以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1を参照して、本発明の一実施形態に係るモータ10について説明する。なお、以下の説明における軸方向とは、ステータコア20(すなわちモータ10)の軸線O1の方向を示し、径方向とは、該軸線O1を中心とする円の半径方向を示すものとする。
モータ10は、8極36スロットのモータであって、ステータ11と、ステータ11の径方向内側に回転可能に支持されるロータ12とを備える。ロータ12は、軸方向に延びる円柱状のシャフト13と、シャフト13の径方向外側に固定される複数の磁石14とを有する。ステータ11は、非円形の外形を有するステータコア20と、ステータコア20の歯部に巻回されたコイル(図示せず)とを有する。
次に、図2を参照して、本実施形態に係るステータコア20について説明する。ステータコア20は、圧延した電磁鋼板から形成される複数のコア板22を積層して構成される。コア板22の各々は、10角形の形状を有する。ステータコア20は、該ステータコアの軸方向一方側に配置される複数の第1のコア板24と、第1のコア板24の軸方向他方側に積層される複数の第2のコア板26とを有する。第1のコア板24と第2のコア板26は、同じ外縁形状を有する。
次に、図3を参照して、第1のコア板24および第2のコア板26の構成について説明する。第1のコア板24は、辺28、辺30、辺32、辺34、辺36、辺38、辺40、辺42、辺44、および辺46によって画定される、10角形の外縁を有する薄板部材である。第1のコア板24の辺28および辺38は、軸線O1を基準に点対称に配置されており、図3(a)の紙面左右方向へ互いに平行となるように延びる辺である。
第1のコア板24は、図3(a)の矢印48に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第1のコア板24は、圧延方向48を有する。この圧延方向48は、図3(a)中の仮想線29に沿う方向であり、該仮想線29は、辺28および辺38の各々の中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。
第1のコア板24の辺34および辺44は、第1のコア板24における、圧延方向48と直交する方向50の両端に位置する辺であり、圧延方向48と平行となるように、図3(a)の紙面上下方向へ延びている。これら辺34および辺44によって、方向50における第1のコア板24の両端が画定される。したがって、方向50における第1のコア板24の最大寸法は、辺34と辺44との間の寸法52によって定められる。
第1のコア板24は、その内縁部に、周方向に等間隔で配列するように形成された複数の歯部55を有する。互いに周方向に隣り合う歯部55の間には、スロット59が画定される。これら歯部55には、コイルが巻回される。本実施形態においては、計36個の歯部55によって、計36個のスロット59が画定されている。
第2のコア板26は、第1のコア板24と同じ形状を有する。具体的には、第2のコア板26は、辺54、辺56、辺58、辺60、辺62、辺64、辺66、辺68、辺70、および辺72によって画定される、10角形の外縁を有する薄板部材である。第2のコア板26の辺54、辺56、辺58、辺60、辺62、辺64、辺66、辺68、辺70、および辺72は、それぞれ、第1のコア板24の辺28、辺30、辺32、辺34、辺36、辺38、辺40、辺42、辺44、および辺46に対応する。
ここで、第2のコア板26は、図3(b)の矢印74に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第2のコア板26は、圧延方向74を有する。この圧延方向74は、図3(b)中の仮想線78から、軸線O1の周りに予め定められた角度θ1だけ回転した方向である。この仮想線78は、辺54および辺64の各々の中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。なお、角度θ1については、後述する。
第2のコア板26の辺60および辺70は、仮想線78と直交する方向(図3(a)の方向50と同じ方向)の両端に位置する辺であり、仮想線78と平行となるように、図3(b)の紙面上下方向へ延びている。一方、第2のコア板26の辺58および辺68は、第2のコア板26における、圧延方向74と直交する方向76の両端に位置する辺であり、圧延方向74と平行に延びている。
したがって、辺58は、辺60と(180°−θ1)の角度を成すように交わっている。同様に、辺68は、辺70と(180°−θ1)の角度を成すように交わっている。これらの辺58および辺68によって、方向76における第2のコア板26の両端が画定される。したがって、方向76における第2のコア板26の最大寸法は、辺58と辺68との間の寸法80によって定められる。
ここで、本実施形態においては、寸法52と寸法80とは、同じとなるように設定されている。第2のコア板26は、第1のコア板24と同様に、周方向に等間隔で配列するように形成された計36個の歯部82を有しており、互いに周方向に隣り合う歯部82の間に、計36個のスロット84が画定される。
第1のコア板24と第2のコア板26とを、図3に示す仮想線29と仮想線78とを互いに一致させるように、軸方向に積層することによって、図2に示すステータコア20が構成される。このようにステータコア20を構成することによって、第1のコア板24の圧延方向48と、第2のコア板26の圧延方向74とを、互いに角度θ1だけ周方向にずらすことができる。その状態を図4に示す。図4に示すように、本実施形態に係るステータコア20は、周方向に角度θ1だけ異なる圧延方向48、74を有することになる。
この角度θ1は、θ1=(360°×n2)/(n1×2)として設定される。ここで、n1は、モータ10の極数であり、n2は、任意の奇数である。このように角度θ1を設定することによって、モータ10の極数に依存して発生するコギングトルクを低減することができる。例えば、本実施形態の場合、モータ10は8極であるので、n1=8であり、n2=1とすると、角度θ1は、22.5°となる。
第1のコア板24および第2のコア板26の10角形の外縁形状は、正8角形に基づいて形成される。具体的には、第1のコア板24および第2のコア板26の外縁は、正8角形の外縁から、図4の点線で示す部分をトリムすることによって形成されている。すなわち、正8角形の紙面左下側の頂点85をトリムして、辺42、68が形成されている。同様に、正8角形の紙面右上側の頂点86をトリムして、辺32、58が形成されている。
次に、図5および図6を参照して、本発明の他の実施形態に係るステータコア90について説明する。ステータコア90は、図2に示すステータコア20と同様に、ステータコア90の軸方向一方側に積層された複数の第1のコア板92と、第1のコア板92の軸方向他方側に積層される複数の第2のコア板94とを有する。第1のコア板92と第2のコア板94は、同じ外縁形状を有する。
第1のコア板92は、辺96、辺98、辺100、辺102、辺104、辺106、辺108、辺110、辺112、および辺114によって画定される、10角形の外縁を有する薄板である。この第1のコア板92は、図5(a)の矢印116に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第1のコア板92は、圧延方向116を有する。
この圧延方向116は、図5(a)中の仮想線118から、軸線O1の周りに予め定められた角度θ2だけ、図5の紙面表側から見て反時計回りに回転した方向である。仮想線118は、辺96および辺106の各々の中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。辺96および辺106は、軸線O1の基準として点対称に配置されていた辺である。
本実施形態に係る第1のコア板92は、この仮想線118を基準として、線対称となる外縁形状を有している。具体的には、第1のコア板92の辺114、辺112、辺110、および辺108は、それぞれ、辺98、辺100、辺102、および辺104に対して、仮想線118を基準として線対称の位置に配置されている。
第1のコア板92の辺100および辺110は、第1のコア板92における、圧延方向116と直交する方向120の両端に位置する辺であり、圧延方向116と平行となるように延びている。これら辺100および辺110によって、方向120における第1のコア板92の両端が画定される。
したがって、方向120における第1のコア板92の最大寸法は、辺100と辺110との間の寸法122によって定められる。上述の実施形態と同様に、第1のコア板92は、計36個の歯部124を有し、該歯部124の間には、計36個のスロット126が画定されている。
第2のコア板94は、第1のコア板92と同じ形状を有する。具体的には、第2のコア板94は、辺128、辺130、辺132、辺134、辺136、辺138、辺140、辺142、辺144、および辺146によって画定される、10角形の外縁を有する薄板である。この第2のコア板94は、図5(b)の矢印148に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第2のコア板94は、圧延方向148を有する。
この圧延方向148は、図5(b)中の仮想線150から、軸線O1周りに予め定められた角度θ3だけ、図5の紙面表側から見て時計回りに回転した方向である。この仮想線150は、辺128および辺138の各々の中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。辺128および辺138は、軸線O1の基準として点対称に配置されていた辺である。
第2のコア板94は、この仮想線150を基準として、線対称となる外縁形状を有している。具体的には、第2のコア板94の辺146、辺144、辺142、および辺140は、それぞれ、辺130、辺132、辺134、および辺136に対して、仮想線150を基準として線対称の位置に配置されている。
第2のコア板94の辺134および辺144は、第2のコア板94における、圧延方向148と直交する方向152の両端を画定する辺であり、圧延方向148と平行に延びている。方向152における第1のコア板92の最大寸法は、方向120における辺100と辺110との間の寸法154によって定められる。ここで、本実施形態においては、寸法122と寸法154とは、同じとなるように設定される。第1のコア板92と同様に、第2のコア板94は、計36個の歯部156を有し、歯部156の間には、計36個のスロット158が画定されている。
第1のコア板92と第2のコア板94とを、図2に示すステータコア20と同様に軸方向に積層することによって、ステータコア90において、第1のコア板92の圧延方向116と、第2のコア板94の圧延方向148とを、互いに角度(θ2+θ3)だけ周方向にずらすことができる。その状態を図6に示す。図6に示すように、本実施形態に係るステータコア90は、互いに周方向に角度(θ2+θ3)だけ異なる圧延方向116、148を有することになる。
本実施形態においては、これらの角度θ2およびθ3は、θ2=θ3=(360°×(n3+0.5))/(n1×2)として設定される。ここで、n1はモータ極数であり、n3は任意の整数である。このように角度θ2およびθ3を設定することによって、モータ10の極数に依存して発生するコギングトルクを、低減することができる。具体例として、モータ極数n1=8、n3=0とすると、角度θ2およびθ3は、11.25°となる。したがって、圧延方向116および148の間の角度は、22.5°となる。
第1のコア板92および第2のコア板94の10角形の外縁形状は、正8角形に基づいて形成される。具体的には、第1のコア板92および第2のコア板94の外縁は、正8角形の外縁から、図6の点線で示す部分をトリムすることによって形成されている。すなわち、正8角形の紙面右上側の頂点160をトリムして、辺100、132が形成されている。
同様に、正8角形の紙面右下側の頂点162をトリムして、辺102、134が形成されている。また、正8角形の紙面左上側の頂点164をトリムして、辺112、144が形成されている。また、正8角形の紙面左下側の頂点166をトリムして、辺110、142が形成されている。
次に、図7を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係るステータコア170について説明する。ステータコア170は、圧延した電磁鋼板から作製された複数のコア板172を、軸方向に積層して構成される。複数のコア板172は、ステータコア170の軸方向一方側に積層された複数の第1のコア板174と、第1のコア板174の軸方向他方側に積層される複数の第2のコア板176とを有する。
第1のコア板174は、中央に貫通孔178を有する外側板180と、貫通孔178に嵌め込まれて該外側板180の径方向内側に配置される第1の内側板182とを含む。また、第2のコア板176は、第1のコア板174と同じ外側板180と、貫通孔178に嵌め込まれて該外側板180の径方向内側に配置される第2の内側板184とを含む。
第1のコア板174および第2のコア板176に含まれる外側板180の各々は、正8角形の外縁を有する薄板であって、その中央に、予め定められた直径を有する円形の貫通孔178を有する。外側板180は、予め定められた方向へ圧延された電磁鋼板から作製される。
次に、図8を参照して、本実施形態に係る第1の内側板182および第2の内側板184の構成について説明する。第1の内側板182は、外側板180の貫通孔178と同じ、またはそれよりも僅かに大きい直径を有する円形の外縁を有する。また、第1の内側板182は、その内縁部に、周方向に等間隔で配列するように形成された計36個の歯部186を有する。互いに周方向に隣り合う歯部186の間に、計36個のスロット188が画定される。
第1の内側板182は、図8(a)の矢印190に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第1の内側板182は、圧延方向190を有する。この圧延方向190は、図8(a)中の仮想線192に沿う方向であり、該仮想線192は、軸線O1を基準に互いに点対称となるように配置された2つのスロット188aおよび188bの中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。
第2の内側板184は、第1の内側板182と同じ形状を有する。具体的には、第2の内側板184は、第1の内側板182と同じ直径の円形の外縁を有し、その内縁部に計36個の歯部194を有する。これら歯部194の間には、計36個のスロット196が画定されている。
第2の内側板184は、図8(b)の矢印198に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第2の内側板184は、圧延方向198を有する。この圧延方向198は、図8(b)中の仮想線199から、軸線O1周りに予め定められた角度θ4だけ回転した方向である。この仮想線199は、軸線O1を基準に互いに点対称となるように配置された2つのスロット196aおよび196bの中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。
上述したように、図7に示す第1のコア板174の各々は、第1の内側板182を外側板180の貫通孔178に嵌め込むことによって、構成される。また、第2のコア板176の各々は、第2の内側板184を外側板180の貫通孔178に嵌め込むことによって、構成される。これら第1のコア板174と第2のコア板176とを軸方向に積層することによって、図7に示すステータコア170が構成される。
このとき、図8に示す第1の内側板182の仮想線192と、第2の内側板184の仮想線199とが互いに一致するように、第1のコア板174と第2のコア板176とが積層される。このようにステータコア170を構成することによって、図7(a)に示すように、第1の内側板182の圧延方向190と、第2の内側板184の圧延方向198とを、互いに角度θ4だけ周方向にずらすことができる。
この角度θ4は、上述の角度θ1と同様に、θ4=θ1=(360°×n2)/(n1×2)の角度として設定される。このように角度θ4を設定することによって、モータ10の極数に依存して発生するコギングトルクを低減することができる。例えば、本実施形態の場合、角度θ4は、22.5°である。
次に、図9を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係るステータコア200について説明する。ステータコア200は、圧延した電磁鋼板から作製された複数のコア板202を、軸方向に積層して構成される。複数のコア板202は、ステータコア200の軸方向一方側に積層された複数の第1のコア板204と、第1のコア板204の軸方向他方側に積層された複数の第2のコア板206とを有する。
第1のコア板204は、中央に貫通孔208を有する外側板210と、貫通孔208に嵌め込まれて該外側板210の径方向内側に配置される第1の内側板212とを含む。また、第2のコア板206は、第1のコア板204と同じ外側板210と、貫通孔208に嵌め込まれて該外側板210の径方向内側に配置される第2の内側板214とを含む。第1のコア板204および第2のコア板206に含まれる外側板210の各々は、正8角形の外縁を有する薄板であって、その中央に、正18角形の貫通孔208を有する。外側板210は、予め定められた方向へ圧延された電磁鋼板から作製される。
次に、図10を参照して、本実施形態に係る第1の内側板212および第2の内側板214の構成について説明する。第1の内側板212は、外側板210の貫通孔208と同じ、またはそれよりも僅かに大きい正18角形の外縁を有する。また、第1の内側板212は、その内縁部に、計36個の歯部216を有し、互いに周方向に隣り合う歯部216の間に、計36個のスロット218が画定される。
第1の内側板212は、図10(a)の矢印220に示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製されている。すなわち、第1の内側板212は、圧延方向220を有する。この圧延方向220は、図10(a)中の仮想線222に沿う方向であり、該仮想線222は、軸線O1を基準に互いに点対称となるように配置された2つのスロット218aおよび218bの中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。
第2の内側板214は、第1の内側板212と同じ形状を有する。具体的には、第2の内側板214は、第1の内側板212と同じ正18角形の外縁を有し、その内縁部に計36個の歯部224を有する。これら歯部224の間に、計36個のスロット226が画定されている。
本実施形態においては、スロット数は36であるので、第2の内側板214のスロット226は、軸線O1周りに10°の角度で、周方向に等間隔で整列する。より具体的には、図10(b)に示すように、仮想線230と仮想線232との間の角度θ6は、10°である。ここで、仮想線230は、軸線O1を基準に互いに点対称となるように配置された2つのスロット226aおよび226bの中心を通過するように、軸線O1から径方向へ延びる線である。また、仮想線232は、スロット226aの周方向一方(図10の紙面表側から見て反時計回りの方向)に隣接するスロット226cの中心を通過するように軸線O1から径方向に延びる線である。
同様に、この仮想線232と、スロット226cの周方向一方(図10の紙面表側から見て反時計回りの方向)に隣接するスロット226dの中心を通過するように軸線O1から径方向に延びる仮想線234との間の角度も、θ6=10°である。
ここで、第2の内側板214は、仮想線234の方向に一致する方向、すなわち、図10(b)中の矢印228で示す方向へ圧延された電磁鋼板から作製される。したがって、第2の内側板214の圧延方向228は、仮想線230から角度θ5=2θ6=20°だけ、軸線O1周りに周方向へ回転した方向となる。
上述したように、本実施形態においては、外側板210の貫通孔208と、第1の内側板212および第2の内側板214とは、正18角形の形状を有する。この「18」との数は、以下に述べる手法によって設定される数である。
ここで、仮に、貫通孔208、第1の内側板212、および第2の内側板214を正n5角形(n5は自然数)であるとする。この場合において、この自然数n5は、モータのスロット数の約数のうち、θ7=360°/n5で表される角度θ7が、θ8=360°/(n1×2)で表される角度θ8に最も近い値となるように選択された自然数である。ここで、n1は、上述の実施形態と同様に、モータの極数を示す。
これについて、本実施形態に基づいてより具体的に述べると、スロット数は36であるので、その約数としては、1、2、3、4、6、9、12、18、36がある。ここで、仮にn5=12とすると、θ7=30°となる。また、仮にn5=18とすると、θ7=20°となる。また、仮にn5=36とすると、θ7=10°となる。一方、本実施形態におけるモータの極数は8であるので、θ8=22.5°である。
したがって、この角度θ8=22.5°に最も近い数として、n5best=18が選択され、本実施形態に係る貫通孔208、第1の内側板212、および第2の内側板214は、正18角形に形成される。上述の角度θ5は、このように選択されたn5best=18を用いて、θ5=360°/n5best=20°として設定される。なお、この構成の効果については、後述する。
上述したように、第1のコア板204の各々は、第1の内側板212を外側板210の貫通孔208に嵌め込むことによって、構成される。また、第2のコア板206の各々は、第2の内側板214を外側板210の貫通孔208に嵌め込むことによって、構成される。これら第1のコア板204と第2のコア板206とを軸方向に積層することによって、図9に示すステータコア200が構成される。
このとき、図10に示す第1の内側板212の仮想線222と、第2の内側板214の仮想線230とが互いに一致するように、第1のコア板204と第2のコア板206とが積層される。このようにステータコア200を構成することによって、図9(a)に示すように、第1の内側板212の圧延方向220と、第2の内側板214の圧延方向228とを、互いに角度θ5=20°だけ、周方向にずらすことができる。
次に、図11を参照して、本発明の一実施形態に係る、モータを製造するための装置250について説明する。本実施形態に係る装置250は、図1〜図4に示すステータコア20を備えるモータ10を製造するための装置である。
装置250は、第1の打ち抜き型252と、第1の打ち抜き型252を駆動する第1の動力発生装置254と、第2の打ち抜き型256と、第2の打ち抜き型256を駆動する第2の動力発生装置258と、第2の打ち抜き型256を、第2の打ち抜き型256の軸線O2の周りに回転させる回転駆動部260と、第1の動力発生装置254、第2の動力発生装置258、および回転駆動部260を制御する制御部262とを備える。
第1の打ち抜き型252および第2の打ち抜き型256は、図11中の矢印264で示す方向に沿って順送されるフープ材266をプレス加工するための型である。フープ材266は、圧延方向に沿って順送される。すなわち、フープ材266の圧延方向と、フープ材266の順送方向とは、同じ方向である。
第1の打ち抜き型252は、図3に示す歯部55およびスロット59を含む、第1のコア板24の内縁と、歯部82およびスロット84を含む、第2のコア板26の内縁を形成するための型である。第1の打ち抜き型252は、パンチ268と、該パンチ268を受け入れるダイ270とを有する。
パンチ268は、第1のコア板24および第2のコア板の内縁形状に対応する外周面272を有する。また、ダイ270は、パンチ268の外周面272に対応する内周面274を有する。第1の動力発生装置254は、例えば油圧式シリンダによって構成され、制御部262からの指令に応じて、パンチ268をダイ270に向かって駆動する。
第2の打ち抜き型256は、第1の打ち抜き型252の下流側に配置され、図3に示す10角形の外縁を有する第1のコア板24および第2のコア板26を、フープ材266から打ち抜くための型である。第2の打ち抜き型256は、パンチ276と、該パンチ276を受け入れるダイ278とを有する。
次に、図12を参照して、第2の打ち抜き型256のパンチ276の外周形状について説明する。パンチ276は、軸線O2に沿って延びる棒状部材であって、10角形の外周面280を有する。この外周面280の形状は、図3に示す第1のコア板24および第2のコア板26の外縁形状に対応している。
具体的には、外周面280は、平面282、平面284、平面286、平面288、平面290、平面292、平面294、平面296、平面298、および平面300を含む。これらの平面282、平面284、平面286、平面288、平面290、平面292、平面294、平面296、平面298、および平面300は、それぞれ、第1のコア板24の辺28、辺30、辺32、辺34、辺36、辺38、辺40、辺42、辺44、および辺46に対応して配置されている。図12中の矢印264は、フープ材266の順送方向を示している。パンチ276は、初期の段階において、順送方向264に対して、図12(a)に示す第1の位置に配置される。
より具体的には、パンチ276は、第1の位置に配置された状態において、仮想線306の方向と順送方向264とが一致するように、順送方向264に対して配置される。この仮想線306は、上述の仮想線29に対応する線であって、平面282および平面292の各々の中心を通過するように、軸線O2から径方向へ延びる線である。
図12(a)に示すように、パンチ276が第1の位置に配置された状態においては、パンチ276の平面288および平面298は、パンチ276における、順送方向264と直交する方向302の両端を画定する。そして、この配置における平面288および平面298は、順送方向264と平行となるように、図12(a)の紙面上下方向へ延びている。したがって、パンチ276が第1の位置に配置されたときに、方向302におけるパンチ276の外周面280の最大寸法は、平面288および平面298との間の寸法304によって定められる。
上述した回転駆動部260は、パンチ276を、図12(a)に示す第1の位置から、図12(b)に示す第2の位置まで、該パンチ276の軸線O2周りに、上述の角度θ1だけ周方向へ回転させる。このようにパンチ276が第2の位置に配置されたときは、平面286および平面296が、パンチ276における方向302の両端を画定する。そして、この配置における平面286および平面296は、順送方向264と平行となるように、図12(b)の紙面上下方向へ延びている。
したがって、パンチ276が第2の位置に配置されたとき、方向302におけるパンチ276の最大寸法は、平面286および平面296との間の寸法308によって定められる。ここで、寸法304と寸法308とは、同じとなるように設定される。パンチ276を受け入れるダイ278、パンチ276の外周面280に対応する内周面309を有する。回転駆動部260は、パンチ276と同期させて、パンチ276と同じ回転角度および方向となるように、ダイ278も回転させる。
次に、図11〜図14を参照して、本実施形態に係る装置250の動作について説明する。装置250は、一定の幅314を有するフープ材266を打ち抜いて、図3に示す第1のコア板24および第2のコア板26を作製する。まず、制御部262は、動力発生装置254に指令を送り、第1の打ち抜き型252のパンチ268をダイ270に向けて駆動する。そして、第1の打ち抜き型252によって、順送方向264へ順送されているフープ材266から、図13(a)に示すように、歯部55およびスロット59を含む内縁310を打ち抜く。
次いで、制御部262は、動力発生装置258に指令を送り、第2の打ち抜き型256のパンチ276をダイ278に向けて駆動する。そして、制御部262は、図13(b)に示すように、第1の打ち抜き型252によって形成された内縁310を含むように、第2の打ち抜き型256によってフープ材266から第1のコア板24を打ち抜く。
次いで、制御部262は、回転駆動部260に指令を送り、パンチ276を、図12(a)に示す第1の位置から、図12(b)に示す第2の位置へ回転させる。次いで、制御部262は、動力発生装置254に指令を送り、第1の打ち抜き型252のパンチ268をダイ270に向けて駆動し、図14(a)に示すように、第1の打ち抜き型252によってフープ材266から、歯部82およびスロット84を含む内縁312を打ち抜く。
次いで、制御部262は、動力発生装置258に指令を送り、第2の打ち抜き型256のパンチ276をダイ278に向けて駆動する。そして、制御部262は、図14(b)に示すように、第2の打ち抜き型256によって、フープ材266から、内縁312を中央に含むように第2のコア板26を打ち抜く。
ここで、上述したように、第1のコア板24および第2のコア板26の、順送方向264(すなわち、圧延方向48、74)と直交する方向の最大寸法52および80は、同じとなっている。これにより、一定の幅314のフープ材266から第1のコア板24および第2のコア板26を打ち抜くことができるので、フープ材266を効率よく使用して、第1のコア板24および第2のコア板26を作製することができる。このため、フープ材266の廃棄量を低減することができるので、コギングトルクを低減可能なステータコア20を、製造コストを低減しつつ、高効率で製造することができる。
また、第1のコア板24の、順送方向264と直交する方向の両端に位置する辺34および44は、順送方向264と平行に延びている。且つ、第2のコア板26の、順送方向264と直交する方向の両端に位置する辺58および68も、順送方向264と平行に延びている。
この構成によれば、フープ材266の幅314内における、第1のコア板24および第2のコア板26の占有面積を増加させることができる。これにより、フープ材266をより効率よく使用することができるので、フープ材266の廃棄量をさらに低減することができる。
次に、図15を参照して、本発明の他の実施形態に係る、モータを製造するための装置320について説明する。本実施形態に係る装置320は、図7および図8に示すステータコア170を備えるモータを製造するための装置である。
装置320は、第1の打ち抜き型322と、第1の打ち抜き型322を駆動する第1の動力発生装置324と、第2の打ち抜き型326と、第2の打ち抜き型326を駆動する第2の動力発生装置328と、第3の打ち抜き型330と、第3の打ち抜き型330を駆動する第3の動力発生装置332と、第1の打ち抜き型322を回転させる回転駆動部335と、第1の動力発生装置324、第2の動力発生装置328、第3の動力発生装置332、および回転駆動部335を制御する制御部333とを備える。
第1の打ち抜き型322、第2の打ち抜き型326、および第3の打ち抜き型330は、順送方向264へ順送されるフープ材266をプレス加工するための型である。フープ材266は、圧延方向に沿って順送される。第1の打ち抜き型322は、図8に示す歯部186、194およびスロット188、196を含む、第1の内側板182および第2の内側板184の内縁を形成するための型である。第1の打ち抜き型322は、パンチ334と、該パンチ334を受け入れるダイ336とを有する。
パンチ334は、第1の内側板182および第2の内側板184の内縁形状に対応する外周面338を有する。また、ダイ336は、パンチ334の外周面338に対応する内周面340を有する。第1の動力発生装置324は、例えば油圧式シリンダによって構成され、制御部333からの指令に応じて、パンチ334をダイ336に向かって駆動する。
第2の打ち抜き型326は、第1の打ち抜き型322の下流側に配置され、図8に示す円形の外縁を有する第1の内側板182および第2の内側板184を、フープ材266から打ち抜くための型である。第2の打ち抜き型326は、円形の外周面346を含むパンチ342と、外周面346に対応する円形の内周面348を含むダイ344とを有する。第2の動力発生装置328は、制御部333からの指令に応じて、パンチ342をダイ344に向かって駆動する。
第3の打ち抜き型330は、第2の打ち抜き型326の下流側に配置され、図7に示すような正8角形の外縁を有する外側板180を、フープ材266から打ち抜くための型である。第3の打ち抜き型330は、正8角形の外周面354を含むパンチ350と、外周面354に対応する正8角形の内周面356を含むダイ352とを有する。第3の動力発生装置332は、制御部333からの指令に応じて、パンチ350をダイ352に向かって駆動する。
次に、図16を参照して、第1の打ち抜き型322のパンチ334について説明する。パンチ334は、軸線O3に沿って延在する円形のシャンク360と、シャンク360から径方向外側へ突出し、且つ軸線O3に沿って延びる計36個の突条部362を有する。突条部362は、図8に示すスロット188、196に対応する形状を有しており、周方向に等間隔で整列する。なお、図16中の矢印264は、フープ材266の順送方向264を示している。
パンチ334は、初期の段階において、フープ材266の順送方向264に対して、図16(a)に示す第1の位置に配置される。より具体的には、パンチ334は、第1の位置に配置された状態において、仮想線358の方向と順送方向264とが一致するように、順送方向264に対して位置決めされる。この仮想線358は、軸線O3を基準に点対称となるように配置された2つの突条部362aおよび362bの各々の中心を通過するように、軸線O3から径方向へ延びる線である。
回転駆動部335は、パンチ334を、図16(a)に示す第1の位置から、図16(b)に示す第2の位置まで、軸線O3の周りに、上述の角度θ4だけ周方向へ回転させる。また、回転駆動部335は、パンチ334と同期させて、パンチ334と同じ回転角度および方向となるように、ダイ336も回転させる。
次に、図15〜図18を参照して、本実施形態に係る装置320の動作について説明する。装置320は、一定の幅314を有するフープ材266から、図8に示す第1のコア板174および第2のコア板176を打ち抜く装置である。まず、制御部333は、動力発生装置324に指令を送り、第1の打ち抜き型322のパンチ334をダイ336に向けて駆動する。そして、第1の打ち抜き型322によって、順送方向264へ順送されているフープ材266から、図17(a)に示すように、歯部186およびスロット188を含む内縁364を打ち抜く。
次いで、制御部333は、動力発生装置328に指令を送り、第2の打ち抜き型326のパンチ342をダイ344に向けて駆動する。そして、制御部333は、図17(b)に示すように、第2の打ち抜き型326によってフープ材266から、内縁364を中央に含むように第1の内側板182を打ち抜く。打ち抜かれた第1の内側板182は、該第1の内側板182を打ち抜くことによってフープ材266に形成された貫通孔178に再度嵌め込まれる。なお、この貫通孔178は、図7に示す外側板180の貫通孔178となる。
次いで、制御部333は、動力発生装置332に指令を送り、第3の打ち抜き型330のパンチ350をダイ352に向けて駆動する。そして、制御部333は、図17(c)に示すように、第3の打ち抜き型330によって、第1の内側板182が嵌め込まれた貫通孔178を中央に含むように外側板180を打ち抜く。これにより、図7に示す第1のコア板174が作製される。
次いで、制御部333は、回転駆動部335に指令を送り、第1の抜き打ち型322のパンチ334を、図16(a)に示す第1の位置から、図16(b)に示す第2の位置へ回転させる。そして、制御部333は、動力発生装置324に指令を送り、このパンチ334をダイ336に向けて駆動し、図18(a)に示すように、歯部194およびスロット196を含む内縁366を打ち抜く。
次いで、制御部333は、動力発生装置328に指令を送り、第2の打ち抜き型326のパンチ342をダイ344に向けて駆動する。そして、制御部333は、図18(b)に示すように、内縁366を中央に含むようにして第2の内側板184を打ち抜く。打ち抜かれた第2の内側板184は、該第2の内側板184の軸線O1の周りに、図18の紙面表側から見て反時計回りに上述の角度θ4だけ回転される。
そして、回転された第2の内側板184が、該第2の内側板184を打ち抜くことによってフープ材に形成された貫通孔178に、再度嵌め込まれる。このように嵌め込まれた第2の内側板184の圧延方向198は、図18(c)に示すように、順送方向264(すなわち、仮想線199の方向)から、軸線O1の周りに角度θ4だけ回転した方向となる。
次いで、制御部333は、動力発生装置332に指令を送り、第3の打ち抜き型330のパンチ350をダイ352に向けて駆動する。そして、制御部333は、図18(c)に示すように、第3の打ち抜き型330によって、第2の内側板184が嵌め込まれた貫通孔178を中央に含むように外側板180を打ち抜く。これにより、図7に示す第2のコア板176が作製される。
このように、本実施形態によれば、ステータコア170を構成するコア板174、176を、正8角形の外側板180と、円形の内側板182、184とに分割し、円形である第2の内側板184のみを回転させて積層させている。このため、コア板174、176の間で外側板180は共通の部材となるので、一定の幅314のフープ材266から外側板180を打ち抜くことができる。
すなわち、コア板174、176を打ち抜く場合における、順送方向264と直交する方向のコア板174、176の最大寸法を一定とすることができる。これにより、フープ材266を効率よく使用して、第1のコア板174および第2のコア板176を作製することができる。したがって、フープ材266の廃棄量を低減することができるので、コギングトルクを低減可能なステータコア170を、製造コストを低減しつつ、高効率で製造することができる。
次に、図19を参照して、本発明の一実施形態に係る、モータを製造するための方法400について説明する。なお、本実施形態に係る方法400は、図1〜図4に示すステータコア20を備えるモータ10を製造するための方法である。
ステップS1において、フープ材266が順送方向264へ順送される。例えば、フープ材266は、ベルトコンベア等の搬送装置を用いて、順送方向264へ順送される。このとき、フープ材266の圧延方向と順送方向264とは、互いに一致している。
ステップS2において、フープ材266から第1のコア板24が打ち抜かれる。例えば、図11に示す装置250を用いてステータコア20を作製する場合について述べると、制御部262は、このステップS1において、第1の打ち抜き型252を駆動して内縁310(図13(a))を形成した後、第2の打ち抜き型256を駆動して内縁310を含む第1のコア板24を打ち抜く(図13(b))。
ステップS3において、第2の打ち抜き型256が回転される。具体的には、装置250の制御部262は、回転駆動部260に指令を送り、パンチ268を第1の位置から第2の位置まで、軸線O2の周りに回転させる。
ステップS4において、フープ材266から第2のコア板26が打ち抜かれる。具体的には、装置250の制御部262は、第1の打ち抜き型252を駆動して内縁312(図14(a))を形成した後、第2の打ち抜き型256を駆動して内縁312を含む第2のコア板26を打ち抜く(図14(b))。ステップS5において、第1のコア板24および第2のコア板26が積層され、図2に示すステータコア20が作製される。
次に、図20を参照して、本発明の一実施形態に係る、モータを製造するための方法410について説明する。なお、本実施形態に係る方法410は、図5および図6に示すステータコア90を備えるモータを製造するための方法である。
ステップS11において、フープ材266が、その圧延方向と一致するように、順送方向264へ順送される。ステップS12において、複数のコア板92がフープ材266から打ち抜かれる。具体的には、コア板92は、図5に示す第1のコア板92の外縁形状に対応する周面を有する打ち抜き型を用いて打ち抜かれる。
このとき、該打ち抜き型は、図5(a)に示す仮想線118に対応する該打ち抜き型の仮想線が、フープ材266の順送方向264(すなわち、図5(a)の圧延方向116)に対して該打ち抜き型の軸線の周りに上述の角度θ2(=11.25°)だけ回転した方向となるように、回転されている。そして、このように順送方向264に対して位置決めされた該打ち抜き型によって、コア板92が打ち抜かれる。
ステップS13において、ステップS12にて打ち抜かれた複数のコア板92のうちの一部が、仮想線118の周りに180°回転される。すなわち、コア板92の一部は、このステップS12において表裏反転される。ステップS14において、ステップS13にて表裏反転されたコア板92の一部が、表裏反転されていないコア板92に積層される。
ここで、上述したように、図5(a)に示すコア板92は、仮想線118を基準として線対称の形状を有しているので、表裏反転されたコア板92と、表裏反転されていないコア板92とを積層した場合、図6に示すように同じ外周面を有するステータコア90を作製することができる。この方法で作製されるステータコア90においては、表裏反転されていないコア板92が、上述の第1のコア板92を構成し、表裏反転されたコア板92が、上述の第2のコア板94を構成することになる。
本実施形態によれば、順送方向264に対して角度θ2(=11.25°)だけ回転させた打ち抜き型によって、第1のコア板92および第2のコア板94の双方を、一定の幅314のフープ材266から打ち抜くことができる。このため、順送方向264と直交する方向のコア板92、94の最大寸法(すなわち、寸法122、154)を一定とすることができる。
したがって、フープ材266を効率よく使用することができ、フープ材266の廃棄量を低減することができる。このため、コギングトルクを低減可能なステータコア90を、製造コストを低減しつつ、高効率で製造することができる。
次に、図21を参照して、本発明の一実施形態に係る、モータを製造するための方法420について説明する。なお、本実施形態に係る方法420は、図7〜図10に示すステータコア170、200を備えるモータを製造するための方法である。
ステップS21において、フープ材266が、その圧延方向に沿って順送方向264へ順送される。ステップS22において、フープ材266から第1の内側板182、212が打ち抜かれる。例えば、図15に示す装置320を用いてステータコア170を製造する場合について述べると、装置320の制御部333は、このステップS22において、第1の打ち抜き型322を駆動して内縁364(図17(a))を形成した後、第2の打ち抜き型342を駆動して内縁364を含む第1の内側板182を打ち抜く(図17(b))。
また、図9に示すステータコア200を製造する場合は、このステップS22において、正18角形の周面を有する第1の打ち抜き型によって、図10(a)に示す正18角形の外縁を有する、第1の内側板212が打ち抜かれる。
ステップS23において、第1の内側板182、212を打ち抜くことによってフープ材266に形成された貫通孔178、208に、第1の内側板182、212を嵌め入れる。例えば、図7に示すステータコア170を製造する場合、使用者は、図17(b)に示すように、第1の内側板182を打ち抜くことによってフープ材266に形成された貫通孔178に、第1の内側板182を再度嵌め込む。
ステップS24において、フープ材266から第2の内側板を打ち抜く。例えば、図7に示すステータコア170を製造する場合、装置320の制御部333は、このステップS24において、回転駆動部335に指令を送り、第1の抜き打ち型322を第1の位置から第2の位置へ回転させる。次いで、制御部333は、第1の打ち抜き型322を駆動して、フープ材266から内縁366(図18(a))を打ち抜く。
そして、制御部333は、第2の打ち抜き型326駆動して、内縁366を中央に含むようにして第2の内側板184を打ち抜く(図18(b))。また、図9に示すステータコア200を製造する場合は、このステップS24において、ステップS22と同じ方法で、第1の内側板212と同じ形状の内側板を打ち抜く。
ステップS25において、第2の内側板が、該第2の内側板の中心軸線周りに回転される。具体的には、図7に示すステータコア170を製造する場合は、使用者は、図18(c)に示すように、ステップS24にて打ち抜かれた第2の内側板184を、軸線O1の周りに、図18の紙面表側から見て反時計回りに上述の角度θ4だけ回転させる。また、図9に示すステータコア200を製造する場合は、使用者は、ステップS24にて打ち抜かれた内側板を、該内側板の軸線の周りに上述の角度θ5(=2θ6=20°)だけ回転させる。
ステップS26において、ステップS24にてフープ材266に形成された貫通孔178、208に、ステップS25にて回転された第2の内側板を嵌め入れる。具体的には、図7に示すステータコア170を製造する場合は、使用者は、図18(c)に示すように、回転させた状態の第2の内側板184を、該第2の内側板184を打ち抜くことによってフープ材に形成された貫通孔178に再度嵌め込む。これにより、図7に示すような、外側板180の貫通孔178に第2の内側板184が嵌め込まれた第2のコア板176を作製することができる。
また、図9に示すステータコア200を製造する場合は、使用者は、ステップS25にて回転された内側板を、ステップS24にてフープ材に形成された貫通孔208に嵌め込む。これにより、図9に示すような、外側板210の貫通孔208に第2の内側板214が嵌め込まれた第2のコア板206を作製することができる。
ステップS27において、第1の外側板180、210が打ち抜かれる。具体的には、図7に示すステータコア170を製造する場合は、制御部333は、第3の打ち抜き型330を駆動して、第1の内側板182が嵌め込まれた貫通孔178を中央に含むように外側板180を打ち抜く(図17(c))。
ステップS28において、第2の外側板180、210が打ち抜かれる。具体的には、図7に示すステータコア170を製造する場合は、装置320の制御部333は、第3の打ち抜き型330を駆動して、第2の内側板184が嵌め込まれた貫通孔178を中央に含むように外側板180を打ち抜く(図18(c))。
ステップS29において、ステップS27にて作製された、第1の内側板182、212が嵌め込まれた外側板180と、ステップS28にて作製された、第2の内側板184、214が嵌め込まれた外側板180とを積層させる。その結果、図7または図9に示すステータコア170または200が製造される。
この方法420によって、図9に示すステータコア200を製造する場合、ステップS25において、内側板を軸線の周りに角度θ5だけ回転させている。ここで、この角度θ5は、上述のように、角度θ7=360°/(n1×2)=22.5°に最も近い数として設定された角度(=20°)であり、且つ、正18角形の外角(すなわち20°)に一致する。
したがって、ステップS25において、使用者は、内側板を角度θ5だけ回転させるために、正18角形の外角(つまり、隣り合う辺の間の偏差角に等しい)の分だけ内側板を回転させればよい。したがって、使用者にとって、回転すべき角度が明瞭であるので、作業が容易となる。また、この角度θ5は、角度θ7に近い値となるので、モータの極数に起因して発生するコギングトルクを低減することもできる。
なお、図9に示すステータコア200を製造する場合に、ステップS25において、内側板を回転させる角度を、θ5×n6(nは任意の整数)とし、複数のn6を適用して、内側板を異なる複数の角度で回転させてもよい。
このように構成されたステータコア200は、第1の内側板212に対して、圧延方向228が20°だけ異なる第2の内側板214、圧延方向が40°だけ異なる第2の内側板214、圧延方向が60°だけ異なる第2の内側板214、・・・、圧延方向が(θ5×n6)°だけ異なる第2の内側板214を含むことになる。
このようにステータコア200を構成することによって、さらに効果的にコギングトルクを低減することができる。また、このようなステータコア200を作製するために、ステップS25において、使用者は、n回目のステップS25を行うときに、内側板を角度θ5×nだけ回転させるようにしてもよい。例えば、使用者は、1回目のステップS25のときには20°、2回目のステップS25のときには40°、・・・、n回目のステップS25のときには(θ5×n6)°というように、ステップS25を実行する回数に応じて、内側板を回転させる角度を増加させてもよい。
なお、上述の実施形態においては、第1のコア板を軸方向一方側に複数積層し、該第1のコア板の軸方向他方側に第2のコア板を複数積層した場合について述べた。しかしながら、これに限らず、第1のコア板と第2のコア板は、一枚ずつ交互に積層されてもよいし、任意の枚数毎に積層されてもよい。
また、上述の実施形態においては、外側板および第1の内側板からなる第1のコア板と、外側板および第2の内側板からなる第2のコア板を積層させてステータコアを構成した場合について述べた。しかしながら、これに限らず、ステータコアは、外側板と、該外側板の径方向内側に配置される第1および第2の内側板とを備えていればよく、外側板、第1および第2の内側板の厚さは、それぞれ異なっていてもよい。すなわち、1つの外側板と1つの内側板からなるコア板を構成しなくてもよい。
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得る。しかしながら、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることも当業者に明らかである。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置および方法における動作、手順、ステップ、および工程等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。