JP5766037B2 - ポリアセタールブロックコポリマー - Google Patents
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Description
しかしながら、これら各種添加剤による特性改良方法は、短期間の使用では充分満足のいく特性を維持することができるが、長期間連続使用する場合は、その特性を維持することが難しい。その理由は、ポリアセタール樹脂が高結晶性樹脂であるため、添加した各種添加剤が成形品表面から放出(ブリード)しやすいためである。即ち、ポリアセタール樹脂に添加した安定剤等の各種添加剤の多くは、ポリアセタール樹脂の非晶部に存在するため、各種添加剤の添加量が多いと非晶部が添加剤を保持許容できる範囲を超え、添加した各種添加剤が弾き出される(成形品表面から各種添加剤が放出される)。その結果、各種添加剤が成形品に付与していた特性を維持することが困難となる。
例えば、ポリアセタール線状重合体の片末端がアルコール又はカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物残渣で封鎖されたポリアセタール線状重合体、すなわち、AB型のブロックコポリマーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、アルコキシ基の何れかの官能基を含有する化合物の存在下で、ホルムアルデヒド又はトリオキサン等を、ポリメチレンセグメントの片末端或いは両末端に重合させることによって得られる、ポリオキシメチレンセグメント(A)とポリエチレンセグメント(B)とから構成されるAB型又はABA型のポリアセタールブロックコポリマーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであって、ホルムアルデヒドガス発生量を抑制でき、ウエルド特性に優れ、且つ、摺動性にも優れるAB型のポリアセタールブロックコポリマーを提供することを目的とする。
[1]
下記一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位(i)及び下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位(ii)を含有するポリアセタールセグメント(A)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)とを含み、
ポリアセタールセグメント(A)におけるオキシアルキレン単位(ii)の挿入量が、オキシメチレン単位(i)100molに対して、0.05〜1.0molであり、
下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位(ii)において、y=1の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の95mol%以上であり、y≧2の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の5mol%以下であるAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
[2]
片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)が、脂肪族アルコール及びp−アルキル置換フェノールからなる群より選ばれた少なくとも一種の片末端ヒドロキシアルキルに由来するセグメントである[1]記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
[3]
片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)の挿入量が、ポリアセタールセグメント(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部である[1]又は[2]記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
[4]
[1]〜[3]のいずれか記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物。
[5]
[1]〜[3]のいずれか記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー、又は[4]に記載のポリアセタール樹脂組成物から得られる成形体。
まず、本実施形態の、ポリアセタールセグメント(A)(以下、「Aセグメント」と略記する場合がある)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)(以下、「Bセグメント」と略記する場合がある)とを含む新規なAB型のポリアセタールブロックコポリマーについて説明する。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーは、下記一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位(i)及び下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位(ii)を含有するポリアセタールセグメント(A)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)とを含み、
ポリアセタールセグメント(A)におけるオキシアルキレン単位(ii)の挿入量が、オキシメチレン単位(i)100molに対して、0.05〜1.0molであり、
下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位(ii)において、y=1の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の95mol%以上であり、y≧2の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の5mol%以下である。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーにおいて、片末端に存在するAセグメントは、上記オキシメチレン単位(i)と、上記オキシアルキレン単位(ii)とを含有するポリアセタールコポリマーセグメントである。
また、ポリアセタールセグメント(A)におけるオキシアルキレン単位(ii)の挿入量は、オキシメチレン単位(i)100molに対して、0.05〜1.0molであり、0.05〜0.8molであることが好ましく、0.05〜0.6molであることがより好ましい。
環状ホルマール及び/又は環状エーテルとしては、例えば、1,3-ジオキソラン、1,3−プロパンジオールホルマール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキオカンが挙げられる。これらを2種以上併用してもよい。
例えば、オキシメチレン単位(i)(―CH2O―など)の繰返しよりなる重合体に、下記一般式(III)に示されるようなオキシアルキレン単位が挿入された場合において、z=1(zはシークエンスを表す。)の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の95mol%以上、z≧2の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の5mol%以下である。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーに含有するBセグメントは、脂肪族アルコール及びp−アルキル置換フェノールからなる群より選ばれた少なくとも一種の片末端ヒドロキシアルキルに由来するセグメントであることが好ましい。このような片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)であると、摺動性が良好となり、好ましい。
脂肪族アルコール及びp−アルキル置換フェノールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、オレイルアルコール、3−エチル−6−ウンデカノール、フェノール、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、ベンジルアルコール、p−ブチルベンジルアルコール、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンなどが挙げられる。これらの中でも片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンが特に好ましい。
片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)の挿入量は、ポリアセタールセグメント(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.5〜12質量部であることがより好ましく、1〜11質量部でることがさらに好ましい。片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)の挿入量が前記範囲であると、ホルムアルデヒドガス発生量を抑制でき、ウエルド特性が優れ、尚且つ、摺動性も良好となり、好ましい。
次に、上述のBセグメントを用いて、本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーを製造する方法について述べる。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーは、例えば、Bセグメントを連鎖移動剤として存在させ、トリオキサンと環状ホルマール及び/又は環状エーテルとを共重合させ、更に、得られたポリアセタールブロックコポリマーを末端安定化処理することにより製造することができる。なお、ポリアセタールブロックコポリマーの重合時には、必要に応じ、上記モノマー成分以外に、水、メタノール、メチラール等の分子量調節剤を存在させてもよい。
具体的な製造条件としては、本実施形態に用いるBセグメントを連鎖移動剤として存在させること以外は、例えば、JP−A−9−221579及びUS−A−5,837,781に記載される製造条件とすることができる。
パーフルオロアルキルスルホン酸としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸等、及びこれらの無水物が挙げられる。これらの無水物の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ペンタフルオロエタンスルホン酸無水物、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンスルホン酸無水物、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸無水物、パーフルオロヘプタンスルホン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、トリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。
ヘテロポリ酸としては、例えば、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が挙げられる。これらの中でも、リンタングステン酸が好ましい。
ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。
また、プロトン酸、そのエステル又は無水物としては、例えば、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルが好ましい。
これらの重合触媒の使用量は、トリオキサン1モルに対して、好ましくは1×10-8モル〜1×10-3モルの範囲であり、より好ましくは1×10-7モル〜1×10-4モルの範囲であり、さらに好ましくは1×10-7モル〜1×10-5モルの範囲である。重合触媒の重合反応機へのフィード量が前記範囲にある時、ポリマー中に残存する触媒によるポリアセタールブロックコポリマーの熱分解を抑えることができ、熱的に安定なポリアセタールブロックコポリマーを製造することができる傾向にある。
希釈混合物(1)を構成する有機溶媒は、水酸基を有さない炭化水素化合物であることが好ましい。当該炭化水素化合物の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル化合物が挙げられる。上記炭化水素化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンのような環状エーテル化合物は、本実施形態に用いる有機溶媒としての炭化水素化合物には含まない。
上記炭化水素化合物の中でも、分子量150〜500で、且つ、水酸基を有さない炭化水素化合物であることが好ましい。このような炭化水素化合物としては、例えば、アルキレングリコールのユニット数(n)が1〜10のジアルキルエーテル化合物が挙げられる。具体的には、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテルがあり、より好ましいジアルキルエーテル化合物は、トリエチレングリコールジメチルエーテルである。
アルキレングリコールのユニット数(n)が10を超えるジアルキルエーテル化合物を有機溶媒に使用すると、粘性が高くなり、重合触媒を安定的に、且つ、定量的にフィードすることが困難になる。重合安定性を高めるためには、有機溶媒として、分子量が150〜500で、アルキレングリコールのユニット数(n)が1〜10のジアルキルエーテル化合物を用いることが好ましい。上述の有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
重合後、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の触媒中和失活剤の少なくとも一種を含む水溶液又は有機溶剤溶液中に、得られたポリアセタールブロックコポリマーを投入し、スラリー状態で一般的には数分〜数時間攪拌することにより、ポリアセタールブロックコポリマー中に残存する触媒を失活させることができる。
なお、アンモニア、トリエチルアミン等の蒸気とポリアセタールブロックコポリマーとを接触させて重合触媒を失活させる方法や、ヒンダードアミン類、トリフェニルホスフィン及び水酸化カルシウム等の少なくとも一種の化合物とポリアセタールブロックコポリマーとを混合機で接触させて触媒を失活させる方法を用いることもできる。
次に、重合触媒失活後のポリアセタールブロックコポリマーの末端安定化処理方法について述べる。上述の方法により製造されたポリアセタールブロックコポリマーは、片末端に熱的に不安定なヒドロキシポリオキシメチレン鎖をもつ。本実施形態においては、この熱的に不安定なヒドロキシポリオキシメチレン鎖(不安定末端鎖)を、ポリアセタールブロックコポリマーの融点以上に加熱する方法や更に塩基性物質と接触させる方法により取り除く必要がある。
具体的な末端安定化処理方法としては、2軸押出機等で溶融させたポリアセタールブロックコポリマーにアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の塩基物質(必要に応じ水を共存させる)を接触させ、次いで混練し、接触させた塩基物質の蒸気及びホルムアルデヒドを除去させる方法が好ましい。
次に、AB型のポリアセタールブロックコポリマーの数平均分子量について述べる。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーに要求される特性を満たすためには、AB型のポリアセタールブロックコポリマーの数平均分子量は10,000〜500,000であることが好ましく、20,000〜200,000であることがより好ましい。
AB型のポリアセタールブロックコポリマーの数平均分子量は、GPC法(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算)を用いて、求めることができる。
本実施形態のAB型のポリアセタールブロックコポリマーの同定方法について述べる。
まず第1に、連鎖移動していないBセグメントを定量するには、重合されたAB型のポリアセタールブロックコポリマーを、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)或いはジメチルホルムアミドなどの良溶媒に一旦溶解させ(なお、溶解のために、場合によりAB型のポリアセタールブロックコポリマーの融点以下に加熱してもよい)、次いで、水又はアルコールなどの貧溶媒を添加してAB型のポリアセタールブロックコポリマーだけを再沈殿させることにより、連鎖移動していないBセグメントを取り除き、その取り除いた量を定量する。詳細な条件設定を行う際には、予めBセグメントとAセグメントとを別々に製造し、それぞれを溶融混練した試料を作製しておき、その試料からBセグメントが全て取り除けるか否かを確認する必要がある。
重合後に触媒を失活させたAB型のポリアセタールブロックコポリマーは、上述の通り、ポリマーの片末端に熱的に不安定なヒドロキシポリオキシメチレン鎖(不安定末端鎖)を有しており、この不安定末端鎖は加熱等により、ホルムアルデヒドとなって除去される。
一方、もし、ポリアセタールブロックコポリマーが、ABA型のポリアセタールブロックコポリマーであるならば、加熱等により発生する不安定末端鎖由来のホルムアルデヒドの量は、AB型のポリアセタールブロックコポリマーに比べて倍となる筈である。
したがって、ポリアセタールブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量を定量することで、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであるかABA型のポリアセタールブロックコポリマーであるかを確認することができる。
次に、このメタノールで連鎖移動させて重合したポリアセタールブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量を定量し、Bセグメントの存在下で重合したポリアセタールブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量と比較する。
メタノールで連鎖移動させて重合したポリアセタールブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量と同量のアルデヒドが、Bセグメントの存在下で重合したポリアセタールブロックコポリマーの加熱により発生していれば、得られたポリアセタールブロックコポリマーがAB型のポリアセタールブロックコポリマーであることが確認できる(なお、モノマー中の不純物、重合収率等を考慮し、実験精度誤差範囲内で同量であればよい)。一方、もし、得られたポリアセタールブロックコポリマーが、ABA型のポリアセタールブロックコポリマーであるならば、加熱等により発生するホルムアルデヒドの量は、メタノールで連鎖移動させて重合したポリアセタールブロックコポリマーの加熱により発生するホルムアルデヒド量の2倍量となる(なお、モノマー中の不純物、重合収率等を考慮し、実験精度誤差範囲内で2倍量であればよい)。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、上述のAB型のポリアセタールブロックコポリマーを含む。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、従来のポリアセタール樹脂に使用されている安定剤、例えば熱安定剤の1種を単独又は2種以上を組み合わせて添加してもよい。
熱安定剤としては、酸化防止剤、ホルムアルデヒドや蟻酸の補足剤及びこれらの組合せが好適である。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
カルボン酸ヒドラジド化合物としては、脂肪族カルボン酸モノヒドラジド及び脂肪族カルボン酸ジヒドラジドが挙げられる。
脂肪族カルボン酸ジヒドラジドとしては、例えば、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ヘキサデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジドが挙げられる。また、上記カルボン酸ヒドラジド化合物を2種以上用いることもできる。
本実施形態の成形体は、上述のAB型のポリアセタールブロックコポリマー、又はポリアセタール樹脂組成物から得られる。
本実施形態の成形体は、例えば、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形或いは押出成形品の切削加工等の成形法で、上述のAB型のポリアセタールブロックコポリマー、又はポリアセタール樹脂組成物を成形することにより得ることができる。本実施形態の成形体は、後述の具体的な用途に要求される性能(ウエルド特性及び摺動性)を考慮すると、射出成形法で成形された成形体であることが好ましい。
また、本実施形態の成形体は、例えば、ウエルド部を有する歯車又は軸受部品などとして用いることができる。
本実施形態の成形体は、ウエルド部を有する歯車又は軸受部品以外にも、ポリアセタール樹脂からなる成形体として一般的に用いられる摺動部材に使用することができる。例えば、プリンター、複写機に代表されるOA機器;VTR、ビデオムービーに代表されるビデオ機器;カセットプレイヤー、LD、MD、CD(含CD−ROM、CD−R、CD−RW)、DVD(含DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−Audio)、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピューターに代表される音楽、映像又は情報機器;携帯電話、ファクシミリに代表される通信機器;自動車用内外装機構部品;使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、コンベア、チェーン、バックル、事務機具及び住設機器に代表される工業雑貨などに使用される各種摺動部材などである。
具体的な部品名としては、大口径以外のギア、カム、ギアカム、スライダー、レバー、キーステム、キートップ、ラチェット、ローラー、アーム、ハンドル、ボタン、フライホイル、クラッチ、関節、軸、軸受け、ガイドローラー、側板、アウトシャーシの樹脂部品、シャーシ、トレー部材、インナーハンドル、アウターハンドル、スイッチ、スルーアンカー、タング、文字車などである。
なお、実施例及び比較例中の測定法及び評価法は以下の通りである。
(1)AB型のポリアセタールブロックコポリマーの構成成分の定量
(1−1)連鎖移動していないBセグメントの定量
連鎖移動していないBセグメントの定量を以下のとおり行った。
得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマーを、HFIPに一旦溶解させ、次いで、シクロヘキサンを添加してAB型のポリアセタールブロックコポリマーだけを再沈殿させて、連鎖移動していないBセグメントを取り除き、その取り除いた量を、連鎖移動していないBセグメントの量として定量した。
(1−2)AB型のポリアセタールブロックコポリマー中のAセグメントのオキシメチレン単位(i)及びオキシアルキレン単位(ii)並びにBセグメントの定量
AB型のポリアセタールブロックコポリマー中のAセグメントのオキシメチレン単位(i)及びオキシアルキレン単位(ii)並びにBセグメントの定量を、以下のとおり行った。
まず、上記(1−1)の方法で、連鎖移動をしていないBセグメントを取り除いたAB型のポリアセタールブロックコポリマーと1Nの塩酸とを耐圧ビンに仕込み130℃で2時間加熱し、AB型のポリアセタールブロックコポリマーを加水分解し、オキシメチレン単位(i)の部分をホルムアルデヒドとし、オキシアルキレン単位(ii)の部分をアルキレングリコールとした。また、当該加水分解により、AB型のポリアセタールブロックコポリマー中のBセグメントは、原料の片末端ヒドロキシアルキルとなった。
なお、AB型のポリアセタールブロックコポリマーの加水分解後に、生成する片末端ヒドロキシアルキルは水溶液から相分離して存在していた。
そして、加水分解後の水溶液中に存在するホルムアルデヒド及びアルキレングリコールの量をガスクロマトグラフィーで測定し、得られた測定値よりAセグメントのオキシメチレン単位(i)及びオキシアルキレン単位(ii)の量を求めた。また、ホルムアルデヒド及びアルキレングリコールを抽出分離した後の残渣の量をガスクロマトグラフィーで測定し、得られた測定値よりBセグメントの量を求めた。
(2)Bセグメントに由来する片末端ヒドロキシアルキルの数平均分子量
AB型のポリアセタールブロックコポリマーの加水分解後に水溶液から相分離して存在する片末端ヒドロキシアルキルを、上記の加水分解後の水溶液から抽出分離し、抽出分離後の片末端ヒドロキシアルキルの数平均分子量を、ウォーターズ社製のGPC装置(150c)を用いて測定した。
(3)AB型のポリアセタールブロックコポリマーの数平均分子量
AB型のポリアセタールブロックコポリマーの数平均分子量を、東ソー(株)社製のGPC装置(HLC−8120)を用い、カラムとして昭和電工(株)製のHFIP806(30cmカラム2本)、キャリアとしてHFIP、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、温度40℃、流量0.5ml/minの条件で測定した。
(4)AB型のポリアセタールブロックコポリマーを構成するモノマー組成の同定
上記(1)、(2)及び(3)から、AB型のポリアセタールブロックコポリマーを構成するモノマー組成を同定した。
AB型のポリアセタールブロックコポリマーを0.1規定塩酸水溶液と混合して耐圧ビンに仕込み、それを滅菌器により加圧状態で130℃、2時間分解し、オキシメチレン単位(i)をホルムアルデヒドとし、オキシアルキレン単位(ii)をアルキレングリコールとした。得られたアルキレングリコールについて、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィーを用いて分析することにより、Aセグメントにおけるオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を行った。
(1)ウエルド特性
実施例及び比較例で得られたペレットを、80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された射出成形機(東芝機械(株)製、商品名「IS−100GN」)を用いて、金型温度70℃、射出時間15秒、冷却時間15秒の条件で、ウエルド部にガス抜きを設置していないASTMダンベル試験片金型(1個取り)により、前記乾燥後のペレットから、ASTMダンベル試験片を成形した。この試験片をオートグラフ(島津製作所(株)製、商品名「AG−IS 10KN」)に固定して、引張速度5mm/min、チャック間距離114mmの条件にて測定を行い、該測定時にウエルド部が破断するまでのウエルド伸度(%)を求めた。ウエルド伸度(%)が大きい程、ウエルド特性に優れると評価した。
(2)摺動性
実施例及び比較例で得られたペレットを、80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された射出成形機(東洋機械金属(株)製、商品名「TI−30G2」)を用いて、金型温度70℃、射出時間10秒、冷却時間10秒の条件で、前記乾燥後のペレットから、6mmf×17mmの軸穴(3箇所にウエルド部)を有するギヤプーリーを成形した。このギヤプーリーをSUS製シャフトにセットして、樹脂製小型軸受摩擦摩耗試験機(神鋼造機(株)製)を用い、荷重500g、回転数600rpmで間欠運転(ON:9秒間/OFF:1秒間)を行った。5000回転後のSUS製シャフトの傷付き性(摩耗)を目視して、下記の基準に従って摺動性についてランク付けした。
◎:傷がない(線状の傷が0本である)
○:傷が殆どない(線状の傷が1〜2本である)
△:線状の傷あり(線状の傷が3本〜10本である)
×:多数線状の傷あり(線状の傷が10本以上である)
(3)ホルムアルデヒドガス発生量(ppm)
実施例及び比較例で得られたペレットを、80℃で3時間乾燥した。更に140℃で1時間乾燥処理を施したペレットを、窒素気流下(50NL/hr)、220℃で加熱溶融し、ペレットから発生するホルムアルデヒドガスを水に吸収させ、亜硫酸ソーダ法により滴定し、ホルムアルデヒドガス発生量を測定した。加熱時間は90分とした。
(実施例1)
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の製造]
(重合方法)
重合反応機として、80℃に設定した同方向回転の2軸パドル型連続重合反応機(径2B、L/D=10)を用いた。
当該重合反応機に、
(イ)Bセグメントを形成する原料として、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエン(以下、「B−1」とも記す。数平均分子量2400)を0.4mol/hrでフィードし、同時に有機溶媒としてトリエチレングリコールジメチルエーテル(分子量178)を1リットル/hrでフィードした。
なお、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンは、両末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンとヨウ素化メチル(アルキル化剤)とから、触媒としてトリエチルボランを用いて合成した。
(ロ)次に、1,3−ジオキソラン(分子量74)を0.2mol/hrでフィードした。
(ハ)更に、トリオキサン(分子量90)を100mol/hrでフィードした。
(ニ)上記(イ)〜(ハ)とは異なる配管より、当該重合反応機にトリエチレングリコールジメチルエーテルに溶解させたトリフルオロメタンスルホン酸を1×10-4mol/hrでフィードして、重合を行った。
前記重合反応機から排出されたポリマーを、トリエチルアミン1%水溶液中に投入し、重合触媒の失活を完全に行った。その後、ポリマーをろ取し、アセトンで洗浄後、60℃に設定された真空乾燥機で乾燥させてポリマー1を得た(以下、この重合方法を「重合方法1」と略記する。)。
乾燥後のポリマー1をHFIPに溶解させ、次いでシクロヘキサンを添加し、ポリマー1を再沈殿させた。
再沈殿させたポリマー1及び分離されたろ液を全て蒸留した後の残渣について、GPC装置(ウォーターズ社製:150c、キャリアとして1,2,4−トリクロロベンゼンを使用)を用い、140℃の温度で分析したが、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンは検出されなかった。即ち、全ての片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンが、重合中において連鎖移動剤として作用していることが確認された。
次に、この乾燥後のポリマー1を、窒素雰囲気下で190℃で30分加熱し、ポリマー1の不安定末端鎖の除去に伴い発生するホルムアルデヒドの量を定量した。
また、比較のため、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンの代わりに、等モルのメタノールを使用した以外は、上記重合方法1と同様の方法でポリマーを製造し、得られたポリマーの不安定末端鎖の除去を同様に行って、ホルムアルデヒド発生量を定量した。
片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンを用いて重合を行ったポリマー1は、等モルのメタノールを用いて重合して得られたポリマーに比べ、0.99倍のホルムアルデヒドが発生していた。これにより、上記重合方法1によって得られたポリマー1は、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。
次に、上記で得られたポリマー1(100質量部)に対し、末端安定化処理剤として水(2質量部)及び塩基性物質としてトリエチルアミン(1質量部)を接触させ溶融混練することで、不安定末端鎖であるヒドロキシオキシメチレン鎖を加水分解し安定化した。末端安定化に当たっては、まず200℃に設定したベント付きの二軸押出機に、上記で得られたポリマー1を供給し、溶融混練した。次いで、押出機の末端安定化ゾーンの手前に水/トリエチルアミンを連続的に供給した。続いて、脱気ゾーンでホルムアルデヒド、水、トリエチルアミンを減圧除去し、末端安定化処理を行った。この際、脱気ゾーンのベント部の真空度は4kPaに設定した。押出機のダイスより得られたブロックコポリマーは、ストランドとして押出され、ペレタイズされ、AB型のポリアセタールブロックコポリマー1のペレットを得た(以下、この末端安定化処理の方法を「末端安定化処理1」と略記する。)。得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー1の同定を上記のとおり行った。結果を表1に示す。また、
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー2の製造]
Bセグメントを形成する原料として、片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンの代わりに、ステアリルアルコール(以下「B−2」とも記す。日油株式会社製 NAA−45、数平均分子量270)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー2のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー2の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー3の製造]
1,3−ジオキソランのフィード量を0.2mol/hrから3.0mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー3のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー3の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー4の製造]
1,3−ジオキソランのフィード量を0.2mol/hrから1.5mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー4のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー4の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー5の製造]
Bセグメントを形成する原料である片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンのフィード量を0.4mol/hrから0.1mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー5のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー5の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー6の製造]
Bセグメントを形成する原料である片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンのフィード量を0.4mol/hrから0.05mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー6のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー6の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー7の製造]
Bセグメントを形成する原料である片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンのフィード量を0.4mol/hrから0.2mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー7のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー7の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー8の製造]
トリエチレングリコールジメチルエーテルに溶解させたトリフルオロメタンスルホン酸の代わりに、シクロヘキサンに溶解させた三フッ化硼素ジブチルエーテルを用いた以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー8のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー8の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー9の製造]
1,3−ジオキソランの代わりに、エチレンオキシド(分子量44)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー9のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー9の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー10の製造]
Bセグメントを形成する原料である片末端ヒドロキシエチル化水素添加ポリブタジエンのフィード量を0.4mol/hrから0.75mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー10のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー10の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー11の製造]
1,3−ジオキソランのフィード量を0.2mol/hrから6.0mol/hrに変更した以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー11のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー11の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[AB型のポリアセタールブロックコポリマー12の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1を製造する際に用いた原料は同じで、全原料を同時にフィードした以外は、実施例1と同様にしてAB型のポリアセタールブロックコポリマー12のペレットを得た。なお、実施例1と同様にしてポリマー構造の分析を行い、得られたポリマーは、ABA型ではなく、AB型のポリアセタールブロックコポリマーであることを確認した。また、得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー12の同定及びオキシアルキレン単位(ii)のシークエンスの測定を上記記載のとおり行った。結果を表1に示す。
[ポリアセタール樹脂組成物1の製造]
上記実施例1で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー1(100質量部)に、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(0.3質量部)、及び平均粒子径4μmに粉砕されたナイロン6−6(0.05質量部)を添加し、再度、上記した二軸押出機で溶融混練し、ポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物1」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物2の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例2で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー2を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物2」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物3の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例3で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー3を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物3」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物4の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例4で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー4を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物4」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物5の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例5で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー5を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物5」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物6の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例6で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー6を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物6」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物7の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例7で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー7を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物7」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物8の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記実施例8で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー8を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物8」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物9の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記比較例1で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー9を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物9」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物10の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記比較例2で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー10を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物10」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物11の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記比較例3で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー11を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物11」という)を得た。
[ポリアセタール樹脂組成物12の製造]
AB型のポリアセタールブロックコポリマー1の代わりに、上記比較例4で得られたAB型のポリアセタールブロックコポリマー12を用いた以外は実施例9と同様にしてポリアセタールブロックコポリマー組成物(「ポリアセタール樹脂組成物12」という)を得た。
したがって、本発明のAB型のポリアセタールブロックコポリマー及び該AB型のポリアセタールブロックコポリマーを含む樹脂組成物は、ウエルド部を有する歯車又は軸受部品等の材料として非常に有用なものである。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表わされるオキシメチレン単位(i)及び下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位(ii)を含有するポリアセタールセグメント(A)と、片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)とを含み、
ポリアセタールセグメント(A)におけるオキシアルキレン単位(ii)の挿入量が、オキシメチレン単位(i)100molに対して、0.05〜1.0molであり、
下記一般式(II)で表わされるオキシアルキレン単位(ii)において、y=1の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の95mol%以上であり、y≧2の場合のオキシアルキレン単位の割合がオキシアルキレン単位全体の5mol%以下であるAB型のポリアセタールブロックコポリマーであって、
片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)の数平均分子量が100〜10,000である、ポリアセタールブロックコポリマー。
- 片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)が、脂肪族アルコール及びp−アルキル置換フェノールからなる群より選ばれた少なくとも一種の片末端ヒドロキシアルキルに由来するセグメントである請求項1記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
- 片末端ヒドロキシアルキルセグメント(B)の挿入量が、ポリアセタールセグメント(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部である請求項1又は2記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマーを含むポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載のAB型のポリアセタールブロックコポリマー、又は請求項4に記載のポリアセタール樹脂組成物から得られる成形体。
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