JP6014390B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は結晶性樹脂であり、剛性、強度、靭性、摺動性及びクリープ性に優れた樹脂材料である。ポリアセタール樹脂の用途は、自動車部品、電気・電子部品及び工業部品などの各種機構部品用樹脂材料として、広範囲に亘っている。
これらの各種の機構部品は、通常以下のとおり連続生産される。先ずポリアセタール樹脂に安定剤等の各種添加剤を配合し、得られた配合物を押出し機等により溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物のペレットを得る。得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを用いて所望の成形品を射出成形し、各種機構部品を連続生産する。このような連続生産を長期間に亘り行う場合、ポリアセタール樹脂は、押出し機等により所定の滞留時間及び温度で溶融混練されることにより熱分解し、ホルムアルデヒドを放出する。そして、放出されたホルムアルデヒドは、糖化反応(ホルモース反応)により炭化物となる。また、ポリアセタール樹脂中に添加されている安定剤等の各種添加剤は、押出し機等により所定の滞留時間及び温度で溶融混練されることにより、いわゆる焼けによる変性が起こり、変性物となる。
ポリアセタール樹脂成形品を長期間連続使用した際、上記炭化物及び変性物が存在する箇所は、成形品使用時の応力が集中し、破壊の起点となる。したがって、上記炭化物及び変性物が混入したポリアセタール樹脂組成物から得られる成形品は、本来有するポリアセタール樹脂由来の耐久性が阻害される。
そのため、ポリアセタール樹脂組成物を用いて各種の機構部品を連続生産する場合、ポリアセタール樹脂を含む原料を押出し機等により溶融混練する際の温度をポリアセタール樹脂の融点近傍まで極力下げ、さらには滞留時間を抑えるなどの条件で、ポリアセタール樹脂組成物のペレットを生産し、上記炭化物及び変性物の発生を抑制している。また、定期的に押出し機等の溶融混練装置を洗浄するなどの処置を施し、上記炭化物及び変性物が成形品に混入することを防止している。さらには、ポリアセタール樹脂組成物を用いた成形品中に上記炭化物及び変性物等の異物が混入していないか、目視で検査するなどの工程検査を行い、品質管理に多大な労力を要しているのが現状である。
従来、ポリアセタール樹脂の熱安定性を改良する方法として、3元共重合ポリアミドを添加配合する方法(例えば、特許文献1参照。)、ポリ−β−アラニン重合体を添加配合する方法(例えば、特許文献2参照。)、2種以上のポリアミド樹脂を添加配合する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。また、近年自動車内装部品を中心に、ホルムアルデヒドを含む揮発性有機化合物(VOC)の放出量のさらなる低減要求がある。そのため、ホルムアルデヒド放出抑制剤を添加し、成形品から放出されるホルムアルデヒド量を低減する試みがなされている(例えば、特許文献4参照。)。
特公昭34−005440号公報 特開平02−247247号公報 特開昭51−064559号公報 特開平10−298401号公報
上記従来提案されている方法によると、短時間で連続してポリアセタール樹脂を含む原料を押出し機等により溶融混練する場合は、ポリアセタール樹脂の熱分解や、各種添加剤の変性を抑制できる。そして、ポリアセタール樹脂組成物から得られる成形品は、本来有するポリアセタール樹脂由来の耐久性を損なうことはない。
しかしながら、上記従来提案されている方法によっても、長期間連続してポリアセタール樹脂を含む原料を押出し機等により溶融混練する場合は、ポリアセタール樹脂の熱分解により発生するホルムアルデヒド起因の炭化物や、安定剤等の各種添加剤起因の変性物の発生を完全に抑制することはできない。そして、発生した炭化物及び変性物等の異物が、例えば、押出し機ダイスの目を詰まらせ、押出し機のダイス圧が上昇するため、ポリアセタール樹脂組成物を長期間連続して生産することが困難となる場合がある。さらには、ポリアセタール樹脂組成物中に炭化物及び変性物が混入すると、上述したとおり、得られるポリアセタール樹脂成形品の長期耐久性が阻害される。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、長時間連続して成形を行っても、ポリアセタール樹脂の熱分解により発生するホルムアルデヒド起因の炭化物や、安定剤等の各種添加剤起因の変性物の発生を効果的に抑制することが可能で、且つ金型汚染性が著しく低いポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂に特定の添加剤を配合することにより、長時間連続して成形を行っても、ポリアセタール樹脂の熱分解により発生するホルムアルデヒドに起因する炭化物や、安定剤等の各種添加剤起因の変性物の発生を効果的に抑制することができ、且つ金型汚染性が著しく低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
(A)ポリアセタール樹脂と、
(B−1)下記式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物と、
(B−2)下記式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物と、
(C)酸化防止剤と、
(D)脂肪酸エステル化合物と、
を含み、
前記カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)と前記カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率((B−1)/(B−2))が、1×10 -6 〜10,000×10 -6 の範囲である、
ポリアセタール樹脂組成物。
Figure 0006014390
・・・(1)
Figure 0006014390
・・・(2)
(式中、R 1 は水素、アルキル基、置換アルキル基、又はアリール基を表し、nはそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
本発明によれば、長時間連続成形した際に発生するホルムアルデヒド起因の炭化物、及び各種添加剤起因の変性物の発生を抑制し、且つ金型のメンテナンス頻度を著しく低減(改善)した金型汚染性の低いポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、説明する。本発明は、以下の記載に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔ポリアセタール樹脂組成物〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、
(A)ポリアセタール樹脂と、
(B−1)下記式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物と、
(B−2)下記式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物と、
(C)酸化防止剤と、を含む。
Figure 0006014390
・・・(1)
Figure 0006014390
・・・(2)
(式中、Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、又はアリール基を表し、nはそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
〈ポリアセタール樹脂(A)〉
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂(A)とは、特に限定されないが、具体的には、トリオキサンと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、重合触媒と、低分子量アセタール化合物とを、重合反応機に供給して重合を行うポリアセタール共重合体が挙げられ、下記方法により製造することができる。
<トリオキサン>
トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルマリン水溶液を反応させることにより得られる。このトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の連鎖移動させる不純物を含有している場合があるので、例えば蒸留等の方法でこれら不純物を除去精製することが好ましい。
その場合、連鎖移動させる不純物の合計量をトリオキサン1molに対して、1×10−3mol以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5×10−3mol以下、さらに好ましくは0.1×10−3mol以下とする。不純物の量を上記数値のように低減化することにより、重合反応速度を実用上十分に高めることができ、生成したポリマーにおいて優れた熱安定性が得られる。
<環状エーテル及び環状ホルマール>
環状エーテル及び環状ホルマールは、前記トリオキサンと共重合可能な成分であり、特に限定されないが、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクルロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。この中でも特に、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量は、前記トリオキサン1molに対して1〜20mol%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜15mol%であり、さらに好ましくは1〜10mol%であり、さらにより好ましくは1〜5mol%である。
<重合触媒>
重合触媒としては、特に限定されないが、具体的には、ルイス酸に代表されるホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン化物が挙げられ、特に、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートが好適な例として挙げられる。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒の添加量は、前記トリオキサン1molに対して0.1×10−5〜0.1×10−3molの範囲が好ましく、より好ましくは0.3×10−5〜0.5×10−4molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10−5〜0.4×10−4molの範囲である。重合触媒の添加量が前記範囲内であるとき、重合反応機の供給部におけるスケール発生量を低減化しながら、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
<低分子量アセタール化合物>
低分子量アセタール化合物は、後述する重合工程において連鎖移動剤として機能するものであり、特に限定されないが、具体的には、分子量が200以下、好ましくは60〜170のアセタール化合物が挙げられる。具体的には、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラールを好適例として挙げることができる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。低分子量アセタール化合物の添加量は、ポリアセタール樹脂(A)の分子量を好適な範囲に制御する観点からトリオキサン1molに対して0.1×10−4〜0.6×10−2molの範囲であることが好ましい。重合体の分子量をメルトフローレイト(MFR値)で代用し表記すると、MFR値が0.1〜100g/10minに相当する分子量になるように、低分子量アセタール化合物の添加量を調整することが好ましい。MFR値は0.1〜30g/10minであることがより好ましく、0.1〜10g/10minであることがさらに好ましい。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、重合反応に関与したり、悪影響を及ぼしたりするものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサンのようなエーテル類等が挙げられ、特にタール状析出物を抑制する観点からn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素を好適例として挙げることができる。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の添加量は、トリオキサン1molに対して0.1×10−3〜0.2molの範囲が好ましく、より好ましくは0.2×10−3〜0.5×10−1molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10−3〜0.3×10−1molの範囲である。有機溶剤の添加量が前記範囲内であるとき、重合反応機の供給部におけるスケール発生量を低減化でき、かつ高収率でポリアセタール樹脂(A)が得られる。
(重合反応工程)
上述したような、トリオキサンと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、重合触媒と、低分子量アセタール化合物とを重合反応機に供給した後、重合反応を行い、ポリアセタール共重合体を得る。
ポリアセタール樹脂(A)の重合方法としては、特に限定されず、スラリー法、塊状法、メルト法のいずれも採用できる。
また、使用する重合反応機の形状(構造)も特に制限されるものではなく、ジャケットに熱媒を通すことのできる2軸のパドル式やスクリュー式の攪拌混合型重合装置がいずれも好適に使用される。
(失活工程)
上記重合反応工程により、粗ポリアセタール共重合体が得られる。重合触媒の失活方法としては、重合反応機から出た粗ポリアセタール共重合体を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩類、有機酸塩等の中和失活剤、の少なくとも1種を含む水溶液又は有機溶液中に投入し、スラリー状態で数分〜数時間、室温〜100℃以下の範囲で連続攪拌する方法が挙げられる。この際、粗ポリアセタール共重合体が大きな塊状の場合は、重合後一旦粉砕して処理することが好ましい。その後、遠心分離機でろ過し、窒素下で乾燥することにより、目的とするポリアセタール樹脂(A)が得られる。また、本実施形態のポリアセタール樹脂(A)の製造方法には、上記成分の他に、ブロック、分岐、架橋の構造を形成しうるその他の共重合成分を併用することも当然可能である。
〈カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)及びカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)〉
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)は、下記式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物である。また、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)は、下記式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物である。
Figure 0006014390
・・・(1)
Figure 0006014390
・・・(2)
(式中、Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、又はアリール基を表し、nはそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
上記カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)及びカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)の製造方法は、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、ドデカン酸ジメチルなどのカルボン酸ジメチルとヒドラジンとの反応により製造する事ができ、反応時のモノ濃度を調整する事により、カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)を製造する事ができる。
これらカルボン酸を用いて合成されたカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)及びカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)としては、特に限定されないが、具体的には、カルボジヒドラジン、シュウ酸モノ(ジ)ヒドラジド、マロン酸モノ(ジ)ヒドラジド、コハク酸モノ(ジ)ヒドラジド、グルタル酸モノ(ジ)ヒドラジド、アジピン酸モノ(ジ)ヒドラジド、ピメリン酸モノ(ジ)ヒドラジド、スベリン酸モノ(ジ)ヒドラジド、アゼライン酸モノ(ジ)ヒドラジド、セバシン酸モノ(ジ)ヒドラジド、ドデカン酸モノ(ジ)ヒドラジドであり、中でもアジピン酸モノ(ジ)ヒドラジド、セバシン酸モノ(ジ)ヒドラジド、ドデカン酸モノ(ジ)ヒドラジドがより好ましい。カルボン酸モノヒドラジド(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド(B−2)の両方を添加配合することにより、本実施形態の目的を達成することができる。
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率((B−1)/(B−2))は、1×10−6〜10,000×10−6の範囲であることが好ましい。中でもより好ましくは、(B−1)/(B−2)=1×10−6〜1,000×10−6の質量比であり、さらに好ましくは(B−1)/(B−2)=1×10−6〜100×10−6の質量比である。(B−1)/(B−2)が前記範囲内であると、ポリアセタール樹脂組成物は、長時間連続して成形を行っても、ポリアセタール樹脂の熱分解により発生するホルムアルデヒドに起因する炭化物や、安定剤等の各種添加剤起因の変性物の発生を効果的に抑制することができ、且つ金型汚染性が著しく低くなる。カルボン酸ヒドラジド化合物のモノヒドラジドとジヒドラジドの質量比がホルムアルデヒド起因の炭化物及び変生物の発生量の低減、並びに金型汚染性の低下に効果がある理由については明確ではないが、次の理由によるものと推定する。例えば、ホルムアルデヒドを捕捉したカルボン酸ジヒドラジドは、押出し工程及び成形工程でさらに高分子量化し変性物となり、異物となって成形品中に存在する。また、ホルムアルデヒドとジヒドラジド化合物との反応物が高分子量化する過程でポリアセタール樹脂との相溶性が悪い為に表面に弾き出され、弾き出されたホルムアルデヒドとの化合物が金型表面を汚染する。一方、モノヒドラジド化合物は、ホルムアルデヒドと反応しても高分子量化せず異物にならず、またポリアセタール樹脂内部に存在し、金型表面を汚染しない。ジヒドラジド化合物はホルムアルデヒド捕捉能力に優れた化合物であるが、単独使用では異物発生量増加や金型汚染性の問題があったと考えられる。しかし、特定の比率でモノヒドラジド化合物と併用することで異物発生量を低減し、且つ金型汚染性をも同時に改善することが可能となった。
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)及びカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)の添加量は、(B−1)及び(B−2)の合計量がポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜0.5質量部の範囲であることが好ましい。中でも(B−1)及び(B−2)の合計量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、より好ましくは0.005〜0.3質量部の範囲であり、さらに好ましくは0.01〜0.2質量部の範囲である。カルボン酸(モノ・ジ)ヒドラジド化合物の添加量が0.001質量部以上であれば、成形時の熱分解によって発生したホルムアルデヒドを十分捕捉することができ、ホルムアルデヒド起因による炭化物低減と金型汚染性を改善することができる。一方、添加量が0.5質量部以下であれば、カルボン酸(モノ・ジ)ヒドラジド化合物はポリアセタール樹脂から弾き出されず、金型表面を汚染しない。一方では、成形時のポリアセタール樹脂の熱分解を抑制し、ホルムアルデヒド起因の炭化物を低減させ、ホルムアルデヒドは金型表面に付着せず、金型汚染性を低下させる。カルボン酸モノヒドラジド化合物及びジヒドラジド化合物の添加量が上記範囲にあるとき、本実施形態の目的である、炭化物及び異物発生量低減と金型汚染性を同時により一層改善することができる。
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率((B−1)/(B−2))の調整方法としては、例えば、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)にカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)を添加し調整する方法や、前述のカルボン酸とヒドラジンとの反応条件により合成する際の合成反応条件によって調整する方法が挙げられる。
カルボン酸とヒドラジンとの反応条件により質量比率((B−1)/(B−2))を調整する方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。合成反応時の中間体としてカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)が生成する。このカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)を合成反応工程以降の洗浄工程で洗浄する際の条件の調整により、カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)の含有率を調整することが可能である。
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率及び添加量が上記の範囲にあるとき、ホルムアルデヒド起因の炭化物や、安定剤等の各種添加剤起因の変性物の発生をより一層抑制し、且つ長時間連続成形した際の金型汚染性をより一層低下させることができる。
〈酸化防止剤(C)〉
酸化防止剤(C)としては、特に限定されないが、具体的には、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N, N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等が挙げられる。これらの酸化防止剤(C)の中でも、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。これらの酸化防止剤(C)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら酸化防止剤(C)の添加量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜2.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1.0質量部、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部の範囲である。酸化防止剤が上記の範囲に有るとき、ポリアセタール樹脂の分解を効果的に抑制し、本発明の目的を一層達成することができる。
〈脂肪酸エステル化合物(D)〉
本実施形態では、上記ポリアセタール樹脂組成物に脂肪酸エステル化合物(D)をさらに添加することにより本発明の目的である、ホルムアルデヒド起因の炭化物及び各種添加剤起因の変性物の発生をより一層抑制し、且つ金型汚染性をより一層改善することができる。
脂肪酸エステル化合物(D)としては、特に限定されないが、具体的には、飽和及び/又は不飽和の炭素数が12〜36の脂肪酸(D−1)と多価アルコール(D−2)からなる脂肪酸エステル化合物が挙げられる。脂肪酸エステル化合物(D)を構成する飽和及び/又は不飽和の炭素数が12〜36の脂肪酸(D−1)としては、特に限定されないが、1価若しくは2価のカルボン酸であり、具体的には、1価のモノカルボン酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。2価のジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸が挙げられる。さらに本実施形態に用いるカルボン酸には、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸も含まれる。具体的な不飽和カルボン酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイ酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸である。ヒドロキシ酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸である。また、ピルビン酸、アコニット酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸も、本実施形態に用いるカルボン酸に含まれる。これら脂肪酸(D−1)の中でも、炭素数が12〜36の飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸である。
多価アルコール(D−2)としては、特に限定されないが、具体的には、炭素数が2〜10を有する化合物が挙げられる。より具体例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、種々の糖アルコール及びその分子内脱水物例えばトレイトールを含むテトリトール、キシリトールを含むペンチトール、マンニトール、ソルビトールを含むヘキシトール、その分子内脱水物のソルビタンなどである。
本実施形態において使用する脂肪酸エステル化合物(D)としては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコール(モノ、ジ)ステアレート、エチレングリコール(モノ、ジ)ベヘネート、エチレングリコール(モノ、ジ)モンタノエート、グリセリン(モノ、ジ、トリ)ステアレート、グリセリン(モノ、ジ、トリ)ベヘネート、グリセリン(モノ、ジ、トリ)モンタノエート、ペンタエリスリトール(モノ、ジ)ステアレート、ペンタエリスリトール(モノ、ジ、)ベヘネート、ペンタエリスリトール(モノ、ジ、)モンタノエート、ソルビトール(モノ、ジ)ステアレート、ソルビトール(モノ、ジ)ベヘネート、ソルビタン(モノ、ジ)ステアレート、ソルビタン(モノ、ジ)ベヘネート、ソルビタン(モノ、ジ)モンタノエートなどが挙げられる。
上記脂肪酸エステル化合物(D)の添加量は、ポリアセタール(A)100質量部に対して0.001〜1.0質量部の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.005〜0.5質量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.3質量部の範囲である。脂肪酸エステル化合物(D)の添加量が1.0質量部以下であれば、脂肪酸エステル化合物(D)自身がポリアセタール樹脂(A)表面に析出し金型汚染性が低下することが抑制される。一方、脂肪酸エステル化合物(D)の添加量が0.001質量部以上であれば、成形加工時の樹脂温度が上昇し、熱分解によって発生するホルムアルデヒド起因のモールドデポジットの発生が抑制され、金型汚染性とホルムアルデヒド起因の炭化物の発生を抑制することができる。これら脂肪酸エステル化合物(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
〔ポリアセタール樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、例えば、上記各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができる。
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)、酸化防止剤(C)、脂肪酸エステル化合物(D)の添加混合、溶融混練方法は、従来公知の方法によって実施可能である。例えば、ポリアセタール樹脂(A)に、所定量のカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)、酸化防止剤(C)、脂肪酸エステル化合物(D)を添加し、ヘンシェル混合機等の攪拌機で混合する。その後、得られたポリアセタール樹脂混合物を単軸、若しくは2軸の溶融混練装置(押出し機)を用いて溶融混練することによって、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。溶融混練する際の温度は、ポリアセタール樹脂(A)の融点以上、230℃未満の範囲で調整することが好ましい。また、カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)、酸化防止剤(C)、及び脂肪酸エステル化合物(D)とポリアセタール樹脂(A)との混合方法は、特に制限するものではないが、好ましくは、ポリアセタール樹脂(A)を投入した攪拌混合機を窒素雰囲気条件とし、その攪拌混合機に上記(B−1)、(B−2)、(C)及び(D)成分を所定量添加し攪拌混合する。攪拌混合時の温度は、攪拌混合機内の品温が80℃以下となるように調整することにより、攪拌機内に付着・堆積するカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)、酸化防止剤(C)、脂肪酸エステル化合物(D)が減り、所定量をポリアセタール樹脂(A)に配合することができる。これにより、長時間連続成形した際に発生するホルムアルデヒド起因の炭化物、及び各種添加剤起因の変性物の発生を抑制し、且つ金型のメンテナンス頻度を著しく低減(改善)した金型汚染性の低いポリアセタール樹脂組成物を製造することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、必要に応じて従来公知の添加剤を配合することが可能である。当該添加剤として、例えば、脂肪酸金属塩などのエージング性改良材、摺動剤、耐候(光)剤、離型剤、着色剤、有機・無機強化材、結晶化促進剤、各種熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
〔1.ポリアセタール樹脂(A)の融点と流動性(MFR)〕
ポリアセタール樹脂(A)として、表1に示すポリアセタール樹脂(A−1)と(A−2)を用いた。これらの融点とMFR値を、後述の方法に従って測定した。当該測定結果を表1に示す。
Figure 0006014390
〔2.MFR値測定方法〕
ASTM D1238に従い、東洋精機(株)製、MELT INDEXERを用いて、シリンダー温度190℃、荷重2.16kgでMFR値を測定した。
〔3.融点測定方法〕
下記装置(条件)により、ポリアセタール樹脂(A)の融点を測定した。
・装置 :パーキンエルマー社製DSC8000
・試料重量:5mg
・測定条件:昇温速度2.5℃/min(室温〜200℃まで昇温)
〔4.ポリアセタール樹脂に配合した各種添加剤〕
本実施例で使用したカルボン酸モノ(ジ)ヒドラジド化合物(B)、酸化防止剤(C)、脂肪酸エステル化合物(D)を以下に示した。
[カルボン酸ヒドラジド化合物(B)]
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)として、下表2、3に示すカルボン酸モノヒドラジド化合物とカルボン酸ジヒドラジド化合物との混合物(BI〜BV)、カルボン酸ジヒドラジド化合物(BVI〜BXI)を用いた。
Figure 0006014390
Figure 0006014390
[酸化防止剤(C)]
酸化防止剤(C)として、以下の酸化防止剤(C−1)を用いた。
・酸化防止剤(C−1):トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)。
[脂肪酸エステル化合物(D)]
脂肪酸エステル化合物(D)として、以下の脂肪酸エステル化合物(D−1)及び(D−2)を用いた。
・脂肪酸エステル化合物(D−1):エチレングリコールジステアリン酸エステル
・脂肪酸エステル化合物(D−2):グリセリンモノステアリン酸エステル
〔5.各種添加剤配合方法〕
ポリアセタール樹脂(A)に、カルボン酸ヒドラジド化合物(B)、酸化防止剤(C)、必要に応じて脂肪酸エステル化合物(D)を所定量添加し、ヘンシェル攪拌混合機で混合して各種添加剤配合物を得た。攪拌混合時の条件は、以下の通りとした。
[攪拌混合条件]
・攪拌混合機の容量 : 10L
・攪拌翼回転数 : 860rpm
・攪拌混合機のジャケット温度 : 60℃以下
・攪拌混合機内の圧力 : 窒素雰囲気下5kPa
・攪拌混合時間 : 2分間
〔6.溶融混練方法:押出し条件〕
上記5で得られた各種添加剤配合物を、下記条件に設定したベント付き2軸押出し機に投入し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物を得た。尚、造粒時の押出し機ホッパー内は、窒素雰囲気下で5kPaの微加圧状態とした。
[2軸押出し機の設定条件等]
・押出し機 : 池貝製PCM30φ2軸押出し機(ベント付き)
・シリンダー設定温度 : 205℃
・スクリュー回転数 : 100rpm
・吐出量 : 10kg/hr
・ベント圧 : −700mmHg減圧
〔7.成形品中への炭化物及び変性物の混入率の定量方法、並びに金型汚染性評価〕
上記6で得られたポリアセタール樹脂組成物を下記成形条件で連続成形し、得られた成形品中に存在する炭化物及び変性物を目視観察し、該炭化物及び変性物の混入率を求めた。尚、該炭化物及び変性物の混入率は、1つの成形品(1kg)中に存在する炭化物及び変性物の個数を点数表記したものである。
また、ポリアセタール樹脂組成物を下記成形条件で連続成形する際の金型汚染性については、下記判定基準に従って評価した。
(a)成形条件
・射出成形機 : 東洋精機製Ti−30G
・シリンダー設定温度 : 240℃
・金型設定温度 : 80℃
・成形サイクル : 射出/冷却=10/5秒
・金型サイズ : 30mm×12mm×2mmの鏃型
(流動末端先端部にガス抜き部設置)
・成形ショット数 : 1,000ショット、3,000ショット、5,000ショット、10,000ショット、50,000ショット
(b)金型汚染性判定基準
・金型キャビティ内外、ガス抜き部の何れも汚れなし : 0
・金型ガス抜き部に、僅かに汚れがある : 1
・金型キャビティの1/5程度の範囲で汚れあり : 2
・金型キャビティの1/2程度の範囲で汚れあり : 3
・金型キャビティ内外の全体に汚れがある : 4
・金型キャビティ全体に汚れがあり、不織布で拭いても汚れが落ちない : 5
[実施例1]
ポリアセタール樹脂(A−1)100質量部に対して、カルボン酸ヒドラジド(BII)を0.1質量部、酸化防止剤(C−1)0.1質量部を添加配合し、溶融混練してポリアセタール樹脂組成物を得た。得られたポリアセタール樹脂組成物を用いて、50,000ショットまで連続成形して成形品を得た。連続成形の過程での成形品中に存在する炭化物及び変性物の混入量を定量し、同時に金型汚染性も評価した。結果を表4に示した。
[実施例2〜5]
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)の種類を、表4に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
[実施例6〜11]
カルボン酸ヒドラジド化合物(BII)の添加量を、表3に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
[実施例12]
ポリアセタール樹脂(A)の種類を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
[実施例13〜14]
実施例1の組成に、脂肪酸エステル化合物(D)を追加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
[比較例1]
ポリアセタール樹脂(A−1)100質量部に対して、アジピン酸ジヒドラジド(BVI)を0.1質量部、酸化防止剤(C−1)0.1質量部を添加配合し、溶融混練してポリアセタール樹脂組成物を得た。得られたポリアセタール樹脂組成物を用いて、50,000ショットまで連続成形して成形品を得た。連続成形の過程での、成形品中に存在する炭化物及び変性物の混入量を定量し、同時に金型汚染性も評価した。結果を表5に示した。
[比較例2、3]
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)の種類を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
[比較例4]
カルボン酸ジヒドラジド化合物(B)を無添加とした以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
[比較例5]
酸化防止剤(C)を無添加とした以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表5に示した。なお、比較例5では金型汚染が激しく5,000ショット以降連続成型することができなかった。
[比較例6〜8]
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)の種類を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
Figure 0006014390
Figure 0006014390
上記表4及び5の評価結果から明らかなように、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、長時間連続成形した際の、炭化物及び変性物の発生抑制と金型汚染性とが改善されることが判った。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、電気及び電子機器部品、自動車機構部品や、工業用機構部品等の材料として、産業上の利用可能性がある。

Claims (1)

  1. (A)ポリアセタール樹脂と、
    (B−1)下記式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物と、
    (B−2)下記式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物と、
    (C)酸化防止剤と、
    (D)脂肪酸エステル化合物と、
    を含み、
    前記カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)と前記カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率((B−1)/(B−2))が、1×10 -6 〜10,000×10 -6 の範囲である、
    ポリアセタール樹脂組成物。
    Figure 0006014390
    ・・・(1)
    Figure 0006014390
    ・・・(2)
    (式中、R1は水素、アルキル基、置換アルキル基、又はアリール基を表し、nはそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
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