JP5999049B2 - 蒸着用タブレット及びその製造方法、並びに酸化物膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなる酸化物焼結体で形成された蒸着用タブレット及びその製造方法、並びにその蒸着用タブレットを用いて得られる酸化物膜に関する。
酸化物膜は、太陽電池や液晶表示素子、その他各種受光素子の電極、あるいは自動車や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケースなどの各種の防曇用の透明発熱体等といった多岐に亘って利用されている。また、反射防止膜、反射増加膜、干渉膜、偏光膜等に代表される光学膜としても応用されている。光学膜としては、様々な特徴を有する酸化物膜を組み合わせた積層体としての応用がなされている。
酸化物多層膜の分光特性は、消衰係数kをほぼゼロとみなすことができる場合、各層の屈折率「n」と膜厚「d」によって決定される。したがって、酸化物膜を用いた積層体の光学設計においては、多層膜を構成する各層の「n」と「d」のデータに基づいた計算によって行われるのが一般的である。また、この場合、高屈折率膜と低屈折率膜を組み合わせることに加えて、さらにそれらの中間の屈折率を有する膜(中間屈折率膜)を追加することによって、より優れた光学特性を有する多層膜が得られる。
一般に、高屈折率膜(n>1.90)としては、TiO(n=2.4)、CeO(n=2.3)、ZrO(n=2.2)、Nb(n=2.1)、Ta(n=2.1)、WO(n=2.0)等が知られている。また、低屈折率膜(n<1.60)としては、SiO(n=1.4)、MgF(n=1.4)等が知られている。また、中間屈折率膜(n=1.60〜1.90)としては、Al(n=1.6)、MgO(n=1.7)、Y(n=1.8)等が知られている。
これらの各種酸化物膜を形成する方法としては、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、及び溶液塗布法が一般的である。その中でもスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料の成膜や精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便であるため、工業的に広範に利用されている。
具体的に、スパッタリング法は、ターゲットが原料として用いられる。この方法は、一般に、約10Pa以下のガス圧のもとで、基板を陽極とし、ターゲットを陰極として、これら陽極と陰極の間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させる。そして、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによって弾き飛ばされるターゲット成分の粒子を基板上に堆積させることで膜を形成するというものである。
このスパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法という。一般に、直流スパッタリング法は、高周波スパッタリングと比べて成膜速度が速い、電源設備が安価、成膜操作が簡単、等の理由で工業的に広範に利用されている。例えば、透明導電性薄膜の製造においても、直流マグネトロンスパッタ法が広範に採用されている。しかしながら、一般的にスパッタリング法においては、原料のターゲットが絶縁性ターゲットである場合、高周波スパッタリングを用いる必要があり、この方法では高い成膜速度を得ることが不可能となってしまう。
これに対し、上述したAl、MgO、及びY等の一般的な中間屈折率材料は、いずれも導電性に乏しく、そのままスパッタリングターゲットとして用いても安定した放電を実現できない。したがって、スパッタリング法によって中間屈折率膜を得るためには、導電性を有する金属ターゲットを用いて、酸素を多く含む雰囲気で金属粒子と酸素とを反応させながらスパッタリング(反応性スパッタリング法)を行うことが必要である。しかしながら、酸素を多く含む反応性スパッタリング法では、その成膜速度が極めて遅いため、生産性が著しく損なわれる。そしてその結果、得られる中間屈折率膜の単価が高くなる等の工業的な問題があった。
ここで、中間屈折率膜を得るための材料として、In−Si−O系酸化物焼結体が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。通常、高濃度Siを含有するIn−Si−O系焼結体は、焼結性及び導電性に乏しい。このことから、特許文献1に記載の技術では、これらの課題を解決するために、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、かつホットプレス法を用いて焼結体を得るようにしている。
ところで、イオンプレーティング法に用いる蒸着物質(蒸着用タブレット)は、焼結体の密度が高過ぎると、プラズマを照射した際に、蒸着用タブレットの表面と内部に温度差が生じ、熱膨張の違いにより蒸着用タブレットの破損(熱衝撃による破損)が発生するという問題がある。そのため、蒸着用タブレットに用いる焼結体としては、スパッタリングターゲットに用いられるような高密度のものではなく、むしろ相対密度が50〜80%程度のものが用いられている(例えば、特許文献2を参照)。
そのため、スパッタリングターゲットとは異なり、焼結性に乏しい材料であってもイオンプレーティング用の蒸着用タブレットとしては利用可能となる。しかしながら、イオンプレーティング法により蒸着を行う場合にも、蒸着用タブレットの導電性が乏しいと、昇華し難く、成膜が安定しない。
上述したAl、MgOおよびYなどの一般的な中間屈折率材料はいずれも導電性に乏しく、高濃度Siを含有するIn−Si−O系焼結体もまた導電性に乏しいため、イオンプレーティン法により中間屈折率膜を得ようとしても安定した昇華が実現できないという問題があった。
特許第4915065号公報 国際公開2011/016297号公報
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、In−Si−O系酸化物焼結体において、従来の技術では不可能であったイオンプレーティング法による安定成膜を可能とする蒸着用タブレット及びその製造方法、並びにその蒸着用タブレットを用いて得られる中間屈折率の酸化物膜を提供することを目的としている。
本発明は、上述した目的を達成するために、以下の特徴を有する。すなわち、本発明に係る蒸着用タブレットは、イオンプレーティング法により屈折率が1.70〜1.90の酸化物膜を得るための蒸着用タブレットであって、Siの含有量がSi/In原子数比で0.65以上1.75以下で、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶の割合が30質量%以下で、比抵抗値が100Ω・cm以下であり、相対密度が40%以上80%以下のIn−Si−O系酸化物焼結体であることを特徴とする。
ここで、本発明に係る蒸着用タブレットにおいては、三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種がさらに含有され、含有される該金属元素の全成分をMとしたとき、その含有量がM/In原子数比で0.001以上0.05以下であるようにしてもよい。
また、本発明に係る蒸着用タブレットの製造方法は、上述した特徴を有する蒸着用タブレットの製造方法であって、In原料として酸化インジウム粉末を、Si原料としてSiO粉末をそれぞれ用い、常圧焼結法により焼結温度1100℃以上1350℃以下で焼結して蒸着用タブレットを得ることを特徴とする。
また、本発明に係る酸化物膜の製造方法は、上述した特徴を有する蒸着用タブレットを用いてイオンプレーティング法により得られる酸化物膜の製造方法であって、屈折率が1.70〜1.90となるように作製することを特徴とする。
本発明に係る蒸着用タブレットによれば、イオンプレーティング法にて安定成膜が可能となる。そして、この蒸着用タブレットを用いて成膜することにより、光学的に有用な中間屈折率膜を安定的に形成することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、以下の順序で詳細に説明する。
1.蒸着用タブレット
2.蒸着用タブレットの製造方法
3.酸化物膜
4.実施例
[1.蒸着用タブレット]
本実施の形態に係る蒸着用タブレットは、屈折率が1.70〜1.90の酸化物膜を得るための蒸着用タブレットであって、インジウム(In)、シリコン(Si)を含んでなるものである。より具体的に、蒸着用タブレットは、Siの含有量がSi/In原子数比で0.65以上1.75以下で、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶の割合が30質量%以下で、比抵抗値が100Ω・cm以下であり、そして相対密度が40%以上80%以下の酸化物焼結体である。
蒸着用タブレットを用いて、屈折率が1.70〜1.90の酸化物膜を形成させるにあたり、酸化物膜の屈折率は、蒸着用タブレットの組成に依存することが分かっている。
そこで、本実施の形態に係る蒸着用タブレットでは、インジウム(In)、シリコン(Si)を含んでいるが、そのシリコンの含有量としては、Si/In原子数比で0.65以上1.75以下とする。
このSi/In原子数比が0.65より少ないと、蒸着用タブレットを用いて得られる酸化物膜が高屈折率化し、一方で、Si/In原子数比が1.75を超えると、その酸化物膜の低屈折率化を招くため、所望とする中間屈折率、すなわち屈折率が1.70〜1.90の酸化物膜を得ることができない。
また、イオンプレーティングにおいて昇華を安定化させるためには、その蒸着用タブレットの比抵抗が大きく影響する。そこで、本実施の形態に係る蒸着用タブレットは、トルトバイタイト(thortveitite)型構造の珪酸インジウム化合物結晶の割合が30質量%以下で構成されてなるようにする。
ここで、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物とは、ICDDカード01−070−5042に記載されている化合物であり、化学量論組成から組成ずれが多少生じていたり、他のイオンが一部で置換されているものであっても、この結晶構造を維持しているものであれば構わない。
トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶は、導電性に乏しい。そのため、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物であるInSi相の生成を抑え、Si元素が固溶しているビックスバイト型In結晶を主相とする必要がある。そして、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶割合が30質量%以下である酸化物焼結体とすることで、その比抵抗値を100Ω・cm以下にまで低抵抗化させることができ、これにより、効果的に昇華を安定化させることができる。なお、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶の割合が30質量%を超えると、酸化物焼結体の比抵抗値が高くなり、昇華を安定化させることができない。
また、イオンプレーティングでは、蒸着用タブレットの密度が低すぎると、プラズマを照射した際に、材料が表面から昇華していくのと同時に蒸着用タブレットの焼結が急激に起こり、部分的な蒸着用タブレットの収縮により蒸着用タブレットが破損してしまう。一方、蒸着用タブレットの密度が高すぎると、プラズマを照射した際に、蒸着用タブレットの表面と内部に温度差が生じ、熱膨張の違いにより蒸着用タブレットの破損(熱衝撃による破損)が発生する。蒸着用タブレットの破損が生じた場合には、破片が装置に詰まることで連続成膜が不可能になったり、プラズマが不均一に照射されることで成膜条件がばらつき、膜質を悪化させたりするため、蒸着用タブレットの相対密度は40%以上80%以下とする。
ここで、酸化物焼結体の相対密度を算出する上では、焼結体に存在する化合物によって真密度が大きく異なるため、真密度の定義が重要となる。すなわち、酸化物焼結を構成する各化合物相の存在比率及び真密度から算出した密度に対する相対密度を算出しなければならない。
例えば、SiOを30質量%の割合で含む酸化インジウム系焼結体において、酸化インジウム(7.18g/cm)及び酸化ケイ素(2.32g/cm)が単独で存在している場合には、その真密度が4.41g/cmで計算されるが、実際は主相となる珪酸インジウム化合物相の真密度が5.05g/cmであるため、この珪酸インジウム化合物相の存在比率も加味した真密度を採用しなければ、本来の相対密度と大きな差が生じてしまう。このことから、本実施の形態においては、各化合物相の存在比率及び真密度から算出した密度に対する相対密度を採用する。
また、本実施の形態に係る酸化物焼結体では、In、Si以外の第3の金属元素M(第3成分M)として、三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有させてもよい。これにより、酸化物焼結体の比抵抗を、より一層に低抵抗化させることができる。具体的に、三価以上の金属元素としては、例えば、Ti、Sn、Y、Ga、Ta、Al等の金属元素が適用可能である。
このとき、上述した三価以上の金属元素(添加元素)Mの含有量としては、M/In原子数比で0.001以上0.05以下とする。このM/In原子数比が0.001より少ないと、低抵抗化の効果が十分に得られない。一方で、M/In原子数比が0.05を超えると、屈折率の上昇を招いてしまう可能性があることから好ましくない。
[2.蒸着用タブレットの製造方法]
次に、上述した蒸着用タブレットの製造方法について説明する。
本実施の形態に係る蒸着用タブレットの製造方法は、原料粉末を、純水、有機バインダー、分散剤と混合し、得られるスラリーを乾燥して造粒することで造粒粉を得る第1工程と、得られた造粒粉を加圧成形して成形体を得る第2工程と、得られた成形体を常圧で焼成して焼結体を得る第3工程とを有する。このように、本実施の形態に係る製造方法においては、常圧焼結法によって焼結することで蒸着用タブレットを得ることを特徴としており、上述したように成膜時において安定昇華が可能な酸化物焼結体を得ることができる。
<第1工程(造粒工程)>
第1工程は、蒸着用タブレットを構成する成分の原料粉末を所定の割合で調合して造粒粉を得る造粒工程である。より具体的に、この第1工程では、それぞれの原料粉末を所定の割合で調合し、例えば純水、有機バインダー、分散剤を混合してスラリーを得て、得られたスラリーを乾燥して造粒することによって造粒粉を得る。
本実施の形態に係る蒸着用タブレットの製造方法においては、In原料として酸化インジウム粉末を、Si原料として酸化シリコン(SiO)粉末をそれぞれ原料粉末として用いる。また、原料粉末としては、必要に応じて、さらにSi以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mの酸化物粉末を加えてもよい。
これら各原料粉末は、上述したように、シリコンがSi/In原子数比で0.65以上1.75以下となるような割合で秤量し調合する。また、In、Si以外の第3の金属元素Mとして、三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物粉末を加える場合には、その金属元素MがM/In原子数比で0.001以上0.05以下となるような割合で秤量し調合する。
次に、所定量を秤量した各原料粉末を、純水、有機バインダー、分散剤、潤滑剤と混合して、原料粉末濃度が30〜40質量%となるように混合し、スラリーとする。
この第1工程では、以上のようにして、原料粉末を混合させて得られたスラリーを噴霧乾燥し、造粒することによって造粒粉を得る。
<第2工程(成形工程)>
第2工程は、上述した第1工程で得られた造粒粉を加圧成形して、成形体を得る成形工程である。
この第2工程では、造粒粉の成形は金型プレスにて行う。この際、後工程の焼結温度の設定条件により焼結による収縮がコントロールされているため、タブレットの寸法はこの成形時にほぼ決定される。
<第3工程(焼成工程)>
第3工程は、上述した第2工程で得られた成形体を、常圧で焼成することにより酸化物焼結体を得る焼成工程である。
この第3工程における焼成処理では、最高焼成温度で、好ましくは1100℃以上1350℃以下、より好ましくは1150℃以上1300℃以下の焼結温度条件で焼結を行う。焼結温度が1100℃未満の場合は、酸化インジウムへのSiや必要に応じて添加した第3の金属元素Mの固溶が不十分となる。また、それにより、酸化物焼結体の比抵抗値が100Ω・cmを上回ってしまう。一方で、焼結温度が1350℃を超える場合は、トルトバイタイト型のInSi相の割合が30質量%を上回り、比抵抗値が100Ω・cmを上回ってしまう。
以上のように、本実施の形態に係る酸化物焼結体の製造方法は、Si原料としてSiO粉末、さらに必要に応じてSi以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mの酸化物粉末を用い、常圧焼結法により焼結することによって、上述した特徴的な酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを得ることができる。
このようにして形成された蒸着用タブレットによれば、イオンプレーティング法による成膜時において、安定的に昇華させることができ、光学的に極めて有用な中間屈折率膜を安定的に形成させることができる。
[3.酸化物膜]
本実施の形態に係る酸化物膜は、上述した特徴を有する蒸着用タブレットを用い、イオンプレーティング法によりガラス等の基板上に成膜することによって形成することができるものである。
この酸化物膜は、上述したように、InとSiとを含み、そのSiの含有量がSi/In原子数比で0.65以上1.75以下であり、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶の割合が30質量%以下であり、そして、比抵抗値が100Ω・cm以下である蒸着用タブレットを原料として成膜されたものであり、その蒸着用タブレットの組成が反映された酸化物膜である。したがって、この酸化物膜は、InとSiとを含む酸化物からなり、かつ屈折率が1.70〜1.90の中間屈折率膜であって、導電性を示す透明導電膜であることを特徴としている。
また、蒸着用タブレットに、さらに第3の金属元素Mが添加される場合には、Si以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mの含有量がM/In原子数比で0.001以上0.05以下である蒸着用タブレットを原料として成膜されたものとなり、その酸化物焼結体の組成が反映された酸化物膜となる。
酸化物膜の膜厚としては、特に限定されず、成膜時間等によって適宜設定することができる。具体的には、例えば5〜300nm程度とする。
基板としては、例えば、ガラス、樹脂(PET、PES等)等を用いることができる。
[4.実施例]
以下、本発明についての実施例について、比較例と対比しながら具体的に説明する。なお、本発明は、この実施例によって限定されるものではない。
≪実施例1≫
<蒸着用タブレットの作製>
平均粒径が1.0μm以下のIn粉末、平均粒径が5.0μm以下のSiO粉末、及びSi以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素MとしてTiを含む平均粒径が5.0μm以下のTiO粉末を原料粉末として用い、Si/In原子数比が1.0、且つ、Ti/In原子数比が0.025となる割合で調合し、60質量%の純水、0.5質量%の有機バインダー(ポリビニルアルコール:PVA)、分散剤、0.5質量%の潤滑剤(ステアリン酸)を添加した後、攪拌機で10時間攪拌し、スプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、ODL−20型)にて噴霧及び乾燥して、「造粒粉」を得た。
次に、得られた造粒粉を、一軸プレス機を用いて64kNの圧力で成形し、直径30.8mm高さ41.0mmの成形体を得た後、この成形体を大気圧焼成炉にて最高温度を1300℃とし、20時間焼成し、酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを得た。
ここで、得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほかに、In相、SiO相が検出された。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、InSi相の割合は3.4質量%と低く、In相が67.0質量%、SiO相が29.6質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.39g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は2.90g/cmであり、相対密度は66%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、1.4×10−1Ω・cmであった。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、この実施例1にて得られた蒸着用タブレットを用いて、イオンプレーティング法による透明酸化物膜の成膜を行った。本実施例では、蒸着用タブレットに対して、150Aの放電電流にて発生させた高出力プラズマを照射し、無アルカリのガラス基板(コーニング♯7059、厚み(t):1.1mm)上に、膜厚100nmの透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率をエリプソメーターで測定したところ、1.78であった。
このように、実施例1にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪実施例2≫
<蒸着用タブレットの作製>
Si以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素MとしてSnを含む平均粒径が5.0μm以下のSnO粉末を用い、Sn/In原子数比が0.013となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、In相、SiO相が検出されたが、トルトバイタイト型構造であるInSi相は検出されなかった。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、In相は69.9質量%、SiO相は30.1質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.40g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は2.73g/cmであり、相対密度は62%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、2.7×10−2Ω・cmと極めて低い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を測定したところ、1.85であった。
このように、実施例2にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪実施例3、実施例4、実施例5≫
<蒸着用タブレットの作製>
Si以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素MとしてYを含む平均粒径が5.0μm以下のY粉末を用い、Y/In原子数比がそれぞれ0.009(実施例3)、0.018(実施例4)、0.001(実施例5)となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほか、In相、SiO相が検出された。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、実施例3の酸化物焼結体では、InSi相の割合は12.8質量%と低く、In相が61.1質量%、SiO相が26.1質量%であった。また、実施例4の酸化物焼結体では、InSi相の割合は20.2質量%と低く、In相が55.7質量%、SiO相が24.1質量%であった。また、実施例5の酸化物焼結体では、InSi相の割合は2.1質量%と低く、In相が68.0質量%、SiO相が29.9質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は実施例3が4.49g/cm、実施例4が4.52g/cm、実施例5が4.39g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は実施例3が3.00g/cm、実施例4が3.05g/cm、実施例5が2.90g/cmであり、相対密度は実施例3が67%、実施例4が67%、実施例5が66%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、実施例3の酸化物焼結体は8.7×10−1Ω・cmであり、実施例4の酸化物焼結体は5.4×10−1Ω・cmであり、実施例5の酸化物焼結体は5.8×10−1Ω・cmであった。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を調査したところ、実施例3の酸化物膜では1.77であり、実施例4の酸化物膜では1.86であり、実施例5の酸化物膜では1.78であった。
このように、実施例3、実施例4、実施例5にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪実施例6≫
<蒸着用タブレットの作製>
Si以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素MとしてWを含む平均粒径が5.0μm以下のWO粉末を用い、W/In原子数比が0.009となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほか、In相、SiO相が検出された。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、InSi相の割合は24.0質量%と低く、In相が53.2質量%、SiO相が22.8質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.55g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は2.66g/cmであり、相対密度は58%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、8.0×10−1Ω・cmと極めて低い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を測定したところ、1.85であった。
このように、実施例6にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪実施例7≫
<蒸着用タブレットの作製>
Si以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素MとしてTaを含む平均粒径が5.0μm以下のTa粉末を用い、Ta/In原子数比が0.01となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほか、In相、SiO相が検出された。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、InSi相の割合は21.0質量%と低く、In相が54.9質量%、SiO相が24.1質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.51g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は2.70g/cmであり、相対密度は60%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、7.0×10−1Ω・cmと極めて低い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を測定したところ、1.86であった。
このように、実施例7にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪実施例8≫
<蒸着用タブレットの作製>
第3成分Mの添加を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、InSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほか、In相、SiO相が検出された。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、InSi相は16.0質量%であり、In相は58.8質量%、SiO相は25.2質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.50g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は2.67g/cmであり、相対密度は59%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、8.5×10−1Ω・cmと極めて低い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を測定したところ、1.78であった。
このように、実施例8にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪実施例9≫
<蒸着用タブレットの作製>
焼結温度を1200℃にしたこと以外は、実施例8と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、In相、SiO相は検出されたが、トルトバイタイト型構造であるInSi相は検出されなかった。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、In相は70.3質量%、SiO相は29.7質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.43g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は2.53g/cmであり、相対密度は57%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、9.2×10−1Ω・cmと極めて低い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を測定したところ、1.80であった。
このように、実施例9にて得られた酸化物焼結体は、中間屈折率膜を安定的に得る蒸着用タブレットとして有用であることが確認された。
≪比較例1≫
<蒸着用タブレットの作製>
焼結温度を1400℃にしたこと以外は、実施例8と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほか、In相、SiO相が検出された。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、InSi相の割合は60.0質量%と低く、In相が28.2質量%、SiO相が11.8質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.79g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は3.45g/cmであり、相対密度は72%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、8.8×10Ω・cmと極めて高い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。その結果、屈折率が1.81の膜が得られたものの、昇華が安定せず、安定して成膜することができなかった。
≪比較例2≫
<蒸着用タブレットの作製>
焼結温度を950℃にしたこと以外は、実施例8と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、In相、SiO相が検出されたが、トルトバイタイト型構造であるInSi相は検出されなかった。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、In相は70.1質量%、SiO相は29.9質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.41g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は1.68g/cmであり、相対密度は38%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、9.7×1010Ω・cmと極めて高い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。その結果、屈折率が1.80の膜が得られたものの、昇華が安定せず、安定して成膜することができなかった。
≪比較例3、比較例4、比較例5≫
<蒸着用タブレットの作製>
焼結温度を、それぞれ、1500℃(比較例3)、1400℃(比較例4)、1000℃(比較例5)としたこと以外は、実施例2と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、比較例3及び比較例4では、トルトバイタイト型構造であるInSi相のほか、In相が検出されたが、SiO相ピークは検出されなかった。一方、比較例5では、In相、SiO相が検出されたが、トルトバイタイト型構造であるInSi相は検出されなかった。
リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、比較例3の酸化物焼結体では、InSi相の割合は98.6質量%と非常に高く、In相が1.4質量%であった。また、比較例4の酸化物焼結体では、InSi相の割合は86.9質量%と非常に高く、In相が13.1質量%であった。また、比較例5の酸化物焼結体では、In相は69.7質量%、SiO相は30.3質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は比較例3が5.07g/cm、比較例4が5.25g/cm、比較例5が4.39g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は比較例3が3.80g/cm、比較例4が3.62g/cm、比較例5が1.98g/cmであり、相対密度は比較例3が75%、比較例4が69%、比較例5が45%であった。
得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、比較例3の酸化物焼結体は2.6×10Ω・cmであり、比較例4の酸化物焼結体は2.5×10Ω・cmであり、比較例5の酸化物焼結体は2.6×1010Ω・cmであり、比較例3、比較例4、比較例5のいずれの酸化物焼結体においても100Ω・cmを超える高い抵抗を示した。
<透明酸化膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、比較例3では屈折率が1.84、比較例4では屈折率が1.83、比較例5では屈折率が1.83の膜が得られたものの、昇華が安定せず、安定して成膜することができなかった。
≪比較例6≫
<蒸着用タブレットの作製>
Si以外の三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mとして添加するSnの含有量を、Sn/In原子数比が0.07(SnOが5質量%に相当)となるように含有させたこと以外は、実施例2と同様にして酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを作製し、酸化物焼結体のInSi相、In相、SiO相の存在比率、相対密度、比抵抗値を測定した。
得られた酸化物焼結体の端材を粉砕し、CuKα線を使用した粉末X線回折測定による生成相の同定を行ったところ、In相、SiO相が検出されたが、トルトバイタイト型構造であるInSi相は検出されなかった。リートベルト解析によって化合物相の重量割合を解析したところ、In相は70.1質量%、SiO相は29.9質量%であった。各化合物相の存在比率から算出した真密度は4.41g/cmで、アルキメデス法により求めた実密度は3.10g/cmであり、相対密度は70%であった。
また、得られた蒸着用タブレットの比抵抗値を四端針法により測定した結果、1.2×10−2Ω・cmと低い抵抗を示した。
<透明酸化物膜の作製>
続いて、実施例1と同様にして、イオンプレーティング法により透明酸化物膜を形成した。
その結果、得られた酸化物膜の屈折率を測定したところ、1.92という高い屈折率となってしまい、所望とする屈折率である1.70〜1.90の酸化物膜を得ることができなかった。
下記表1に、上述した実施例1〜9、比較例1〜6の酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットの製造条件、得られた酸化物焼結体の比抵抗値、構成成分(化合物相割合)及び密度、蒸着用タブレットを用いてイオンプレーティング法により成膜して得られた透明酸化物膜の屈折率についてまとめて示す。
































Figure 0005999049

Claims (4)

  1. イオンプレーティング法により屈折率が1.70〜1.90の酸化物膜を得るための蒸着用タブレットであって、
    Siの含有量がSi/In原子数比で0.65以上1.75以下で、トルトバイタイト型構造の珪酸インジウム化合物結晶の割合が30質量%以下で、比抵抗値が100Ω・cm以下であり、相対密度が40%以上80%以下のIn−Si−O系酸化物焼結体であることを特徴とする蒸着用タブレット。
  2. 三価以上の金属元素から選ばれた少なくとも1種がさらに含有され、含有される該金属元素の全成分をMとしたとき、その含有量がM/In原子数比で0.001以上0.05以下であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着用タブレット。
  3. 上記請求項1又は請求項2に記載の蒸着用タブレットの製造方法であって、
    In原料として酸化インジウム粉末を、Si原料としてSiO粉末をそれぞれ用い、常圧焼結法により焼結温度1100℃以上1350℃以下で焼結して酸化物焼結体からなる蒸着用タブレットを得ることを特徴とする蒸着用タブレットの製造方法。
  4. 上記請求項1又は請求項2に記載の蒸着用タブレットを用いてイオンプレーティング法により得られる酸化物膜の製造方法であって、
    屈折率が1.70〜1.90となるように作製することを特徴とする酸化物膜の製造方法
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