JP5766036B2 - ポリアセタールブロックコポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これら各種添加剤による特性改良方法は、短期間の使用では充分満足のいく特性を維持することができるが、長期間連続使用する場合は、その特性を維持することが難しい。その理由は、ポリアセタール樹脂が高結晶性樹脂であるため、添加した各種添加剤が成形品表面から放出(ブリード)しやすいためである。即ち、ポリアセタール樹脂に添加した安定剤等の各種添加剤の多くは、ポリアセタール樹脂の非晶部に存在するため、各種添加剤の添加量が多いと非晶部が添加剤を保持許容できる範囲を超え、添加した各種添加剤が弾き出される(成形品表面から各種添加剤が放出される)。その結果、各種添加剤が成形品に付与していた特性を維持することが困難となる。
例えば、水酸基を有する連鎖移動反応性ポリマーを用いて変性ポリアセタール共重合体を製造する方法(例えば、特許文献1参照)や、ヒドロキシ末端化脂肪族または脂環式オリゴマーを用いて変性ポリオキシメチレンブロックコポリマーを製造する方法(例えば、特許文献2参照)である。また、ポリアセタール共重合体の製造方法について、環状ホルマールおよび/または環状エーテルと低分子量アセタール化合物を予め混合し、その後、カチオン重合触媒を添加混合し、得られた混合物をトリオキサンに添加供給し重合する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
[1]
ポリアセタールブロックコポリマーの製造方法であって、
前記ポリアセタールブロックコポリマーが、下記一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位および下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位を含有するポリアセタールセグメント(A)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)とを含むAB型のポリアセタールブロックコポリマーであり、
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルと、脂肪族炭化水素、環式炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒とを混合して混合物(i)を得る第1工程、
前記混合物(i)と、前記ポリアセタールセグメント(A)中の一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位を形成する原料の、環式ホルマールおよび/または環状エーテルとを混合して混合物(ii)を得る第2工程、
前記混合物(ii)と、前記ポリアセタールセグメント(A)中の一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位を形成する原料のトリオキサンとを混合して混合物(iii)を得る第3工程、ならびに、
前記混合物(iii)と、カチオン性重合触媒とを接触混合することなく重合反応機に供給して、重合を行う第4工程を含む、AB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
[2]
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルが、脂肪族アルコールおよびp−アルキル置換フェノールからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルの供給量が、前記ポリアセタールセグメント(A)を形成する原料100質量部に対して、0.1〜15質量部である、[1]記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
[3]
前記第1工程における有機溶媒が、水酸基を有さない炭化水素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒である、[1]または[2]に記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
[4]
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルが、数平均分子量100〜10000の片末端水酸基を有する化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
[5]
前記オキシアルキレン単位(II)を形成する原料の、環式ホルマールおよび/または環状エーテルの供給量が、オキシメチレン単位(I)を形成する原料のトリオキサン100molに対して、0.05〜3.0molである、[1]〜[4]のいずれかに記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法で得られるAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
本実施形態に係る製造方法は、ポリアセタールブロックコポリマーの製造方法であって、
前記ポリアセタールブロックコポリマーが、下記一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位および下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位を含有するポリアセタールセグメント(A)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)とを含むAB型のポリアセタールブロックコポリマーであり、
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルと、脂肪族炭化水素、環式炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒とを混合して混合物(i)を得る第1工程、
前記混合物(i)と、前記ポリアセタールセグメント(A)中の一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位を形成する原料の、環式ホルマールおよび/または環状エーテルとを混合して混合物(ii)を得る第2工程、
前記混合物(ii)と、前記ポリアセタールセグメント(A)中の一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位を形成する原料のトリオキサンとを混合して混合物(iii)を得る第3工程、ならびに、
前記混合物(iii)と、カチオン性重合触媒とを接触混合することなく重合反応機に供給して、重合を行う第4工程を含む。
第1工程は、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルと、脂肪族炭化水素、環式炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒とを混合して混合物(i)を得る工程である。
脂肪族アルコールおよびp−アルキル置換フェノールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、オレイルアルコール、3−エチル−6−ウンデカノール、フエノール、p−ブチルフエノール、p−オクチルフエノール、p−ノニルフエノール、ベンジルアルコール、p−ブチルベンジルアルコール、片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンなどが挙げられる。これらBセグメントの中でも、片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンがより好ましい。
上記炭化水素化合物の中でも、分子量150〜500で、且つ、水酸基を有さない炭化水素化合物であることが好ましい。このような炭化水素化合物としては、例えば、アルキレングリコールのユニット数(n)が1〜10のジアルキルエーテル化合物が挙げられる。具体的には、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテルが挙げられ、より好ましいジアルキルエーテル化合物は、トリエチレングリコールジメチルエーテルである。
このような水酸基を有さない炭化水素化合物を、有機溶媒として用いることにより、ポリアセタールブロックコポリマーの分子量コントロールが容易となり、好ましい。
第2工程は、前記第1工程で得られた混合物(i)と、環状エーテルおよび/または環状ホルマールとを混合し、混合物(ii)を得る工程である。
上述の第1工程〜第4工程を含む製造方法によれば、上述のようなオキシアルキレン単位のシークエンスとすることができる。
第3工程は、前記第2工程で得られた混合物(ii)とトリオキサンとを混合し、混合物(iii)を得る工程である。
第4工程は、前記第3工程で得られた混合物(iii)と、カチオン性重合触媒とを接触混合することなく重合反応機に供給して、重合を行う工程である。
パーフルオロアルキルスルホン酸としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸等、およびこれらの無水物が挙げられる。これらの無水物の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ペンタフルオロエタンスルホン酸無水物、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンスルホン酸無水物、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸無水物、パーフルオロヘプタンスルホン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、トリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。
ヘテロポリ酸としては、例えば、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が挙げられる。これらの中でも、リンタングステン酸が好ましい。
ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素およびアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモンおよびその錯化合物又は塩が挙げられる。
また、プロトン酸、そのエステル又は無水物としては、例えば、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルが好ましい。
これらのカチオン性重合触媒の供給量は、トリオキサン100molに対して、好ましくは1×10-6mol〜1×10-1molの範囲であり、より好ましくは1×10-5mol〜1×10-1molの範囲であり、さらに好ましくは1×10-4mol〜1×10-1molの範囲である。カチオン性重合触媒の重合反応機への供給量が前記範囲にある時、ポリマー中に残存する触媒によるポリアセタール共重合体の熱分解を抑えることができ、熱的に安定なポリアセタール共重合体を製造することができる傾向にある。
カチオン性重合触媒(D)の失活方法としては、例えば、重合反応機を出た不安定末端基を有する粗変性ポリアセタール共重合体を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類;アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の中和失活剤;または下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム化合物(E)の少なくとも1種を含む水溶液または有機溶剤溶液中に投入し、スラリー状態で数分〜数時間、室温〜100℃以下の範囲で連続攪拌することにより、カチオン性重合触媒(D)を失活化させる方法が挙げられる。
不安定末端基を有する粗変性ポリアセタール共重合体の不安定末端基除去方法としては、例えば、不安定末端基除去剤を粗変性ポリアセタール共重合体に添加し、押出し機等の減圧脱揮可能な設備で溶融混練し、不安定末端基を熱分解除去する方法が挙げられる。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーは、上述の製造方法で得られ、熱安定性に優れ、さらにはウエルド特性および摺動性にも優れる。
〔AB型のポリアセタールブロックコポリマーの分子構造〕
上記の第1工程から第4工程を経て得られた不安定末端基を有する粗変性ポリアセタール共重合体は、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)をポリマー主鎖中に導入した分子構造を有する。
このAB型のポリアセタールブロックコポリマーの分子構造は、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルの種類により異なり、ブロック型、グラフト型、分岐・架橋型の何れの分子構造であってもよく、特に限定するものではない。
末端安定化されたAB型のポリアセタールブロックコポリマーには、本実施形態において目的とするAB型のポリアセタールブロックコポリマーの特性を損なわない範囲で、従来公知の各種添加剤を適宜選択し添加することもできる。従来公知の各種添加剤として、例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物、耐候(光)安定剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤、結晶化核剤や顔料、無機および有機強化材が挙げられる。
〔1.トリオキサン(I)〕
・I−1:トリオキサン
〔2.環状エーテル(II)〕
・II−1:1,3−ジオキソラン
〔3.片末端ヒドロキシアルキル〕
・B−1:片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン(分子量:2400)
なお、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンは、両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンとヨウ素化メチル(アルキル化剤)とから、触媒としてトリエチルボランを用いて合成した。
・B−2:ステアリルアルコール(日油株式会社製 NAA−45、分子量:270)
・B−3:セチルアルコール(日油株式会社製 NAA−44、分子量:250)
・B−4:ラウリルアルコール(日油株式会社製 NAA−42、分子量:190)
〔4.カチオン性重合触媒(D)〕
・D−1:三フッ化ホウ素ジブチルエーテル
・D−2:トリフルオロメタンスルホン酸
〔5.有機溶媒(F)〕
・F−1:シクロヘキサン
・F−2:トリエチレングリコールジメチルエーテル
目開きが50μm、75μm、100μmの篩に、重合機から排出された不安定末端基を有する粗変性ポリアセタール共重合体を載せ、下記の篩装置を用いて、前記粗変性ポリアセタール共重合体の粒径毎の重量を測定した。
篩装置:筒井理化学器機(株)製、ミクロ形電磁振動ふるい器(型式:M−100形)
篩振動時間:15分
重合開始後、重合反応機から排出された粗変性ポリアセタール共重合体の単位時間当たりの排出量と、トリオキサン(I)の単位時間当たりのフィード量とから下記式(3)により重合収率を求めた。
カチオン性重合触媒を失活化し、真空乾燥して、得られた粗変性ポリアセタール共重合体またはAB型のポリアセタールブロックコポリマーを190℃の温度に調整したオイルバス(窒素雰囲気下)に浸漬させ、不安定末端部からホルムアルデヒドを発生させた。発生したホルムアルデヒドを亜硫酸ソーダ水溶液に吸収させ、硫酸で滴定し、発生したホルムアルデヒドを一定時間ごとに測定した。ホルムアルデヒド発生量が無くなった時点をもって熱分解を終了し、発生したホルムアルデヒド全量をもって粗変性ポリアセタール共重合体またはAB型のポリアセタールブロックコポリマーの不安定末端基量とした。尚、ホルムアルデヒドキャリアガスには窒素ガスを用いた。
不安定末端基を有する粗変性ポリアセタール共重合体を、3kg/hrの量を2軸押出し機に供給し、2軸押出し機(L/D=44、(株)プラスチック工学研究所製、BT−30押出し機)で3時間連続して押出し造粒した。このときの押出し機における電流値と、ダイス部からの吐出量とを測定し、下記基準に従って押出し性を判定した。
尚、押出し機シリンダー設定温度は、ホッパー下を180℃とし、その他は全て200℃とし、また、押出し機ベント部の減圧度は−95kPaとした。
・押出し性の判定基準
〇:押出し機吐出量の増減値が、フィード量に対して±5%以内であり、且つ、押出し機電流値の振れ幅が、平均電流値に対して±5A以内であった。
△:押出し機吐出量の増減値が、フィード量に対して±5%を超え±10%以内であり、且つ、押出し機電流値の振れ幅が、平均電流値に対して±5Aを超え±10A以内であった。
×:押出し機吐出量の増減値が、フィード量に対して±10%を超えて、押出しがサージング状態となり、且つ、押出し機電流値の振れ幅が、平均電流値に対して±10Aを超えていた。
AB型のポリアセタールブロックコポリマーに導入された片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)の導入率を以下のように求めた。
まず、重合機から排出された粗変性ポリアセタール共重合体を、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を導入する際に用いた有機溶媒と同じ有機溶媒を用いて洗浄し、未反応の片末端ヒドロキシアルキルを除去した。その後、水洗し真空乾燥し、得られた粗変性ポリアセタール共重合体を塩酸で分解して分解溶液を得た。この分解溶液から、粗変性ポリアセタール共重合体における主鎖中に導入された片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を、エバポレーター等の抽出装置を用いて抽出し、洗浄し定量した。この定量値をもって片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの導入量とした。得られた導入量を、重合時にフィードした片末端ヒドロキシアルキルの量で割り返し、導入率(%)を求めた。
AB型のポリアセタールブロックコポリマーを0.1規定塩酸水溶液と混合して耐圧ビンに仕込み、それを滅菌器により加圧状態で130℃、2時間分解し、オキシメチレン単位はホルムアルデヒドとし、オキシアルキレン単位はアルキレングリコールとした。得られたアルキレングリコールについて、ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィーを用いて分析することにより、オキシアルキレン単位のシークエンスの測定を行った。
実施例および比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された射出成形機(東芝機械(株)製、商品名「IS−100G
N」)を用いて、金型温度70℃、射出時間15秒、冷却時間15秒の条件で、ウエルド部にガス抜きを設置していないASTMダンベル試験片金型(1個取り)により、前記乾燥後のペレットから、ASTMダンベル試験片を成形した。この試験片をオートグラフ(島津製作所(株)製、商品名「AG−IS 10KN」)に固定して、引張速度5
mm/min、チャック間距離114mmの条件にて測定を行い、該測定時にウエルド部が破断するまでのウエルド伸度(%)を求めた。ウエルド伸度(%)が大きい程、ウエルド特性に優れると評価した。
実施例および比較例で得られたペレットを、80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された射出成形機(東洋機械金属(株)製、商品名「TI−30G2」)を用いて、金型温度70℃、射出時間10秒、冷却時間10秒の条件で、前記乾燥後のペレットから、6mmf×17mmの軸穴(3箇所にウエルド部)を有するギヤプーリーを成形した。このギヤプーリーをSUS製シャフトにセットして、樹脂製小型軸受摩擦摩耗試験機(神鋼造機(株)製)を用い、荷重500g、回転数600rpmで間欠運転(ON:9秒間/OFF:1秒間)を行った。5000回転後のSUSシャフトの傷付き性(摩耗)を目視して、下記の基準に従って摺動性についてランク付けした。
◎:傷がない(線状の傷が0本である)
○:傷が殆どない(線状の傷が1〜2本である)
△:線状の傷あり(線状の傷が3本〜10本である)
×:多数線状の傷あり(線状の傷が10本以上である)
〔14.ホルムアルデヒドガス発生量(ppm)〕
実施例及び比較例で得られたペレットを、80℃で3時間乾燥した。更に140℃で1時間乾燥処理を施したペレットを、窒素気流下(50NL/hr)、220℃で加熱溶融し、ペレットから発生するホルムアルデヒドガスを水に吸収させ、亜硫酸ソーダ法により滴定し、ホルムアルデヒドガス発生量を測定した。加熱時間は90分とした。当該ホルムアルデヒドガス発生量が少ないほど、熱安定性に優れると評価した。
〈第1工程〉
片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン(B−1)を60℃に加温し、ポンプで配管内を流した。同時に別の配管を用いてシクロヘキサン(F−1)を流し、片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン(B−1)とシクロヘキサン(F−1)とを、スタティックミキサー1を設置した配管内で混合して、混合物(i)を得た。
なお、スタティックミキサー1の温度は60℃とした。また、混合物(i)における片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン(B−1)の濃度が、混合物(i)全体に対して90質量%になるよう、片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン(B−1)とシクロヘキサン(F−1)との流量を調整した。
前記混合物(i)と、更に別の配管から送られてきた1,3−ジオキソラン(II−1)とを合流させ、スタティックミキサー2を設置した配管内に導入して混合することにより、混合物(ii)を得た。なお、このときのスタティックミキサー2の温度は60℃とした。
スタティックミキサー2を設置した配管内を通過後、前記混合物(ii)と、別の配管から送られてきたトリオキサン(I−1)(3000g/hr)とを合流させ、スタティックミキサー3を設置した配管内で更に混合し、混合物(iii)を得た。なお、スタティックミキサー3の温度は80℃とした。
前記混合物(iii)と、カチオン性重合触媒(D)とを接触混合することなく重合反応機に供給して、重合を行って粗変性ポリアセタール共重合体を得た。
カチオン性重合触媒(D)としては、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル(D−1)を用いた。この重合触媒の希釈溶媒は、混合物(i)の有機溶媒と同一のシクロヘキサン(F−1)とした。希釈倍率は、カチオン性重合触媒である三フッ化ホウ素ジブチルエーテル(D−1)1質量部に対して、有機溶媒であるシクロヘキサン(F−1)を1000質量部とした。カチオン性重合触媒である三フッ化ホウ素ジブチルエーテル(D−1)の供給量は、トリオキサン(I−1)100molに対して、0.2×10-2molとした。
重合反応機から排出された末端安定化していない粗変性ポリアセタール共重合体を、1質量%に調整したトリエチルアミン水溶液に投入してスラリーを得た。このときのスラリー濃度は、25質量%とした。
その後、得られたスラリーを、室温で1時間、攪拌混合し、カチオン性重合触媒である三フッ化ホウ素ジブチルエーテル(D−1)を失活化させた。その後、カチオン性重合触媒である三フッ化ホウ素ジブチルエーテル(D−1)を失活化させた粗変性ポリアセタール共重合体を、ろ過、乾燥した。
乾燥後、得られた粗変性ポリアセタール共重合体を用いて、重合収率、粒子径、不安定末端基量、片末端ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン(B−1)の導入率を上述した方法により測定した。測定結果を表2に示す。
上記失活化処理工程後の粗変性ポリアセタール共重合体に、末端安定化処理剤を添加して、ベント減圧可能な30φ2軸押出し機(L/D=44、(株)プラスチック工学研究所製、BT−30押出し機)を用い、溶融混練することにより不安定末端基が除去(末端安定化処理)されたAB型のポリアセタールブロックコポリマーのペレットを得た。
尚、押出し機シリンダー設定温度は、ホッパー下を180℃とし、その他は全て200℃とし、また、押出し機ベント部の減圧度は−95kPaとした。
AB型のポリアセタールブロックコポリマーの押出し性について、上述のとおり、粗変性ポリアセタール共重合体の末端安定化処理を行う際の押出し機の喰い込み性と押出し機電流値とで評価した。また、末端安定化処理工程後のAB型のポリアセタールブロックコポリマーのペレットについて、不安定末端基量を上述した方法により測定した。測定結果を表2に示す。
表1に示すとおり、原料の種類および供給量を変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマーを得て、各種測定を行った。測定結果を表2に示す。
表1に示すとおり、第1工程において、有機溶媒を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマーのペレットを得て、各種測定を行った。測定結果を表2に示す。
表1に示すとおり、第1工程において、有機溶媒を用いなかった以外は、実施例2と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマーのペレットを得て、各種測定を行った。測定結果を表2に示す。
表1に示すとおり、第1工程において、有機溶媒を用いなかった以外は、実施例3と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマーのペレットを得て、各種測定を行った。測定結果を表2に示す。
表1に示すとおり、第1工程において、有機溶媒を用いなかった以外は、実施例4と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマーのペレットを得て、各種測定を行った。測定結果を表2に示す。
したがって、本発明の製造方法で得られるAB型のポリアセタールブロックコポリマーは、ウエルド部を有する歯車または軸受部品等に非常に有用なものである。
Claims (8)
- ポリアセタールブロックコポリマーの製造方法であって、
前記ポリアセタールブロックコポリマーが、下記一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位および下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位を含有するポリアセタールセグメント(A)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)とを含み、前記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位において、y=1の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の95mol%以上であるAB型のポリアセタールブロックコポリマーであり、
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルと、脂肪族炭化水素、環式炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒とを混合して混合物(i)を得る第1工程、
前記混合物(i)と、前記ポリアセタールセグメント(A)中の一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位を形成する原料の、環式ホルマールおよび/または環状エーテルとを混合して混合物(ii)を得る第2工程、
前記混合物(ii)と、前記ポリアセタールセグメント(A)中の一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位を形成する原料のトリオキサンとを混合して混合物(iii)を得る第3工程、ならびに、
前記混合物(iii)と、カチオン性重合触媒とを接触混合することなく重合反応機に供給して、重合を行う第4工程を含む、AB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
- 前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルが、脂肪族アルコールおよびp−アルキル置換フェノールからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルの供給量が、前記ポリアセタールセグメント(A)を形成する原料100質量部に対して、0.1〜15質量部である、請求項1記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。 - 前記第1工程における有機溶媒が、水酸基を有さない炭化水素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒である、請求項1または2に記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
- 前記片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)を形成する原料の片末端ヒドロキシアルキルが、数平均分子量100〜10000の片末端水酸基を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
- 前記オキシアルキレン単位(II)を形成する原料の、環式ホルマールおよび/または環状エーテルの供給量が、オキシメチレン単位(I)を形成する原料のトリオキサン100molに対して、0.05〜3.0molである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法で得られるAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
- ウエルド部を有する部品に用いられる、請求項6記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
- 前記ウエルド部を有する部品が歯車または軸受である、請求項7記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
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