JP5996863B2 - ポリオキシメチレン製スライド部品、及びその使用方法 - Google Patents
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Description
〔1〕
オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)が、相手材(II)と接するスライド部品であって、
前記オキシメチレン樹脂組成物が、ポリオキシメチレン(A)100質量部と、常温で固形の潤滑剤(B)1質量部以上25質量部未満とを含み、
前記部材(I)が、ロックウェル硬度(Mスケール)78〜98であり、
前記相手材(II)が、オキシメチレン樹脂以外の樹脂を用いて形成され、ロックウェル硬度(Mスケール)55〜120であることを特徴とするポリオキシメチレン製スライド部品。
〔2〕
前記オキシメチレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が2〜20g/10分であることを特徴とする〔1〕に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
〔3〕
前記ポリオキシメチレン(A)が、オキシメチレンユニット以外のコモノマーユニットを、オキシメチレンユニット100molに対して、0〜1.35mol含有していることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
〔4〕
前記潤滑剤(B)の融点が60℃以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
〔5〕
前記潤滑剤(B)の融点が200℃以上であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
〔6〕
前記オキシメチレン樹脂組成物が、ポリオキシメチレン(A)100質量部と、常温で固形の潤滑剤(B)5質量部以上10質量部未満とを含むことを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
〔7〕
前記相手材(II)が、強化樹脂を用いたものであることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
〔8〕
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリオキシメチレン製スライド部品を用いることを特徴とするポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。
〔9〕
オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)と、該部材(I)に接する相手材(II)とを含むスライド部品を用いた使用方法であって、
部材(I)と相手材(II)との定常的な摺動面圧を20〜150MPaとすることを特徴とする〔8〕に記載のポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。
〔10〕
オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)と、該部材(I)に接する相手材(II)とを含むスライド部品を用いた使用方法であって、
部材(I)と相手材(II)との定常的な摺動線速度を0.08〜2.3m/secとすることを特徴とする〔8〕または〔9〕に記載のポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。
〔11〕
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリオキシメチレン製スライド部品が、定常的に断続的に稼動することを特徴とするポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。
本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品は、オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)が、相手材(II)と接するスライド部品であって、前記オキシメチレン樹脂組成物が、ポリオキシメチレン(A)100質量部と、常温で固形の潤滑剤(B)1質量部以上25質量部未満とを含み、前記部材(I)が、ロックウェル硬度(Mスケール)78〜98であり、前記相手材(II)が、オキシメチレン樹脂以外の樹脂を用いて形成され、ロックウェル硬度(Mスケール)55〜120である。
本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品は、後述する特定のオキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)を含む。
本実施形態に用いるオキシメチレン樹脂組成物は、主成分として下記のポリオキシメチレン(A)を含み、さらに常温で固形の潤滑剤(B)を特定量含んでいる。
本実施形態に用いるポリオキシメチレン(A)とは、オキシメチレン基のみを主鎖に有したポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)、または、分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有するポリオキシメチレンコポリマー(A−2)である。
(1)重合工程
本実施形態に用いるポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)とは、オキシメチレン基を主鎖に有する重合体を表す。重合体連鎖の両末端がエステル基またはエーテル基により封鎖されていてもよい。ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)の製造における重合形態は、公知のスラリー重合法(例えば、特公昭47−6420号公報および特公昭47−10059号公報に記載の方法)を用いて実施することができる。これにより、末端が安定化されていない粗ポリオキシメチレンを得ることができる。
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)の製造に使用するモノマーとしては、例えばホルムアルデヒドを用いることができる。このとき安定した分子量のポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)を継続的に得るために、精製され、かつ不純物濃度が低く安定したホルムアルデヒドガスを用いることが好ましい。ホルムアルデヒドの精製方法は公知の方法(例えば、特公平5−32374号公報および特表2001−521916号公報に記載の方法)を用いることができる。
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)の製造に使用する連鎖移動剤としては、一般にはアルコール類、酸無水物が用いることができる。また、ブロックポリマーや分岐ポリマーを得るためにポリオール、ポリエーテルポリオールやポリエーテルポリオール・アルキレンオキサイドを用いてもかまわない。
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)の製造における重合反応に使用する重合触媒としては、オニウム塩系重合触媒が挙げられる。重合反応に使用するオニウム塩系重合触媒は、下記一般式(1)で表されるものを用いることができる。
上記一般式(1)中、R1、R2、R3およびR4は各々独立にアルキル基を示し、Mは孤立電子対を持つ元素、Xは求核性基を示す。
ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)の製造における重合の反応器としては、バッチ式の攪拌機付き反応槽、および連続式のコニーダー、二軸スクリュー式連続押し出し混練機、二軸パドル型連続混合機等を用いることができる。これらの胴の外周は反応混合物を加熱または冷却できる構造を有することが好ましい。
上記粗ポリオキシメチレンの末端安定化をエーテル基で封鎖する方法としては、特公昭63−452号公報に記載の方法があり、アセチル基で封鎖する方法としては、米国特許第3,459,709号明細書に記載の大量の酸無水物を用い、スラリー状態で行う方法と、米国特許第3,172,736号明細書に記載の酸無水物のガスを用いて気相で行う方法とがある。本実施形態においては、上記いずれの方法も採用でき、特に限定されるものではない。
上記一般式(2)中、R5およびR6は、各々独立にアルキル基を示す。R5およびR6は、同じであっても異なっていてもよい。
末端安定化を行ったポリオキシメチレンのパウダーは乾燥を行った後、取扱い性を良くするために押出機を用いて造粒してもよい。このとき、通常のポリオキシメチレンに添加することの可能な公知の安定剤を加えながら溶融混練し、造粒を行うことが好ましい。溶融混練を行う場合には、品質や作業環境の保持のために、不活性ガスによる置換、ならびに一段および多段ベントによる脱気をすることが好ましい。溶融混練の際の温度は、ポリオキシメチレンホモポリマー(A−1)の融点以上250℃以下とすることが好ましい。
(1)重合工程
本実施形態に用いるポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の製造における重合形態は、オキシメチレンユニット以外のコモノマーユニットを、オキシメチレンユニット100molに対して、1.35mol以下含有していることが好ましく、1.33mol以下含有していることがより好ましく、1.31mol以下含有していることがさらに好ましい。
ポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の製造に用いる主モノマーとしては、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンもしくは4量体であるテトラオキサン等の環状オリゴマーを用いることが好ましい。
ポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の製造に用いるコモノマーとしては、分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有する環状エーテル化合物を用いることが好ましい。
ポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の重合工程においては、連鎖移動剤を用いることが好ましい。
ポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の重合工程に用いる重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸、およびプロトン酸のエステルまたは無水物等の、カチオン活性触媒が好ましい。
上述した重合工程により得られたポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の粗ポリマーに含まれる不安定末端部分を分解除去することによって、オキシメチレン樹脂組成物を構成するポリオキシメチレンコポリマー(A−2)が得られる。
ポリオキシメチレンコポリマー(A−2)の粗ポリマーに含まれる不安定末端部分の分解除去に用いる分解除去剤としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミンおよびトリブチルアミン等の脂肪族アミン、ならびに水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩および有機弱酸塩等の、公知の塩基性物質が挙げられる。
前記式(3)中、R7、R8、R9およびR10は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基からなる群より選ばれるいずれかを表す。
上記式(α)中、Pは第4級アンモニウム化合物の粗ポリマーに対する濃度(質量ppm)を表し、「14」は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表す。
本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品を形成するために用いるオキシメチレン樹脂組成物は、添加剤として、常温で固形の潤滑剤(B)を特定量含んでいる。また、その他の添加剤(C)を含んでいてもよい。なお、本実施形態において、「常温」とは、25℃を意味する。
本実施形態に用いるオキシメチレン樹脂組成物は、本実施形態の目的を損なわない範囲で、従来公知のその他の添加剤(C)を含んでもよい。
オキシメチレン樹脂組成物は、本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品を構成する成分であり、上述のように、ポリオキシメチレン(A)、潤滑剤(B)を含有し、さらに必要に応じて上記その他の添加剤(C)を含有するものである。以下においては、ポリオキシメチレン(A)、潤滑剤(B)、およびその他の添加剤(C)を全て含有するオキシメチレン樹脂組成物の製造方法を例示的に説明する。
本実施形態に用いるオキシメチレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(ASTM1238、温度190℃)は、2〜20g/10分であることが好ましく、3〜15g/10分であることがより好ましい。潤滑剤(B)、およびその他添加剤(C)の添加がオキシメチレン樹脂組成物のMFRに与える影響に応じて、上述した連鎖移動剤を、ホルムアルデヒド1mol当たりに換算して0.02〜0.08mol%添加してポリオキシメチレン(A)を重合することが好ましい。オキシメチレン樹脂組成物のMFRを上記範囲内とすることにより、ポリオキシメチレン製スライド部品の生産性を維持し、作動性および耐久性を向上することができる傾向にある。
本実施形態に用いる部材(I)は、例えば、上述したオキシメチレン樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
本実施形態に用いる部材(I)は、前記オキシメチレン樹脂組成物により形成される。この部材(I)のロックウェル硬度(Mスケール)は、78〜98であり、80〜95であることが好ましい。このようなロックウェル硬度を有する部材(I)を含むスライド部品は、作動性および耐久性に優れる。
本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品は、上述した部材(I)に接する相手材(II)を含む。
本実施形態に用いる部材(II)の製造方法としては、原材料となる上述したポリオキシメチレン樹脂以外の樹脂を用いた多様な公知の成形方法が挙げられる。
本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品とは、装置のスライド部分全てであってもよく、またスライド面を含む一部であってもよい。
本実施形態のポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法は、上述のポリオキシメチレン製スライド部品を用いる。
オキシメチレン樹脂組成物(P)を調製する原材料としては、以下に示すポリオキシメチレン(A)および潤滑剤(B)を用いた。
<ポリオキシメチレン(A)>
ポリオキシメチレン(A)としては、次の手順により得たポリオキシメチレンホモポリマーおよびポリオキシメチレンコポリマーを用いた。
ポリオキシメチレンホモポリマーは、以下のようにして調製した。
ポリオキシメチレンコポリマーは、以下のようにして調製した。
(式(α)中、Pは第4級アンモニウム化合物の粗ポリマーに対する濃度(質量ppm)を表し、「14」は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表す。)
次に、得られた乾燥ポリマーを用いて末端安定化および造粒工程を以下のとおり実施した。ベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業社製、BT−30、L/D=44、設定温度200℃、回転数80rpm)の前段部分に、得られた乾燥ポリマーを添加し、さらに当該乾燥ポリマー100質量部に対して0.5質量部の水を添加した。平均滞留時間を1分として、ポリマー末端を安定化させつつ減圧脱気を行った。
潤滑剤(B)として、下記(B−1)〜(B−5)を用いた。
(B−1):フッ素樹脂系(ルブロンL−5、ダイキン工業(株)社製、融点>200℃)
(B−2):フッ素樹脂系(ルブロンL−2、ダイキン工業(株)社製、融点>200℃)
(B−3):シリコン樹脂系(KMP590、信越化学工業(株)社製、硬化性樹脂、融点(分解温度)>200℃)
(B−4):オレフィン樹脂系(タフマーA70090、(株)三井化学社製、160℃>融点>60℃)
(B−5):エステル系(ミリスチン酸セチル、日本油脂(株)社製、常温で固形、融点<60℃)
(B−6):エステル系(アジピン酸ジイソデシル、大八化学工業(株)社製、常温で液状)
なお、潤滑剤(B)の融点は、示差走査熱量測定装置(DSC測定装置:STA6000パーキンエルマー社製)により測定した。常温で固形の潤滑剤を常温から200℃まで2.5℃/minで昇温し、横軸に温度、縦軸に熱流をとったときの発熱ピークを融点とした。
上記の原材料(A)および(B)等を、下記表1に示す組成に従って配合し、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した。得られた混合物を、ベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業社製、BT−30、L/D=44、設定温度200℃、回転数80rpm)を用いて、溶融混合し、造粒を行ない、オキシメチレン樹脂組成物(P1)〜(P19)のペレットを得た。
オキシメチレン樹脂組成物の生産性評価は、押出機のトルクを25アンペアで一定となるように調整して造粒したときの、オキシメチレン樹脂組成物の単位時間当たりの平均造粒量、ストランドの状態、ならびにペレットの外観および臭気により、総合的に行った。
相手材(II)を形成する樹脂としては、次の樹脂を使用した。
(b−1):ポリアミド系/GF30%(レオナ14G33、旭化成ケミカルズ(株)社製)
(b−2):ポリエステル系/GF30%(ノバデュラン5010G30、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
(b−3):エポキシ樹脂(EP4100、アデカ(株)社製/硬化剤EH101)
(b−4):ポリオキシメチレン樹脂(テナックC4520、旭化成ケミカルズ(株)社製)
(b−5):ポリエチレン(サンテックM7620、旭化成ケミカルズ(株)社製)
(b−6):フェノール樹脂(AVライト811、旭有機材(株)社製/硬化剤パラホルム)
〔相手材(II)の形成〕
相手材(II)として、上記樹脂(b−1)〜(b−6)を用いて、以下のとおり相手材(II−1)〜(II−6)を形成した。
上記樹脂(b−1)を用いて、以下のとおり加熱プレスにより相手材(II−1)を形成した。当該加熱プレスは、加熱プレス機(三庄インダストリー(株)社製、2段式ヒータープレス)を用いて、プレス温度280℃、プレス圧力20MPa、プレス時間15秒で実施した。当該加熱プレス後、80℃で45秒冷却し、得られた平板(厚さ3mm)を相手材(II−1)とした。相手材(II−1)のロックウェル硬度(Mスケール)は、110であった。
上記樹脂(b−2)を用いて、プレス温度255℃、プレス後の冷却温度を90℃とした以外は、相手材(II−1)の形成と同様にして相手材(II−2)を得た。相手材(II−2)のロックウェル硬度(Mスケール)は、105であった。
・相手材(II−3)の形成
上記樹脂(b−3)を用いて、硬化剤と加温しプレミキシングをした後、プレス温度120℃、プレス時間10時間とした以外は、相手材(II−1)の形成と同様にして相手材(II−3)を得た。相手材(II−3)のロックウェル硬度(Mスケール)は、110であった。
上記樹脂(b−4)を用いて、プレス温度200℃、プレス後の冷却温度を70℃とした以外は、相手材(II−1)の形成と同様にして相手材(II−4)を得た。相手材(II−4)のロックウェル硬度(Mスケール)は、81であった。
上記樹脂(b−5)を用いて、プレス温度200℃、プレス後の冷却温度を40℃とした以外は、相手材(II−1)の形成と同様にして相手材(II−5)を得た。相手材(II−5)のロックウェル硬度(Mスケール)は、40であった。
上記樹脂(b−6)を用いて、硬化剤と加温しプレミキシングをした後、プレス温度210℃、プレス時間10時間とした以外は、相手材(II−1)の形成と同様にして相手材(II−6)を得た。相手材(II−6)のロックウェル硬度(Mスケール)は、125であった。
表1に示したオキシメチレン樹脂組成物のペレットを用いて、相手材(II−4)と同様に平板を成形し、ロックウェル硬度を測定した。該測定結果を表1に示す。なお、オキシメチレン樹脂組成物(P5)および(P6)は生産性が優れなかったため、ロックウェル硬度の測定は実施しなかった。
オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)として、スライドピン(Ia)を以下の通り作製し、該部材(I)に接する相手材(II)として、下記ガイド部(IIb)を以下のとおり作製した。
上記調製したオキシメチレン樹脂組成物(P2)を用いて、以下のとおり射出成形することによりスライドピン(Ia)を作製した。
オキシメチレン樹脂組成物を用いて作製した上記スライドピン(Ia)の品質評価は、成形品の外観(シルバーやフローマークなど)や着色などを目視で確認し、総合的に行なった。
上記形成した相手材(II−1)から、25mm×30mmの短冊を切り出し、該短冊を後述するスライド部品評価装置のSUS製治具に固定しガイド部(IIb)とした。
上記作製したスライドピン(Ia)およびガイド部(IIb)を用いて、図4−1に示すような構成のスライド部品を作製した。当該スライド部品について以下のとおり評価した。
スライド部品の生産性の評価を、上述したオキシメチレン樹脂組成物の生産性および上述したスライドピン(Ia)の品質評価により行った。評価結果を表2に示す。
スライド部品の作動性および耐久性の評価は、後述するスライド部品評価装置を用いて行なった。当該評価を行う際のスライドピン(Ia)とガイド部(IIb)との摺動面圧は、80MPaとし、スライドピン(Ia)とガイド部(IIb)との摺動線速度は、1.0m/秒とした。なお、本実施例において、摺動面圧は、スライド部品の評価開始前に、既存の感圧紙(富士フイルム(株)社製、プレスケール)により測定した。摺動線速度は、タコメータ((株)小野測機(株)社製、HT5500)により測定した。
図4−1〜図4−3に、スライド部品の作動性および耐久性の評価に用いたスライド部品評価装置を示す。
スライド部品の作動性の評価は、スライド試験を開始したときの作動状態(音の発生およびスライドピンの動き)を観察することにより行なった。
音の発生およびスライドピンの動きについては、往復動試験開始から1〜10回往復するときを観察した。各試験を3回実施し、平均することで評価を行なった。
また、スライド部品の耐久性の評価は、10万回往復動試験を実施したときの、スライドピンの形状変化、ならびにスライドピンおよびガイド部の外観を観察することにより行った。
表2に示す種類のオキシメチレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。評価結果を表2に示す。なお、比較例2では、スライドピン(Ia)において、摺動面の外観に明らかに不均一部分が確認されたので、以降の評価を行わなかった。
表2に示す種類のオキシメチレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価の実施を試みた。しかしながら、比較例3では、オキシメチレン樹脂組成物のペレット(P6)の製造において、食い込み不良やストランドに切れなどが発生して巻き取りが不安定になったため、スライドピン(Ia)の作製や以降の評価を行わなかった。
ガイド部(IIb)を、表2に示すとおりの相手材(II−2)〜(II−6)から作製した以外は、実施例2と同様にして、スライドピン(Ia)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。実施例4、5および比較例4〜6の評価結果を表2に示す。
比較例7は、オキシメチレン樹脂組成物(P2)にその他の添加剤として、エラストマー(ペルプレンP30B:東洋紡績社製)を3質量部添加したオキシメチレン樹脂組成物(P16)を用いた。比較例8は、オキシメチレン樹脂組成物(P2)にその他の添加剤として、ガラスファイバー(ECS03T−851:日本電気硝子社製)を25質量部添加したオキシメチレン樹脂組成物(P17)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。比較例7、8の評価結果を表2に示す。
表3に示す種類のオキシメチレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。実施例7〜8の評価結果を表3に示す。
表3に示す種類のオキシメチレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。実施例10〜12の評価結果を表3に示す。
表3に示す種類のオキシメチレン樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。実施例13〜16の評価結果を表3に示す。
作動性および耐久性の評価を行う際のスライドピン(Ia)とガイド部(IIb)との摺動面圧を、表4に示すとおり変更した以外は、実施例2と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。実施例17〜20の評価結果を表4に示す。
作動性および耐久性の評価を行う際のスライドピン(Ia)とガイド部(IIb)との摺動線速度を、表4に示すとおり変更した以外は、実施例2と同様にして、スライドピン(Ia)、ガイド部(IIb)およびスライド部品を作製し、各評価を実施した。実施例21〜24の評価結果を表4に示す。
Claims (10)
- オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)が、相手材(II)と接するスライド部品であって、
前記オキシメチレン樹脂組成物が、ポリオキシメチレン(A)100質量部と、常温で固形の潤滑剤(B)1質量部以上25質量部未満とを含み、
前記部材(I)が、ロックウェル硬度(Mスケール)78〜98であり、
前記相手材(II)が、オキシメチレン樹脂以外の樹脂を用いて形成され、ロックウェル硬度(Mスケール)55〜120であり、
前記オキシメチレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が2〜20g/10分であることを特徴とするポリオキシメチレン製スライド部品。 - 前記ポリオキシメチレン(A)が、オキシメチレンユニット以外のコモノマーユニットを、オキシメチレンユニット100molに対して、0〜1.35mol含有していることを特徴とする請求項1に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
- 前記潤滑剤(B)の融点が60℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
- 前記潤滑剤(B)の融点が200℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
- 前記オキシメチレン樹脂組成物が、ポリオキシメチレン(A)100質量部と、常温で固形の潤滑剤(B)5質量部以上10質量部未満とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
- 前記相手材(II)が、強化樹脂を用いたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン製スライド部品。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン製スライド部品を用いることを特徴とするポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。
- オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)と、該部材(I)に接する相手材(II)とを含むスライド部品を用いた使用方法であって、
部材(I)と相手材(II)との定常的な摺動面圧を20〜150MPaとすることを特徴とする請求項7に記載のポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。 - オキシメチレン樹脂組成物を用いて形成される部材(I)と、該部材(I)に接する相手材(II)とを含むスライド部品を用いた使用方法であって、
部材(I)と相手材(II)との定常的な摺動線速度を0.08〜2.3m/secとすることを特徴とする請求項7または8に記載のポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン製スライド部品が、定常的に断続的に稼動することを特徴とするポリオキシメチレン製スライド部品の使用方法。
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