JP6007024B2 - 回転伝達装置 - Google Patents
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Description
このような回転伝達装置においては、基本機能として、連結する2つの回転部材間で相互に回転力および回転角度位置を伝達することが要求される。さらに、真円度測定機など、高精度の回転機構に適用される際には、各回転軸間の傾き、芯ずれ、軸ずれを許容できることが要求される。
ここで、テーブル側と駆動軸との間には、傾き(偏角、各々の回転中心軸の傾き)、芯ずれ(偏心、各々の回転中心軸の軸線交差方向のずれ)、軸ずれ(各々の回転中心軸の軸方向のずれ、軸の進退)が避けられない。
このような傾き、芯ずれ、軸ずれが駆動軸からテーブルへとそのまま伝達されると、テーブルの回転精度に影響を及ぼすことがある。
ところが、オルダム式の回転伝達装置では、2組のスライド構造において、それぞれ組み立てにあたって相互の嵌め合い隙間が必要であり、スライド動作を行うためにも所定の隙間が必要である。
このような隙間があることで、オルダム式の回転伝達装置では、回転伝達にあたってバックラッシュが発生し、回転角度位置の精度に影響が避けられない。このため、回転軸の傾き、芯ずれ、軸ずれ、バックラッシュの全てに満足できるものではない。
しかし、2つ以上の回転伝達装置の組み合わせは冗長であり、構造的に複雑化し、設置スペースおよびコストの問題から現実的に選択できるものではなかった。
ここで、本発明では、第2部材と回転部材との接続部分に弾性プレートが介在され、弾性プレートとこれらの第2部材および回転部材とを接続する部位である外部接続位置および内部接続部位が、相互に隔てられているため、一対の回転部材の間に軸ずれが生じた際には、弾性プレートの外部接続位置と内部接続部位との間の部分が弾性変形し、これにより軸ずれを許容することができる。この際、弾性プレートと第2部材および回転部材との間は固定的に接続されるため、バックラッシュを生じることがなく、回転伝達装置の全体を通してバックラッシュを回避することができる。
さらに、本発明では、第1回動機構および第2回動機構が、回動軸となる円柱状のピンと、このピンが挿入される円筒状の孔と、ピンの外周に装着されてピンの外周と孔の内周に圧接する弾性スリーブとを有するため、弾性スリーブにより第1回動機構および第2回動機構の隙間を解消することができ、第1回動機構および第2回動機構におけるバックラッシュの発生を回避することができる。
そして、本発明では、弾性スリーブが、ピンの外周に転動するボールおよび孔の内周に転動するボールの少なくとも何れかを有するため、第1回動機構および第2回動機構の隙間を解消することができるとともに、第1回動機構および第2回動機構における回転動作を円滑にすることができる。
本発明において、半径が異なる2つの領域としては、例えば、弾性プレートの外周領域と、弾性プレートの中心領域との組み合わせとすることができる。
このような本発明では、外部接続位置と内部接続位置とを弾性プレートの外周側(外周縁の近傍領域)と内周側(中心近傍領域)に区分し、各々の間に所定距離を隔てておき、各々において第2部材および回転部材と適宜接続することができる。
このように領域を区画することで、各領域における接続構造の選択自由度を高くすることができ、例えば外周側では複数本のボルト接続を配列し、内周側では円筒の端面の全周を連結する等の選択が自由に行える。そして、接続構造を自由に選択しても、各領域の間に所定距離を確保することができる。
とくに、外部接続位置および内部接続位置とされる2つの領域を、弾性プレートの外周近傍と中心近傍とに振り分けることにより、同じ弾性プレートを用いつつ2つの領域の間に最大の距離を確保することができる。
このような本発明では、多角形状の頂点を接続に用いることで、同じ弾性プレートを用いつつ外部接続位置および内部接続位置の間に最大の距離を確保することができるとともに、弾性プレートの頂点とすることで、頂点部分は他の部分から突き出た形状となるため、中心領域をはじめとする他の部分に対する変形性能を大きくとることができる。
〔第1実施形態〕
図1から図4には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1および図2に示すように、本実施形態の回転伝達装置10は、同じ回転軸Aを中心に回転する一対の回転部材1,2を相互に連結するものである。
このような回転部材1,2としては、例えば真円度測定機の載物テーブルとこれを回転駆動する駆動軸などが該当する。
なお、一対の回転部材1,2としては、他の測定機の回転伝達部分や測定機以外の装置の回転伝達部分であってもよく、所定のトルクを伝達しつつ角度位置精度が要求される一対の回転部材であれば回転部材1,2に該当する。
第1部材11と中間部材13とは、回転軸Aに交差する方向へ延びる第1回動軸A1まわりに回動可能な第1回動機構21を介して接続されている。
第2部材12と中間部材13とは、回転軸Aおよび第1回動軸A1の何れにも交差する方向へ延びる第2回動軸A2まわりに回動可能な第2回動機構22を介して接続されている。
本体110には、その側面から中間部材13側の端面にわたって切欠き部111が形成されている。切欠き部111には接続部材112が配置され、キャップボルト113により本体110に固定されている。
接続部材112の中間部材13側は、本体110の中間部材13側の端面よりも突出しており、この部分には貫通孔114が形成されている。
貫通孔114には、後述する中間部材13の回動ピン131および弾性スリーブ210が挿入され、これにより第1回動機構21が形成される。
貫通孔124には、後述する中間部材13の回動ピン131および弾性スリーブ220が挿入され、これにより第2回動機構22が形成される。
本体130の4つの側面には、それぞれ回動ピン131が固定されている。
4つの回動ピン131のうち、互いに反対側にある一対には弾性スリーブ220が装着され、第1部材11の貫通孔114に挿入され、第1回動機構21を形成する。
また、他の一対には弾性スリーブ220が装着され、第2部材12の貫通孔124に挿入され、第2回動機構22を形成する。
これにより、回動ピン131の外周面と貫通孔114,124の内周面との間には円滑な摺動が得られるとともに、回動ピン131の外周面と貫通孔114,124の内周面との間の隙間が解消され、バックラッシュの発生が抑制されるようになっている。
一方、回転部材2は、弾性プレート14および接続リング15を介して第2部材12に接続されている。
弾性プレート14の中心には、前述した中心孔119,129,139と同径の中心孔149が形成されている。
弾性プレート14には、頂点141の近傍に固定孔142が形成されている。また、中心孔149の周辺にも固定孔148が形成されている。
弾性プレート14は、中心孔149近傍の固定孔148に挿通されたキャップボルト147により、第2部材12の端面に固定される。
弾性プレート14は、頂点141近傍の固定孔142に挿通されたキャップボルト143により、接続リング15の第2部材12側の表面に固定される。
接続リング15には、各キャップボルト143の中間に固定孔151が形成され、この固定孔151に挿通されるキャップボルト152により回転部材2側の表面に回転部材2が固定される。
固定孔142は、弾性プレート14の中心(回転軸Aが通る中心孔149の中心)に対して半径R1の領域に配列されている。
従って、固定孔142が形成される半径R1の領域が、回転部材2に連なる外部接続位置とされる。
従って、固定孔148が形成される半径R2の領域が、回転伝達装置10内の第2部材12に連なる内部接続位置とされる。
本実施形態の弾性プレート14において、距離Dは、第2部材12と回転部材2との軸ずれに対して、弾性プレート14が波状に変形して軸ずれを吸収できる弾性が得られるように設定される。
本実施形態の回転伝達装置10では、第1部材11、中間部材13、第2部材12の各々が、第1回動機構21および第2回動機構22により、回転軸Aと交差しかつ互いに交差する第1回動軸A1および第2回動軸A2を中心に回動自在に連結され、かつ第1回動軸A1および第2回動軸A2に沿って変位可能とされる。
従って、回転伝達装置10はクロスジョイント型に相当する回転伝達機構を含む構成とされ、一対の回転部材1,2を回転自在に連結するとともに、回転軸Aの傾き、芯ずれを許容できるとともに、バックラッシュを回避することができる。
このため、一対の回転部材1,2の間に回転軸A方向の軸ずれが生じた際には、弾性プレート14の外部接続位置と内部接続部位との間の部分が弾性変形し、これにより軸ずれを許容することができる。
この際、弾性プレート14と第2部材12および回転部材2との間はキャップボルト143,147,152により締め付け固定されているため、バックラッシュを生じることがなく、回転伝達装置10の全体を通してバックラッシュを回避することができる。
これにより、外部接続位置と内部接続位置と、を弾性プレート14の外周側(外周縁の近傍領域)と内周側(中心近傍領域)とに確実に区分することができ、各々の領域にそれぞれ第2部材12および回転部材2を接続することで、所定距離D=R1−R2を確実に得ることができる。
このように、外部接続位置と内部接続位置との2つに領域を区画することで、各領域における第2部材12および回転部材2に対する接続構造の選択自由度を高くすることができる。例えば、外周側では複数本のボルト接続を配列し、内周側では円筒の端面の全周を連結する等の選択が自由に行える。そして、第2部材12および回転部材2に対する接続構造を自由に選択しても、各領域の間に所定距離Dを確保することができる。
図5には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態の回転伝達装置10Aは、前述した第1実施形態の回転伝達装置10と同様な構成を有する。このため、各実施形態に共通の構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略するとともに、以下には相違する部分について説明する。
これに対し、本実施形態の回転伝達装置10A(図5参照)では、円柱軸状の回転部材2Aに接続するために、接続リング15とともに円盤状の接続プレート16を用いる。
接続プレート16は、接続リング15と同じ外径の円盤状の板材であり、その板材としての剛性は弾性プレート14より十分大きく設定されている。但し、弾性プレート14程度の剛性としてこの接続プレート16で軸ずれの吸収を行ってもよい。
本実施形態の回転部材2Aは、回転部材1と同様な円柱状の一般的な軸部材とされ、回転部材1,2Aは回転軸Aに沿って同軸で回転可能である。
接続プレート16と回転部材2Aとの接続は、接続プレート16に形成した貫通孔161に接続リング15側からキャップボルト162を挿入し、各々の軸部を回転部材2Aの端面に形成した雌ねじ孔に螺合させて締め付けることにより行われている。
なお、接続リング15の内側に臨むキャップボルト148(図4参照),162は、それぞれ組み立て状態では弾性プレート14、接続リング15および接続プレート16で囲まれてしまうため、組み立てにあたっては、キャップボルト148による弾性プレート14と第2部材12との接続およびキャップボルト162による接続プレート16と回転部材2Aとの接続が済んだ後、キャップボルト152およびナット153による接続リング15と接続プレート16との接続を行うか、あるいはキャップボルト143(図4参照)による弾性プレート14と接続リング15との接続を行うようにすることが望ましい。
さらに、回転伝達装置10Aでは、それぞれ円柱状の軸部材である回転部材1および回転部材2Aどうしを連結することができ、一般的な軸材どうしの連結部分においても本発明を適用することができる。
図6には、本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態の回転伝達装置10または第2実施形態の回転伝達装置10Aの構成に対して、異なる弾性プレート14Aを用いたものである。
なお、弾性プレート14Aを除く他の構成については前述した第1実施形態の回転伝達装置10または第2実施形態の回転伝達装置10Aと同様である。このため、各実施形態に共通の構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略するとともに、以下には相違する部分について説明する。
本実施形態においては、弾性プレート14Aの基本構成は第1実施形態と同様であり、固定孔142および固定孔148もそれぞれ120度間隔で3箇所に配置されている。但し、本実施形態では、固定孔142および固定孔148の回転軸Aに対する角度位置は、互いに60度ずつずれて設定されている(図6参照)。
図7には、本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態の回転伝達装置10または第2実施形態の回転伝達装置10Aの構成に対して、異なる弾性プレート14Bを用いたものである。
なお、弾性プレート14Bを除く他の構成については前述した第1実施形態の回転伝達装置10または第2実施形態の回転伝達装置10Aと同様である。このため、各実施形態に共通の構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略するとともに、以下には相違する部分について説明する。
弾性プレート14Bは、各頂点141の近傍に固定孔142を有し、中心孔149の近傍に固定孔148を有する。但し、本実施形態では、固定孔142が4箇所(90度間隔)であるのに対し、固定孔148は3箇所(120度間隔)である。
その他、第1実施形態で説明した各効果を同様に得ることができる。
このように、本発明において、弾性プレート14等の平面形状は適宜選択してよく、弾性プレート14等における外部接続位置および内部接続位置の配置(固定孔142および固定孔148の配置)も自由に設計することができる。
図8には、本発明の第5実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態の回転伝達装置10または第2実施形態の回転伝達装置10Aの構成に対して、異なる弾性プレート14Cを用いたものである。
なお、弾性プレート14Cを除く他の構成については前述した第1実施形態の回転伝達装置10または第2実施形態の回転伝達装置10Aと同様である。このため、各実施形態に共通の構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略するとともに、以下には相違する部分について説明する。
弾性プレート14Cは、周囲に8箇所の三角形の切込みを入れることで、径方向に延びる8本の突出部分が形成され、その先端近傍に固定孔142と固定孔148とが交互に形成されている。
4つの固定孔142は外部接続位置となり、第1実施形態と同様に接続リング15(図4参照)に接続される。
4つの固定孔148は内部接続位置となり、第1実施形態と同様に第2部材12(図4参照)に接続される。なお、4つの固定孔148の中心からの距離は第2部材12の外形より大きいため、適宜接続部材等を補うものとする。
とくに、本実施形態では、切欠きにより突出部分を形成し、各突出部分に固定孔142および固定孔148を配置したため、両者の間の変形の伝達経路を実質的に長くすることができ、実質的な所定距離D’を十分に確保することができる。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、弾性プレート14等においては、その表面に沿って補強板やリブを形成したり、凹凸形状を加工することで剛性を増したり、開口部や薄肉部を形成して剛性を減らしたりしてもよく、あるいはプレート材質の選択、積層枚数の加減等を行ってもよく、許容すべき軸ずれの変位量、伝達すべき回転トルク、装置としての寸法等に応じてその弾性を適宜調節することが望ましい。
10,10A…回転伝達装置
11…第1部材
12…第2部材
110,120…本体
111,121…切欠き部
112,122…接続部材
113,123…キャップボルト
114,124…貫通孔
119,129…中心孔
13…中間部材
130…本体
131…回動ピン
139…中心孔
14,14A,14B,14C…弾性プレート
141…頂点
142…外部固定位置となる固定孔
143,147…キャップボルト
148…内部固定位置となる固定孔
149…中心孔
15…接続リング
151…固定孔
152…キャップボルト
153…ナット
16…接続プレート
161…貫通孔
162…キャップボルト
21…第1回動機構
22…第2回動機構
210,220…弾性スリーブ
211,221…転動ボール等
A…回転軸
A1…第1回動軸
A2…第2回動軸
D…距離
R1…半径
R2…半径
Claims (3)
- 同じ回転軸を中心に回転する一対の回転部材を相互に連結する回転伝達装置であって、
前記回転軸と同軸で配列された第1部材、中間部材、第2部材および弾性プレートを有し、
前記第1部材と中間部材とは、前記回転軸に交差する方向へ延びる第1回動軸まわりに回動可能な第1回動機構を介して接続され、
前記第2部材と中間部材とは、前記回転軸および前記第1回動軸の何れにも交差する方向へ延びる第2回動軸まわりに回動可能な第2回動機構を介して接続され、
前記一対の回転部材の一方は前記第1部材に接続され、
前記一対の回転部材の他方は前記弾性プレートを介して前記第2部材に接続され、
前記弾性プレートは、前記回転軸に交差する方向に配置され、前記一対の回転部材の他方が接続される外部接続位置と、前記第2部材が接続される内部接続位置とを有し、
前記外部接続位置と前記内部接続位置とは、前記弾性プレートの表面において所定距離だけ隔てられており、
前記第1回動機構および前記第2回動機構は、回動軸となる円柱状のピンと、このピンが挿入される円筒状の孔と、前記ピンの外周に装着されて前記ピンの外周と前記孔の内周に圧接する弾性スリーブとを有し、
前記弾性スリーブは、前記ピンの外周に転動するボールおよび前記孔の内周に転動するボールの少なくとも何れかを有することを特徴とする回転伝達装置。 - 請求項1に記載した回転伝達装置において、
前記外部接続位置と前記内部接続位置とは、前記回転軸を中心とした半径が異なる2つの領域に分けられていることを特徴とする回転伝達装置。 - 請求項2に記載した回転伝達装置において、
前記弾性プレートは、輪郭が多角形状とされ、前記外部接続位置および前記内部接続位置の何れか一方は、前記多角形状の外周にあたる頂点に配置されていることを特徴とする回転伝達装置。
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