JP2011250626A - 回転電機 - Google Patents

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Daisuke Murata
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Abstract

【課題】回転電機の振動を抑制する。
【解決手段】回転電機は、回転子1の回転により半径方向に振動する固定子鉄心と、固定子鉄心を覆う固定子フレーム7と、固定子鉄心の側面に配置されたばね板50とを有する。ばね板50は、鉄心支持板21および鉄心取付け板で支持される。ばね板50は、図心を通る半径方向に力が作用するときに、荷重方向に対して周方向に傾斜角度を保つ第1方向と、この第1方向に垂直な第2方向とに、それぞれ分力が生じ、第1方向を第1軸とする第1断面二次モーメントと、第2方向を第2軸とする第2断面二次モーメントとが互いに異なる。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転子が回転したときに発生する磁気吸引力により振動する回転電機に関する。
発電機や電動機などの回転電機は、回転軸と共に回転する回転子と、この回転子を半径方向外側から覆うように構成された固定子と、を有する。固定子は、回転子を取り囲むように形成された円筒状の固定子鉄心と、この固定子鉄心を半径方向から覆う固定子フレームと、を有する。
回転子が回転することより発生する磁気吸引力によって、固定子には磁気振動が発生する。この磁気振動が、回転電機が設置される基礎に伝播しないようにする必要がある。一般的な回転電機の固定子は、固定子鉄心と固定子フレームとの間に弾性体等を配置して、この弾性体を介して固定子鉄心を支持することで、固定子フレームの外側に磁気振動が伝播することを抑制している。
例えば2極のタービン発電機では、回転子に作用する磁気吸引力は、周方向に沿って振動の節部を有する円環振動モードで振動する。2極タービン発電機では、節部を4つ有している。この円環振動モードは、回転子の回転周波数で周方向に沿って移動する。
一方、固定子は、磁気吸引力と同様に、4節の円環固有振動モードで振動する。固定子の振動モードが、回転子の磁気吸引力の振動モードとほぼ同じであることから、強い励振を受ける。この場合、磁気吸引力(加振力)の振動モードが大きくなるにしたがって、固定子の固有振動モードも大きくなる。
加振力モードの周方向分布は、節部が4つであることから、式(1)で表される。ここで、θは円周方向の角度、Fは回転子の磁気吸引力の大きさである。
F(θ)=Fcos(4θ) …(1)
一方、固定子鉄心の円環固有振動モードの周方向の分布は、節部の数をnとすると、式(2)が成り立つ。ここでxは円周方向の変位、xはその振幅である。
x(θ)=x・cos(n・θ) …(2)
よって、モード加振力Fは、式(3)で表すことができる。
Figure 2011250626
すなわち、n=4以外では直交性が成り立つためモード加振力がゼロとなってしまうのでn=4以外のモード応答は無視することができる。
この4節固有円環振動モードは、2つの振動モードを含んでいる。例えば回転軸が水平方向に延びているとして、一方の振動モードは、固定子鉄心の回転軸方向断面の例えば鉛直中心軸上に振動の腹(振幅が大きい部分)が形成されるのに対して、もう一方の振動モードは、上記の鉛直中心軸から45度の傾きをもった軸上に振動の腹が形成される。
双方の振動モードの分布は、振動の節(振幅がゼロになる位置)と振動の腹が、互いに入れ替わる。すなわち、一方の振動モードの腹となる位置が、他方の振動モードの節となる。また、互いの振動モードの固有振動数は、ほぼ等しい。
2極のタービン発電機では、上記の4節固有円環振動モードが、ほぼ同じ4節円環振動モードを有する回転子の加振力によって励振されているが、それぞれの固有振動モードにおいて節の位置は一定である。したがって、個々のモード応答では節の位置は変化せず、それ以外の部分がモードの形状に比例して時間的に調和振動を行う。このような振動の形態は定在波と呼ばれている。
しかしながら、固定子は、上記の回転子の磁気吸引力のように、2つの固有円環振動モードを有し、これらの振動モードの節と腹の位置は互いに入れ違って発生する。これら2つの振動モードの応答を重ね合わせて求めた実際の固定子に生じる振動モードは、加振力と同様に、4節円環振動モードと同じ形状になる。
これが回転子の角速度で回転すると、固定子の振幅の大きさは全周で一定の値を示す。すなわち、個々の固有振動モードの応答には振動の節部が存在するが、2つの振動モードの応答を重ね合わせて得られる実際の応答には節部が発生しない。
この場合、固定子の周方向全周において等しく振幅を有するため、固定子で発生している磁気振動を、回転電機が設置している基礎へ伝播することを抑制することが困難になる。
回転子の磁気吸引力による回転電機固定子の振動を抑制する方法に、例えば特許文献1に開示されているように、固定子鉄心の断面形状を多角形化することによって、固定子の構造上の対称性を崩して振動の低減を図るものが知られている。
特開2003−088008号公報
ところが、回転電機の固定子鉄心は抜き板を軸方向に積層して製作されるが、タービン発電機のような大型の回転電機では、固定子鉄心の形状が大きいため、円環状の抜き板を1枚で成形することは難しい。このため、抜き板を円周方向に小さい角度で分割した扇形に成形し、扇形の内角の半角ずつずらして軸方向に積層して固定子鉄心を製作している。
この場合、多角形を形成するには複数種の抜き板形状を必要とし、製造工程が複雑になる。また、固定子鉄心の外形も円形断面に比べ大きくなるので、発電機本体の大型化、重量増加をまねく。したがって、固定子鉄心の多角形化による振動対策を大型機に適用することは困難になる場合がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転子の回転により発生する電磁振動に起因する回転電機の振動を抑制できるようにすることである。
上記目的を達成するための本発明に係る回転電機は、所定の軸周りを回転する回転軸を備えこの回転軸と共に回転する回転子と、略円板状の複数の鉄板が軸方向に積層されて前記回転子の外周を取り囲むように配置された略中空円筒状の固定子鉄心と、それぞれが前記固定子鉄心の外周面を囲むように取り付けられた穴あき円板状で、互いに軸方向間隔をあけて配置された複数の鉄心支持板と、前記鉄心支持板の半径方向外側に所定の半径方向間隔を保ちながら、前記鉄心取付け板を覆うように構成された固定子フレームと、それぞれが、前記固定子フレームの半径方向内側面に取り付けられて、前記固定子鉄心に所定の半径方向間隔を保ちながら前記固定子鉄心を半径方向外側から囲むように構成された穴あき円板状で、軸方向に互いに軸方向間隔をあけて配置されて、且つ、それぞれの軸方向位置が前記鉄心支持板の軸方向位置と異なるように配置された鉄心取付け板と、それぞれが、前記固定子鉄心の外周面に半径方向間隔を保ちながら前記鉄心支持板および鉄心取付け板を軸方向に貫通するように固定されて、周方向にほぼ90度ごとに少なくとも1つ配置されて、半径方向に弾性変形可能な複数のはり構造部材と、を有し、前記はり構造部材それぞれは、それぞれの前記はり構造部材の図心を通る半径方向に力が作用するときに、この半径方向に対して周方向に所定の傾斜角度を保つ第1方向と、この第1方向に垂直な第2方向とに、それぞれ分力が生じ、前記第1方向を第1軸とする第1断面二次モーメントと、前記第2方向を第2軸とする第2断面二次モーメントとが、互いに異なるように構成されていること、を特徴とする。
本発明によれば、回転子の回転により発生する電磁振動に起因する回転電機の振動を抑制することが可能になる。
本発明に係る回転電機の第1の実施形態の概略縦断面図である。 図1のII−II矢視概略横断面図である。 図1の実施形態の原理を模式的に示すモデル図である。 図3のIV−IV矢視側断面図である。 図1のばね板の横断面における力と変位の関係を模式的に示すモデル図である。 一般的な動吸振器の原理を模式的に示すモデル図である。 図1の固定子鉄心の第1固有振動モードを模式的に示すモデル図である。 図1の固定子鉄心における回転振動モードを示すモデル図である。 図1の固定子鉄心およびばね板の振動モデルを示すモデル図である。 本発明に係る回転電機の第2の実施形態の概略横断面図である。 本発明に係る回転電機の第3の実施形態の概略横断面図である。 本発明に係る回転電機の第4の実施形態の部分概略横断面図である。 本発明に係る回転電機の第5の実施形態の概略横断面図である。 本発明に係る回転電機の第6の実施形態の概略横断面図である。
以下、本発明に係る回転電機の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明に係る回転電機の第1の実施形態について、図1〜図9を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る回転電機の概略縦断面図である。図2は、図1のII−II矢視概略横断面図である。図3は、図1の実施形態の原理を模式的に示すモデル図である。図4は、図3のIV−IV矢視側断面図である。図5は、図1のばね板50の横断面における力と変位の関係を模式的に示すモデル図である。
図6は、一般的な動吸振器85の原理を模式的に示すモデル図である。図7は、図1の固定子鉄心5の第1固有振動モードを模式的に示すモデル図である。図8は、図1の固定子鉄心5における回転振動モードを示すモデル図である。図9は、図1の固定子鉄心5およびばね板50の振動モデルを示すモデル図である。
先ず、本実施形態の回転電機の構成について説明する。
この回転電機は、水平な回転軸を備えた回転子1と、この回転子1を半径方向外側から覆う固定子3と、を有する。この固定子3は、固定子鉄心5と、この固定子鉄心5を半径方向外側から覆う固定子フレーム7と、を含む(図1)。この固定子フレーム7の外側には、回転電機が設置される基礎に連結される脚部9(図2)が設けられている。
固定子鉄心5は、中央に穴が形成された略円板状の鉄板を複数有し、これらの鉄板が回転子1を半径方向外側から覆うように配置されて軸方向に積層されて、形成されている。
固定子鉄心5の外周面には、軸方向に延びた複数のリブ棒10が、互いに周方向間隔をあけて平行に取り付けられている。これらのリブ棒10は、それぞれ固定子鉄心5の軸方向端部からもう一方の端部まで延びている。
固定子鉄心5の半径方向外側で固定子フレーム7の半径方向内側には、リブ棒10を半径方向外側から固定する7つのリブ棒押え板、すなわち、第1リブ棒押え板11、第2リブ棒押え板12、第3リブ棒押え板13、第4リブ棒押え板14、第5リブ棒押え板15、第6リブ棒押え板16、第7リブ棒押え板17が配置されている。これらの第1〜第7リブ棒押え板11〜17は、軸方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。第1〜第7リブ押え板は、中央が開口してこの開口の半径方向外側に半径方向に広がる面が形成された穴あき円板状である。
本実施形態では、図1の左側から右側に向かって、第1リブ棒押え板11、第2リブ棒押え板12、第3リブ棒押え板13、第4リブ棒押え板14、第5リブ棒押え板15、第6リブ棒押え板16、第7リブ棒押え板17の順に配置されている。
また、本実施形態の回転電機は、第1〜第7リブ棒押え板11〜17と同様に、リブ棒10を半径方向外側から固定する2つの鉄心支持板、すなわち、第1鉄心支持板21および第2鉄心支持板22を有する。
第1鉄心支持板21は、中央が開口してこの開口の半径方向外側に半径方向に広がる面が形成された穴あき円板状で、第1〜第7リブ棒押え板11〜17の外周よりも半径方向外側に張り出すように形成されている。この第1鉄心支持板21は、第1リブ棒押え板11および第2リブ棒押え板12の間に配置されている。
第2鉄心支持板22は、第1鉄心支持板21と同じ形状で、第6リブ棒押え板16および第7リブ棒押え板17の間に配置されている。
固定子フレーム7の内側面には、3つの鉄心取付け板、すなわち、第1鉄心取付け板31、第2鉄心取付け板32、および第3鉄心取付け板33が取り付けられている。これらの第1〜第3鉄心取付け板31〜33は、中央が開口してこの開口の半径方向外側に半径方向に広がる面が形成された穴あき円板状である。第1〜第3鉄心取付け板31〜33の外周側が、固定子フレーム7の内周面に固定されている。
第1鉄心取付け板31は、固定子鉄心5の図1における左方端部よりも左側に配置されている。第3鉄心取付け板33は、固定子鉄心5の図1における右方端部よりも右側に配置されている。
第2鉄心取付け板32は、その内周側が第4リブ棒押え板14の半径方向外側に互いに半径方向間隔をあけて配置されている。これにより、第1鉄心支持板21は鉄心取付け板31と鉄心取付け板32の中間に、第2鉄心支持板22は鉄心取付け板32と鉄心取付け板33の中間に、それぞれ配置される。
固定子鉄心5の半径方向外側には、半径方向に弾性変形可能な複数のばね板50が配置されている。これらのばね板50は、軸方向に延びて横断面が長方形の直方体状の長板である。各ばね板50は、互いに周方向間隔をあけて平行に配置される。
各ばね板50の一方の軸方向端部は、第1鉄心取付け板31の半径方向に広がる面に取り付けられている。反対側の軸方向端部は、第3鉄心取付け板33に取り付けられている。また、各ばね板50は、第1および第2鉄心支持板21、22の半径方向に広がる面と、第2鉄心取付け板32の半径方向に広がる面と、を貫通した状態で固定される。
各ばね板50は、横断面の図心が第1および第2鉄心支持板21、22の半径方向に広がる面内の中立軸20にあるように配置されている(図2)。この中立軸20は、鉄心支持板21,22それぞれに作用する半径方向荷重に対して半径方向にのみ変形する仮想的な軸である。
本実施形態では、5枚のばね板50で1つのばね板群を構成して、4つのばね板群、すなわち、第1ばね板群51、第2ばね板群52、第3ばね板群53、第4ばね板群54を有している。
第1および第3ばね板群51、53は、固定子鉄心5の鉛直方向上下にそれぞれ配置され、上側に第1ばね板群51、下側に第3ばね板群53が配置されている。第2および第4ばね板群52、54は、固定子鉄心5の水平方向左右にそれぞれ配置されて、固定子鉄心5の図2における左側に第2ばね板群52、右側に第4ばね板群54が配置されている。
第1ばね板群51の周方向中央にあるばね板50は、回転子1の回転中心の真上にあるように配置される。この中央にあるばね板50の両側(図2の左右)に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して正回転方向、すなわち時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。すわなち、各ばね板50の横断面の長方形の上方が図2における右側で下方が左側にある状態で固定されている。
第3ばね板群53の周方向中央にあるばね板50は、回転子1の回転中心の真下にあるように配置される。この中央にあるばね板50の両側(図2の左右)に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。第1ばね板群51の各ばね板50と同様に、第3ばね板群53の各ばね板50は、横断面の長方形の上方が図2における右側で下方が左側にある状態で固定されている。
第2ばね板群52の周方向中央にあるばね板50は、回転子1の回転中心の真横(左)にあるように配置される。この中央にあるばね板50の両側(図2では上下)に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して反時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。このときの第2ばね板群52の各ばね板50は、横断面の長方形の上方が図2における右側で下方が左側にある状態で固定されている。
第4ばね板群54の周方向中央にあるばね板50が、回転子1の回転中心の真横(右)にあるように配置される。この中央にあるばね板50の両側(図2では上下)に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して反時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。このときの第4ばね板群54の各ばね板50は、横断面の長方形の上方が図2における右側で下方が左側にある状態で固定されている。
続いて、本実施形態の作用について説明する。
先ず、図3および図4に示すような質量Mと剛性Kからなる主系構造物81において、質量のx方向の振動の抑制を考える。
質量Mに対して、x方向から所定の傾斜角度φだけ傾いたζ方向に主軸を有する異方性断面(2つの主軸(ζ方向およびη方向)で断面2次モーメントが異なる断面)のはり構造部材を基礎100から取り付ける。ここで、基礎100は、静止状態が保持される部位である。図4では、基礎を省略している。傾斜したはり構造部材に対してx方向に荷重Fxが作用すると、図5に示すように、はり構造物の断面の2つの主軸方向、すなわちζ軸方向およびη軸方向に分力が生じる。このときの、ζ軸回りの断面2次モーメントIζと、η軸回り断面2次モーメントIηとの相違から、はり構造部材の図心は図5における点Oから点O’に移動する。このとき、x方向およびy方向に変位が生じる。本実施形態では、当該はり構造物は、ばね板50に相当する。
傾斜したはり構造部材のζ軸方向およびη軸方向の剛性をそれぞれkζおよびkηとすると、ζ軸方向およびη軸方向の変位ζおよび変位ηと、荷重Fζおよび荷重Fηとの間には次の式(4)が成り立つ。
Figure 2011250626
これを、x−y座標に座標変換すると、式(5)が得られる。
Figure 2011250626
式(5)の剛性行列では、連成項kxyが存在するので、x方向とy方向の間で相互に力が作用する。質量Mについて力のつり合いを考えると、式(6)が成り立つ。
Figure 2011250626
これは、図6に示す動吸振器85を取り付けた主系構造物81の運動方程式、すなわち式(7)に類似している。ここで、当該動吸振器85は主系構造物81に連結されるもので、質量mおよび剛性kで表される。主系構造物81は、基礎に連結される構造物で、質量Mおよび剛性Kで表されている。
Figure 2011250626
異方性断面を有するはり構造部材を、断面の主軸を構造物の振動方向から傾けて構造物に取り付けると、質量Mのy方向の慣性を用いる動吸振器85を形成することができる。この機構では、動吸振器85の錘、すなわち、図6に示す従系の質量mと同じものを新たに設けずに、主系となる構造物が内包する、すなわち構造物の質量Mが動吸振器85の質量mを兼ねている。これらの詳細は、後で説明する。
一般に、動吸振器85の質量mは構造物の質量Mより小さくして小型化を図っているが、式(6)では、構造物と同じ質量を有する。これは、動吸振器85の固有振動数が、構造物の固有振動数から乖離しても、振動抑制の効果があることを意味している。
本実施形態の固定子鉄心5は、回転子1が励起する回転磁力により、周方向に沿って回転子1の極数の2倍の数だけほぼ等間隔に振動の腹および節が交互にできるように半径方向に振幅が分布する第1固有円環振動モード(図2の点線L1)を有する。本実施形態の回転電機は2極であるため、図7に示すように、4つの節部(図中のb1、b2、b3、b4)および腹部(図中のa1、a2、a3、a4)を有している。この第1固有振動モードは4つの腹部および節部を有する定在波である。
また、この第1固有振動モードに共役なモードで、第1固有振動モードに対応する固有振動数とほぼ同じ固有振動数を有し第1固有振動モードの腹に相当する位置が節になり第1固有円環振動モードの節に相当する位置が腹になるように半径方向に振幅が分布する第2固有円環振動モードを有している。
上述したように第1〜第4ばね板群51〜54の各ばね板50は、固定子フレーム7に対して第1固有振動モードの腹部において固定子鉄心5を弾性的に支持している。各ばね板50の横断面の断面特性を上述した異方性断面として、且つ、この横断面を固定子鉄心5の半径方向に対して所定の傾斜角度φで傾けてある。これにより、固定子鉄心5および各ばね板50が、固定子鉄心5の半径方向と接線方向を連成させた動吸振器85を構成する。
ここで、図5に示すように、ばね板50の横断面の図心Oを原点として、固定子鉄心5の半径方向をx方向、接線方向をy方向とするO-xy座標軸を設ける。同様にO点を原点にばね板50の横断面の主軸に一致したO-ζη座標を設ける。力の平衡を考えると式(5)の関係が成り立つ。連成項kxyは、下記の式(8)のようになる。
Figure 2011250626
ここで、φ=π/2のとき最大となる。そこで、以下では、φ=π/2として考える。この場合、式(5)は、式(9)のように書き改められて、さらに、式(10)の関係が得られる。
Figure 2011250626
Figure 2011250626
一方、第1固有振動モードの振動応答の形態を考えると、図7に示すように、4つの節部および4つの腹部を有する定在波である。このときの変位は式(1)のように円周角に対する正弦波の分布をなす。周方向に隣接する節部と節部の間に着目すると、両端がピン等で単純支持された中心角が90度の両端支持曲がりはり91とみなすことができる。これを等価な1自由度系に置き換えると、式(11)のように表すことができる。
Figure 2011250626
式(11)で、kは固定子鉄心5の等価ばね定数で、mは両端支持曲がりはり91の分布質量を等価な集中質量に置き換えたものである。また、Fは電磁加振力である(図9)。
ここで、固定子鉄心5の質量をMとすると、mは、式(12)のように表すことができる。
Figure 2011250626
また、固定子鉄心5の接線方向(周方向接線の方向)の運動方程式は、図8から、式(13)のように表せる。
Figure 2011250626
ここで、Rは、固定子鉄心5の慣性半径であり、Rは、ばね板50の取付け半径である。簡単のため、R/R=2とする。
式(9)〜式(13)を式(6)に代入すると、式(14)が得られる。
Figure 2011250626
式(14)から、剛性行列にはばね板50の断面が異方性(kζ≠kη)であるので、非対角項に値が存在していることがわかる。よって、x方向とy方向との間で連成が生じることを意味し、式(7)と対比させると、質量M/8の構造物に対して、質量M/8の錘(質量m)を有する動吸振器85を取り付けたことと等価である。
動吸振器85としての固有振動数をkζおよびkηを調節して、加振振動数Ωに対して式(15)の関係が成り立たたせることによって、第1円環固有振動モードの電磁力に対する応答を低減することが可能になる。
Figure 2011250626
また、ばね板50の円周方向の取り付け位置は、第1円環固有振動モードについては腹部に相当している。これに対して、第1円環固有振動モードに共役なモード、すなわち第2円環固有振動モードにとっては節部に相当する。したがって、固定子鉄心5は共役モードの節部に相当する位置で支持されていることになる。
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、固定子鉄心5の半径方向の振動に対して、固定子鉄心5に内包される接線方向の質量を錘とした動吸振器85が形成される。このため、動吸振器85の錘としての新たな質量mを付加する必要がない。
このため、動吸振器85を設置して回転電機の振動を抑制させるために、大きな質量を新たに取り付けることなく、着目する第1固有振動モードの応答を低減させて、共役な円環振動モード応答のみにすることができる。
この共役モード(第2固有振動モード)による応答は、振動の節部を有する定在波である。各ばね板50の取付け位置は、当該第2固有振動モードの節部に相当しているので、固定子鉄心5は第2固有振動モードの節部で支持されていることになる。
これによって、電磁振動に起因する回転電機の振動を抑制することが可能になる。
[第2の実施形態]
本発明に係る回転電機の第2の実施形態について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る回転電機の概略横断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図9)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態の回転電機は、第1〜第4ばね板群51〜54を、第1の実施形態の周方向位置に対してそれぞれ反時計回りに45度にずらした位置に取り付けられている。
第1ばね板群51の周方向中央にあるばね板50は、図10における左上側で、回転子1の回転中心を通る鉛直軸に対して反時計周りの方向に45度傾いた軸上にあるように配置される。この中央にあるばね板50の周方向両側に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。
第3ばね板群53の周方向中央にあるばね板50は、図10における右下側で、回転子1の回転中心を通る鉛直軸に対して反時計周りの方向に45度傾いた軸上にあるように配置される。この中央にあるばね板50の周方向両側に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。
第2ばね板群52の周方向中央にあるばね板50は、図10における右上側で、回転子1の回転中心を通る水平軸に対して反時計周りの方向に45度傾いた軸上にあるように配置される。この中央にあるばね板50の周方向両側に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して反時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。
第2ばね板群52の周方向中央にあるばね板50は、図10における左下側で、回転子1の回転中心を通る水平軸に対して反時計周りの方向に45度傾いた軸上にあるように配置される。この中央にあるばね板50の周方向両側に2枚ずつばね板50が配置される。これら5枚のばね板50は、それぞれの図心を通る半径方向に対して反時計回りに所定の傾斜角度φだけ傾いた状態で固定されている。
本実施形態では、図10の点線L2で示される第2固有振動モード、すなわち、鉛直方向に対して45度傾いた方向に振動の腹部を有するモードに着目している。第1〜第4ばね板群51〜54それぞれは、固定子鉄心5の第2固有振動モードの腹部に相当する位置の半径方向外側に配置されている。
第2固有振動モードの腹部に相当する位置に、第1〜第4ばね板群51〜54を配置することによって、各ばね板50の横断面の各主軸(ζ方向軸、η方向軸)は、水平軸および垂直軸にそれぞれ平行になる。また、水平軸周りの断面2次モーメントが鉛直軸周りの断面2次モーメントに比べて大きくなるように構成される。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に効果を得ることができる。また、水平軸周りの断面2次モーメントを大きくすることができるため、固定子鉄心5の自重による静たわみを小さくすることが可能になる。このため、回転電機を製造するときの組み立てが容易になる。
[第3の実施形態]
本発明に係る回転電機の第3の実施形態について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態に係る回転電機の概略横断面図である。なお、本実施形態は、第2の実施形態(図10)の変形例であって、第2の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態は、第2の実施形態と同様に、第2固有振動モードの腹部に相当する位置に、第1〜第4ばね板群51〜54が配置されている。また、第1〜第4ばね板群51〜54の各ばね板50は、回転子1の回転中心を通る鉛直軸に対して45度傾いた45度軸に対して、全て45度傾いた状態で取り付けられている。すなわち、各ばね板50の横断面の長方形の長手方向が、全て鉛直になるように取り付けられている。
第1ばね板群51の中央にあるばね板50の両脇のばね板50は、両脇にあるばね板50の図心と回転中心とを通る半径方向軸に対する傾斜角度が、45度に対して若干ずれる。第2〜第4ばね板群52〜54についても同様である。このため上述した連成項の値が小さくなるが、固定子鉄心5の鉛直方向に対する静的な剛性が、第2の実施形態に比べて大きくすることが可能になる。
これにより、第2の実施形態に比べ、組み立て作業が容易になり、製作コストを抑制できる。
[第4の実施形態]
本発明に係る回転電機の第4の実施形態について、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態に係る回転電機の部分概略横断面図である。なお、図12では回転子1の図示は省略している。本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図9)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態の第1〜第4ばね板群51〜54それぞれの周方向中央にある各ばね板50は、第1の実施形態と同様に配置されている。各ばね板群51〜54の周方向中央にあるばね板50の両脇にあるばね板50は、それらの図心が第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20上からずれた位置にあるように取り付けられている。
第1ばね板群51の周方向中央のばね板50の周方向反時計周り側(図12における右側)にある2枚のばね板50は、その図心が、図12に仮想的に示す中立軸20よりも半径方向外側(上側)にあるように取り付けられている。第1ばね板群51の周方向中央のばね板50の図12における左側にある2枚のばね板50は、その図心が、中立軸20よりも半径方向内側(下側)にあるように取り付けられている。
第4ばね板群54の周方向中央のばね板50の図12における上側にある2枚のばね板50は、その図心が、中立軸20よりも半径方向内側(左側)にあるように取り付けられている。第4ばね板群54の周方向中央のばね板50の図12における下側にある2枚のばね板50は、その図心が、中立軸20よりも半径方向外側(右側)にあるように取り付けられている。
第2ばね板群52および第3ばね板群53の図示は省略するが、第1および第4ばね板群51、54と同様に取り付けられている。
固定子鉄心5の円環振動が生じたとき、第1および第2鉄心支持板21、22が曲がりはりとして弾性変形する。このとき中立軸20は、半径方向に変位が生じるだけで接線方向には変形しない。しかし、中立軸20の半径方向外側では、第1および第2鉄心支持板21、22は振動の腹の中央から時計周りに変形が生じる。また、中立軸20から内側では第1および第2鉄心支持板21、22は振動の腹の中央から反時計周りに変形が生じる。
本実施形態では、ばね板50等の接線方向の質量を、動吸振器85の錘として用いるので接線方向の振動が生じる。図12に示すように、回転子1の回転によって固定子鉄心5の半径方向に荷重Fが作用するとき、固定子鉄心5には半径方向および接線方向それぞれに変位Vおよび変位Vが生じる。
このとき、第1ばね板群51の図12にける最も左側にあるばね板50は、第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20より半径方向外側にあるので矢示するように反時計周りに変位uTAが生じる。一方、第1ばね板群51の中で図12における最も右側にあるばね板50は、第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20より内側に位置するので反時計周りに変位uTBが生じる。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に効果を得ることができる。また、本実施形態では、中立軸20からずれた位置に配置されたばね板50が、固定子鉄心5の半径方向変位によって生じる接線方向の変位に対して反対方向に変位が生じる。これにより、固定子鉄心5の接線方向の振動を低減できる。
[第5の実施形態]
本発明に係る回転電機の第5の実施形態について、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る回転電機の概略横断面図である。なお、図13では回転子1の図示は省略している。本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図9)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態の回転電機は、第1の実施形態で説明した第1〜第4ばね板群51〜54の各ばね板50の他に、4枚のねじり振動用ばね板、第1ねじり振動用ばね板61、第2ねじり振動用ばね板62、第3ねじり振動用ばね板63、第4ねじり振動用ばね板64、を有する。
第1ねじり振動用ばね板61は、第1ばね板群51および第2ばね板群52の周方向中央で、第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20よりも半径方向外側に配置される。第2ねじり振動用ばね板62は、第2ばね板群52および第3ばね板群53の周方向中央で、第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20よりも半径方向内側に配置される。
第3ねじり振動用ばね板63は、第3ばね板群53および第4ばね板群54の周方向中央で、第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20よりも半径方向外側に配置される。第4ねじり振動用ばね板64は、第4ばね板群54および第1ばね板群51の周方向中央で、第1および第2鉄心支持板21、22の中立軸20よりも半径方向内側に配置される。
これらの第1〜第4ねじり振動用ばね板61〜64は、固定子鉄心5の第1固有振動モードの節部に相当する位置の半径方向外側にそれぞれ配置される。また、これらの第1〜第4ねじり振動用ばね板61〜64の接線方向の剛性は、第1〜第4ばね板群51〜54の各ばね板50の接線方向の剛性よりも大きい。
固定子鉄心5が円環振動をしているとき、鉄心支え板の中立軸20から半径方向外側および内側のいずれかにずれた位置では、周方向(接線方向)に変位が生じる。この変位の大きさは、円環振動の節部で最大になる。第1〜第4ねじり振動用ばね板61〜64は、この位置において固定子鉄心5に対して当該変位の逆方向に変位が生じる。
固定子鉄心5の半径方向変位によって生じる接線方向の変位に対して、第1〜第4ねじり振動用ばね板61〜64の半径方向位置を中立軸20から半径方向外側または内側にずらすことによって反対方向の変位を生じさせる。これにより、固定子鉄心5の接線方向の振動を低減することができる。
[第6の実施形態]
本発明に係る回転電機の第6の実施形態について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係る回転電機の概略横断面図である。なお、図14では回転子1の図示は省略している。本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図9)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態のばね板50は、図14に示すように、ばね板50の傾斜方向は同じで、且つ周方向に互いに等間隔で配置されている。このため、固定子鉄心5の接線方向の加振(トルク励振)に対して、半径方向に節がない円環固有振動モードを励起する。節がない円環固有振動モードは、固定子鉄心5の半径が増減する形態、いわゆる呼吸モードである。
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加え、固定子鉄心5の接線方向振動(ねじり振動)を低減することができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
第1〜第6の実施形態では、ばね板50に直方形状の長板を用いているがこれに限らない。例えば、横断面が楕円状のばね棒を用いてもよい。
1…回転子、3…固定子、5…固定子鉄心、7…固定子フレーム、9…脚部、10…リブ棒、11…第1リブ棒押え板、12…第2リブ棒押え板、13…第3リブ棒押え板、14…第4リブ棒押え板、15…第5リブ棒押え板、16…第6リブ棒押え板、17…第7リブ棒押え板、20…中立軸、21…第1鉄心支持板、22…第2鉄心支持板、31…第1鉄心取付け板、32…第2鉄心取付け板、33…第3鉄心取付け板、50…ばね板、51…第1ばね板群、52…第2ばね板群、53…第3ばね板群、54…第4ばね板群、61…第1ねじり振動用ばね板、62…第2ねじり振動用ばね板、63…第3ねじり振動用ばね板、64…第4ねじり振動用ばね板、81…主系構造物、85…動吸振器、91…両端支持曲がりはり、100…基礎

Claims (6)

  1. 所定の軸周りを回転する回転軸を備えこの回転軸と共に回転する回転子と、
    略円板状の複数の鉄板が軸方向に積層されて前記回転子の外周を取り囲むように配置された略中空円筒状の固定子鉄心と、
    それぞれが前記固定子鉄心の外周面を囲むように取り付けられた穴あき円板状で、互いに軸方向間隔をあけて配置された複数の鉄心支持板と、
    前記鉄心支持板の半径方向外側に所定の半径方向間隔を保ちながら、前記鉄心取付け板を覆うように構成された固定子フレームと、
    それぞれが、前記固定子フレームの半径方向内側面に取り付けられて、前記固定子鉄心に所定の半径方向間隔を保ちながら前記固定子鉄心を半径方向外側から囲むように構成された穴あき円板状で、軸方向に互いに軸方向間隔をあけて配置されて、且つ、それぞれの軸方向位置が前記鉄心支持板の軸方向位置と異なるように配置された鉄心取付け板と、
    それぞれが、前記固定子鉄心の外周面に半径方向間隔を保ちながら前記鉄心支持板および鉄心取付け板を軸方向に貫通するように固定されて、周方向にほぼ90度ごとに少なくとも1つ配置されて、半径方向に弾性変形可能な複数のはり構造部材と、
    を有し、
    前記はり構造部材それぞれは、
    それぞれの前記はり構造部材の図心を通る半径方向に力が作用するときに、この半径方向に対して周方向に所定の傾斜角度を保つ第1方向と、この第1方向に垂直な第2方向とに、それぞれ分力が生じ、
    前記第1方向を第1軸とする第1断面二次モーメントと、前記第2方向を第2軸とする第2断面二次モーメントとが、互いに異なるように構成されていること、
    を特徴とする回転電機。
  2. 前記各はり構造部材それぞれの前記荷重半径方向および第1方向が、互いに45度をなすように構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記固定子鉄心は、前記はり構造部材が取り付けられていないときには、前記回転子が励起する回転磁力により、周方向に沿って前記回転子の極数の2倍の数だけほぼ等間隔に振動の腹および節が交互にできるように半径方向の振幅が周方向に分布する第1固有円環振動モードと、この第1固有振動モードに対応する固有振動数とほぼ同じ固有振動数を有し前記第1固有振動モードの腹に相当する位置が節になり前記第1固有円環振動モードの節に相当する位置が腹になるように半径方向の振幅が周方向に分布する第2固有円環振動モードと、を有し、
    前記はり構造部材を、前記第1固有振動モードの振動の各腹部それぞれに少なくとも1つ配置して、
    且つ、
    前記第1固有振動モードの各腹部は、振幅が半径方向外側にある外側腹部と、半径方向内側にある内側腹部と、を含み、
    前記外側腹部に配置された前記はり構造部材が、その図心を含む半径方向に対して時計回りに前記傾斜角度をなすように配置されて、
    前記内側腹部に配置された前記はり構造部材が、その図心を含む半径方向に対して反時計回りに前記傾斜角度をなすように配置したこと、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記回転軸は水平に配置されて、
    前記第1固有振動モードは鉛直方向に腹部を有し、且つ、前記第2固有振動モードは、鉛直方向にほぼ45度の方向に腹部を有するように構成されて、
    前記第2固有振動モードの腹部に相当する位置の半径方向外側に配置された前記はり構造物の前記第1軸および第2軸のうちどちらか一方が、鉛直方向になるように配置されていること、
    を特徴とする請求項3に記載の回転電機。
  5. 前記固定子鉄心の半径方向外側で、前記第1固有振動モードの各腹部それぞれに相当する位置には、はり構造部材群がそれぞれ配置されて、
    前記はり構造部材群それぞれは、
    前記腹部の最大振幅に相当する位置の半径方向外側に配置された中央はり構造部材と、
    前記中央はり構造部材の周方向の一方の側に配置された複数の第1隣接はり構造部材と、
    前記中央はり構造部材の周方向のもう一方の側に配置された複数の第2隣接はり構造部材と、
    を有し、
    前記鉄心支持板それぞれは、半径方向荷重に対して半径方向にのみ変形する中立軸を含み、
    前記各第1隣接はり構造部材それぞれの図心は、前記中立軸よりも半径方向外側にあるように配置されて、
    前記各第2隣接はり構造部材それぞれの図心は、前記中立軸よりも半径方向内側にあるように配置されていること、
    を特徴とする請求項3または請求項4に記載の回転電機。
  6. 前記第1固有振動モードの節部に相当する位置の半径方向外側に、前記はり構造部材よりも剛性の高い高剛性はり構造部材が配置されていること、
    を特徴とする請求項3または請求項4に記載の回転電機。
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