JP5997692B2 - 微生物菌体乾燥粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微生物菌体乾燥粉末の製造方法に関し、更に詳細には、微生物が持っている酵素活性を、微生物が生菌であるか死菌であるかを問わず乾燥状態で長期間安定に保持できる微生物菌体乾燥粉末およびその製造方法に関する。
微生物には、有用な酵素活性を有するものが多く存在し、糖質、アミノ酸、リン脂質等の機能性食品素材の製造に広く利用されている。なかでも糖質素材、特にオリゴ糖の製造に利用できる微生物は多く知られており、例えば、スポロボロマイセス・シンギュラリス(Sporobolomyces singularis)に属する酵母菌の有するβ−ガラクトシダーゼ活性を利用し、ガラクトオリゴ糖を製造することが報告されており(特許文献1)、また、スポロボロマイセス・シンギュラリスのβ−ガラクトシダーゼ活性を高めた変異微生物の作出も報告されている(特許文献2)。
上記スポロボロマイセス・シンギュラリスの有するβ−ガラクトシダーゼは、いくつかの微生物が産生する酵素と同じように酵素が微生物の細胞壁に強固に結合しているため、工業的に遊離・精製することは技術的にもコスト的にも困難である。そのため、スポロボロマイセス・シンギュラリスの有するβ−ガラクトシダーゼを工業的に利用する場合は、希薄な微生物菌体液として供給されることとなるが、この利用形態に起因する問題があった。
すなわち、菌体に対して数倍の水、緩衝液等を含む形態であるため、保管や利用先までの流通に多くのコストがかかること、また、液状品であるために微生物汚染に対する管理が難しく、長期保存には向かないこと、さらに、微生物汚染のリスクを下げるために、需要に合わせて生産する必要があることなどの問題があった。
特に、スポロボロマイセス・シンギュラリスの有するβ−ガラクトシダーゼを用いてガラクトオリゴ糖を工業的、かつ、安価に生産しようとする場合には、上記の問題の解決は、極めて重要であり、乾燥状態でありながら、微生物の有する酵素活性を維持できる手段の開発が望まれていた。
特公平5ー58714号公報 特許第4071037号公報 特開平10−57031号公報 特開2002−17337号公報
従って本発明は、微生物が持っている酵素活性を、乾燥状態で長期間安定に保持できる微生物菌体乾燥粉末の製造方法を提供することをその課題とするものである。
本発明者らは、このような問題を解決すべく鋭意研究を行っていたところ、乾燥微生物菌体と糖質との共存状態では、その乾燥微生物が生菌であるか、死菌であるかを問わず、微生物の有する酵素活性が長期間維持しうることを知った。
また、乾燥菌体粉末を噴霧乾燥法により調製する場合は、微生物菌体液に予め糖質を添加し、噴霧乾燥を行うことで、乾燥中の酵素力価低下もほとんどないことも見出した。
そして、これらの性質を利用すれば、需要に制約されることなく微生物の培養が可能であり、しかも流通コストも大きく低減できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、酵素活性を有する微生物菌体液に糖質を添加し、次いでこれを乾燥することを特徴とする酵素力価が維持された微生物菌体乾燥粉末の製造方法である。
また本発明は、酵素活性を有する微生物菌体と、糖質とを含有する長期保存可能な微生物菌体乾燥粉末である。
本発明方法によれば、1年以上という長期間保存しても微生物の有する酵素活性がほとんど低下しない微生物菌体粉末が得られるため、流通、生産の両面から極めて経済性が高いものである。また、本発明方法では、微生物として死菌を用いた場合であっても、その酵素力価を維持できるため、生菌を用いた場合に起こる微生物が産生する代謝物などによる品質の低下を回避することができるものである。本発明方法により得られる微生物菌体乾燥粉末は、オリゴ糖生成反応において、実用上問題なく使用できるものである。
噴霧乾燥品について、1年間の保存試験の結果を示す図面である。 凍結乾燥品について、1年間の保存試験の結果を示す図面である。 噴霧乾燥品について、噴霧乾燥後の力価残存率を示す図面である。
本発明方法により、微生物菌体乾燥粉末が得られる微生物としては、細菌、酵母、カビ等の微生物であって、酵素を細胞壁に結合しているか、あるいは菌体内に生産するものであれば何でもよく、さらに種々の処理を経た後の微生物でもよい。例えば、細菌としては、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプトコッカス・ラクチス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ライヒマニー、ラクトバチルス・ヘルベティクス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロサーモフィルス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスを挙げることができる。また、酵素としては、特に限定されるものではなく、例えば糖質分解酵素ならば、アミラーゼ、シュークラーゼ、α−及びβ−ガラクトシダーゼ、グルコースイソメラーゼ、α−及びβ−グルコシダーゼ、β−フラクトフラノシダーゼ、α−及びβ−マンノシダーゼ、キシラナーゼ等が挙げられる。これらの微生物の中でもβ−ガラクトシダーゼを産生する酵母が好ましい。
上記微生物のうち、β−ガラクトシダーゼを産生する酵母としては、スポロボロマイセス属、クリベロマイセス属、リポマイセス属、キャンディダ属、クリプトコッカス属、ステリグマトマイセス属、ブレラ属、ベンシントニア属、バリストスポロマイセス属、フェロマイセス属、フィブロバシディウム属、シロバシディウム属、ティレショプシス属、イターソニリア属、ティレシア属、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、ハンセヌラ属、ロドトルラ属、デバリョマイセス属、ピキア属、トルロプシス属等の酵母が挙げられ、特にスポロボロマイセス属、ステリグマトマイセス属、クリベロマイセス属、クリプトコッカス属、ロドトルラ属、シロバシディウム属、リポマイセス属が好ましく、スポロボロマイセス属、クリプトコッカス属、ロドトルラ属またはシロバシディウム属に属する微生物の何れかがより好ましく、スポロボロマイセス・シンギュラリス、ステリグマトマイセス・エリビアエ、クリプトコッカス・ローレンティ、ロドトルラ・ラクトーザ、ロドトルラ・ミヌタ、シロバシディウム・マグナム、リポマイセス・リポファーが特に好ましく、さらにスポロボロマイセス・シンギュラリス、クリプトコッカス・ローレンティ、ロドトルラ・ラクトーザ、シロバシディウム・マグナム、ロドトルラ・ミヌタがより好ましい。
さらに好ましく用いられる酵母の例としては、スポロボロマイセス・シンギュラリスが挙げられ、その例の一つである、スポロボロマイセス・シンギュラリス JCM 5356は理化学研究所バイオリソースセンター(〒305-0074茨城県つくば市高野台3-1-1)から有償で入手することが可能である。
また、別の例としては、特許文献2に記載の作出方法により、β−ガラクトシダーゼ高産生変異微生物として得た酵母を挙げることができる。このうち、具体的に、親株としてスポロボロマイセス・シンギュラリス JCM 5356を用い、前記特許文献の工程(a)〜(c)により得られた酵母の例としては、スポロボロマイセス・シンギュラリスISK−#4D4、同#5A5、同##2B6が挙げられ、これは2002年4月10日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にそれぞれFERM P−18818、FERM P−18819およびFERM P−18817として寄託されている。
本発明方法の実施にあたっては、まず、微生物を常法に従って培養し、次いで、例えばデラバル型連続遠心機や膜濃縮装置等を用いて集菌、洗浄し、微生物菌体液を調製する。
次いでこの微生物菌体液に、常法に従って安定化剤として糖質を加え、乾燥すればよい。より具体的には、噴霧乾燥を利用する場合には、微生物を懸濁した微生物菌体液中に、必要量の糖質を加え、その状態で噴霧乾燥することにより、目的とする微生物菌体乾燥粉末を得ることができる。微生物菌体液中の菌体量は、特に制限されないが1ないし10質量/体積%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、より好ましくは2ないし6%である。また、用いられる糖質は特に制限されず、単糖、2糖、3糖以上のオリゴ糖、多糖を用いることができ、単糖としてはグルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、2糖としては乳糖、乳糖異性体、マルトース、スクロース、トレハロース、3糖以上のオリゴ糖としてはガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などの各種オリゴ糖、多糖としてはデキストリン、澱粉を例示することができる。これらの中でも、酵素力価の安定化効果、乾燥の容易さやコストの点から、乳糖、マルトースおよびデキストリンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、特に乳糖および/またはマルトースを用いることが好ましく、乳糖を用いることがさらに好ましい。
この際、微生物菌体液中に添加する糖質の量は特に制限されないが、酵素力価の安定化効果の点から、微生物菌体液に対して0.1%以上となる量が好ましく、さらに好ましくは、0.5%以上となる量、より好ましくは1%以上となる量である。一方で、微生物菌体液中に添加する糖質の量が多すぎると微生物菌体乾燥粉末の単位重量あたりの酵素力価が低下してしまうため、糖質の量は30%以下が好ましく、さらに好ましくは15%以下となる量、より好ましくは10%以下となる量、さらに好ましくは5%以下となる量、さらにより好ましくは3%以下となる量である。以上のことから、微生物菌体液中に添加する糖質の量は、微生物菌体液に対して0.1ないし30%となる量が好ましく、さらに好ましくは、0.5ないし15%となる量、より好ましくは0.5%ないし10%となる量、さらに好ましくは1%ないし10%となる量、さらにより好ましくは1%ないし5%となる量、より好ましくは1%ないし3%となる量である。
なお、糖質がその酵素の基質となりえる場合(例えば、β−ガラクトシダーゼを産生する微生物菌体液に安定化剤として乳糖を加えた場合)、糖質添加から噴霧完了までに一部または大部分の糖質が反応を受ける場合もあるが、反応の度合い(分解度や重合度)にかかわらず糖質の効果は発揮されるので、特に問題とはならない。例えば、糖質添加後、5℃〜40℃で、1時間〜40時間程度反応させても、酵素力価の安定化という点からは全く問題がない。
また、糖質がその酵素の基質となりえる場合は、添加した糖質が酵素反応を受けるため、微生物菌体乾燥粉末中には添加した糖質に加え、それとは異なる糖質が含まれる場合があるが、酵素力価の安定化という点からは全く問題がない。微生物菌体乾燥粉末中に含まれる糖質としては、単糖、2糖、3糖以上のオリゴ糖、多糖を挙げることができ、単糖としてはグルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、2糖としては乳糖、乳糖異性体、マルトース、スクロース、トレハロース、3糖以上のオリゴ糖としてはガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などの各種オリゴ糖、多糖としてはデキストリン、澱粉を例示することができる。また、微生物菌体液中に添加する糖質として乳糖を用いた場合に微生物菌体乾燥粉末中に含まれる糖質としては、グルコース、ガラクトース、乳糖、乳糖異性体、ガラクトオリゴ糖を挙げることができ、マルトースを用いた場合に微生物菌体乾燥粉末中に含まれる糖質としては、グルコース、マルトース、マルトオリゴ糖を挙げることができ、デキストリンを用いた場合に微生物菌体乾燥粉末中に含まれる糖質としては、グルコース、マルトース、マルトオリゴ糖、デキストリンを挙げることができ、微生物菌体液中に添加する糖質として乳糖、マルトースおよびデキストリンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましいことから、微生物菌体乾燥粉末中には、グルコース、ガラクトース、乳糖、乳糖異性体、ガラクトオリゴ糖、マルトース、マルトオリゴ糖、デキストリンからなる群から選ばれる1種以上の糖質が含まれていることが好ましい。さらに、微生物菌体液中に添加する糖質として、乳糖および/またはマルトースを用いることがより好ましいことから、微生物菌体乾燥粉末中には、グルコース、ガラクトース、乳糖、乳糖異性体、ガラクトオリゴ糖、マルトース、マルトオリゴ糖からなる群から選ばれる1種以上の糖質が含まれていることがより好ましい。また、微生物菌体液中に添加する糖質として、乳糖を用いることがより好ましいことから、グルコース、ガラクトース、乳糖、乳糖異性体、ガラクトオリゴ糖からなる群から選ばれる1種以上の糖質が含まれていることがより好ましい。
また、噴霧乾燥での条件としては、乾燥室の入口・出口温度は酵素が著しく失活しない範囲ならよく、また、アトマイザー回転数、原液フィード量などはその条件次第で若干製品としての特性の異なる微生物菌体乾燥粉末が得られるが、最終的な酵素力価にはほとんど影響はないので、余り留意する必要はない。具体的には、乾燥室の入口温度は70℃〜200℃、好ましくは110℃〜180℃、出口温度は50℃〜120℃、好ましくは70℃〜90℃を例示することができる。また、アトマイザー回転数は10,000〜30,000rpm、原液フィード量は0.2〜200kg/時間を例示することができる。これらの噴霧乾燥はアトマイザーの他にも二流体ノズル等の噴霧方式を用いて行うことができる。なお、噴霧乾燥法によれば、この乾燥工程で微生物がほとんど死滅し、生菌数の少ない微生物菌体乾燥粉末が得られるので好ましい。
一方、凍結乾燥法を利用する場合には、常法により微生物菌体液中に必要量の糖質を添加し、その後凍結乾燥すればよい。この場合の糖質の添加量も、微生物菌体液に対して0.1ないし30%となる量が好ましく、さらに好ましくは0.5ないし15%となる量、より好ましくは0.5%ないし10%となる量、さらに好ましくは1%ないし10%となる量、さらにより好ましくは1%ないし5%となる量、より好ましくは1%ないし3%となる量である。
上記のようにして得られる微生物菌体乾燥粉末は、この微生物が持っている酵素活性を、乾燥状態で長期間安定に保持できるものである。この微生物は、生菌であっても、死菌であっても良いが、微生物が産生する代謝物などによる品質の低下を考慮すると死菌であることが好ましい。
上記のように得られる微生物菌体乾燥粉末は、乾燥微生物菌体に対し、0.01ないし30倍量の糖質を含むものであり、好ましくは0.05ないし15倍量であり、さらに好ましくは0.05ないし10倍量であり、より好ましくは0.1ないし10倍量であり、さらに好ましくは0.1ないし5倍量であり、さらにより好ましくは0.1ないし3倍量である。また、これに含まれる水分量は、特に規定されないが、10質量%以下であることが望ましい。そして、乾燥後の酵素力価は、乾燥前の酵素力価の70%以上であることが好ましく、乾燥方法が噴霧乾燥の場合は、上記した方法でしか酵素力価の低下抑制は達成できない。なお、凍結乾燥の場合は、噴霧乾燥と異なり、乾燥によっても酵素力価は低下しないので、微生物のみを凍結乾燥して粉末とした後、これに粉末状の糖質を加えても良い。
また、本発明で得られる微生物菌体乾燥粉末は、常温(25℃)で保存しても、1年以上にわたり乾燥直後の微生物が有していた酵素力価を維持するという特有の効果を有するものである。すなわち、乾燥直後の酵素力価の50%以上、更には80〜90%以上という、高い酵素力価を長期間維持しうるものである。
従来から、微生物の生残性を高めるためや、賦形剤として、乳糖等を使用することは知られているが(特許文献3、4)、本発明方法は、このような微生物の生存性を高め、維持するなどの発想は全くなく、異なった技術思想に基づくものである。本発明においては、むしろ、微生物自体は死滅し、微生物の有していた酵素活性のみが保存されることが望ましいのである。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、β−ガラクトシダーゼ力価、残留水分量/固形分含量、粒度分布およびスポロボロマイセス・シンギュラリスの生菌数は、次の方法で測定した。
(1)β−ガラクトシダーゼ力価の測定法
(a)検液の調製
被験試料が濃縮液の場合は、その約2.5gを、また、被験試料が乾燥品の場合は、その150〜350mg程度を50mL容の遠沈管に正確に秤量し、50mMリン酸ナトリウム−クエン酸緩衝液(pH4.0)(以下、「緩衝液」という)に懸濁した後に、遠心分離(20000G、15分間)して洗浄し、糖質を除いた。この洗浄操作を3回行なった後に、50mL容メスフラスコに移し、緩衝液で定容して十分に懸濁させて検液とした。
(b)測 定
o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(o-nitrophenyl-β-D-galacto-pyranoside;ONPG)0.3766gを100mL容メスフラスコに秤量し、緩衝液に溶解・定容して12.5mMの溶液を調製した。試験管に、このONPG溶液を0.8mL入れ、30℃の恒温水槽中で5分間保持した。これに検液を0.2mL添加してよく混合し、30℃で10分間反応させた後に0.25M炭酸ナトリウム溶液を4mL加えて反応を停止した(試験系)。別に、試験管にONPG溶液0.8mLと0.25M炭酸ナトリウム溶液4mLを入れ、さらに検液を0.2mL加えてよく混合した(盲検系)。試験系および盲検系のそれぞれを、遠心分離(2000G、10分間、15〜20℃)にかけ、得られた上清について、波長420nmで吸光度を測定し、次式により単位数を算出した。なお、上記の反応条件で、1分間に1μmolのo−ニトロフェノール(o-nitrophenol;ONP)を遊離するのに要する酵素量を1Uとした。
Figure 0005997692
また、乾燥固形分あたりのβ−ガラクトシダーゼ力価を算出する場合には、後述する方法で求めた固形分含量を用いて算出した。
(2)残留水分量/固形分含量
噴霧乾燥における微生物菌体乾燥粉末(以下、「乾燥品」という)の残留水分は、(株)ケット科学研究所製の赤外線水分計を用いて105℃、15分間の条件で測定した。また、凍結乾燥品の固形分含量および固形分あたりのβ−ガラクトシダーゼ力価を算出する際に用いる乾燥原液と乾燥品の固形分含量は、105℃で16時間処理したときの乾物重量から算出した。
(3)粒度分布
噴霧乾燥品の粒度分布は、シンパテック社製のレーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOSシステム)を用いて乾式で測定した。
(4)スポロボロマイセス・シンギュラリス生菌数
ラクトース2.5%、酵母エキス0.5%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、寒天1.5%となるようにこれらを水に溶解し、2N塩酸でpH5.0に調整した後に、オートクレーブ滅菌(121℃、10分間)し、平板プレート(φ90mm)を作成した。これに、生理食塩水で溶解・希釈したサンプルを100μL塗抹し、25℃で約一週間培養した後に、生じたコロニーを計測し、スポロボロマイセス・シンギュラリス生菌数とした。
実 施 例 1
酵母菌体乾燥粉末の調製:
スポロボロマイセス・シンギュラリス(Sporobolomyces singularis)YIT 10047(ISK−##2B6、以下、「Ss」と表記)を、グルコース5%、酵母エキス0.6%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%を含む培地(pH5)で、27℃、4日間好気的に培養した。この培養液を遠心分離(10000G、30分間)して得られた湿菌体に、滅菌した市水を加えて十分に懸濁した。これを同条件で遠心分離し、湿菌体を少量の市水に懸濁したものをSs濃縮液(固形分4.9%)とした。Ss濃縮液20Lに、25%乳糖溶液を5L加えて十分に撹拌し、乾燥原液を得た。この操作は20℃以下で行なった。この乾燥原液を試料として用い、酵母粉末を凍結乾燥法および噴霧乾燥法により調製した。乾燥原液中の固形分含量(計算値)は、Ssが約3.9%、乳糖が約5%となる。
噴霧乾燥は、ロータリーアトマイザーを装着したパイロット装置(プロダクションマイナ、GEAプロセスエンジニアリング(株))を用い、種々の運転条件で噴霧乾燥を実施した。この運転条件は表1に示した。
また凍結乾燥は、凍結乾燥機 RLE−206(共和真空技術(株))を用い、棚温25〜30℃の条件で行った。
なお、噴霧乾燥および凍結乾燥で得た乾燥品は、それぞれ、チャック付きのビニール袋に入れて密閉し、5℃、25℃の恒温室で約1年間保管し、定期的に一部を抜き取り、β−ガラクトシダーゼ力価を測定して保存試験を行った。
噴霧乾燥後の物性試験:
噴霧乾燥で得られた乾燥品について、その具体的な乾燥条件と得られた乾燥品の評価を表1に示した。SD−1〜3は、ロータリーアトマイザーの回転数を下げて液滴を大きくすることで、乾燥品粒度の変更を試みた。また、SD−4は、乾燥温度を5℃上げてフィード量を増やすことで、生産効率を上げることを試みた。噴霧乾燥の条件と、得られた製品の結果を表1に示す。
Figure 0005997692
この結果から明らかなように、SD−1〜3の乾燥後の力価残存率(乾燥原液の固形分あたり力価に対する乾燥品の固形分あたり力価の割合)はいずれも95%程度と高く、実用化可能なレベルであると判断された。乾燥温度を5℃上げたSD−4でも力価残存率に大差はなかった。
Ssの噴霧乾燥において、Ss濃縮液をそのまま乾燥すると固形分あたりのβ−ガラクトシダーゼ力価が著しく低下するので、乾燥に当たり乳糖を添加することで、酵素力価を高く維持できることが明らかとなった。
また、SD−1〜3はアトマイザー回転数を下げるに従って平均粒径が大きくなることが確認された。
なお、データは示さなかったが、これらの乾燥品を用いてラボスケールでオリゴ糖生成反応を行ない、糖組成の経時変化、終点までの所要時間などは、乾燥処理前のSs濃縮液と同等であることが確認された。
乾燥品の保存試験:
噴霧乾燥品と凍結乾燥品について、5℃、25℃で約1年間の保存試験を行なった。噴霧乾燥品は乾燥温度の異なるSD−2とSD−4の2検体、凍結乾燥品はSs濃縮液[乳糖なし:FD(−)]と乾燥原液[乳糖5%:FD(+)]から調製した2検体とした。それぞれの検体について、経日的にサンプリングし、力価残存率(乾燥直後の乾燥品の固形分あたり力価に対する、保存後の乾燥品の固形分あたり力価の割合)を算出した。噴霧乾燥品についての結果を表2、図1に、凍結乾燥品についての結果を表3、図2に示す。
表2、図1の結果から、噴霧乾燥品の保存において、SD−2とSD−4の安定性は同等であり、1年後の力価残存率は5℃で、試験開始時のほぼ100%、25℃でも95%程度を維持していた。このことから、噴霧乾燥品の力価安定性は非常に高いことが分かった。なお、1年間保存後の噴霧乾燥品4種のオリゴ糖生成能は、保存前と同等であることが確認された。
また、表3、図2の結果から、凍結乾燥品の保存においても、安定化剤(乳糖)の有無は力価残存率に影響しており、5℃、25℃ともに、乳糖を添加したFD(+)の力価残存率は、乳糖を添加しないFD(−)よりも高く、1年間保存後の力価残存率は約85〜90%であった。
Figure 0005997692
Figure 0005997692
実 施 例 2
乳糖添加量の検討
酵母菌体乾燥粉末の調製
Ss濃縮液(固形分5.0%)75mLに、種々の濃度の乳糖溶液25mLを加え、乳糖を0〜15%含む乾燥原液を100mLずつ調製した。これらを、二流体ノズル式の実験用噴霧乾燥装置(SD−1000、東京理科器械(株))を用いて、入口温度:120℃、出口温度:約80℃、原液処理量:4mL/分の条件で処理し、サイクロン部に付着した分も含めて回収したものを乾燥品とした。
力価の測定
乾燥原液、乾燥品の力価を測定し、乾燥原液の固形分あたり力価に対する乾燥品の固形分あたり力価の割合(力価残存率)を算出した。得られた結果を表4、表5、図3に示す。
Figure 0005997692
Figure 0005997692
表4、表5、図3の結果から、乾燥工程全体における力価収率の指標である力価残存率は、乳糖濃度に伴って向上し、0.1%以上の濃度で効果が認められ、0.5%以上の濃度で明らかな効果が認められた。
実 施 例 3
他の安定化剤の検討:
(酵母菌体乾燥粉末の調製)
デキストリン(NSD#300、#500;ともにサンエイ糖化(株))、マルトース、および乳糖について、噴霧乾燥時の酵素力価維持効果(安定化効果)を比較した。Ss濃縮液(固形分5.0%)75mLに、4、20、40%の安定化剤溶液25mLを加え、安定化剤を1、5、10%含む乾燥原液を100mLずつ調製した。これらを、二流体ノズル式の実験用噴霧乾燥装置(SD−1000、東京理科器械(株))を用いて、入口温度:120℃、出口温度:約80℃、原液処理量:4mL/分の条件で処理し、サイクロン部に付着した分も含めて回収したものを乾燥品とした。
(力価の測定)
乾燥原液と乾燥品の力価を測定し、乾燥原液の固形分あたり力価に対する乾燥品の固形分あたり力価の割合(力価残存率)を算出した。その結果を表6に示す。
Figure 0005997692
力価残存率は、安定化剤無添加(34.4%、表4)よりも、安定化剤が共存した方が高かった。特に、乳糖やマルトース等の2糖類の方が、デキストリンよりも力価残存率が高く、2糖類のなかでも乳糖が力価残存率が高く、安定化剤として優れていることが分かった。
実 施 例 4
糖組成の検討:
(酵母菌体乾燥粉末の調製)
Ss濃縮液(固形分5.3%)7.8Lに、20%乳糖溶液を2.6L加えて十分に混合したものを3つ準備し、10℃−1時間、5℃−40時間、40℃−18時間のそれぞれの条件で保持して反応させ、糖組成の異なる乾燥原液を調製した。これらを、パイロット装置(プロダクションマイナ、GEAプロセスエンジニアリング(株))を用いて、入口温度:120℃、出口温度:約80℃、アトマイザー回転数:12500rpm、原液処理量:4kg/時間の条件で乾燥した。
(糖組成の分析)
以下のHPLC条件で、反応後の乾燥原液中の糖組成を分析した。その結果を表7に示す。
<HPLC条件>
カラム:ShodexSUGAR KS−802(昭和電工(株)
溶媒:純水
流速:0.5mL/分
温度:80℃
検出器:示差屈折計
(力価の測定)
乾燥原液と乾燥品の力価を測定し、乾燥原液の固形分あたり力価に対する乾燥品の固形分あたり力価の割合(力価残存率)を算出した。その結果を表7に示す。
Figure 0005997692
表7の結果から、乳糖とβ―ガラクトシダーゼの反応の度合にかかわらず、力価安定効果が発揮されていることが分かった。また、安定化剤として、単糖(グルコース、ガラクトース)やガラクトオリゴ糖が利用できることも確認された。
実 施 例 5
乾燥温度の検討:
(酵母菌体乾燥粉末の調製)
Ss濃縮液(固形分5.0%)に5N水酸化ナトリウム溶液を加えてpH4.5に調整し、45℃で9時間保持することにより、Ssを死菌化した。この液の8Lに、25%乳糖溶液を2L加えて十分に混合したものを乾燥原液として、乾燥室の入口温度を120℃、150℃、180℃とし、これに対して出口温度が80℃になるよう原液供給量を調整して噴霧乾燥した。
(力価の測定)
乾燥原液と乾燥品の力価を測定し、乾燥原液の固形分あたり力価に対する乾燥品の固形分あたり力価の割合(力価残存率)を算出した。その結果を表8に示す。
Figure 0005997692
表8の結果から、乾燥における入口温度を上げることによって、原液供給量を増大させることができ、入り口温度が180℃では、120℃のときの約3.5倍とすることができた。さらに、乾燥時の入り口温度を180℃としても、乾燥品の力価は、90%以上が維持されており、この温度で経済性良く、酵母菌体乾燥粉末が得られることがわかった。
実 施 例 6
Ss以外の酵母についての検討:
(酵母菌体乾燥粉末の調製)
クリプトコッカス・ローレンティ(C. laurentii IFO18803)、ロドトルラ・ラクトーザ(R. lactosa JCM1546)、シロバシディウム・マグナム(S. magnum JCM6876)およびロドトルラ・ミヌタ(R. minuta JCM8101)を、それぞれ単独で、乳糖5%、酵母エキス0.3%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%を含む培地(pH5)中、26℃で好気的に培養した。この培養液を遠心分離(10000G、30分間)して得られた湿菌体に、滅菌した市水を加えて十分に懸濁した。これを同条件で遠心分離し、湿菌体を少量の市水に懸濁したものを菌体濃縮液(固形分約4%)とした。
菌体濃縮液75mLに、20%乳糖溶液を25mL加えて十分に撹拌し、乾燥原液を調製した。この操作は20℃以下で行なった。この乾燥原液のほか、乳糖溶液の代わりに水を用いて調製した乾燥原液のそれぞれについて、噴霧乾燥法により酵母粉末を調製した。なお、乾燥原液中の固形分含量(計算値)は、菌体が約3%、乳糖が約5%となるように調整した。
噴霧乾燥は、東京理科器械(株)製の二流体ノズル型の噴霧乾燥装置(SD−1000)を用い、乾燥室の入口温度120℃、出口温度70〜90℃で実施した。
(力価の測定)
それぞれの酵母の乾燥原液と乾燥品の力価を測定し、乾燥原液の固形分あたり力価に対する乾燥品の固形分あたり力価の割合(力価残存率)を算出した。また、乳糖を添加していない菌体濃縮液についても同様に力価を測定し、力価残存率を算出した。その結果を表9に示す。
Figure 0005997692
NT:試験未実施
ロドトルラ・ラクトーザ(R. lactosa)以外の3株における噴霧乾燥後の力価残存率は、乳糖未添加時と比較して、乳糖5%添加でいずれも高くなった。ロドトルラ・ラクトーザについては、乳糖5%添加時で、99.8%と極めて高かった。これらの結果から、乳糖添加により発揮される噴霧乾燥後のβ-gal力価低下抑制効果は、Ssに特異的なものでなく、広く酵母に対して適用可能であることが示された。
参 考 例
オリゴ糖生成試験:
(噴霧乾燥品の懸濁液の調製)
上記実施例5で得られた乾燥品(入口温度120℃)を45U相当量秤量し、これを10mlのイオン交換水に加え、懸濁させて懸濁液を得た。
(オリゴ糖生成反応)
60%乳糖溶液800mLに、前記で調製した乾燥品の懸濁液の全量を添加して混合し、65℃、pH6で22時間反応させた。このときの糖組成を調べた結果を表10に示す。
Figure 0005997692
表10の結果から明らかなように、本発明の乾燥品(微生物菌体乾燥粉末)は、オリゴ糖の生成反応において、実用上問題なく使用できることが示された。
本発明方法により得られる酵母菌体乾燥粉末は、この酵母が持っている酵素活性を、乾燥状態で長期間安定に保持できるものである。すなわち、室温で保存しても、乾燥時の酵素力価をあまり低下させることなく保持できるものである。
従って、酵母が有する酵素活性を利用するにあたり、取り扱いが簡単であり、また保存可能であるため、需要に合わせて生産する必要がないため、酵素活性を利用した産業において有利に利用しうるものである。

Claims (4)

  1. β−ガラクトシダーゼ活性を有する、スポロボロマイセス属、クリプトコッカス属、ロドトルラ属またはシロバシディウム属に属する微生物の菌体液に乳糖微生物菌体液に対して、0.5ないし15質量/体積%となるよう添加し、次いでこれを噴霧乾燥し、乾燥後のβ−ガラクトシダーゼ力価が、乾燥前のβ−ガラクトシダーゼ力価の70%以上であることを特徴とする微生物菌体乾燥粉末の製造方法。
  2. β−ガラクトシダーゼ活性を有する、スポロボロマイセス属、クリプトコッカス属、ロドトルラ属またはシロバシディウム属に属する微生物の菌体液に対する乳糖の添加量が1ないし5質量/体積%である請求項1記載の微生物乾燥粉末の製造方法。
  3. β−ガラクトシダーゼ活性を有する、スポロボロマイセス属、クリプトコッカス属、ロドトルラ属またはシロバシディウム属に属する微生物の噴霧乾燥された乾燥微生物菌体と、該乾燥微生物菌体に対し、0.1ないし5倍量の乳糖とを含有する、常温で1年間保存後のβ−ガラクトシダーゼ力価が、噴霧乾燥直後のβ−ガラクトシダーゼ力価の80%以上保存される長期保存可能な微生物菌体乾燥粉末。
  4. β−ガラクトシダーゼ活性を有する、スポロボロマイセス属、クリプトコッカス属、ロドトルラ属またはシロバシディウム属に属する微生物の菌体液に乳糖を微生物菌体液に対して、0.5ないし15質量/体積%となるよう添加し、次いでこれを噴霧乾燥することを特徴とする噴霧乾燥によるβ−ガラクトシダーゼ力価低下抑制方法。
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