以下、本発明の光配線部品および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光配線部品>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光配線部品の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光配線部品の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す光配線部品について光導波路の端面側から見たときの図、図3は、図2のX−X線断面図である。
図1に示す光配線部品10は、基板5と、基板5の上面に設けられた光導波路1と、光導波路1の端部に設けられた光コネクター6と、を有している。
このうち、基板5は、光導波路1や光コネクター6を下方から支持する基板である。
この基板5上に光導波路1が設けられている。光導波路1は、平面視で帯状をなし、光信号を伝送し得る部材であり、図1〜3に示すように、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12が下方からこの順で積層されてなるものである。また、図2に示すコア層13には、並列に設けられた4本の長尺状のコア部14と、各コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。また、光導波路1は、その端面が基板5の端面と一致するように設けられている。
また、基板5の端部には、光導波路1の端部を覆うように光コネクター6が設けられている。光コネクター6は、平板状の主部61と、主部61の下面から突出するように設けられた2つの脚部62と、を有している。そして、2つの脚部62が光導波路1の端部を跨ぐように、基板5の上面に光コネクター6が固定されている。
このような光配線部品10は、他の光学部品との接続に供される。他の光学部品としては、例えば図1に示すような光ファイバー9が挙げられる。図1に示す光ファイバー9の端部には光コネクター91が装着されており、光コネクター6と光コネクター91とが嵌合することにより、光導波路1と光ファイバー9とが光学的に接続される。なお、図1は、光コネクター91と光コネクター6とが嵌合する前の状態を示している。
ここで、光導波路1と光コネクター6の主部61との間には、図1〜3に示すように空隙65が形成されている。この空隙65に接着剤が充填されている場合、余分な接着剤が発生することがある。このとき、この余分な接着剤が光導波路1の端面、すなわち図3に示す光導波路1の左端の面に自重等で垂れ下がり、端面を汚染してしまうことがある。このような汚染が生じると、光導波路1と他の光学部品との間で行われる光信号の送受信が阻害されることとなり、光結合効率が低下する。一方、この空隙65がなく、光導波路1の上面と光コネクター6の主部61とが接している場合、光コネクター6から光導波路1に対して外力が伝わり易くなり、特にコア部14に大きな応力が発生したときには、伝送特性を低下させるおそれがある。
これに対し、空隙65を設けたことにより、すなわち光導波路1の上面と光コネクター6の主部61とが離間していることにより、接着剤による光導波路1の端面の汚染が防止されるとともに、光コネクター6から光導波路1への外力の伝搬が抑えられる。このため、他の光学部品に対して高い光結合効率で接続可能であるとともに、大きな外力が加わったときでも伝送特性が低下し難い光配線部品10が得られる。
以下、光配線部品10の各部について詳述する。
(基板)
基板5は、前述したように、光導波路1や光コネクター6を下方から支持する支持基板である。
基板5を構成する材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、各種ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。この他、紙、ガラス布、樹脂フィルム等を基材とし、この基材に、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂材料を含浸させたもの、具体的には、ガラス布・エポキシ銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板に使用される絶縁性基板の他、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性の有機系リジッド基板や、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等のセラミックス系リジッド基板等であってもよい。
基板5の平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.3〜10.0mm程度とされ、より好ましくは0.5〜8.0mm程度とされ、さらに好ましくは0.6〜5.0mm程度とされ、特に好ましくは0.7〜3.0mm程度とされる。
また、基板5は、複数の絶縁層や導体層を積層してなる多層基板(ビルドアップ基板)であってもよい。さらに、基板5の表面に、あるいは多層基板の層間または絶縁層を貫通するように任意の電気回路が形成されていてもよい。これにより、基板5に高密度の電気回路を構築することができる。
なお、多層基板の絶縁層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素のようなケイ素化合物、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂のような樹脂材料等により構成される。また、成膜法としては、例えば真空蒸着、スパッタリングのような物理蒸着法、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法、塗布法、印刷法といった液相成膜法等が用いられる。
また、基板5の表面や多層基板の層間に形成される電気配線および絶縁層を貫通する貫通配線はそれぞれ導電性材料で構成されている。導電性材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、金、銀等の金属単体、またはこれらの金属元素を含む合金といった金属材料が挙げられる。
さらに、基板5上には必要に応じて光素子や電気素子が搭載されていてもよい。これらの素子の搭載方法は、特に限定されないが、例えば、ダイボンディング法、ワイヤーボンディング法、フリップチップボンディング法、異方性導電フィルム(ADF)や異方性導電ペースト(ACP)等を用いた接続方法等が挙げられる。
光素子としては、例えば、面発光レーザー(VCSEL)、発光ダイオード(LED)等の発光素子、フォトダイオード(PD、APD)等の受光素子が挙げられる。
一方、電気素子としては、例えば、ドライバーIC、トランスインピーダンスアンプ(TIA)、リミッティングアンプ(LA)、またはこれらの素子を複合したコンビネーションIC、LSI、さらに、RAM、ROM、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード等が挙げられる。
なお、光素子や電気素子としては、例えばBGA(Ball Grid Array)タイプやLGA(Land Grid Array)タイプ等の素子が用いられる。
また、光素子や電気素子と基板5との間には封止材(アンダーフィル)が充填されていてもよい。封止材としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
さらに、基板5には、電気コネクターが設けられていてもよい。この電気コネクターと前述した電気配線とを接続することにより、基板5内の電気回路を外部の電気回路に対して容易に接続することができる。
電気コネクターは、各種コネクター規格に準拠したものあるいは汎用品であってもよく、例えばボード・ツー・ボードコネクター、FPC/FFCコネクター、ZIFコネクター、NON−ZIFコネクター等が挙げられる。
また、基板5上には、必要に応じてソルダーレジスト等の絶縁層が成膜されていてもよい。
なお、基板5上には、光導波路1や光コネクター6の搭載位置の目印となるアライメントマークが設けられているのが好ましい。
(光導波路)
次に、光導波路1について説明する。
光導波路1は、平面視で帯状をなす長尺状の部材であり、一端から他端に光信号を伝送するものである。
図1〜3に示す光導波路1は、下側からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12の3層を有しており、このうちコア層13には、並列に設けられた4本の長尺状のコア部14と、各コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。これにより、コア部14はクラッド部(側面クラッド部15および各クラッド層11、12)で囲まれることとなり、コア部14に光を閉じ込めて伝搬することができる。
コア部14の屈折率は、クラッド部の屈折率より大きければよいが、その差は0.3%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。一方、上限値は特に設定されないが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率差が前記下限値未満の場合、光を伝搬する効果が低下するおそれがあり、一方、屈折率差が前記上限値を上回る場合、光の伝送効率のそれ以上の向上は期待できない。
なお、前記屈折率差とは、コア部14の屈折率をA、クラッド部の屈折率をBとしたとき、次式で表される。
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
また、コア部14の横断面における屈折率分布は、いかなる形状の分布であってもよい。この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。SI型の分布であれば屈折率分布の形成が容易であり、GI型の分布であれば屈折率の高い領域に信号光が集まる確率が高くなるため伝送効率が向上する。
また、コア部14は、平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、コア部14は途中で分岐または交差していてもよい。
なお、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
また、コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1の伝送効率の低下を抑えつつコア部14の高密度化を図ることができる。
一方、図2に示すように複数のコア部14が並列しているとき、コア部14同士の間に位置する側面クラッド部15の幅は、5〜250μm程度であるのが好ましく、10〜200μm程度であるのがより好ましく、10〜120μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部14同士の間で光信号が混在(クロストーク)するのを防止しつつコア部14の高密度化を図ることができる。
また、この場合、コア部14の幅WCOと側面クラッド部の幅WCLとの比(WCO/WCL)は0.1〜10の範囲内であるのが好ましく、0.1〜5の範囲内であるのがより好ましく、0.2〜4の範囲内であるのがさらに好ましい。このようにWCOとWCLの比を最適化することにより、伝送効率の低下を抑制するとともにコア部14のさらなる高密度化を図ることができる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。
また、これらの中でも特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。これらの樹脂材料は、光の透過性が高いことから、特に伝送損失の小さい光導波路1が得られる。特にクラッド層11、12の構成材料としてエポキシ系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合は、クラッド層11、12とコア層13との密着の観点から、コア層13の構成材料としてもエポキシ系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
一方、クラッド層11、12は、コア層13の下部および上部に位置する。
クラッド層11、12の平均厚さは、コア層13の平均厚さの0.05〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.1〜1.25倍程度であるのがより好ましい。具体的には、クラッド層11、12の平均厚さは、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、3〜100μm程度であるのがより好ましく、5〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1が必要以上に厚膜化するのを防止しつつ、クラッド部としての機能が確保される。
また、クラッド層11、12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。エポキシ系樹脂およびアクリル系樹脂を用いることにより、コア層13との密着性に富んだクラッド層11、12を得ることができる。
また、光導波路1の横断面の厚さ方向の屈折率分布についても、特に限定されず、例えばSI型、GI型の分布が挙げられる。
光導波路1の幅は、特に限定されないが、2〜100mm程度であるのが好ましく、5〜50mm程度であるのがより好ましい。
また、光導波路1中に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、1〜100本程度であるのが好ましい。なお、コア部14の数が多い場合は、必要に応じて、光導波路1を多層化してもよい。具体的には、図1〜3に示す光導波路1の上に、さらにコア層とクラッド層とを交互に重ねることにより多層化することができる。
また、必要に応じて、光導波路1の下面には支持フィルムが、上面にはカバーフィルムが、それぞれ必要に応じて設けられていてもよい。
支持フィルムおよびカバーフィルムの構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料が挙げられる。
また、支持フィルムおよびカバーフィルムの平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、支持フィルムおよびカバーフィルムは、適度な剛性を有するものとなるため、光導波路1を確実に支持するとともに、外力や外部環境から光導波路1を確実に保護することができる。
また、光導波路1は基板5の上面に接着されている。接着には接着剤、粘着剤、接着シート、粘着シート等、熱圧着を用いることができる。このうち、接着層としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤の他、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
また、接着層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜60μm程度であるのがより好ましい。
(光コネクター)
光コネクター6は、光導波路1の端部に設けられ、光導波路1を他の光学部品と光学的に接続し得るものである。この光コネクター6は、各種コネクター規格に準拠したものであってもよく、例えばPMTコネクター、JIS C 5981に規定されたMTコネクター、16MTコネクター、2次元配列型MTコネクター、MPOコネクター、MPXコネクター等に準じたものが挙げられる。
図1に示す光コネクター6は、前述したように、主部61と2つの脚部62とを有するものであり、2つの脚部62が光導波路1の端部を跨ぐように設けられている。また、光コネクター6は、主部61の側面(表面)が基板5の端面と一致するように設けられており、主部61には、その側面を凹没させてなる2つのガイド穴(凹部)611が設けられている。
一方、図1に示す光ファイバー9の端部に設けられた光コネクター91には、その端面から突出する2つのガイドピン(凸部)911が設けられている。この2つのガイド穴611と2つのガイドピン911とが嵌合することにより、光導波路1と光ファイバー9とが光学的に接続される。すなわち、ガイド穴611は、光導波路1を光ファイバー9と接続するための接続機構として用いられる。
ここで、前述したように、光導波路1と光コネクター6の主部61との間には、空隙65が生じている。この空隙65に接着剤が充填されていると、この接着剤が光導波路1の端面を汚染して光結合効率が低下することとなる。このような汚染が発生すると、それを除去するために光導波路1の端面を研磨する必要が生じ、光配線部品10の製造に多大な手間とコストを要する。これに対し、空隙65を設けたことにより、接着剤による光導波路1の端面の汚染が防止されるとともに、光コネクター6を装着したことによって光導波路1に応力が発生するのを防止することができる。その結果、光導波路1の光結合効率および伝送特性の低下が抑えられる。
なお、光コネクター6と光コネクター91とを接続すると、例えば光ファイバー9が特に強く曲げられたり引っ張られたりした場合、それによる外力が光コネクター6に加わることになる。光コネクター6と光導波路1との間に前述したような空隙65が形成されていると、その外力が光導波路1に波及し難くなり、歪みの発生に伴う光導波路1の伝送特性の低下が抑えられる。すなわち、光コネクター91のような他の光学部品と接続しても伝送効率が低下し難い光配線部品10が得られる。また、併せて、光導波路1の変形が抑えられ、光導波路1の光軸がずれることによる光結合効率の低下も抑えられる。
主部61と光導波路1との最小離間距離(図2に示す距離L1)は、特に限定されないが、5〜5000μm程度であるのが好ましく、10〜4000μm程度であるのがより好ましい。最小離間距離を前記範囲内に設定することにより、光コネクター6の大型化を防止しつつ、光導波路1の伝送特性の低下を十分に抑えることができる。
主部61の下面(光導波路1に臨む面)と光導波路1の上面(主部61に臨む面)とが互いに平行であるのが好ましい。これにより、ガイド穴611の軸線と光導波路1の光軸とを平行にし易いので、光コネクター6に接続される光コネクター91の設計が容易になる。
また、2つの脚部62は、それぞれ光導波路1の側方に設けられ、基板5の上面に接着されている。接着には接着剤、粘着剤、接着シート、粘着シート等、熱圧着を用いることができる。このうち、接着層としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤の他、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
また、接着層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜60μm程度であるのがより好ましい。
また、図1に示す光コネクター6は、2つの脚部62がそれぞれ光導波路1から離間するよう設けられている。これにより、光導波路1の上方から接着剤が垂れ下がることによる端面の汚染のみならず、光導波路1の側方から接着剤が自重で回り込むことによる端面の汚染も防止されることとなる。このため、光導波路1の端面の研磨を施すことなく光結合効率の高い光配線部品10が得られる。また、図1に示す光コネクター6は、主部61のみならず脚部62も光導波路1から離間しているため、光コネクター6からの外力が光導波路1に及ぶおそれがなくなる。その結果、光コネクター6を介した応力の影響に伴う光導波路1の伝送特性の低下を特に抑えることができる。
この場合、脚部62と光導波路1との最小離間距離(図2に示す距離L2)は、特に限定されないが、5〜5000μm程度であるのが好ましく、10〜4000μm程度であるのがより好ましい。最小離間距離を前記範囲内に設定することにより、光コネクター6の大型化を防止しつつ、光導波路1の伝送特性の低下を十分に抑えることができる。
なお、図4は、図2における光コネクター6と光導波路1との位置関係を説明するための図である。
光コネクター6の配置は、図4に示すように、2つのガイド穴611を繋ぐ線分6110の垂直二等分線6111が、並列する4本のコア部14のうち最外の2つを繋ぐ線分6112の中点を通過する位置に設定されるのが好ましい。このような位置に光コネクター6が配置されることにより、光コネクター6および光導波路1の構造が左右対称になるので、光配線部品10は一般的な構造の光コネクター91(例えば各種コネクター規格に準拠したもの)に対して接続可能なものとなる。また、このような配置に設定することで、例えば光配線部品10を目視したときの光コネクター6の位置ずれを認識し易い。すなわち、コア部14に対して光コネクター6を正確に位置合わせした光配線部品10が得られる。
また、図1に示す光配線部品10では、基板5の端面、光導波路1の端面および光コネクター6の主部61の側面(表面)が同一面上に位置している。これにより、基板5や光導波路1は光コネクター91と立体的に干渉し難くなるので、光配線部品10は光ファイバー9等の他の光学部品と接続し易いものとなる。
光コネクター6の構成材料としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、耐熱ナイロン系樹脂、PPS樹脂のような各種樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウム合金のような各種金属材料等が挙げられる。
なお、脚部62の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。この場合、例えば図1に示す光コネクター6の主部61を光導波路1の長手方向と直交する方向に延伸させ、その延伸部分に第3の脚部を設けるようにしてもよい。このようにすることで、1つの光コネクター6について複数の光導波路1を跨ぐ構造に変更することができる。その結果、1つの光コネクター6に対し、複数の光コネクター91を接続することができる。
図5は、本実施形態に係る光配線部品の他の構成例を示す斜視図である。
以下、図5に示す光配線部品10について説明するが、図1との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図5において図1と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5(a)に示す光配線部品10は、光導波路1が基板5の端面まで達しないでその手前で途切れており、その位置に光コネクター6が設けられている以外、図1に示す光配線部品10と同様である。そして、この光コネクター6に対して光コネクター91(光ファイバー9)が接続されている。
この場合、光コネクター91および光ファイバー9の一部は基板5上に設けられることになるので、光コネクター91および光ファイバー9の一部が基板5で支持されることとなる。このため、仮に光ファイバー9等に外力が加わった場合でも、それが光コネクター6側へと波及し難くなる。また、光コネクター91が基板5の内側に位置するため、他の部材との干渉が生じ難く、干渉に伴う不具合の発生も抑えられる。その結果、光配線部品10の信頼性をより高めることができる。
またこの場合、必要に応じて光コネクター91や光ファイバー9についても基板5の上面に接着するようにしてもよい。
一方、図5(b)に示す光配線部品10も、光導波路1が基板5の端面まで達していない点は図5(a)と同様であるが、光コネクター6に光コネクター91が接続されたとき、光コネクター91のうちの一部が基板5上に位置し、他部が基板5からはみ出るように構成されている点で相違している。
この場合も、光コネクター91の一部は基板5上に設けられることになるので、光コネクター91の一部が基板5で支持されることとなる。このため、図5(a)の場合と同様の効果が得られる。
また、光コネクター91の他部は基板5からはみ出るように設けられることになる。このため、作業者はこの部分を把持したまま光コネクター91を光コネクター6に接続する作業を容易に行うことができることとなるので、光配線部品10は、配線作業を効率よく行い得るとともに、光ファイバー9等からの外力による伝送特性の低下を抑え得るものとなる。
なお、図5(b)の場合、光コネクター91の全長のうち、10〜80%程度が基板5で支持されているのが好ましい。これにより、配線作業の容易化と伝送特性低下の抑制とを高度に両立させることができる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の光配線部品の第2実施形態を示す斜視図である。
以下、第2実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図6において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態は、光コネクター6の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
図6に示す光コネクター6は、2つのガイド穴611に代えて2つのガイドピン612を備えている。このような光コネクター6は、ガイド穴を備える光コネクター91に接続可能なものとなる。すなわち、ガイドピン612は、光導波路1を光ファイバー9と接続するための接続機構として用いられる。
ガイドピン612の構成材料としては、特に限定されないが、前述した光コネクター6を構成する樹脂材料の他、ステンレス鋼のようなFe系合金、Al系合金、Ni系合金等の金属材料等が挙げられる。
なお、ガイドピン612が光コネクター6に対して着脱可能になっていてもよい。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の光配線部品の第3実施形態について光導波路の端面側から見たときの図である。
以下、第3実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図7において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第3実施形態は、光コネクター6の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
図7に示す光コネクター6は、2つの脚部62がそれぞれ光導波路1の側面に接している。すなわち、光導波路1は2つの脚部62に摺接している。このため、光コネクター6の配置は、光導波路1の側面の位置に基づいて一意に決定されることとなる。したがって、光配線部品10の製造にあたって、光導波路1の各コア部14と光コネクター6との位置関係を正確に再現することができる。
なお、本実施形態では、光導波路1の側面が光コネクター6の脚部62に接しているものの、光導波路1の上面は主部61から離間しているため、接着剤による光導波路1の端面の汚染を防止することができ、かつ、光導波路1に外力が付与されにくく、光導波路1の伝送特性が低下し難い。
したがって、本実施形態によれば、光導波路1に対する光コネクター6の位置関係が正確に再現され、光導波路1と光ファイバー9(他の光学部品)とを高い結合効率で接続するとともに、接続に伴う光導波路1の伝送特性の低下を確実に抑えることができる。
≪第4実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第4実施形態について説明する。
図8は、本発明の光配線部品の第4実施形態について光導波路の端面側から見たときの図である。
以下、第4実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第4実施形態は、光コネクター6の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
図8に示す光コネクター6は、2つの脚部62の下部を互いに反対側に向かって拡張してなる拡張部63を有している。この拡張部63を設けることにより、光コネクター6は基板5との接触面積が大きくなるため、より安定的に固定されることとなる。
また、図8に示す拡張部63は、ネジ64により固定されている。これにより、光コネクター6を容易に固定することができる。この際、ネジ64の位置を正確にするため、拡張部63や基板5に対してあらかじめネジ穴を設けておくのが好ましい。
また、ネジ64に代えて、ピンや爪による嵌合といった係止構造や前述した接着剤等を用いるようにしてもよい。
さらには、基板5に穴を開け、この穴に光コネクター6の脚部62を嵌合させるようにしてもよい。この場合も、光コネクター6は基板5に対して固定されるとともに、その固定位置が基板5に対して一意に決められることとなる。また、接着剤やネジ等が不要であるため、光配線部品10の組み立て作業が容易になるという利点もある。
≪第5実施形態≫
次に、本発明の光配線部品の第5実施形態について説明する。
図9は、本発明の光配線部品の第5実施形態を示す斜視図である。なお、図9は、光コネクター91と光コネクター6とが嵌合する前の状態を示している。
以下、第5実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図9において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第5実施形態は、光コネクター6が有する接続機構の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
図9に示す光コネクター6は、図1に示すガイド穴611に代えて、主部61の上面に設けられた係止用穴(係止部)613を有している。この係止用穴613に対し、光コネクター6と接続される光コネクター91側に設けられた係止用爪912を係止させることにより、光コネクター6と光コネクター91とを接続状態で固定することができる。すなわち、係止用穴613は、光導波路1を光ファイバー9と接続するための接続機構として用いられる。
また、図9に示す光コネクター6には、主部61の上面に加え、両側面にもそれぞれ係止用穴613を有している。これらの係止用穴613に対しても、光コネクター91側に設けられた係止用爪912を係止させることにより、光コネクター6と光コネクター91とを接続し、より強固に固定することができる。
係止用穴613の形状は、特に限定されないが、横断面が略三角形または略台形であるのが好ましい。このような形状であると、特に強固な固定が可能になる。さらに略三角形の場合、係止用穴613に対して係止用爪912が入り易く、かつ、抜く方向に力を加えたときは抜け易いため、接続/解除の操作が容易であるという利点もある。
なお、係止用穴613と係止用爪912の位置関係は、光コネクター6と光コネクター91とで反対になっていてもよい。すなわち、光コネクター6側に係止用爪912が設けられていてもよい。また、上述した3つの係止用穴613のうち、少なくとも1つあれば接続機構として機能させることができる。
また、この他に、接続構造としては、ばねクリップのような締結機構等が挙げられる。
<光配線部品の製造方法>
次に、本発明の光配線部品を製造する方法について説明する。
まず、基板5上に光導波路1を固定する。この際、基板5にアライメントマークが付されている場合、それを基準にして光導波路1を載置するようにしてもよい。光導波路1の載置には、必要に応じてダイボンダー、フリップチップボンダーのような各種ボンダー、チップマウンターのような各種マウンター等を用いることができる。また、光導波路1に形成されているコア部14あるいは光導波路1に設けられたアライメントマークを利用して基板5に対する光導波路1の位置精度を高めることができる。
なお、基板5上に被膜を形成し、これを加工することで光導波路1を得るようにしてもよい。加工の例としては、透明な被膜の形成とフォトリソグラフィー技術やエッチング技術を用いた不要部分の除去とを繰り返す加工や、屈折率変調能を有する被膜を形成した後、局所的な露光を行うことにより、露光領域と非露光領域との間に屈折率差を形成する加工等が挙げられる。この他、ナノインプリント法、直接露光自己形成法等も知られている。
上述した加工のうち、屈折率変調の例としては、モノマーディフュージョン、フォトブリーチング、光異性化、光二量化等が挙げられる。このうち、モノマーディフュージョンでは、ポリマー中にこのポリマーと屈折率の異なる光重合性モノマーが分散してなる材料で構成された被膜に対して部分的に光を照射(露光)し、光重合性モノマーの重合を生起させるとともに、それに伴って光重合性モノマーを移動、偏在させることにより、被膜内に屈折率の偏りが生じる。すなわち、被膜の露光領域と非露光領域との間に屈折率差が生じる。
このような原理の屈折率変調においては、光を照射する領域を選択するのみで、いかなる形状のコア部14をも簡単に形成することができるので、光導波路1を極めて効率よく製造することができる。また、このような原理で形成される屈折率分布は、光重合性モノマーの濃度分布に対応して形成されるため、形成されたコア部14の横断面における屈折率分布は滑らかな屈折率変化を伴うものとなる。その結果、製造される光導波路1は、GI型の屈折率分布を有するものとなり、伝送特性が高いものとなる。
このようなモノマーディフュージョンを生じる材料としては、例えば、特開2010−090328号公報に記載された感光性樹脂組成物等が挙げられる。
一方、フォトブリーチング、光異性化および光二量化といった原理による屈折率変調の場合、照射する光の照射量(放射線の照射量)に応じて屈折率の変化量を調整することができる。フォトブリーチングでは、光の照射によって材料中の分子構造が切断され、離脱性基が主鎖から離脱する。これにより材料の屈折率を変化させ、コア部14を形成する。また、光異性化および光二量化では、光の照射によって材料の光異性化または光二量化を生じ、材料の屈折率が変化する。これによりコア部14を形成する。
フォトブリーチングを生じる材料としては、例えば、特開2009−145867号公報に記載されたコアフィルム材料等が挙げられる。
また、光異性化を生じる材料としては、例えば、特開2005−164650号公報に記載されたノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
また、光二量化を生じる材料としては、例えば、特開2011−105791号公報に記載された感光性樹脂組成物等が挙げられる。
次いで、2つの脚部62で光導波路1を跨ぐように光コネクター6を載置し、固定する。この際にも各種ボンダーや各種マウンターを使用することができる。また、光コネクター6にアライメントマークが付されている場合、それを利用して基板5や光導波路1に対する光コネクター6の位置精度を高めることができる。その結果、光導波路1のコア部14と光コネクター6との位置関係が設計通りに再現され、光導波路1の各コア部14と光ファイバー9の各コア部とが高い光結合効率で接続されることとなる。
なお、各種ボンダーや各種マウンター等において光コネクター6のアライメントマークを認識させる際には、通常、アライメントマークを撮像し、画像処理によってアライメントマークの位置と形状を認識させる。そして、この情報をもとに、装置内部の座標系と光導波路1の座標系とを対応させることとなる。このような画像認識システムにおいては、ワークの上方からの視野を得るカメラと下方からの視野を得るカメラの双方を備えるものがある。2つのカメラを設けることにより、画像認識の精度を高めることができる。そこで、光コネクター6の主部61の上下面双方にアライメントマークを設けるのが好ましい。上下面の互いに対応する位置にそれぞれアライメントマークを付すことにより、例えば主部61の上面に付されたアライメントマークと主部61の死角に位置する光導波路1の位置関係を厳密に対応させることができる。その結果、両者の配置精度を特に高めることができ、光導波路1と光ファイバー9との光結合効率を特に高めることができる。
<電子機器>
上述したような本発明の光配線部品は、前述したように、他の光学部品と接続しても高い光結合効率を確保し得るとともに光導波路における伝送効率の低下が抑えられる。したがって、本発明の光配線部品を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
本発明の光配線部品を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光配線部品を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、本発明の光配線部品および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の実施形態は、上述した各実施形態のうち2つ以上のものが組み合わされたものであってもよい。