JP6005153B2 - 絶縁電線および電気・電子機器 - Google Patents
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Description
本発明は、絶縁電線および電気・電子機器に関し、より詳しくは、耐熱性などの物性に優れ、電気・電子機器などに組み込む変圧器の巻線および/またはリード線として有用な絶縁電線およびこれを用いた変圧器などの電気・電子機器に関する。
変圧器の構造は、IEC規格(International Electrotechnical Communication Standard)Publication 950,65,335,601などによって規定されている。すなわち、これらの規格では、1)巻線において導体を被覆するエナメル皮膜は絶縁層として認定しない、1次巻線と2次巻線の間には補助絶縁も含めて少なくとも3層の絶縁層が形成されているか、または、2)絶縁層の厚みは0.4mm以上であること、例えば1次巻線と2次巻線の沿面距離は、印加電圧によっても異なるが、5mm以上であること、3)さらに、1次側と2次側に3000Vを印加した時に1分以上耐えること、等が規定されている。
そのため、これまで、主流である変圧器では、図3に示すような断面構造が採用されてきた。すなわち、フェライトコア1に鍔付きのボビン2が嵌め込まれ、ボビン2の周辺両側端に沿面距離を確保するための絶縁バリヤ3が配置された状態でエナメル被覆された1次巻線4が巻回された後、この1次巻線4の上に絶縁テープ5を少なくとも3層巻回しさらにこの絶縁テープ5の上に沿面距離を確保するための絶縁バリヤ3を配置した後、同じくエナメル被覆された2次巻線6が巻回された構造である。
ところで、近年、図3に示した断面構造の変圧器に代わり、図2に示すように絶縁バリヤ3や絶縁テープ層5を含まない構造の変圧器が登場し始めている。この変圧器は、図3に示す変圧器に比べて全体を小型化することができ、また、絶縁テープ5の巻回作業を省略できるなどの利点を備えている。
図2に示す変圧器を製造する場合、用いる1次巻線4および2次巻線6には、いずれか一方または両方の導体4aまたは6aの外周に3層の絶縁層4b、4cおよび4d、または、6b、6cおよび6dが形成されていることがIEC規格により求められる。また、IEC規格によって、これら1次巻線4および2次巻線6には、これらの絶縁層間で互いの層間が確認可能であることも求められている。
このような巻線としては、導体の外周に絶縁テープを巻回して1層目の絶縁層を形成し、さらにその上に、絶縁テープを巻回して2層目の絶縁層、3層目の絶縁層を順次形成して、互いに層間すなわち絶縁層数が確認できる3層構造の絶縁層を形成したものが知られている。また、ポリウレタンによるエナメル被覆がなされた導体の外周にフッ素樹脂を順次押出被覆して、全体として3層構造の押出被覆層を絶縁層とする巻線も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
他にも、多層絶縁層を有する絶縁電線として、たとえば、導体とこの導体を被覆する3層以上の押出絶縁層を有してなる多層絶縁電線であって、絶縁層の最内層(B)が150℃のはんだ槽に2秒浸漬させたときの伸び率が特定の範囲にある熱可塑性直鎖ポリエステル樹脂とエチレン系共重合体またはエポキシ基を含有する樹脂とを含有して成る樹脂の押出被覆層からなる多層絶縁電線、が提案されている(特許文献2)。
また、「導体上に2層以上の絶縁層を有する多層絶縁電線において、前記絶縁層は、最外層がポリアミド樹脂の押出被覆層からなり、その他の層がポリエーテルスルホンの押出被覆層からなることを特徴とする多層絶縁電線」も提案されている(特許文献3)。
また、「導体上に2層以上の絶縁層を有する多層絶縁電線において、前記絶縁層は、最外層がポリアミド樹脂の押出被覆層からなり、その他の層がポリエーテルスルホンの押出被覆層からなることを特徴とする多層絶縁電線」も提案されている(特許文献3)。
しかしながら、最近、変圧器の小型化に対する要求が強く、小型化による変圧器の発熱量の増大などが問題化し、前述の3層絶縁電線が有する耐熱クラスB種(耐熱指標130℃)では対応できない需要が数多く登場してきている。このような需要に応えるには、さらに耐熱性を向上させ、耐熱クラスF種(耐熱指標155℃)の耐熱性を有する絶縁電線の開発が必要となっている。
また、絶縁電線には、絶縁層が密着して容易に剥離しないことに加えて、コイル成型時の衝撃に耐えうるように耐傷性に優れること、および潰れに強いことも要求されている。
また、絶縁電線には、絶縁層が密着して容易に剥離しないことに加えて、コイル成型時の衝撃に耐えうるように耐傷性に優れること、および潰れに強いことも要求されている。
ところで、絶縁電線は、モーターなどの発熱する電気・電子機器、または、周辺温度が昇降する使用環境に設けられる電気・電子機器にも用いられるようになっている。したがって、絶縁電線、特にこのような電気・電子機器または使用環境に用いられる絶縁電線には、繰返して加熱されても本来有している可とう性を保持する「加熱前後の可とう性」も求められるようになってきている。
本発明は、耐熱性向上の要求を満たすとともに、コイル用途として要求される耐熱衝撃性、加熱前後の可とう性および耐傷性等の必要特性を兼ね備えた少なくとも2層の絶縁層を有する絶縁電線を提供することを課題とする。
さらに本発明は、このような必要特性を兼ね備えた絶縁電線を巻回してなる、過酷な加工条件、使用環境においても絶縁性を保つという信頼性の高い、変圧器などの電気・電子機器を提供することを課題とする。
さらに本発明は、このような必要特性を兼ね備えた絶縁電線を巻回してなる、過酷な加工条件、使用環境においても絶縁性を保つという信頼性の高い、変圧器などの電気・電子機器を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は、以下に示した絶縁電線及びこれを用いた変圧器によって達成された。
(1)導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、
前記多層絶縁層の最内絶縁層は、300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、
前記最内絶縁層以外の外側絶縁層は、融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、
隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線。
(2)導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、
前記多層絶縁層の最内絶縁層は、300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、
前記最内絶縁層以外の外側絶縁層は、融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、
隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率よりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線。
(3)前記最内絶縁層以外の外側絶縁層の結晶性の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載の絶縁電線。
(4)前記多層絶縁層の最内絶縁層以外の外側絶縁層の少なくとも1つが、ポリアミド樹脂で形成された絶縁層であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(5)前記多層絶縁層の最内絶縁層以外の外側絶縁層の少なくとも1つが、ポリアミド6,6で形成された絶縁層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(6)前記多層絶縁層の最外絶縁層を形成する樹脂が、ポリアミド6,6であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(7)前記多層絶縁層の最内絶縁層および最外絶縁層以外の中間層が、融点250℃以上の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(8)前記多層絶縁層を構成する各絶縁層の厚さが、いずれも20〜60μmの範囲であって、かつ該多層絶縁層の全体の厚さが、60〜150μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の絶縁電線を電気・電子機器に組み込む変圧器の巻線および/またはリード線として用いたことを特徴とする電気・電子機器。
(1)導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、
前記多層絶縁層の最内絶縁層は、300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、
前記最内絶縁層以外の外側絶縁層は、融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、
隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線。
(2)導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、
前記多層絶縁層の最内絶縁層は、300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、
前記最内絶縁層以外の外側絶縁層は、融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、
隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率よりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線。
(3)前記最内絶縁層以外の外側絶縁層の結晶性の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載の絶縁電線。
(4)前記多層絶縁層の最内絶縁層以外の外側絶縁層の少なくとも1つが、ポリアミド樹脂で形成された絶縁層であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(5)前記多層絶縁層の最内絶縁層以外の外側絶縁層の少なくとも1つが、ポリアミド6,6で形成された絶縁層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(6)前記多層絶縁層の最外絶縁層を形成する樹脂が、ポリアミド6,6であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(7)前記多層絶縁層の最内絶縁層および最外絶縁層以外の中間層が、融点250℃以上の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(8)前記多層絶縁層を構成する各絶縁層の厚さが、いずれも20〜60μmの範囲であって、かつ該多層絶縁層の全体の厚さが、60〜150μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の絶縁電線。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の絶縁電線を電気・電子機器に組み込む変圧器の巻線および/またはリード線として用いたことを特徴とする電気・電子機器。
本発明において、多層絶縁層の層数は絶縁電線の断面をマイクロスコープで観察したときの層間界面によって決定される。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の絶縁電線は、耐熱性レベルも十分満足するほか、コイル用途として要求される耐熱衝撃性、加熱前後の可とう性および耐傷性に優れるものである。したがって、本発明によれば、耐熱クラスF種以上の耐熱性を保持しながら耐熱衝撃性、加熱前後の可とう性および耐傷性に優れる絶縁電線を提供できる。また、上記特性を兼ね備えた本発明の絶縁電線を用いた変圧器などの電気・電子機器は、過酷な加工条件、使用環境においても絶縁性を保ち、高い信頼性を示す。
本発明は、導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、多層絶縁層の最内絶縁層は300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、最内絶縁層以外の外側絶縁層は融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、隣り合う2つの絶縁層の間において外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線である。
本発明の絶縁電線の各絶縁層を形成する熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率は、粘弾性アナライザー(セイコーインスツルメンツ社製:DMS200(商品名))を用いて測定される値である。具体的には、絶縁電線の各絶縁層を形成する熱可塑性樹脂で作製された厚さ0.2mmの試験片を用いて、昇温速度2℃/minおよび周波数10Hzの条件にて、25℃及び300℃に達したときの貯蔵弾性率の値を記録し、この記録値を熱可塑性樹脂の25℃または300℃における貯蔵弾性率とする。
熱可塑性樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量分析(DSC)により、測定できる。具体的には、試料10mgを、熱分析装置「DSC−60」(島津製作所製)を用いて、5℃/minの速度で昇温させたときの、250℃を超える領域で見られる融解に起因する熱量のピーク温度を読み取って、融点とする。なお、ピーク温度が複数存在する場合には、より高温のピーク温度を融点とする。
熱可塑性樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量分析(DSC)により、測定できる。具体的には、試料10mgを、熱分析装置「DSC−60」(島津製作所製)を用いて、5℃/minの速度で昇温させたときの、250℃を超える領域で見られる融解に起因する熱量のピーク温度を読み取って、融点とする。なお、ピーク温度が複数存在する場合には、より高温のピーク温度を融点とする。
絶縁電線は、導体を被覆する絶縁層として2層以上の多層絶縁層を備えている。多層絶縁層を構成する絶縁層は、少なくとも2層であり、特に好ましくは3層であり、本発明では3層である。本発明において、多層絶縁層のうち、導体に近接し、導体を被覆する絶縁層を最内絶縁層と称し、最内絶縁層以外の絶縁層を外側絶縁層と称し、外側絶縁層の中でも導体から最も外側の絶縁層を最外絶縁層と称する。
本発明の絶縁電線の好ましい実施形態の構造について説明する。
絶縁電線として、図1(a)に示される2層の絶縁層を有する絶縁電線10が挙げられる。この絶縁電線10は、図1(a)に示されるように、導体11と、導体11を被覆する最内絶縁層12と、最内絶縁層12を被覆する最外絶縁層13とを有している。この絶縁電線10において、最外絶縁層13は外側絶縁層でもある。
本発明の一実施形態として、図1(b)に示される3層の絶縁層を有する絶縁電線20が挙げられる。この絶縁電線20は、図1(b)に示されるように、導体21と、導体21を被覆する最内絶縁層22と、最内絶縁層22を被覆する中間絶縁層23と、中間絶縁層23を被覆する最外絶縁層24とを有している。この絶縁電線20において、中間絶縁層23および最外絶縁層24が外側絶縁層になる。
なお、本発明の範囲はこれら実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更を加えることが可能である。たとえば、参考例の図1(a)も含めて説明すると、最内絶縁層12または22は図1に示されるように導体11または21を直接被覆してもよく、また他の層を介して被覆してもよい。
なお、以後、説明の都合上、参考例の図1(a)も含めて説明する。
絶縁電線として、図1(a)に示される2層の絶縁層を有する絶縁電線10が挙げられる。この絶縁電線10は、図1(a)に示されるように、導体11と、導体11を被覆する最内絶縁層12と、最内絶縁層12を被覆する最外絶縁層13とを有している。この絶縁電線10において、最外絶縁層13は外側絶縁層でもある。
本発明の一実施形態として、図1(b)に示される3層の絶縁層を有する絶縁電線20が挙げられる。この絶縁電線20は、図1(b)に示されるように、導体21と、導体21を被覆する最内絶縁層22と、最内絶縁層22を被覆する中間絶縁層23と、中間絶縁層23を被覆する最外絶縁層24とを有している。この絶縁電線20において、中間絶縁層23および最外絶縁層24が外側絶縁層になる。
なお、本発明の範囲はこれら実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更を加えることが可能である。たとえば、参考例の図1(a)も含めて説明すると、最内絶縁層12または22は図1に示されるように導体11または21を直接被覆してもよく、また他の層を介して被覆してもよい。
なお、以後、説明の都合上、参考例の図1(a)も含めて説明する。
導体11および21は、金属裸線(単線)または金属裸線の複数本を撚り合わせた多心撚り線などを用いることができる。これらの撚り線の撚り線数は高周波用途により随意選択できる。また、金属裸線の数が多い場合、撚り線ではなくてもよい。撚り線ではない場合、例えば複数の金属裸線を略平行に単に束ねるだけでもよいし、または束ねたものを非常に大きなピッチで撚っていてもよい。導体11および21はいずれの場合も断面が略円形となるようにすることが好ましい。導体11および21を形成する金属は特に制限されず、たとえば、銅、銅合金等が挙げられる。
多層絶縁層における最内絶縁層12または22は、結晶性の熱可塑性樹脂で形成された被覆層である。最内絶縁層12または22が結晶性の熱可塑性樹脂で形成されていると絶縁電線が高い耐熱性を発揮する。この最内絶縁層12または22は、300℃における貯蔵弾性率10MPa以上である熱可塑性樹脂で形成された被覆層である。貯蔵弾性率が10MPa未満のものでは絶縁電線に要求される耐熱性が得られないため、最内絶縁層12または22として好ましくない。最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率は、好ましくは50MPa以上である。この貯蔵弾性率の上限に特に制限はないが、500MPaであるのが実際的であり、好ましくは200MPaである。
最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂は、300℃における貯蔵弾性率が上述の範囲内にあればよく、その他の物性は特に制限されない。たとえば、この熱可塑性樹脂における25℃における貯蔵弾性率は、特に制限されず、その一例を挙げると、1500〜6000MPaであるのがよく、1800〜4000MPaであるのがさらによい。また、最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂の融点も、特に制限されず、その一例を挙げると、310〜400℃であるのがよく、340〜390℃であるのがさらによい。熱可塑性樹脂における25℃における貯蔵弾性率および融点が上述の範囲内にあると絶縁電線が高い耐熱性を発揮する。
最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂は、300℃における貯蔵弾性率10MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂であればよく、300℃の貯蔵弾性率および結晶性を考慮して、適宜に選択される。このような熱可塑性樹脂として、たとえば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、PEEKという。)、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、変性PEEKという。)、熱可塑性ポリイミド樹脂(以下、熱可塑PIという。)などが挙げられる。この発明において、熱可塑性樹脂はPEEK樹脂、変性PEEK樹脂および熱可塑性PI樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であるのが好ましく、本発明では、上記群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を使用する。300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂の中でもPEEK、変性PEEK、熱可塑ポリイミドは特に耐熱老化性にも優れる。またこれらの中でも、PEEK樹脂、変性PEEK樹脂がより好ましい。これらの樹脂は耐熱老化性により優れるほか、室温における貯蔵弾性率も高いため耐傷性に優れる。
熱可塑性ポリイミド樹脂としては、たとえば、芳香族熱可塑性ポリイミドおよび脂肪族熱可塑性ポリイミドが挙げられる。これらの熱可塑性ポリイミドは、酸成分とジアミン成分またはジイソシアナート成分とを反応させて得られる。
熱可塑性ポリイミド樹脂としては、たとえば、芳香族熱可塑性ポリイミドおよび脂肪族熱可塑性ポリイミドが挙げられる。これらの熱可塑性ポリイミドは、酸成分とジアミン成分またはジイソシアナート成分とを反応させて得られる。
熱可塑性ポリイミド樹脂の酸成分としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,4-ジフルオロピロメリット酸、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、2,2'-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等、さらには、これらの少なくとも一部を加水分解により開環した加水分解開環物等の各成分が挙げられる。
ポリイミド樹脂のジアミン成分またはジイソシアナート成分としては、例えば、4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-アミノベンジルアミン、p-アミノベンジルアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3-アミノフェニル)スルフィド、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、(3-アミノフェニル)(4-アミノフェニル)スルフィド、ビス(3-アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4-アミノフェニル)スルホキシド、(3-アミノフェニル)(4-アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3-アミノフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、(3-アミノフェニル)(4-アミノフェニル)スルホン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'-ビス[3-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4-{4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-トリフルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-フルオロフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-メチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-シアノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3'-ジアミノ-4,4'-ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'-ジアミノ-5,5'-ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'-ジアミノ-4,5'-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、4,4'-ジアミノ-5-フェノキシベンゾフェノン、3,4'-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,4'-ジアミノ-5'-フェノキシベンゾフェノン、3,3'-ジアミノ-4,4'-ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'-ジアミノ-5,5'-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'-ジアミノ-4,5'-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'-ジアミノ-5-ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'-ジアミノ-5'-ビフェノキシベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノ-4-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-4-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-5-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-5-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-4-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-4-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-5-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-5-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6-ビス〔4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾニトリル、6,6'-ビス(2-アミノフェノキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン、6,6'-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン、6,6'-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン等、および、これらのアミノ基に代えてイソシアナート基を有するジイソシアナート等の各成分が挙げられる。
最内絶縁層12または22は、これらの熱可塑性樹脂を導体11または21と共に好ましくは押出成形して形成される。なお、最内絶縁層12または22は、これらの熱可塑性樹脂に各種添加剤が混合された樹脂組成物を押出成形して形成されることもできる。このとき混合される各種添加剤は熱可塑性樹脂組成物に通常添加される添加剤を特に制限されることなく挙げることができる。
最内絶縁層12または22以外の外側絶縁層は、結晶性の熱可塑性樹脂で形成された被覆層である。外側絶縁層が結晶性の熱可塑性樹脂で形成されていると絶縁電線が高い耐熱性を発揮する。この外側絶縁層、すなわち絶縁電線10の最外絶縁層13、ならびに、絶縁電線20の中間絶縁層23および最外絶縁層24は、いずれも、融点260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である熱可塑性樹脂で形成された被覆層である。この熱可塑性樹脂の融点が260℃未満では、絶縁電線に要求される耐熱性が得られないため、または、絶縁層の溶融に絶縁電線のより可とう性が低下するため、外側絶縁層として好ましくない。熱可塑性樹脂の融点は270℃以上であるのが好ましい。特に制限されないが、融点は実際的には390℃以下であるのがよく、最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂の融点と同等又は小さいのがさらによく、たとえば、350℃以下であるのが好ましい。
熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率が1000MPa未満では絶縁電線に要求される耐熱性および耐傷性が得られないため外側絶縁層として好ましくない。熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率は、絶縁電線がより一層高い耐傷性を発揮する点で、好ましくは1500MPa以上である。この貯蔵弾性率は、特に制限はないが、5000MPa以下であるのが実際的であり、4000MPa以下であるのが好ましい。
ここで、最外絶縁層を形成する熱可塑性樹脂には最内絶縁層を形成する熱可塑性樹脂が含まれず、最外絶縁層および最内絶縁層それぞれは25℃での貯蔵弾性率が異なる熱可塑性樹脂で形成されるのが好ましい。多層絶縁層を構成するその他の層同士は、貯蔵弾性率が同等または小さい熱可塑性樹脂で外側に位置する絶縁層が形成されていればよい。
この発明の絶縁電線は、最内絶縁層を含めて隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係にある。
絶縁電線10および20において、外側絶縁層は、25℃における貯蔵弾性率が最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂よりも小さな値を有する熱可塑性樹脂で形成されている。このように外側絶縁層が最内絶縁層12または22よりも小さな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されていると、層間密着性が高く剥離しにくく加熱前後の可とう性にも優れる絶縁電線が得られる。貯蔵弾性率が異なる場合、最内絶縁層12または22の貯蔵弾性率と外側絶縁層との差分は、特に限定されず、たとえば500〜5000MPaがよい。
絶縁電線10および20において、外側絶縁層は、25℃における貯蔵弾性率が最内絶縁層12または22を形成する熱可塑性樹脂よりも小さな値を有する熱可塑性樹脂で形成されている。このように外側絶縁層が最内絶縁層12または22よりも小さな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されていると、層間密着性が高く剥離しにくく加熱前後の可とう性にも優れる絶縁電線が得られる。貯蔵弾性率が異なる場合、最内絶縁層12または22の貯蔵弾性率と外側絶縁層との差分は、特に限定されず、たとえば500〜5000MPaがよい。
絶縁電線20においては、中間絶縁層23と最外絶縁層24との間においても同様の貯蔵弾性率の関係を有している。すなわち、隣り合う2つの中間絶縁層23と最外絶縁層24との間において、最外絶縁層24の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、中間絶縁層23の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係にある。このように、隣り合う2つの外側絶縁層の間に前記関係が成立すると層間密着性が高く剥離しにくく加熱前後の可とう性にも優れる絶縁電線が得られる。これにより、本発明に係る絶縁電線は層間密着性が高く剥離しにくく加熱前後の可とう性にも優れる。この層間密着性は、電線の耐傷性にも影響を与えるものである。なお、内外に隣り合う2つの外側絶縁層を形成する熱可塑性樹脂同士の貯蔵弾性率の差分は、特に限定されないが、たとえば0〜2000MPaであるのがよい。
このように、本発明の好ましい実施形態である絶縁電線10および絶縁電線20は、最内絶縁層12および22を含めて隣り合う2つの絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係になっている。加えて、最内絶縁層12および22と最外絶縁層13および24との間においても、最外絶縁層13および24の25℃における貯蔵弾性率が、最内絶縁層12および22の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率よりも小さい関係になっている。
25℃における貯蔵弾性率に関するこのような関係を満たすことにより、耐熱衝撃性、加熱前後の可とう性および耐傷性がより一層高い水準でバランスよく発揮される。
25℃における貯蔵弾性率に関するこのような関係を満たすことにより、耐熱衝撃性、加熱前後の可とう性および耐傷性がより一層高い水準でバランスよく発揮される。
外側絶縁層13、23および24を形成する熱可塑性樹脂は、融点260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂であればよい。このような熱可塑性樹脂は、融点、25℃の貯蔵弾性率および結晶性などを考慮して、適宜に選択される。このような熱可塑性樹脂として、PEEK樹脂、変性PEEK樹脂、熱可塑性PI樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSとする。)、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(以下SPSとする。)およびポリアミド樹脂(以下、PAとする。)などが挙げられる。熱可塑性ポリイミド樹脂は前記の通りである。PAは、たとえば、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド6,T、ポリアミド9,T、ポリフタルアミド等が挙げられる。この熱可塑性樹脂は、PPS、SPSおよびPAからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、PAであるのがより好ましく、ポリアミド6,6(PA66ともいう。)であるのが特に好ましい。
最内絶縁層12および22ならびに外側絶縁層13、23および24を形成する熱可塑性樹脂は市販品も用いることができる。たとえば、PEEKとしてビクトレックスジャパン社製のPEEK450G(商品名、25℃の貯蔵弾性率:3840MPa、300℃の貯蔵弾性率:187MPa、融点:345℃)、変性PEEKとしてソルベイ社製のアバスパイアAV−650(商品名、25℃の貯蔵弾性率:3700MPa、300℃の貯蔵弾性率:144MPa、融点:340℃)またはAV−651(商品名、25℃の貯蔵弾性率:3500MPa、300℃の貯蔵弾性率:130MPa、融点:345℃)、熱可塑PIとして三井化学社のオーラムPL450C(商品名、25℃の貯蔵弾性率:1880MPa、300℃の貯蔵弾性率:18.9MPa、融点:388℃)、PPSとしてポリプラスチックス社製のフォートロン0220A9(商品名、25℃の貯蔵弾性率:2800MPa、300℃の貯蔵弾性率:<10MPa、融点:278℃)またはDIC社製のPPS FZ−2100(商品名、25℃の貯蔵弾性率:1600MPa、300℃の貯蔵弾性率:<10MPa、融点:275℃)、SPSとして出光興産社製のザレックS105(商品名、25℃の貯蔵弾性率:2200MPa、融点:280℃)、PAとしてユニチカ社製のポリアミド6,6 FDK−1(商品名、25℃の貯蔵弾性率:1200MPa、300℃の貯蔵弾性率:<10MPa、融点:265℃)、ユニチカ社製のポリアミド4,6 F−5000(商品名、25℃の貯蔵弾性率:1100MPa、融点:292℃)、三井石油化学社製のポリアミド6,T アーレンAE−420(商品名、25℃の貯蔵弾性率:2400MPa、融点:320℃)、クラレ社製のポリアミド9,T ジェネスタN1006D(商品名、25℃の貯蔵弾性率:1400MPa、融点:262℃)等の市販品を挙げることができる。
外側絶縁層13、23および24は、ぞれぞれ、上記の熱可塑性樹脂を、最内絶縁層11または21が形成された導体11または21と共に、好ましくは押出成形して形成される。なお、外側絶縁層13、23および24は、熱可塑性樹脂に各種添加剤が混合された樹脂組成物を押出成形して形成されることもできる。このとき混合される各種添加剤は前記の通りである。
なお、多層絶縁層は、最内絶縁層12および22ならびに外側絶縁層13、23および24を有していれば、これらに相当しない絶縁層、すなわち、最内絶縁層12および22ならびに外側絶縁層13、23および24を形成する熱可塑性樹脂ではない熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を有していてもよい。この絶縁層を形成する熱可塑性樹脂はその融点が250℃以上であるのが好ましい。
絶縁電線は、常法により、導体の外周に所望の厚みの1層目の絶縁層、すなわち最内絶縁層を押出被覆し、次いで、この1層目の絶縁層の外周に所望の厚みの2層目を押出被覆し、本発明では、さらにこの2層目の絶縁層の外周に所望の厚みの3層目を押出被覆するように、繰り返し押出被覆する方法で、順次絶縁層を押出被覆することで製造される。このようにして形成される多層絶縁層の全体の厚みは全層で50〜180μmの範囲内にあるようにすることが好ましい。多層絶縁層の全体の厚みが薄すぎると得られた絶縁電線の電気特性の低下が大きく、実用に不向きな場合があり、逆に厚すぎると小型化に不向きであり、コイル加工が困難になる場合などがある。多層絶縁層全層の厚みのさらに好ましい範囲は60〜150μmである。このとき、多層絶縁層を構成する各絶縁層の厚みは、全層の厚みが前記範囲内となるように、20〜60μmの範囲から選択されるのが好ましい。
多層絶縁層の厚さにおいて、絶縁電線の可とう性を重視するのであれば、最内絶縁層の厚さは上述の範囲内であって外側絶縁層の厚さよりも薄くするのが好ましい。
多層絶縁層の厚さにおいて、絶縁電線の可とう性を重視するのであれば、最内絶縁層の厚さは上述の範囲内であって外側絶縁層の厚さよりも薄くするのが好ましい。
本発明の絶縁電線は、従来実現できなかった耐熱クラスF種以上の高い耐熱性を発揮しつつも、耐熱衝撃性、耐傷性および加熱前後の可とう性にも優れる。このような特性を有する本発明の絶縁電線は、従来の用途に加えて、発熱する電気・電子機器または周辺温度が昇降する環境に設けられる電気・電子機器にも用いられ、具体的には、コイル用途、特に耐熱クラスF種(耐熱指標155℃)の耐熱性が要求されるコイル用途に有用である。
絶縁電線、たとえば、図1に示される絶縁電線10および本発明の絶縁電線20を用いた好適な変圧器の一実施態様として図2に示す変圧器が挙げられる。この変圧器は小型のものであり、具体的には、フェライトコア1に嵌め込まれたボビン2内に、絶縁バリヤや絶縁テープ層を組込まないで、1次巻線4及び2次巻線6として本発明の絶縁電線が巻回されている。この変圧器は、本発明の絶縁電線を用いているから、電気特性に優れ、従来の加工条件および使用環境はもちろん、過酷な加工条件、使用環境においても絶縁性を保ち高い信頼性を発揮する。また、本発明の絶縁電線は他のタイプの変圧器にも適用でき、たとえば図3に示す従来構造の変圧器にも適用できる。したがって、本発明の変圧器は図2に示す好適な変圧器に加えて、図3に示す従来構造の変圧器も包含する。
次に本発明をより具体的に説明するための実施例を示すが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[参考例1、2、実施例1〜8及び比較例1〜6]
参考例1および2ならびに比較例1において図1(a)に示す絶縁電線10を製造し、実施例1〜8および比較例2〜6において図1(b)に示す絶縁電線20を製造した。これらの参考例、実施例および比較例において、表1の「第1層」は絶縁電線の「最内絶縁層」に相当する。また、表1の「第2層」は参考例1および2ならびに比較例1において「最外絶縁層」に相当し、実施例1〜8および比較例2〜6において「中間絶縁層」に相当する。表1の「第3層」は実施例1〜8および比較例2〜6において「最外絶縁層」に相当する。
参考例1および2ならびに比較例1において図1(a)に示す絶縁電線10を製造し、実施例1〜8および比較例2〜6において図1(b)に示す絶縁電線20を製造した。これらの参考例、実施例および比較例において、表1の「第1層」は絶縁電線の「最内絶縁層」に相当する。また、表1の「第2層」は参考例1および2ならびに比較例1において「最外絶縁層」に相当し、実施例1〜8および比較例2〜6において「中間絶縁層」に相当する。表1の「第3層」は実施例1〜8および比較例2〜6において「最外絶縁層」に相当する。
導体として線径1.0mmの軟銅線を用意した。表1に示す各層の熱可塑性樹脂を表1に示す膜厚となるように導体上にそれぞれ順次押出して導体を被覆し、導体11または21、最内絶縁層12または22、所望により中間絶縁層23、および、最外絶縁層13または24を有する絶縁電線10または20を製造した。
製造した絶縁電線につき、下記に示す各種の特性を試験した。
製造した絶縁電線につき、下記に示す各種の特性を試験した。
参考例1、2、実施例1〜8および比較例1〜6において使用した熱可塑性樹脂を以下に示すとともに、それらの融点、25℃における貯蔵弾性率、300℃における貯蔵弾性率を表1に示す。なお、使用した熱可塑性樹脂はすべて結晶性であった。
PEEK:PEEK450G(商品名、ビクトレックス社製)
変性PEEK:アバスパイアAV−650(商品名、ソルベイ社製)
熱可塑PI:オーラムPL450C(商品名、三井化学社製)
PPS:DIC−PPS FZ−2100(商品名、DIC社製)
SPS:ザレックS105(商品名、出光興産社製)
PA66:FDK−1(商品名、ユニチカ社製)
PBN:TQB−KT(商品名、帝人化成社製)
ETFE:フルオンETFE C−55AP(商品名、旭硝子社製)
PEEK:PEEK450G(商品名、ビクトレックス社製)
変性PEEK:アバスパイアAV−650(商品名、ソルベイ社製)
熱可塑PI:オーラムPL450C(商品名、三井化学社製)
PPS:DIC−PPS FZ−2100(商品名、DIC社製)
SPS:ザレックS105(商品名、出光興産社製)
PA66:FDK−1(商品名、ユニチカ社製)
PBN:TQB−KT(商品名、帝人化成社製)
ETFE:フルオンETFE C−55AP(商品名、旭硝子社製)
(A)熱衝撃(Annex3.0kV)試験
上記で製造した各絶縁電線の熱衝撃性をIEC規格60950に準拠した試験方法で評価した。すなわち、直径10mmのマンドレルに絶縁電線を、荷重9.4kgをかけながら10ターン巻付け、250℃で1時間加熱し、更に175℃で21時間及び225℃で3時間を3サイクル加熱し、更に30℃、湿度95%の雰囲気に48時間保持した。その後3000Vにて1分間電圧を印加し、短絡しなければ合格と判定した。その後破壊まで課電した結果、破壊電圧が4000V以上のものを「◎」で表示し、4000V以下であるものを「○」で表示した。判定は5サンプル(n=5)にて評価し、1つでも短絡すれば不合格とし、「×」で表示した。なお、この熱衝撃試験において「合格(評価が○以上)」であれば、コイル用途として要求される耐熱衝撃性を満たす。また、近年の絶縁電線に要求される耐熱クラスF種(耐熱指標155℃)の耐熱性を満足できることは容易に理解できる。
上記で製造した各絶縁電線の熱衝撃性をIEC規格60950に準拠した試験方法で評価した。すなわち、直径10mmのマンドレルに絶縁電線を、荷重9.4kgをかけながら10ターン巻付け、250℃で1時間加熱し、更に175℃で21時間及び225℃で3時間を3サイクル加熱し、更に30℃、湿度95%の雰囲気に48時間保持した。その後3000Vにて1分間電圧を印加し、短絡しなければ合格と判定した。その後破壊まで課電した結果、破壊電圧が4000V以上のものを「◎」で表示し、4000V以下であるものを「○」で表示した。判定は5サンプル(n=5)にて評価し、1つでも短絡すれば不合格とし、「×」で表示した。なお、この熱衝撃試験において「合格(評価が○以上)」であれば、コイル用途として要求される耐熱衝撃性を満たす。また、近年の絶縁電線に要求される耐熱クラスF種(耐熱指標155℃)の耐熱性を満足できることは容易に理解できる。
(B)可とう性試験
得られた絶縁電線の加熱後の可とう性を評価した。絶縁電線を250℃で30分加熱し、冷却後に直径10mmのマンドレル棒に線と線が接触するように緊密に10回巻きつけ、顕微鏡にて50倍にて観察を行った。絶縁電線の絶縁層にクラックや皮膜浮きなどの異常が見られなければ合格とし、表1に「○」で示した。絶縁電線の絶縁層にクラックまたは皮膜浮きなどの異常が見られた場合を不合格とし、表1に「×」で示した。なお、絶縁電線において、加熱後の可とう性試験は促進試験(過酷試験)であるから、250℃で30分加熱した後の可とう性試験において「合格」であれば、250℃で30分加熱する前の可とう性試験も当然に「合格」となる。
得られた絶縁電線の加熱後の可とう性を評価した。絶縁電線を250℃で30分加熱し、冷却後に直径10mmのマンドレル棒に線と線が接触するように緊密に10回巻きつけ、顕微鏡にて50倍にて観察を行った。絶縁電線の絶縁層にクラックや皮膜浮きなどの異常が見られなければ合格とし、表1に「○」で示した。絶縁電線の絶縁層にクラックまたは皮膜浮きなどの異常が見られた場合を不合格とし、表1に「×」で示した。なお、絶縁電線において、加熱後の可とう性試験は促進試験(過酷試験)であるから、250℃で30分加熱した後の可とう性試験において「合格」であれば、250℃で30分加熱する前の可とう性試験も当然に「合格」となる。
(C)耐傷性(往復磨耗試験)
耐傷性は往復摩耗試験機を用いて往復磨耗試験により評価した。この往復摩耗試験機は、一定荷重を加えて絶縁電線の表面を針で引っかき、皮膜表面に導体露出が発生する回数を測定する試験機で、これにより皮膜強度を評価できる。荷重を500gとし、往復摩耗回数が50回に達するか否かで耐傷性を評価した。往復磨耗回数が50回以上であった場合を合格とし、表1に「○」で示した。回数が70回以上であったものを特に耐傷性に優れるとし、表1に「◎」で示した。往復磨耗回数が50回に満たなかった場合を不合格とし、表1に「×」で示した。
耐傷性は往復摩耗試験機を用いて往復磨耗試験により評価した。この往復摩耗試験機は、一定荷重を加えて絶縁電線の表面を針で引っかき、皮膜表面に導体露出が発生する回数を測定する試験機で、これにより皮膜強度を評価できる。荷重を500gとし、往復摩耗回数が50回に達するか否かで耐傷性を評価した。往復磨耗回数が50回以上であった場合を合格とし、表1に「○」で示した。回数が70回以上であったものを特に耐傷性に優れるとし、表1に「◎」で示した。往復磨耗回数が50回に満たなかった場合を不合格とし、表1に「×」で示した。
表1に示されるように、最内絶縁層および外側絶縁層を形成する熱可塑性樹脂が本発明の条件を満たしている実施例1〜8の絶縁電線は、3層絶縁層であり、電気的耐熱性試験、加熱後の可とう性試験、往復磨耗試験のいずれも合格した。これにより、実施例1〜8によれば、耐熱性向上の要求を満たすとともに、コイル用途として要求される耐熱衝撃性、加熱前後の可とう性および耐傷性等の必要特性を兼ね備える絶縁電線を製造できることが分かった。
特に、最外絶縁層にポリアミド樹脂を用いた場合、より耐傷性に優れる結果が得られた。そのため、実施例1、3、4、6および8に示すように最内絶縁層にPEEK樹脂または変性PEEK樹脂を用い、かつ最外絶縁層にポリアミド樹脂を用いる構成が加熱前後の可とう性および耐傷性等の必要特性が最も得られることが分かった。
また、参考例1および2の2層絶縁層を有する絶縁電線と比較して、実施例1〜8の3層絶縁層を有する絶縁電線は、各絶縁層間の貯蔵弾性率の差が小さくなり、所望により貯蔵弾性率が高い最内絶縁層22を薄く形成できるから、加熱前後の可とう性がより一層向上していた。したがって、絶縁電線において更なる可とう性の向上を目的とするのであれば、多層絶縁層を3層構造にするのが好ましい。
このように、本発明の絶縁電線は必要特性を兼ね備えているから、本発明の絶縁沿線を備えた電気・電子機器は過酷な加工条件、使用環境においても絶縁性を保つという高い信頼性を発揮する。
また、参考例1および2の2層絶縁層を有する絶縁電線と比較して、実施例1〜8の3層絶縁層を有する絶縁電線は、各絶縁層間の貯蔵弾性率の差が小さくなり、所望により貯蔵弾性率が高い最内絶縁層22を薄く形成できるから、加熱前後の可とう性がより一層向上していた。したがって、絶縁電線において更なる可とう性の向上を目的とするのであれば、多層絶縁層を3層構造にするのが好ましい。
このように、本発明の絶縁電線は必要特性を兼ね備えているから、本発明の絶縁沿線を備えた電気・電子機器は過酷な加工条件、使用環境においても絶縁性を保つという高い信頼性を発揮する。
一方、比較例1および2の絶縁電線は最内絶縁層が十分な耐熱性を有する樹脂で形成されていないので、熱衝撃性試験、すなわち電気的耐熱性に劣っていた。また、比較例2の絶縁電線は外側絶縁層が最内絶縁層よりも大きな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されているので、可とう性試験において皮膜浮きが観測され、層間密着力が低かった。
比較例3の絶縁電線は最外絶縁層が中間絶縁層よりも大きな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されており、また比較例4の絶縁電線は中間絶縁層が最内絶縁層よりも大きな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されているので、比較例2と同様に、層間密着力が低かった。また、皮膜浮きが生じた影響で、最外絶縁層に貯蔵弾性率の高い熱可塑性樹脂を用いているにもかかわらず、耐傷性は実施例3などの結果よりも劣っていた。
比較例5の絶縁電線は中間絶縁層および最外絶縁層が融点260℃以下の樹脂であって加熱により皮膜が溶融するため加熱後の可とう性に劣っていた。
比較例6の絶縁電線は最外絶縁層が1000MPa未満の貯蔵弾性率(25℃)を有する熱可塑性樹脂で形成されているので耐傷性に劣っていた。
比較例3の絶縁電線は最外絶縁層が中間絶縁層よりも大きな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されており、また比較例4の絶縁電線は中間絶縁層が最内絶縁層よりも大きな貯蔵弾性率を有する熱可塑性樹脂で形成されているので、比較例2と同様に、層間密着力が低かった。また、皮膜浮きが生じた影響で、最外絶縁層に貯蔵弾性率の高い熱可塑性樹脂を用いているにもかかわらず、耐傷性は実施例3などの結果よりも劣っていた。
比較例5の絶縁電線は中間絶縁層および最外絶縁層が融点260℃以下の樹脂であって加熱により皮膜が溶融するため加熱後の可とう性に劣っていた。
比較例6の絶縁電線は最外絶縁層が1000MPa未満の貯蔵弾性率(25℃)を有する熱可塑性樹脂で形成されているので耐傷性に劣っていた。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2012年11月30日に日本国で特許出願された特願2012−263748に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 フェライトコア
2 ボビン
3 絶縁バリヤ
4 一次巻線
4a 導体
4b,4c,4d 絶縁層
5 絶縁テープ
6 二次巻線
6a 導体
6b,6c,6d 絶縁層
10、20 絶縁電線
11、21 導体
12、22 最内絶縁層
13、24 最外絶縁層
23 中間絶縁層
2 ボビン
3 絶縁バリヤ
4 一次巻線
4a 導体
4b,4c,4d 絶縁層
5 絶縁テープ
6 二次巻線
6a 導体
6b,6c,6d 絶縁層
10、20 絶縁電線
11、21 導体
12、22 最内絶縁層
13、24 最外絶縁層
23 中間絶縁層
Claims (9)
- 導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、
前記多層絶縁層の最内絶縁層は、300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、
前記最内絶縁層以外の外側絶縁層は、融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、
隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率と同等またはそれよりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線。 - 導体を被覆する、3層の多層絶縁層を有する絶縁電線であって、
前記多層絶縁層の最内絶縁層は、300℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂および熱可塑性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層であり、
前記最内絶縁層以外の外側絶縁層は、融点が260℃以上、25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である結晶性の熱可塑性樹脂で形成された絶縁層を含み、
隣り合う絶縁層の間において、外側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、内側に位置する絶縁層の熱可塑性樹脂の25℃における貯蔵弾性率よりも小さい関係にあることを特徴とする絶縁電線。 - 前記最内絶縁層以外の外側絶縁層の結晶性の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィド樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
- 前記多層絶縁層の最内絶縁層以外の外側絶縁層の少なくとも1つが、ポリアミド樹脂で形成された絶縁層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記多層絶縁層の最内絶縁層以外の外側絶縁層の少なくとも1つが、ポリアミド6,6で形成された絶縁層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記多層絶縁層の最外絶縁層を形成する樹脂が、ポリアミド6,6であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記多層絶縁層の最内絶縁層および最外絶縁層以外の中間層が、融点250℃以上の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記多層絶縁層を構成する各絶縁層の厚さが、いずれも20〜60μmの範囲であって、かつ該多層絶縁層の全体の厚さが、60〜150μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁電線を電気・電子機器に組み込む変圧器の巻線および/またはリード線として用いたことを特徴とする電気・電子機器。
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