JP5998072B2 - 塗膜形成方法及び装置並びに磁気記録媒体製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、塗膜形成方法及び装置並びに磁気記録媒体製造方法及び装置に関する。
帯状の支持体上に磁性層が形成される磁気記録テープ等の磁気記録媒体は、磁気記録の高密度化に伴って磁性層の薄膜化が進められている。しかし、磁性層が薄くなると磁性層表面に支持体表面の凹凸が反映されやすくなり、磁性層の平滑性が損なわれてしまう。磁性層の平滑性が低いと電磁変換特性が劣化し、磁気記録媒体の信頼性が低下する不利が生じる。そのため、通常は支持体と磁性層との間に非磁性層を設けた層構成とし、支持体表面の凹凸による影響を受けにくくしている。この層構成によれば、カレンダー処理後の磁性層表面の平滑性を確保できる。しかし、非磁性層上に磁性層を塗布する際、上層の磁性層塗布液に含まれる溶剤によって非磁性層表面が溶け、磁性層表面が粗くなり、電磁変換特性が向上できない場合がある。この問題を解決するために、現在では非磁性層に電離放射線硬化樹脂を含有させ、非磁性層に電離放射線を照射して硬化させた後、硬化した非磁性層上に磁性層を塗布することが行われている。しかし、非磁性層への電離放射線の照射は、非磁性層の硬化度が上がり、非磁性層上に塗布した磁性層の表面は平滑になるものの、非磁性層のカレンダー成形性が低下する。その結果、カレンダー処理による磁性層の平滑効果が不十分となり、却って磁性層表面が粗くなる。また、非磁性層への電離放射線の照射量が少ないと、非磁性層の硬化度が不足し、磁性層塗布液中の溶剤に浸され、非磁性層上に塗布した磁性層表面が粗くなる。従って、非磁性層の硬化度を、磁性層塗布液中の溶剤に侵されず、かつカレンダー成形性を確保できる一定の範囲に収めることが必要となる。
また、電離放射線の照射により塗膜を硬化させる方法については、例えば特許文献1〜5に示すような更なる改善が進められている。特許文献1には、電離放射線を照射する領域における酸素濃度を低減することにより、硬化反応阻害を抑制して非磁性層の硬化度を向上させる方法が提案されている。特許文献2、3には、電離放射線硬化型の材料を含む塗膜の形成後、塗膜表面を加熱して硬化進行速度を上昇させる方法が提案されている。
特開2006−202417号公報 特開2006−247530号公報 特開2006−255661号公報 特開平5−27097号公報 特開昭59−20957号公報
しかしながら、上記のように塗膜を硬化させるために酸素濃度の低減や塗膜温度を上昇させても、目的とする塗膜の硬化度が得られないことがある。特許文献1の方法により電離放射線の照射領域を酸素濃度500ppm以下の雰囲気としても、支持体に塗布された塗膜の硬化度の分布を改善することができないため、均等な硬化度が得られない。また、特許文献2の方法では、塗膜全体の硬化度は向上し、塗布の硬化度の分布は狭くなる傾向だが、目的の程度でかつ均等な硬化度の塗膜を得ることはできない。特許文献3の方法である不活性ガスの吹き付けにより塗膜を加熱しても、上記同様である。
その原因として、同伴エアの影響により、酸素濃度が支持体幅方向や長さ方向にばらつきを有することが挙げられる。また、電離放射線についても、照射強度の時間的な変動や、フィラメントの配置等に起因する支持体幅方向の照射強度分布が存在すること等の処理装置特有の現象が挙げられる。例えば、特許文献4,5に電離放射線の照射強度を均一にするための照射装置の改善は検討されているが、十分なレベルには至っていない。そのため、依然として塗膜の硬化分布を均等化できないのが実情である。
また、非磁性下層の硬化が不十分な場合は、非磁性下層上に磁性層を塗布した際に十分な平滑性が維持できず、非磁性下層の一定以上の硬化が必要となる。
上記処理装置特有の現象を改善するためには、硬化が不十分な部分を必要硬化状態にすべく、全体的に硬化度の向上を図る事が望ましい。しかし、そのためには酸素濃度の低下及び均一化や電離放射線強度の均一化の為の装置改造に多大な費用を要し、製造コストを上昇させる不利がある。また、塗膜を全体的に加熱すれば硬化度の均一化が図れるが、全体的に加熱することで、電離放射線照射設備の安定性が低下し、必要以上の加熱や硬化により支持体へのダメージが高まる等の問題が生じる。また、上記したいずれの方法であっても、形成直後の塗膜の硬化度を判定できないため、適正品質管理を行う事ができず、結果として多大な製品ロスを生じる事となる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、酸素濃度分布や電離放射線の照射強度分布等の処理装置特有の影響を受けることなく、均等な硬化度の塗膜を高効率で得られる塗膜形成方法及び装置並びに磁気記録媒体製造方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、下記構成からなる。
(1) 電離放射線硬化性を有する樹脂が含まれる塗膜を帯状の支持体上に形成し、上記支持体を搬送しつつ電離放射線を照射して上記塗膜を硬化させる塗膜硬化方法であって、
上記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所の加熱領域それぞれに、上記加熱領域毎に設定される加熱温度設定値に基づいて温度制御された不活性ガスを吹き付けて、上記加熱領域それぞれを個別に加熱する加熱工程と、
上記支持体の加熱後に、電離放射線を上記塗膜に照射する電離放射線照射工程と、
上記電離放射線の照射後に、上記支持体幅方向に沿った上記塗膜の表面温度分布を測定する表面温度測定工程と、
測定された上記表面温度分布に応じて、上記加熱領域毎に設定される上記加熱温度設定値を上記塗膜の表面温度が均一化されるように変更する加熱温度制御工程と、を含み、
上記加熱温度制御工程は、上記電離放射線の強度が相対的に高い加熱領域に対しては上記加熱温度設定値を低くし、相対的に低い加熱領域に対しては上記加熱温度設定値を高く変更する塗膜硬化方法。
(2) (1)記載の塗膜硬化方法により硬化させた上記塗膜上に、磁性層を形成して磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体製造方法。
(3) 電離放射線硬化性を有する樹脂が含まれる塗膜を帯状の支持体上に形成し、上記支持体を搬送しつつ電離放射線を照射して上記塗膜を硬化させる塗膜硬化装置であって、
上記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所の加熱領域それぞれに、上記加熱領域毎に設定される加熱温度設定値に基づいて温度制御された不活性ガスを吹き付けて、上記加熱領域それぞれを個別に加熱する加熱部と、
電離放射線を上記塗膜に照射する電離放射線照射部と、
上記電離放射線の照射後における上記支持体幅方向に沿った上記塗膜の表面温度分布を測定する表面温度測定部と、
測定された上記表面温度分布に応じて、上記加熱領域毎に設定される上記加熱温度設定値を上記塗膜の表面温度が均一化されるように変更する加熱温度制御部と、を備え、
上記加熱温度制御部は、上記電離放射線の強度が相対的に高い加熱領域に対しては上記加熱温度設定値を低くし、相対的に低い加熱領域に対しては上記加熱温度設定値を高く変更する塗膜硬化装置。
(4) 上記(3)記載の塗膜硬化装置と、
上記支持体上に上記塗膜を形成する塗膜形成部と、
硬化させた上記塗膜上に、磁性層を形成する磁性層形成部と、
を備える磁気記録媒体製造装置。
本発明によれば、酸素濃度や電離放射線の照射強度分布等の処理装置特有の影響を受けることなく、均等な硬化度の塗膜が高効率で得られる。
本発明の実施形態を説明するための図で、磁気記録テープにおける支持体上の塗膜の層構成を示す概略的な断面図である。 磁気記録テープの製造装置を模式的に示す全体構成図である。 放射線照射部を概略的に示す構成図である。 加熱部の構成を模式的に示す構成図である。 電子線照射後の非磁性層の表面温度と非磁性塗布層の未硬化成分の割合の関係を示すグラフである。 放射線照射部の要部における制御ブロック図である。 他の構成例における放射線照射部の要部を模式的に示した上視図である。 図7の放射線照射部が電子線を照射した際の支持体幅方向に対する吸収線量の分布を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下、磁気記録媒体の一例として磁気記録テープの製造手順とそれに用いる塗膜硬化装置及び磁気記録媒体製造装置の構成を説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、磁気記録テープにおける支持体上の塗膜の層構成を示す概略的な断面図である。製造される磁気記録テープMTは、支持体11上に、非磁性層13と、磁性層15とが積層されている。
図2は、磁気記録テープMTを製造する製造装置(磁気記録媒体製造装置)を模式的に示す全体構成図である。
製造装置100は、長尺帯状の支持体11が巻回された送り出しロール17と、非磁性層13と磁性層15とがこの順で形成されて搬送される支持体11を巻き取る、巻き取りロール19を有している。この製造装置100は、送り出しロール17から送り出された支持体11を搬送経路に沿って搬送しながら、磁気記録テープMTを製造するものである。
製造装置100は、搬送される支持体11の搬送方向の上流側から順に、非磁性塗布液塗布部21と、非磁性塗布液乾燥部23と、放射線照射部25と、磁性塗布液塗布部27と、磁性塗布液乾燥部29とを備えている。また、支持体11の搬送経路には、搬送される支持体11の記録面(磁性層及び非磁性層を設けらる側の面)の反対側を支持するガイドローラが適宜設けられている。
非磁性塗布液塗布部21は、非磁性粒子と、放射線硬化性材料とを含む非磁性塗布液を支持体11の上面に塗布し、非磁性塗布層(塗膜とも呼称する)を形成する。
非磁性塗布液乾燥部23は、非磁性塗布液塗布部21で形成された非磁性塗布層を乾燥させる。非磁性塗布層は、非磁性塗布液乾燥部23で溶剤が乾燥され、その後、支持体11が搬送経路の下流側に配置される放射線照射部25へ搬送される。これら非磁性塗布液塗布部21及び非磁性塗布液乾燥部23は塗膜形成部を構成する。
放射線照射部25は、非磁性塗布層に電離放射線を照射して、非磁性塗布層を硬化させる塗膜硬化装置として機能する。非磁性塗布層は放射線照射によって所望の硬化度まで硬化されて、非磁性層13(図1参照)になる。
磁性塗布液塗布部27は、硬化された非磁性層13上に、磁性粒子を含む磁性塗布液を塗布し、磁性塗布層を形成する。磁性塗布層は、湿潤状態のまま搬送経路の下流側へ搬送される。
磁性塗布液乾燥部29は、湿潤状態の磁性塗布層を乾燥させる。磁性塗布液乾燥部29には、湿潤状態の磁性塗布層に含まれる磁性粒子を配向させる配向部が設けられていてもよく、又は、配向部が磁性塗布液塗布部27の搬送経路の下流側で磁性塗布液乾燥部29の間に別途設けられていてもよい。磁性塗布層は、乾燥することで磁性層15(図1参照)となる。上記磁性塗布液乾燥部29は磁性層形成部として機能する。
磁性層15及び非磁性層13が形成された支持体11は、巻き取りロール19に巻き取られて、図示しないカレンダー工程等の次工程に送られた後、所望のテープ幅に裁断され、磁気記録テープが完成する。
次に、放射線照射による硬化の工程及びその装置構成について説明する。
非磁性塗布層に放射線を照射して硬化する工程に使用される電離放射線としては、例えば電子線や紫外線が例示できる。紫外線を使用する場合には、非磁性塗布液中に光重合開始剤を混入させる。電子線を使用する場合には、重合開始剤が不要であり、非磁性塗布層に対する電子線の透過深さも深い。また、非磁性塗布層に対する電離放射線のエネルギーが高く、塗布速度を上げることができ、生産性が向上する。
電子線加速器としては、スキャニング方式、ダブルスキャニング方式、あるいはカーテンビーム方式が採用でき、好ましくは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式を採用できる。電子線特性としては、加速電圧が30〜1,000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として5kGy〜200kGy(0.5〜20Mrad)、好ましくは10Gy〜100Gy(1〜10Mrad)である。加速電圧が30kV以下の場合はエネルギーの透過量が不足し、300kVを超えると重合に使われるエネルギーの効率が低下して経済的でなくなる。電子線を照射する雰囲気は、窒素パージにより酸素濃度を好ましくは300ppm以下、特に好ましくは200ppm以下にする。酸素濃度が高くなるに従って、非磁性塗布液の表面近傍における架橋、硬化反応が阻害される。なお、本明細書における「A〜B」との標記は、A以上、B以下を意味し、A,B各値を規定の範囲に含むものとする。
紫外線光源としては、水銀灯が用いることができる。水銀灯は20〜240W/cmのランプを用い、支持体11の搬送速度を0.3m/分〜20m/分とする。支持体11と水銀灯との距離は、一般に1〜30cmであることが好ましい。
紫外線硬化に用いる光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤が用いられる。詳細は例えば「新高分子実験学第2巻第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)に記載されているものを使用できる。具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノンなどがある。芳香族ケトンの混合比率は、放射線硬化化合物100質量部に対し0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、更に好ましくは3〜10質量部であることが適当である。
電離放射線の照射は、非磁性層13を塗布、乾燥した後に行うのが好ましい。放射線硬化装置、その運転条件などについては「UV・EB硬化技術」(1982年、(株)総合技術センター発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000年、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
図3は放射線照射部25を概略的に示す構成図である。この放射線照射部25では、電離放射線として電子線を用いている。
放射線照射部25は、支持体11が連続的に搬送されるケーシング31を備えている。ケーシング31には、矢印P方向の搬送路上流側から下流側へ向かって順に、第1の室33、第2の室(前パージ室)35、第3の室(パージ室)37、第4の室(後パージ室)39、第5の室41が設けられている。第1の室33には、支持体11をケーシング31に搬入するための搬入口31aが設けられている。第5の室41には、支持体11をケーシング31から搬出するための搬出口31bが設けられている。
第1の室33と前パージ室35との間、前パージ室35とパージ室37との間、パージ室37と後パージ室39との間、後パージ室39と第5の室41との間は、搬送される支持体11の通過を許容しつつ、仕切り壁43A,43B,43C,43Dによって仕切られている。また、ケーシング31内には、搬送される支持体11の記録面の反対側を支持する複数の搬送ローラ45が配置されている。
第1の室33には、下流側の前パージ室35との仕切り壁43Aに、第1の室33内に不活性ガスを噴射するスリットノズル47が設けられている。不活性ガスとしては、ここでは窒素ガスを用いるが、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素であってもよい。窒素ガスを用いる場合、装置構成を簡単化できる利点がある。また、電離放射線照射雰囲気中の酸素濃度を増減調整する際に、空気(空気中の酸素)との混合率を制御することで済み、酸素濃度の調整が容易になる。第1の室33内の不活性ガスは、第1の室33の搬入口31aから導入されるエアによって、ケーシング31の外部へ排気される。各室を不活性ガス雰囲気にすることで、照射した電離放射線により塗膜中に発生したラジカルが、雰囲気中の酸素と反応し、塗膜の硬化が阻害されることを防止できる。
前パージ室35には、下流側のパージ室37との仕切り壁43Bに、前パージ室35内に不活性ガスを噴射するスリットノズル49が設けられている。前パージ室35は、支持体11の表面にスリットノズル49から不活性ガスを噴射供給することで、搬送される支持体11に同伴する空気を除去する。
パージ室37の外側には、電離放射線照射部の電子線照射源であるフィラメント51が設けられている。フィラメント51は真空封止されており、Ti箔の電子線出射窓52から電子線が出射される。パージ室37は、搬送される支持体11表面の非磁性塗布層に電子線を照射する照射室として機能する。また、パージ室37には上流側と下流側とのそれぞれに、支持体11の表面に不活性ガスを噴射する酸素濃度調整ノズル53A,53Bが設けられている。更に、パージ室37には酸素濃度を測定するための酸素濃度センサ55が設けられている。酸素濃度センサ55は、支持体11の10mm直上に配置されている。パージ室37では、酸素濃度が300ppm以下の雰囲気で、放射線が放射される。
後パージ室39には、不活性ガスを噴出するノズル類は、特に何も設けられていない。後パージ室39の上流側における仕切り壁43C側には、搬送される支持体11上の非磁性塗布層の表面温度を測定する温度センサ57が設けられている。温度センサ57は、支持体11の10mm直上に1つ又は複数個が配置され、電子線照射直後の非磁性塗布層の表面温度を測定する。温度センサ57としては、非接触式の放射温度計が好ましく、例えば、サーモパイルを用いる赤外線温度計等を使用できる。サーモグラフィ温度計を用いれば、広範囲の温度分布を一度に測定できる。複数個の温度センサ57を用いる場合には、支持体幅方向に沿って配置される複数のスリットノズル49それぞれに対応して、各温度センサ57を配置する。また、複数個の温度センサ57を用いることで、温度の測定精度が向上し、これにより塗膜の硬化度をより均等にできる。
第5の室41には、搬出口31bが設けられている。搬出口31bは、ケーシング31内に充満した不活性ガスを外部に排気する。
スリットノズル47,49は、それぞれが同じ構成であり、図4に加熱部の構成を模式的に示すように、支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向Sに沿って複数個(図示例では4個)のスリットノズル47A,47B,47C,47Dが直線状に配置されている。スリットノズル49も同様に複数個が直線状に配列されている。図4においては、スリットノズル47を例に示しているが、スリットノズル49についても同様である。なお、スリットノズル47,49は、いずれか一方のみが加熱機能を有し、他方が送風機能のみ有するノズルであってもよい。
各スリットノズル47A,47B,47C,47Dには、不活性ガス供給部61に接続されるガス供給路63A,63B,63C,63Dがそれぞれ接続されており、これらガス供給路の途中には、供給路上流側から順に、ヒータ65A,65B,65C,65D、温度計67A,67B,67C,67Dがそれぞれ配置されている。スリットノズル、ヒータ、温度計、及びガス供給路は、その一組がそれぞれ分割加熱器を構成し、これら複数の分割加熱器(スリットノズル47のみ、又はスリットノズル47,49の両方)で加熱部が構成される。各スリットノズルは、支持体幅方向の異なる位置の加熱領域をそれぞれ個別に加熱する。
ヒータ65Aは、入力される加熱温度設定値に応じて独立して加熱制御される。温度計67Aは、ヒータ65Aによって加熱されたガス温度を測定して、ガス温度が設定された加熱温度設定値になるようにヒータ65Aの出力を制御するために使用される。なお、他のヒータ65B,65C,65Dについても上記同様である。
パージ室37においては、酸素濃度が300ppm以下の雰囲気で電子線を放射することによって、支持体11表面近傍も安定して低い酸素濃度となり、非磁性塗布層の硬化反応を妨げる作用が抑えられる。これにより、表面が平滑な非磁性層13及び磁性層15が形成されやすくなる。
また、放射線照射部25では、第1の室33及び前パージ室35において支持体11に向けて不活性ガスを噴射供給することで、搬送される支持体11表面に同伴するエアを除去している。このため、パージ室37に持ち込まれる酸素の濃度が低減され、支持体11表面の酸素濃度を十分に低減できる。更に、前パージ室35において、電子線照射の前に不活性ガスをパージすることで、パージ室37で供給する不活性ガスの量を低減させることができる。
ケーシング31の、上記各室33〜41それぞれの搬送方向長さは、同じとしてもよく、又は、各室で異なるようにしてもよい。前パージ室35をパージ室37に比べて長くし、上記のパージ時間を長くしてもよい。
次に、上記構成の放射線照射部25により、電子線の照射後に、塗膜の表面温度を測定して得た表面温度測定値に応じて、ヒータの加熱温度設定値を変更して、スリットノズルから噴射する不活性ガスの温度をフィードバック制御する工程について説明する。
図5は電子線照射後の非磁性塗布層全体に対する未硬化成分の割合を示すグラフである。図5によれば、非磁性塗布層の表面温度が高くなるに従って、未硬化成分割合が減少し、硬化度が向上する傾向が認められる。そこで、電子線照射後の非磁性塗布層の表面温度を測定することで、その非磁性塗布層の硬化度を判定でき、後段で完成される磁気記録テープ製品の性能良否を製造途中で判断できる。つまり、非磁性層塗膜の支持体幅方向に沿った複数の点で、非磁性塗布層の表面温度を測定することで、支持体幅方向の硬化度の分布が検出可能となる。
図6に放射線照射部25の要部における制御ブロック図を示した。放射線照射部25(又は製造装置100)の制御部71には、温度センサ57、ヒータ65A、65B,65C,65Dが接続され、各部間で検出信号や駆動信号が伝送されるようになっている。また、この制御部71は、加熱温度を制御する加熱温度制御部としても機能する。なお、図示はしないが、制御部71には図3に示す酸素濃度センサ55が接続される他、フィラメント51(図3)の駆動電流や供給電圧を制御して、出射される放射線のオンオフや照射強度を制御する放射線出力制御部と、スリットノズルから噴射する不活性ガスの流量を制御する不活性ガス供給部とが接続される。
制御部71は、図3に示すP方向に搬送される支持体11に向けて、第1の室33ではスリットノズル47から、前パージ室35ではスリットノズル49からそれぞれ加熱制御された不活性ガスを噴射させ、加熱された不活性ガスを支持体11上の非磁性塗膜に吹き付ける(加熱工程)。スリットノズル47,49から噴射される不活性ガスの温度は、図4に示すヒータ65A,65B,65C,65Dの加熱制御により設定される。即ち、制御部71は、不活性ガス供給部に駆動信号を出力して不活性ガスの供給を開始させ、各ヒータ65A,65B,65C,65Dに加熱温度設定値に応じた駆動信号を出力する。ヒータ65Aは、設定される加熱温度設定値に基づいて、内部を流動する不活性ガスを加熱する。不活性ガスの加熱温度は、ヒータ65A下流側に配置される温度計67Aにより測定され、ヒータ65Aは測定温度と加熱温度設定値とのずれをなくすように出力を補正する。制御部71は、ヒータ65B,65C,65Dについても同様な処理を行う。
次に、非磁性塗布膜が加熱された支持体11は、図3に示すパージ室37に搬送され、電子線の照射による非磁性塗布層の硬化処理が行われる(電離放射線照射工程)。このパージ室37は、制御部71が、酸素濃度センサ55からの酸素濃度検出値に応じて酸素濃度調整ノズル53A,53Bから不活性ガスを噴射させることで、パージ室37を予め所望の酸素濃度の雰囲気にしている。
また、制御部71は、放射線出力制御部に電子線の照射制御信号を出力して、フィラメント51から発生する電子線を支持体11に向けて照射させる。
電子線の照射された支持体11は、後パージ室39に搬送される。制御部71は、後パージ室39に搬送された支持体11上の非磁性塗布層の表面温度を温度センサ57により測定する(表面温度測定工程)。表面温度の測定は、複数の温度センサにより支持体幅方向に沿った複数点を測定する構成が好ましいが、これに限らず、単一の温度センサを支持体幅方向に走査させつつ測定する構成や、支持体幅方向の全体を一度に測定できるサーモグラフィ温度計を使用する構成としてもよい。
次に、制御部71は、測定された表面温度に基づいて、スリットノズル47,49のいずれか一方、又は両方に対して、噴射供給する不活性ガスの温度を制御する。具体的には、制御部71が、ヒータ65A,65B,65C,65Dの加熱温度設定値を表面温度測定結果に応じて変更する(加熱温度制御工程)。
制御部71は、支持体幅方向に沿った複数の温度センサ57による表面温度測定結果に応じて、ヒータ65A,65B,65C,65Dの加熱温度設定値を変更する際、ヒータ65A,65B,65C,65Dの支持体幅方向位置のそれぞれに、温度センサ57が配置される場合には、各ヒータ65A,65B,65C,65Dは、対応する位置の温度センサ57からの表面温度測定結果に応じて加熱温度設定値を変更する。
なお、複数の温度センサ57が、仮に各ヒータ65A,65B,65C,65Dの支持体幅方向位置と一致しない位置に配置される場合、制御部71は、各温度センサ57の支持体幅方向の配置位置と各表面温度測定結果から、支持体幅方向の表面温度分布情報を比例計算等により求める。制御部71は、この求めた表面温度分布から各ヒータ65A,65B,65C,65Dの配置位置に応じた加熱温度設定値を設定する。
上記のように加熱温度設定値を設定する以外にも、ユーザが制御部71へ任意に入力した数値に基づいて加熱温度設定値を設定してもよい。例えば、制御部71は、温度センサ57の測定結果が所定の設定温度範囲を外れた場合に、表示部にエラー表示や、スピーカ等の報知部から警告音を発生させる。そして、制御部71は、ユーザが入力した数値、又は入力した数値から比例計算等で求めた値を加熱温度設定値として設定する。
制御部71は、電子線照射後における支持体上の非磁性塗布層に対する支持体幅方向の温度分布が、支持体全幅で±5℃以内、好ましくは±3℃以内に収まるように、各ヒータの加熱温度設定値を設定する。
上記の制御を行うことにより、連続搬送されながら加熱処理と電子線の照射が行われる支持体上の非磁性塗布層は、高い応答性で温度制御され、支持体幅方向に均等な硬化度となる。その結果、後段に続く磁性塗布液塗布部27によって塗布されて、カレンダー処理等を経て形成される磁性層が、高い精度で良好な平滑面となる。つまり、非磁性塗布層に照射する電子線の強度が支持体幅方向に対して強度ムラを生じる等、製造装置側に特有な現象が生じても、非磁性塗布層の表面温度を精度良く一定温度に保持することで、非磁性塗布層の硬化度を全面にわたって均等にでき、面精度が高められる。その結果、信頼性の高い磁気記録テープを製造できる。また、非磁性塗布層表面の酸素濃度の影響を受けることなく、均等な硬化度の非磁性塗布層が高効率で得られる。
次に、上記した放射線照射部の他の構成例について説明する。
図7は放射線照射部25Aの要部を模式的に示した上視図である。放射線照射部25Aのパージ室37には、電子線を出射する電子線出射窓52A,52B,52Cが、支持体11上で支持体幅方向Sに沿って等間隔で配置されている。前パージ室35には複数のスリットノズル49A〜49G、後パージ室39には温度センサ57A〜57Gがそれぞれ支持体幅方向に沿って等間隔で配置されている。なお、複数の温度センサ57A〜57Gに代えて、一つの温度センサで、各温度センサ57A〜57Gの位置における非磁性塗布層の表面温度を測定する構成としてもよい。
なお、図7に示す放射線照射部25Aは、複数の電子線出射窓が配置された構成であるが、これに限らず、同一真空装置内に複数のフィラメントが支持体幅方向Sに沿って配置して、複数箇所から電子線を出射させる構成や、複数の放射線照射装置を支持体幅方向Sに沿って並設し、各放射線照射装置から個別に電子線を出射させる構成としてもよい。
本構成の放射線照射部25Aにおいては、制御部71が、支持体11を搬送させながら、スリットノズル49A〜49Gから不活性ガスを噴射させて支持体11上の非磁性塗布層を加熱する。そして、電子線出射窓52A,52B,52Cから電子線を支持体11に向けて照射させ、温度センサ57A〜57Gにより支持体11上の非磁性塗布層の表面温度を測定する。
制御部71は、測定された非磁性塗布層の表面温度に応じて、スリットノズル49A〜49Gに対応するヒータの加熱温度設定値を変更する。つまり、制御部71は温度センサ57Aの表面温度測定結果を用いて、スリットノズル49Aに対応するヒータの加熱温度設定値を変更する。同様に、温度センサ57Bの表面温度測定結果を用いて、スリットノズル49Bに対応するヒータの加熱温度設定値を変更し、温度センサ57Cの表面温度測定結果を用いて、スリットノズル49Cに対応するヒータの加熱温度設定値を変更する。他の温度センサ57D〜57Gも同様に、対応するヒータの加熱温度設定値を変更する。これにより、電子線の照射強度分布によらず、支持体の幅方向Sに対する温度分布を高精度に均一化でき、その結果、非磁性塗布層の硬化度が均等化される。
図8は図7の放射線照射部25Aが電子線を照射した際の支持体幅方向に対する吸収線量の分布を示すグラフである。吸収線量の大きさとして測定される電子線照射強度は、支持体幅方向に分布が生じることがある。本構成例においては、支持体幅方向の50mm、150mm、250mmの位置に配置される電子線出射窓52A,52B,52Cの位置でピークPkとなり、これらピークPkの位置から離れるに従って電子線照射強度が減少する。つまり、隣接する電子線出射窓同士の間と、支持体11の両端部には、電子線照射強度の谷部Trが存在する。
電子線照射強度が支持体幅方向に分布を有する場合、制御部71は、電子線出射窓52A,52B,52Cの位置に応じて各ヒータの加熱温度設定値を変更することが好ましい。例えば、制御部71は、温度センサ57Bの表面温度測定結果を用いて、スリットノズル49A、49B,49Cに対応するヒータの加熱温度設定値を、スリットノズル49A,49Cに対してはスリットノズル49Bより高く設定する。また、温度センサ57Dの表面温度測定結果を用いて、スリットノズル49C,49D,49Eに対応するヒータの加熱温度設定値を、スリットノズル49C,49Eに対してはスリットノズル49Dより高く設定し、同様に、スリットノズル49E,49Gに対してはスリットノズル49Fより高く設定する。
つまり、制御部71は、各ヒータの加熱温度設定値を変更する際、スリットノズル49B,49D,49Fに対応するヒータ(第1分割加熱器のヒータ)の加熱温度設定値T1と、第1分割加熱器のスリットノズル同士の間に配置される第2分割加熱器の加熱温度設定値T2との関係を、T1<T2に設定する。
これらの加熱温度設定値の増減は、電子線出射窓52A,52B,52Cの間隔や電子線の照射強度、また、そのときの各ヒータの加熱温度設定値に応じて適宜調整する。
上記加熱温度設定値の増減制御により、各ヒータの加熱温度設定値を、電子線照射強度の低い谷部Trに対応する支持体幅方向の位置ではピークPk位置の加熱温度設定値より相対的に高く設定することで、電子線照射による非磁性塗布層の硬化度が不足しがちな谷部Trの硬化度を向上できる。このため、非磁性塗布層の硬化度は、支持体幅方向に対して均等となって面精度が高められる。その結果、信頼性の高い磁気記録テープの製造が可能となる。
なお、加熱温度設定値の増減制御は、谷部Tr位置の加熱温度設定値の絶対値を高める増加制御であってもよく、ピークPk位置の加熱温度設定値の絶対値を下げる減少制御であってもよい。
上記した温度センサ57(図1参照)は、本構成においては電離放射線照射部(フィラメント51)の後段に配置している。電離放射線照射部の後段に、支持体上に磁性層を塗布する磁性層形成部を更に備える磁気記録媒体製造装置に対しては、電離放射線照射部と磁性層形成部との間に温度センサ57を配置することが好ましい。即ち、温度センサ57は、電離放射線の直接の影響を受けず、塗膜中の放射線効果樹脂が電離放射線の照射による重合熱により、塗膜表面の温度が上昇し、その後、放熱により塗膜表面温度が一定の値になるまでの間に設置することが好ましい。つまり、温度センサ57は、塗布表面温度と硬化度の関係が求めることができる位置に配置されていればよい。
また、温度センサ57は、重合熱により塗膜表面温度がピークとなる位置に配置することが好ましい。このように、温度センサ57の設置位置は、塗膜の組成、電離放射線の照射強度等により適宜設定できるが、一般的には、パージ室37の出口、具体的には、後パージ室39内におけるパージ室37側とすることが好ましい。こうすることで、パージ室37内に設置する場合に比べ、電離放射線及び酸素濃度調整ノズル53Bより吹き付けられる不活性ガスの影響を受け難くなり、塗膜の表面温度をより正確に測定することができる。
次に、支持体、非磁性塗布層の非磁性塗布液、磁性塗布層の磁性塗布液のそれぞれについて説明する。
非磁性塗布層の非磁性塗布液に含まれる非磁性材料の構成は制限されないが、通常、少なくとも樹脂からなり、好ましくは、粉体、例えば、無機粉末又は有機粉末が樹脂中に分散されたものが挙げられる。無機粉末は、通常、好ましくは非磁性粉末であるが、この層が実質的に非磁性である範囲で磁性粉末を使用してもよい。
非磁性粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物から選択できる。無機化合物としては、例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独又は組み合わせで使用される。
非磁性粉末の表面には表面処理が施され、Al、SiO、TiO、ZrO、SnO、Sb、ZnO、Yが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl、SiO、TiO、ZrOであるが、更に好ましくはAl、SiO、ZrOである。これらは組み合わせて使用してもよく、単独で使用することもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよく、先ずアルミナを存在させた後にその表層をシリカで処理する方法、又はその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般的には好ましい。
非磁性粉末は結合剤に対して重量比率で20〜0.1、体積比率で10〜0.2の範囲で用いられる
磁性層に使用する磁性粒子としては、特に制限されるべきものではないが、α−Feを含む強磁性金属粉末、γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Fe又はNi又はCoを含む(75%以上)強磁性合金微粉末、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、窒化鉄など公知の強磁性粉末が使用できる。これらの強磁性粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでも構わない。これらの強磁性微粉末には後で述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前に予め処理を行っても構わない。具体的には、特公昭44−14090号、同45−18372号、同47−22062号、同47−22513号、同46−28466号、同46−38755号、同47−4286号、同47−12422号、同47−17284号、同47−18509号、同47−18573号、同39−10307号、同48−39639号、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
上記強磁性粉末の中で強磁性合金微粉末については少量の水酸化物、又は酸化物を含んでもよい。強磁性合金微粉末の公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性合金粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を増減調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施したものでも用いることができる。
磁性塗布層の強磁性粉末をBET法による比表面積で表せば25〜80m/gであり、好ましくは35〜60m/gである。25以下ではノイズが高くなり、80以上では表面性が得にくく好ましくない。強磁性粉末の結晶子サイズは45〜10nmであり、好ましくは35〜15nmである。酸化鉄磁性粉末のσ Sは50emu/g以上、好ましくは70emu/g以上であり、強磁性金属微粉末の場合は100emu/g以上が好ましい。
強磁性粉末のr1500は1.5以下であることが好ましい。更に好ましくはr1500は1.0以下である。r1500とは磁気記録媒体を飽和磁化したのち反対の向きに1500Oeの磁場をかけたとき反転せずに残っている磁化量の%を示すものである。強磁性粉末の含水率は0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉末の含水率は最適化するのが好ましい。γ酸化鉄のタップ密度は0.5g/ml以上が好ましく、0.8g/ml以上が更に好ましい。
γ酸化鉄を用いる場合、2価の鉄の3価の鉄に対する比は好ましくは0〜20%であり、更に好ましくは5〜10%である。鉄原子に対するコバルト原子の量は0〜15%、好ましくは2〜8%である。強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましい。強磁性粉末のpHの範囲は4〜12であるが、好ましくは6〜10である。強磁性粉末は必要に応じ、Al、Si、P又はこれらの酸化物などで表面処理を施しても構わない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m以下になり好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合があるが、300ppm以下であれば特に特性に影響を与えない。
また、強磁性粉末は空孔が少ない方が好ましくその値は20容量%以下、更に好ましくは5容量%以下である。強磁性粉末の形状は、先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、粒状、米粒状、板状いずれでも構わない。強磁性粉末のSFD0.6以下を達成するためには、強磁性粉末の抗磁力(保持力)Hcの分布を小さくする必要がある。そのためには、ゲータイトの粒度分布をよくする、γ−ヘマタイトの焼結を防止する、コバルト変性の酸化鉄についてはコバルトの被着速度を遅くするなどの方法がある。
磁性粒子としては、板状六方晶フェライトとしてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、六方晶Co粉末が使用できる。バリウムフェライトを用いる場合、その粒子サイズは0.001〜1μmの直径で厚みが直径の1/2〜1/20である。比重は4〜6g/ccで、比表面積は1〜60m/gである。
本構成において、磁性層、及び後述する非磁性層に使用する結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が挙げられる。また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。その詳細については、例えば特開2009−54270号公報段落[0044]〜[0049]も参照できる。結合剤の添加量は、磁性層については強磁性粉末100質量部あたり5〜30質量とすることが好ましく、非磁性層については非磁性粉末100質量部あたり10〜20質量部とすることが好ましい。
また、結合剤としては公知の放射線硬化型樹脂を使用することも可能である。放射線硬化型樹脂としては、上記例示した樹脂に放射線硬化性官能基を導入したものを挙げることができる。放射線硬化性官能基とは、放射線照射により硬化反応(架橋反応)を起こし得るものであればよく特に限定されるものではないが、反応性の点から、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基が好ましく、アクリル系二重結合基が更に好ましい。ここでアクリル系二重結合基とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド等の残基をいう。これらの中でも、反応性の点からは(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルとを含むものする。このような放射線硬化性官能基を有する樹脂としては、例えば特開2002−117520号公報段落[0037]〜[0044]に記載の各種放射線硬化型樹脂を用いることができる。
ポリウレタン樹脂を用いる場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.049〜0.98MPa(0.05〜10kg/cm)、降伏点は0.049〜0.98MPa(0.05〜10kg/cm)が好ましい。磁気記録媒体は二層からなる。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性塗布層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じ非磁性塗布層と磁性塗布層とで変えることはもちろん可能である。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4−4’−ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフエニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用できる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製:コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製:タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製:デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等があり、これらを単独又は硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の組み合わせで非磁性塗布層、磁性塗布層ともに用いることができる。
磁性塗布層に使用されるカーボンブラックはゴム用フアーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜500m/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5μm〜300μm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ccが好ましい。カーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製:BLACKPEARLS2000、1300、1000、900、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製:♯80、♯60、♯55、♯50、♯35、三菱化成工業社製:♯2400B、♯2300、♯900、♯1000、♯30、♯40、♯10B、コンロンビアカーボン社製:CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50,40,15などが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理してもよく、又は、樹脂でグラフト化して使用してもよく、又は、表面の一部をグラフアイト化したものを使用してもよい。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前に予め結合剤で分散しても構わない。これらのカーボンブラックは単独、又は組み合わせで使用できる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性粉末に対する量の0.1〜30%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性塗布層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って、カーボンブラックは非磁性塗布層、磁性塗布層でその種類、量、組み合わせを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることは当然可能である。例えば、非磁性層に導電性の高いカーボンブラックを用いることにより帯電を防止し、磁性塗布層に粒子径の大きいカーボンブラックを用い摩擦係数を下げるなどが挙げられる。磁性塗布層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
磁性塗布層に用いられる研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み合わせで使用される。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には他の化合物又は元素が含まれる場合もあるが、上記成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせてもよいし、単独の研磨剤で粒径分布を広くして同様の効果を持たせることもできる。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m/g、が好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、又はサイコロ状のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものは研磨性が高く、好ましい。
研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製:AKP−20,AKP−30,AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G5,G7,S−1、戸田工業社製:100ED,140EDなどが挙げられる。研磨剤は非磁性塗布層、磁性塗布層で種類、量及び組み合わせを変え、目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤は予め結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加しても構わない。磁気記録媒体の磁性塗布層の表面及びその端面に存在する研磨剤は5個/100μm以上が好ましい。
添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などを有するものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステングラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフイン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポリフエニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していても構わない)、及び、これらの金属塩(Li,Na,K,Cuなど)又は、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していても構わない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していても構わない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していても構わない)とからなるモノ脂肪酸エステル又はジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。これらの具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、が挙げられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベダイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30%以下が好ましく、更に好ましくは10%以下である。
潤滑剤、界面活性剤は非磁性塗布層、磁性塗布層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、非磁性塗布層、磁性塗布層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられ、ここに示した例のみに限られるものではない。
添加剤のすべて又はその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加しても構わない、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。潤滑剤の商品例としては、日本油脂社製:NAA−102,NAA−415,NAA−312,NAA−160,NAA−180,NAA−174,NAA−175,NAA−222,NAA−34,NAA−35,NAA−171,NAA−122,NAA−142,NAA−160,NAA−173K,ヒマシ硬化脂肪酸,NAA−42,NAA−44,カチオンSA,カチオンMA,カチオンAB,カチオンBB,ナイミーンL−201,ナイミーンL−202,ナイミーンS−202,ノニオンE−208,ノニオンP−208,ノニオンS−207,ノニオンK−204,ノニオンNS−202,ノニオンNS−210,ノニオンHS−206,ノニオンL−2,ノニオンS−2,ノニオンS−4,ノニオンO−2,ノニオンLP−20R,ノニオンPP−40R,ノニオンSP−60R,ノニオンOP−80R,ノニオンOP−85R,ノニオンLT−221,ノニオンST−221,ノニオンOT−221,モノグリMB,ノニオンDS−60,アノンBF,アノンLG,ブチルステアレート,ブチルラウレート,エルカ酸、関東化学社製:オレイン酸、竹本油脂社製:FAL−205,FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブLO,エヌジョルブIPM,サンソサイザーE4030、信越化学社製:TA−3,KF−96,KF−96L,KF−96H,KF410,KF420,KF965,KF54,KF50,KF56,KF−907,KF−851,X−22−819,X−22−822,KF−905,KF−700,KF−393,KF−857,KF−860,KF−865,X−22−980,KF−101,KF−102,KF−103,X−22−3710,X−22−3715,KF−910,KF−3935、ライオンアーマー社製:アーマイドP,アーマイドC,アーモスリップCP、ライオン油脂社製:デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E,ニューポールPE61,イオネットMS−400,イオネットMO−200,イオネットDL−200,イオネットDS−300,イオネットDS−1000,イオネットDO−200などが挙げられる。
有機溶媒は、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、これ以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30%以下が好ましく、更に好ましくは10%以下である。有機溶媒は必要ならば磁性塗布層と非磁性塗布層でその種類、量を変えても構わない。非磁性塗布層に揮発性の高い溶媒を用い表面性を向上させる、磁性塗布層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、磁性塗布層の溶解性パラメータの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその例としてあげられるが、これらの例に限られない。
磁気記録媒体の厚み構成は支持体が1〜100μm、好ましくは3〜20μm、非磁性層の厚みが0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、磁性層の厚みは0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.6μm、更に好ましくは0.05〜0.3μmである。磁性層と非磁性層を合わせた厚みは支持体の厚みの1/100〜2倍の範囲で用いられる。
また、支持体と非磁性層との間に密着性向上のための非磁性塗布層を設けても構わない。非磁性塗布層の厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。
支持体の磁性層が形成される側とは反対側にバックコート層を設けても構わない。バックコート層の厚みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの非磁性塗布層、バックコート層は公知のものが使用できる。
支持体は、ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフイン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの公知のフィルムが使用できる。これらの支持体には予めコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行ってもよい。支持体は、中心線平均表面粗さが0.03μm以下、好ましくは0.02μm以下、更に好ましくは0.01μm以下のものを使用する必要がある。また、これらの支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa,Si,Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。支持体のテープ走行方向のF−5値(フィルムが5%伸びたときのかけられた力を断面積で除した値 ASTM-D-882)は好ましくは0.49〜4.9MPa(5〜50kg/mm)、テープ幅方向のF−5値は好ましくは0.294〜2.94MPa(3〜30kg/mm)であり、テープ長手方向のF−5値がテープ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。
支持体の熱収縮率は、テープ走行方向及び幅方向に100℃30分で、好ましくは3%以下、更に好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも0.49〜9.8MPa(5〜100kg/mm)、弾性率は9.8〜19.6MPa(100〜2000kg/mm)が好ましい。
磁気記録媒体の磁性塗料(磁性材料を含む塗布液)を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていても構わない。強磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初又は途中で添加しても構わない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加しても構わない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができるが、混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力を持つものを使用することにより、磁気記録媒体の高い残留磁化密度(Br)を得ることができる。連続ニーダ又は加圧ニーダを用いる場合は強磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)及び強磁性粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号、特開平1−79274号に記載されている。
逐次重層構成の磁気記録媒体の製造装置に用いる塗布装置には、従来の公知の製造技術を用いることができる。例えば、磁性塗料の塗布で一般的に用いられる、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等が挙げられる。
なお、強磁性粉末の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号や特開平1−236968号に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液に剪断を付与することが望ましい。更に、磁性塗料の粘度については、特開平3−8471号に開示されている数値範囲を満足することが好ましい。
配向の磁界を発生させる磁石としては、100mT以上のソレノイドと200mT以上のコバルト磁石を併用することが好ましく、更には乾燥後の配向性が最も高くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設けることが好ましい。
磁気記録媒体の表面平滑化処理を行うカレンダー処理ロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用する。また、金属ロール同志で処理することもできる。処理温度は、好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上である。線圧力は好ましくは19.69MPa(200kg/cm)、更に好ましくは29.4MPa(300kg/cm)以上であり、その速度は20m/分以上700m/分以下の範囲である。
製造された磁気記録媒体の磁性層及びその反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ましくは0.5以下、更に0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは10−5〜10−12Ω/sq、磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは0.98〜196MPa(100〜2000kg/mm)、破断強度は好ましくは0.098〜2.94MPa(1〜30kg/cm)、磁気記録媒体の弾性率は走行方向、長手方向とも好ましくは0.98〜147MPa(100〜1500kg/mm)、残留伸びは好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
製造された磁気記録媒体の磁性層に含まれる残留溶媒は、好ましくは100mg/m以下、更に好ましくは10mg/m以下であり、磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ない方が好ましい。磁性層及び非磁性層が有する空隙率は、ともに好ましくは30容量%以下、更に好ましくは10容量%以下である。磁性層の空隙率が非磁性層の空隙率より大きい方が好ましいが、逆の場合でも非磁性層の空隙率が20%以下であれば支障はない。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」とは「質量部」を示す。ここでは、図7に示される放射線照射部25Aを使用して、非磁性塗布層の加熱と電子線照射を行い、電子線照射後の非磁性塗布層の表面温度と、非磁性塗布層の硬化度との関係を調べた。
<非磁性塗布液の調製>
――――――――――――――――――――――――――――
非磁性無機粉末(α−酸化鉄 平均粒径0.15μm Sbet52m/g)
80部
カーボンブラック(平均粒径0.020μm、DBPO 吸油量80ml/100g) 20部
電子線硬化型ビニル共重合体(結合剤) 13部
電子線硬化型ポリウレタン樹脂(結合剤) 6部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 150部
メチルエチルケトン 150部
――――――――――――――――――――――――――――
上記材料をオープンニーダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に、以下の材料を加えて攪拌した。
――――――――――――――――――――――――――――
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
ミクロヘキサノン 50部
――――――――――――――――――――――――――――
その後、1μmの平均粒径を有するフィルタを用いて濾過し、非磁性塗布液を調製した。
次いで、上記非磁性層を乾燥後の厚みが1.0μmなるように下記条件で、図2に示す磁気記録テープ製造装置の非磁性層塗布部21において塗布した後、図7に示す放射線照射部25Aにおいて電離放射線を照射し、非磁性層塗膜を硬化させた。
<非磁性層塗布液の塗布条件>
支持体 幅300mm 厚み6μm 材質PEN(ポリエチレンナフタレート)
塗布方式 押し出し塗布
支持体搬送速度 200m/min
非磁性層塗布液の塗布後、電離放射線の照射前に乾燥処理
<電離放射線の照射条件>
電離放射線 電子線
不活性ガス 窒素ガス
照射雰囲気の酸素濃度 照射雰囲気中に窒素ガスの供給量を増減することで調整
電離放射線照射位置における支持体表面から10mm上方位置にある酸素濃度測定点での測定値で200ppm以下に設定
電子線照射強度 支持体幅位置における吸収線量分布は、図8に示す分布であり、支持体幅方向の平均値は20kGy
<その他条件>
非磁性塗布層の表面温度 図7の放射線照射部の要部に示された放射温度計57A〜Gにより、支持体表面から10mm離れた位置から測定
<評価方法>
電子線照射後の支持体の、支持体幅方向で一端部から10mm、50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、290mmの各位置において、電子線照射後の非磁性塗布層の硬化度分布を求めた。具体的には、上記各位置における非磁性塗布層の塗膜を評価サンプル(合計7個)として、各評価サンプルの質量W1を測定した。次に、各評価サンプルをテトラヒドロフラン(THF)溶液 100ml中に浸漬し、60℃で2時間保持し、未硬化成分をTHF中に溶出させた。その後、評価サンプルをTHF溶液中から取り出し、THF溶液 100mlで塗布膜を洗浄し、真空乾燥により140℃で3時間乾燥させた。
次いで乾燥後の評価サンプルの質量W2を測定した。支持体から剥離した時点の評価サンプルの質量W1から乾燥後の評価サンプルの質量を減算し、ゾル分の質量W3を求めた。
そして、支持体から剥離した時点の塗膜中の結合剤比率(%)をBとすると、W3/(W1×B)×10000で算出される値を、塗布膜(非磁性塗布層)の未硬化成分として求めた。本例では、<非磁性塗布液の調製>欄に示す組成より、Bは19/125×100であり、15.2%となる。支持体幅方向の各評価サンプルの未硬化成分の最大値と最小値の差を変動幅とし、その変動幅を支持体幅方向の各評価サンプルの未硬化成分の平均値で除した値を未硬化成分分布とした。その結果を表1に纏めて示す。
Figure 0005998072
実施例1〜4は、スリットノズルから噴射供給する窒素ガスの温度を、支持体幅方向に対して分布を持たせた。即ち、図7に示すスリットノズル49B,49D,49Fに対しては窒素ガス温度を低く設定し、スリットノズル49A,49C,49E,49Gに対しては窒素ガス温度を高く設定した。非磁性塗布層に向けて供給する窒素ガスの温度を制御することで、支持体幅方向における未硬化成分の分布幅は±2%以内に良化した。
比較例1は、スリットノズルから噴射する窒素ガスの温度を、支持体幅方向に対して同じ温度となるように制御して、温度分布を持たせないようにした。比較例2は窒素ガスを加温せずに非磁性塗布層に向けて供給した。
その結果、比較例1,2は、いずれも支持体幅方向の照射線量分布と同じパターンで未硬化成分の分布を生じ、分布幅が10%を超える結果となった。また、温度が高くなると硬化度の上昇率が低下してくるので、未硬化成分の分布幅が小さくなる傾向が認められた。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)電離放射線硬化性を有する樹脂が含まれる塗膜を帯状の支持体上に形成し、上記支持体を搬送しつつ電離放射線を照射して上記塗膜を硬化させる塗膜硬化方法であって、
上記塗膜を、設定された加熱温度設定値に基づき加熱する加熱工程と、
上記支持体の加熱後に、電離放射線を上記塗膜に照射する電離放射線照射工程と、
上記電離放射線の照射後に、上記塗膜の表面温度を測定する表面温度測定工程と、
測定された上記表面温度に応じて、上記加熱温度設定値を変更する加熱温度制御工程と、を含む塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、酸素濃度や電離放射線の照射強度分布等の処理装置特有の影響を受けることなく、均等な硬化度の塗膜が高効率で得られる。
(2) (1)記載の塗膜硬化方法であって、
上記加熱工程は、上記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所の加熱領域を、それぞれに設定された上記加熱温度設定値に基づき個別に加熱し、
上記表面温度測定工程は、上記支持体幅方向に沿った上記塗膜の表面温度分布を測定し、
上記加熱温度制御工程は、測定された上記表面温度分布に応じて、上記加熱領域それぞれの上記加熱温度設定値を変更する塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、塗膜の表面温度が異なる場合に、加熱温度を補正することで塗膜の表面温度を均一にすることができ、これにより、支持体幅方向に均等な硬化度の塗膜が得られる。
(3) (2)記載の塗膜硬化方法であって、
上記加熱温度制御工程は、上記支持体幅方向の両端部における上記加熱領域に対して、他の加熱領域より高い上記加熱温度設定値に変更する塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、同伴エアの影響により酸素濃度が高い支持体の幅方向両端部に対し、この支持体幅方向両端部の加熱温度を高めることで、硬化度不足を解消でき、硬化度の均等性が高められる。
(4) (2)又は(3)記載の塗膜硬化方法であって、
上記加熱温度制御工程は、上記塗膜に電離放射線を出射する出射窓からの上記支持体幅方向距離に応じて、上記加熱温度設定値を変更する塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、支持体上の塗膜が、照射する電離放射線の強度分布に応じた加熱温度に加熱されることで、電離放射線の強度分布によらずに均等な硬化度となる。
(5) (4)記載の塗膜硬化方法であって、
上記加熱温度制御工程は、上記電離放射線の強度が相対的に高い領域に対しては上記加熱温度設定値を低くし、相対的に低い領域に対しては上記加熱温度設定値を高く変更する塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、電離放射線の強度に応じて加熱温度を変更することで、塗膜の硬化度を支持体幅方向で均等にできる。
(6) (1)乃至(5)のいずれか一項記載の塗膜硬化方法であって。
上記加熱工程は、上記加熱温度設定値に基づき温度制御された不活性ガスを上記塗膜に吹き付ける塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、加熱された不活性ガスを塗膜に吹き付けることにより、雰囲気中の酸素と塗膜中のラジカルとの反応を阻害しつつ均一に塗膜を加温させることができる。
(7) (6)記載の塗膜硬化方法であって、
上記不活性ガスが窒素ガスである塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、窒素ガスを用いることで装置構成が簡単化できる。また、電離放射線照射雰囲気中の酸素濃度を増減調整する際に、空気(空気中の酸素)との混合率を制御することで済み、酸素濃度の調整が容易になる。
(8) (1)乃至(7)のいずれか一項記載の塗膜硬化方法であって、
上記電離放射線は電子線である塗膜硬化方法。
この塗膜硬化方法によれば、非磁性塗布層に対する電離放射線のエネルギーが高いため、塗布速度を上げることができ、生産性が向上する。
(9) (1)乃至(8)のいずれか一項記載の塗膜硬化方法により硬化させた上記塗膜上に、磁性層を形成して磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体製造方法。
この磁気記録媒体製造方法によれば、磁気記録媒体の非磁性層膜を、安定して均等な硬化度にすることができ、これにより、磁性層を高精度に平滑化でき、高品質の磁気記録媒体を製造できる。
(10) 電離放射線硬化性を有する樹脂が含まれる塗膜を帯状の支持体上に形成し、上記支持体を搬送しつつ電離放射線を照射して上記塗膜を硬化させる塗膜硬化装置であって、
上記塗膜を、設定された加熱温度設定値に基づき加熱する加熱部と、
電離放射線を上記塗膜に照射する電離放射線照射部と、
上記電離放射線の照射後における上記塗膜の表面温度を測定する表面温度測定部と、
測定された上記表面温度に応じて、上記加熱温度設定値を変更する加熱温度制御部と、を備える塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、酸素濃度や電離放射線の照射強度分布等の処理装置特有の影響を受けることなく、均等な硬化度の塗膜が高効率で得られる。
(11) (10)記載の塗膜硬化装置であって、
上記加熱部は、上記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所に配置され、それぞれに設定された上記加熱温度設定値に基づき個別に加熱する分割加熱器を有し、
上記表面温度測定部は、上記支持体幅方向に沿った上記塗膜の表面温度分布を測定する温度センサを有し、
上記加熱温度制御部は、測定された上記表面温度分布に応じて、上記分割加熱器それぞれの上記加熱温度設定値を変更する塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、塗膜の表面温度が異なる場合に、加熱温度を補正することで塗膜の表面温度を均一にすることができ、これにより、支持体幅方向に均等な硬化度の塗膜が得られる。
(12) (11)記載の塗膜硬化装置であって、
上記表面温度測定部は、上記支持体幅方向の異なる位置で上記塗膜の表面温度を測定する複数の温度センサを有する塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、複数の温度センサを用いることで温度の測定精度が向上し、これにより塗膜の硬化度をより均等にできる。
(13) (12)記載の塗膜硬化装置であって、
上記複数の温度センサは、上記分割加熱器の上記支持体幅方向に対する各配置位置に対応して配置され、
上記加熱温度制御部は、上記分割加熱器それぞれの上記加熱温度設定値を、その分割加熱器に対して上記支持体幅方向で対応する位置に配置された上記温度センサによる表面温度測定結果に応じて変更する塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、各分割加熱器の加熱温度設定値を、支持体幅方向に対応する位置となる温度センサの表面温度測定結果に応じて変更することで、高い応答性で簡単に温度制御が行える。
(14) (12)又は(13)記載の塗膜硬化装置であって、
上記電離放射線照射部は、上記支持体幅方向に沿って、電離放射線が出射される複数の出射窓を有し、
上記出射窓の上記支持体幅方向の位置に対応して配置される上記分割加熱器を第1分割加熱器、上記第1分割加熱器同士の間に配置される上記分割加熱器を第2分割加熱器とした場合に、
上記加熱温度制御部は、上記第2分割加熱器に対する上記加熱温度設定値を、上記第1分割加熱器に対する上記加熱温度設定値より高くする塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、出射窓間の電離放射線照射強度の相対的に低い部分についても、この電離放射線強度の低い部分の加熱温度を高めることで硬化度不足を解消でき、硬化度の均等性が高められる。
(15) (11)乃至(14)のいずれか一項記載の塗膜硬化装置であって、
上記分割加熱器は、上記加熱温度設定値に基づいて不活性ガスを加熱するヒータと、上記ヒータにより加熱された不活性ガスを上記支持体に向けて噴射供給するノズルと、を有する塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、加熱された不活性ガスを塗膜に吹き付けることにより、雰囲気中の酸素と塗膜中のラジカルとの反応を阻害しつつ均一に塗膜を加温させることができる。
(16) (15)記載の塗膜硬化装置であって、
上記不活性ガスが窒素ガスである塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、窒素ガスを用いることで装置構成が簡単化できる。また、電離放射線照射雰囲気中の酸素濃度を調整する際に、空気(空気中の酸素)との混合率を制御することで済み、酸素濃度の調整が容易になる。
(17) (10)乃至(16)のいずれか一項記載の塗膜硬化装置であって、
上記電離放射線照射部は、電子線を照射する塗膜硬化装置。
この塗膜硬化装置によれば、非磁性塗布層に対する電離放射線のエネルギーが高いため、塗布速度を上げることができ、生産性が向上する。
(18) 上記(10)乃至(17)のいずれか一項記載の塗膜硬化装置と、
上記支持体上に上記塗膜を形成する塗膜形成部と、
硬化させた上記塗膜上に、磁性層を形成する磁性層形成部と、
を備える磁気記録媒体製造装置。
この磁気記録媒体製造装置によれば、磁気記録媒体の非磁性層膜を、安定して均等な硬化度にすることができ、これにより、磁性層を高精度に平滑化でき、高品質の磁気記録媒体を製造できる。
11 支持体
13 非磁性層
25 放射線照射部
31 ケーシング
47 スリットノズル
49 スリットノズル
51 フィラメント
52 電子線出射窓
53A,53B 酸素濃度調整ノズル
55 酸素濃度センサ
57 温度センサ
61 不活性ガス供給部
63A,63B,63C,63D ガス供給路
65A,65B,65C,65D ヒータ
71 制御部
100 製造装置
MT 磁気テープ
P 搬送方向
S 支持体幅方向

Claims (15)

  1. 電離放射線硬化性を有する樹脂が含まれる塗膜を帯状の支持体上に形成し、前記支持体を搬送しつつ電離放射線を照射して前記塗膜を硬化させる塗膜硬化方法であって、
    前記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所の加熱領域それぞれに、前記加熱領域毎に設定される加熱温度設定値に基づいて温度制御された不活性ガスを吹き付けて、前記加熱領域それぞれを個別に加熱する加熱工程と、
    前記支持体の加熱後に、電離放射線を前記塗膜に照射する電離放射線照射工程と、
    前記電離放射線の照射後に、前記支持体幅方向に沿った前記塗膜の表面温度分布を測定する表面温度測定工程と、
    測定された前記表面温度分布に応じて、前記加熱領域毎に設定される前記加熱温度設定値を前記塗膜の表面温度が均一化されるように変更する加熱温度制御工程と、を含み、
    前記加熱温度制御工程は、前記電離放射線の強度が相対的に高い加熱領域に対しては前記加熱温度設定値を低くし、相対的に低い加熱領域に対しては前記加熱温度設定値を高く変更する塗膜硬化方法。
  2. 請求項1記載の塗膜硬化方法であって、
    前記加熱温度制御工程は、前記支持体幅方向の両端部における前記加熱領域に対して、他の加熱領域より高い前記加熱温度設定値に変更する塗膜硬化方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の塗膜硬化方法であって、
    前記加熱温度制御工程は、前記塗膜に電離放射線を出射する出射窓からの前記支持体幅方向距離に応じて、前記加熱温度設定値を変更する塗膜硬化方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれ一項記載の塗膜硬化方法であって、
    前記不活性ガスが窒素ガスである塗膜硬化方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の塗膜硬化方法であって、
    前記電離放射線は電子線である塗膜硬化方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の塗膜硬化方法により硬化させた前記塗膜上に、磁性層を形成して磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体製造方法。
  7. 電離放射線硬化性を有する樹脂が含まれる塗膜を帯状の支持体上に形成し、前記支持体を搬送しつつ電離放射線を照射して前記塗膜を硬化させる塗膜硬化装置であって、
    前記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所の加熱領域それぞれに、前記加熱領域毎に設定される加熱温度設定値に基づいて温度制御された不活性ガスを吹き付けて、前記加熱領域それぞれを個別に加熱する加熱部と、
    電離放射線を前記塗膜に照射する電離放射線照射部と、
    前記電離放射線の照射後における前記支持体幅方向に沿った前記塗膜の表面温度分布を測定する表面温度測定部と、
    測定された前記表面温度分布に応じて、前記加熱領域毎に設定される前記加熱温度設定値を前記塗膜の表面温度が均一化されるように変更する加熱温度制御部と、を備え、
    前記加熱温度制御部は、前記電離放射線の強度が相対的に高い加熱領域に対しては前記加熱温度設定値を低くし、相対的に低い加熱領域に対しては前記加熱温度設定値を高く変更する塗膜硬化装置。
  8. 請求項7記載の塗膜硬化装置であって、
    前記加熱部は、前記支持体の搬送方向に直交する支持体幅方向に沿った複数箇所に配置されて互いに異なる前記加熱領域をそれぞれ個別に加熱し、前記加熱領域毎の前記加熱温度設定値がそれぞれに設定される複数の分割加熱器を有し、
    前記加熱温度制御部は、測定された前記表面温度分布に応じて、前記分割加熱器それぞれの前記加熱温度設定値を変更する塗膜硬化装置。
  9. 請求項8記載の塗膜硬化装置であって、
    前記表面温度測定部は、前記支持体幅方向の異なる位置で前記塗膜の表面温度を測定する複数の温度センサを有する塗膜硬化装置。
  10. 請求項9記載の塗膜硬化装置であって、
    前記複数の温度センサは、前記分割加熱器の前記支持体幅方向に対する各配置位置に対応して配置され、
    前記加熱温度制御部は、前記分割加熱器それぞれの前記加熱温度設定値を、当該分割加熱器に対して前記支持体幅方向で対応する位置に配置された前記温度センサによる表面温度測定結果に応じて変更する塗膜硬化装置。
  11. 請求項9又は請求項10記載の塗膜硬化装置であって、
    前記電離放射線照射部は、前記支持体幅方向に沿って、電離放射線が出射される複数の出射窓を有し、
    前記出射窓の前記支持体幅方向の位置に対応して配置される前記分割加熱器を第1分割加熱器、前記第1分割加熱器同士の間に配置される前記分割加熱器を第2分割加熱器とした場合に、
    前記加熱温度制御部は、前記第2分割加熱器に対する前記加熱温度設定値を、前記第1分割加熱器に対する前記加熱温度設定値より高くする塗膜硬化装置。
  12. 請求項8乃至請求項11のいずれか一項記載の塗膜硬化装置であって、
    前記分割加熱器は、前記加熱温度設定値に基づいて不活性ガスを加熱するヒータと、前記ヒータにより加熱された不活性ガスを前記支持体に向けて噴射供給するノズルと、を有する塗膜硬化装置。
  13. 請求項12記載の塗膜硬化装置であって、
    前記不活性ガスが窒素ガスである塗膜硬化装置。
  14. 請求項7乃至請求項13のいずれか一項記載の塗膜硬化装置であって、
    前記電離放射線照射部は、電子線を照射する塗膜硬化装置。
  15. 請求項7乃至請求項14のいずれか一項記載の塗膜硬化装置と、
    前記支持体上に前記塗膜を形成する塗膜形成部と、
    硬化させた前記塗膜上に、磁性層を形成する磁性層形成部と、を備える磁気記録媒体製造装置。
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