JP5992653B1 - 回転電機 - Google Patents

Abstract

動吸振器は、動吸振器単体の固有振動数を固定子の固有振動数と等しくなるように設計する必要があり、固有振動数が大きく乖離してしまうと効果が小さくなってしまう。そのため、動吸振器単体の固有振動数を精度よく計算し、設計する必要がある。しかし、実際には、制振対象の設置位置周辺の剛性の影響を強く受け、設置すると固有振動数が設計値とは異なる値になってしまうという問題があった。この発明は、動吸振器取付け部材に複数の動吸振器を取り付けることにより、動吸振器単体の固有振動数に対し、設置位置周辺の剛性が与える影響を小さくし、動吸振器を、より効果的なものとすることを目的とする。

Description

この発明は、回転子の回転運動に起因する振動を低減させるために設置された動吸振器を有する回転電機に関するものである。

回転電機は、回転軸を有する回転子と、回転子の外周を囲うように設置された固定子と、固定子を覆うように構成された筐体と、固定子を支持するために固定子と筐体間に配置された固定子支持部材を有する。回転子の回転運動に伴って発生した電磁加振力が回転子と固定子に作用する。この電磁加振力が主な原因となり、固定子が振動する。このとき、固定子は振動モードと呼ばれる固有の形状で振動する。固定子の半径方向の振動に注目した場合、各振動モードにおいて、半径方向の最大振幅点は腹、半径方向の振幅０の点は節と呼ばれる。回転磁界の発生と共に電磁加振力も回転するため、固定子上の固定子支持部材の取付け位置では、固定子の半径方向振動の腹と節が交互に発生する。この固定子の振動が固定子支持部材を介して筐体に伝達され、筐体から振動と騒音が発生するという問題があった。このような問題に対し、固定子に動吸振器を取り付け、動吸振器の力を固定子に加えることにより固定子の振動を抑振する技術が提案されている（特許文献１、２参照）。

特開２０１１−２３４５９１号公報 特開２０１４−９６９５１号公報

動吸振器は、動吸振器単体の固有振動数を制振対象（例えば固定子鉄心）の固有振動数と等しく、または概ね等しくなるように設計する必要があり、動吸振器単体の固有振動数が制振対象の固有振動数から大きく乖離してしまうと効果が小さくなってしまう。そのため、動吸振器単体の固有振動数を精度よく計算し、設計する必要がある。
しかし、実際には、制振対象の設置位置周辺の剛性の影響を強く受け、設置すると固有振動数が設計値とは異なる値になってしまうという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、動吸振器単体の固有振動数に対し、設置位置周辺の剛性が与える影響を小さくし、動吸振器を、より効果的なものとすることを目的とする。

この発明に係る回転電機は、回転軸と共に軸回りを回転する回転子と、この回転子の外周を囲むように配置された固定子と、この固定子の振動を抑制する動吸振器と、この動吸振器を固定子に取り付ける取付け部材を備えており、取付け部材は、固定子周囲に巻回された２つの支持リングに両端が係合されて軸方向に伸びる部材からなり、両端近傍にそれぞれ動吸振器が取り付けられていることを特徴とする。

この発明の回転電機によれば、取付け部材の両端近傍にそれぞれ動吸振器が取り付けられているので、動吸振器設置位置の剛性が動吸振器の固有振動数に与える影響を小さくすることができる。

この発明の実施の形態１における回転電機の概略縦断面図である。 図１のＡ−Ａ矢視概略断面図である。 この発明の実施の形態１における動吸振器の正面図である。 この発明の実施の形態１における動吸振器取付け部分の拡大斜視図である。 この発明の実施の形態２における回転電機の概略横断面図である。 この発明の実施の形態２における動吸振器の正面図である。 この発明の実施の形態３における動吸振器を備えた回転電機の概略横断面図である。 この発明の実施の形態３における別の動吸振器を備えた回転電機の概略横断面図である。

実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１を示す回転電機の概略縦断面図である。図２は、図１のＡ−Ａ矢視概略断面図、図３は、動吸振器の正面図である。図４は、動吸振器取付け部分の拡大斜視図である。図において、回転軸１は軸周りを回転し、回転子２は回転軸１と共に回転している。固定子鉄心３は軸方向に積層された複数の鉄板からなり、複数のコアボルト４により軸方向に、複数の支持リング５により周方向に締め付けられている。締め付け後、支持リング５とコアボルト４を溶接している。支持リング５は２本で１セットであり、例えば、２本の支持リング５の間には、動吸振器取付座６が設けられる。この動吸振器取付座６の軸方向両端に動吸振器１０が設置される。この動吸振器１０は、台座７、弾性部８、質量部９からなる。板バネ１１が支持リング５の接線方向の接点部を支持するように、支持リング５の外周面と筐体１２との間に配置される。

次に動作について説明する。固定子鉄心３が楕円変形を繰り返す固有振動モード（図中破線）を有するとき、動吸振器１０の固有振動数を、固定子鉄心３の固有振動数に合わせて固有振動モードの腹の部分に設置する。これにより制振周波数において動吸振器１０が振動し、固定子鉄心３の振動を抑制することができる。しかし、動吸振器１０を動吸振器取付座６の軸方向中央に１つ設置すると、動吸振器取付座６の曲げ剛性が動吸振器１０単体の固有振動数に影響を与える。解析の結果では、動吸振器単体の固有振動数に対し、動吸振器取付座を考慮に入れた系の固有振動数は１７％程度低下していることが判明した。しかし、図２および図４に示す通り、動吸振器取付座６の軸方向両端に動吸振器１０を設置することにより、動吸振器取付座の曲げ剛性の影響を無視できる程小さくすることができる。

実施の形態２．
実施の形態１では、動吸振器取付座６の剛性の影響を小さくすることについて説明したが、動吸振器１０は、動吸振器取付座６に取り付けられ、動吸振器取付座６は支持リング５に取り付けられる。すなわち、動吸振器１０単体の固有振動数は、動吸振器取付座６の影響のみでなく、支持リング５の剛性の影響も受ける。前述した通り、支持リング５はコアボルト４に溶接されている。このため、支持リング５の周方向においては、コアボルト４の間で支持リング５の曲げ剛性が最も弱くなる。従って、動吸振器１０単体の固有振動数に対し支持リング５の曲げ剛性の影響が大きくなる。これを解決するために、図５、図６に示すように、動吸振器取付座６１をコアボルト４を跨ぐようにコアボルト４の両側に設置する。動吸振器１０１は、台座７１、弾性部８１、質量部９１からなる。このように動吸振器１０１の設置により、動吸振器１０１の固有振動数に与える影響を実施の形態１よりも一層小さくすることができる。

実施の形態３．
実施の形態１および２では、動吸振器１０、１０１を固定子鉄心３の振動モードの腹の部分に設け、動吸振器１０、１０１の弾性部８、８１が固定子鉄心３の径方向に振動するように設置したが、図６および図７の設置概念図で示すように、動吸振器１０２、１０３を固定子鉄心３の振動モードの節の部分に配置し、弾性部８２、８３が周方向に振動するようにしてもよい。弾性部８２、８３は、一方を台座７２，７３で支持され、他方に質量部９２、９３が形成されている。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

１ 回転軸、２ 回転子、３ 固定子コア、４ コアボルト、５ 支持リング、６、６１、６２、６３ 動吸振器取付座、７、７１、７２、７３ 台座、８、８１、８２、８３ 弾性部、９、９１、９２、９３ 質量部、１０、１０１、１０２、１０３ 動吸振器、１１ 板バネ

Claims (4)

1. 回転軸と共に軸回りを回転する回転子、前記回転子の外周を囲むように配置された固定子、前記固定子の振動を抑制する動吸振器、前記動吸振器を前記固定子に取り付ける取付け部材を備えた回転電機において、前記取付け部材は、固定子周囲に巻回された２つの支持リングに両端が係合されて軸方向に伸びる部材からなり、両端近傍にそれぞれ前記動吸振器が取り付けられていることを特徴とする回転電機。
2. 前記取付け部材は、前記固定子を前記軸方向に締め付けるコアボルトを跨いで配設されていることを特徴とする請求項１に記載の回転電機。
3. 前記動吸振器は弾性部と質量部とを備え、前記弾性部が前記固定子の径方向に振動するように前記取付け部材に取り付けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の回転電機。
4. 前記動吸振器は、質量部と弾性部とを備え、前記弾性部が前記固定子の周方向に振動するように前記取付け部材に取り付けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の回転電機。

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