JP6001977B2 - 多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法 - Google Patents

多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6001977B2
JP6001977B2 JP2012211476A JP2012211476A JP6001977B2 JP 6001977 B2 JP6001977 B2 JP 6001977B2 JP 2012211476 A JP2012211476 A JP 2012211476A JP 2012211476 A JP2012211476 A JP 2012211476A JP 6001977 B2 JP6001977 B2 JP 6001977B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
porous
ppm
weight
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012211476A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014065940A (ja
Inventor
雅彦 片野
雅彦 片野
祐也 吉田
祐也 吉田
喜弘 田口
喜弘 田口
敏文 平
敏文 平
将志 目秦
将志 目秦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA, Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Priority to JP2012211476A priority Critical patent/JP6001977B2/ja
Priority to CN201310450303.9A priority patent/CN103658660B/zh
Publication of JP2014065940A publication Critical patent/JP2014065940A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6001977B2 publication Critical patent/JP6001977B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、アルミニウム箔の少なくとも一方面にアルミニウム多孔質層を備えた多孔性アルミニウム体、該多孔性アルミニウム体を用いたアルミニウム電解コンデンサ、および当該多孔性アルミニウム体の製造方法に関するものである。
アルミニウム箔に関しては、アルミニウム電解コンデンサの電極用や、汚染された大気を浄化する触媒の担体用等の用途が提案されている。かかるアルミニウム箔は、例えば、塩酸等のエッチング液中でのエッチングにより表面積を拡大した後、陽極酸化により表面に酸化皮膜が形成される。
一方、アルミニウム粉体を焼結させてアルミニウム箔にアルミニウム多孔質層を積層した多孔性アルミニウム体が提案されており、かかる多孔性アルミニウム体によれば、塩酸等を用いたエッチング処理を行う必要がないという利点がある(特許文献1参照)。
また、多孔性アルミニウム体を形成する際、アルミニウム粉体として、珪素含有量が100〜3000重量ppmのアルミニウム粉体を用いることにより、多孔性アルミニウム体の折り曲げ強度を向上する技術が提案されている(特許文献2参照)。
特開平2−267916号公報 特開2011−52291号公報
しかしながら、多孔性アルミニウム体を備えたアルミニウム電解コンデンサを製造する際には、多孔性アルミニウムを巻回する等の工程があり、多孔性アルミニウム体に対して所定以上の折り曲げ強度が必要とされるが、上記特許文献2に記載された構成だけでは、十分な折り曲げ強度を得ることができないという問題点がある。また、上記特許文献1、2に記載された構成だけでは、多孔性アルミニウム体の漏れ電流値が大きい場合があった。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、十分な折り曲げ強度を有し、かつ低い漏れ電流値を呈する良質な陽極酸化皮膜を形成することのできる多孔性アルミニウム体、該多孔性アルミニウム体を用いたアルミニウム電解コンデンサ、および当該多孔性アルミニウム体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、アルミニウム箔と、該アルミニウム箔の少なくとも一方面側に積層されたアルミニウム多孔質層と、を有する多孔性アルミニウム体において、前記アルミニウム箔は、厚さが10〜50μmで、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmであり、前記アルミニウム多孔質層は、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体同士が結合した層であり、前記アルミニウム箔および前記アルミニウム粉体は、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、バナジウム、ガリウム、ニッケル、ホウ素、およびジルコニウムの1種又は2種以上を含む場合には、これらの元素の含有量が各々100重量ppm以下であって、残部が不可避金属およびアルミニウムであり、前記アルミニウム多孔質層は、鉄含有量および珪素含有量の双方が前記アルミニウム箔より少ないことを特徴とする。
また、本発明の多孔性アルミニウム体の製造方法は、厚さが10〜50μmで、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmのアルミニウム箔の少なくとも一方面に、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体を含む組成物からなる皮膜を形成する第1工程と、前記皮膜を560℃以上660℃以下の温度で焼結する第2工程と、を含み、前記アルミニウム箔および前記アルミニウム粉体は、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、バナジウム、ガリウム、ニッケル、ホウ素、およびジルコニウムの1種又は2種以上を含む場合には、これらの元素の含有量が各々100重量ppm以下であって、残部が不可避金属およびアルミニウムであり、前記アルミニウム粉体は、鉄含有量および珪素含有量の双方が前記アルミニウム箔より少ないことを特徴とする。
本発明においては、特定の組成のアルミニウム箔およびアルミニウム粉体を用いることにより、低い漏れ電流値を呈すると共に、アルミニウム箔とアルミニウム粉体との間の焼結性を向上し、折り曲げ強度を高めてある。より具体的には、アルミニウム箔の珪素含有量は500〜5000重量ppmであり、アルミニウム多孔質層に用いたアルミニウム粉体の珪素含有量は50〜3000重量ppmである。珪素含有量が上記の範囲のアルミニウム箔およびアルミニウム粉体を焼結した際、アルミニウム箔とアルミニウム多孔質層(アルミニウム粉体)との高い接合強度(焼結強度)が得られ、これにより多孔性アルミニウム体は高い折り曲げ強度を備える。また、アルミニウム箔の鉄含有量、およびアルミニウム多孔質層に用いたアルミニウム粉体の鉄含有量が1000重量ppm未満であることにより、アルミニウム多孔質層に陽極酸化を行った際、低い漏れ電流値を呈する良質な陽極酸化皮膜を形成することができる。また、アルミニウム箔は、厚さが10〜50μmであるため、適切な強度を得ることができる。より具体的には、アルミニウム箔の厚さが50μmを超えても、表面積や強度が向上することがなく、無駄に厚さが増大する一方、アルミニウム箔の厚さが10μm未満では、多孔性アルミニウム体の強度が低い。
本発明において、前記アルミニウム粉体の平均粒径が1〜10μmであることが好ましい。かかる構成によれば、多孔性アルミニウム体の表面積を効果的に拡大することができる。より具体的には、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満では、アルミニウム粉体間の間隙が狭すぎて電極等として機能しない無効部分が増大する一方、アルミニウム粉体の平均粒径が10μmを超えると、アルミニウム粉体間の間隙が広すぎて表面積の拡大が不十分である。
本発明において、前記アルミニウム箔の両面に前記アルミニウム多孔質層を有する構成を採用することができる。
本発明において、前記アルミニウム多孔質層には陽極酸化皮膜が形成されている構成を採用することができる。かかる多孔性アルミニウム体は、アルミニウム電解コンデンサの陽極等として用いられる。この場合、前記第1工程および前記第2工程の後、前記多孔性アルミニウム体に陽極酸化を行う第3工程を行う。
本発明の多孔性アルミニウム体は、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmのアルミニウム箔と、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム多孔質層を備えることにより、高い折り曲げ強度が得られると共に、低い漏れ電流値を呈する良質な陽極酸化を形成することができる。また、アルミニウム箔は、厚さが10〜50μmであることにより、適切な強度を得ることができる。
本発明を適用した多孔性アルミニウム体の断面構造を示す説明図である。 本発明を適用した多孔性アルミニウム体の表面構造を示す説明図である。
(多孔性アルミニウム体の構成)
図1は、本発明を適用した多孔性アルミニウム体の断面構造を示す説明図であり、多孔性アルミニウム体の断面を電子顕微鏡により600倍に拡大して撮影した写真である。図2は、本発明を適用した多孔性アルミニウム体の表面構造を示す説明図であり、多孔性アルミニウム体の表面を電子顕微鏡により撮影した写真である。なお、図2には、多孔性アルミニウム体の表面を1000倍で拡大した写真と、3000倍で拡大した写真とを示してある。
図1および図2に示す多孔性アルミニウム体10は、アルミニウム箔20と、アルミニウム箔20の少なくとも一方面側に積層されたアルミニウム多孔質層30とを有しており、本形態において、多孔性アルミニウム体10は、アルミニウム箔20の両面にアルミニウム多孔質層30を有している。
本形態において、アルミニウム箔20は、厚さが10〜50μmである。図1には、厚さが約30μmのアルミニウム箔20を用いた多孔性アルミニウム体10が示されている。また、図1には、厚さが約50μmのアルミニウム多孔質層30が形成された多孔性アルミニウム体10が示されている。
ここで、アルミニウム箔20は、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmである。アルミニウム箔20の珪素含有量が500重量ppm未満であると、折り曲げ強度が低下し、5000重量ppmを超えると漏れ電流値が高くなるためである。より好適には、アルミニウム箔20の珪素含有量が500〜3000重量ppmであると、高い静電容量が得られるため好ましい。また、アルミニウム多孔質層30は、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体を焼結してなる層であり、アルミニウム粉体は、互いに空隙を維持しながら焼結されている。アルミニウム多孔質層30の珪素含有量が50重量ppm未満であると、折り曲げ強度が低下し、3000重量ppmを超えると漏れ電流値が高くなるためである。より好適には、アルミニウム多孔質層30の珪素含有量が50〜1000重量ppmであると高い静電容量が得られるため好ましい。本形態において、アルミニウム粉体の形状は、特に限定されず、略球状、不定形状、鱗片状、繊維状等のいずれも好適に使用できる。特に、アルミニウム粉体間の空隙を維持するために、略球状粒子からなる粉体が好ましい。本形態におけるアルミニウム粉体の平均粒径は1〜10μmであることが好ましい。かかる多孔性アルミニウム体10は、従来のエッチング箔と同等、またはそれ以上の静電容量を得ることができる。特に、本形態の多孔性アルミニウム体10は、中高圧用のコンデンサ用途の太いエッチングピットを有するエッチング箔の代用となる。
本形態において、多孔性アルミニウム体10をアルミニウム電解コンデンサの陽極として用いる場合、アルミニウム多孔質層30には陽極酸化皮膜が形成される。その際、アルミニウム箔20において、アルミニウム多孔質層30から露出している部分がある場合、アルミニウム箔20にも陽極酸化皮膜が形成される。
(製造方法)
本発明を適用した多孔性アルミニウム体10の製造方法は、まず、第1工程で、厚さが10〜50μmで、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmのアルミニウム箔20の少なくとも一方面に、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体を含む組成物からなる皮膜を形成する。アルミニウム粉体の平均粒径は1〜10μmであることが好ましい。ここで、アルミニウム箔20およびアルミニウム粉体は、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)等の元素の1種又は2種以上を含んでいてもよい。但し、その場合、これらの元素の含有量は、それぞれ100重量ppm以下、特に50重量ppm以下であることが好ましい。
アルミニウム粉体は、アトマイズ法、メルトスピニング法、回転円盤法、回転電極法、その他の急冷凝固法等により製造されたものである。これらの方法のうち、工業的生産にはアトマイズ法、特にガスアトマイズ法が好ましく、アトマイズ法では、溶湯をアトマイズすることにより粉体を得る。
前記組成物は、必要に応じて樹脂バインダ、溶剤、焼結助剤、界面活性剤等が含まれていても良い。これらはいずれも公知または市販のものを使用することができる。本形態では、樹脂バインダおよび溶剤の少なくとも1種を含有させてペースト状組成物として用いることが好ましい。これにより効率よく皮膜を形成することができる。樹脂バインダとしては、例えばカルボキシ変性ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、ビニルアルコール樹脂、ブチラール樹脂、フッ化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、ニトロセルロース樹脂、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成樹脂またはワックス、タール、にかわ、ウルシ、松脂、ミツロウ等の天然樹脂、またはワックスが好適に使用できる。これらのバインダは、それぞれ分子量、樹脂の種類等により、加熱時に揮発するものと、熱分解によりその残渣がアルミニウム粉末とともに残存するものとがあり、静電特性等の要求に応じて使い分けすることができる。
前記組成物を調製する際、溶媒を添加してもよいが、かかる溶媒としては、水、エタノール、トルエン、ケトン類、エステル類等を単独あるいは混合して用いることができる。
また、前記皮膜の形成は、組成物の性状等に応じて公知の方法から適宜採択することができる。例えば、組成物が粉末(固体)である場合は、その圧粉体を基材上に形成(または熱圧着)すれば良い。この場合は、圧粉体を焼結することにより固化するとともに、アルミニウム箔20上にアルミニウム粉末を固着させることができる。また、液状(ペースト状)である場合は、ローラー、刷毛、スプレー、ディッピング等の塗布方法により形成できるほか、公知の印刷方法により形成することもできる。なお、皮膜は、必要に応じて、20℃以上300℃以下の範囲内の温度で乾燥させても良い。
皮膜の厚みは、特に限定されないが、一般的には20μm以上1000μm以下、特に20μm以上200μm以下とすることが好ましい。厚みが20μm未満の場合は、所望の静電容量が得られないおそれがある。また、1000μmより大きい場合は、箔との密着性不良の発生や後工程内におけるひび割れ発生のおそれがある。
なお、アルミニウム箔20については、皮膜の形成に先立って、アルミニウム箔20の表面を粗面化する工程を行ってもよい。かかる粗面化方法としては、例えば、洗浄、エッチング、ブラスト等の公知の技術を用いることができる。
次に、第2工程においては、皮膜を560℃以上660℃以下の温度で焼結する。焼結時間は、焼結温度等により異なるが、通常は5〜24時間程度の範囲内で適宜決定することができる。焼結雰囲気は、特に制限されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気(大気)、還元性雰囲気等のいずれであっても良いが、特に、真空雰囲気または還元性雰囲気とすることが好ましい。また、圧力条件についても、常圧、減圧または加圧のいずれでも良い。なお、組成物中(皮膜中)に樹脂バインダ等の有機成分が含有している場合は、第1工程後、第2工程に先立って予め100℃以上から600℃以下の温度範囲で保持時間が5時間以上の加熱処理(脱脂処理)を行なうことが好ましい。その際の加熱処理雰囲気は特に限定されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中のいずれでも良い。また、圧力条件も、常圧、減圧または加圧のいずれでも良い。
また、多孔性アルミニウム体10をアルミニウム電解コンデンサの陽極として用いる場合、第1工程および第2工程の後に、第3工程において、アルミニウム多孔質層30に陽極酸化皮膜を形成する。その際、アルミニウム箔20において、アルミニウム多孔質層30から露出している部分にも陽極酸化皮膜が形成される。
かかる陽極酸化済みの多孔性アルミニウム体10を用いてアルミニウム電解コンデンサを製造するには、まず、陽極酸化済みの多孔性アルミニウム体10からなる陽極箔と、陰極箔とをセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成する。次に、コンデンサ素子を電解液に含浸する。しかる後には、電解液を含んだコンデンサ素子を外装ケースに収納し、封口体でケースを封口する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態においては、アルミニウム箔20の珪素含有量が500〜5000重量ppmであり、アルミニウム多孔質層30に用いたアルミニウム粉体の珪素含有量が50〜3000重量ppmである。このため、焼結した際、アルミニウム箔20とアルミニウム多孔質層30(アルミニウム粉体)との高い接合強度(焼結強度)が得られ、多孔性アルミニウム体10は高い折り曲げ強度が備わる。それ故、多孔性アルミニウム体10を製造する際、多孔性アルミニウム体10に対して陽極酸化を行う際、および陽極酸化済みの多孔性アルミニウム体10を用いてアルミニウム電解コンデンサを製作する際、多孔性アルミニウム体10が折れる等の不具合の発生を抑制することができる。
また、アルミニウム箔20の鉄含有量、およびアルミニウム多孔質層30に用いたアルミニウム粉体の鉄含有量が1000重量ppm未満であるため、アルミニウム多孔質層30に陽極酸化を行った際、良質な陽極酸化皮膜を形成することができる。すなわち、鉄含有量が1000重量ppm以上であると、陽極酸化皮膜中に残存する粗大なAl-Fe系金属間化合物が起点となって漏れ電流値が大となるが、鉄含有量が1000重量ppm未満であれば、かかる漏れ電流値の増大が発生しない。
また、アルミニウム箔20は、厚さが10〜50μmであるため、適切な強度を得ることができる。より具体的には、アルミニウム箔20の厚さが50μmを超えても、表面積や強度が向上することがないため、アルミニウム箔20としては無駄に厚くなってしまう。また、アルミニウム箔20の厚さが10μm未満では、多孔性アルミニウム体10の強度が低い。
また、アルミニウム粉体の平均粒径が1〜10μmであるため、表面積を効果的に拡大することができる。より具体的には、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満では、アルミニウム粉体間の間隙が狭すぎて電極等として機能しない無効部分が増大する一方、アルミニウム粉体の平均粒径が10μmを超えると、アルミニウム粉体間の間隙が広すぎて表面積の拡大が不十分である。すなわち、陽極酸化により、皮膜耐電圧が200V以上の陽極酸化皮膜を形成すると、空隙が埋没し静電容量が低下する。一方、平均粒径が10μmを超えると空隙部が大きくなりすぎ、表面積が低下して所望の静電容量が得られない。なお、アルミニウム粉体の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。
(実施例)
次に、本発明の実施例を説明する。まず、厚さ30μm、幅500mmのアルミニウム箔の両面に、平均粒径等が異なるアルミニウム粉体を、空隙を保持しながら厚さ40μmずつ焼結したアルミニウム多孔質層を形成し、多孔性アルミニウム体を作製した。より具体的には、アルミニウム粉体60重量部をセルロース系バインダ40重量部(溶剤:トルエン、7重量%が樹脂分)と混合し、固形分60重量%の組成物を得た後、かかる組成物をアルミニウム箔(JIS 1N30−H18)の両面にコンマコーターを用いて塗工し、皮膜を形成した(第1工程)。次に、皮膜を乾燥させた後、アルミニウム箔をアルゴンガス雰囲気中にて温度635℃で7時間焼結することにより、多孔性アルミニウム体を作製した(第2工程)。焼結後の多孔性アルミニウム体の厚みは約130μm(アルミニウム箔:30μm+アルミニウム多孔質層30:各面50μm)であった。
次に、多孔性アルミニウム体に対してホウ酸系化成液中で陽極酸化処理を行った(第3工程)。
なお、陽極酸化前の多孔性アルミニウム体から特性測定用のサンプルを適量打ち抜き、折り曲げ強度を測定した。折り曲げ強度は、日本電子機械工業会規定のMIT型自動折り曲げ試験法(EIAJ RC-2364A)に従って行った。MIT型自動折り曲げ試験装置はJIS P8115で規定された装置を使用し、折り曲げ回数は、各電極材が破断する折り曲げ回数とし、90°曲げて1回、元に戻して2回、反対方向に90°曲げて3回、元に戻して4回と数えた。そして、折り曲げ強度の測定結果が所定回数未満のものは折り曲げ強度「不可」とし、陽極酸化の対象から除外し、折り曲げ強度の測定結果が所定回数以上のものについては折り曲げ強度「良」とし、陽極酸化の対象とした。また、陽極酸化後の多孔性アルミニウム体については、JEITA規格に準じて、静電容量および皮膜耐電圧の測定を行った。なお、サンプルの皮膜耐電圧はいずれも410V前後である。また、化成液と同条件のホウ酸系溶液中で皮膜耐電圧の0.9倍の電圧を印加し、10分後の電流値を測定して漏れ電流値とした。その結果を表1に示す。なお、表1において、「Al粉体」はアルミニウム粉体を意味し、「粒径」は平均粒径を意味する。「Fe量」は鉄含有量(重量ppm)を意味し、「Si量」は珪素含有量(重量ppm)を意味する。
表1から分かるように、アルミニウム箔の珪素含有量が500重量ppm未満の比較例1、およびアルミニウム粉体の珪素含有量が50重量ppm未満の比較例5は、折り曲げ強度が低い。また、アルミニウム箔の珪素含有量が5000重量ppmを超える比較例2、アルミニウム粉体の鉄含有量が1000重量ppmを超える比較例3、およびアルミニウム箔の鉄含有量が1000重量ppmを超える比較例4は、漏れ電流値が著しく高い。
これに対して、鉄含有量が1000重量ppm未満で、珪素含有量が500〜5000重量ppmのアルミニウム箔、および鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体を用いた実施例1〜7はいずれも、折り曲げ強度が大で、かつ、漏れ電流値が低い。
なお、実施例1〜7のうち、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満の実施例5、およびアルミニウム粉体の平均粒径が10μmを超える実施例6は、実施例1〜4に比して静電容量が低いことから、アルミニウム粉体の平均粒径は1〜10μmであることが好ましい。
また、実施例1〜7のうち、アルミニウム粉体の珪素含有量が1500重量ppmで、アルミニウム箔の珪素含有量が3500重量ppmの実施例7も、実施例1〜4に比して静電容量が低いことから、アルミニウム粉体の珪素含有量は50〜1000重量ppmが好ましく、アルミニウム箔の珪素含有量は500〜3000重量ppmが好ましい。
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、多孔性アルミニウム体をアルミニウム電解コンデンサの陽極として用いることを中心に説明したが、多孔性アルミニウム体、あるいは陽極酸化皮膜を形成した多孔性アルミニウム体については、触媒担体として使用することができる。例えば、脱臭または揮発性有機化合物や自動車排気ガス等の分解処理に適用する場合、多孔性アルミニウム体は、担持触媒として、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、コバルト、鉄、銅、亜鉛、金、銀、レニウム、マンガン、錫、これらの合金または混合物を担持することになる。
10・・多孔性アルミニウム体
20・・アルミニウム箔
30・・アルミニウム多孔質層

Claims (6)

  1. アルミニウム箔と、該アルミニウム箔の少なくとも一方面側に積層されたアルミニウム多孔質層と、を有する多孔性アルミニウム体において、
    前記アルミニウム箔は、厚さが10〜50μmで、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmであり、
    前記アルミニウム多孔質層は、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体同士が結合した層であり、
    前記アルミニウム箔および前記アルミニウム粉体は、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、バナジウム、ガリウム、ニッケル、ホウ素、およびジルコニウムの1種又は2種以上を含む場合には、これらの元素の含有量が各々100重量ppm以下であって、残部が不可避金属およびアルミニウムであり、
    前記アルミニウム多孔質層は、鉄含有量および珪素含有量の双方が前記アルミニウム箔より少ないことを特徴とする多孔性アルミニウム体。
  2. 前記アルミニウム箔の両面に前記アルミニウム多孔質層を有することを特徴とする請求項1に記載の多孔性アルミニウム体。
  3. 前記アルミニウム多孔質層には陽極酸化皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔性アルミニウム体。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の多孔性アルミニウム体を陽極として有することを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。
  5. 厚さが10〜50μmで、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が500〜5000重量ppmのアルミニウム箔の少なくとも一方面に、鉄含有量が1000重量ppm未満、かつ、珪素含有量が50〜3000重量ppmのアルミニウム粉体を含む組成物からなる皮膜を形成する第1工程と、
    前記皮膜を560℃以上660℃以下の温度で焼結する第2工程と、
    を含み、
    前記アルミニウム箔および前記アルミニウム粉体は、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、チタン、バナジウム、ガリウム、ニッケル、ホウ素、およびジルコニウムの1種又は2種以上を含む場合には、これらの元素の含有量が各々100重量ppm以下であって、残部が不可避金属およびアルミニウムであり、
    前記アルミニウム粉体は、鉄含有量および珪素含有量の双方が前記アルミニウム箔より少ないことを特徴とする多孔性アルミニウム体の製造方法。
  6. 前記第1工程および前記第2工程の後、前記多孔性アルミニウム体に陽極酸化を行う第3工程を有していることを特徴とする請求項5に記載の多孔性アルミニウム体の製造方法。
JP2012211476A 2012-09-25 2012-09-25 多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法 Active JP6001977B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012211476A JP6001977B2 (ja) 2012-09-25 2012-09-25 多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法
CN201310450303.9A CN103658660B (zh) 2012-09-25 2013-09-25 多孔性铝体、铝电解电容器和多孔性铝体的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012211476A JP6001977B2 (ja) 2012-09-25 2012-09-25 多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014065940A JP2014065940A (ja) 2014-04-17
JP6001977B2 true JP6001977B2 (ja) 2016-10-05

Family

ID=50298121

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012211476A Active JP6001977B2 (ja) 2012-09-25 2012-09-25 多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6001977B2 (ja)
CN (1) CN103658660B (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6459726B2 (ja) * 2015-03-31 2019-01-30 三菱マテリアル株式会社 多孔質アルミニウム焼結体、多孔質アルミニウム複合部材、多孔質アルミニウム焼結体の製造方法、多孔質アルミニウム複合部材の製造方法
DE102016011098A1 (de) * 2016-09-15 2018-03-15 H.C. Starck Tantalum and Niobium GmbH Verfahren zur Herstellung von elektronischen Bauteilen mittels 3D-Druck
JP6762888B2 (ja) * 2017-02-10 2020-09-30 日本軽金属株式会社 電極ホルダおよびアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法
CN107030286A (zh) * 2017-05-05 2017-08-11 湖南艾华集团股份有限公司 一种多孔铝阳极材料的制作方法
CN107863487B (zh) * 2017-08-23 2020-07-17 中航锂电(洛阳)有限公司 一种锂硫电池正极及其制备方法,锂硫电池电芯及锂硫电池
CN108281290A (zh) * 2017-12-19 2018-07-13 湖南艾华集团股份有限公司 使用粉末烧结铝箔的叠片式电容器及其制备方法
CN112840422B (zh) * 2018-10-12 2023-03-31 东洋铝株式会社 铝电解电容器用电极材料的制造方法
KR102625388B1 (ko) 2019-03-01 2024-01-17 이너 몽골리아 우란차부 동양광 폼드 포일 컴퍼니 리미티드 전극 구조체 및 이의 제조 방법
JP7338683B2 (ja) * 2019-05-24 2023-09-05 日本軽金属株式会社 アルミニウム化成箔の製造方法
CN110648849B (zh) * 2019-09-26 2021-12-14 宇启材料科技南通有限公司 一种阀金属多孔体涂层电极箔及制作方法和电解电容器
JP7235889B2 (ja) * 2019-10-21 2023-03-08 日本軽金属株式会社 アルミニウム部材、イムノクロマトグラフィー用テストストリップ及びアルミニウム部材の製造方法
CN111364016B (zh) * 2020-04-10 2021-05-28 西安交通大学 一种ald辅助氮掺杂微纳铝粉制备多孔阳极铝箔的方法
CN111804920A (zh) * 2020-07-01 2020-10-23 益阳艾华富贤电子有限公司 一种基于激光烧结的铝电解电容器的正极箔的制备方法
CN112053849B (zh) * 2020-07-23 2021-06-15 新疆众和股份有限公司 一种电极箔的制备方法
JP2022143009A (ja) * 2021-03-17 2022-10-03 東洋アルミニウム株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0394039A (ja) * 1989-09-07 1991-04-18 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔
JPH09125214A (ja) * 1995-10-30 1997-05-13 Furukawa Electric Co Ltd:The 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金箔地の製造方法
JP4753327B2 (ja) * 2000-10-17 2011-08-24 住友軽金属工業株式会社 電解コンデンサ陰極用アルミニウム合金硬質箔
JP4958510B2 (ja) * 2006-10-10 2012-06-20 東洋アルミニウム株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
JP5614960B2 (ja) * 2009-09-03 2014-10-29 東洋アルミニウム株式会社 折り曲げ強度が向上した多孔質アルミニウム材料及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014065940A (ja) 2014-04-17
CN103658660B (zh) 2017-08-15
CN103658660A (zh) 2014-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6001977B2 (ja) 多孔性アルミニウム体、アルミニウム電解コンデンサ、および多孔性アルミニウム体の製造方法
JP5614960B2 (ja) 折り曲げ強度が向上した多孔質アルミニウム材料及びその製造方法
JP4958510B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
WO2009130765A1 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
JP5769528B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
JP5511630B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
TWI544509B (zh) Electrode for electrolytic capacitor for electrolysis and method for manufacturing the same
JP5757867B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
TW201539502A (zh) 鋁電解電容器用電極箔及其製造方法
JP6461794B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
JP2014057000A (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法
JP6073255B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法
JP5618714B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
JP2018206910A (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
JPWO2016136804A1 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
WO2019073616A1 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法
EP4310873A1 (en) Electrode material for aluminum electrolytic capacitors and method for producing same
JP6740213B2 (ja) アルミニウム電解コンデンサ用電極材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160614

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6001977

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250