JP5908735B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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(A)ポリアセタール樹脂と、
(B−1)下記一般式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物と、
(B−2)下記一般式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物と、
(C)ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物と、
(D)酸化防止剤と
を含むポリアセタール樹脂組成物。
[2]
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率((B−1)/(B−2))が、1×10-6〜10,000×10-6の範囲である、[1]記載のポリアセタール樹脂組成物。
ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)が、下記一般式(3)及び/又は(4)に示す構造を含むアクリルアミド重合体である、[1]又は[2]記載のポリアセタール樹脂組成物。
ポリアセタール樹脂(A)を230℃、窒素雰囲気条件下で加熱した際に、ポリアセタール樹脂(A)の不安定末端基から放出されるホルムアルデヒド発生量が、ポリアセタール樹脂(A)100質量%に対して、0.001〜2.0質量%である、[1]〜[3]のいずれか記載のポリアセタール樹脂組成物。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)と、下記一般式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)と、ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)と、酸化防止剤(D)とを含有する。
〈ポリアセタール樹脂(A)〉
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂(A)とは、オキシメチレン基を主鎖に有し、重合体連鎖の両末端がエステル基により封鎖された、ポリオキシメチレンホモポリマーである。ポリアセタール樹脂(A)は、230℃、窒素雰囲気条件下で加熱した際に、ポリアセタール樹脂(A)の不安定末端基から放出されるホルムアルデヒド発生量が、ポリアセタール樹脂(A)100質量%に対して、0.001〜2.0質量%であることが好ましく、0.001〜1.0質量%であることがより好ましく、0.001〜0.5質量%であることがさらに好ましく、0.001〜0.3質量%であることが特に好ましい。ポリアセタール樹脂(A)の不安定末端基から放出されるホルムアルデヒド発生量が上記の範囲にあるとき、本発明の目的である長時間連続成形した際に発生する炭化物や変性物の発生を抑制することができ、且つ金型汚染性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)は、下記一般式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)である。また、カルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)は、下記一般式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)である。
上記カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)及びカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)を構成するカルボン酸は、1価若しくは2価のカルボン酸が挙げられる。具体的には、1価のモノカルボン酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。2価のジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸が挙げられる。更に本実施形態に用いるカルボン酸には、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸も含まれる。具体的な不飽和カルボン酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイ酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸が挙げられる。ヒドロキシ酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸が挙げられる。また、ピルビン酸、アコニット酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸も、本実施形態に用いるカルボン酸に含まれる。
ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)としては、下記一般式(3)及び/又は(4)に示す構造を含むアクリルアミド重合体であることが好ましい。
酸化防止剤(D)の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3'−メチル−5−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N'−ビス−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N'−テトラメチレンビス−3−(3'−メチル−5'−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N, N'−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N'−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N'−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等が挙げられる。これらの酸化防止剤の中でも、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。これらの酸化防止剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら酸化防止剤(D)の添加量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.01〜2.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1.0質量部、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部の範囲である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、例えば、上記各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができる。
〔1.ポリアセタール樹脂(A)〕
・ポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−1)
攪拌羽根を具備する重合反応器をn−へキサンで満たし、該重合反応器に、ホルムアルデヒドガス(水分量:110ppm)と、重合触媒(ジメチルジステアリルアンモニウムアセテート)と、分子量調節剤(無水酢酸)とを、夫々連続的にフィードし、重合反応させて粗ポリアセタール樹脂ホモポリマーを得た。このときの重合反応温度は、58℃とした。
粗ポリアセタール樹脂の末端安定化条件を変更した以外は上記ポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−1)と同様にして、ホルムアルデヒド発生量が異なるポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−2〜A−4)を製造した。この時の末端安定化時間は、ポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−2)の製造においては1時間とし、ポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−3)の製造においては45分とし、ポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−4)の製造においては30分とした。得られたポリアセタール樹脂ホモポリマー(A−2〜A−4)について、MFR値とホルムアルデヒド発生量とを後述の方法により測定した。当該測定結果を表1に示す。
ASTM D1238に従い、東洋精機(株)製、MELT INDEXERを用いて、シリンダー温度190℃、荷重2.16kgでMFR値を測定した。
ポリアセタール樹脂(A)3gをステンレス製の円筒型容器に投入し、このステンレス容器を230℃で窒素雰囲気状態にした加熱炉に設置した。該加熱炉から放出されるガスを0.1mol/リットルの亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させた。該亜硫酸ナトリウム水溶液を1/10規定の硫酸で滴定し、ホルムアルデヒド発生量の経時変化を求めた。求めたホルムアルデヒド発生量をグラフにプロットし、3つの異なるホルムアルデヒド発生速度を求めた。なお、第1の発生速度は、ポリアセタール樹脂が完全溶融していない初期の段階であるので、ポリアセタール樹脂表面に存在するホルムアルデヒド量を示す。第2のホルムアルデヒド発生速度は、ポリアセタール樹脂が溶融した状態から熱分解するまでの領域(第2領域)であり、ポリアセタール樹脂の不安定末端基から放出されるホルムアルデヒドを示す。第3のホルムアルデヒド発生速度は、ポリアセタール樹脂の熱分解の領域であり、ポリマーの主鎖分解によって発生するホルムアルデヒドを示す。これらの事実は、各領域の分子量分布をGPCにて測定することにより確認した。
本実施例で使用したカルボン酸モノ(ジ)ヒドラジド化合物(B)、ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)、酸化防止剤(D)を以下に示した。
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)として、下表2に示すカルボン酸ヒドラジド化合物(BI〜BVIII)を用いた。
ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)として、以下のアクリルアミド重合体(C−1)を用いた。
酸化防止剤(D)として、以下の酸化防止剤(D−1)を用いた。
ポリアセタール樹脂(A)に、カルボン酸ヒドラジド化合物(B)、ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)、酸化防止剤(D)を所定量添加し、ヘンシェル攪拌混合機で混合して各種添加剤配合物を得た。攪拌混合時の条件は、以下の通りとした。
・攪拌混合機の容量 : 10リットル。
・攪拌翼回転数 : 860rpm。
・攪拌混合機のジャケット温度 : 60℃以下とした。
・攪拌混合機内の圧力 : 窒素で5kPaに保った。
・攪拌混合時間 : 2分間。
上記5で得られた各種添加剤配合物を、下記条件に設定したベント付き2軸押出し機に投入し溶融混練し、ポリアセタール樹脂組成物を得た。尚、造粒時の押出し機ホッパー内は、窒素で5kPaの微加圧状態とした。
・押出し機 : 池貝製PCM30φ2軸押出し機(ベント付き)
・シリンダー設定温度 : 205℃
・スクリュー回転数 : 100rpm
・吐出量 : 10kg/hr
・ベント圧 : −700mmHg減圧
上記6で得られたポリアセタール樹脂組成物を下記成形条件で連続成形し、得られた成形品中に存在する炭化物及び変性物を目視観察し、該炭化物及び変性物の混入率を求めた。尚、該炭化物及び変性物の混入率は、1つの成形品(1kg)中に存在する炭化物及び変性物の個数を点数表記したものである。
・射出成形機 : 東洋精機製Ti-30G
・シリンダー設定温度 : 230℃
・金型設定温度 : 80℃
・成形サイクル : 射出/冷却=10/5秒
・金型サイズ : 30mm×12mm×2mmの鏃型
(流動末端先端部にガス抜き部設置)
・成形ショット数 : 10,000ショット
(b)金型汚染性判定基準
・金型キャビティ内外、ガス抜き部の何れも汚れなし : 0
・金型ガス抜き部に、僅かに汚れがある : 1
・金型キャビティの1/5程度の範囲で汚れあり : 2
・金型キャビティの1/2程度の範囲で汚れあり : 3
・金型キャビティ内外の全体に汚れがある : 4
・金型キャビティ全体に汚れがあり、不織布で拭いても汚れが落ちない : 5
ポリアセタール樹脂(A−1)100質量部に対して、カルボン酸ヒドラジド(BII)を0.1質量部、アクリルアミド重合体(C−1)0.1質量部、酸化防止剤(D−1)0.1質量部を、上記5及び6のとおり、添加配合し、溶融混練してポリアセタール樹脂組成物を得た。得られたポリアセタール樹脂組成物を用いて、上記7のとおり、10,000ショットまで連続成形して成形品を得た。上記7のとおり、該連続成形の過程での、成形品中に存在する炭化物及び変性物の混入率を定量し、同時に金型汚染性も評価した。当該結果を表3に示した。
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)の種類を、表3に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示した。
カルボン酸ヒドラジド化合物(BII)の添加量を、表3に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示した。
ポリアセタール樹脂(A)の種類を、表3に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示した。
ポリアセタール樹脂(A−3)100質量部に対して、アジピン酸ジヒドラジド(BVI)を0.1質量部、アクリルアミド重合体(C−1)0.1質量部、酸化防止剤(D−1)0.1質量部を、上記5及び6のとおり、添加配合し、溶融混練してポリアセタール樹脂組成物を得た。得られたポリアセタール樹脂組成物を用いて、上記7のとおり、10,000ショットまで連続成形して成形品を得た。上記7のとおり、該連続成形の過程での、成形品中に存在する炭化物及び変性物の混入量を定量し、同時に金型汚染性も評価した。当該結果を表4に示した。
カルボン酸ヒドラジド化合物(B)の種類を、表4に示すとおりセバシン酸ジヒドラジド化合物(BVII)、ドデカ二酸ジヒドラジド化合物(BVIII)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
カルボン酸ジヒドラジド化合物(B)を無添加とした以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
酸化防止剤(D)を無添加とした以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)を無添加とした以外は。比較例1と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
Claims (3)
- (A)ポリアセタール樹脂と、
(B−1)下記一般式(1)で表されるカルボン酸モノヒドラジド化合物と、
(B−2)下記一般式(2)で表されるカルボン酸ジヒドラジド化合物と、
(C)ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物と、
(D)酸化防止剤と
を含み、
カルボン酸モノヒドラジド化合物(B−1)とカルボン酸ジヒドラジド化合物(B−2)との質量比率((B−1)/(B−2))が、1×10 -6 〜10,000×10 -6 の範囲である、ポリアセタール樹脂組成物。
- ホルムアルデヒド捕捉能力を有する含窒素化合物(C)が、下記一般式(3)及び/又は(4)に示す構造を含むアクリルアミド重合体である、請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂(A)を230℃、窒素雰囲気条件下で、300時間加熱した際に、ポリアセタール樹脂(A)の不安定末端基から放出されるホルムアルデヒド発生量が、ポリアセタール樹脂(A)100質量%に対して、0.001〜2.0質量%である、請求項1又は2記載のポリアセタール樹脂組成物。
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