JP5997939B2 - 共役ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
燃料油の分野のみならず、家電製品、生活雑貨、自動車などの分野においても化石資源由来の化合物が多く用いられている。一例として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)の主原料、或いは自動車のタイヤの素材として多用されている共役ジエン系重合体であるブタジエン系ゴムなどの合成ゴムの主原料として用いられるブタジエンなどの化合物にも同様に、化石資源を出発物質として使用しない製造方法が求められている。
また、精製後のリサイクル溶剤が重合触媒を被毒するという問題点も存在する。更に、加えて、芳香族炭化水素などの一部の有機溶剤は環境問題を引き起こしたり、有機溶剤の除去が不十分である場合、重合体生成物の純度に影響するという問題点もある。このような状況を考慮して、ポリブダジエン等の共役ジエン系重合体の製造方法として有機溶剤等を用いないか、又はできるだけ少量の有機溶剤の使用で製造するバルク重合(塊状重合ともいう)することが求められており、例えば、特許文献2及び特許文献3でこのような方法が知られている。
1.植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオ共役ジエン単量体を含む単量体(A)をバルク重合させる共役ジエン系重合体の製造方法であって、該バイオ共役ジエン単量体を含む単量体(A)、有機溶媒(B)、及び生成した重合体(C)の全質量[(A)+(B)+(C)]に対して該有機溶媒(B)を20質量%未満の存在下で該単量体(A)をバルク重合させる共役ジエン系重合体の製造方法、
2.前記バイオ共役ジエン単量体がバイオブタジエン単量体である上記1に記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
3.前記共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−28.5‰、又は−22‰以上である上記1又は2に記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
4.前記共役ジエン系重合体のΔ14Cの値が−75〜−225‰である上記1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
5.前記共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−29.5‰〜−28.5‰の範囲である上記1〜4のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
6.前記共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−29‰の範囲である上記1〜5のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
7.前記共役ジエン系重合体の数平均分子量が40000〜750000である上記1〜6のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
8.重合触媒の存在下でバルク重合させる上記1〜7のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
9.前記重合触媒が希土類元素含有化合物を含有する上記8に記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
10.前記重合触媒がメタロセン系重合触媒である上記8に記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
11.前記重合触媒がアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むアニオン重合触媒である上記8に記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
12.前記バイオ共役ジエン単量体を含む単量体(A)がバイオ共役ジエン単量体と、該バイオ共役ジエン単量体と共重合可能な単量体からなる上記1〜11のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
13.植物資源を含む生物由来の資源からバイオエタノールを合成し、合成されたバイオエタノールを、加熱下において、金属元素として少なくともマグネシウム及びケイ素を含む複合金属酸化物に接触させることによりバイオブタジエン単量体を生成し、該バイオブタジエン単量体を用いる上記2〜12のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法、
を提供する。
[共役ジエン系重合体の製造方法]
本発明の実施形態に係る共役ジエン系重合体の製造方法は、植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオ共役ジエン単量体を含む単量体(A)をバルク重合させる共役ジエン系重合体の製造方法であって、該バイオ共役ジエン単量体を含む単量体(A)、有機溶媒(B)、及び生成した重合体(C)の全質量[(A)+(B)+(C)]に対して該有機溶媒(B)を20質量%未満の存在下で該単量体(A)をバルク重合させて得られるものである。
<バイオ共役ジエン単量体>
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法に使用されるバイオ共役ジエン単量体としては、バイオブタジエン単量体、バイオイソプレン単量体、及びバイオタノール、バイオエタノール、バイオブタノール等のバイオアルコールやバイオメタン等を原料として合成することのできる1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン等の単量体もバイオ共役ジエン単量体として用いることができ、並びにその混合物も使用できる。
(バイオブタジエン単量体の合成方法)
植物資源を含む生物由来の資源(バイオマス)から合成されるバイオエタノールを出発物質として、バイオブタジエン単量体を合成する方法について説明する。
まず、バイオマスからバイオエタノールを生成する。生成されたバイオエタノールを加熱下において、金属元素として少なくともマグネシウム及びケイ素を含む複合金属酸化物に接触させることにより、バイオブタジエン単量体成分を含む混合物を生成する。この混合物からバイオブタジエン単量体成分を抽出し、抽出されたバイオブタジエン単量体成分を用いてブタジエン重合体を製造する。
この合成方法では、複合金属酸化物は、触媒として作用する。良好な触媒活性を発現させる観点から、バイオエタノールを複合金属酸化物に接触させる際における温度は、350℃〜450℃とすることが好ましい。
複合金属酸化物の製造方法としては、ゾルゲル法や、金属塩の水溶液中とシリカを混合し、蒸発乾燥により担持させる方法などが挙げられる。
複合金属酸化物を反応管に充填し、前処理として窒素ガスなどのキャリアガス雰囲気下において加熱した後、反応管の温度を反応温度まで下げる。その後、所定量のキャリアガスと、バイオエタノールとを導入する。反応により生成したガスからバイオブタジエン単量体を分離する。分離方法としては、生成したガスを冷却した凝縮器に通し、未反応のバイオエタノールや水などの重質不純物を分離し、その後、反応ガスを有機溶媒中にバブリングし、バイオブタジエン単量体を溶媒中に溶解させて、溶液として回収する。エチレンやキャリアガスであるN2などの軽質不純物は、有機溶媒中に溶解せずに通過させて、溶媒タンクから排出する。
バイオイソプレン単量体は、植物資源を含む生物由来の資源から、各種菌等の微生物細胞を用いて得られる。バイオイソプレン単量体を、植物資源を含む生物由来の資源から、各種菌等の微生物を用いて得る方法については、例えば特表2011−526943号公報や特表2011−505841号公報等で公知となっている。これらの方法は、イソプレンの生産に適した培養状態下でイソプレン・シンターゼ・ポリペプチドをコードする異種核酸を含む細胞を培養し、該培養物からバイオイソプレン単量体を製造し、回収するものである。これらの手法は、イソプレンを生産する天然物由来の微生物細胞をそのまま使用してもよいし、該天然物由来の微生物細胞から遺伝子操作により、その微生物細胞中のイソプレン・シンターゼ・ポリペプチドを大腸菌等の各種菌類に組み込んで、イソプレン生産菌として使用することもできる。
植物資源を含む生物由来の資源としては、セルロース等を含む植物資源やその植物資源から得られる各種のグルコース等の糖類を使用することができる。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法に使用される単量体には、上記に記載のバイオ共役ジエン単量体を含むことを要すが、必要に応じて他の共重合可能な単量体を含んでいてもよい。該バイオ共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、スチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。また、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン化合物を挙げることができる。これらのバイオ共役ジエン単量体と共重合可能な単量体は、植物資源を含む生物由来の資源から合成されていても、石油資源由来のいずれでもよい。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法は、バルク重合で製造されるものであり、有機溶媒(B)は、使用されないか、使用される場合は、重合反応器内において、該バイオ共役ジエン単量体を含む単量体(A)、有機溶媒(B)、及び生成した重合体(C)の全質量[(A)+(B)+(C)]に対して該有機溶媒(B)を20質量%未満の存在下、より好ましくは、10質量%未満の存在下、より一層好ましくは5質量%未満の存在下、特に好ましくは2質量%未満の存在下で重合することが好ましい。
また、有機溶媒のその他の例としては、油展重合体に一般に使用されるパラフィン系オイル、芳香族オイル、もしくは他の炭化水素オイル等の高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は不揮発性であるので、それらは一般的に重合体から分離を必要とせず、重合体中に含まれたままとなる。高分子量の炭化水素の含有量が重合体に対して5重量%未満の場合、重合体の性能特性は、一般的に大きく影響されることはない。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法は、バルク重合で製造されるものであり、バルク重合する際に、重合触媒を用いて重合させることが反応を効率的に進める上で好ましい。本発明の共役ジエン系重合体の製造方法で使用される好ましい重合触媒について説明する。重合触媒としては、希土類元素含有化合物を含有する触媒やメタロセン系触媒を使用する配位触媒や有機金属化合物を使用するアニオン重合触媒を用いることが好ましい。上記に記載した好ましい重合触媒について詳細に説明する。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法で使用される好ましいメタロセン系触媒としては、下記一般式(I)及び一般式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を用いることが好ましい。
次に、メタロセン系触媒とともに好ましい触媒として、希土類元素含有化合物を含有する触媒を挙げることができる。好ましい希土類元素含有化合物を含有する触媒としては、(A)周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物、(B)有機アルミニウム化合物及び(C)ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物の少なくとも一種を含む触媒系を用いることが好ましい。
(A)成分に含まれる周期律表の原子番号57〜71の希土類元素は、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
(R4−CO2)3M1 ・・・ (V)
(式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基で、M1は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、R4は、飽和又は不飽和でもよく、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[ シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
(R5O)3M1 ・・・ (VI)
(式中、R5は炭素数1〜20の炭化水素基で、M1は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。R5Oで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基が好ましい。
AlR1R2R3 ・・・ (VII)
(式中、R1及びR2は同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、
R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異
なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物である。式(VII)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム; エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
アニオン重合触媒としては、有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物が用いられ、特に有機アルカリ金属化合物を用いるのがより好ましく、有機アルカリ金属化合物の中でもリチウム化合物を用いるのが更に好ましい。該リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法に用いられるプセスとしては、バッチプロセス、連続プロセス、もしくは半連続プロセスを用いてバルク重合を実施することができる。半連続プロセスでは、既に重合された単量体を置換する必要があるので、単量体を断続的に加える。いずれの場合も、重合は、嫌気条件下で実行されることが好ましい。重合温度は変えてもよい。しかしながら、高温では、例えば単量体の種類によって、例えば、バイオブタジエン単量体を用いる場合、バイオブタジエン単量体に製造されるポリブタジエンが溶解しないので、重合物の大部分を単相の均一系中に維持するために、低い重合温度を採用することが好ましく、該単相の均一系により、重合体の分子量を厳しく制御することができ、また、均一な重合体が生成する。従って、重合温度は、約0℃から約50℃の範囲が好ましく、約5℃から約45℃がさらに好ましく、約10℃から40℃がより一層好ましい。熱的に制御された反応ジャケットを有する外部冷却装置、反応器に連結した還流コンデンサー装置の使用による単量体の気化および濃縮による内部冷却、或いは、2つの方法の組み合わせによって、重合熱を取り除くことができる。バルク重合を実施する圧力は、単量体の大部分が確実に液相となる圧力が好ましい。
本発明の製造方法で得られる共役ジエン系重合体は、植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオ共役ジエン単量体を含む単量体をバルク重合させて得られるものであり、該共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−30から−28.5‰、又は−22以上であることが望ましい。ここで、共役ジエン系重合体のδ13Cの値とは、安定同位体比測定装置により測定されたものである。
軽い同位体は、重い同位体よりも拡散が早く、反応性も高いことから、例えば、光合成によって植物体内に取り込まれた大気中の二酸化炭素の炭素原子の場合、13Cよりも12Cのほうが植物体内に固定され易いことがわかっている。
すなわち、植物体内に取り込まれた炭素原子は、大気中の炭素原子に比べて、相対的に12Cが多く13Cが少なくなる。したがって、植物体内に取り込まれた炭素の安定同位体比(δ13C)は、大気中に存在する炭素の安定同位体比よりも低くなる。
このようにして同位体比が変わることを同位体分別と呼び、Δ13Cで表される(Δ13Cは、δ13Cと区別される)。
Δ13C=(大気中のδ13C)−(試料中のδ13C)
従って、共役ジエン系重合体のδ13Cの値から共役ジエン系重合体を製造する際に使用された単量体の由来物質を特定することができる。
ここで共役ジエン系重合体のΔ14Cの値とは、試料である炭素がδ13C=−25.0‰であると仮定したときの、14C濃度(14AN)に換算した値である。なお、共役ジエン系重合体のδ13Cは、前述したとおりであり、δ13Cの値は、安定同位体比測定装置により測定されたものである。
Δ14Cは、上述したδ13Cの値から、さらに下記のようにして算出できる。
δ14C=[(14As−14AR)/14AR]×1000 (1)
δ13C=[(13As−13APDB)/13APDB]×1000 (2)
ここで、
14As:試料炭素の14C濃度:(14C/12C)sまたは(14C/13C)s
14AR:標準現代炭素の14C濃度:(14C/12C)Rまたは(14C/13C)R
(1)式の14C濃度を、δ13Cの測定値をもとに、次式に基づいて換算する。
14AN=14As×(0.975/(1+δ13C/1000))2 (14Asとして14C/12Cを使用するとき)
または
14AN=14As×(0.975/(1+δ13C/1000)) (14Asとして14C/13Cを使用するとき)
以上より、
Δ14C=[(14AN−14AR)/14AR]×1000 (‰)と算出される。
放射性炭素14Cの半減期は、約5730年であるため、化石資源中に含まれる炭素には、放射性炭素14Cは殆んど含まれない。化石資源由来の共役ジエン重合体体のΔ14Cは、−1000‰程度である。
従って、共役ジエン系重合体のΔ14C値、或いは放射性炭素14Cの壊変毎分毎グラム量、δ13Cの値により、共役ジエン系重合体の由来物質を特定することができる。この場合の放射性炭素14Cの壊変毎分毎グラム量値は、0.1dpm/gC以上である。
前記ゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の(共)重合体、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、各種ブタジエンゴム、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンとp−メチルスチレンの共重合体の臭化物、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物には、必要に応じて補強性充填剤を配合することができる。前記補強性充填剤としては、カーボンブラック、無機充填剤、などを挙げることができ、カーボンブラック及び無機充填剤から選択される少なくとも一種が好ましい。
前記無機充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、無機充填剤を用いる時は適宜シランカップリング剤を使用してもよい。
前記補強性充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、5質量部〜200質量部が好ましい。
前記補強性充填剤の含有量が、5質量部未満であると、補強性充填剤を入れる効果があまりみられないことがあり、200質量部を超えると前記ゴム成分に補強性充填剤が混ざり込まなくなる傾向があり、ゴム組成物としての性能を低下させることがある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤硫黄などが挙げられるが、中でもタイヤ用ゴム組成物としては硫黄系架橋剤がより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
前記架橋剤の含有量が0.1質量部未満では、架橋がほとんど進行しなかったり、20質量部を超えると一部の架橋剤により混練り中に架橋が進んでしまう傾向があったり、加硫物の物性が損なわれたりすることがある。架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度120℃〜200℃、加温時間1分間〜900分間が好ましい。
その他に加硫促進剤を併用することも可能であり、加硫促進剤としては、グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が使用できる。
また必要に応じて、補強剤、軟化剤、充填剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものをその使用目的に応じて使用することができる。
[バイオブタジエン重合体の製造例]
<触媒の製造>
触媒として、ゾルゲル法により合成したシリカ−マグネシアの複合酸化物を使用した。この触媒の合成方法は以下の通りである。まずMg(NO3)2・6H2O(64g)を蒸留水100mLに溶解した溶液に、14%アンモニア水溶液100mLを滴下することでMg(OH)2ゲルを合成した。一方で、Si(OC2H5)4(55mL)をエタノール150mLに溶解した溶液に1.38M硝酸12.5mLおよび14%アンモニア水溶液50mLを滴下することによりSi(OH)4ゲルを合成した。得られたMg(OH)2ゲルは蒸留水で洗浄後、吸引ろ過を行い、Si(OH)4ゲルについてはエタノールで洗浄後、吸引ろ過を行った。これら二種類のゲルを混合し、混合後のゲルを風乾、その後80℃乾燥、500℃、N2雰囲気下において焼成を行うことで、シリカ−マグネシアの複合酸化物触媒を製造した。
出発物質として、サトウキビ、タピオカ、トウモロコシのデンプン質を酵母で発酵させて得たバイオエタノールを使用した。
上記方法により製造した触媒と、上記バイオエタノールとを接触させることによりバイオブタジエン単量体を生成した。
反応装置は、一般的に知られる固定床ガス流通式触媒反応装置(例えば特開2009−51760)を用いた。製造したシリカ−マグネシア複合酸化物触媒を、石英製の反応管に充填し、前処理としてキャリアガス雰囲気下(N2;ガス流量66mL/min)で500℃、2時間加熱処理を行った。
前処理終了後、触媒管の温度を反応温度まで下げ、N2で希釈したバイオエタノールガスを導入した。この時の反応温度は350℃もしくは450℃で行った。
反応により生成したガスに対し、以下の分離操作を行うことでバイオブタジエン単量体を含む混合物を回収した。まず、生成ガスをヘキサン中にバブリングすることで、目的物であるバイオブタジエン単量体を溶媒中に溶解させた。回収したバイオブタジエン単量体溶液を乾燥精製し、不純物であるエタノール、アセトアルデヒド、ジエチルエーテル、エトキシエチレン、酢酸エチルを更に除去した。生成したバイオブタジエン単量体は、1,3−ブタジエン単量体であることを確認した。
重合反応器は、高粘度の重合体組成物を混合できる機械撹拌機(軸および羽根)を備える3.78リットルのステンレスシリンダーを使用した。重合を持続している間中反応器内に発生する1,3−共役ジエン単量体の蒸気を濃縮および再利用するための還流コンデンサーシステムを反応器の上部を連結した。また、重合反応器に、冷水が流通する冷却ジャケットを設置した。反応によって発生する重合熱は、還流コンデンサーシステムでの内部冷却により除去した。
比較例1において、石油資源を由来とする1,3−ブタジエン単量体を、上記で製造したバイオブタジエン単量体とした以外は、比較例1と同様にして重合体Bを得た。この重合体Bをゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定したところ、重合体は、数平均分子量(Mn)が124,000で、重量平均分子量(Mw)が384,000で、分子量分布(Mw/Mn)が3.1であった。重合体の赤外分光分析は、シス−1,4−結合含量が98.4%、トランス−1,4−結合含量が1.1%で、1,2−結合含量が0.5%であるポリブタジエンであった。
<ポリブタジエン重合体の各物性>
≪ミクロ構造[シス−1、4結合含量(%)、1、2−ビニル結合含量(%)]≫
フーリエ変換赤外分校光度計(FT/IR−4100、日本分光社製)を使用し、赤外法(モレロ法)によって測定した。
≪ポリブタジエン重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)≫
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「HLC−8120GPC」、東ソー社製)を使用し、検知器として示差屈折計を用いて、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した。
カラム;商品名「GMH−XL」(東ソー社製) 2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/min
サンプル濃度;10mg/20ml
トウモロコシ、サトウキビ、タピオカ由来のエタノールから生成されたポリブタジエン重合体のδ13Cの値を安定同位体比測定装置により測定した。
出発物質として、サトウキビ、タピオカ、トウモロコシのデンプン質を酵母で発酵させて得たバイオエタノールから生成されたポリブタジエン重合体のδ13Cの値を安定同位体比測定装置により測定し、上述した換算方法により、Δ14Cを算出した。
トウモロコシ、サトウキビ、タピオカ由来のエタノールから生成されたポリブタジエン重合体の14Cの壊変毎分毎グラム量値を加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry ;AMS)、液体シンチレーション法(Liquid Scintillation Counting Method; LSC)により測定した。
出発物質として、サトウキビ、タピオカ、トウモロコシのデンプン質を酵母で発酵させて得たバイオエタノールから生成されたバイオブタジエン単量体を重合してなるポリブタジエン重合体を含むゴム組成物の耐亀裂成長性および低発熱特性を下記方法によって測定した。
なお、本発明のゴム組成物には、上記ブタジエン重合体を含むゴム成分、カーボンブラックのほか、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、シランカップリング剤などのゴム業界で通常使用される配合剤を適宜選択し配合することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
JIS3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で50〜100%の歪みで繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。各歪みでの値を求め、その平均値を用いた。表2においては、重合体Aを配合した比較例1を100とする指標で表した。指標値が大きいほど、耐亀裂成長性が良好であることを示す。
動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪3%、周波数15Hz、50℃の条件で測定した。表2においては、重合体Aを配合した比較例1を100とする指標で表した。指標値が小さいほど、低発熱性(低ロス性)に優れることを示す。
ランボーン型摩耗試験機を使用して室温で摩耗量を測定し、該摩耗量の逆数を算出し、それぞれ比較例を100として指数表示をした。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
重合体A,Bのそれぞれを用いて、表1に示す配合処方によりゴム組成物を調製し、145℃で33分間加硫して加硫ゴムを得た。
重合体A,Bの物性及びδ13Cの値を上記方法により測定した。また、得られた加硫ゴムの耐亀裂成長性、低発熱性(3%tanδ)及び耐摩耗性を、上述した評価方法に従って測定した。結果を表2に示す。
※2:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製、ノクラック6C
※3:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学(株)製、ノクラック224
※4:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学(株)製、ノクセラーCZ−G
※5:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学(株)製、ノクセラーDM−P
また、得られた重合体AのΔ14Cの値は−1000‰であり、重合体BのΔ14Cの値は−100‰であった。
更に、得られた重合体Aの14Cの壊変毎分毎グラム量値は0.05dpm/gCであり、重合体Bの14Cの壊変毎分毎グラム量値は0.2dpm/gCであった。
また、分子量、分子量分布、シス1,4−結合、トランス1,4−結合等のミクロ構造は同じ数値を有している石油資源由来を原料とした重合体Aを使用した比較例2とバイオブタジエン単量体を原料とした重合体Bを使用した実施例2とは、耐亀裂成長性、低発熱性及び耐摩耗性において、従来品と遜色ないことがわかった。
Claims (13)
- 植物資源を含む生物由来の資源から合成されるバイオブタジエン単量体を含む単量体(A)をバルク重合させる共役ジエン系重合体の製造方法であって、
植物資源を含む生物由来の資源からバイオエタノールを合成し、合成されたバイオエタノールを、加熱下において、ゾルゲル法により合成した金属元素として少なくともマグネシウム及びケイ素を含む複合金属酸化物に接触させることによりバイオブタジエン単量体を生成し、
該バイオブタジエン単量体を含む単量体(A)、有機溶媒(B)、及び生成した重合体(C)の全質量[(A)+(B)+(C)]に対して該有機溶媒(B)を20質量%未満の存在下で該単量体(A)をバルク重合させる共役ジエン系重合体の製造方法。 - 前記共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−28.5‰、又は−22‰以上である請求項1に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン系重合体のΔ14Cの値が−75〜−225‰である請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−29.5‰〜−28.5‰の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン系重合体のδ13Cの値が−30‰〜−29‰の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン系重合体の数平均分子量が40000〜750000である請求項1〜5のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 重合触媒の存在下でバルク重合させる請求項1〜6のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記重合触媒が希土類元素含有化合物を含有する請求項7に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記重合触媒がメタロセン系重合触媒である請求項7に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記重合触媒がアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むアニオン重合触媒である請求項7に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記バイオブタジエン単量体を含む単量体(A)がバイオブタジエン単量体と、該バイオブタジエン単量体と共重合可能な単量体からなる請求項1〜10のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記複合金属酸化物が、Mg(OH) 2 ゲルとSi(OH) 4 ゲルとの二種類のゲルを混合し、焼成して得られるものである請求項1〜11のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記複合金属酸化物に接触させる際の温度が350〜450℃である請求項1〜12のいずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
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