JP5984498B2 - 分極反転素子の製造方法、導波路型波長変換素子の製造方法および導波路型波長変換素子 - Google Patents

分極反転素子の製造方法、導波路型波長変換素子の製造方法および導波路型波長変換素子 Download PDF

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本発明は分極反転素子の製造方法、導波路型波長変換素子の製造方法および導波路型波長変換素子に関し、特に、強誘電体結晶基板に電圧を印加して分極反転領域を形成する分極反転素子の製造方法、導波路型波長変換素子の製造方法および導波路型波長変換素子に関するものである。
電子ビームや形状加工した電極を用いて強誘電体結晶基板に電界を印加することによって、任意箇所に分極反転領域を形成することができる。これにより、種々の機能素子を実現することができる。
たとえば、この技術を用いて非線形光学定数が大きな強誘電体結晶基板に反転と非反転を繰り返す周期分極反転構造を形成することで高効率な光波長変換素子を製造することができる。この光波長変換素子では、強誘電体結晶基板への入射波と非線形光学効果によって発生した第2高調波との擬似位相整合を成立させることで、高効率な波長変換を実現することができる。
光波長変換素子の波長変換率は、基板材料の非線形光学定数に依存するとともに、光入射方向において反転および非反転の1周期における反転幅および非反転幅の比率が50%対50%に近いほど、高い変換効率が得られることが知られている。
上記の周期分極反転構造の形成方法として、たとえば特開平2−187735号公報(特許文献1)には、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶の基板に周期分極反転構造を形成する方法が提案されている。この方法では、基板の主面に設けられた櫛歯電極と他方の主面に設けられた平面電極との間に所定の分極反転電圧が印加され、櫛歯電極真下に分極反転領域が形成される。
この方法では、結晶基板の表面電荷の反転を補填する電流(以下、反転電流という。)と電子伝導で結晶基板中を流れる電流(以下、リーク電流という。)が混在して流れる。分極反転直後には結晶構造が不安定であることからニオブ酸リチウムの抵抗率が急激に低下するためリーク電流が持続的に流れる。このため、リーク電流によってジュール熱が発生して基板が破損するおそれがある。
たとえば特開平3−121428号公報(特許文献2)には、電極との間に絶縁体が配置されたニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶の基板にパルス電圧を印加して分極反転領域を形成する方法が提案されている。この方法では、パルス電圧によって基板に断続的に電圧が印加され、絶縁体によって基板に過度なリーク電流が流れることが抑制される。このため、大きなリーク電流が持続的に流れて基板を破損することが抑制される。
また、たとえば特開2011−2849号公報(特許文献3)には、強誘電体単結晶に流れる反転電流を測定し、測定された反転電流に基づいて複数のパスル電圧を印加することによって分極反転領域を形成する装置が提案されている。この装置では、測定された反転電流に基づいて、強誘電体単結晶に生じる電荷量が一定となるように各パルス電圧が印加される。このため、いずれの電極でも分極反転の速度を一定にすることができるので均一な分極反転領域が形成される。
特開平2−187735号公報 特開平3−121428号公報 特開2011−2849号公報
しかしながら、上記の各公報に記載された方法では、分極反転後にも基板にリーク電流は流れ続ける。このリーク電流による温度上昇によって基板の反転抗電界が低下するため、櫛歯電極の幅よりも分極反転領域の幅が広くなる。このため、分極反転領域の幅を高精度に制御することは困難である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、分極反転領域の幅を高精度に制御することができる分極反転素子の製造方法、導波路型波長変換素子の製造方法および導波路型波長変換素子を提供することである。
本発明の分極反転素子の製造方法は以下の工程を備えている。強誘電体結晶基板の一方面に櫛歯電極が形成される。強誘電体結晶基板の一方面と対向する他方面に可動イオンを質量比で1%以上含むイオン伝導性酸化物膜が形成される。イオン伝導性酸化物膜上に平面電極が形成される。イオン伝導性酸化物膜を介在して櫛歯電極と平面電極との間に電圧が印加されて、櫛歯電極の真下の強誘電体結晶基板の部分に一方面から他方面に渡って複数の分極反転領域が形成される。
本発明の分極反転素子の製造方法によれば、イオン伝導性酸化物膜を介在して櫛歯電極と平面電極との間に電圧が印加されて、櫛歯電極の真下の強誘電体結晶基板の部分に一方面から他方面に渡って複数の分極反転領域が形成される。分極反転時にはイオン伝導性酸化物膜に含まれる可動イオンが電界によって移動して反転電流の役割を成すことになる。そして可動イオンが移動した後はイオン伝導性酸化物膜に可動イオンが欠乏した領域が形成される。この領域には電荷がないためリーク電流は流れない。
したがって、分極反転完了後にはイオン伝導性酸化物膜にリーク電流が流れないため、リーク電流による温度上昇によって強誘電体結晶基板の反転抗電界が低下することを防ぐことができる。これにより、櫛歯電極の幅よりも分極反転領域の幅が広くなることを防ぐことができるため、分極反転領域の幅を高精度に制御することができる。
本発明の実施の形態1における分極反転素子の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 図1に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 図2に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 図3に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 図4に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 図5に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における分極反転素子の概略斜視図である。 本発明の実施の形態1における比較例の分極反転素子の製造方法における電荷の流れを示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における分極反転素子の製造方法における分極反転完了前の電荷の流れを示す断面図である。 本発明の実施の形態1における分極反転素子の製造方法における分極反転完了後の電荷の流れを示す断面図である。 本発明の実施の形態2における分極反転素子の製造方法の分極反転工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態2における比較例の分極反転素子の製造方法の分極反転工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3における分極反転素子の製造方法の分極反転工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3における比較例の分極反転素子の製造方法の分極反転工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態4における導波路型波長変換素子の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 図15に示す工程の次工程を示す概略断面図である。 図16に示す工程の次工程を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、本発明の実施の形態1の分極反転素子の製造方法について説明する。
図1を参照して、強誘電体結晶基板1が準備される。強誘電体結晶基板1として、たとえばマグネシウムを添加したニオブ酸リチウム結晶からなる基板が適用され得る。強誘電体結晶基板1は、たとえば、Z面カットで、直径が3インチであり、厚みが0.5mmである。強誘電体結晶基板1にマグネシウム添加のニオブ酸リチウムを用いることにより、高効率な波長変換素子を製造することができる。
強誘電体結晶基板1は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウムおよびチタン酸リン酸カリウムのいずれかを含む単結晶および多結晶のいずれかであることが好ましい。また、強誘電体結晶基板1は、添加物としてマグネシウム、亜鉛、鉄およびチタンよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含むことが好ましい。
次に、図2を参照して、強誘電体結晶基板1の一方面1aに櫛歯電極2が形成される。櫛歯電極2は、たとえば、スパッタリングで強誘電体結晶基板1の+Z面(一方面1a)にアルミニウムを膜厚0.3μmで成膜し、このアルミニウム膜を半導体製造工程で用いられるフォトリソグラフィー技術およびウェットエッチング技術によって微細加工することによって形成される。
図3を参照して、櫛歯電極2は、たとえば、Y軸方向に長さ2.5mm、X軸方向に幅1.5μmの電極がX軸方向に電極幅を含めて6.9μm間隔で45本並べられた、長さ3mm×幅3mmの1素子に形成される。櫛歯電極2の端部は、たとえば、プロービングパッドを兼ねた30μm幅の電極片で接続される。
次に、図4を参照して、強誘電体結晶基板1の一方面1aと対向する他方面1bにイオン伝導性酸化物膜3が形成される。ここでイオン伝導性酸化物膜3は可動イオンによる有限の電荷量を有する酸化物膜である。イオン伝導性酸化物膜3は、たとえば、スパッタリングで強誘電体結晶基板1の−Z面(他方面1b)に厚み30nmで成膜される。スパッタリングターゲットには、たとえば、可動イオン成分として4%のNa2O(酸化ナトリウム)を含むホウケイ酸ガラスが用いられる。
このホウケイ酸ガラスとしては、たとえばショット日本株式会社製のテンパックスフロート(登録商標)が用いられる。添加材料はNa2Oに限定されず、K2O(酸化カリウム)、Li2O(酸化リチウム)などであってもよい。またイオン伝導性酸化物膜3として安価なホウケイ酸ガラスを用いることで、波長変換素子の製造コストを低くすることができる。
また、イオン伝導性酸化物膜3として、リン酸リチウムが用いられてもよい。イオン伝導性酸化物膜3はLi3PO4(リン酸リチウム)のスパッタリングターゲットをスパッタリングすることで成膜されてもよい。その膜構造はアモルファスでもよい。可動イオンの濃度が高いため電荷の供給量が過剰となる可能性があり、膜厚は10nm程度が好ましい。この場合、ホウケイ酸ガラスに比べて可動イオンの移動度が高いため、印加電圧を下げてもよく、より短周期の分極反転パターンを形成することができる。
イオン伝導性酸化物膜3はホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスのいずれかであることが好ましい。また、イオン伝導性酸化物膜3は、リン酸リチウム、チタン酸リチウム、リン酸チタン酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびコバルト酸リチウムのいずれかであってもよい。
次に、図5を参照して、イオン伝導性酸化物膜3上に平面電極4が形成される。平面電極4は、たとえば、イオン伝導性酸化物膜3上にスパッタリングでアルミニウムを膜厚0.3μmで成膜して形成される。
本実施の形態では、櫛歯電極2および平面電極4はアルミニウムで形成されているが、強誘電体結晶基板1と密着性がある金属で形成されていれば、材料に制限はなく、タンタル、チタン、クロム、ニッケル、ニクロムなどで形成されていてもよい。また、櫛歯電極2および平面電極4の成膜方法については、強誘電体結晶基板1との密着性がよければよく、スパッタリングに限定されず、蒸着などでもよい。
次に、図6を参照して、イオン伝導性酸化物膜3を介在して櫛歯電極2と平面電極4との間に電圧を印加して、櫛歯電極2の真下の強誘電体結晶基板1の部分に一方面1aから他方面1bに渡って複数の分極反転領域5が形成される。
以下、この分極反転工程の一例について説明する。耐高電圧設計されたプローバシステムが用いられる。反転開始電圧を下げるため、強誘電体結晶基板1がホットチャックで150℃に加熱される。また、ホットチャックはGND(グランド)に接地され、平面電極4は接地電位とされる。そして、櫛歯電極2に1.2kVの電圧が3.0sec(秒)印加されて、櫛歯電極2下に分極反転領域5が形成される。150℃における反転電圧は約1.0kVであるが、可動イオンの流動を促すために、反転開始電圧よりも僅かに高い電圧が印加される。
反転核の生成を促してプロセス再現性をよくするため、0.1secのパルス電圧が10秒間隔で30回印加されてもよい。また、強誘電体結晶基板1を絶縁油(住友スリーエム株式会社製フロリナート(登録商標)FC−43)に浸すことで、高電圧印加時の放電を回避することができる。
ここでイオン伝導性酸化物膜030の膜厚設計について説明する。本実施の形態でイオン伝導性酸化物膜3として用いたホウケイ酸ガラスの密度は2.2g/cm3である。また、ホウケイ酸ガラスとNa2Oとの質量組成比は4%である。また、Naの原子量は23である。これらから換算すると、厚み1nmのホウケイ酸ガラスに含まれるNaの密度は、1.15×1014/cm2となる。
一方、強誘電体結晶基板1のニオブ酸リチウムにおいて反転に必要な電荷密度は71μC/cm2(反転面積は素子面積の半分と仮定する)であり、クーロンを電荷個数に換算すると、4.43×1014/cm2が反転電荷密度となる。
ホウケイ酸ガラスに含まれる1個のNa原子がニオブ酸リチウムの1つの反転電荷を補えればよいので、上記Na密度と上記反転電荷密度とが等しくなるには、ホウケイ酸ガラス膜の厚みは最低4nmあればよい。
ただし、4nm程度の厚みであるとNaの欠乏層が形成されてもトンネル電流あるいは絶縁破壊でリーク電流が流れ続ける恐れがある。そのため、少なくとも5nm以上の膜厚が好ましい。膜厚は20〜50nmがさらに好ましい。なお、膜厚が100nm以上では強誘電体結晶基板1付近の可動イオンが平面電極4まで到達することが困難になるため、使用に適さない。
またイオン伝導性酸化物膜3の可動イオン濃度が1%未満であると、絶縁性が高過ぎて可動イオンの流動が困難となるため、本実施の形態におけるイオン伝導性酸化物膜3として適用することはできない。イオン伝導性酸化物膜3はアルカリ金属酸化物を質量比で1%以上含んでいることが好ましい。
図6および図7を参照して、分極反転領域が形成された後、櫛歯電極2、イオン伝導性酸化物膜3および平面電極4がたとえばウェットエッチングで除去される。これにより、分極反転素子が形成される。なお、次のように分極反転パターンを確認することが可能である。60℃に加熱したフッ硝酸溶液に分極反転素子を10分間浸すことで、反転部位と非反転部位とのエッチングレートの差によって反転部位が可視化される。
最後に分極反転素子がダイシングで切り出され、基本波レーザーの入出力面となるX面が研磨されることで、バルク型の波長変換素子が製造される。
次に、本実施の形態の作用効果について比較例と対比して説明する。
図8を参照して、本実施の形態における比較例の分極反転素子の製造方法は、本実施の形態の分極反転素子の製造方法と対比して、イオン伝導性酸化物膜が形成されない点で主に異なっている。
本実施の形態における比較例の分極反転素子の製造方法では、分極反転工程において、強誘電体結晶基板1に反転電流とリーク電流とが混在して流れる。分極反転直後には強誘電体結晶基板1の結晶構造が不安定であることからニオブ酸リチウムの抵抗率が急激に低下する。このため強誘電体結晶基板1にリーク電流が持続的に流れる。リーク電流が流れ続けると、ジュール熱によって加熱されて強誘電体結晶基板1の温度が上昇する。なお分極反転した部位の抵抗率が高くなるまでの時間はたとえば数十秒から数分である。
これにより、強誘電体結晶基板1の反転抗電界が低下するため、設計上、分極反転しない低電界領域においても分極反転が生じて、設計どおりの分極反転領域5の幅が得られない。すなわち、櫛歯電極の真下で分極反転するように分極反転領域5の幅が設計されても、櫛歯電極の幅よりも分極反転領域5の幅が広くなる。
図9を参照して、本実施の形態の分極反転素子の製造方法では、イオン伝導性酸化物膜3を介在して櫛歯電極2と平面電極4との間に電圧が印加されると、櫛歯電極2の真下の強誘電体結晶基板の部分に分極反転領域5が形成される。分極反転時には、イオン伝導性酸化物膜3において、可動イオンである正イオンのナトリウムNa+が電界によって負極(平面電極4)側に移動する。このNa+が移動して反転電流の役割を成すことになる。
平面電極4側に移動したNa+は、平面電極4から電子を受け取って電気的に中性なナトリウム原子Naとして平面電極4の近傍に偏析する。一方、正極(櫛歯電極2)側では負イオンの酸化シリコンSiO-が固定電荷として残り、分極反転して−Z面側に表出した強誘電体結晶基板1の正電荷と電気的に釣り合う。
図10を参照して、可動イオンは一旦移動すると逆向きの電界が印加されない限り元の分布に戻らないため、櫛歯電極2を正電位、平面電極4をGND電位とすると、一定量の可動イオンとしてのNa+が移動した(反転電流が流れた)後には強誘電体結晶基板1の近傍にNa+が欠乏した領域(空乏領域)6が形成される。この空乏領域6では電荷がないため、その後は電圧を印加し続けてもリーク電流は流れなくなる。なお空乏領域が形成されるまでの時間はたとえば0.1秒以下である。
したがって、本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、反転電流がイオン伝導性酸化物膜3に含まれる可動イオン量で制限される。そして、分極反転完了後にはイオン伝導性酸化物膜3にリーク電流が流れないため、リーク電流による温度上昇によって強誘電体結晶基板3の反転抗電界が低下することを防ぐことができる。これにより、櫛歯電極2の幅よりも分極反転領域5の幅が広くなることを防ぐことができるため、分極反転領域5の幅を高精度に制御することができる。
よって、反転および非反転の1周期における反転幅および非反転幅の比率を50%対50%に高精度に制御することができる。このため、高い変換効率を有する分極反転素子を製造することができる。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、イオン伝導性酸化物膜3がホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスのいずれかであるため、低コストで分極反転素子を製造することができる。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、イオン伝導性酸化物膜3がリン酸リチウム、チタン酸リチウム、リン酸チタン酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびコバルト酸リチウムのいずれかである。これにより可動イオンの移動度を高くすることができるため、印加電圧を下げて短周期の分極反転パターンを形成することができる。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、イオン伝導性酸化物膜3が、アルカリ金属酸化物を質量比で1%以上含むため、絶縁性を高くし過ぎないことで可動イオンの流動性を確保することができる。このため、低い電圧で分極反転させることができる。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、強誘電体結晶基板3が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウムおよびチタン酸リン酸カリウムのいずれかを含む単結晶および多結晶のいずれかである。このため、波長変換素子を製造することができる。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、添加物としてマグネシウム、亜鉛、鉄およびチタンよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含んでいる。このため、耐光損傷性の高い波長変換素子を製造することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、実施の形態1と比較して、強誘電体結晶基板の厚さ寸法が異なっている。なお、実施の形態1と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。このことは以下の実施の形態について同様である。
図11を参照して、本実施の形態の分極反転素子の製造方法では、強誘電体結晶基板1は、3mm以上10mm以下の厚みを有している。強誘電体結晶基板1の厚みは、たとえば5mmであってもよい。
図12を参照して、本実施の形態における比較例の分極反転素子の製造方法では、強誘電体結晶基板1が厚くなると基板面内の分極反転速度のばらつきにより強誘電体結晶基板1を貫通する分極反転領域5を基板面内で均一に形成することが困難である。したがって、厚みが3mm以上の波長変換素子は製造できない。
一方、本実施の形態の分極反転素子の製造方法では、分極反転速度に分布がある場合でも、イオン伝導性酸化物膜3の可動イオン量で分極反転領域5の幅を制御できるため、強誘電体結晶基板1の厚みが3mm以上であっても基板面内に均一に分極反転領域5を形成することができる。ただし、強誘電体結晶基板1の厚みが10mmを超えると、分極反転に要する印加電圧が高くなるため、均一な分極反転パターンを形成することが難しくなる。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、強誘電体結晶基板1が3mm以上10mm以下の厚みを有しているため、厚みが3mm以上10mm以下であり、かつ均一な分極反転領域5を有する分極反転素子を製造することができる。また、たとえばφ5mmの大口径レーザビームに対する波長変換素子を実現することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、実施の形態1と比較して、分極反転パターンに2つの異なる周期パターンが混在している点で主に異なっている。
図13を参照して、本実施の形態の分極反転素子の製造方法では、一例として3.5μm周期および7μm周期の分極反転パターンが混在する。3.5μm周期の短周期櫛歯電極21と7μm周期の長周期櫛歯電極22とが強誘電体結晶基板1の一方面1aに形成される。短周期櫛歯電極21と長周期櫛歯電極22とは端部が電極片によって接続されており、短周期側と長周期側とで同時に分極反転が行われる。
強誘電体結晶基板1には複数の分極反転領域5が形成される。複数の分極反転領域5は、第1〜第4の分極反転領域51〜54を含んでいる。第1および第2の分極反転領域51、52の間隔は、第3および第4の分極反転領域53、54の間隔と異なっている。
図14を参照して、本実施の形態における比較例の分極反転素子の製造方法では、本実施の形態と比較して、イオン伝導性酸化物膜3が形成されていない。本実施の形態における比較例の分極反転素子の製造方法では、短周期櫛歯電極21側の分極反転速度が速いため、分極反転完了までの電圧印加時間(あるいはパルス数)が異なる。このため、均一に異なる2つの周期分極反転パターンを形成することができない。
一方、本実施の形態の分極反転素子の製造方法では、7μm周期の長周期櫛歯電極22による分極反転が完了するまで3.5μm周期の短周期櫛歯電極21に電圧が印加され続けても、イオン伝導性酸化物膜3に含まれる可動イオン量で第1および第2の分極反転領域51、52の幅が制御される。このため、第3および第4の分極反転領域53、54の分極反転が完了するまでの間に、第1および第2の分極反転領域の幅が広がらない。
本実施の形態の分極反転素子の製造方法によれば、第1および第2の分極反転領域51、52の間隔は、第3および第4の分極反転領域53、54の間隔と異なっているため、2つ以上の異なる周期からなる分極反転パターンを実現することができる。これにより、高効率な波長変換素子を実現することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態の導波路型波長変換素子の製造方法について説明する。
再び図1〜図7を参照して、実施の形態1と同様に、強誘電体結晶基板1の一方面1aに櫛歯電極2が形成される。そして、強誘電体結晶基板1の一方面1aと対向する他方面1bにイオン伝導性酸化物膜3が形成される。次に、イオン伝導性酸化物膜3上に平面電極4が形成される。続いて、イオン伝導性酸化物膜3を介在して櫛歯電極2と平面電極4との間に電圧を印加して、櫛歯電極2の真下の強誘電体結晶基板1の部分に一方面1aから他方面1bに渡って複数の分極反転領域5が形成される。
次に、図15を参照して、分極反転領域5が形成された後に櫛歯電極2および平面電極4が除去される。櫛歯電極2および平面電極4はたとえばエッチングで除去される。一方、イオン伝導性酸化物膜3はエッチングされずに残される。
次に、図16を参照して、平面電極4が除去されたイオン伝導性酸化物膜3上に支持基板が接合される。支持基板11はたとえばニオブ酸リチウムからなっている。
次に、図17を参照して、櫛歯電極2が除去された強誘電体結晶基板1の一方面aが研磨される。強誘電体結晶基板1は、たとえば+Z面側から研磨により100μmまで薄板化される。そして、研磨された一方面1a上に上部クラッド層12が形成される。たとえば、研磨された+Z面にSiO2からなる上部クラッド層12がスパッタリングで形成される。これにより、イオン伝導性酸化物膜3を下部クラッド層とした導波路型波長変換素子が製造される。
この導波路型波長変換素子は、強誘電体結晶基板1と、下部クラッド層(イオン伝導性酸化物膜)3と、支持基板11と、上部クラッド層12とを備えている。強誘電体結晶基板1は複数の分極反転領域5を有している。上部クラッド層12は強誘電体結晶基板1の一方面1a上に設けられている。下部クラッド層はイオン伝導性酸化物膜3であり、上部クラッド層12との間で強誘電体結晶基板1を挟み込むように一方面1aと対向する他方1b面上に設けられている。支持基板11は上部クラッド層12上に設けられている。
本実施の形態の導波路型波長変換素子の製造方法によれば、分極反転領域5の幅を高精度に制御することができる。また、イオン伝導性酸化物膜3が下部クラッド層として用いられるため、プロセス数を削減することができる。これにより、低コストで導波路型波長変換素子を製造することができる。
本実施の形態の導波路型波長変換素子によれば、分極反転領域5の幅を高精度に制御することができる。また低コストの導波路型波長変換素子を実現できる。
上記の各実施の形態は適宜組み合わせられ得る。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 強誘電体結晶基板、1a 一方面、1b 他方面、2 櫛歯電極、3 イオン伝導性酸化物膜、4 平面電極、5 分極反転領域、6 空乏領域、11 支持基板、12 上部クラッド層、21 短周期櫛歯電極、22 長周期櫛歯電極、51〜54 第1〜第4の分極反転領域。

Claims (9)

  1. 強誘電体結晶基板の一方面に櫛歯電極を形成する工程と、
    前記強誘電体結晶基板の前記一方面と対向する他方面に可動イオンを質量比で1%以上含むイオン伝導性酸化物膜を形成する工程と、
    前記イオン伝導性酸化物膜上に平面電極を形成する工程と、
    前記イオン伝導性酸化物膜を介在して前記櫛歯電極と前記平面電極との間に電圧を印加して、前記櫛歯電極の真下の前記強誘電体結晶基板の部分に前記一方面から前記他方面に渡って複数の分極反転領域を形成する工程とを備える分極反転素子の製造方法。
  2. 前記イオン伝導性酸化物膜がホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスのいずれかである、請求項1に記載の分極反転素子の製造方法。
  3. 前記イオン伝導性酸化物膜がリン酸リチウム、チタン酸リチウム、リン酸チタン酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびコバルト酸リチウムのいずれかである、請求項1に記載の分極反転素子の製造方法。
  4. 前記イオン伝導性酸化物膜が、アルカリ金属酸化物を質量比で1%以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載の分極反転素子の製造方法。
  5. 前記強誘電体結晶基板が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウムおよびチタン酸リン酸カリウムのいずれかを含む単結晶および多結晶のいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載の分極反転素子の製造方法。
  6. 前記強誘電体結晶基板が、添加物としてマグネシウム、亜鉛、鉄およびチタンよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の分極反転素子の製造方法。
  7. 前記強誘電体結晶基板が、3mm以上10mm以下の厚みを有している、請求項1〜6のいずれかに記載の分極反転素子の製造方法。
  8. 前記複数の分極反転領域は、第1〜第4の分極反転領域を含み、
    前記第1および第2の分極反転領域の間隔は、前記第3および第4の分極反転領域の間隔と異なっている、請求項1〜7のいずれかに記載の分極反転素子の製造方法。
  9. 強誘電体結晶基板の一方面に櫛歯電極を形成する工程と、
    前記強誘電体結晶基板の前記一方面と対向する他方面に可動イオンを質量比で1%以上含むイオン伝導性酸化物膜を形成する工程と、
    前記イオン伝導性酸化物膜上に平面電極を形成する工程と、
    前記イオン伝導性酸化物膜を介在して前記櫛歯電極と前記平面電極との間に電圧を印加して、前記櫛歯電極の真下の前記強誘電体結晶基板の部分に前記一方面から前記他方面に渡って複数の分極反転領域を形成する工程と、
    前記分極反転領域が形成された後に前記櫛歯電極および前記平面電極を除去する工程と、
    前記平面電極が除去された前記イオン伝導性酸化物膜上に支持基板を接合する工程と、
    前記櫛歯電極が除去された前記強誘電体結晶基板の前記一方面を研磨する工程と、
    前記研磨された一方面上に上部クラッド層を形成する工程とを備えた、導波路型波長変換素子の製造方法。
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