JP4915065B2 - 酸化物焼結体及びその製造方法、酸化物焼結体を用いて得られる非晶質酸化物膜、並びにその非晶質酸化物膜を含む積層体 - Google Patents

酸化物焼結体及びその製造方法、酸化物焼結体を用いて得られる非晶質酸化物膜、並びにその非晶質酸化物膜を含む積層体 Download PDF

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Description

本発明は、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなる酸化物焼結体及びその製造方法、酸化物焼結体を用いて得られる非晶質酸化物膜、並びにその非晶質酸化物膜を含む積層体に関する。特に、屈折率1.7〜1.9の中間屈折率を有する酸化物膜で、スパッタリングターゲットとして用いた場合に直流(DC)スパッタリング法で該酸化物膜を形成することが可能な酸化物焼結体、および該非晶質酸化物膜を形成した積層体に関する。
光学的に有用な酸化物膜は数多く知られており、各酸化物膜の特徴をうまく組み合わせた積層体としての応用がなされている。代表的な応用例としては、特定の波長の光が選択的に反射または透過するように設計した多層の反射防止膜が挙げられる。その他には、反射増加膜、干渉膜、偏光膜など数多くの応用例があり、非常に多岐にわたっている。また、光学特性のみならず、帯電防止性、熱線遮蔽性、電磁波遮蔽性などの付加価値を付けた機能性多層膜も提案されている。
酸化物多層膜の分光特性は、消衰係数kをほぼゼロと見なすことができる場合、各層の屈折率nと膜厚dによって決定される。したがって、酸化物膜を用いた積層体の設計に際しては、多層膜を構成する各層のnとdのデータに基づいた計算による光学設計を行うのが一般的である。この場合、高屈折率膜と低屈折率膜を組み合わせることに加えて、さらに、その中間の屈折率を有する膜(中間屈折率膜)を追加することにより、より優れた光学特性をもつ多層膜の実現が容易になる。
一般に、高屈折率膜(n>1.9)としては、TiO2(n=2.4)、CeO2(n=2.3)、ZrO2(n=2.2)、Nb25(n=2.1)、Ta25(n=2.1)、WO3(n=2.0)などが知られている。低屈折率膜(n<1.6)としては、SiO2(n=1.46)、MgF2(n=1.38)などが知られている。中間屈折率膜(n=1.6〜1.9)としては、Al23(n=1.64)、MgO(n=1.72)、Y23(n=1.87)などが知られている。
これら各種の酸化物膜を形成する方法としては、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、及び溶液塗布法がよく用いられている。その中でも、スパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を使用する場合や、精密な膜厚制御を必要とする場合に有効な方法である。
スパッタリング法では、一般にアルゴンガスを使用し、約10Pa以下のガス圧のもとで、基板を陽極とし、成膜する酸化物透明導電膜の原料となるスパッタリングターゲットを陰極として電圧を印加する。電圧を印加された電極間には、グロー放電が起こってアルゴンプラズマが発生し、プラズマ中のアルゴン陽イオンが陰極のスパッタリングターゲットに衝突する。この衝突によって次々と弾き飛ばされる粒子が基板上に順次堆積して薄膜を形成する。
スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法によって分類される。高周波プラズマを用いるものは、高周波スパッタリング法といい、直流プラズマを用いるものは、直流スパッタリング法という。特に、直流スパッタリング法は、基板への熱ダメージが少なく、高速成膜が可能であり、電源設備が安価で、操作が簡便であるなどの特徴があるため、最適な成膜方法である。
ここで言う直流スパッタリング法の中には、ターゲットに印加する負電圧を周期的に停止し、その間に低い正電圧を印加して正のチャージングを電子により中和するスパッタリング方法(直流パルシング法)も含まれる。酸素の反応性ガスを用いた反応性スパッタリングにおける絶縁膜(酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化チタンなど)のアーキングを抑制しながら成膜することが可能であり、高周波スパッタリング法のようにインピーダンス整合回路を制御する必要がなく、成膜速度が高周波スパッタリング法よりも速いなどの利点がある。
なお、直流スパッタリング法を用いて酸化物膜を成膜する場合には、導電性スパッタリングターゲットを用いる必要がある。例えば、導電性物質の母体中に高抵抗物質が含まれたスパッタリングターゲットを用いて直流スパッタリングを行うと、アルゴン陽イオンの照射により高抵抗物質の部分が帯電し、アーク放電が発生して、安定して成膜することができない。特に、直流電力を多く投入するほど、高抵抗物質の帯電が起きやすく、成膜中のアーク放電発生頻度が増すため、高電力を投入して高成膜速度を得ることは不可能となってしまう。
ところで、中間屈折率膜の反射防止膜における有用性は、例えば、後記の特許文献4に詳しく述べられている。すなわち、反射防止膜においては、利用可能な屈折率を有する膜材料の種類が多いほど、基板を含めた設計自由度を広げることができる。例えば、3層反射防止膜を考えた場合、ガラス基板(n=1.52)上に、中間屈折率膜(n=1.80)、高屈折率膜(n=2.10)、低屈折率膜(n=1.46)を順に積層することによって、理論上、反射率をゼロにすることが可能となる。
しかし、前記したAl23、MgO、Y23などの一般的な中間屈折率膜は、いずれも導電性に乏しく、酸化物のスパッタリングターゲットを用いた場合、直流スパッタリング法によって安定した成膜を得ることができない。したがって、直流スパッタリング法による成膜によって中間屈折率膜を得るためには、導電性を有する金属ターゲットを用いて、酸素を多く含む雰囲気で金属粒子と酸素を反応させながらスパッタリング(反応性スパッタリング法)を行うことが必要である。しかし、酸素を多く含む反応性スパッタリング法による成膜速度は極めて遅いため、生産性が著しく損なわれる。その結果、中間屈折率膜のコストが高くつき、製造上の大きな問題となっていた。
このような問題に対し、特許文献1には、Nbの酸化物とSiの酸化物とを含み、屈折率が1.6〜1.9である酸化物膜とその形成方法およびスパッタリングターゲットが提案されている。そして、中間屈折率(n=1.6〜1.9)を有する酸化物膜と、該酸化物膜を直流(DC)スパッタリング法で形成する場合に用いるスパッタリングターゲット、および該スパッタリングターゲットを用いて該酸化物膜を形成する方法が記載されている。
しかし、Nbの酸化物とSiの酸化物は、焼結時に反応して複合酸化物を形成することがなく、焼結によって得られたスパッタリングターゲット中に各々が単体の酸化物として存在し、しかも、単体のSi酸化物は、絶縁体である。このため、特許文献1に記載の酸化物膜の形成方法では、Si酸化物が、容易に帯電してしまい、DCスパッタリングにおいてアーク放電を引き起こし、安定して成膜することができない、という問題があった。
また、特許文献1では、Nbの酸化物に酸素欠損を形成すると導電性が得られることが述べられているが、本来、Nbは酸化され易い。このため、特許文献1に記載の酸化物膜の形成方法では、成膜工程を繰り返しているうちにターゲット表面が酸化されて導電性が著しく低下し、安定放電が不可能になってしまう、という問題があった。
また、特許文献2では、透明導電膜の成膜材料として適した酸化インジウム焼結体、又は酸化インジウム及び酸化錫を含む焼結体において、酸化シリコン及び/又は酸化ゲルマニウムを含有していることを特徴とする焼結性に優れた酸化インジウム系焼結体が提案されている。さらには、該シリコン及び/又はゲルマニウムの含有量がインジウム1モル当たり0.0001〜0.6である焼結性に優れた酸化インジウム系焼結体が提案されている。
そして、特許文献2には、酸化インジウム系焼結体として、例えば、In23−SiO2系などが挙げられている。また、Siの出発物質としては、SiO2等の酸化物が一般的であるが、Si単体、Siの水酸化物、等も使用することができるとし、酸化物以外の出発物質を予め酸化物の形でとり込む、あるいは部分的にSiなどの形でとり込んでもよい、と記載されている。
さらに、特許文献2には、シリコン及び/又はゲルマニウムの含有量について、より好ましくはインジウム1モル当たり0.01〜0.3モル、最も好ましくは0.02〜0.1モルであって、0.6モルを上回ると、キャリア電子の移動度が低下すると共に導電性を劣化させる方向に働くため好ましくない、と記載されている。
また、特許文献3では、インジウムとシリコンとを含む酸化物焼結体において、シリコン元素が酸化インジウム内に固溶していることを特徴とする酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットが提案されている。この酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットは、シリコンがドープされた酸化インジウムのビックスバイト型構造の結晶相を主相とし、珪酸インジウム化合物のトルトバイタイト型構造の結晶相が混在している。そして、このスパッタリングターゲットは、低抵抗の透明導電膜を得ることを目的としたものであり、シリコン元素の含有量がSi/In原子比で0.01以上0.17以下、すなわち、Inの酸化物とSiの酸化物の総量に対するSiの酸化物の重量比にすると0.431〜6.87重量%であることを特徴とすることが記載されている。
特開2000−160331公報 特開昭61−136954公報 特開2004−123479公報 特開2004−287274公報
このように、特許文献2に記載の技術では、中間屈折率(n=1.7〜1.9)を有する酸化物膜を直流スパッタリング法により安定かつ高速に成膜することが可能なスパッタリングターゲットとして用いる酸化物焼結体は、インジウムに対するシリコンの原子比が0.6以下であり、この原子比が0.6を上回るものについては、キャリア電子の移動度が低下し、また、導電性が劣化するとされていた。
また、特許文献3に記載の技術においても、スパッタリングターゲットとして用いる酸化物焼結体は、インジウムに対するシリコンの原子比が0.01以上0.17以下のものであり、この原子比が0.6を上回るものについては何ら考察されていない。
このように、従来は、屈折率が1.7〜1.9程度の中間屈折率を有する酸化物膜を直流スパッタリング法により安定かつ高速に成膜するために、インジウムに対するシリコンの原子比が0.6を上回る酸化物焼結体をスパッタリングターゲットに用いる技術は存在していなかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、従来の技術によっては、直流スパッタリング法を用いたときにアーク放電が発生して、安定して成膜することが容易でなかった中間屈折率を有する酸化物膜を、直流スパッタリング法によって安定かつ高速に成膜することが可能な酸化物焼結体及びその製造方法、酸化物焼結体を用いて得られる非晶質酸化物膜、並びにその非晶質酸化物膜を含む積層体を提供することを目的としている。
このような目的を達成するため、本発明の第1の発明にかかる酸化物焼結体は、直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体であって、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、ホットプレス法により焼結して得られ、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まないことを特徴としている。
本発明の第2の発明にかかる酸化物焼結体は、直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体であって、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、平均粒径5μm以下の酸化インジウム粉末かつ平均粒径300μm以下のシリコン粉末からなる原料を用い、ホットプレス法により焼結条件が圧力4.9〜49.0MPaの不活性ガス雰囲気中で800〜1000℃の温度範囲で焼結され、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まないことを特徴としている。
本発明の第3の発明にかかる酸化物焼結体は、直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体であって、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、相対密度が少なくとも80%以上であり、平均粒径5μm以下の酸化インジウム粉末かつ平均粒径300μm以下のシリコン粉末からなる原料を用い、ホットプレス法により焼結条件が圧力4.9〜49.0MPaの不活性ガス雰囲気中で800〜1000℃の温度範囲で焼結され、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まないことを特徴としている。
本発明の第4の発明にかかる酸化物焼結体の製造方法は、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、かつ、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まない、直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体の製造方法であって、該酸化物焼結体を、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、ホットプレス法により焼結して得ることを特徴としている。
本発明の第5の発明にかかる酸化物焼結体の製造方法は、上記第4の発明の酸化物焼結体の製造方法において、前記酸化インジウム粉末の平均粒径が5μm以下であり、かつシリコン粉末の平均粒径が300μm以下であることを特徴としている。
本発明の第6の発明にかかる酸化物焼結体の製造方法は、上記第4の発明の酸化物焼結体の製造方法において、前記ホットプレス法の焼結条件が、不活性ガス雰囲気中、焼結温度800〜1000℃、及び圧力4.9〜49.0MPaであることを特徴としている。
本発明の第7の発明にかかる酸化物結晶体を用いて得られる非晶質酸化物膜は、上記第1〜3のいずれかに記載の酸化物焼結体を直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲットとして用い、得られる酸化物膜であって、主にインジウムとシリコンを含む酸化物からなる非晶質膜であり、かつ屈折率が1.7〜1.9であることを特徴としている。
本発明の第8の発明にかかる非晶質酸化物膜を含む積層体は、基体の片面または両面に、上記第7の発明の非晶質酸化物膜を少なくとも一層以上形成してなることを特徴としている。
本発明の第9の発明にかかる非晶質酸化物膜を含む積層体は、基体の片面または両面に、上記第7の発明の酸化物膜、屈折率が1.9以上の酸化物膜、および屈折率が1.3〜1.6の酸化物膜が、これらの順に形成されていることを特徴としている。
本発明の第10の発明にかかる非晶質酸化物膜を含む積層体は、上記第9の発明の非晶質酸化物膜を含む積層体において、屈折率が1.9以上の酸化物膜が、酸化チタン膜、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、酸化セリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化タングステン膜、酸化錫膜、酸化インジウム膜、酸化錫添加酸化インジウム膜(ITO膜)、酸化セリウム添加酸化インジウム膜(ICO膜)または酸化亜鉛膜のうちから選ばれる1種の酸化物膜であり、屈折率が1.3〜1.6の酸化物膜が、酸化シリコン膜または酸化アルミニウム膜であることを特徴としている。
本発明の第11の発明にかかる非晶質酸化物膜を含む積層体は、上記第8〜10のいずれかの発明の非晶質酸化物膜を含む積層体において、反射防止膜として用いられることを特徴としている。
本発明にかかる酸化物焼結体は、主にInとSiを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であって、好ましくは二酸化シリコンを含まず、さらに好ましくはトルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とする酸化物焼結体をスパッタリングターゲットして用いた場合に、直流スパッタリング法で安定して放電することが可能である。
本発明にかかる上記酸化物焼結体の製造方法によれば、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、ホットプレス法で焼結することによって、直流スパッタリング法で安定して放電することが可能な上記酸化物焼結体を得ることができる。さらに、本発明の酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして用いることによって、屈折率が1.7〜1.9の中間屈折率を有する非晶質酸化物膜を得ることができる。また、基体上に、本発明の酸化物膜を直流スパッタリング法で形成することにより、該酸化物膜を含む積層体を安定かつ効率よく得ることが可能であり、該積層体は反射防止膜として用いることができ、工業的に有効である。
このため、本発明によれば、従来の技術によっては、直流スパッタリング法を用いたときにアーク放電が発生して、安定して成膜することが容易でなかった中間屈折率を有する酸化物膜を、直流スパッタリング法によって安定かつ高速に成膜することが可能な酸化物焼結体及びその製造方法、酸化物焼結体を用いて得られる非晶質酸化物膜、並びにその非晶質酸化物膜を含む積層体が得られる。
本発明の課題を解決するために、本発明者等は、多くの中間屈折率材料を鋭意検討した。その結果、主にInとSiを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75である酸化物焼結体をスパッタリングターゲットして用いた場合に、直流スパッタリング法で安定して放電させることが可能であり、これによって中間屈折率(n=1.7〜1.9)を有する非晶質酸化物膜が形成可能であることが確認され、本発明に至った。
上記のように、本発明の目的は、スパッタリングターゲットとして用いた場合に、中間屈折率(n=1.7〜1.9)を有する酸化物膜の形成が可能であって、かつ直流スパッタリングが可能な酸化物焼結体を提供することにある。そのため、第1の発明に記載したように、珪素の含有量という点で、特許文献2とは大きな違いがある。また、珪素の含有量がインジウム1モルに対して0.6付近を上回ると焼結性は著しく低下するため、特に、出発物質としてSiO2を使用した場合には、通常の大気圧における焼結は極めて困難になる。このため、本発明では、第4の発明で示したように、出発物質として珪素の粉末を使用し、ホットプレス法で成形と焼結を行うことによって、確実な焼結が可能であることを見出している。この方法によれば、酸化物焼結体中において、直流スパッタリングにおける異常放電の原因となる二酸化珪素単独での存在を防ぐことが可能となっている。
また、特許文献2おける珪素の含有量はインジウム1モル当たり0.0001〜0.6モル、より好ましくはインジウム1モル当たり0.01〜0.3モル、最も好ましくは0.02〜0.1モルであるのに対して、本発明で提案しているシリコンの原子比率は0.65〜1.75である。このような含有量の違いに加え、特許文献3は透明導電膜の成膜を目的としていることから、ターゲットの主相は、基本的にビックスバイト型構造の酸化インジウム(In23)結晶相であることが容易に推測されるが、本発明では、主相はトルトバイタイト型構造のIn2Si27結晶相としている。すなわち、組成範囲、ターゲットを構成する主相は明らかに異なっている。
以下、実施例の説明に先立ち、本発明の酸化物焼結体、その製造方法、および酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして用いた場合に得られる非晶質酸化物膜、それを用いた積層体の作用効果について詳細に説明する。
まず、本発明に係る酸化物焼結体は、主にInとSiを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、かつスパッタリングターゲットとして用いた場合に直流スパッタリング法で成膜することが可能な酸化物焼結体である。また、本発明に係る酸化物焼結体は、二酸化シリコンを含まないで構成する。スパッタリングターゲットに二酸化シリコンを含有させると、アーク放電の原因となるため好ましくない。
また、本発明に係る酸化物焼結体は、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とすることを特徴とする。該化合物の形成に伴い、シリコンは化合物中に取り込まれるため、二酸化シリコンの形成を抑えることができる。なお、珪酸インジウム化合物におけるインジウム、シリコン、酸素の原子比率は、例えば格子欠陥などによって、化学量論組成から多少ずれてもよい。
本発明の酸化物焼結体の製造方法としては、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、ホットプレス法により焼結して、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、かつスパッタリングターゲットとして用いた場合に直流スパッタリング法で成膜することが可能な酸化物焼結体を得ることが必要である。酸化インジウム粉末とシリコン粉末を用いると、焼結体密度を向上させることができるだけでなく、二酸化シリコンの形成を抑止することができる。
焼結性向上のためには、酸化インジウム粉末の平均粒径は5μm以下、シリコン粉末の平均粒径は300μm以下であることが好ましい。いずれの粉末も上記の平均粒径を上回ると、焼結体の相対密度が低下するだけでなく、焼結体強度も低下する。特に、シリコン粉末の平均粒径が300μmを上回った場合には、粉末の比表面積が低下するため、焼結過程で粒子同士のネッキングが不十分となり、結果的に、スパッタリングターゲットのクラック発生が起こりやすくなる。
また、ホットプレス法を用いることによって、還元雰囲気において高い圧力を加えることが可能となり、その結果、二酸化シリコンを含まない高密度の焼結体を得ることができる。ホットプレス条件としては、温度800〜1000℃、及び圧力4.9〜49.0MPaの範囲であることが好ましい。焼結温度800℃未満の場合、十分焼結されない。一方、1000℃を上回ると、酸化インジウムが還元されて融点の低い金属インジウムとなり、融液状に滲みだしてしまう。また、圧力4.9MPa未満では十分焼結されないが、4.9MPa以上であれば十分焼結される。しかし、49.0MPaを上回ると、型として用いるカーボン製容器が強度的に耐えられずに割れてしまう問題が生じる。
本発明の酸化物膜は、上記した酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして用い、直流スパッタリング法で得られる酸化物膜であって、主にインジウムとシリコンを含む酸化物からなる非晶質膜であり、かつ屈折率が1.7〜1.9であることを特徴としている。
インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65未満の場合、屈折率は1.9を上回ってしまい、中間屈折率膜ではなくなってしまう。一方、インジウムに対するシリコンの原子比率が1.75において、屈折率1.7の中間屈折率膜を得ることができるが、1.75を上回った場合、スパッタリング成膜工程においてアーク放電が多発して安定した成膜ができず、実質的に屈折率1.7を下回る酸化物膜を得ることができない。
本発明の積層体は、基体の片面または両面に、本発明の上記非晶質酸化物膜を少なくとも一層以上形成することにより得ることができる。基体は、ガラス板、石英板、樹脂板若しくは樹脂フィルムの中から選ばれる基体であることが好ましい。必要に応じて、基体と酸化物膜の間にバリア膜や密着層を設けてもよい。
さらに、本発明の積層体において、基体の片面または両面に、請求項7に記載の酸化物膜、屈折率が1.9以上の酸化物膜、および屈折率が1.3〜1.6の酸化物膜がこの順に形成された積層体は、優れた光学特性を得るために有用である。
屈折率が1.9以上の酸化物膜としては、酸化チタン膜、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、酸化セリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化タングステン膜、酸化錫膜、酸化インジウム膜、酸化錫添加酸化インジウム膜(ITO膜と記す場合がある)、酸化セリウム添加酸化インジウム膜(ICO膜と記す場合がある)、または酸化亜鉛膜のうちから選ばれる1種の酸化物膜であることが好ましい。ここで、酸化セリウム添加酸化インジウム膜(ICO膜)には、導電性向上に寄与し、ICO膜の屈折率にほとんど影響しない酸化錫を共添加したものを含んでもよい。
また、屈折率が1.3〜1.6の酸化物膜は、酸化シリコン膜または酸化アルミニウム膜であることが好ましい。
以上の膜は、焼結性向上のためにスパッタリングターゲットに添加された少量の添加物を含んでもよい。
上記積層体は、反射防止膜として用いることができ、有用である。反射防止膜においては、利用可能な屈折率を有する膜材料の種類が多いほど、基板を含めた設計自由度を広げることができる。例えば、3層反射防止膜を考えた場合、ガラス基板(n=1.52)上に、中間屈折率膜(n=1.80)、高屈折率膜(n=2.10)、低屈折率膜(n=1.46)を順に積層することによって、理論上、反射率をゼロにすることが可能となる。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜3
インジウムに対するシリコンの原子比率が1.00となるよう、平均粒径1μm以下のIn23粉末、および平均粒径5μm以下のSi粉末を配合し、続いて三次元混合機にて攪拌し原料粉末とした。得られた混合粉末をカーボン製容器中に給粉し、各実施例において温度条件を異ならせて、ホットプレス法を用いて焼結した。焼結は、カーボン製容器の酸化による劣化を防止するため、Arガス雰囲気で行った。はじめに圧力を4.9MPaを固定し、焼結温度を800℃(実施例1)、950℃(実施例2)、1000℃(実施例3)に変化させた。焼結時間は3時間とした。
実施例4〜6
ホットプレス法で圧力を29.4MPaに変更した以外は、実施例1〜3と同様に、焼結温度を800℃(実施例4)、950℃(実施例5)、1000℃(実施例6)にして酸化物焼結体を作製した。
実施例7〜9
ホットプレス法で圧力を49.0MPaに変更した以外は、実施例1〜3と同様に、焼結温度を800℃(実施例7)、950℃(実施例8)、1000℃(実施例9)にして酸化物焼結体を作製した。
比較例1〜3
圧力を2.9MPaに変更した点を除いて、実施例1〜3と同様の方法でホットプレスによる焼結を行った。
比較例4〜6
焼結温度を700℃に固定し、圧力を4.9〜49.0MPaの範囲で変化させた点を除いて、実施例1〜9と同様の方法でホットプレスによる焼結を行った。
「評価」(実施例1〜9、比較例1〜6)
実施例1〜9、比較例1〜6のそれぞれの方法によって得られた、それぞれの酸化物焼結体についての相対密度を求め、スパッタリングターゲットとしての適用の可否を評価した。スパッタリングターゲットとして用いるためには、相対密度が少なくとも80%以上であることが必要である。そこで、評価基準を次のように設定した。すなわち、相対密度90%以上を◎、80%以上90%未満を○と表記し、いずれも合格とした。80%未満の場合には不合格とし、×と表記した。次の表1に評価結果を示す。
Figure 0004915065
表1から、実施例1〜9の温度800〜1000℃、圧力4.9〜49.0MPaの範囲の条件でホットプレスを行うことによって、相対密度80%以上の酸化物焼結体が得られることがわかる。
ここで、相対密度80%以上の酸化物焼結体の端材を粉砕し、粉末X線回折測定を実施した。その結果、JCPDSカードの31−600記載のIn2Si27相(トルトバイタイト型構造)が主相であることが確認された。また、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)搭載の走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた電子線回折、さらにはX線光電子分光分析装置(XPS)による分析を行ったところ、酸化物焼結体中には二酸化シリコンの相の存在は認められなかった。
次に、これらの焼結体を直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨いてターゲット面とし、無酸素銅製のバッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、スパッタリングターゲットを得た。
次に、上記のように実施例1〜9の各条件で製造された酸化物焼結体を加工等して各スパッタリングターゲットとして用いて、直流スパッタリングを行った。スパッタリング装置は、アネルバ社製特SPF−530Hを使用した。純度99.9999重量%のArガスとO2ガスを導入して全ガス圧を0.5Paとし、O2ガスの流量比率を8%に設定した。投入電力をDC200Wとして直流プラズマを発生させ、スパッタリングを長時間連続で行った。スパッタリング中に、アーク放電はほとんど生じず、安定した放電が可能であった。
比較例7
焼結温度を1050℃、圧力を29.4MPaに変更した点を除いて、実施例1〜9、比較例1〜6と同様の方法でホットプレスを行った。1050℃まで温度を上げたことによって、酸化インジウムが還元されて低融点の金属インジウムが生成し、その結果、カーボン型へ金属インジウムの滲み出しが観察された。この結果より、1050℃以上の温度におけるホットプレスでは、良好な酸化物焼結体を得ることができないことが明らかとなった。
実施例10
Si粉末を平均粒径300μmの粉末に変更した点を除いては、実施例5と同様の方法でホットプレスによる焼結を行った。その結果、焼結体の相対密度は91%であった。実施例1〜9と同様の方法で焼結体の分析を行ったところ、二酸化シリコンの存在は認められなかった。焼結体を実施例1〜9と同様の方法でスパッタリングターゲットとして用いて、直流スパッタリングを行ったが、アーク放電はほとんど生じず、安定した放電が可能であった。
比較例8
Si粉末を平均粒径500μmの粉末に変更した点を除いては、実施例5と同様の方法でホットプレスによる焼結を行った。その結果、焼結体の相対密度は87%であった。しかし、焼結体を実施例1〜9と同様の方法でスパッタリングターゲットとして用いて、直流スパッタリングを行ったところ、ターゲットにクラックが生じた。
実施例11〜14
はじめに4種類の組成の酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットを、実施例5と同様の工程で作製した。各ターゲットのインジウムに対するシリコンの原子比率は、0.65(実施例11)、1.00(実施例12:実施例5のターゲットを使用)、1.55(実施例13)、および1.75(実施例14)とした。
次に、各組成のターゲットを用いて、直流スパッタリングによる成膜を行った。用いた成膜装置ならびに成膜条件は、実施例1〜9と同様である。基板は、コーニング社製7059ガラス基板を使用し、ターゲット−基板間距離を60mmとした。
得られたスパッタリングターゲット及び得られた膜について以下の特性を調べた。すなわち、ターゲットに関して、主相の構造、直流スパッタリングの可否、特にアーク放電の発生(ターゲット使用初期を除く)を調べた。
得られた膜に関しては、各組成のスパッタリングターゲットを用いて成膜した膜について、屈折率の測定およびX線回折による相同定を行った。なお、膜に含まれるインジウムに対するシリコンの原子比率を、ICP発光分光分析で調べたところ、ターゲット組成と大きく違っていないことを確認した。次の表2に、スパッタリングターゲット及び得られた膜の特性について調べた結果を示す。
Figure 0004915065
表2に示すように、実施例11〜14の組成では、主相はトルトバイタイト型構造のIn2Si27結晶相であった。また、スパッタリングにおいて、アーク放電は発生せず、成膜においてなんら問題はなかった。次に、各組成のスパッタリングターゲットを用いて室温にて成膜した酸化物膜の屈折率を調べたところ、屈折率は1.7〜1.9の範囲であった。また、これらの酸化物膜の構造は非晶質であった。
比較例9〜11
インジウムに対するシリコンの原子比率を0.20(比較例9)、0.60(比較例10)、および2.40(比較例11)とした以外には、実施例11〜14と同様の方法でスパッタリングターゲット作製、及び酸化物膜の成膜を行った。実施例11〜14と同様の内容について調べた結果を次の表3に示す。
Figure 0004915065
表3に示したように、比較例9の組成では、アーク放電は発生しなかったが、主相はビックスバイト型構造の酸化インジウム(In23)結晶相であった。また、スパッタリングによって得られた酸化物膜の屈折率は2.02であり、中間屈折率膜に要求される1.7〜1.9の範囲から外れていた。
比較例10の組成では、主相はトルトバイタイト型構造のIn2Si27結晶相であり、アーク放電も起こらず、特に問題はなかった。しかし、屈折率は1.93であり、中間屈折率膜に要求される1.7〜1.9の範囲を外れていた。
また、比較例11の組成では、アーク放電が頻発し、継続的なスパッタリング成膜が不可能であった。また、このターゲットの一部について、TEMによる組織観察とEDXによる半定量分析を行ったところ、SiとOからなる相が主相であることが判明した。すなわち、主相は、トルトバイタイト型構造のIn2Si27結晶相ではなく、酸化珪素相であると判断された。
なお、X線回折の結果、比較例1および2の膜はすべて非晶質であることが明らかとなった。
実施例15
厚さ100ミクロンのPETフィルム(東洋紡績社製)上に、三層の酸化物膜からなる積層体を反射防止膜として形成した。スパッタリング装置は、インターバック式スパッタリング装置を使用した。ターゲット寸法は、奥行き5インチ、幅15インチ、厚み6mmであり、一層目として、インジウムに対するシリコンの原子比率が1.00のターゲット(実施例5)を用いて成膜した。スパッタリングガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用い、酸素流量比を8%とし、投入電力を800Wとして、直流マグネトロンスパッタリングを行った。搬送速度の調整によって、ターゲット上を通過するPETフィルム上に本発明の酸化物膜(屈折率1.80)を140nm形成した。
次に、ICO(In23−10.3wt%CeO2−3.2wt%SnO2)のターゲットを用いて、ICO膜(屈折率2.1)を280nm形成した。このときのスパッタリングガスの酸素流量比を2%とした。
続いて、Siターゲットを用いて、上記TiO2膜の上にSiO2膜(屈折率1.46)を140nm形成した。このときのスパッタリングガスの酸素流量比を30%とした。
得られた3層構成の積層体の総膜厚は560nmであった。この積層体の反射率は0.2%以下であり、実用上、十分低反射であることが確認された。
実施例16
直流電源としてENI社製RPG−50を用い、200kHzの直流パルシングを採用した直流電力200Wを印加する方法に変更した点を除いて、実施例1〜14と同様の条件で成膜を行った。その結果、実施例1〜14と同等の屈折率を示す非晶質膜が得られた。なお、成膜中のアーク放電の発生は認められなかった。

Claims (11)

  1. 直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体であって、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、ホットプレス法により焼結して得られ、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まないことを特徴とする酸化物焼結体。
  2. 直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体であって、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、平均粒径5μm以下の酸化インジウム粉末かつ平均粒径300μm以下のシリコン粉末からなる原料を用い、ホットプレス法により焼結条件が圧力4.9〜49.0MPaの不活性ガス雰囲気中で800〜1000℃の温度範囲で焼結され、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まないことを特徴とする酸化物焼結体。
  3. 直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体であって、主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、相対密度が少なくとも80%以上であり、平均粒径5μm以下の酸化インジウム粉末かつ平均粒径300μm以下のシリコン粉末からなる原料を用い、ホットプレス法により焼結条件が圧力4.9〜49.0MPaの不活性ガス雰囲気中で800〜1000℃の温度範囲で焼結され、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まないことを特徴とする酸化物焼結体。
  4. 主にインジウム、シリコンを含む酸化物からなり、インジウムに対するシリコンの原子比率が0.65〜1.75であり、かつ、トルトバイタイト型構造を有する珪酸インジウム化合物の結晶相を主相とし、二酸化シリコンを含まない、直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体の製造方法であって、該酸化物焼結体を、酸化インジウム粉末とシリコン粉末を原料とし、ホットプレス法により焼結して得ることを特徴とする酸化物焼結体の製造方法。
  5. 前記酸化インジウム粉末の平均粒径が5μm以下であり、かつシリコン粉末の平均粒径が300μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の酸化物焼結体の製造方法。
  6. 前記ホットプレス法の焼結条件が、不活性ガス雰囲気中、焼結温度800〜1000℃、及び圧力4.9〜49.0MPaであることを特徴とする請求項4に記載の酸化物焼結体の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物焼結体を直流スパッタリング法による成膜に用いられるスパッタリングターゲットとして用い、得られる酸化物膜であって、主にインジウムとシリコンを含む酸化物からなる非晶質膜であり、かつ屈折率が1.7〜1.9であることを特徴とする非晶質酸化物膜。
  8. 基体の片面または両面に、請求項7に記載の非晶質酸化物膜を少なくとも一層以上形成してなることを特徴とする積層体。
  9. 基体の片面または両面に、請求項7に記載の酸化物膜、屈折率が1.9以上の酸化物膜、および屈折率が1.3〜1.6の酸化物膜が、これらの順に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の積層体。
  10. 屈折率が1.9以上の酸化物膜が、酸化チタン膜、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、酸化セリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化タングステン膜、酸化錫膜、酸化インジウム膜、酸化錫添加酸化インジウム膜(ITO膜)、酸化セリウム添加酸化インジウム膜(ICO膜)または酸化亜鉛膜のうちから選ばれる1種の酸化物膜であり、屈折率が1.3〜1.6の酸化物膜が、酸化シリコン膜または酸化アルミニウム膜であることを特徴とする請求項9に記載の積層体。
  11. 反射防止膜として用いられることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の積層体。
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