JPWO2020054552A1 - モータおよび電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータおよび電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

本開示のモータは、ステータ、ロータ、筒形状のハウジングおよび所定の固有振動数を有するニュートラライザアレイを備える。ニュートラライザアレイは、回転軸方向に配置された複数のニュートラライザを含む少なくとも1つのニュートラライザ群をする。ロータの回転に応じて、モータには所定の周波数の振動が発生し、モータの振動源からモータと装置との結合部までの系は、所定の固有振動数における結合部の振動を抑制する特性を備えた伝達関数を有する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、日本国特許庁に2018年9月14日に出願された特願2018−172748号に基づく優先権を主張するものであり、上記特許出願の全体を本願に援用する。
本開示は、電動モータが取り付けられた装置において発生する振動を低減する技術に関する。
自動車のパワーステアリングのアシスト機構の1つとして、電動パワーステアリングシステム(Electric power steering、以下EPSと称する場合がある)がある(例えば、特許文献1参照)。EPSを採用することにより、車両の軽量化および燃費向上を図ることができる。
しかしながら、このEPSの動力源である電動モータ(以下モータと称する場合がある)の起振力によって励起された波動が車体を伝播し、固体音となって自動車内の運転者の耳に騒音として聞こえる場合がある。例えば、低速走行時に大きくハンドル操作を行う場合、および駐車時に停車したままステアリング操作を行う場合に、そのような騒音が聞こえる頻度が増える傾向にある。
振動の解析方法として、例えば、非特許文献1は、2つの分系の振動の連成関係を解析する手法を提案している。
特開2007−314070号公報
城戸一郎、末岡淳男、"2つの分系が強く連成する振動系の解析法"、日本機械学会論文集(C編), Vol.71、 No.712 (2005)、 pp.3335−3342
上記のような騒音の対策を技術的に考えた場合、加振点インピーダンスの大小に影響するモータが取り付けられるステアリングユニットに対する対策、および実際に音響的な放射を生じている自動車のパネル部材に対する対策が有効と考えられる。
しかし、モータ・メーカの立場で騒音の対策を講じる場合、上記のような対策を講じることは困難である。モータ・メーカの研究により、騒音発生のメカニズムを解明でき、モータ以外の自社の担当範囲外の部材への対策が最も効率的と判断したとしても、モータ以外への対策を提案する事は困難である。
また、自動車の車体は、高モード密度の構造物であり、そのロバスト性の低さなどから、個々の車体で振動特性が大きく異なるが、自社のモータへの構造変更だけで、任意の車体に効果的な対策を求められるという難しさがある。さらに、モータはステアリングユニットに剛結合されるために、モータと自動車の車体は強連成の状態にあり、振動低減に適切な構造変更を効率的に検討することは一般に困難である。
モータに対策を施すことにより、様々な振動特性を有する任意の自動車に対して、その全系の振動・騒音を低減することが求められている。
本開示の例示的な電動パワーステアリング装置に取り付けられるモータは、ステータと、前記ステータに対して相対的に回転可能なロータと、前記ロータの回転軸方向に延びる筒形状を有し、前記ステータおよび前記ロータを内部に収納するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、所定の固有振動数を有するニュートラライザアレイと、を備え、前記ニュートラライザアレイは、前記回転軸方向に配置された複数のニュートラライザを含む少なくとも1つのニュートラライザ群を有し、前記ロータの回転に応じて、前記モータには所定の周波数の振動が発生し、前記モータの振動源から前記モータと前記電動パワーステアリング装置との結合部までの系は、前記所定の固有振動数における前記結合部の振動を抑制する特性を備えた伝達関数を有する。
本開示の実施形態によれば、モータに対策を施すことにより、モータが取り付けられる電動パワーステアリング装置の振動を低減させることができる。
図1は、例示的な実施形態に係るアクティブ・パートとパッシブ・パートの自由体図である。 図2は、例示的な実施形態に係るアクティブ・パートとパッシブ・パートの周波数応答関数を説明する図である。 図3は、例示的な実施形態に係るニュートラライザの概念を示す図である。 図4は、例示的な実施形態に係るシミュレーションに用いた系を示す図である。 図5は、例示的な実施形態に係るシミュレーションに用いた系を示す図である。 図6は、例示的な実施形態に係るビームの断面形状を示す図である。 図7は、例示的な実施形態に係る板ばねの断面形状を示す図である。 図8は、例示的な実施形態に係る “ノード:1”をx方向に加振した際の、“ノード:4”におけるx方向のコンプライアンスを示す図である。 図9は、例示的な実施形態に係るアクティブ・パートに装着したニュートラライザの縦波に対する反射係数を計算した結果を示す図である。 図10は、例示的な実施形態に係るアクティブ・パートに装着したニュートラライザの縦波に対する透過係数を計算した結果を示す図である。 図11は、例示的な実施形態に係る5個のニュートラライザアレイが設けられたモータを示す斜視図である。 図12は、例示的な実施形態に係るモータの断面図である。 図13Aは、径方向外側から見たときのニュートラライザアレイ40Aの構造を示す図である。 図13Bは、周方向から見たときの、一列に配置された複数のニュートラライザ50を有するニュートラライザ群41の側面を示す図である。 図13Cは、軸方向から見たときのニュートラライザ群41の上面を示す図である。 図14は、有限要素法による振動低減効果の解析結果を示すグラフである。 図15は、例示的な実施形態に係る電動パワーステアリング装置を模式的に示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の振動低減方法、モータ、ニュートラライザおよび電動パワーステアリング装置の実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
(実施形態1)
本実施形態では、モータから車両本体へ伝わる振動を低減させるために、ニュートラライザ(Neutralizer)を用いる。ニュートラライザは、騒音源となる振動(入力波)に対して、実質的な全反射によって位相が180度ずれた反射波を生成し、入力波に重畳する。これにより、振動を打ち消すことができる。
本実施形態では、モータから発生する振動(入力)が、車体における騒音(出力)として発生するまでの経路を、伝達関数を用いて表現する。まず、実施形態に係る伝達関数合成法に基づく振動低減方法を説明する。
上述したように、モータ・メーカの立場で騒音の対策を講じる場合、モータ以外の自社の担当範囲外の部材への対策を提案する事は困難である。本実施形態では、モータ・メーカとして変更できるモータをアクティブ・パート(Active Part)とし、モータ・メーカとして変更できない車両のモータ以外の部分をパッシブ・パート(Passive Part)として区別する。そして、アクティブ・パートおよびパッシブ・パートの2分系が剛結合されるという条件下で、アクティブ・パートのみに構造変更を加える事により、アクティブ・パートとパッシブ・パートから成る全系の振動を低減させる。本実施形態では、アクティブ・パートのみしか構造変更できないという制約の中で、ターゲット周波数における全系の振動を、任意のパッシブ・パートに対して悪化させることなく低減させる。
(伝達関数合成法に基づく振動低減方法)
モータを備える自動車を、モータとそれ以外の部分の2分系に分割し、振動的な連成関係を解析する。非特許文献1は、伝達関数合成法に基づき、カーネル動剛性行列を指標として2分系の振動的な連成関係を解析する手法を開示している。
図1は、本実施形態に係るアクティブ・パートとパッシブ・パートの自由体図である。全系での加振自由度と応答評価自由度を図1の左側にそれぞれ“1”と“4”で示している。図1の右側は、全系を2分系に分割した自由体図を示している。加振自由度はアクティブ・パート側(モータ)にあり、応答評価自由度はパッシブ・パート側(車体)にある。アクティブ・パート側とパッシブ・パート側の結合自由度をそれぞれ“2”、“3”で示している。この分割における伝達関数合成法の基礎式(1)は以下に示すとおりである。
Figure 2020054552
ここで、F は系に与える力である。X ABは、アクティブ・パートAにおける加振自由度1に力F を与えたときの、パッシブ・パートBにある応答評価自由度4の変位であり、周波数領域で表現している。Hはコンプライアンス(周波数応答関数)であり、下添字の左側の数字は応答側の自由度の番号を表し、右側の数字は加振側の自由度の番号を表している。右肩のA、Bは、分系A、Bに関係する量であることを示しており、ABとある場合は分系Aと分系Bからなる全系に関係する量であることを示している。例えば、H22 は、モータの自動車への取り付け部の加振点伝達関数である。H21 は、モータの振動源からモータと自動車との結合部までの伝達関数である。
次に、共振形成条件を説明する。式(1)のうちの(H22 +H33 −1は、カーネル(kernel)動剛性である。H22 +H33 は、カーネルコンプライアンス(kernel compliance)と呼ばれる。カーネル動剛性は、2分系の結合部の動剛性行列であり、全系の特性を含んでいる。カーネル動剛性は、物理的には、結合部の変位が結合部の内力である伝達力へ変換される際の増幅率と考えられる量である。この増幅率が無限大になるような場合に、全系が共振することがわかる。つまり、結合部の自由度をNとすると、一般的に、次式(2)の条件を満たす場合に全系が共振する。
Figure 2020054552
以下、このカーネルコンプライアンスの性質を利用して、上記の2分系中のアクティブ・パート側のみに振動対策を施す事により、全系の振動を低減できることを説明する。
図2は、アクティブ・パートとパッシブ・パートの周波数応答関数を示している。図2は、伝達関数の関係を実際のモータ(アクティブ・パート)と、自動車(パッシブ・パート)との関係として示している。モータ(アクティブ・パート)は、自動車(パッシブ・パート)と比較して非常に小さく、車体に比べて剛な構造である。そこで、モータの振動・騒音が問題となるような数百Hzの帯域においては、アクティブ・パートのコンプライアンスは剛体モードに支配されて振動モードは存在しない。このような場合、結合部が多自由度結合であっても、全系の共振に関与する伝達力の支配的な自由度は少数自由度となる。このため、1〜2自由度程度が支配的であるとして設計しても、共振対策は可能である。
そこで、ある1自由度の伝達力が支配的であるとした場合を考える。振動を低減したいターゲット周波数において、伝達力は1自由度が支配的であるとする場合に、全系応答を低減するためのアクティブ・パートの構造変更について検討する。加振自由度も応答評価自由度も1とするならば、式(1)はスカラーで表現でき、次式(3)となる。
Figure 2020054552
また、式(2)に対応する全系の共振条件は次式(4)となる。
Figure 2020054552
この共振条件が成り立つ周波数では、カーネルコンプライアンスの逆数であるカーネル動剛性が無限大となり、ばね定数が無限大の結合ばねに変位を与えたのと同じ状態となって、全系は共振する。
式(3)において、H33 およびH43 は、実際にはモータ以外の自動車の部分に該当する事から、モータ・メーカの立場では変更を施す事は困難である。変更を施す事ができるのは、H22 (モータの自動車への取り付け部の加振点伝達関数)と、H21 (モータの振動源から、モータと自動車との結合部までの伝達関数)である。
しかし、H33 の情報を得られない以上、モータ・メーカが式(4)の共振条件を完全に回避するのは困難である。如何にH22 を設計しようとも、H33 との相性により、ターゲット周波数において式(4)を満たすことになれば、大きな伝達力が発生して共振してしまうことになる。しかし、通常はパッシブ・パート側に減衰がある為、共振することはない。
一方、H21 はモータ・メーカが自在に設計できる。このことから、ターゲット角周波数をωとしたときに、H21 (ω)=0として、H21 (ω)F (ω)=0を実現することを考える。このとき、H43 が無限大の大きさにならず、式(4)の条件も満たされない限り、X AB(応答評価自由度4の変位)は0になることがわかる。ターゲット角周波数ωにおける式(3)は式(5)のようになる。
Figure 2020054552
この際、もしH43 が無限大の大きさとなる、もしくは式(4)の条件が成り立つ場合、式(5)は無限大と0の積となって、式(5)がどのような値になるかは簡単に推定できない。ただし、少なくとも、H21 (ω)F (ω)が大きな値を持つ場合よりも、H21 (ω)F (ω)=0の場合の方が、応答評価自由度を小さくできることになる。このように、本願発明者は、H21 (ω)の値を0に近づけることが、モータ・メーカが採れる効果的な振動低減方法であることを見出した。
(ニュートラライザ)
本実施形態では、モータの振動源からモータと車体との結合部までの系における伝達関数H21 (ω)が、ターゲット周波数において結合部の振動を抑制する特性を備えるように、モータにニュートラライザを設ける。
本実施形態によるニュートラライザは、複数のニュートラライザを含むアレイ構造を有する。本明細書において、「ニュートラライザ」は、ニュートラライザアレイに含まれる各々のニュートラライザまたはニュートラライザアレイを指す用語として用いられる。
アクティブ・パート(モータ)へのニュートラライザの設置により、アクティブ・パートを特定周波数で仮想接地する方法を説明する。仮想接地とは、周波数応答を0にすることを意味する。アクティブ・パートを特定周波数で仮想接地することにより、理論上、加振自由度と結合自由度の間の伝達を0にすることが可能となり、周波数応答関数H21 の値を特定周波数で0にできる。
本明細書では、ニュートラライザと動吸振器とを区別して説明する。波動の全反射器として1つの質点と1つのばねからなる1自由度振動系を対象構造に付加する場合に、この1自由度振動系をニュートラライザと呼ぶ。特定モードの振動を低減するために、1つの質点と1つのばねからなる1自由度振動系を用いる場合に、この1自由度振動系を動吸振器と呼ぶ。なお、本明細書におけるニュートラライザでは、質点およびバネのそれぞれは2つ以上であってもよい。
モータ内の振動源となる要素は、例えばロータ、ステータ、軸受等である。一般に、モータの振動源としては電磁加振力、軸受部の機械的な振動等があり、図2中の加振自由度1の位置を特定することは難しい。しかしながら、図2において、アクティブ・パート側とパッシブ・パート側の結合自由度よりも左側のアクティブ・パート側のどこかに加振自由度1があることだけは確かであり、以下、この加振自由度と結合自由度の間にニュートラライザを設置することとする。そして、このニュートラライザにより、加振自由度で生成されたターゲット周波数の波動を完全反射して、周波数応答関数の値を理論上0にする方法を説明する。
図3は、ニュートラライザ40の概念を示す図である。本実施形態では、モータ10から車体に垂直に入る縦方向の伝達力が支配的であるとして理論と数値例を示す。縦波とねじり波は同じ形の波動方程式で表現できるため、本実施形態の方法は、モータの回転軸まわりのねじりモーメントが支配的な伝達力となる場合にも同様に適用できる。また、本実施形態の方法は、曲げ波に関係する方向の伝達力が支配的な場合にも適用できる。
ニュートラライザ40を波動伝播にとっての不連続部と見た際の波動の反射特性および透過特性を説明する。反射特性および透過特性は、ニュートラライザ取付断面(図3中のx=0の位置)における変位の連続と力のつり合いを、変位および力と波動振幅との関係を用いて解くことで求まる。ニュートラライザ40の運動に伴ってばねがモータ10に与える力は、2自由度系の動吸振器と同じように計算できる。図3中に示したばね力の振幅Fとニュートラライザ取付自由度の変位振幅Uとの関係はモード等価剛性κを用いて式(6)で表せる。
Figure 2020054552
ここで、ニュートラライザ取付断面より左側の位置xにおける変位および内力をU(x)、F(x)とする。ニュートラライザ取付断面より右側の位置xにおける変位および内力をU(x)、F(x)とする。これらを波動振幅を用いて表すと式(7)から式(10)のように表される。
Figure 2020054552
ここで、位置xの左右で媒質は不変である。kはこの媒質の波数であり、Eはニュートラライザのヤング率であり、Sはニュートラライザのビーム(梁)の断面積であり、振動エネルギが伝達される通り道の断面積に該当する。位置xの左側での前進波と後退波の振幅をそれぞれa、bとし、位置xの右側での前進波と後退波の振幅をそれぞれa、bとした。このとき、ニュートラライザ取付断面(位置x=0)における変位の連続と力のつり合いは、式(11)および式(12)のように表せる。
Figure 2020054552
これらの式(11)および式(12)に、式(6)から式(10)を導入して、波動振幅の関係を式(13)に示す散乱行列の形に整理する。
Figure 2020054552
これにより、ニュートラライザ取付断面における縦波の反射係数および透過係数は、モード等価剛性κを用いて式(14)および式(15)のように表される。
Figure 2020054552
ここで、Ω=ω/ωである。ωは調和加振力の角振動数であり、ωはニュートラライザ単体を地面に固定した際の固有角振動数である。Ωはωとωとの比である。
反射係数rLRおよびrRLは、前進波(+x方向)と跳ね返った波(後退波(−x方向))の振幅比“b/a”および“b/a”である。透過係数tLRおよびtRLは、x=0を基準としたプラス側とマイナス側において同じ方向を進む波同士の振幅比“a/a”および“b/b”である。
全反射となる条件は、透過係数=0、すなわち式(15)の右辺の分子が0になることである。すなわち、全反射となる条件はω=ωであり、ニュートラライザ単体を地面に固定した際の固有振動数と調和加振力の振動数とが同じになる場合である。このとき、(1−Ω)=0を式(14)に代入すると、反射係数rLR=rRL=−1となり、仮想的な接地、つまり伝播波動にとっての固定端と同じ状況になる。すなわち、固定端において全反射が行われ、位相が180度ずれた波が反射していくこととなる。
このように、特定の周波数の波動を完全反射する装置が、アクティブ・パートの加振自由度1と結合部自由度2の間に設置されると、加振によって生成された波動が結合部自由度2までたどり着けず、波動の重畳で形成される2点間の周波数応答関数H21 は、この周波数で理論上0になる。周波数応答関数H21 はモータ・メーカで自在に設定でき、所望の周波数でH21 の値を低減させることができる。
また、上記の方法において、ニュートラライザの設置位置は、加振自由度1と結合部自由度2の間であればよい。このため、モータを様々なシステムの限られたスペースに設置しなければならないモータ・メーカにとって、本実施形態の方法は非常に有用である。
(有限要素法によるシミュレーション)
ニュートラライザをモータに設けることにより、式(5)に示す応答評価自由度4の変位X AB(ω)を低減できることをシミュレーションにより検証した。
シミュレーションの対象は、ビーム(梁)構造の縦波(縦振動)とする。実際にはモータが生ずる振動が車両に伝達し、その振動が自動車内のパネル部材等に伝達し、そこで音響放射を生ずる事となるが、ここでは音響放射は考慮しない。
図4および図5は、シミュレーションに用いた系を示している。アクティブ・パートは、自動車のEPSに取り付けられるモータを模している。パッシブ・パートは、自動車のモータ以外の部位を模している。
ビームの断面形状は、図6に示すように一辺が0.01mの正方形とする。ビームのアクティブ・パートの長さを0.05m、パッシブ・パートの長さを1.0mとする。アクティブ・パートにはニュートラライザを設置した。
図4および図5に示す系の振動は、有限要素解析で求めた。有限要素モデルの設定にあたり、アクティブ・パートは、アルミニウム材であるとし、密度2680kg/m3、ヤング率7.60×1010Pa、ポアソン比0.33とした。アクティブ・パート単体の質量は0.0134kgとした。パッシブ・パートは、軟鋼材であるとし、密度7930kg/m3、ヤング率1.97×1011Pa、ポアソン比0.30とした。パッシブ・パートの単体の質量は0.793kgとした。
加振自由度は、図4に“ノード:1”と記された位置のxの正方向に与えた。応答評価自由度は、図4に“ノード:4”と記された位置のxの正方向とした。H21 (ω)=0とするために、アクティブ・パートの“ノード:2”の位置にニュートラライザを設置した。ニュートラライザは例えばバネ−マス系の構造を有する。ニュートラライザとして、ビームを挟んで対称にx方向に変形する2枚の板ばねを設置し、それら板ばねの先端のそれぞれに集中質量を結合している。2枚の板ばねのそれぞれは、図7に示すような厚さ0.002m、幅0.01mのりん青銅板であるとした。りん青銅の材料特性として、密度8800kg/m3、ヤング率1.10×1011Pa、ポアソン比0.33とした。2枚の板ばねの先端の集中質量は、2個ともに0.467gとした。ニュートラライザの質量はそれぞれ2.23gである。ニュートラライザの固有振動数は、モータが取り付けられるEPSにおいて低減させる振動の周波数(ターゲット周波数)と同じとする。例えば、ニュートラライザの固有振動数は、EPSが備えるステアリングシャフトの固有振動数と同じとする。ステアリングシャフトの固有振動数は、ここでは2450Hzとした。
図8は、“ノード:1”をx方向に加振した際の、“ノード:4”におけるx方向のコンプライアンスを示している。横軸は周波数を表し、縦軸は位相およびマグニチュードを表している。破線はニュートラライザ未装着時のコンプライアンスを示しており、実線はニュートラライザ装着時のコンプライアンスを示している。ニュートラライザ未装着時と比較して、ニュートラライザ装着時では、ターゲット周波数である2450Hzにおいて、コンプライアンスの値は大きく低減されていることが分かる。
図9は、アクティブ・パートに装着したニュートラライザの縦波に対する反射係数を、式(14)に従って計算した結果を示している。図10は、アクティブ・パートに装着したニュートラライザの縦波に対する透過係数を、式(15)に従って計算した結果を示している。図9および図10の横軸は周波数を表し、縦軸は位相およびマグニチュードを表している。
ターゲット周波数2450Hzにおける反射係数は1、透過係数は0となっており、アクティブ・パートに装着したニュートラライザにより2450Hzの波動は、加振自由度から結合自由度に伝播する途中で遮断されていることがわかる(仮想接地)。すなわち、理論上、ターゲット周波数2450HzにおいてH21 =0となっている。
このように、ニュートラライザをモータに設けることにより、モータとEPSとの結合部におけるターゲット周波数の振動を低減することができる。これにより、車内(応答評価自由度4)におけるターゲット周波数の振動を低減することができる。
ある一態様において、モータは、1つまたはそれ以上のニュートラライザアレイをハウジングの外側面に備える。
図11から図13Cを参照して、モータ10に取り付けられるニュートラライザアレイ40Aの具体的な構造例を説明する。図11は、複数のニュートラライザアレイ40Aを取り付けたモータ10を示す斜視図である。図12は、モータ10の断面図である。モータ10の内部を分かり易く説明するために、図12ではニュートラライザアレイ40Aの図示は省略している。
本明細書では、モータ10の中心軸J1と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。モータ10の中心軸J1に直交する方向を「径方向」と呼ぶ。モータ10の中心軸J1を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」と呼ぶ。また、この例では、便宜上、軸方向を上下方向として、各部材の形状および位置関係を説明する。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下を定義したものであって、モータ10の使用時の向きを限定するものではない。
本願発明者の知見によれば、EPS用のモータ10に起因する自動車等の車体内の振動および騒音は、モータ10における回転方向の振動とトルクリップルに相関がある。そこで、本実施形態では、モータ10の回転方向の振動を抑制することにより、車体内の振動および騒音を抑制する。
本開示のモータは、ハウジングの周方向に配置された少なくとも1つのニュートラライザアレイを備える。ニュートラライザアレイは、回転軸方向に配置された2つ以上のニュートラライザを含む少なくとも1つのニュートラライザ群を有する。例えば、複数のニュートラライザアレイは、ハウジングの周方向に等間隔に配置され得る。
本実施形態におけるモータ10は、いわゆるインナーロータ型のモータである。モータ10は、ステータ11と、ロータ20と、ハウジング30と、複数のニュートラライザアレイ40Aとを有する。図11に、5個のニュートラライザアレイ40Aを備えるモータ10を例示する。なお、ニュートラライザアレイ40Aの数は特にそれに限定されない。
ハウジング30は、軸方向に延びる筒状の部材である。ハウジング30は、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)やSUSなどの金属材料を有する。ハウジング30は、その内部にロータ20とステータ11とを収容する。ハウジング30は、筒部36と、底部34と、蓋部32とを有する。筒部36は、軸方向に延びる筒状の部材である。底部34は、筒部36の軸方向下側に配置され、筒部36の軸方向下側の開口を覆う。底部34には、下側ベアリング37が取り付けられる。底部34の外側面には、径方向外側に向かって延びる複数の底部フランジ部342が配置される。底部フランジ部342には、軸方向に貫通する少なくとも1つの底部貫通孔344が形成される。
蓋部32は、筒部36の軸方向上側に配置され、筒部36の軸方向上側の開口を覆う。蓋部32には、上側ベアリング38が取り付けられる。上側ベアリング38および下側ベアリング37は、ロータ20を回転可能に支持する。蓋部32の外側面には、径方向外側に向かって延びる複数の蓋部フランジ部322が設けられる。蓋部フランジ部322には、軸方向に貫通する少なくとも1つの蓋部貫通孔324が形成される。なお、底部34または蓋部32のいずれか一方は、筒部36と一体に形成されてもよい。
ステータ11は、ステータコア12、インシュレータ13、コイル14を備える。ステータコア12は、例えば、複数枚の電磁鋼板が軸方向に積層された積層鉄心である。ステータコア12は、圧分磁心などを備えていてもよい。ステータコア12は、環状のコアバックと、複数のティースとを有する。複数のティースは、コアバックから径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置される。インシュレータ13は、ステータコア12の表面を被覆する絶縁体である。
ロータ20は、ステータ11の径方向内側に配置され、ティースと径方向に対向する。ロータ20は、シャフト21、ヨーク22、ロータマグネット23、カバー部材24を備える。シャフト21は、中心軸J1を中心として軸方向に延びる。シャフト21は、中実であってもよいし、中空であってもよい。ヨーク22は、略円筒状であり、シャフト21に固定される。ヨーク22は、例えば薄板状の磁性鋼板が積層されて形成される。ロータマグネット23は、ステータ11の内側に配置され、ヨーク22の外側面に例えば接着剤により固定される。カバー部材24は、ロータマグネット23の外側を覆う。
図13Aは、径方向外側(図中のY方向)から見たときのニュートラライザアレイ40Aの構造を示している。図13Bは、周方向(図中のX方向)から見たときの、一列に配置された複数のニュートラライザ50を有するニュートラライザ群41の側面を示している。図13Cは、軸方向(図中のZ方向)から見たときのニュートラライザ群41の上面を示している。
モータ10は、5個のニュートラライザアレイ40Aを備える。各々のニュートラライザアレイ40Aは、ハウジング30の周方向に隣接して配列された複数のニュートラライザ群41を有する。本実施形態では、ニュートラライザアレイ40Aは、ハウジング30の周方向に隣接して配列された2つのニュートラライザ群41を有する。ただし、本開示はこれに限定されず、例えば、ニュートラライザアレイ40Aは、ハウジング30の周方向に隣接して配列された3つまたは4つのニュートラライザ群41を有し得る。または、ニュートラライザアレイ40Aは、単一のニュートラライザ群41を有し得る。
例えば、図13Aに示すニュートラライザアレイ40AのZ方向の長さは、40mmであり、X方向の幅は、8.0mmである。
各々のニュートラライザ群41は、軸方向に一列に配置された7個のニュートラライザ50を有する。例えば、7個のニュートラライザ50は、軸方向に等間隔に配置される。それらは、軸方向に所定の距離を隔てて配置されることが好ましい。例えば、所定の距離は、数個分のニュートラライザ50の配置スペースに相当する。ニュートラライザ50の数は7個に限定されず、例えば8個以上または6個以下であっても構わない。
各々のニュートラライザ50は、弾性部材51およびマス52を有する。弾性部材51は、ハウジング30に直接的または間接的に固定される。弾性部材51は、周方向(図中のX方向)に振動可能にマス52を支持する、プレート53に設けられた土台である。弾性部材51は、例えば、三角柱状の土台であり、例えば、ばねから形成される。プレート53の厚さは、例えば0.5mm程度である。プレート53は必須ではなく、弾性部材51はハウジング30の外側面に一体的に形成され得る。
マス52は、例えば球状のおもりである。マス52は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、もしくは鉄合金などの金属材料または樹脂材料から形成される。マス52は、弾性部材51との接続部を起点としてハウジング30の周方向に振動可能である。隣接する2つのニュートラライザ50をニュートラライザの例えば2つ分のスペースを空けて配置するとよい。これにより、振動時に、2つのニュートラライザ50の互いの衝突を防止することができる。
ニュートラライザ50において、球状のマス52のZ方向の長さaおよびY方向の高さbは、例えば5mmである。例えば、三角柱状の弾性部材51のY方向の高さcは、2mmであり、Z方向の長さdは、2mmであり、X方向の幅eは、0.5mmである。
ニュートラライザ50は、図示する形状に限られず、周波数・材料に基づく種々のバリエーションの形状を有し得る。
ニュートラライザアレイ40Aは、1種類以上の固有振動数を有し得る。例えば、ニュートラライザアレイ40Aに含まれる各々のニュートラライザ50は、同じ固有振動数を有する。その場合、ニュートラライザアレイ40Aは、1種類の固有振動数を有することとなる。各々のニュートラライザ50は、同一の形状、大きさ、材料物性および剛性などを有する。周方向に振動するモードを有するよう、ニュートラライザ50の固有振動数は調整される。ニュートラライザアレイ40Aの固有振動数は、個々のニュートラライザ50の固有振動数に一致する。
ある一態様において、ニュートラライザ群41における複数のニュートラライザ50は、固有振動数が異なる少なくとも2種類のニュートラライザを有し得る。その場合、ニュートラライザアレイ40Aは、2種類以上の固有振動数を有することとなる。少なくとも2種類のニュートラライザの形状、大きさ、材料物性および剛性の少なくとも1つは互いに異なる。
複数のニュートラライザ50を配置するハウジング30の製造方法として、例えば、樹脂材料を用いたいわゆる3Dプリンタなどによる積層造形法などが挙げられる。この方法によれば、ニュートラライザ50の形状の制限が払拭され、その結果、それらをより小型化することが可能となる。当然に、切削加工または鋳造などの他の加工方法を用いて、そのハウジング30を製造することは可能である。
例えば、複数のニュートラライザ50を予めハウジング30に形成しておく。その後、調整したい周波数帯域に応じて、複数のニュートラライザ50の中から必要なニュートラライザだけを残し、それ以外を取り除くようにしてもよい。または、弾性部材51、マス52の質量および弾性定数(例えばばね定数)を、調整した周波数帯域に応じて決定し、複数のニュートラライザ50の中から必要なニュートラライザだけを残し、それ以外を取り除くようにしてもよい。
例えば、1つのニュートラライザ50をハウジング30に設けることにより、モータ10の振動の周方向、つまり回転方向の成分を全反射で打ち消すことができる。しかし、実際には、モータ10の振動は、回転方向だけでなく軸方向の成分も有しており、その成分は、ハウジング30を螺旋状に伝わることとなる。
本実施形態によれば、軸方向に配置された複数のニュートラライザ50を含む少なくとも1つのニュートラライザアレイ40Aがハウジング30に設けられる。そのため、軸方向の所定の位置に配置された1つのニュートラライザだけでは打ち消すことができなかった振動が、軸方向に伝わったとしても、ニュートラライザ群またはアレイの全体によって、当該振動を打ち消すまたは減衰させることが可能となる。
複数のニュートラライザアレイ40Aをハウジング30に設けることにより、螺旋状に伝わる軸方向の振動成分を徐々に打ち消しまたは低減させることが可能となる。この観点から、より多くのニュートラライザ50をハウジング30に一様に配置することが望ましいと言える。例えば、より多くのニュートラライザアレイ40Aを、ハウジング30の周方向に等間隔に配置すればよい。ニュートラライザ50の数が多いほど、特定の周波数における振動加速度振幅を小さくすることができる。
さらに、ニュートラライザアレイ40Aの中のそれぞれのニュートラライザ50に異なるターゲット周波数を与えることにより、幅広いターゲット周波数帯域をカバーするニュートラライザアレイ40Aが得られる。
ニュートラライザ50またはニュートラライザアレイ40Aの1種類以上の固有振動数は、モータ10が取り付けられる車体において低減させる振動の周波数(ターゲット周波数)と同じ周波数に設定する。ターゲット周波数は、打ち消したい振動の周波数帯域内に複数存在し得る。例えば、ターゲット周波数が、A、BおよびCの3種類である場合、ニュートラライザアレイ40Aは、ターゲット周波数A、BおよびCに応じた3種類の固有振動数を有する。モータの振動源からモータと装置との結合部までの系は、結合部の振動を抑制する特性を備えた、ターゲット周波数A、BおよびCに基づく3種類の伝達関数を有する。
例えば、ニュートラライザ50またはニュートラライザアレイ40Aの1種類以上の固有振動数は、EPSのステアリングシャフトの固有振動数と同じ振動数に設定される。これにより、モータ10とEPSとの結合部におけるターゲット周波数の振動が低減され、その結果、車内におけるターゲット周波数の振動を低減することができる。この場合においても、ターゲット周波数は、1種類に限定されず、複数の種類をカバーする幅広い周波数帯域であり得る。
本実施形態によれば。モータ10から発生した周方向の振動は複数のニュートラライザ50へと伝わり低減される。これにより、モータ10(すなわちハウジング30)における回転方向および軸方向の振動が抑制され、その結果、自動車の運転手等へ伝わる騒音を抑制することができる。
(実施例)
本願発明者は、ニュートラライザ50の使用数に応じた振動低減効果を有限要素法を用いて解析した。具体的には、本願発明者は、140個のニュートラライザ(すなわち、10個のニュートラライザアレイ)を備えるモータ(不図示)、および、図11に示す70個のニュートラライザ(すなわち、5個のニュートラライザアレイ)を備えるモータの振動低減効果を解析した。
以下、有限要素法による解析条件を記載する。使用ツール:ANSYS Workbench;解析方法:周波数応答解析(フル解析);解析範囲0〜1800〔Hz〕;分解能:180;荷重方法:モータハウジングの外周にz軸(明細書中の回転軸に相当)を軸とした1〔N・m〕のモーメントを与える;応答点:モータハウジングの外周におけるある節点の回転方向;モータハウジングの質量/節点/要素:1392〔g〕/14263/7126;モータハウジングの材料物性:密度(7900〔kg/m3〕)、ヤング率(2.09E+11〔Pa〕)、ポアソン比(0.3)。
ニュートラライザアレイ40A、弾性部材51およびマス52を有するニュートラライザ50およびプレート53の、図13Aから図13Cに示すX、YおよびZ方向における各寸法は、実施形態の説明で例示した寸法と同じ値に設定した。
解析では、ニュートラライザ50の弾性部材51およびマス52の材料を樹脂材料とした。ニュートラライザ50の材料:Vero White RDG835(Stratasys社);密度:1174〔kg/m3〕;ヤング率:2700〔MPa〕;ポアソン比:0.35;1個当たりの質量:0.083〔g〕。プレート53の材料:Vero White RDG835(Stratasys社);密度:1174〔kg/m3〕;ヤング率:2700〔MPa〕;ポアソン比:0.35;1個当たりの質量:0.21〔g〕。
ニュートラライザアレイ40Aのプレート53は、モータハウジングにボンド接続で固定した。ここで、「ボンド」とは、面または辺の間では滑り・分離は起きない状態を表す。ボンド接続の領域は接着した状態であると考えてよい。有限要素法による解析では、70個のニュートラライザを備えるモータに対するターゲット周波数を665〔Hz〕とし、140個のニュートラライザを備えるモータに対するターゲット周波数を670〔Hz〕とした。
図14は、有限要素法による振動低減効果の解析結果を示している。
グラフの縦軸は、モータ回転方向の振動加速度振幅〔m/s2〕であり、横軸は、周波数[Hz]である。グラフには、ニュートラライザ50を設けていないモータ単体の解析結果を比較例として破線で示している。解析結果に示されるように、140個のニュートラライザを備えるモータの方が、70個のニュートラライザを備えるモータよりも、ターゲット周波数:670〔Hz〕において高い振動低減を得られることが分かった。この結果から、ニュートラライザの数が多いほど、特定の周波数における振動加速度振幅を小さくできることが理解される。
以上、例示的な実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。
モータ10は、例えば自動車に搭載され、EPSの駆動力を発生させるために使用される。ただし、モータ10は、他の既知の用途に使用されるものであってもよい。例えば、モータ10は、自動車の他の部位、例えばエンジン冷却用ファンの駆動源として使用されるものであってもよい。また、モータ10は、家電製品、OA機器、医療機器等に搭載され、各種の駆動力を発生させるものであってもよい。
本開示のニュートラライザアレイは、モータ以外の、振動源を有し得るあらゆる装置、例えば発電機に取り付けることが可能である。モータと同様に、ターゲット周波数における振動を低減できることが期待される。
(実施形態2)
次に、EPSの一例を説明する。EPSは、運転者がステアリングハンドルを操作することによって発生するステアリング系の操舵トルクを補助するための補助トルクを生成する。補助トルクは、補助トルク機構によって生成され、運転者の操作の負担を軽減することができる。例えば、補助トルク機構は、操舵トルクセンサ、ECU(Electronic Control Unit)、モータおよび減速機構などを備える。操舵トルクセンサは、ステアリング系における操舵トルクを検出する。ECUは、操舵トルクセンサの検出信号に基づいて駆動信号を生成する。モータ10は、駆動信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを生成し、減速機構を介してステアリング系に補助トルクを伝達する。
モータ10は、EPSに好適に利用される。図15は、本実施形態による電動パワーステアリング装置(EPS)500の典型的な構成を模式的に示している。EPS500は、ステアリング系520および補助トルク機構540を備える。
ステアリング系520は、例えば、ステアリングハンドル521、ステアリングシャフト522(「ステアリングコラム」とも称される。)、自在軸継手523A、523B、回転軸524(「ピニオン軸」または「入力軸」とも称される。)、ラックアンドピニオン機構525、ラック軸526、左右のボールジョイント552A、552B、タイロッド527A、527B、ナックル528A、528B、および左右の操舵車輪(例えば左右の前輪)529A、529Bを備える。ステアリングハンドル521は、ステアリングシャフト522と自在軸継手523A、523Bとを介して回転軸524に連結される。回転軸524にはラックアンドピニオン機構525を介してラック軸526が連結される。ラックアンドピニオン機構525は、回転軸524に設けられたピニオン531と、ラック軸526に設けられたラック532とを有する。ラック軸526の右端には、ボールジョイント552A、タイロッド527Aおよびナックル528Aをこの順番で介して右の操舵車輪529Aが連結される。右側と同様に、ラック軸526の左端には、ボールジョイント552B、タイロッド527Bおよびナックル528Bをこの順番で介して左の操舵車輪529Bが連結される。ここで、右側および左側は、座席に座った運転者から見た右側および左側にそれぞれ一致する。
ステアリング系520によれば、運転者がステアリングハンドル521を操作することによって操舵トルクが発生し、ラックアンドピニオン機構525を介して左右の操舵車輪529A、529Bに伝わる。これにより、運転者は左右の操舵車輪529A、529Bを操作することができる。
補助トルク機構540は、例えば、操舵トルクセンサ541、ECU542、モータ543、減速機構544および電力変換装置545を備える。補助トルク機構540は、ステアリングハンドル521から左右の操舵車輪529A、529Bに至るステアリング系520に補助トルクを与える。なお、補助トルクは「付加トルク」と称されることがある。
モータ543として、上述したニュートラライザ40が設けられたモータ10を用いることができる。
操舵トルクセンサ541は、ステアリングハンドル521によって付与されたステアリング系520の操舵トルクを検出する。ECU542は、操舵トルクセンサ541からの検出信号(以下、「トルク信号」と表記する。)に基づいてモータ543を駆動するための駆動信号を生成する。モータ543は、操舵トルクに応じた補助トルクを駆動信号に基づいて発生する。補助トルクは、減速機構544を介してステアリング系520の回転軸524に伝達される。減速機構544は、例えばウォームギヤ機構である。補助トルクはさらに、回転軸524からラックアンドピニオン機構525に伝達される。
EPS500は、補助トルクがステアリング系520に付与される箇所によって、ピニオンアシスト型、ラックアシスト型、およびコラムアシスト型等に分類することができる。図15には、ピニオンアシスト型の電動パワーステアリング装置500を例示している。ただし、電動パワーステアリング装置500は、ラックアシスト型、コラムアシスト型等であってもよい。
ECU542には、トルク信号だけでなく、例えば車速信号も入力され得る。外部機器560は例えば車速センサである。または、外部機器560は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車内ネットワークで通信可能な他のECUであってもよい。ECU542のマイクロコントローラは、トルク信号や車速信号などに基づいてモータ543をベクトル制御またはPWM制御することができる。
ECU542は、少なくともトルク信号に基づいて目標電流値を設定する。ECU542は、車速センサによって検出された車速信号を考慮し、さらに角度センサによって検出されたロータの回転信号を考慮して、目標電流値を設定することが好ましい。ECU542は、電流センサ(不図示)によって検出された実電流値が目標電流値に一致するように、モータ543の駆動信号、つまり、駆動電流を制御することができる。
EPS500によれば、運転者の操舵トルクにモータ543の補助トルクを加えた複合トルクを利用してラック軸526によって左右の操舵車輪529A、529Bを操作することができる。特に、モータ543として、ニュートラライザ40が設けられたモータ10を用いることにより、モータとEPSとの結合部(例えば、モータ543と減速機構544との結合部)におけるターゲット周波数の振動を低減することができる。これにより、車内における騒音を低減することができる。
本開示の実施形態は、電動パワーステアリング装置、掃除機、ドライヤ、シーリングファン、洗濯機、冷蔵庫などの、各種モータを備える多様な機器に幅広く利用され得る。
10 モータ、11 ステータ、12 ステータコア、13 インシュレータ、14 コイル、20 ロータ、21 シャフト、22 ヨーク、23 ロータマグネット、24 カバー部材、30 ハウジング、32 蓋部、34 底部、36 筒部、37 下側ベアリング、38 上側ベアリング、40 ニュートラライザアレイ、41 ニュートラライザ群、50 ニュートラライザ、500 電動パワーステアリング装置

Claims (18)

  1. 電動パワーステアリング装置に取り付けられるモータであって、
    ステータと、
    前記ステータに対して相対的に回転可能なロータと、
    前記ロータの回転軸方向に延びる筒形状を有し、前記ステータおよび前記ロータを内部に収納するハウジングと、
    前記ハウジングに設けられ、1種類以上の固有振動数を有するニュートラライザアレイと、
    を備え、
    前記ニュートラライザアレイは、前記回転軸方向に配置された複数のニュートラライザを含む少なくとも1つのニュートラライザ群を有し、
    前記ロータの回転に応じて、前記モータには所定の周波数の振動が発生し、
    前記モータの振動源から前記モータと前記電動パワーステアリング装置との結合部までの系は、前記1種類以上の固有振動数における前記結合部の振動を抑制する特性を備えた伝達関数を有する、モータ。
  2. 前記ニュートラライザアレイにおいて、前記少なくとも1つのニュートラライザ群は、前記ハウジングの周方向に隣接して配列された複数のニュートラライザ群である、請求項1に記載のモータ。
  3. 前記ニュートラライザアレイは、前記ハウジングの周方向に複数配置されている、請求項2に記載のモータ。
  4. 複数のニュートラライザアレイは、前記ハウジングの周方向に等間隔に配置されている、請求項3に記載のモータ。
  5. 前記少なくとも1つのニュートラライザ群における前記複数のニュートラライザは、前記回転軸方向に等間隔に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
  6. 前記少なくとも1つのニュートラライザ群における前記複数のニュートラライザは、前記回転軸方向に所定の距離を隔てて配置されている、請求項1から5のいずれかに記載のモータ。
  7. 前記ニュートラライザアレイに含まれる各々のニュートラライザは、同じ固有振動数を有する、請求項1から6のいずれかに記載のモータ。
  8. 前記少なくとも1つのニュートラライザ群における前記複数のニュートラライザは、固有振動数が異なる少なくとも2種類のニュートラライザを有する、請求項1に記載のモータ。
  9. 前記少なくとも2種類のニュートラライザの各々の形状、大きさ、材料物性および剛性の少なくとも1つは互いに異なる、請求項8に記載のモータ。
  10. 前記複数のニュートラライザの各々は、
    マスと
    前記ハウジングに直接的または間接的に固定され、前記マスを支持する弾性部材と、
    を有し、
    前記マスは、前記弾性部材との接続部を起点として前記ハウジングの周方向に振動可能である、請求項1から9のいずれかに記載のモータ。
  11. 前記マスは球状である、請求項10に記載のモータ。
  12. 前記ニュートラライザアレイの前記1種類以上の固有振動数は、前記モータが取り付けられる電動パワーステアリング装置において低減させる振動の周波数と同じである、請求項1から11のいずれかに記載のモータ。
  13. 前記ニュートラライザアレイは、前記電動パワーステアリング装置において低減させる振動と同じ周波数の波動の、前記振動源から前記結合部への伝搬を抑制する、請求項12に記載のモータ。
  14. 前記ニュートラライザアレイは、前記電動パワーステアリング装置において低減させる振動と同じ周波数の波動を反射させる、請求項12または13に記載のモータ。
  15. 前記ニュートラライザアレイの前記1種類以上の固有振動数は、前記電動パワーステアリング装置において低減させる振動の周波数と同じである、請求項12から14のいずれかに記載のモータ。
  16. 前記ニュートラライザアレイの前記1種類以上の固有振動数は、前記電動パワーステアリング装置が備えるステアリングシャフトの固有振動数と同じである、請求項15に記載のモータ。
  17. 前記モータの振動源から前記結合部までの系は、前記1種類以上の固有振動数において前記結合部の振動を実質的にゼロにする特性を備えた伝達関数を有する、請求項1から16のいずれかに記載のモータ。
  18. 請求項1から17のいずれかに記載のモータを備えた電動パワーステアリング装置。
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