JP5993685B2 - 電線圧接装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電線圧接装置に係り、詳しくは、圧接端子が取り付けられたケースに対して電線を配索するとともに圧接端子に電線を圧接する電線圧接装置に関するものである。
従来、コネクタ等のハウジングに取り付けられた圧接端子に対して電線を圧接する電線圧接装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の電線圧接装置は、電線を掴んで長手方向に送る電線送出部と、送り出された電線の先端部を挟持してコネクタの上方に位置させる電線保持部と、電線送出部に設けられて電線の中間部を挟持する一対の電線把持ハンドと、電線保持部に設けられるとともに電線の先端部を挟持して曲りを矯正する一対の矯正アームと、電線保持部に上下移動自在に支持されて電線を圧接端子に圧接する圧接ブレードと、を備えて構成されている。この電線圧接装置は、電線保持部を駆動して矯正アームをハウジングの開口上部に位置させてから、圧接ブレードとともに電線をハウジングに向かって下降させることで、ハウジングに固定したシャーリング部材のせん断刃と圧接ブレードの切断刃とで電線の先端を切断するとともに、電線を圧接端子に圧接するように動作する。
一方、コネクタの端子に複数の電線を圧接する圧接装置と、電線を圧接したコネクタを引き出して所定の配索形態に布線する布線板と、を備えた圧接布線装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の圧接布線装置は、圧接装置によって複数のコネクタに電線を圧接してから、これらのコネクタを布線板上に引き出して布線具に電線を引っ掛けて布線し、その後に電線の基端側を他のコネクタに圧接してから電線を切断することで、コネクタ付き電線を所定の配索形態に布線したワイヤハーネスを形成するものである。
特開平6−76912号公報 特開平10−261328号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の電線圧接装置では、コネクタ等の圧接端子に電線の先端部近傍を圧接する機能しか有しておらず、特許文献2記載の圧接布線装置のように、電線を所定の配索経路に沿って配索することができない。一方、特許文献2記載の圧接布線装置は、電線を圧接した複数のコネクタを作業者が手作業によって布線板上に引き出し、各コネクタ及び電線を布線具に引っ掛けて布線するとともに、布線後にテープ巻き等によって配索形態を維持する必要があることから、作業手間及び作業時間を要してしまい圧接及び布線作業の効率化を図ることが困難であった。さらに、手作業の布線によって電線の配索経路が決定されてしまうため、電線の引き出し長さがばらついたり、途中で電線同士が絡み合ってしまったりなど、電線の無駄が生じたり、さらなる作業効率の低下を招いたりなどの不都合が起きる可能性があった。
したがって、本発明は、電線の配索及び圧接工程の効率化を図ることができる電線圧接装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の電線圧接装置は、圧接端子が取り付けられたケースに対して電線を配索するとともに前記圧接端子に前記電線を圧接する電線圧接装置であって、圧接装置本体と、前記圧接装置本体を前記電線の配索経路に沿って移動させる配索駆動部と、前記圧接装置本体に設けられて前記電線の先端部を把持するヘッド部と、前記圧接装置本体に対して前記ヘッド部を圧接方向に進退駆動する圧接駆動部と、前記ヘッド部を前記圧接方向と交差する平面内で回転駆動する回転駆動部と、を備え、前記ヘッド部には、前記電線の先端部を挟持するチャック部と、前記電線の先端部近傍を前記圧接端子に圧接する圧接刃部と、該圧接刃部の先端に沿わせた前記電線をガイドするガイド部と、を有し、前記ガイド部は、前記圧接刃部の両側面に沿うとともに該圧接刃部の先端から突出して設けられる一対のガイド板と、前記一対のガイド板を前記チャック部に対して前記電線の長手方向に沿って移動させる移動手段と、を有して構成され、前記ガイド部で前記電線をガイドした状態で前記回転駆動部によって前記ヘッド部を回転させることで、前記ケースの配索経路に沿って前記電線を屈曲させつつ配索するとともに、前記圧接駆動部によって前記ヘッド部を前記ケースに向かって移動させることで、前記電線を屈曲させたままで該電線の先端部近傍を前記圧接端子に圧接することを特徴とする。
請求項に記載の電線圧接装置は、請求項に記載された電線圧接装置において、前記ガイド部は、前記圧接刃部の圧接方向に沿って移動自在に前記ヘッド部に支持されるとともに、前記一対のガイド板が前記圧接刃部の先端から突出する方向に付勢する付勢手段を有して構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載された発明によれば、ガイド部で電線をガイドした状態で回転駆動部によってヘッド部を回転させることで、ケースの配索経路に沿って電線を屈曲させつつ配索するとともに、圧接駆動部によってヘッド部をケースに向かって移動させることで、電線を屈曲させたままで電線の先端部近傍を圧接端子に圧接する。従って、手作業によらずに電線を屈曲させつつ配索するとともに、配索した電線の先端部を圧接端子に圧接することで、所定の配索経路に沿って配索した電線の配索形態を維持したままで圧接することができ、電線の配索及び圧接工程の効率化を図ることができる。
また、圧接刃部の両側面に沿うとともに圧接刃部の先端から突出して設けられる一対のガイド板を有してガイド部が構成されているので、圧接方向と交差する平面内で任意の方向に電線を屈曲させる場合であっても、一対のガイド板によって両側からガイドされた電線がガイド部から脱落せず、この電線を確実に屈曲させることができる。
さらに、移動手段によって一対のガイド板をチャック部に対して電線の長手方向に沿って移動させることで、電線を屈曲させる位置に応じてガイド板を適宜に移動させてから、回転駆動部によってヘッド部を回転させることで、複数個所で電線を屈曲させることができる。従って、ケースの形状に応じた配索経路に沿って電線を屈曲させて配索することができ、各種ケースへの配索自由度を高めることができる。
請求項に記載された発明によれば、圧接刃部の圧接方向に沿ってガイド部が移動自在に支持されるとともに、圧接刃部の先端から突出する方向に一対のガイド板が付勢されているので、ヘッド部を圧接方向に移動させて電線を圧接端子に圧接する際に、ケースの一部や他の適宜な部分にガイド板の先端等を当接させるようにすれば、付勢手段の付勢力に抗して圧接刃部とガイド部とを相対移動させて、一対のガイド板の間から圧接刃部を突出させることができ、ガイド板が邪魔にならずに突出させた圧接刃部によって電線を圧接端子に圧接することができる。一方、圧接完了後にヘッド部を圧接方向と逆向きに移動させれば、付勢手段の付勢力によって一対のガイド板が圧接刃部の先端から突出した初期位置に復帰させることができる。
本発明の一実施の形態に係る電線圧接装置を示す平面図である。 前記電線圧接装置における圧接ユニットを示す斜視図である。 前記圧接ユニットの一部を拡大して示す斜視図である。 前記圧接ユニットにおけるヘッド部を示す斜視図である。 前記ヘッド部を他の方向から見た斜視図である。 前記ヘッド部の一部を拡大して示す斜視図である。 前記ヘッド部の圧接刃部を示す斜視図である。 前記圧接ユニットの動作を示す斜視図である。 前記圧接ユニットの図8に続く動作を示す斜視図及び平面図である。 前記圧接ユニットの図9に続く動作を示す斜視図及び平面図である。 前記圧接ユニットの図10に続く動作を示す斜視図及び平面図である。 前記圧接ユニットの図11に続く動作を示す斜視図及び平面図である。 前記圧接ユニットの図12に続く動作を示す斜視図及び平面図である。 前記圧接ユニットの図13に続く動作を示す斜視図である。 前記圧接ユニットによる電線の圧接状態を示す断面図である。 前記電線の圧接状態を図15と交差する方向から見た断面図である。 前記圧接ユニットにおけるチャック部の動作を示す斜視図である。 前記圧接ユニットにおけるガイド部部の動作を示す斜視図である。 前記圧接ユニットにおけるガイド部の変形例を示す斜視図である。 前記圧接ユニットの他の動作例を示す平面図である。 前記電線圧接装置の動作を簡略して示す平面図である。 前記電線圧接装置の図21に続く動作を簡略して示す平面図である。 前記電線圧接装置の図22に続く動作を簡略して示す平面図である。 前記電線圧接装置の図23に続く動作を簡略して示す平面図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる電線圧接装置を、図1〜図24に基づいて説明する。本実施形態に係る電線圧接装置1は、圧接端子Tが取り付けられたケースCに対して電線Wを配索し、電線Wの先端部W1を圧接端子Tに圧接するとともに、電線Wの途中部分をケースCの電線打込部C1に打ち込むことで、電線WをケースCに組み付けるための装置である。ケースCは、合成樹脂製の一体成形品からなるとともに、例えば、自動車等に搭載される電気接続箱の一部を構成するものであって、図示しないリレーやヒューズ等の電気部品が取り付けられるようになっている。
圧接端子Tは、導電性の金属からなり、打ち抜き加工や曲げ加工によりコ字形に成形されるとともに、コ字形の対向各片に電線Wを挟持する挟持片T1を有し、挟持片T1間に圧入された電線Wの絶縁被覆を破って電線Wの内部導体と電気的に接続されるものである。また、圧接端子Tは、ケースC内部に設けられた図示しないバスバーや、ケースCの外側に設けられた図示しないコネクタ、ケースC内部に搭載される電気部品等と、電気的に接続され、このような圧接端子T及び電線Wとを介して電気回路が構成されるようになっている。
電線圧接装置1は、図1に示すように、適宜な載置台上に水平に支持されたベース2と、ベース2の一端縁(図の右側端縁)に設けられて電線Wを検尺する検尺ユニット3と、この検尺ユニット3に隣り合ってベース2上に支持される第二圧接ユニット4と、ベース2の中央部にてベース2の上面よりも一段高い位置に設けられる第二ベース5と、第二ベース5の上側に支持される打込ユニット6と、第二ベース5の片側(図の上側)に隣り合って設けられる圧接ユニット7と、第二ベース5の反対側(図の下側)に隣り合って設けられてケースCを搬送する搬送ユニット8と、を備えて構成されている。この電線圧接装置1は、図示しない駆動制御部をさらに備え、この駆動制御部によって各ユニットが同期して動作するように駆動制御される。
なお、以下では、各図中において矢印Xで示す方向をX方向と記し、矢印Yで示す方向をY方向と記し、矢印Zで示す方向をZ方向と記すことがある。また、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する直交三軸方向であり、X−Y平面が水平面に平行に設けられ、Z方向が鉛直方向であるものとして説明する。ただし、これらの各方向は、本実施形態の説明を簡明にするために用いるものであって、本発明における各部の形状、配置、動作等に関する方向を限定するものではない。
ベース2は、厚みのある金属板から形成された平面矩形状のベース板21を有し、図示しない複数の脚部によってベース板21が載置台に支持されている。ベース板21には、前記各ユニットを固定するためのボルト孔が設けられるとともに、各ユニットに電力や電気信号を供給するための図示しない電力線や信号線が配索されている。
検尺ユニット3は、図示しない電線供給装置から供給された電線Wの長さを検尺して送り出すものであって、この検尺ユニット3から送り出された電線Wが圧接ユニット7によって引き出されるとともに、ケースCに沿って配索されるようになっている。
第二圧接ユニット4は、検尺ユニット3から引き出された電線Wの後端部を切断するとともに、電線Wの後端部近傍をケースCの圧接端子Tに圧接するものであって、圧接ユニット本体41と、この圧接ユニット本体41をベース2の上面に沿ってY方向に案内するガイドレール42と、このガイドレール42に沿って圧接ユニット本体41を移動させる駆動部と、圧接ユニット本体41に設けられる圧接ヘッド43と、を有して構成されている。
第二ベース5は、ベース2の上面から上方に離れて設けられるとともに、それぞれ平面矩形状の金属板からなる一対の第二ベース板51,52を有して構成される。一対の第二ベース板51,52は、互いにY方向に離隔して設けられ、ベース板51,52間に隙間53が形成されている。そして、ベース2の上面とベース板51,52との間に搬送ユニット8によってケースCが搬送され、搬送されたケースCに対してベース板51,52の隙間53を介して上方から電線Wの圧接及び打ち込みが実施されるようになっている。
打込ユニット6は、第二ベース5のベース板51,52上に支持されるとともに、圧接ユニット7によってケースCに沿って配索された電線Wの途中部分を支持する複数の電線支持部61を備えて構成されている。複数の電線支持部61は、X方向に並列して設けられるとともに、ベース板51に設けられる第一支持部材61Aと、ベース板52に設けられる第二支持部材61Bと、からなる一対の支持部材によって構成され、これらの第一支持部材61Aと第二支持部材61BとをY方向に接近させることで、電線Wの途中部分を挟持して支持するように構成されている。また、打込ユニット6は、図示しない打込刃部を有し、この打込刃部によって、ケースCに沿って配索された電線WをケースCの電線打込部C1に打ち込むように構成されている。
圧接ユニット7は、検尺ユニット3から電線Wの先端部を把持して引き出し、この電線WをケースCの上方に沿って配索するとともに、電線Wの先端部W1近傍を圧接端子Tに圧接するものであって、圧接ユニット本体71と、この圧接ユニット本体71をベース2の上面に沿ってX方向に案内するガイドレール72と、このガイドレール72に沿って圧接ユニット本体71を移動させる配索駆動部73と、を有して構成されている。配索駆動部73は、モータ73Aと、モータ73Aの出力軸に固定されてX方向に延びるねじ軸73Bと、圧接ユニット本体71のベース板71Aに設けられてねじ軸73Bに螺合される雌ねじ部73Cと、を有した送りねじ機構であって、モータ73Aでねじ軸73Bを回転させることにより雌ねじ部73Cを介して圧接ユニット本体71をX方向に移動させ、これにより検尺ユニット3から引き出した電線WをケースCに沿って配索するように構成されている。
搬送ユニット8は、ケースCを保持する保持板81と、この保持板81をベース2の上面に沿ってY方向に案内するガイドレール82と、このガイドレール82に沿って保持板81を移動させる駆動部83と、を有して構成されている。駆動部83は、モータ83Aと、モータ83Aの出力軸に固定されてY方向に延びるねじ軸83Bと、保持板81の下面に設けられてねじ軸83Bに螺合される雌ねじ(不図示)と、を有した送りねじ機構で構成されている。この搬送ユニット8は、保持板81に保持したケースCを第二ベース5から図1中下方に離れた位置(搬入搬出位置)と、第二ベース5における隙間53の下方位置(圧接位置であり打込位置、圧接打込位置)と、の間に亘って搬送するものであって、搬入搬出位置において、保持板81上にケースCが搬入され又は保持板81からケースCが搬出されるとともに、圧接打込位置において、圧接ユニット7によって電線Wが圧接端子Tに圧接され、かつ打込ユニット6によって電線WがケースCの電線打込部C1に打ち込まれるようになっている。
次に、圧接ユニット7の詳細構造及び動作について、図2〜図14も参照して説明する。圧接ユニット本体(圧接装置本体)71は、図2に示すように、ベース板71A上に立設されて互いに対向する2枚の支持板74と、2枚の支持板74の前方側端縁に固定されるスライドガイド75と、スライドガイド75に設けられた一対のレール75Aに上下スライド自在に支持されるスライド板76と、2枚の支持板74間に設けられてスライド板76を上下(Z方向)に駆動する圧接駆動部としてのモータ77と、スライド板76の前面及び上端に固定された3枚のフランジ76Aに支持される回転駆動部78と、回転駆動部78のシャフト78B下端部に取り付けられて回転駆動されるヘッド部79と、を有して構成されている。回転駆動部78は、図3にも示すように、上部のフランジ76Aに固定されたモータ78Aと、モータ78Aの出力軸に連結されるとともに2枚のフランジ76Aに軸支されたシャフト78Bと、を有し、モータ78Aでシャフト78Bを回転させることによりヘッド部79をX−Y平面内で回転させるように構成されている。
ヘッド部79は、図4〜図7にも示すように、シャフト78Bに連結されるヘッド部本体701と、このヘッド部本体701の下端部にボルト固定される圧接刃部702と、ヘッド部本体701に対して上下(Z方向)にスライド自在に支持されるチャック部としてのチャック装置703と、ヘッド部本体701に対して上下(Z方向)にスライド自在に支持されるガイド部としてのガイド装置704と、を有して構成されている。ヘッド部本体701は、全体直方体状の金属部材であって、その上端部がシャフト78Bに連結されるとともに、前後(X方向)両端縁には、チャック装置703及びガイド装置704をそれぞれスライド案内するガイドレール705,706が設けられている。なお、ここで、ヘッド部79の前後方向としては、X方向に沿うとともに、検尺ユニット3から電線Wを引き出す方向(図1の左方)を前方とし、その逆向き(図1の右方)を後方とする。また、図7において、ガイド装置704の図示が省略されている。
圧接刃部702は、図7に示すように、3枚の刃から構成され、具体的には、電線Wを圧接端子Tに圧入する第一刃部711と、第一刃部711に隣り合う位置にて電線WをケースCの電線打込部C1に打ち込む第二刃部712と、第二刃部712に隣り合う位置にて電線Wを押圧する第三刃部713と、を有して構成されている。第一刃部711は、金属板材から形成されてその先端に電線Wを受け入れる溝を有した金属刃714と、金属刃714の幅方向両端部に取り付けられた樹脂製の規制片715と、を有し、金属刃714の先端部には、圧接端子Tの挟持片T1間に挿入される薄板状の挿入部716が形成されている。規制片715は、金属刃714の先端から突出して設けられるとともに、金属刃714先端の溝に受け入れた電線Wが板厚方向へ脱落することを規制するものである。第二刃部712は、その先端に電線Wを受け入れる溝を有する金属板材から形成されている。第三刃部713は、ケースCの形状に応じた先細り形状の棒状部を有した金属部材で構成されている。
チャック装置703は、圧接刃部702の前方側に隣接して設けられるチャック部721を有し、このチャック部721によって電線Wの先端部W1を挟持するものであって、チャック部721は、各々が挟持片722を有した一対のチャック部材723で構成されている。チャック装置703は、ガイドレール705に上下スライド自在に支持されるスライド板724と、ヘッド部本体701に対してスライド板724を下向きに付勢するコイルばね725と、ヘッド部本体701に対するスライド板724の下向きスライドを規制する規制部材726と、スライド板724に取り付けられて一方のチャック部材723をY方向に駆動するシリンダ727と、他方のチャック部材723をY方向に駆動するシリンダ728と、を有して構成されている。
このようなチャック装置703は、図17にも示すように、シリンダ727,728で一対のチャック部材723を互いに近づく方向に駆動することで、挟持片722間に電線Wを挟持する。また、圧接駆動部であるモータ77によってヘッド部79がケースCに向かって下降された際に、挟持片722の先端がケースCの上面に当接してチャック部721の下降が停止され、コイルばね725の付勢力に抗してスライド板724がヘッド部本体701に対して上方に相対移動するように構成されている。なお、チャック部721の下降停止と同時にシリンダ727,728で一対のチャック部材723を開くことで、電線Wの挟持が解除され、この電線Wは圧接刃部702によって圧接端子Tに圧接される。
ガイド装置704は、圧接刃部702の板厚方向両側に沿って設けられる一対のガイド板731を有し、一対のガイド板731によって電線Wを両側から挟んでガイドするものであって、ガイド板731は、それぞれ下方に延びる4本のガイド片732を有して形成されるとともに、ガイドベース733に取り付けられている。ガイド装置704は、ガイドレール706に上下スライド自在に支持されるスライド板734と、ヘッド部本体701に対してスライド板734を下向きに付勢する付勢手段としてのコイルばね735と、ヘッド部本体701に対するスライド板734の下向きスライドを規制する規制部材736と、ヘッド部本体701に対してスライド板734を上下に駆動するシリンダ737と、スライド板734に対してX方向に進退自在に支持されて一対のガイドベース733を保持する保持板738と、スライド板734に対して保持板738をX方向に駆動する移動手段としてのシリンダ739と、を有して構成されている。
このようなガイド装置704は、圧接駆動部であるモータ77によってヘッド部79がケースCに向かって下降された際に、ガイドベース733がケースCの上面に当接して下降が停止され、コイルばね735の付勢力に抗してスライド板734がヘッド部本体701に対して上方に相対移動するように構成されている。また、チャック装置703で電線Wを挟持する際等にガイド片732が邪魔にならないように、シリンダ737によってスライド板734を上方にスライド駆動することもできるようになっている。さらに、図18にも示すように、シリンダ739によって保持板738をX方向に駆動することで、ガイド板731で電線Wを挟んでガイドする位置を変更することも可能に構成されている。
以上の圧接ユニット7は、配索駆動部73のモータ73Aの駆動により圧接ユニット本体71を検尺ユニット3に向かって移動させ、図8に示すように、検尺ユニット3から送り出された電線Wの先端部をチャック装置703の一対の挟持片722で挟持する。この際、第二圧接ユニット4は、圧接ユニット7と干渉しないように退避位置に退避されている。検尺ユニット3に対しては、シリンダ727,728で一対のチャック部材723を開いた状態で上方からヘッド部79を下降させることで、検尺ユニット3上面にガイド板731の下端が当接し、ヘッド部本体701に対してガイド装置704が上方に移動する。さらに、ヘッド部79を下降させ、挟持片722の間に電線Wが挿通された位置でシリンダ727,728を駆動し、一対のチャック部材723を閉じて電線Wを挟持する。一対のチャック部材723で電線Wを挟持した圧接ユニット7は、配索駆動部73により圧接ユニット本体71をヘッド部79のX方向前方(検尺ユニット3から離れる方向)に移動させ、図9に示すように、ケースCに沿って電線Wを配索する。
次に、所定位置まで圧接ユニット本体71を移動させたら、図10に示すように、ガイド装置704は、シリンダ739の駆動により保持板738をX方向後方側に移動させ、ガイド板731で電線Wをガイドする位置を後方側(電線Wの長手方向に沿ってチャック部材723から離れる側)に変更する。次に、圧接ユニット7は、回転駆動部78のモータ78Aの駆動によりヘッド部79を回転させ、図11に示すように、電線Wの配索経路に沿って電線Wの先端部W1をY方向に屈曲させる。このように電線Wの先端部W1をY方向に屈曲させてから、ガイド装置704は、図12に示すように、シリンダ739を駆動して保持板738を移動させ、電線Wの先端部W1側にガイド板731を位置させる。次に、圧接ユニット7は、回転駆動部78のモータ78Aの駆動によりヘッド部79を逆回転させ、図13に示すように、電線Wの先端部W1を再度X方向に屈曲させる。このように電線Wの屈曲部をガイド板731のガイド片732で挟持した状態でヘッド部79を回転させることで、ケースCの形状に応じた配索経路に沿って電線Wにくせ付けを行う。
次に、圧接ユニット7は、クランク状にくせ付けした電線Wの先端部W1をケースCの圧接端子Tに圧接するとともに、電線Wを電線打込部C1に打ち込む。即ち、圧接駆動部であるモータ77の駆動によりスライドガイド75に対してスライド板76を下方にスライドさせ、これによりヘッド部79を下降させる。このヘッド部79の下降によって、ヘッド部本体701に固定された圧接刃部702も下降し、図14〜図16に示すように、第一刃部711の金属刃714によって電線Wが圧接端子Tの挟持片T1間に圧入される。さらに、第二刃部712及び第三刃部713によって電線WがケースCの電線打込部C1に打ち込まれる。この際、チャック装置703は、挟持片722の先端がケースCの上面に当接することで下降が規制され、挟持片722間から電線Wの先端部W1が抜け出すようになっている。さらに、ガイド装置704は、ガイドベース733がケースCの上面に当接することで下降が規制され、ガイド板731がケースCや圧接端子Tに干渉しないようになっている。
なお、ガイド装置704の構成としては、前述したようなシリンダ739を備えたものに限らず、図19に示すように、移動手段としての直動モータ739Aによって保持板738を駆動するように構成されていてもよい。この直動モータ739Aは、図示しない制御装置によって保持板738の移動量を任意に調節可能に構成されており、即ち、ガイド板731で電線Wをガイドする位置を無段階に設定することができ、任意の複数箇所で電線Wを屈曲させることができるように構成されている。また、電線Wを屈曲させる形状としては、前述したようなクランク状に限らず、図20に示すような形状であってもよい。具体的には、図20(A)に示すように、電線Wを2箇所で屈曲させる際の回転駆動部78のモータ78Aによるヘッド部79の回転角度を90°よりも小さく(例えば、30°程度に)設定することで、屈曲部を鈍角に形成してもよい。さらに、図20(B)に示すように、ヘッド部79を同一方向に2回屈曲させてから逆方向に屈曲させてもよいし、図20(C)に示すように、電線Wの途中部分がコ字形となるように4回屈曲させてもよい。
以上の電線圧接装置1によってケースCに電線Wを打ち込んで圧接端子Tに圧接する手順を図21〜図24も参照して以下説明する。先ず、図21(A)に示すように搬送ユニット8によってケースCを搬入搬出位置から圧接打込位置に搬送する。さらに、圧接ユニット7が圧接ユニット本体71をX方向に沿って検尺ユニット3側に移動させ、検尺ユニット3から送り出される電線Wの先端部W1をチャック装置703のチャック部材723によって挟持する。次に、図21(B)に示すように、圧接ユニット7が圧接ユニット本体71を検尺ユニット3から離れる側に移動させ、検尺ユニット3から引き出した電線WをケースCの上方に沿って配索する。この際、打込ユニット6は、複数の電線支持部61を通過した電線Wを第一支持部材61A及び第二支持部材61Bの電線挟持部611間に挟むとともに、第三支持部材64の凹部641を電線Wの上方に位置させ、電線Wの途中部分を支持する。
次に、図22(A)に示すように、圧接ユニット7が回転駆動部78を駆動してヘッド部79を回転させ、ガイド装置704のガイド板731でガイドした電線WをY方向に屈曲させる(一次屈曲)。さらに、図22(B)に示すように、ガイド板731を電線Wの先端部W1側に移動させてから図23(A)に示すように、圧接ユニット7が回転駆動部78を駆動してヘッド部79を回転させ、電線WをX方向に屈曲させることで、電線Wにクランク状のくせ付けを行う。このようにして電線WをケースCの上方に配索したら、検尺ユニット3が電線Wの送り出しを停止するとともに、第二圧接ユニット4がチャック部材44で電線Wの後端部近傍を挟持する。次に、図23(B)に示すように、打込ユニット6が第一支持部材61Aと第二支持部材61Bとを互いに離れる方向へ移動させるとともに、図24に示すように、圧接ユニット7によって電線Wの先端部W1近傍を圧接端子Tに圧接し、打込ユニット6によって電線Wの途中部分をケースCの電線打込部C1に打ち込み、第二圧接ユニット4によって電線Wの後端部近傍を圧接端子Tに圧接する。
なお、電線Wの先端部W1、途中部分及び後端部の圧接及び打ち込みのタイミングとしては、圧接ユニット7、打込ユニット6及び第二圧接ユニット4を同時に駆動することによって、先端部W1及び後端部の各近傍を同時に圧接端子Tに圧接して、先端部W1及び後端部の各近傍と途中部分とをそれぞれケースCの電線打込部C1に打ち込んでもよい。あるいは、圧接ユニット7、打込ユニット6及び第二圧接ユニット4を各々別に順次駆動することによって、先端部W1近傍を圧接端子Tに圧接しかつ電線打込部C1に打ち込んでから、途中部分を電線打込部C1に打ち込み、最後に後端部近傍を圧接端子Tに圧接しかつ電線打込部C1に打ち込んでもよい。また、先端部W1及び後端部の圧接及び打ち込みと、途中部分の打ち込みと、のタイミングを前後させてもよい。
本実施形態によれば、圧接ユニット7のヘッド部79にガイド装置704が設けられ、このガイド装置704のガイド板731で電線Wをガイドした状態で、回転駆動部78によってヘッド部79を回転させることで、ケースCの配索経路に沿って電線Wを屈曲させつつ配索することができる。さらに、電線Wを配索した状態から、圧接駆動部であるモータ77によってヘッド部79とともに圧接刃部702を下降させることで、圧接刃部702の第一刃部711で電線Wを圧接端子Tに圧接するとともに、第二刃部712及び第三刃部713によって電線WをケースCの電線打込部C1に打ち込むことができる。従って、手作業によらずに電線Wを屈曲させつつ配索するとともに、配索した電線Wの先端部W1を圧接端子Tに圧接することで、所定の配索経路に沿って配索した電線Wの配索形態を維持したままで圧接することができ、電線Wの配索及び圧接工程の効率化を図ることができる。また、ガイド板731を電線Wの長手方向に沿って移動させてから、回転駆動部78によってヘッド部79を回転させることで、複数個所で電線Wを屈曲させることができるので、ケースCの形状に応じた配索経路に沿って電線Wを屈曲させて配索することができ、各種ケースへの配索自由度を高めることができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態では、打込ユニット6によって電線Wの途中部分をケースCの電線打込部C1に打ち込み、第二圧接ユニット4によって電線Wの後端部近傍を圧接端子Tに圧接する構成としたが、打込ユニット6や第二圧接ユニット4は、本発明の必須の構成ではなく、適宜に省略したり、他の装置に置き換えたりすることが可能である。また、前記実施形態では、配索駆動部73がモータ73Aを有して構成され、圧接駆動部がモータ77で構成され、回転駆動部78がモータ78Aを有して構成されていたが、配索駆動部や圧接駆動部、回転駆動部はモータ以外の駆動源を有して構成されていてもよい。さらに、前記実施形態では、圧接刃部702が第二刃部712及び第三刃部713を有し、これらの刃部によって電線Wが電線打込部C1に打ち込まれる構成であったが、圧接刃部としては、電線Wを圧接端子に圧接するための第一刃部711を少なくとも有して構成されていればよい。
1 電線圧接装置
7 圧接ユニット
71 圧接ユニット本体(圧接装置本体)
73 配索駆動部
77 モータ(圧接駆動部)
78 回転駆動部
79 ヘッド部
702 圧接刃部
703 チャック装置(チャック部)
704 ガイド装置(ガイド部)
731 ガイド板
735 コイルばね(付勢手段)
739 シリンダ(移動手段)
C ケース
T 圧接端子
W 電線
W1 先端部

Claims (2)

  1. 圧接端子が取り付けられたケースに対して電線を配索するとともに前記圧接端子に前記電線を圧接する電線圧接装置であって、
    圧接装置本体と、
    前記圧接装置本体を前記電線の配索経路に沿って移動させる配索駆動部と、
    前記圧接装置本体に設けられて前記電線の先端部を把持するヘッド部と、
    前記圧接装置本体に対して前記ヘッド部を圧接方向に進退駆動する圧接駆動部と、
    前記ヘッド部を前記圧接方向と交差する平面内で回転駆動する回転駆動部と、を備え、
    前記ヘッド部には、
    前記電線の先端部を挟持するチャック部と、前記電線の先端部近傍を前記圧接端子に圧接する圧接刃部と、該圧接刃部の先端に沿わせた前記電線をガイドするガイド部と、を有し
    前記ガイド部は、前記圧接刃部の両側面に沿うとともに該圧接刃部の先端から突出して設けられる一対のガイド板と、前記一対のガイド板を前記チャック部に対して前記電線の長手方向に沿って移動させる移動手段と、を有して構成され
    前記ガイド部で前記電線をガイドした状態で前記回転駆動部によって前記ヘッド部を回転させることで、前記ケースの配索経路に沿って前記電線を屈曲させつつ配索するとともに、前記圧接駆動部によって前記ヘッド部を前記ケースに向かって移動させることで、前記電線を屈曲させたままで該電線の先端部近傍を前記圧接端子に圧接することを特徴とする電線圧接装置。
  2. 前記ガイド部は、前記圧接刃部の圧接方向に沿って移動自在に前記ヘッド部に支持されるとともに、前記一対のガイド板が前記圧接刃部の先端から突出する方向に付勢する付勢手段を有して構成されていることを特徴とする請求項に記載の電線圧接装置。
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