JP6101016B2 - 回転伝達装置 - Google Patents
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このような回転伝達装置においては、基本機能として、連結する2つの回転部材間で相互に回転力および回転角度位置を伝達することが要求される。さらに、真円度測定機など、高精度の回転機構に適用される際には、各回転軸間の傾き、芯ずれ、軸ずれを許容できることが要求される。
ここで、テーブル側と駆動軸との間には、傾き(偏角、各々の回転中心軸の傾き)、芯ずれ(偏心、各々の回転中心軸の軸線交差方向のずれ)、軸ずれ(各々の回転中心軸の軸方向のずれ、軸の進退)が避けられない。
このような傾き、芯ずれ、軸ずれが駆動軸からテーブルへとそのまま伝達されると、テーブルの回転精度に影響を及ぼすことがある。
このうち、回転軸の傾き、芯ずれ、軸ずれのそれぞれについて十分な許容性を有するものは、オルダム式の回転伝達装置であるといえる。
ここで、ディスク式でも、二枚のディスクを用い、中間の回転軸線を傾けることで、回転伝達装置として連結する2本の回転軸の芯ずれを許容することが可能である。
しかし、このような2枚ディスク式による芯ずれ対応では、回転軸を傾けるために各ディスクの変形が伴い、芯ずれの許容幅を相当に確保しようとすると、ディスク径が過大になって回転伝達装置としての大型化を招いたり、ディスクの変形性能を拡大することで回転伝達装置としての最大伝達トルクや角度位置精度が低下したりする。
従って、ディスク式は、芯ずれを許容する用途には現実的に採用しにくい。
一方、クロスジョイント式では、回転軸と交差方向の2本のピンが介在するために、構造的に軸方向のずれを許容することができない。
このように、ディスク式およびクロスジョイント式では、回転軸の傾き、芯ずれ、軸ずれのそれぞれについて十分な許容性を得ることができない。
これに対し、オルダム式の回転伝達装置では、回転軸の傾き、芯ずれ、軸ずれのそれぞれについて、十分な許容性を得ることができる。
すなわち、オルダム式の回転伝達装置は、回転軸交差方向に延びる凸条と凹溝とで構成されるスライド構造を2組、互いに交差方向に組み合わせて回転の伝達を行っている。
このスライド構造においては、互いに長手方向へ摺動可能な凸条と凹溝とを嵌合させており、組み立てにあたって相互の嵌め合い隙間が必要であり、スライドを行うためにも所定の隙間が必要である。
このような隙間があることで、オルダム式の回転伝達装置では、回転伝達にあたってバックラッシュが発生し、回転角度位置の精度に影響が避けられない。
このようなボールを介在させることで、凸条と凹溝との間の隙間およびこの隙間に起因するバックラッシュが低減される可能性がある。
しかし、このようなボールを介在させるスライド構造では、組み立て時にボールを介在させた状態で凸条と凹溝とを嵌め合わせる必要があり、ボールを含めた組み立て隙間をなくすことはできない。
ここで、前述したボールを介在させるスライド構造で、ボールを弾性支持し、組み立て隙間をボールで埋めることが考えられるが、このような弾性支持されたボールは、一定以上のトルクを伝達する際に変位することになり、回転伝達の精度に影響するバックラッシュの解消という点で十分ではない。
本発明において、前記スライド機構は、各々のスライド方向が互いに交差方向となるように2組配置されていることが望ましい。
ここで、本発明のスライド機構は、位置調整機構により、ガイド面に対するスライダの位置調整を行うことができる。このため、ガイド面とスライダとの間に生じる隙間を、組み立ての際には大きくとって組み立てを円滑に行うとともに、組み立て後は隙間を実質的になくするように調整することができる。
その結果、オルダム式の回転伝達装置による基本機能として、回転軸の傾き、芯ずれ、軸ずれの許容性が十分に得られるとともに、スライド機構に設置した位置調整機構により、ガイド面とスライダとの間の隙間を実質的になくすことができ、回転伝達のバックラッを回避することができる。
このような本発明では、スライド機構を構成する一対のガイド面およびスライダの間の隙間を実質的になくすことで、ガイド面に沿ったスライダの移動に抵抗が生じる可能性があるが、転動体を介しての接触とすることで、ガイド面に沿ったスライダの移動を円滑にすることができ、回転伝達時の動作抵抗をさらに軽減するとともに、動作精度を高く維持することができる。
この際、スライダの少なくとも何れか一方をスライド方向に複数の転動体の配列とすることで、ガイド面の方向に倣うことができ、転動体を利用しつつ正確にスライド方向へ変位可能なスライド機構としての機能を確保することができる。
このような本発明では、凸条とこれを挟持する一対のスライダによりスライド構造を形成することができ、一対のガイド面を凸条の両側面を利用して簡素な構成で実現できるとともに、スライダが凸条を挟む配置であるために、スライダの位置調整は凸条の外側において容易かつ確実に行うことができる。
〔第1実施形態〕
図1から図3には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、本実施形態の回転伝達装置10は、同じ回転軸を中心に回転する一対の回転部材1,2を相互に連結するものである。
このような回転部材1,2としては、例えば真円度測定機の載物テーブルの回転軸とこれを回転駆動する駆動軸などが該当する。あるいは、他の測定機の回転伝達部分や測定機以外の装置の回転伝達部分であってもよく、所定のトルクを伝達しつつ角度位置精度が要求される一対の回転部材であれば回転部材1,2に該当する。
第1部材11においては、4つのローラ114のうち2つにより第1側のスライダ21が構成され、他の2つにより第2側のスライダ22が構成されており、これらのスライダ21,22は第1部材11の中間部材13側の表面において互いに対向配置されている。
第2部材12においては、4つのローラ124のうち2つにより第1側のスライダ23が構成され、他の2つにより第2側のスライダ24が構成されており、これらのスライダ23,24は第2部材12の中間部材13側の表面において互いに対向配置されている。
本実施形態において、第1部材11および第2部材12により、スライダ21,22を支持する支持体が構成されている。
図3に示すように、ローラ114,124は、支持軸113,123により回転自在に支持されている。支持軸113,123は、第1部材11または第2部材12の本体110,120に固定される固定軸部41と、ローラ114,124の内周に配置されてこれらを回転自在に支持するハブ部42とを有する。
このため、固定軸部41を本体110,120の取付孔112,122に挿通したうえ、固定軸部41を回転させることで、ハブ部42およびその中心軸C2は中心軸C1を中心に回転する。このような偏心動により、ハブ部42の中心軸C2は最大変位2Dに相当する調整量Aだけ本体110,120に対して位置調整可能である。
さらに、固定軸部41の端部には固定用のキャップボルト等が設置され、固定軸部41を本体110,120の取付孔112,122に挿通した状態でキャップボルト等を締め付けることで、本体110,120に対して固定軸部41をその任意の回転角度で固定することが可能である。
第1の凸条131は、回転部材1,2の共通の回転軸に対して交差する方向(第1のスライド方向)に延びている。
第2の凸条132は、回転部材1,2の共通の回転軸に対して交差しかつ第1の凸条131とも交差する方向(第2のスライド方向)に延びている。
ガイド面31,32は、互いに背中合わせに平行に形成されているとともに、それぞれ第1のスライド方向および回転部材1,2の共通の回転軸方向に沿って延びる高精度な平面に仕上げられている。
ガイド面33,34は、互いに背中合わせに平行に形成されているとともに、それぞれ第2のスライド方向および回転部材1,2の共通の回転軸方向に沿って延びる高精度な平面に仕上げられている。
この際、第1部材11と中間部材13との間には、スライダ21,22およびガイド面31,32により第1のスライド機構14が形成される。
また、第2部材12と中間部材13との間には、スライダ23,24およびガイド面33,34により第2のスライド機構15が形成される。
従って、第1のスライド機構14を介して接続される第1部材11と中間部材13とは、第1のスライド機構14により第1のスライド方向へ相互に変位可能である。
そして、第2のスライド機構15を介して接続される第2部材12と中間部材13とは、第2のスライド機構15により第2のスライド方向へ相互に変位可能である。
さらに、第1のスライド機構15においても、同様な位置調整機構40の調整により、スライダ23,24とガイド面33,34とがそれぞれ密着し、隙間のない状態に調整される。
すなわち、交差方向に配置された第1のスライド機構14および第2のスライド機構15により、回転部材1,2の間の芯ずれ、軸ずれ、軸の傾きを許容することができる。
さらに、本実施形態の第1のスライド機構14および第2のスライド機構15においては、スライダ21〜24に設置された位置調整機構40により、組み立ての際にはスライダ21〜24とガイド面31〜34との間の隙間を大きくとって組み立てを円滑に行うとともに、組み立て後はそれぞれスライダ21〜24とガイド面31〜34との間の隙間を除去した状態に調整することができる。
その結果、本実施形態の回転伝達装置10によれば、オルダム式の回転伝達装置による基本機能として、回転軸の傾き、芯ずれ、軸ずれの許容性が十分に得られるとともに、スライド機構14,15に設置した位置調整機構40により、スライダ21〜24とガイド面31〜34との間の隙間を実質的になくすことができ、回転伝達のバックラッシュを回避することができる。
さらに、スライダ21〜24はそれぞれスライド方向に複数のローラ114,124の配列とすることで、ガイド面31〜34の方向に倣うことができ、正確にスライド方向へ変位可能なスライド機構14,15としての機能を確保することができる。
図4には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態の回転伝達装置10Aは、主な構成が前述した第1実施形態の回転伝達装置10(図1および図2参照)と共通である。従って、共通の構成については同じ符号を用いて重複する説明を省略し、以下には相違部分について説明する。
また、前述した第1実施形態では、スライダ21〜24を構成するローラ114,124の全てに対してそれぞれ位置調整機構40が設置されていたのに対し、本実施形態では対向するスライダの対のうち一方にのみ位置調整機構40Aが設置されている。
一方、本実施形態では、スライダ22およびスライダ24の取付孔112,122は前述した第1実施形態と同様な通常の円形孔であるが、スライダ21およびスライダ23の取付孔112A,122Aは長孔とされている。そして、長孔の長軸方向は、スライダ21では対向するスライダ22に向かう方向、スライダ23では対向するスライダ24に向かう方向とされている。
これらの取付孔112A,122Aおよび支持軸113A,123Aによって、対向する一方であるスライダ21,23にのみ位置調整機構40Aが構成されている。
そして、第1および第2のスライド機構14,15によりオルダム式の伝達機構を構成することができ、本実施形態の回転伝達装置10Aによれば、前述した第1実施形態の回転伝達装置10について説明した通りの効果を得ることができる。
図5には、本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態の回転伝達装置10Bは、主な構成が前述した第1実施形態の回転伝達装置10(図1および図2参照)と共通である。従って、共通の構成については同じ符号を用いて重複する説明を省略し、以下には相違部分について説明する。
また、前述した第1実施形態では、スライダ21〜24を構成するローラ114,124の全てに対してそれぞれ位置調整機構40が設置されていたのに対し、本実施形態では対向するスライダの対のうち一方にのみ位置調整機構40Bが設置されている。
一方、前述した第1実施形態では、スライダ21〜24の取付孔112,122が全て第1部材11または第2部材12の本体110,120に直接形成されていたが、本実施形態では、スライダ22,24の取付孔112,122は第1部材11または第2部材12の本体110B,120Bに直接形成されているが、スライダ21,23の取付孔112,122は直接形成されていない。
移動ブロック43には、位置決め用の調整ボルト44が螺合されているとともに、本体110B,120Bに接続するための固定ボルト45が挿通されている。
これらの本体110B,120B、移動ブロック43,調整ボルト44、固定ボルト45によって、対向する一方であるスライダ21,23にのみ位置調整機構40Bが構成されている。
そして、第1および第2のスライド機構14,15によりオルダム式の伝達機構を構成することができ、本実施形態の回転伝達装置10Bによれば、前述した第1実施形態の回転伝達装置10について説明した通りの効果を得ることができる。
図6には、本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態の回転伝達装置10Cは、主な構成が前述した第1実施形態の回転伝達装置10(図1および図2参照)と共通である。従って、共通の構成については同じ符号を用いて重複する説明を省略し、以下には相違部分について説明する。
但し、本実施形態の回転伝達装置10Cは、中間部材13Cが前述した第1実施形態の中間部材13と異なる。
これに対し、本実施形態では、図6に示すように、中間部材13Cに第1および第2の凹溝133,134を形成し、その内側面により対向するガイド面31C〜34Cを形成し、これらに内側から第1部材11および第2部材12のスライダ21〜24を当接させて第1および第2のスライド機構14C,15Cを構成している。
また、スライダ21〜24をガイド面31C〜34Cに当接させる際に、位置調整機構40により隙間を実質的になくす点も、前述した第1実施形態と同様である。
そして、第1および第2のスライド機構14C,15Cによりオルダム式の伝達機構を構成することができ、本実施形態の回転伝達装置10Cによれば、前述した第1実施形態の回転伝達装置10について説明した通りの効果を得ることができる。
なお、本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、第1部材11および第2部材12にローラ114,124を用いたスライダ21〜24を設け、これを中間部材13,13Cに設けたガイド面31〜34またはガイド面31C〜34Cに当接させたが、ガイド面とスライダとの関係は逆であってもよく、第1部材11および第2部材12に一対のガイド面を形成し、中間部材に設けた一対のスライダを当接させてもよい。さらに、第1部材11にガイド面を形成して中間部材の一方の表面のスライダを当接させ、中間部材の他方の表面にガイド面を形成して第2部材に設けたスライダを当接させてもよい。
但し、第1部材11と第2部材12とを同じ構成としておけば、何れか一方を製造して逆向きに配置することで第1部材11および第2部材12とすることができ、製造コストの低減あるいは部品管理の簡素化が期待できる。
転動体であるローラ114,124は、金属製あるいは合成樹脂製であってもよく、ある程度弾性を有する材料であってもよい。
前記各実施形態では、スライダ21〜24をそれぞれ2つずつのローラ114,124で構成したが、各々3つ以上であってもよい。また、対向するスライダ21,22のうち一方が複数でスライド方向を規定できれば、他方はローラが一個であってもよい。
10,10A,10B,10C…回転伝達装置
11…支持体である第1部材
110,110B,120,120B…本体111,121…カラー
112,112A,122,122A…取付孔
113,113A,113B,123,123A,123B…支持軸
114,124…ローラ
12…支持体である第2部材
13,13C…中間部材
130…本体
131,132…凸条
133,134…凹溝
14,14C…第1のスライド機構
15,15C…第2のスライド機構
21〜24…スライダ
31〜34,31C〜34C…ガイド面
40,40A,40B…位置調整機構
41…固定軸部
42…ハブ部
43…移動ブロック
44…調整ボルト
45…固定ボルト
Claims (4)
- 同じ回転軸を中心に回転する一対の回転部材を相互に連結する回転伝達装置であって、
前記回転軸と交差する所定のスライド方向に変位可能なスライド機構を有し、
前記スライド機構は、前記スライド方向に延びかつ前記回転軸方向に沿った一対のガイド面と、それぞれ前記ガイド面に接触しつつ前記スライド方向へ移動可能な一対のスライダと、前記スライダを支持する支持体とを有し、
一対の前記スライダの少なくとも何れかは、前記スライダの前記支持体に対する前記ガイド面に向かう方向の位置を調整可能、かつ調整した位置で前記スライダを前記支持体に固定可能な位置調整機構を有し、
前記位置調整機構は、
前記回転軸と同方向に延びかつ任意の回転角度で前記支持体に固定可能な偏心軸を有し、前記スライダは前記偏心軸に支持されている構造、
前記支持体に形成されて前記ガイド面に向かう方向に延びる長孔と、前記スライダを支持しかつ前記長孔に沿った所定位置に固定可能な支持軸とを有する構造、
前記スライダを支持しかつ前記ガイド面に向かう方向に移動可能な移動ブロックと、前記移動ブロックを前記支持体に固定可能な固定ボルトとを有する構造
のいずれかであることを特徴とする回転伝達装置。 - 請求項1に記載した回転伝達装置において、
前記スライド機構は、各々のスライド方向が互いに交差方向となるように2組配置されていることを特徴とする回転伝達装置。 - 請求項1または請求項2に記載した回転伝達装置において、
前記スライダは、それぞれ前記ガイド面に転動する転動体を有し、
一対の前記スライダの少なくとも何れか一方は、前記転動体が前記スライド方向へ複数配列されていることを特徴とする回転伝達装置。 - 請求項1から請求項3の何れかに記載した回転伝達装置において、
一対の前記ガイド面は、前記スライド方向へ延びる凸条の両側面に形成され、
一対の前記スライダは、前記凸条を両側から挟むように対向配置されていることを特徴とする回転伝達装置。
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