JP4242221B2 - モータ用駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の動力伝達装置に用いられるモータ用駆動装置に関し、特に詳細には電気自動車に用いられる車両駆動用モータの振動が伝播することによりハウジングから発生する放射音を低減したモータ用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車における駆動音を低減する方法として、原動機である車両駆動用モータ(以下、「電動モータ」と称す)の防振及び防音を行う振動低減技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。ところが、電動モータは減速機等と一体になってハウジングに格納されているために、電動モータの振動がハウジングに伝播することにより、このハウジングで増幅されて大きな振動音として放射されてしまう。この電動モータで発生する振動の伝播経路としては、電動モータを構成するステータコイルが磁気力振動(磁歪)を起こし、この振動がハウジングに伝播するものや、ロータマグネットの磁気力振動がロータ軸を介してハウジングに伝播するものが挙げられる。このハウジングにおける振動は、特に板厚が薄い素材で形成された部分や、簡単な構造のため剛性の確保しにくい部分から振動音として放射される(以下、「放射音」と呼ぶ)。
【0003】
このようなハウジングで増幅されて放射される放射音の対策としては、ハウジングにインシュレータを取付けたり、ハウジングの剛性やその肉厚を上げることによりモータ音を遮断して防振を行う方法や、ハウジングに共振点調節用のウエートを取付けることによりハウジングの共振領域を電動モータの実用回転域での振動からずらすことにより防振を行う方法が用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−88035号公報(第3−4頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の防振方法はいずれもハウジングが大型化するという課題や重量が増加するという課題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、電動モータの振動が伝播してハウジングで発生する放射音を低減させたモータ用駆動装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係るモータ用駆動装置は、車両駆動用モータ(例えば、実施形態における電動モータM)のモータ軸(例えば、実施形態におけるロータ軸60)に連結する入力軸と、この入力軸に対して平行に配設され車両の駆動車輪側に連結される出力軸(例えば、実施形態におけるカウンタ軸20)と、入力軸から出力軸への動力伝達を可能とする少なくとも一つのヘリカルギヤ(例えば、実施形態における第1ギヤ12及び第2ギヤ22)と、少なくとも車両駆動用モータを覆って保持するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記車両駆動用モータを構成するステータを支持するセンターハウジング部と、前記センターハウジング部の前記モータ軸の前記入力軸との連結部と反対側の端面に固定されるサイドハウジング部(例えば、実施形態における右サイドハウジング5d)と、を有し、さらに、モータ用駆動装置は、モータ軸の入力軸との連結部と反端側の端部を軸回りに回転自在に保持しサイドハウジング部に取付けられた第1の軸受部材(例えば、実施形態における第7ベアリング57)と、連結部におけるモータ軸と入力軸との間に挟持されてモータ軸と入力軸とを軸方向に互いに離反する方向に押圧する弾性部材(例えば、実施形態におけるウェーブスプリング82)とを有する。そして、モータ軸が第1の軸受部材を介して軸方向にサイドハウジング部を押圧するとともに、車両駆動用モータが駆動時にヘリカルギヤから入力軸に作用するスラスト力により入力軸がモータ軸を押圧して、モータ軸が第1の軸受部材を介してサイドハウジング部を押圧する押圧力が可変となるように構成する。
【0008】
このような構成によると、サイドハウジング部をモータ軸が常に軸方向に押圧するため、このモータ軸がサイドハウジング部に対する補強構造体(突っ張り梁)として作用する。そのため、モータ軸から第1の軸受部材を介してサイドハウジング部に伝播する振動を抑制し、このサイドハウジング部から発生する放射音を低減することができる。さらに、車両駆動用モータの駆動時にヘリカルギヤから入力軸に作用するスラスト力により、モータ軸がサイドハウジング部を押圧する押圧力を可変にすることができるため、車両駆動用モータの駆動力に応じて押圧力を調整して、防振効果を高めることができる。
【0009】
なお、本発明に係るモータ用駆動装置は、さらに、連結部を軸回り回転自在に保持し駆動用モータ出力側ハウジング部(例えば、実施形態における左サイドハウジング5b)に取付けられた第2の軸受部材(例えば、実施形態における第2ベアリング52)を有し、車両駆動用モータが駆動時にヘリカルギヤから入力軸に作用するスラスト力により入力軸が第2の軸受部材を介して駆動用モータ出力側ハウジング部を押圧するように構成することが好ましい。
【0010】
このような構成によると、モータ軸から第2の軸受部材を介して駆動用モータ出力側ハウジング部に伝播する振動を抑制し、この駆動用モータ出力側ハウジング部から発生する放射音を低減することができるため、より効果的である。
【0011】
さらに、本発明に係るモータ用駆動装置において、第1の軸受部材が、モータ軸を軸回り回転可能に保持するとともに、サイドハウジング部に対してモータ軸をフローティング支持するフローティングベアリングで構成されることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、第1の軸受部材が有するフローティング構造により、この第1の軸受部材の耐久性やヘリカルギヤの噛み合い精度を悪化させないようにすることができる。また、このフローティング構造による弾性特性と、入力軸とモータ軸との間に挟持された弾性部材による弾性特性によりモータ軸から伝播する振動を吸収することができるため、防振効果が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係るモータ用駆動装置(以下、単に「駆動装置」と称す)の構成を図2に基づいて説明する。駆動装置1は、車両に搭載されたバッテリBからの電力供給を受けてロータ軸60に回転動力を与える電動モータMを原動機としており、この電動モータMからの出力が減速機Tを介して駆動車輪に伝達される。この駆動装置1は、ハウジング5に覆われて保持されており、このハウジング5は、ギヤケース5a、左サイドハウジング(モータ・ギヤケース)5b、センターハウジング5c及び右サイドハウジング5dから構成されている。また、減速機Tは入力軸10、第1ギヤ12、第2ギヤ22及びカウンタ軸20から構成されている。
【0014】
駆動装置1における減速機Tの入力軸10は、ギヤケース5aと左サイドハウジング5bとに囲まれた内部において一端が第1ベアリング51により支持され、他端が電動モータMのロータ軸60に結合されて連結部14を構成し、この連結部14においてロータ軸60と一体に第2ベアリング52に支持されており、軸回り回転自在に構成されている。この第1ベアリング51はギヤケース5aに取付けられており、また、第2ベアリング52は左サイドハウジング5bに取付けられている。なお、入力軸10とロータ軸60とは前者を雄部分、後者を雌部分として連結部14においてスプライン結合されている。
【0015】
カウンタ軸20は、入力軸10と平行な位置に第3ベアリング53及び第4ベアリング54により支持されて軸回り回転自在に構成されている。この第3ベアリング53はギヤケース5aに取付けられており、第4ベアリング54は左サイドハウジング5bに取付けられている。
【0016】
入力軸10上に固定された第1ギヤ(メインギヤ)12はカウンタ軸20上に固定された第2ギヤ(カウンタギヤ)22と常時噛み合い、電動モータMより入力軸10に入力された回転動力は、これら第1ギヤ12及び第2ギヤ22を介してカウンタ軸20に伝達される。カウンタ軸20上における第2ギヤ22の右方位置には第3ギヤ(ファイナルドライブギヤ)24が設けられており、この第3ギヤ24は、ディファレンシャルケース30に固定された第4ギヤ(ファイナルドリブンギヤ)32と常時噛み合っている。
【0017】
ディファレンシャルケース30の内部には2つのディファレンシャルピニオン34,34及び2つのサイドギヤ36,36が噛合し、このサイドギヤ36,36には左右に延びるアクスル軸42,42が固定されている。これら左右のアクスル軸42,42の中心軸は入力軸10及びカウンタ軸20の回転軸と平行に配置されており、ディファレンシャルケース30はこれら左右のアクスル軸42,42の中心軸を回転軸として回転できるように第5ベアリング55及び第6ベアリング56により支持されている。また、左右のアクスル軸42,42の端部には図示しない駆動車輪が取付けられている。
【0018】
なお、図2に示すように、カウンタ軸20上における第2ギヤ22と第3ギヤ24の間にはパーキングギヤ26が固定されているが、本発明の内容とは直接関係しないためここでは説明を省略する。
【0019】
また、電動モータMは、上述の通りそのロータ軸60の一端(連結部14)が第2ベアリング52により支持されており、左サイドハウジング5bとセンターハウジング5c及び右サイドハウジング5dとに囲まれて複数の接合ボルトにより接合されて取付けられている。そして、ロータ軸60の他端は第7ベアリング57に支持されて軸回り回転自在に構成されており、第7ベアリング57は右サイドハウジング5dに取付けられている。
【0020】
上述のような構成の場合、電動モータMのロータ軸60と入力軸10との連結部14を支持する第2ベアリング52に電動モータMからかかる力としては、スラスト成分は無く、ロータ軸60を有するロータ(図3等に示すロータR)の自重及び回転アンバランスにより発生する偶力成分からなるラジアル成分のみとなる。そのため、このベアリング52のベアリングサイズは、ロータ軸60の径及び上限回転数から決まり、寿命容量は概ね余裕を持つように設計されている。この場合、第2ベアリング52は、入力軸10とロータ軸60を一体に支持して電動モータMと減速機Tの共用とすることにより、部品点数を削減し、小型軽量化が図られている。そのため、第2ベアリング52に対しては上述のラジアル成分に加えて第1ギヤ(メインギヤ)12の駆動反力の一部もラジアル荷重として印加される。なお、第2ベアリング52のベアリングサイズは、連結部14の寸法(径)から決まるため、第7ベアリング57よりも大型に設定される。
【0021】
一方、第7ベアリング57は、電動モータMの構成及び組立て上の理由からロータ軸60を右サイドハウジング5dと一体化する必要があるため、右サイドハウジング5dにアンカーされ、ロータRの荷重支持と位置決め機能を持つように構成される。この第7ベアリング57のベアリングサイズは負荷が小さいため、一般的に必要最小限とされる。
【0022】
次に、以上のように構成される駆動装置1において、振動発生源である電動モータM及びその振動が伝播して放射音を発生するハウジング5について図3を用いて更に詳しく説明する。センターハウジング5cは、電動モータMを構成するステータSを支持するとともに、外周にウォータジャケット61を内蔵してこのステータSの冷却機能を有しており、両端面に左右サイドハウジング5b,5dがノックピンを介してボルト固定される。
【0023】
電動モータMの出力側に位置する左サイドハウジング(モータ・ギヤケース)5bは、ギヤケース5aと組み合わされて、ロータ軸60と入力軸10との連結部14を第2ベアリング52で支持する機能、図3には図示しないが、入力軸10を第1ベアリング51で支持する機能及び、カウンタ軸20と出力軸42,42を第3〜6ベアリング53〜56で支持する機能を持ち、且つ、減速機Tを格納保持するケースを兼ねている。そのため、右サイドハウジング5dに比べて大型に形成され剛性も高くなっている。このとき、連結部14を支持する第2ベアリング52は、固定ナット64でそのインナレースがロータ軸60に取付けられ、アウタレースが左サイドハウジング5bにサークリップ71で位置決め固定される。また、図3には図示しないが、入力軸10に対して第1ベアリング51のインナレースが固定ナットで取付けられ、アウタレースがギヤケース5aにサークリップで位置決め固定される。
【0024】
一方、右サイドハウジング5dは、第7ベアリング57を支持する機能と、ロータ軸60の端部に取付けられた回転センサー62や電動モータMに電力を供給する三相線ターミナル63の取付けの機能のみで大きな駆動反力を受けないため、比較的単純な蓋形状に構成される。なお、第7ベアリング57の右サイドハウジング5dへの取付け方法については後述する。そのため、ロータ軸60は右サイドハウジング5dによりスラスト方向をアンカーされ、入力軸10はギヤケース5aにアンカーされる。
【0025】
このように構成されたハウジング5に対する電動モータMの振動の伝播経路としては、ステータSを構成するコイルで発生する磁気力振動(磁歪)を起振源として、センターハウジング5cを経由して左右サイドハウジング5b,5dに伝播する第1の経路と、ロータ軸60とともにロータRを構成するマグネットの磁気力振動を起振源として、ロータ軸60から第2及び第7ベアリング52,57を介して左右サイドハウジング5b,5dに伝播する第2の経路とがある。いずれの伝播経路においても、電動モータMの外殻を形成するハウジング5を振動させて放射音を発生させることになる。
【0026】
このような電動モータMの振動に対するハウジング5の特性としては次のようになる。まず、センターハウジング5cは起振源に直結し、形状も略円筒型と単純であるため、共振しやすく、ハウジング5の中でも最も放射音を発生しやすい。
【0027】
また、右サイドハウジング5dは、上述の第1及び第2の経路に対しては下流に位置するが両経路の影響を受けるため放射音を発生しやすい。特に、その構成上、ハウジング5の中では最も薄型であり、剛性を確保しにくい形状であるため電動モータMの振動の影響を受けやすい。また、この右サイドハウジング5dの中央には、第7ベアリング57で支持されるロータ軸60のジャーナル部が位置し、ロータRの質量が固定され、且つ、上述の通り第7ベアリング57のベアリングサイズが小型であるため、ハウジング膜面が広く、伝播された振動のいわゆる「スピーカー」効果を生じやすい。
【0028】
左サイドハウジング5bは、右サイドハウジング5dと同様に第1及び第2の経路に対しては下流に位置して両経路の影響を受けるが、右サイドハウジング5dに比べて放射音を発生しにくい。これは、ロータ軸60を支持する第2ベアリング52がスラスト方向規制を持たないため、第2の経路を通って左サイドハウジング5bに伝播する振動がラジアル成分のみになること、減速機Tのケースを兼ねる構造のため剛性が高く振動しにくい形状であること、また、形状が複雑でベアリングに支持されるジャーナル部を複数持つため、共振のおそれのある膜面が少なく「スピーカー」効果を生じにくいこと等の特性を左サイドハウジング5bが有するためである。さらに、左側をギヤケース5aで覆って減速機Tを構成するため、電動モータMからの放射音成分が減衰されるという特徴も有している。
【0029】
ギヤケース5aは、最も起振源(電動モータM)から遠くに配置され、かつ、第2の経路を通って伝播される振動は、連結部14における入力軸10とロータ軸60のスプライン結合がルーズであるため、ギヤケース5aに伝播されにくい。また、このギヤケース5aには、共振のおそれのある膜面も少なく、ハウジング5の中では最も放射音を発生しにくい部分である。
【0030】
以上より、本発明に係るモータ用駆動装置1においては、右サイドハウジング5dを中心として防振対策を行う。具体的には、図1に示すように、ロータ軸60のそれぞれの端部を支持する左右サイドハウジング5b,5dの少なくともいずれか一方とロータ軸60との間に弾性体を配設し、このロータ軸60に対して軸方向の押圧力が発生するように構成する。例えば、図4の場合、ロータRと第2ベアリング52を介して左サイドハウジング5bとの間にウェーブスプリング81を配設して構成した場合を示している。このような構成とすることにより、センターハウジング5cで繋がれた左右サイドハウジング5b,5dをロータ軸60が常に左右方向(軸方向)に押圧して押圧力を発生する補強構造体(突っ張り梁)として作用するため、ハウジング5への伝播振動を抑制し、放射音を低減することができる。
【0031】
このとき、入力軸10と遠い側のベアリング(つまり、第7ベアリング57)が右サイドハウジング5dに対して緩衝材を介したフローティング構造にすることができる。このフローティング構造を有するベアリングの構造を図3及び図4を用いて説明する。フローティングベアリング57は、円筒状のアウタシェル57a、複数(本実施例の場合は6箇所)のインロー部が形成され、中心部に貫通孔が形成されたインナハブ57b、インナハブ57bの貫通孔に嵌合したアウタレース57cとこのアウタレース57cと複数のボール57eを介して組み合わされたインナレース57dとからなるボールベアリング、アウタレース57cをインナハブ57bに固定するサークリップ57f及びアウタシェル57aとインナハブ57bの径方向及び軸方向の空隙部に充填されるダンパー材57gとから構成される。このダンパー材57gは、例えば、樹脂やラバーをインナーハブ57bに焼き付けて取付けられる。
【0032】
このフローティングベアリング57は、アウタシェル57aが右サイドハウジング5dに形成された取り付け部に圧入されて取付けられており、ロータ軸60の一端がインナレース57dの内周孔57hに挿入されて固定ナット65でロータ軸60とフローティングベアリング57が固定される。このアウターシェル57aとインナーハブ57bとはルーズ嵌合であり、電動モータMの運転時はダンパー材57gによって、インナハブ57bがアウタシェル57aに対してフローティング状態となる。なお、このダンパー材57gを含むフローティングベアリング(第7ベアリング)57も、右サイドハウジング5dとロータ軸60との間で、特に軸方向に一種の弾性体として作用する。
【0033】
このように、ロータ軸60の両端と左右サイドハウジング5b,5dとの間に配設した弾性体構造(ウェーブスプリング81及び第7ベアリング57の有するダンパー材57g)により、ロータ軸60から伝播する振動を減衰させてハウジング5での振動を抑制することができ、特に右サイドハウジング5dからの放射音を低減することができる。また、減速機Tの第1ギヤ12と対向する側に位置する第7ベアリング57をフローティング構造とすることにより、ベアリングの耐久性やギヤの噛み合い精度を悪化させることなく、ロータ軸受け(第7ベアリング57)の防振防音構造を実現することができる。
【0034】
ここで、フローティングベアリングを第2ベアリング52に用いると、第1ギヤ12からのギヤ反力受けて、第1ギヤ12と第2ギヤ22の噛み合い精度が落ち、これらのギヤからギヤ音が発生する場合があり好ましくない。また、上述のように、ハウジング5における放射音は右サイドハウジング5dが支配的であり、左サイドハウジング5bに固定される第2ベアリング52をフローティングベアリングとしても防振に対する大きな効果は得られない。
【0035】
なお、フローティングベアリング57は、インローラジアルスキマ、ダンパー材57g及びアウターシェル57aとインナーハブ57bとの空隙容量が使用荷重条件によって選定される。また、ダンパー破損や過大入力があったとしても安全性を低下させないために、電動モータMのロータRとステータS間のスキマよりもインローラジアルスキマの方が十分に大きくなるように設定される。
【0036】
以上図2〜図5に基づいて説明したように弾性体(ウェーブスプリング81及び第7ベアリング57)を配設すると、この弾性体の反発力は、電動モータMの組付け時における初期値(プリロード)が一定して作用し、左右サイドハウジング5b,5d間で設定される(以降の説明では、このような構成のモータ用駆動装置を「固定プリロード型」と呼ぶ)。
【0037】
ところで、図6に示すように、入力軸10の回転動力をカウンタ軸20に伝達するための第1ギヤ12は、カウンタ軸20に取付けられ第1ギヤ12と噛合する第2ギヤ22と協働するヘリカルギヤで構成されている。そのため、ヘリカルギヤである第1ギヤ12には軸方向で電動モータM側にスラスト力が作用する。つまり、電動モータMが駆動中は、例えば、X方向に入力軸10が回転すると、Y方向にスラスト力が作用する。このため、上述の弾性体81,57の反発力にこの第1ギヤ12からのスラスト力を加えて可変プリロード型のモータ用駆動装置とするように構成することも可能である。この可変プリロード型となるように構成した場合を図1に示す。
【0038】
図1において、入力軸10に作用するスラスト力をロータ軸60に作用させるために、この入力軸10におけるロータ軸60との接続部14に鍔部11を形成する。この鍔部11は、入力軸10がロータ軸60とスプライン結合したときに、第2ベアリング52のインナーレースと当接し、且つ、ロータ軸60の端部と近接するように構成されている。そして、この鍔部11とロータ軸60の端面との間に弾性体(ウェーブスプリング82)を配設する(ウエーブスプリング82を中心とした要部の構造を図7に示す)。このウェーブスプリング82は、入力軸10とロータ軸60を互いに離反するように押圧する。このように構成すると、組付け時にロータ軸60が第7ベアリング57を介して右サイドハウジング5dを押圧するとともに、入力軸10に作用するスラスト力がロータ軸60に対して軸方向の押圧力を発生する。なお、この図6に示す可変プリロード型のモータ用駆動装置1とした場合、この入力軸10及びロータ軸60の接続部14以外の構成は、上述の固定プリロード型のモータ用駆動装置1と同様であるためその部分の説明は省略する。
【0039】
このように、第1ギヤ12で発生するスラスト力がウエーブスプリング82を介してロータ軸60に加えられることにより、弾性体(ウェーブスプリング82及び第7ベアリング57)による反発力は、ウエーブスプリング82及び入力軸10を介してギヤケース5aと右サイドハウジング5d間で設定される。また、電動モータMの駆動時に、入力軸10に対する反力のスラスト成分がウェーブスプリング82の押圧力を押し戻す方向に作用するため、走行中は電動モータMの駆動力に応じて右サイドハウジング5dに対する押圧力を可変発生させることができる。つまり、電動モータMの駆動力が大きく振動が大きいときほど、大きな押圧力が右サイドハウジング5dに作用して、防振効果を高めることができる。この右サイドハウジング5dに対する押圧力の大きさと放射音及び振動の抑制効果は、電動モータMの仕様によって異なるが、この場合は、比較的大きな押圧力を要する場合に好適である。
【0040】
なお、第1ギヤ12で発生するスラスト力は、入力軸10に形成された鍔部11を介して第2ベアリング52を軸方向に押圧するため、ロータ軸60から第2ベアリング52を介して左サイドハウジング5bに伝播する振動を低減することができ、ハウジング5における防振効果をより向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るモータ駆動装置によれば、入力軸とモータ軸との間に、この入力軸とモータ軸とを互いに軸方向に離反するように押圧する弾性部材を有するように構成し、モータ軸によりこのモータ軸を保持する第1の軸受部材を介してサイドハウジング部を押圧することにより、モータ軸をサイドハウジング部に対する補強構造体(突っ張り梁)として作用させることができる。そのため、モータ軸から第1の軸受部材を介してサイドハウジング部に伝播する振動を抑制し、このサイドハウジング部から発生する放射音を低減させることができる。さらに、車両駆動用モータの駆動時にヘリカルギヤから入力軸に作用するスラスト力により、モータ軸がサイドハウジング部を押圧する押圧力を可変にすることができるため、車両駆動用モータの駆動力に応じて押圧力を調整して、防振効果を高めることができる。
【0042】
また、さらに、モータ軸と入力軸とが結合されて連結部を第2の軸受部材で保持し、入力軸に作用するスラスト力によりこの入力軸が第2の軸受部材を介して駆動用モータ出力側ハウジング部を押圧するように構成することにより、モータ軸から第2の軸受部材を介して駆動用モータ出力側ハウジング部に伝播する振動を抑制し、この駆動用モータ出力側ハウジング部から発生する放射音を低減することができるため、より効果的である。
【0043】
さらに、第1の軸受部材が、モータ軸を軸回り回転可能に保持するとともに、サイドハウジング部に対してモータ軸をフローティング支持するフローティングベアリングで構成することにより、第1の軸受部材の耐久性やヘリカルギヤの噛み合い精度を悪化させないようにすることができる。また、このフローティング構造による弾性特性と、入力軸とモータ軸との間に挟持された弾性部材による弾性特性によりモータ軸から伝播する振動を吸収することができるため、防振効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータ用駆動装置の防振防音構造(可変プリロード型)を示す断面図である。
【図2】本発明に係るモータ用駆動装置を示すスケルトン図である。
【図3】固定プリロード型のモータ用駆動装置を示す断面図である。
【図4】本発明に係る防振構造を示す説明図である。
【図5】フローティングベアリングを示す平面図である。
【図6】入力軸及び第1ギヤを示す斜視図である。
【図7】可変プリロード型のモータ用駆動装置を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 モータ用駆動装置
5 ハウジング
10 入力軸
14 連結部
12 第1ギヤ(ヘリカルギヤ)
20 カウンタ軸(出力軸)
22 第2ギヤ(ヘリカルギヤ)
52 第2ベアリング(第2の軸受部材)
57 第7ベアリング(第1の軸受部材)
60 ロータ軸(モータ軸)
82 ウェーブスプリング(弾性部材)
M 電動モータ(車両駆動用モータ)
Claims (3)
- 車両駆動用モータのモータ軸に連結する入力軸と、
前記入力軸に対して平行に配設され前記車両の駆動車輪側に連結される出力軸と、
前記入力軸から前記出力軸への動力伝達を可能とする少なくとも一組のヘリカルギヤと、
少なくとも前記車両駆動用モータを覆って保持するハウジングと、を備えたモータ用駆動装置であって、
前記ハウジングは、前記車両駆動用モータを構成するステータを支持するセンターハウジング部と、前記センターハウジング部の前記モータ軸の前記入力軸との連結部と反対側の端面に固定されるサイドハウジング部と、を有し、
さらに、前記モータ用駆動装置は、前記モータ軸の前記入力軸との連結部と反対側の端部を軸回りに回転自在に保持し前記サイドハウジング部に取り付けられた第1の軸受部材と、
前記連結部における前記モータ軸と前記入力軸との間に挟持されて前記モータ軸と前記入力軸とを軸方向に互いに離反する方向に押圧する弾性部材と、を有し、
前記モータ軸が前記第1の軸受部材を介して軸方向に前記サイドハウジング部を押圧するとともに、
前記車両駆動用モータが駆動時に前記ヘリカルギヤから前記入力軸に作用するスラスト力により前記入力軸が前記モータ軸を押圧して、前記モータ軸が前記第1の軸受部材を介して前記サイドハウジング部を押圧する押圧力が可変となるように構成したことを特徴とするモータ用駆動装置。 - 前記ハウジングは、さらに、前記センターハウジング部の前記モータ軸の前記入力軸との連結部側の端面に固定される駆動用モータ出力側ハウジング部を有し、
前記モータ用駆動装置は、さらに、前記連結部を軸回りに回転自在に保持し前記駆動用モータ出力側ハウジング部に取付けられた第2の軸受部材を有し、
前記車両駆動用モータが駆動時に前記ヘリカルギヤから前記入力軸に作用するスラスト力により前記入力軸が前記第2の軸受部材を介して前記駆動用モータ出力側ハウジング部を押圧するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のモータ用駆動装置。 - 前記第1の軸受部材が、前記モータ軸を軸回りに回転可能に保持するとともに、前記サイドハウジング部に対して前記モータ軸をフローティング支持するフローティングベアリングで構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ用駆動装置。
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