JP6004744B2 - 検体希釈浮遊液およびそれを含む容器 - Google Patents

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Description

本発明は、イムノアッセイを用いて検体中の被験物質を測定する際に、検体を浮遊または希釈するときに用いる検体希釈浮遊液およびそれを含む容器に関する。
イムノアッセイを用いて検体中の被験物質を測定するとき、正確な結果を得るために定められた量の検体を測定の場に供する必要がある。しかし、検体が固形物の場合や、粘性が高い場合には、定められた量の検体を測定の場に供することが不可能となる。そこで、検体希釈浮遊液等を用いて検体を浮遊させ、正確な測定結果を求めている。
一方、検体中に含まれる物質には、酵素等の検体中の被験物質の構造等を変化させて正確な測定を阻むものが含まれる。特に分子量の大きいウイルス抗原の場合にはその影響が顕著に見られる。これらの影響は、検体を希釈することにより増大することから、検体を溶液化して放置するだけで抗原抗体反応に影響を与え、正確な測定結果が得られないこととなる。
そこで、検体に含まれるポリペプチドまたは抗原を安定化させる検体希釈浮遊液のpHが検討され、ブロッキング剤、可溶化剤、塩、キレート化剤、界面活性剤、保存剤等を含むpH7.5〜8.5の水性試薬(特許文献1)、pH9.0〜10.0のノロウイルスまたはサポウイルス検体用希釈液(特許文献2)等のアルカリ側の緩衝液が提案されている。また、酸性側の緩衝液として、正常血清を含有するpH4.5〜6.5の簡易イムノアッセイ用検体希釈浮遊液が提案されているが、抗原の安定化に関しては効果が認められていない。
特表2003−517153号公報 特開2004−301684号公報 特開2008−14752号公報
イムノアッセイを用いて検体中に含まれる被験物質を測定する際に、検体を検体希釈浮遊液に浮遊または希釈して、反応の場に供する。このとき、検体を検体希釈浮遊液に浮遊または希釈して直ぐに測定を行なう場合は特に問題とはならないが、測定を行なう前に検体を浮遊または希釈した状態で検体浮遊液を長時間放置することにより、検体由来の検体浮遊液に含まれる成分によって被験物質が変化を受け、正確な測定結果を得ることが出来なくなる。
それゆえ、検体希釈浮遊液に検体を浮遊または希釈して長時間放置しても、検体中の被験物質の変化が生じず、正確な測定結果を得ることが可能な、イムノアッセイ用の検体希釈浮遊液の組成を構築することが、重要な課題となっている。
発明者は、検体希釈浮遊液のpHに着目して酸性側からアルカリ性側までの複数の緩衝液で作製した検体希釈浮遊液を用意し、各々に被験物質を添加して放置前後に被験物質を測定したところ、アルカリ性側と比較して、酸性側の測定結果の変動が少なかった。このことより、イムノアッセイ用の検体希釈浮遊液のpHを酸性に保つことが検体浮遊液に含まれる被験物質の保存に有効と判断された。
また、イムノアッセイ用の検体希釈浮遊液に安定剤を添加することにより、検体浮遊液に含まれる被験物質の保存に、更なる効果が得られることが判り、安定剤を含んで酸性に保たれた検体希釈浮遊液を用いて検体を浮遊または希釈して検体中の被験物質を、イムノアッセイを用いて測定することが有用であるとの知見が得られた。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)安定剤を含有し、緩衝液により酸性に保たれているイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(2)前記検体希釈浮遊液のpHがpH4.8〜7.0の範囲である(1)記載のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(3)前記緩衝液が、クエン酸緩衝液、MES緩衝液、Bis−Tris緩衝液、ADA緩衝液から選ばれる少なくとも1である、(1)または(2)記載のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(4)前記安定剤が、グリセリン、ポリビニルピロリドン、モノクローナル抗体、プロテアーゼ阻害剤から選ばれる少なくとも1である、(1)〜(3)記載のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(5)前記検体が、糞便、嘔吐物、唾液、尿、血液から選ばれる少なくとも1である、(1)〜(4)記載のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(6)前記検体が、糞便である、(1)〜(4)記載のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(7)前記検体が、ノロウイルスを検出、測定するために調製される、(1)〜(6)記載のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液。
(8)(1)〜(7)記載の検体希釈浮遊液を用いることによる検体中のノロウイルスの安定化方法。
(9)(1)〜(7)記載の検体希釈浮遊液を含む容器。
(10)(9)記載の検体希釈浮遊液を含む容器を用いることによる検体中のノロウイルスの安定化方法。
本発明のイムノアッセイ用の検体希釈浮遊液の一例としては、10mM EDTA・2Na、0.1% BSA、0.1% ProClin300(SUPELCO製)、0.05% Triton X−100を含むクエン酸緩衝液(pH6.0)が挙げられる。
検体をこの検体希釈浮遊液に浮遊または希釈して長時間保存しても、検体中に含まれる被験物質は変化することなくその物性は保たれる。
図1は、本検体希釈浮遊液を含む容器の一例となる採便容器。 図2は、ノロウイルス陽性糞便検体を本検体希釈浮遊液で浮遊し、4℃と37℃で一日間静置した後の発光値の比率を残存活性としたグラフ。 図3は、ノロウイルスの抗原性を有するウイルス様中空粒子(NV−VLP)を本検体希釈浮遊液で浮遊し、4℃と37℃で一日間静置した後の発光値の比率を残存活性としたグラフ。 図4は、八種類のノロウイルス陽性糞便検体を本検体希釈浮遊液で浮遊し、4℃と37℃で一日間静置した後の発光値の比率を残存活性としたグラフ。
イムノアッセイを用いて検体中に含まれる被験物質を測定する際に、検体を検体希釈浮遊液に浮遊または希釈して、反応の場に供する。しかし、検体に含まれる物質により検体中の被験物質が変化を受け、正確な測定結果を得ることが出来なくなる。この事象を解消するための検体希釈浮遊液の成分を提供する。
本検体希釈浮遊液を含む容器の一態様としては、図1に示す採便容器が挙げられる。採便容器に含まれる採便棒により便検体を採取し、採便容器に含まれる本検体希釈浮遊液に浮遊することにより、便検体に含まれる被験物質は変化することなくその物性は保たれる。
また、本願発明の検体希釈浮遊液を含む容器に浮遊または希釈させた検体をイムノアッセイに適用する例を以下に示す。
第一の例としては、検体中に含まれる被験物質に特異的に結合する物質(被験物質を認識する抗体等)をラテックス粒子の表面に固定化したラテックス試薬を作製する。このラテックス試薬の一定量を反応セルに分注した後に容器に含まれる検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体の一定量を添加し、一定時間毎の濁度を測定する。
測定した濁度から、ラテックス試薬と検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体を混合することにより得られた濁度変化を求め、検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体の代わりに被験物質の濃度が判っている標準物質とラテックス試薬を混合することにより得られた濁度変化と比較して、検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体に含まれる被験物質の濃度を求める。
第二の例としては、検体中に含まれる被験物質に特異的に結合する物質を磁性粒子の表面に固定化した固相化磁性粒子を作製する。一定量の固相化磁性粒子に容器に含まれる検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体の一定量を添加し、定温で第一の免疫反応を行なう。一定時間後に磁力を利用して固相化磁性粒子を捕捉して反応液を取り除き、洗浄液を用いて残液を洗浄・吸入する。
次に、被験物質に特異的に結合する物質とルシフェラーゼの結合物を作製する。第一の免疫反応後に、洗浄した固相化磁性粒子に被験物質に特異的に結合する物質とルシフェラーゼの結合物の一定量を添加し、定温で第二の免疫反応を行なう。一定時間後に磁力を利用して固相化磁性粒子を捕捉して反応液を取り除き、洗浄液を用いて残液を洗浄・吸入する。
第二の免疫反応後に、洗浄した固相化磁性粒子に結合しているルシフェラーゼの量を酵素活性で測定する。検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体の代わりに被験物質の濃度が判っている標準物質と反応することにより得られた固相化磁性粒子に結合しているルシフェラーゼの量と比較して、検体希釈浮遊液に浮遊または希釈した検体に含まれる被験物質の濃度を求める。
なお、本願発明の検体希釈浮遊液のpHは酸性であれば効果が得られるが、好ましくはpH4.8〜7.0、より好ましくはpH5.6〜6.8において、検体中の被験物質の安定化に関してより大きな効果が得られる。
また、本願発明に適用可能な緩衝剤は、酸性領域に緩衝能を有する緩衝剤であれば特に限定はされないが、生化学用の緩衝剤であることが好ましい。具体的には、クエン酸緩衝液、MES緩衝液、Bis−Tris緩衝液、およびADA緩衝液をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
また、本願発明に適用可能な安定化剤は、グリセリン、ポリビニルピロリドン、モノクローナル抗体、およびプロテアーゼ阻害剤をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
[比較例1]検体希釈浮遊液に浮遊させた糞便中ノロウイルス抗原の酵素免疫測定法
抗ノロウイルス抗原モノクローナル抗体A(栄研化学製)を磁性粒子に固定化し、0.2%の抗体固相化磁性粒子を作製した。一方、抗ノロウイルス抗原モノクローナル抗体B(栄研化学製)を用いてルシフェラーゼ結合体を作製した。
1%となるように検体希釈浮遊液に便を浮遊した懸濁液を15,000rpmで5分間遠心した上清100μLと0.75% Triton X−100を含む50mM トリス緩衝液(pH8.3)の処理液100μLを混合して37℃で15分間の前処理を行なった。
前処理を行なったチューブに、5% BSA(オリエンタル酵母製)、0.5M NaCl、および0.1% ProClin300(SUPELCO製)を含む0.1M HEPES緩衝液(pH7.3)の免疫反応液100μLと0.2% 抗体固相化磁性粒子を40μLを加えて37℃で15分間の免疫反応を行なった。
反応後、抗体固相化磁性粒子を150mM NaClおよび0.1% Tween20を含む10mM トリス緩衝液(pH7.6)の洗浄液で3回洗浄した後に、ルシフェラーゼ結合体溶液を50μLを加えて37℃で15分間の免疫反応を行なった。
反応後、抗体固相化磁性粒子を洗浄液で3回洗浄した後に、100μLの50mM トリス緩衝液(pH8.5)に再懸濁した。抗体固相化磁性粒子を再懸濁したチューブに100μLのルシフェリンを加え、ルーマットLB9507(ベルトールド製)を用いてルシフェラーゼの発光を測定した。発光測定は、ルシフェリン添加0.5秒後から5秒間の発光を積算した。
[実施例1]クエン酸緩衝液を用いた検体希釈浮遊液の作製と安定性の評価
検体希釈浮遊液として、pH4.8、pH5.8、pH7.0、pH7.4、およびpH8.2の100mMのクエン酸緩衝液に10mM EDTA・2Na、0.1% BSA、0.1% ProClin300(SUPELCO製)、および0.05% Triton X−100を溶解した溶液を作製した。
これらの検体希釈浮遊液に、ノロウイルス陽性糞便検体(検体A)およびNV−VLPを懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。静置後に比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を各々図2および図3に示す。
NV−VLPを懸濁した検体浮遊液ではいずれのpHでも4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は同等で、安定性に影響は認められないが(図3)、ノロウイルス陽性糞便検体を懸濁した検体浮遊液ではアルカリ性条件(pH7.4およびpH8.2)に比べて酸性条件(pH4.8およびpH5.8)および中性(pH7.0)の方が4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率が高く、酸性条件でのノロウイルスの安定性が認められた(図2)。
[実施例2]酸性領域での検体希釈浮遊液の作製と安定性の評価
検体希釈浮遊液として、酸性領域であるpH5.6、pH5.8、pH6.0、pH6.2、pH6.4、pH6.6、およびpH6.8の100mMのクエン酸緩衝液に10mM EDTA・2Na、0.1% BSA(オリエンタル酵母製)、0.1% ProClin300(SUPELCO製)、および0.05% Triton X−100を溶解した溶液を作製した。
これらの検体希釈浮遊液に、八種類のノロウイルス陽性糞便検体を懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。静置後に比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を図4に示す。
八種類のノロウイルス陽性糞便検体において、いずれのpHでも4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は同等で、広い範囲の酸性領域でノロウイルスの安定性が認められた(図4)。
[実施例3]種々の緩衝液を用いた検体希釈浮遊液の作製と安定性の評価
実施例1に記載の検体希釈浮遊液の緩衝液を、100mM クエン酸緩衝液(pH6.0)、10mM MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid:同仁化学製)緩衝液(pH6.0)、10mM Bis(Bis(2−hydroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane:同仁化学製)−Tris緩衝液(pH6.0)、および10mM ADA(N−(2−Acetamido)iminodiacetic acid:同仁化学製)緩衝液(pH6.0)に変えて検体浮遊液を作製した。
これらの検体希釈浮遊液に、二種類のノロウイルス陽性糞便検体(陽性検体Aおよび陽性検体B)を懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。静置後に比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を表1に示す。
Figure 0006004744
二種類のノロウイルス陽性糞便検体において、いずれの緩衝液を用いた場合でも、4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は同等で、安定性に影響は認められなかった(表1)。このことより、緩衝液の種類に拘らず、検体希釈浮遊液を酸性にすることによりノロウイルス抗原の安定性が認められた。
[実施例4]血清を添加した検体希釈浮遊液の作製と安定性の評価
実施例3に記載の10mM MES緩衝液(pH6.0)を用いた検体希釈浮遊液に、ウシ胎児血清(FBS)二種類(ライフテクノロジージャパン製およびニチレイ製)、ウマ血清(ENS:ライフテクノロジージャパン製)、およびウシ血清(CS:ライフテクノロジージャパン製)二ロットを各々添加して、5%の血清含有検体希釈浮遊液を作製した。
これらの検体希釈浮遊液に、ノロウイルス陽性糞便検体(陽性検体C)を懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。静置後に比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を表2に示す。
Figure 0006004744
二種類のFBSを5%となるように添加した検体浮遊液では4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は同等で、ノロウイルス抗原の安定性が認められたが、ENSおよび二ロットのCSを5%となるように添加した検体浮遊液では4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は低く、ノロウイルス抗原の安定性はFBSに及ばなかった(表2)。
[実施例5]FBSの濃度を変えた検体希釈浮遊液の作製と安定性の評価
実施例3に記載の10mM MES緩衝液(pH6.0)を用いた検体希釈浮遊液に、1%、5%、および10%のFBS(ニチレイ製)を添加して、FBS含有検体希釈浮遊液を作製した。なお、対照はFBSを含まない検体希釈浮遊液とした。
これらの検体希釈浮遊液に、ノロウイルス陽性糞便検体(陽性検体D)を懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。静置後に比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を表3に示す。
Figure 0006004744
検体浮遊液にFBSを添加することにより、4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は濃度依存的に上昇し、ノロウイルス抗原の安定性の向上が認められ、FBSを5%以上添加することにより同等となった(表3)。
[実施例6]種々の添加剤を含有する検体希釈浮遊液の作製と安定性の評価
実施例5に記載の5% FBSを添加した10mM MES緩衝液(pH6.0)を用いた検体希釈浮遊液に、50% グリセリン(キシダ化学製)、10% ポリビニルピロリドンK30(PVP:和光純薬製)、1% Mucin from porcine stomach TypeIII(Mucin:シグマ アルドリッチ ジャパン製)、10μg/mL 抗ノロウイルス抗原マウスモノクローナル抗体C(モノクローナル抗体C:栄研化学製)、1tablet/10mL cOmplete ULTRA Tablets, Mini EASY pack(Roche Tablets:ロシュ・ダイアグノスティックス製)、および4mg/mL Trypsin inhibitor from Glycine max(soybean)(SIGMA TI:シグマ アルドリッチ ジャパン製)を各々添加して、検体希釈浮遊液を作製した。
これらの検体希釈浮遊液に、ノロウイルス陽性糞便検体(陽性検体E)を懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。これらの添加剤は高濃度で添加されており、免疫反応を阻害すると考えられ、静置後に添加剤不含の検体希釈浮遊液で100倍に希釈し、比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を表4に示す。
Figure 0006004744
検体浮遊液にグリセリン、PVP、Mucin、モノクローナル抗体C、Roche Tablets、またはSIGMA TIを添加したとき、いずれの場合も添加剤不含の検体浮遊液に比べて、4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は上昇し、ノロウイルス抗原の安定性の向上が認められた(表4)。
[実施例7]本発明の検体希釈浮遊液を用いたノロウイルス抗原の安定性
従来の検体希釈浮遊液である、10mM リン酸緩衝液(pH7.2)に10mM EDTA・2Na、0.1% BSA、0.1% ProClin300、および0.05% Triton X−100を溶解した溶液(検体希釈浮遊液A)ならびに本発明の一例である10mM MES緩衝液(pH6.0)に10mM EDTA・2Na、1.5% BSA、0.1% ProClin300、0.05% Triton X−100、5% FBS、0.01% Mucin、および0.1μg/mL 抗ノロウイルスモノクローナル抗体Cを溶解した溶液(検体希釈浮遊液B)を作成した。
これらの検体希釈浮遊液に、四種類のノロウイルス陽性糞便検体(陽性検体B、陽性検体D、陽性検体E、および陽性検体F)を懸濁し、4℃と37℃で1日間静置した。静置後に比較例1に記載の測定方法で測定し、4℃条件での発光値に対する37℃条件での発光値の比率を求め、検体浮遊液中のノロウイルス抗原の安定性の指標とした結果を表5に示す。
Figure 0006004744
本発明の一例である検体希釈浮遊液Bを検体希釈浮遊液Aと比べると、いずれの検体においても4℃条件に対する37℃条件での発光値の比率は高く、ノロウイルス抗原の安定性が認められた(表5)。
以上の結果より、検体希釈浮遊液を酸性にすることにより、検体浮遊液中の被験物質の安定性が向上し、検体採取後の時間経過に伴う測定結果の変動を抑えることができる。また、検体希釈浮遊液に安定剤を添加することにより、検体浮遊液中の被験物質の安定性がさらに向上する。
医療現場および食品衛生上、患者または被験者の検体中の被験物質を正確に測定することは重要である。そこで、本発明の検体希釈浮遊液を用いて検体を浮遊または希釈することにより、検体中の被験物質を安定に保つことが可能となり、患者の検体中の被験物質を正確に測定出来る。

Claims (4)

  1. グリセリン、ポリビニルピロリドン、モノクローナル抗体から選ばれる少なくとも1つの安定剤を含有し、クエン酸緩衝液、MES緩衝液、Bis−Tris緩衝液、ADA緩衝液から選ばれる少なくとも1つの緩衝液によりpH4.8〜7.0に保たれている、ノロウイルスを検出、測定するために調製されるイムノアッセイ用の糞便検体の検体希釈浮遊液。
  2. 請求項1記載の検体希釈浮遊液を用いることによる糞便検体中のノロウイルスの安定化方法。
  3. 請求項1記載の検体希釈浮遊液を含む容器。
  4. 請求項記載の検体希釈浮遊液を含む容器を用いることによる検体中のノロウイルスの安定化方法。
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