジャイロセンサー11のチューニングが実施される。チューニングではICチップ16に制御信号が供給される。ICチップ16は角速度の検出動作を開始する。前述と同様に、第2振動腕27a、27bで振動が励起される。角速度運動が作用しなければ、第2振動腕27a、27bにはコリオリ力は生成されない。その一方で、第2振動腕27a、27bの振動に応じて基部25で応力が形成される。第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cで電位差が生み出される。このとき、仮にジャイロセンサー11で角速度=「0(ゼロ)」が検出されれば、容器本体13の開口は蓋材14で気密に塞がれる。容器12の内部空間は封止される。ジャイロセンサー11の製造は完了する。漏れ振動の電気信号は第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cの電気信号で完全に打ち消される。
ジャイロセンサー11で角速度=「0」が検出されなければ、漏れ振動の電荷量と第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cの電荷量とに不一致が想定される。この場合には、測定された電荷量に応じて第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cで第1〜第4電極用配線54a、54b、56a、56b、57a、57b,58a、58bは選択的に除去される。除去にあたって例えばレーザーを用いることができる。第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cには選択的にレーザー痕が形成される。第1〜第4チューニング電極対54c、56c、57c、58cで電荷量は調整される。その結果、ジャイロセンサー11で角速度=「0(ゼロ)」が検出されれば、容器本体13の開口は蓋材14で気密に塞がれる。容器12の内部空間は封止される。ジャイロセンサー11の製造は完了する。
(4)第2実施形態に係るジャイロセンサー
第2実施形態に係るジャイロセンサー11では前述の振動片15に代えて振動片15aが用いられる。この振動片15aでは、図9に示されるように、第1電極用配線54a、54bは第1配線本体59aおよび第2配線本体59bを備える。第1配線本体59aは第1検出電極41aから延びて第1検出配線45aに接続される。第2配線本体59bは第1検出電極41bから延びて第1検出配線45bに接続される。第1配線本体59aおよび第2配線本体59bの間では、第1配線本体59aに沿って複数の第1導電片61aが配置され、第2配線本体59bに沿って複数の第2導電片61bが配置される。第1導電片61aおよび第2導電片61bは所定の間隔で並列する。第1導電片61aは個々に導電細線62で第1配線本体59aに連結される。第2導電片61bは個々に導電細線62で第2配線本体59bに連結される。こうして基部25の表面で隔てられる第1導電片61aおよび第2導電片61bで第1チューニング電極対63は構成される。
ここでは、第1導電片61aおよび第2導電片61bの対ごとに一方または両方の導電細線62を除去することができる。例えば第2導電片61bで導電細線62が除去されると、第1導電片61aと第2配線本体59bとから圧電体の電流は取り出される。第1導電片61aと第2配線本体59bとの距離は、第1導電片61aと第2導電片61bとの距離に比べて大きいことから、流通する電流は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流は減少する。同様に、第1導電片61aで導電細線62が除去されてもよい。第1導電片61aおよび第2導電片61bで導電細線62が除去されると、第1配線本体59aと第2配線本体59bとから圧電体の電流は取り出される。第1配線本体59aと第2配線本体59bとの距離は、第1導電片61aと第2導電片61bとの距離に比べて大きいことから、流通する電流はさらに大きく減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流はさらに大きく減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。導電片61a、61bの大きさで電荷量の増減量は決定されることから、導電細線62の維持または除去といった簡単な作業で逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その他の構成は前述の振動片15と同様に構成することができる。図10に示されるように、第1電極用配線54a、54bのいずれか一方や第2電極用配線56a、56bのいずれか一方にのみ導電片61a、61bが接続されてもよい。
その他、図11に示されるように、第1配線本体59aおよび第2配線本体59bの間には、第1導電片61aおよび第2導電片61bに代えて、複数対の平行導電線63が配置されてもよい。個々の対では、第1導電線63aと第2導電線63bとは基部25の表面で隔てられる。こうして第1導電線63aと第2導電線63bとは第1チューニング電極対54cを構成することができる。第1導電線63aは第1共通導電線64aで第1配線本体59aに接続される。第2導電線63bは第2共通導電線64bで第2配線本体59bに接続される。第1導電線63aと第1共通導電線64aとの組み合わせや、第2導電線63bと第2共通導電線64bとの組み合わせはいわゆる櫛歯形状を描くことができる。第1導電線63aや第2導電線63bが削除されると、第1導電線63aおよび第2導電線63bで挟まれる圧電体の領域は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する圧電体は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。第1導電線63aや第2導電線63bの削除に代えて共通導電線64a、64bが断線されてもよい。
(5)第3実施形態に係るジャイロセンサー
第3実施形態に係るジャイロセンサー11では前述の振動片15に代えて振動片15bが用いられる。この振動片15bでは、図12に示されるように、第1電極用配線54a、54bの裏側に第3電極用配線57a、57bが配置される。第1電極用配線54a、54bの配置領域と第3電極用配線57a、57bの配置領域との少なくとも一部が本体17の表面17aに平行に相対的にずれる。その結果、第1電極用配線54a、54bの第1チューニング電極対54cは投影像65aの輪郭の外側まで広がる。投影像65aは、本体17の表面17aに投影される第3電極用配線57a、57bで形成される。第1電極用配線54a、54bの「欠け55」は投影像65aの輪郭の外側に形成される。同様に、第2電極用配線56a、56bの裏側に第4電極用配線58a、58bが配置される。第2電極用配線56a、56bの第2チューニング電極対56cは投影像65bの輪郭の外側まで広がる。投影像65bは、本体17の表面17aに投影される第4電極用配線58a、58bで形成される。その他の構成は前述の振動片15と同様に構成されることができる。
この振動片15bでは、第1チューニング電極対54cは、第1検出端子の信号端子49aに接続されるチューニング電極(調整用電極)66aと、第1検出端子のグラウンド端子49bに接続されるチューニング電極(調整用電極)66bとを備える。その一方で、第3チューニング電極対57cは、チューニング電極66aの裏側に配置されて、第1検出端子の信号端子49aに接続されるチューニング電極(調整用電極)66cと、チューニング電極66bの裏側に配置されて、第1検出端子の信号端子49bに接続されるチューニング電極(調整用電極)66dとを備える。図13に示されるように、第2振動腕27a、27bの振動時に基部25で歪みが生じると、第1チューニング電極対54cと第3チューニング電極対57cとから同位相の電気信号を取り出すことができる。したがって、電気信号の電荷量は倍増する。第2チューニング電極対56cおよび第4チューニング電極対58cも同様に構成される。
振動片15bではチューニング処理にあたって第1電極用配線に「欠け55」が形成される。「欠け55」の形成にあたって第1電極用配線54aは部分的に除去される。図13に示されるように、第1チューニング電極対54cは投影像65aの輪郭の外側で除去されることから、たとえレーザー光が透明性の本体17を透過したとしても、レーザー光は第3電極用配線57a、57bに当たらない。第3電極用配線57a、57bは設計通りに維持することができる。除去加工に簡単にレーザーを用いることができる。
反対に、第3電極用配線57a、57bの第3チューニング電極対57cは投影像65cの輪郭の外側まで広がることができる。投影像65cは、本体17の裏面17bに投影される第1電極用配線54a、54bで形成される。同様に、第4電極用配線58a、58bの第4チューニング電極対58cは投影像65dの輪郭の外側まで広がることができる。投影像65dは、本体17の裏面17bに投影される第2電極用配線56a、56bで形成される。レーザー光は、表面17aの第1電極用配線54a、54bや第2電極用配線56a、56bに当たらずに裏面17bの第3電極用配線57a、57bや第4電極用配線58a、58bに到達することができる。振動片15の表側から第3チューニング電極対57cや第4チューニング電極対58cを部分的に除去することができる。
(6)第4実施形態に係るジャイロセンサー
第4実施形態に係るジャイロセンサー11では前述の振動片15に代えて振動片15cが用いられる。この振動片15cでは、図14に示されるように、第1チューニング電極対54cは、第1検出端子の信号端子49aに接続されるチューニング電極(調整用電極)67aと、第1検出端子のグラウンド端子49bに接続されるチューニング電極(調整用電極)67bとを備える。その一方で、第3チューニング電極対57cは、チューニング電極67bの裏側に配置されて、第1検出端子の信号端子49aに接続されるチューニング電極(調整用電極)67cと、チューニング電極67aの裏側に配置されて、第1検出端子のグラウンド端子49bに接続されるチューニング電極(調整用電極)67dとを備える。図15に示されるように、第2振動腕27a、27bの振動時に基部25で歪みが生じると、第1チューニング電極対54cと第3チューニング電極対57cとから逆位相の電気信号が取り出されることができる。したがって、逆位相の電気信号は相互に打ち消し合うことができる。しかも、第1チューニング電極対54cの大きさを変更するか、第3チューニング電極対57cの大きさを変更するかで、180度で位相をずらすことができる。したがって、アライメントがどちら側にずれても、いずれの電極対を加工するかでどちらのアライメントずれにも対応することができる。第2チューニング電極対56cおよび第4チューニング電極対58cも同様に構成される。その他の構成は前述の振動片15と同様に構成されることができる。
(7)第5実施形態に係るジャイロセンサー
第5実施形態に係るジャイロセンサー11では前述の振動片15に代えて振動片15dが用いられる。図16に示されるように、振動片15dは音叉形の本体71を備える。本体71は非圧電体で形成される。ここでは、本体71は例えばシリコン(Si)から形成される。本体71は基部72と第1振動腕(駆動用振動腕兼検出用振動腕)73aおよび第2振動腕(駆動用振動腕兼検出用振動腕)73bとを有する。第1振動腕73aおよび第2振動腕73bは基部72から同方向に並列に延びる。第1振動腕73aおよび第2振動腕73bは基部72に片持ち支持される。片持ち支持にあたって本体71の一端には固定部71aが区画される。
第1振動腕73aおよび第2振動腕73bの表面には1対の駆動用圧電体74a、74bおよび1つの検出用圧電体75がそれぞれ積層される。駆動用圧電体74a、74bおよび検出用圧電体75は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)から形成されることができる。駆動用圧電体74a、74bおよび検出用圧電体75の積層にあたって本体71の表面には導電材の下地膜76が形成される。この下地膜76は共通のグラウンド電極として機能することができる。駆動用圧電体74a、74bおよび検出用圧電体75の表面には駆動電極77a、77bおよび検出電極78がそれぞれ配置される。こうして駆動用圧電体74a、74bは駆動電極77a、77bおよび下地膜76に挟まれる。検出用圧電体75は検出電極78および下地膜76に挟まれる。
固定部71aには1対の駆動端子79a、79b、1対の検出端子81およびグラウンド端子82が配置される。一方の駆動端子79aは振動腕73a、73bごとに一方の駆動電極77aに接続される。他方の駆動端子79bは振動腕73a、73bごとに他方の駆動電極77bに接続される。検出端子81は検出電極78に接続される。グラウンド端子82は下地膜76に接続される。したがって、相互に逆位相で振動腕73a、73b上の駆動電極77a、77bに駆動信号が供給されると、第1振動腕73aおよび第2振動腕73bは第1基準平面RP1および第2基準平面RP2の間で屈曲運動する。相互に離れたり近づいたりを繰り返す。
基部72の表面には調整用圧電体83が積層される。調整用圧電体83は例えばPZTから形成されることができる。調整用圧電体83の積層にあたって本体71の表面には下地膜76が形成される。調整用圧電体83の表面には導電材製の配線84が這う。配線84は検出電極78から延びて検出端子81に接続される。こうして調整用圧電体83は配線84および下地膜76の間に挟まれる。配線84および下地膜76は調整用圧電体83の電極すなわち調整用電極対として機能することができる。
角速度の検出にあたって第1振動腕73aおよび第2振動腕73bがウォークモードで励振すると、基部72には応力が形成される。調整用圧電体83では圧電効果に基づき電界が生じ、電荷が生み出される。したがって、配線84および下地膜76の間で圧電効果に基づき電荷が生み出され、配線84および下地膜76の間で電位差が生み出される。こうした電位差は、検出用圧電体75の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を生成することができる。生成された電気信号は検出用圧電体75の出力信号に重畳される。その結果、検出用圧電体75の出力信号では漏れ振動の成分は打ち消される。その結果、出力信号のS/N比は向上する。
ここでは、調整用圧電体83上で配線84は少なくとも部分的に除去される。こうして配線84の輪郭線に「欠け85」が形成されると、配線84および下地膜76の間に挟まれる調整用圧電体83の領域は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する圧電体は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。
図17に示されるように、共通のグラウンド電極76と配線84とは調整用圧電体83上で並列に延びてもよい。配線84の輪郭線に「欠け85」が形成されると、配線84の輪郭線とグラウンド電極76の輪郭線との間で部分的に間隔が広げられる。こうして配線84とグラウンド電極76との間隔が広げられると、配線84とグラウンド電極76との間で流通する電流は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流は減少する。こうして逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。その結果、漏れ振動の成分を良好に打ち消すことができる。
図18に示されるように、調整用圧電体83上で並列に延びる配線(配線本体)84とグラウンド電極(配線本体)76との間には複数の導電片86が配置されてもよい。導電片86は配線84の長手方向に沿って配列される。個々の導電片86は導電細線87で配線84に連結される。こうして調整用圧電体83の表面で隔てられる導電片86およびグラウンド電極76で調整用電極対を構成することができる。例えば導電片86で導電細線87が除去されると、配線84とグラウンド電極76とから圧電体の電流は取り出される。配線84とグラウンド電極76との距離は、導電片86とグラウンド電極76との距離に比べて大きいことから、流通する電流は減少する。その結果、逆位相の電気信号の生成に寄与する電流は減少する。導電片86の大きさで電荷量の増減量は決定されることから、導電細線87の維持または除去といった簡単な作業で逆位相の電気信号の電荷量を調整することができる。
(8)電子機器その他
図19は電子機器の一具体例としてのスマートフォン101を概略的に示す。スマートフォン101には振動片15、15a〜15dを有するジャイロセンサー11が組み込まれる。ジャイロセンサー11はスマートフォン101の姿勢を検出することができる。いわゆるモーションセンシングが実施される。ジャイロセンサー11の検出信号は例えばマイクロコンピューターチップ(MPU)102に供給されることができる。MPU102はモーションセンシングに応じて様々な処理を実行することができる。その他、こういったモーションセンシングは、携帯電話機、携帯型ゲーム機、ゲームコントローラー、カーナビゲーションシステム、ポインティングデバイス、ヘッドマウンティングディスプレイ、タブレットパソコン等の各種電子機器で利用されることができる。モーションセンシングの実現にあたってジャイロセンサー11は組み込まれる。
図20は電子機器の他の具体例としてのデジタルスチルカメラ(以下「カメラ」という)103を概略的に示す。カメラ103には振動片15、15a〜15dを有するジャイロセンサー11が組み込まれる。ジャイロセンサー11はカメラ103の姿勢を検出することができる。ジャイロセンサー11の検出信号は手ぶれ補正装置104に供給されることができる。手ぶれ補正装置104はジャイロセンサー11の検出信号に応じて例えばレンズセット105内の特定のレンズを移動させることができる。こうして手ぶれを補正することができる。その他、手ぶれ補正はデジタルビデオカメラで利用されることができる。手ぶれ補正の実現にあたってジャイロセンサー11は組み込まれる。
図21は移動体の一具体例としての自動車106を概略的に示す。自動車106には振動片15、15a〜15dを有するジャイロセンサー11が組み込まれる。ジャイロセンサー11は車体107の姿勢を検出することができる。ジャイロセンサー11の検出信号は車体姿勢制御装置108に供給されることができる。車体姿勢制御装置108は例えば車体107の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり個々の車輪109のブレーキを制御したりすることができる。その他、こういった姿勢制御は二足歩行ロボットや航空機、ヘリコプター等の各種移動体で利用されることができる。姿勢制御の実現にあたってジャイロセンサー11は組み込まれる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、上記実施形態および変形例では、振動片としての形成材料として水晶を用いた例を説明したが、水晶以外の圧電体材料を用いることができる。例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ホウ酸リチウム(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電基板、あるいは圧電セラミックスなどを用いることができる。また、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、ジャイロセンサー11や振動片15、15a、15b、15c、15d、スマートフォン101、カメラ103、自動車106等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
11 ジャイロセンサー、15 振動片、15a 振動片、15b 振動片、15c 振動片、15d 振動片、25 基部、26a 検出用振動腕(第1振動腕)、26b 検出用振動腕(第1振動腕)、27a 駆動用振動腕(第2振動腕)、27b 駆動用振動腕(第2振動腕)、41a 電極(第1検出電極)、41b 電極(第1検出電極)、42a 電極(第2検出電極)、42b 電極(第2検出電極)、45a 配線(第1検出配線)、45b 配線(第1検出配線)、46a 配線(第2検出配線)、46b 配線(第2検出配線)、54ac (第1)調整用電極対(第1チューニング電極用配線対)、54b 調整用電極(第1電極用配線)、56ac (第1)調整用電極対(第2チューニング電極用配線対)、56b 調整用電極(第2電極用配線)、57ac (第2)調整用電極対(第3チューニング電極用配線対)、57b 調整用電極(第3電極用配線)、58ac (第2)調整用電極対(第4チューニング電極用配線対)、58b 調整用電極(第4電極用配線)、59a 第1配線本体、59b 第2配線本体、61a 導電片(第1導電片)、61b 導電片(第2導電片)、62 導電細線、65a 投影像、65b 投影像、65c 投影像、65d 投影像、66a (第1)調整用電極(チューニング電極)、66b (第1)調整用電極(チューニング電極)、66c (第2)調整用電極(チューニング電極)、66d (第2)調整用電極(チューニング電極)、67a (第1)調整用電極(チューニング電極)、67b (第1)調整用電極(チューニング電極)、67c (第2)調整用電極(チューニング電極)、67d (第2)調整用電極(チューニング電極)、71 本体、72 基部、73a 駆動用振動腕兼検出用振動腕(第1振動腕)、73b 駆動用振動腕兼検出用振動腕(第2振動腕)、74a 駆動用圧電体、74b 駆動用圧電体、75 検出用圧電体、76 電極および調整用電極対および第2配線本体(下地膜)、78 電極(検出電極)、83 調整用圧電体、84 調整用電極対および第1配線本体(配線)、86 導電片、101 電子機器(スマートフォン)、103 電子機器(デジタルスチルカメラ)、106 移動体(自動車)、107 画像取得装置(デジタルスチルカメラ)、D1 第1方向、D2 第2方向。

Claims (16)

  1. 少なくとも一部に圧電体を含む基部と、
    前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、
    前記検出用振動腕に設けられており、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号が取り出される電極と、
    前記電極に接続され、前記基部の前記圧電体に配置されている配線と、
    を備え、
    前記配線、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を出力する調整用電極を含んでいることを特徴とする振動片。
  2. 請求項1に記載の振動片において、前記調整用電極の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする振動片。
  3. 請求項1または2に記載の振動片において、前記調整用電極が、第1の調整用電極と、前記第1の調整用電極より前記駆動用振動腕から遠い第2の調整用電極と、を含み、
    前記第1の調整用電極および前記第2の調整用電極が、前記基部の同一平面に配置されていることを特徴とする振動片。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動片において、前記調整用電極は、
    前記検出用振動腕に設けられている電極と接続されている配線本体と、
    前記配線本体の長手方向に沿って配列され、個々に導電細線で前記配線本体に連結されている複数の導電片と、
    を備えていることを特徴とする振動片。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の振動片において、前記調整用電極は、
    前記基部の第1平面に配置されている第1調整用電極と、
    前記第1平面と互いに表裏関係にある前記基部の第2平面に配置されている第2調整用電極と、
    を備えていることを特徴とする振動片。
  6. 請求項に記載の振動片において、前記第1調整用電極の配置領域と前記第2調整用電極の配置領域との少なくとも一部がずれていることを特徴とする振動片。
  7. 請求項5または6に記載の振動片において、前記第1調整用電極から出力される電気信号と前記第2調整用電極から出力される電気信号とが、互いに同位相であることを特徴とする振動片。
  8. 請求項5または6に記載の振動片において、
    前記第1調整用電極から出力される電気信号と前記第2調整用電極から出力される電気信号とが、互いに逆位相であることを特徴とする振動片。
  9. 非圧電体である基部と、
    前記基部に設けられている調整用圧電体と、
    前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、
    前記検出用振動腕に設けられており、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号が取り出される電極と、
    前記電極に接続され、前記基部の前記調整用圧電体に配置されている配線と、
    を備え、
    前記配線、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を出力する調整用電極を含んでいることを特徴とする振動片。
  10. 請求項に記載の振動片において、前記調整用電極の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする振動片。
  11. 請求項9または10に記載の振動片において、前記調整用電極は、
    前記検出用振動腕に設けられている電極と接続されている配線本体と、
    前記配線本体の長手方向に沿って配列され、個々に導電細線で前記配線本体に連結されている複数の導電片と、
    を備えていることを特徴とする振動片。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の振動片を備えていることを特徴とするジャイロセンサー。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の振動片を備えていることを特徴とする電子機器。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の振動片を備えていることを特徴とする移動体。
  15. 少なくとも一部に圧電体を含む基部と、前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、前記検出用振動腕に設けられており、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号が取り出される電極と、前記電極に接続され、前記基部の前記圧電体に配置されている配線と、を備えている振動片の製造方法であって、
    前記配線の少なくとも一部であり、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を出力する調整用電極の少なくとも一部を除去する工程
    を備えることを特徴とする振動片の製造方法。
  16. 非圧電体である基部と、前記基部に設けられている調整用圧電体と、前記基部から延びている駆動用振動腕および検出用振動腕と、前記検出用振動腕に設けられており、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号が取り出される電極と、前記電極に接続され、前記基部の前記調整用圧電体に配置されている配線と、を備えている振動片の製造方法であって、
    前記配線の少なくとも一部であり、前記検出用振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相の電気信号を出力する調整用電極の少なくとも一部を除去する工程
    を備えることを特徴とする振動片の製造方法。
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