[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の建物を、柱及び大梁を有する建物ユニットが複数組み合わされて構築されたユニット式建物として具体化している。図1は建物10における窓部14周辺の縦断面図、図2はシャッタ装置20の構成を示す図、図3はシャッタケース22の移動について説明するための図である。なお、図2においては、(a)にシャッタカーテン21を半開させた状態のシャッタ装置20の正面図を示し、(b)に(a)のA−A線断面図を示している。また、図3においては、(a)にシャッタカーテン21がシャッタケース22に収納された状態のシャッタ装置20周辺の正面図を示し、(b)にシャッタケース22周辺の縦断面図を示しており、(b)においてはシャッタカーテン21の図示を省略している。
図1に示すように、住宅等の建物10は、外壁11と、外壁11の上に設置された屋根部12とを有している。また、建物10は、建物内空間としての居室13を有しており、外壁11における居室13を屋外とを仕切る部分には、外壁開口部としての窓部14が設けられている。窓部14には、矩形枠状のサッシ枠15が取り付けられており、そのサッシ枠15には、サッシ戸16が設けられている。
なお、外壁11は、建物ユニットの躯体に取り付けられており、その躯体により支持されている。建物ユニットは、四隅に立設された柱と、柱の上端部同士を連結する天井大梁と、柱の下端部同士を連結する床大梁とを有し、それら柱、天井大梁及び床大梁により形成された躯体は略直方体状をなしている。
窓部14の屋外側にはシャッタ装置20が設けられている。シャッタ装置20は、サッシ戸16の屋外面に沿って昇降するシャッタカーテン21と、シャッタカーテン21を収納するシャッタケース22とを有している。シャッタケース22は、窓部14の上方において、外壁11の屋外側に配置されている。シャッタケース22の内部には、シャッタカーテン21を巻き取る巻取ドラム23が設けられており、シャッタカーテン21は、巻取ドラム23に巻かれた状態でシャッタケース22に収納される。
巻取ドラム23の回転軸はシャッタカーテン21の昇降方向に対して直交する方向(水平方向)に延びており、シャッタカーテン21は、巻取ドラム23に巻き取られることで開状態に移行することが可能になっており、巻取ドラム23から繰り出されることで閉状態に移行することが可能になっている。
シャッタカーテン21は、スラット式シャッタカーテンとされており、長尺板状のスラット25を複数有している。各スラット25は水平方向に沿って延びた状態で、上下方向に並べて配置されている。
なお、シャッタ装置20は、電気モータを含んで構成されたカーテン駆動部を有しており、そのカーテン駆動部が駆動することで巻取ドラム23が回転し、シャッタカーテン21の昇降が行われる。
シャッタ装置20は、シャッタカーテン21の昇降方向を案内するシャッタレール27を有している。シャッタレール27は、外壁11から屋外側に突出した状態で設けられており、外壁11に沿ってシャッタケース22から下方に向けて延びている。窓部14の下方には、シャッタカーテン21が閉状態にある場合にそのシャッタカーテン21の下端を受けるシャッタ受け部28が設けられており、シャッタレール27は、シャッタケース22とシャッタ受け部28との間において、それらシャッタケース22とシャッタ受け部28とに上下に架け渡された状態になっている。シャッタ受け部28は、外壁11やサッシ枠15に対してボルト等の固定具により固定されている。
屋根部12は、寄棟屋根や切妻屋根などの傾斜屋根を構成するものであり、棟から軒先に向けて斜め下方に傾斜している。屋根部12においては、外壁11よりも側方(屋外側)に突出した部分が軒部31となっており、軒部31の下方には軒天井32が設けられている。軒天井32には、その軒天井32の天井面を形成する軒天板33が含まれている。軒天板33は、所定の耐水性能を有する不燃材により形成されており、外壁11と屋根部12の軒先とに架け渡された状態で設けられている。また、軒部31と軒天井32との間には軒天裏空間34が形成されている。
なお、軒部31及び軒天井32は、いずれも外壁11から屋外側に張り出した張出部に含まれている。
シャッタケース22は、軒天井32に下方から埋め込まれている。軒天井32には、軒天板33を貫通する軒天開口部36が形成されており、シャッタケース22においては、少なくともその上部が軒天開口部36を通じて軒天裏空間34に入り込んでいる。この場合、デッドスペースとしての軒天裏空間34をシャッタケース22の設置スペースとして有効利用していることになる。シャッタケース22においては、下端寄りの部分が軒天井32よりも下方に突出している。シャッタケース22の外周面のうち外壁11側の側面は、外壁11の屋外側面(外壁面)と重なった状態になっている。なお、軒天開口部36は、軒天井32における外壁11側の端部から屋外側に向けて入り込んだ切り欠き部により形成されている。
図2(a),(b)に示すように、シャッタレール27は、窓部14を左右から挟むように一対設けられている。各シャッタレール27には、上下方向に延びるレール溝41がそれぞれ形成されており、それぞれのレール溝41が互いに対向する向きで配置されている。シャッタカーテン21は、その両端部がそれぞれレール溝41により保持された状態で、それらレール溝41に沿って上下方向に移動するようになっている。
シャッタカーテン21は、各スラット25のそれぞれの両端から側方に向けて突出したリンク部42と、各リンク部42を連結する連結部43とを有している。シャッタカーテン21においては、リンク部42がシャッタレール27のレール溝41内に入り込んでおり、連結部43はレール溝41内に配置されている。この場合、各スラット25は連結部43により連結されている。
なお、シャッタカーテン21においては、水平方向に延びる軸線を中心として各スラット25が回動可能になっている。各スラット25は、回動することで開状態と閉状態とに移行可能になっており、開状態にある場合には隣り合うスラット25の間に通気部が形成され、閉状態にある場合には隣り合うスラット25の間を通じての通気が遮断される。連結部43及びリンク部42は、スラット25を開閉させることが可能な開閉ガイド機構を構成している。
シャッタレール27は、シャッタケース22側(上側)に配置された上側レール部51と、シャッタ受け部28側(下側)に配置された下側レール部52とを有している。これらレール部51,52は、金属材料や合成樹脂材料により長尺状に形成されており、上下方向に延びている。下側レール部52は、シャッタ受け部28から上方に向けて延びており、外壁11及びシャッタ受け部28に対してボルト等の固定具や溶接等により固定されている。
上側レール部51は、シャッタケース22から下方に向けて延びており、その上端部がシャッタケース22内に入り込んだ状態でそのシャッタケース22に対して溶接等により固定されている。上側レール部51の下部と下側レール部52の上部とは、側面同士が重なった重複部分となっており、その重複部分において、上側レール部51が下側レール部52に対して着脱可能なボルト等のレール固定部材53により固定されている。下側レール部52は、シャッタケース22から下方に離間しており、上側レール部51は、シャッタケース22と下側レール部52とに架け渡された状態になっている。この場合、下側レール部52には、上側レール部51を介してシャッタケース22が固定されていることになる。
上側レール部51は、レール固定部材53が取り外されて下側レール部52に対する固定が解除された場合に、下側レール部52に沿って下方にスライド移動する。上側レール部51及び下側レール部52には、上下方向に延びる溝部51a,52aがそれぞれ形成されており、それら溝部51a,52aが上下に連続していることでレール溝41が形成されている。シャッタレール27は、上側レール部51及び下側レール部52により形成された内外二重構造を有している。なお、下側レール部52が第1レール部に相当し、上側レール部51が、第1レール部に沿って移動する第2レール部に相当する。
シャッタレール27においては、下側レール部52が上側レール部51の下端から溝部51a内に入り込んだ状態になっており、下側レール部52におけるその入り込んだ部分が上側レール部51との重複部分になっている。レール固定部材53が取り外された場合、上側レール部51は、下側レール部52の外周面により移動方向が案内されることになる。
上側レール部51が下方に移動する場合、その上側レール部51と共にシャッタケース22も下方に移動することになる。この場合、下側レール部52が、シャッタケース22の移動方向を案内するガイドレールに相当する。シャッタケース22の下面部22aには、下側レール部52を挿通可能なレール挿通孔55が形成されており、シャッタケース22は、下側レール部52の上端部がレール挿通孔55を下方から通過してシャッタケース22内に入り込むことで、下側レール部52の上端部との間の領域よりも下方に移動することが可能になっている。レール挿通孔55は、上側レール部51の溝部51aの上方に配置されている。
ちなみに、下面部22aには、シャッタカーテン21をシャッタケース22内から繰り出すための繰り出し口56が形成されている。繰り出し口56は、シャッタカーテン21の幅方向に沿って延びている細長形状とされており、繰り出し口56の端部にレール挿通孔55が連結された状態になっている。
なお、シャッタケース22や上側レール部51は、外壁11や建物躯体に対して着脱可能なボルト等の固定具により固定されていてもよい。この場合でも、外壁11や建物躯体に対する固定が解除され、下側レール部52に対する上側レール部51の固定が解除されることで、シャッタケース22及び上側レール部51を、下側レール部52に沿って下方に移動させることが可能となる。
図3(b)に示すように、上側レール部51には、シャッタケース22の下方への移動を規制するストッパ57が設けられている。ストッパ57は、上側レール部51の上端に設けられており、溝部51aの内側に向けて突出している。シャッタケース22が下方に移動した場合、ストッパ57が下側レール部52の上端面に引っ掛かることで、下側レール部52に対するシャッタケース22の下方への移動が停止し、シャッタケース22が下方位置Aにて保持される。なお、ストッパ57が位置保持手段に相当する。また、ストッパ57は、シャッタケース22や下側レール部52に設けられていてもよい。
ここで、シャッタケース22内では、シャッタカーテン21における上側レール部51よりも上方に引き上げられた部分がその上側レール部51から引き出され、その引き出された部分が巻取ドラム23に巻き取られるようになっている。上側レール部51においては、溝部51aを上方に向けて開放する開放部分が、シャッタカーテン21におけるシャッタケース22に収納された部分を上側レール部51に引き込むカーテン引込口58になっている。シャッタカーテン21は、カーテン引込口58を通じて溝部51aに引き込まれることで上側レール部51に装着され、カーテン引込口58を通じて溝部51aから上方に引き出されることで巻取ドラム23に巻回される。なお、カーテン引込口58は、溝部51aを側方に向けて開放するように上側レール部51の側面に設けられていてもよい。
シャッタケース22が下方位置Aにある場合、下側レール部52の上端が上側レール部51の上端とほぼ同じ高さにある。この場合、上側レール部51が下がり過ぎてその上側レール部51の上端が下側レール部52の上端よりも低い位置になることがストッパ57により規制されている。このため、カーテン引込口58を通じて上側レール部51側と巻取ドラム23側とに架け渡された状態になっているシャッタカーテン21が下側レール部52に上方から引っ掛かるということを回避できる。つまり、シャッタカーテン21における上側レール部51から引き出された部分と引き出されていない部分との境界部分が下側レール部52に引っ掛かるということを回避できる。
上記のように、下方位置Aは、上側レール部51のカーテン引込口58と下側レール部52との上端部との位置関係によって定められるものである。この場合、下方位置Aは、上側レール部51の上端部と下側レール部52の上端部との離間距離や、シャッタケース22と下側レール部52との離間距離、下側レール部52の長さ寸法などに応じて定められるものであるということもできる。
図3(a),(b)に示すように、シャッタケース22が二点鎖線で示す下方位置Aにある場合、シャッタケース22は、軒天開口部36から下方に引き出された位置にあり、軒天井32から下方に離間している。ここで、シャッタケース22は、その内部を正面側及び上方に向けて露出させることが可能なフタ部61を有している。フタ部61は、シャッタケース22における正面(外壁11とは反対側の側面)と上面とを形成しており、シャッタケース22に対して回動可能に軸支されている。その回動軸は、シャッタケース22の上部であって外壁11側に配置され、シャッタケース22の幅方向に沿って延びており、フタ部61は、その下端が上方に向けて移動することで開放される。
シャッタ装置20のメンテナンス作業などに際して、シャッタケース22内を対象として作業を行うことが想定される。この場合、シャッタケース22が軒天開口部36に入り込んだ状態では、フタ部61を開放させることはできないが、シャッタケース22を下方位置Aに移動させることで、シャッタケース22と軒天井32との離間部分を利用してフタ部61を開放させることが可能となる。
シャッタケース22は、シャッタカーテン21が開状態及び閉状態のいずれにある場合でも、上側レール部51と共に下方に移動させることが可能になっている。ここで、シャッタカーテン21の開状態のうち、シャッタカーテン21の全てがシャッタケース22内に収納されている場合は、シャッタカーテン21がシャッタケース22の移動の支障になることはない。
一方、シャッタカーテン21の開状態のうち、シャッタカーテン21の少なくとも一部が繰り出されている半開状態にある場合、及びシャッタカーテン21が閉状態にある場合は、シャッタケース22を下方に移動させるとそれに伴ってシャッタカーテン21も下方に移動することになる。この場合、シャッタカーテン21がシャッタ受け部28に当接してしまって下方位置Aまで移動できない状態になることが想定される。これに対して、シャッタ受け部28を下側レール部52から取り外しておくことで、シャッタカーテン21を下側レール部52の下端よりも下方に引き出すことが可能となり、シャッタケース22を下方位置Aまで移動させることが可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
シャッタケース22が軒天井32に下方から埋め込まれているため、上下方向における軒天井32と窓部14との位置関係に関する設定の自由度を高めることができる。つまり、軒天井32を設置する高さ位置や窓部14の高さ位置、窓部14の上下寸法などについて、シャッタケース22から制限を受けることが抑制され、軒天井32や窓部14の高さ位置、窓部14の上下寸法などを好適に設定することができる。また、デッドスペースになりやすい軒天裏空間34をシャッタケース22の設置スペースとして有効利用することができる。
しかも、シャッタケース22を下側レール部52に沿って下方に移動させることで、シャッタケース22については軒天井32よりも下側に露出する部分が増加する。この場合、シャッタケース22などのシャッタ装置20に対するメンテナンス作業を行う際に、シャッタケース22の内部にアクセス可能な方向や範囲が増加するため、作業性を高めることや作業精度を高めることができる。
以上により、シャッタ装置20の設置スペースを軒天井32の下方に確保しなくても、そのシャッタ装置20に関するメンテナンス作業を好適に行うことができる。
下方に移動させたシャッタケース22がストッパ57により下方位置Aにて保持されるため、作業者はシャッタケース22を手で持って保持するという必要がない。このため、シャッタケース22を下方に移動させた状態でメンテナンス作業を行う際に、そのメンテナンス作業の作業負担を低減することができる。
シャッタケース22は、上側レール部51と一体で下側レール部52に沿って下方に移動可能になっているため、例えば上側レール部51に対してシャッタケース22が相対的に下方に移動する構成とは異なり、シャッタケース22内においてシャッタカーテン21が上側レール部51の上端に引っ掛かってシャッタケース22を下方に移動させることができないということを回避できる。
下側レール部52がシャッタケース22から下方に離間しているため、下側レール部52がレール挿通孔55を通じてシャッタケース22に入り込まない高さ位置(下方位置Aよりも上方の位置)までは、シャッタケース22を下方に移動させてもシャッタケース22内においてシャッタカーテン21が上方から下側レール部52に引っ掛かることがない。このため、シャッタケース22と下側レール部52とが離間している領域においては、シャッタケース22を下方に移動させることが可能である。
シャッタケース22がストッパ57により下方位置Aに保持されている場合、下側レール部52の上端が上側レール部51のカーテン引込口58よりも下方にあるため、下方へのシャッタケース22の移動に伴って下側レール部52が下方からシャッタカーテン21に接触するということを回避できる。これにより、シャッタカーテン21が下側レール部52との接触により破損したり変形したりすることを抑制できる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第1の実施形態では、上側レール部51及びシャッタケース22が一体的に下側レール部52に沿って下方に移動する構成としたが、第2の実施形態では、シャッタケース22が単独でシャッタレール27に沿って下方に移動する構成としている。図4はシャッタケース22周辺の縦断面図、図5はシャッタケース22及びシャッタレール27構成を示す図である。なお、図5においては、(a)にシャッタケース22とシャッタレール27との連結部分周辺の斜視図を示し、(b)に図4のB−B線断面図を示している。
図4に示すように、シャッタレール27は下方に移動する上側レール部51を有しておらず、シャッタレール27の全体が上下方向に移動しない状態で外壁11等に対して固定されている。この場合、シャッタレール27の全体が下側レール部52により形成されていると言うこともできる。
図4、図5(a)に示すように、シャッタケース22においては、下面部22aのレール挿通孔55を通じてシャッタレール27の上端部がシャッタケース22の内部に下方から入り込んでいる。シャッタケース22の内部においては、シャッタレール27の側面がシャッタケース22の内周面に当接しており、その当接部分において、シャッタケース22がシャッタレール27に対して着脱可能なボルト等のレール固定部材71により固定されている。
シャッタレール27とシャッタケース22との固定部分は、軒天井32の下方に配置されている。この場合、レール固定部材71は軒天井32の下方に露出しており、作業者は軒天裏空間34に手や工具を挿し入れなくても軒天井32の下方にて、シャッタレール27及びシャッタケース22に対するレール固定部材71の着脱作業を行うことが可能となる。
レール固定部材71が取り外されることでシャッタレール27に対するシャッタケース22の固定が解除された場合、シャッタケース22をシャッタレール27に沿って下方に移動させることが可能になっている。
本実施形態では、シャッタケース22を単独でシャッタレール27に沿って下方に移動させることになるため、シャッタケース22内においてシャッタレール27と巻取ドラム23に架け渡された状態になっているシャッタカーテン21が、シャッタケース22を下方に移動させることでシャッタレール27に引っ掛かることが懸念される。
そこで、レール固定部材71を取り外す前に、シャッタカーテン21がシャッタレール27と巻取ドラム23とに架け渡されていない状態にする必要がある。具体的には、シャッタカーテン21の全てをカーテン引込口58から引き出して巻取ドラム23に巻回する作業、又はシャッタカーテン21の全てを巻取ドラム23から外してシャッタレール27に装着する作業を行う必要がある。これにより、シャッタカーテン21がシャッタレール27のカーテン引込口58に引っ掛かってシャッタケース22を下方に移動させることができないということを回避できる。
シャッタケース22には、そのシャッタケース22を下方に移動させることで入り込んでくるシャッタレール27を収納可能な収納スペースSが設けられている。収納スペースSは、シャッタケース22においてシャッタレール27から上方に向けてシャッタケース22の上面部22b(図5(b)参照)まで延びている。このため、シャッタケース22を下方に移動させても、シャッタレール27がシャッタケース22の内部において巻取ドラム23等の内蔵部材と干渉しないようになっている。
シャッタケース22を下方に移動させた場合、そのシャッタケース22は、上面部22bにシャッタレール27の上端が下方から当接した位置で保持される。この位置を第1位置A1と称すれば、第1位置A1は、シャッタケース22が移動可能な下方位置に相当する。
本実施形態のシャッタケース22においては、上記第1の実施形態とは異なり、フタ部61がシャッタケース22の正面及び上面のうち正面を形成しており、シャッタケース22の内部を正面側及び上方のうち正面側に向けて露出させることが可能になっている。フタ部61の回動軸は、シャッタケース22の上部であって正面側に配置されている。このように、シャッタケース22の上面部22bが開放しない構成となっており、この上面部22bは、シャッタレール27に引っ掛かることでシャッタケース22を第1位置A1にて保持する位置保持手段に相当する。
シャッタケース22が第1位置A1にある場合、フタ部61が軒天井32よりも下方に露出している。この場合、そのフタ部61を開放することが可能になっており、その開放部分を通じてシャッタケース22の内部についてメンテナンス作業を行うことが可能になっている。このため、第1位置A1は、シャッタケース22についてフタ部61を開放可能な高さ位置であればよく、必ずしもシャッタケース22の全体を軒天井32の下方に露出させる高さ位置でなくてもよい。
シャッタ装置20においては、シャッタレール27がシャッタケース22の上面部22bを上方に向けて貫通可能とされており、シャッタケース22は、シャッタレール27が上面部22bを貫通した状態となることで第1位置A1よりも下方の第2位置A2に移動可能となっている。なお、第2位置A2は、シャッタケース22がシャッタレール27に装着されている状態である場合に、第1位置A1よりも下方の位置の全ての位置のことである。
図5(b)に示すように、シャッタケース22の上面部22bには上面貫通孔72が形成されている。上面部22bは、板状の板部73よりなり、上面貫通孔72は板部73に形成されている。また、上面部22bは、上面貫通孔72を閉鎖する板状の閉鎖部74を有している。閉鎖部74は、板部73に対してボルト等の固定具により着脱可能に取り付けられており、板部73から取り外されることで上面貫通孔72が開放される。なお、閉鎖部74は、板部73に対して開閉可能に軸支されていてもよく、板部73に沿ってスライド移動可能に取り付けられていてもよい。つまり、閉鎖部74は開閉可能に板部73に対して取り付けられていればよい。
シャッタケース22が第1位置A1にある場合、シャッタレール27の上端は上面部22bのうち閉鎖部74に下方から当接している。このため、閉鎖部74を開状態に移行させる(板部73から取り外す)ことで上面貫通孔72が開放され、シャッタレール27が上面部22bを上方に向けて貫通することが可能となる。なお、上面部22bのうち特に閉鎖部74が位置保持手段に相当することになる。
図4の説明に戻り、閉鎖部74が取り外された場合、シャッタケース22を第1位置A1から第2位置A2に移動させることが可能となる。シャッタケース22が第2位置A2にある場合、第1位置A1にある場合に比べてシャッタケース22が低い位置にあるため、シャッタケース22に対するメンテナンス作業を容易化できる。
なお、シャッタケース22が第2位置A2における所定の位置にて保持される構成としてもよい。また、シャッタ受け部28を取り外すことで、シャッタケース22をシャッタレール27の下端から取り外すことが可能な構成とされていてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
シャッタケース22は、第1位置A1にある場合に軒天井32よりも低い位置にあるため、その全体が軒天井32の下方に露出している。この場合、シャッタケース22に対する作業を、下方及び側方から行うことはもちろんのこと、上方からも行うことが可能となる。これにより、シャッタ装置20のメンテナンス作業を行う際に作業方向についての制限を極力少なくすることができる。
シャッタケース22を、第1位置A1よりも下方の第2位置A2に移動させることが可能であるため、シャッタ装置20に対するメンテナンス作業の内容や状況などに合わせて、シャッタケース22を下げる高さ位置を適宜選択することができる。これにより、作業効率や作業精度を高めることができる。
シャッタケース22は、その上面部22bにシャッタレール27が下方から当接することで第1位置A1にて保持されるため、専用の位置保持手段をシャッタ装置20や外壁11に設ける必要がない。したがって、シャッタケース22を第1位置A1に保持する構成を実現する上で、コスト負担を低減することができるとともに、シャッタ装置20の構成が煩雑になることを抑制できる。
シャッタケース22は、その上面部22bの閉鎖部74にシャッタレール27が下方から当接することで第1位置A1にて保持されるため、閉鎖部74を開放させるという容易な作業によりシャッタケース22を第1位置A1から第2位置A2に移動させることができる。これにより、シャッタケース22を第2位置A2に移動させる作業を容易化できる。
[他の実施形態]
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記各実施形態では、シャッタレール27がシャッタカーテン21及びシャッタケース22の各移動を両方とも案内する構成としたが、シャッタケース22の移動を案内する専用のガイドレールが設けられていてもよい。例えば、シャッタレール27よりも外壁11から離れた位置にガイドレールが設置され、そのガイドレールに沿ってシャッタケース22が下方に移動する構成とする。この構成では、外壁11に取り付けられたブラケット等によりガイドレールが支持されており、それによって、ガイドレールが外壁11に設けられていることになる。なお、この場合、シャッタケース22がシャッタレール27により下方から支持されており、シャッタレール27をシャッタケース22や外壁11などから取り外すことで、シャッタケース22が下方に移動可能となる構成としてもよい。
また、シャッタケース22を下方に移動させた場合にガイドレールがシャッタケース22の内部に入り込まない構成とされていてもよい。例えば、ガイドレールが、シャッタケース22の側面や正面、背面を移動可能な状態で保持(係合)している構成とする。この構成では、シャッタケース22にレール挿通孔55や収納スペースSを設ける必要がない。さらに、ガイドレールは、外壁11に埋め込まれていてもよい。この場合でも、ガイドレールがシャッタケース22の背面部を保持する構成であれば、シャッタケース22を下方に移動させることは可能である。
(2)上記第1の実施形態では、上側レール部51がレール固定部材53により下側レール部52に対して直接的に固定されていたが、上側レール部51は下側レール部52に対して直接的に固定されていなくてもよい。例えば、上側レール部51及びシャッタケース22の少なくとも一方がボルト等の固定具により外壁11に固定されている構成とする。この構成でも、外壁11に対する上側レール部51及びシャッタケース22の固定を解除することで、シャッタケース22を上側レール部51ごと下方に移動させることが可能になる。
(3)上記第2の実施形態では、シャッタケース22がレール固定部材71によりシャッタレール27に対して直接的に固定されていたが、シャッタケース22は、シャッタレール27に対して直接的に固定されていなくてもよい。例えば、シャッタケース22がボルト等の固定具により外壁11に固定されている構成とする。この構成でも、外壁11に対するシャッタケース22の固定を解除することで、シャッタケース22を下方に移動させることが可能になる。
(4)上記第1の実施形態では、シャッタレール27の内外二重構造において、上側レール部51が外側とされ、下側レール部52が内側とされていたが、下側レール部52が外側とされ、上側レール部51が内側とされていてもよい。つまり、上側レール部51が下側レール部52の溝部52a内に入り込んだ状態とされていてもよい。
(5)上記第1の実施形態では、シャッタレール27において、上側レール部51と下側レール部52とが連結部分において内外二重構造になっていたが、その連結部分においては、上側レール部51と下側レール部52とが左右及び前後のうち一方においてだけ重ねられた構成としてもよい。この場合でも、上側レール部51と下側レール部52との重複部分をレール固定部材53により連結することは可能である。また、この場合、下側レール部52から上側レール部51が離脱しないように、上側レール部51が下側レール部52と係合した状態で上下に移動する構成とされることが好ましい。
(6)上記第2の実施形態においては、シャッタカーテン21をカーテン引込口58から引き出さなくてもシャッタケース22から取り外すことが可能な構成としてもよい。例えば、一対のシャッタレール27のうち少なくとも一方が他方から遠ざかる向きに移動可能な構成や、シャッタカーテン21の各スラット25が長手方向において縮むことが可能な構成とする。これらの構成によれば、シャッタカーテン21が閉鎖状態にある場合でも、シャッタレール27からシャッタカーテン21を取り外すことが可能になる。
(7)上記第2の実施形態においては、シャッタケース22の上面部22bのうち閉鎖部74だけが開放する構成としたが、上面部22bの板部73全体が開放する構成としてもよい。この場合でも、板部73を開放することでシャッタケース22を第1位置A1から第2位置A2に移動させることができる。
(8)上記各実施形態では、シャッタ装置20が窓部14に対して設けられているが、シャッタ装置20は、外壁11に設けられた窓部14や出入口などの外壁開口部に対して設けられていればよい。この場合、シャッタ装置20のシャッタカーテン21は、外壁開口部の屋外側において昇降することになる。
(9)シャッタケース22は、外壁11から屋外側に張り出した軒天井32やバルコニー等の張出部に下方から埋め込まれていればよい。シャッタケース22が埋め込まれている対象が張出部でありさえすれば、シャッタケース22を下方に移動させることでメンテナンス作業を容易化できるなどのメリットを得ることができる。