JP5982202B2 - 非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス - Google Patents

非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、保存安定性に優れ、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定な固体電解質界面を形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤に関する。また、本発明は、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスに関する。
近年、環境問題の解決、持続可能な循環型社会の実現に対する関心が高まるにつれ、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスの研究が広範囲に行われている。なかでもリチウムイオン電池は高い使用電圧とエネルギー密度から、ノート型パソコン、携帯電話等の電源として用いられている。これらリチウムイオン電池は、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較してエネルギー密度が高く、高容量化が実現されるため期待されている。
しかしながら、リチウムイオン電池には、充放電サイクルの経過に伴って電池の容量が低下するという問題がある。これは長期間の充放電サイクルの経過に伴い、電極反応による電解液の分解や電極活物質層への電解質の含浸性の低下、更にリチウムイオンのインターカレーション効率の低下が生じること等が要因に挙げられる。
充放電サイクルの経過に伴う電池の容量の低下を抑制する方法として、電解液に各種添加剤を加える方法が検討されている。添加剤は、最初の充放電時に分解され、電極表面上に固体電解質界面(SEI)と呼ばれる被膜を形成する。SEIは、充放電サイクルの最初のサイクルにおいて形成されるため、電解液中の溶媒等の分解に電気が消費されることはなく、リチウムイオンはSEIを介して電極を行き来することができる。すなわち、SEIの形成は充放電サイクルを繰り返した場合の非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの劣化を防ぎ、電池特性、保存特性又は負荷特性等を向上させることに大きな役割を果たすと考えられている。
SEIを形成する電解液用添加剤として、例えば、特許文献1〜3には、環状モノスルホン酸エステルが開示されている。また、特許文献4には、含硫黄芳香族化合物が開示されており、特許文献5にはジスルフィド化合物が開示されている。更に、特許文献6〜9にはジスルホン酸エステルが開示されている。
また、特許文献10〜13には、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートを含有する電解液が開示されており、特許文献14、15では1,3−プロパンスルトン及びブタンスルトンを含有する電解液が開示されている。
特開昭63−102173号公報 特開2000−003724号公報 特開平11−339850号公報 特開平05−258753号公報 特開2001−052735号公報 特開2009−038018号公報 特開2005−203341号公報 特開2004−281325号公報 特開2005−228631号公報 特開平04−87156号公報 特開平05−74486号公報 特開平08−45545号公報 特開2001−6729号公報 特開昭63−102173号公報 特開平10−50342号公報
非水電解液二次電池の電極における電気化学的還元に対する非水電解液用添加剤の適応性の指標として、例えば、「Geun−Chang,Hyung−Jin kim,Seung−ll Yu,Song−Hui Jun,Jong−Wook Choi,Myung−Hwan Kim.Journal of The Electrochemical Society,147,12,4391(2000)」には、非水電解液用添加剤を構成する化合物のLUMO(最低空分子軌道)エネルギーのエネルギー準位を用いる方法が報告されている。このような文献では、LUMOエネルギーが低い化合物ほど優れた電子受容体であり、非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成することができる非水電解液用添加剤になるとされている。従って、化合物のLUMOエネルギーを測定することにより、該化合物が非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極表面上に安定なSEIを形成する性能を有するかどうかを容易に評価することができ、この方法が現在では非常に有用な手段となっている。
一方で、特許文献1〜9に開示されている化合物では、LUMOエネルギーが高く、非水電解液用添加剤としての性能が不充分であったり、LUMOエネルギーが低くても化学的に不安定である等の問題があった。とりわけ、ジスルホン酸エステル化合物は低いLUMOエネルギーを示すものの、水分に対する安定性が低く容易に劣化するため、長期間保管する場合には、厳密な水分含有量及び温度の管理が必要であった。更に、例えば、一般的にリチウムイオン電池としては約60℃、リチウムイオンキャパシタとしては約80℃の耐熱温度が求められていることから、蓄電デバイスに用いられる非水電解液用添加剤の高温での安定性の向上は重要な課題の1つであった。
また、電極表面に形成されるSEIの性能は、用いる添加剤によって異なり、サイクル特性、充放電容量、内部抵抗等多くの電池特性に深く関与している。しかしながら、従来の添加剤を用いた場合では、充分な性能を持つSEIを形成させ、長期に亘ってその電池特性を高く維持し続けることは困難であった。
例えば、特許文献10〜15に記載されているビニレンカーボネート系化合物や1,3−プロパンスルトン等のスルトン系化合物を添加剤として用いた電解液は、負極表面上に電気化学的還元分解を生じて生成したSEIによって、不可逆的な容量低下を抑制することが可能となっている。しかし、これらの添加剤によって形成されたSEIは電極を保護する性能に優れるものの、リチウムイオンのイオン伝導性が低いため、内部抵抗を低下させる性能は小さかった。更に、形成されたSEIは、長期間の使用に耐える強度がなく、使用中にSEIが分解したり、SEIに亀裂が生じたりすることによって負極表面が露出し、電解液溶媒の分解が生じて電池特性が低下するといった問題点があった。
このように、従来の非水電解液用添加剤は充分な性能が得られておらず改善の余地があった。したがって、保存安定性に優れ、電極表面上に安定なSEIを形成し、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスの電池特性を向上させる新規な非水電解液用添加剤の開発が望まれていた。
本発明は、保存安定性に優れ、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1−1)で表される構造、又は、下記式(1−2)で表される構造を有し、準生成エンタルピーが−220〜−40kcal/molであり、かつ、加水分解反応に伴うエンタルピー変化が−5〜5kcal/molである化合物からなり、下記式(1−1)で表される構造を有する化合物は、最低空分子軌道エネルギーが−1.5〜0.4eVであり、下記式(1−2)で表される構造を有する化合物は、最低空分子軌道エネルギーが−3.0〜0.4eVである非水電解液用添加剤である。
Figure 0005982202
式(1−1)及び式(1−2)中、Aは、C(2m−n)を示し、mは1〜6の整数であり、nは0〜12の整数であり、Zは置換されていてもよいアルキル基、シリル基、ホスホン酸エステル基、アシル基、シアノ基、又は、ニトロ基を示す。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、前記式(1−1)で表される構造、又は、前記式(1−2)で表される構造を有し、最低空分子軌道エネルギーが−3.0〜0.4eVであり、標準生成エンタルピーが−220〜−40kcal/molであり、かつ、加水分解反応に伴うエンタルピー変化が−5〜5kcal/molである化合物(以下、本発明にかかるジスルホニル化合物ともいう)からなる非水電解液用添加剤を非水電解液に含有させ、更に該非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明にかかるジスルホニル化合物は、前記式(1−1)で表される構造、又は、前記式(1−2)で表される構造を有する。
前記式(1−1)及び前記式(1−2)中、Aは、C(2m−n)を示し、mは1〜6の整数であり、nは0〜12の整数であり、Zは置換されていてもよいアルキル基、シリル基、ホスホン酸エステル基、アシル基、シアノ基、又は、ニトロ基を示す。mの好ましい上限は4、より好ましい上限は2であり、Aは、メチレン基又はエチレン基であることが好ましい。Zが置換されたアルキル基である場合、アルキル基の一部又は全部の水素がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
本発明にかかるジスルホニル化合物は、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーの下限が−3.0eV、上限が0.4eVである。前記LUMOエネルギーが−3.0eV未満であると、過剰な分解を起こし、電極上に高い抵抗を示す被膜を形成するおそれがある。前記LUMOエネルギーが0.4eVを超えると、非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成することができないおそれがある。前記LUMOエネルギーの好ましい下限は−2.0eV、好ましい上限は0.3eV、より好ましい下限は−1.5eV、より好ましい上限は0.0eVである。
なお、前記「LUMO(最低空分子軌道)エネルギー」は、半経験的分子軌道計算法:PM3と密度汎関数法:B3LYP法とを組み合わせて算出される。具体的に本発明では、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア)を用いて算出された値を用いる。
本発明にかかるジスルホニル化合物は、標準生成エンタルピー(H)の下限が−220kcal/mol、上限が−40kcal/molである。前記標準生成エンタルピーが−220kcal/mol未満であると、非水電解液に含有された際に化合物としての安定性が低下するおそれがある。前記標準生成エンタルピーが−40kcal/molを超えると、非水電解液に含有され、蓄電デバイスに用いられた際に、電気化学的還元分解が起こりにくくなるおそれがある。前記標準生成エンタルピーの好ましい下限は−200kcal/mol、好ましい上限は−50kcal/mol、より好ましい下限は−180kcal/mol、より好ましい上限は−60kcal/molである。
なお、前記「標準生成エンタルピー」は、半経験的分子軌道計算法:PM3法に基づき算出される。具体的に本発明では、Cambridge Soft Corporation社製のCS Chem3D(R)Version4.0中に搭載されている富士通社製のMOPAC計算ソフト、MOPAC97(分子軌道計算ソフト)によって算出された値を用いる。
本発明にかかるジスルホニル化合物は、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)の下限が−5kcal/mol、上限が5kcal/molである。前記加水分解反応に伴うエンタルピー変化が−5kcal/mol未満であると、水分に対する安定性が低くなり、容易に加水分解されるおそれがある。前記加水分解反応に伴うエンタルピー変化が5kcal/molを超えると、水分に対する安定性は高くなるが、非水電解液に含有され、蓄電デバイスに用いられた際に、電気化学的還元分解が起こりにくくなるおそれがある。前記加水分解反応に伴うエンタルピー変化の好ましい下限は−4.5kcal/mol、好ましい上限は3.0kcal/mol、より好ましい下限は−4.0kcal/mol、より好ましい上限は1.5kcal/molである。
なお、前記「加水分解反応に伴うエンタルピー変化」とは、下記式で表され、半経験的分子軌道計算法:PM3と密度汎関数法:B3PW91法とを組み合わせて算出される。具体的に本発明では、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア)を用いて算出された値を用いる。
「加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)」=「加水分解による生成系のエンタルピー」−「加水分解前の反応系のエンタルピー」
本発明にかかるジスルホニル化合物は、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すため、該化合物からなる本発明の非水電解液用添加剤は、非水電解液に含有され非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる。また、本発明にかかるジスルホニル化合物は、水分や温度変化に対して安定であるため、該化合物からなる本発明の非水電解液用添加剤は、長期間、室温で保存することが可能である。したがって、該非水電解液用添加剤を含有する非水電解液も、長期間の保存及び使用に耐えることができる。
本発明の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含有する非水電解液もまた、本発明の1つである。
本発明の非水電解液における本発明の非水電解液用添加剤の含有量(即ち、本発明にかかるジスルホニル化合物の含有量)は特に限定されないが、好ましい下限は0.005質量%、好ましい上限は10質量%である。本発明の非水電解液用添加剤の含有量が0.005質量%未満であると、非水電解液二次電池等に用いた場合に電極表面での電気化学的還元によって安定なSEIを充分に形成できないおそれがある。本発明の非水電解液用添加剤の含有量が10質量%を超えると、溶解しにくくなるだけでなく非水電解液の粘度が上昇し、イオンの移動度を充分に確保できなくなるため、電解液の導電性等を充分に確保することができず、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に充放電特性等に支障をきたすおそれがある。本発明の非水電解液用添加剤の含有量のより好ましい下限は0.01質量%である。なお、本発明の非水電解液用添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、該化合物を2種以上併用する場合の含有量は、合わせて、好ましい下限は0.005質量%、好ましい上限は10質量%である。
更に、該非水電解液用添加剤と共に、必要に応じて、非水電解液にビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3−プロパンスルトン(PS)等のその他の一般的な添加剤を混合してもよい。
前記非水溶媒としては、得られる非水電解液の粘度を低く抑える等の観点から、非プロトン性溶媒が好適である。なかでも、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。なかでも、環状カーボネート、鎖状カーボネートがより好ましく用いられる。
前記環状カーボネートとしては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等が挙げられる。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等が挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル等が挙げられる。
前記ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。
前記スルホンとしては、例えば、スルホラン等が挙げられる。
前記ハロゲン誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、複数種を混合してもよい。
これらの非水溶媒は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等に好ましく用いられる。
前記電解質としては、リチウムイオンのイオン源となるリチウム塩が好ましい。なかでも、LiAlCl、LiBF、LiPF、LiClO、LiAsF、及び、LiSbFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、解離度が高く電解液のイオン伝導度を高めることができ、さらには耐酸化還元特性により長期間使用による蓄電デバイスの性能劣化を抑制する作用がある等の観点から、LiBF、LiPFであることがより好ましい。これらの電解質は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記LiBF、LiPFが用いられる場合、非水溶媒としては、環状カーボネート及び鎖状カーボネートをそれぞれ1種以上混合することが好ましく、炭酸エチレン及び炭酸ジエチルを混合することがより好ましい。
本発明の非水電解液における前記電解質の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は0.1mol/L、好ましい上限は2.0mol/Lである。前記電解質の濃度が0.1mol/L未満であると、非水電解液の導電性等を充分に確保することができず、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に放電特性及び充電特性等に支障をきたすおそれがある。前記電解質の濃度が2.0mol/Lを超えると、粘度が上昇し、イオンの移動度を充分に確保できなくなるため、非水電解液の導電性等を充分に確保することができず、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に放電特性及び充電特性等に支障をきたすおそれがある。前記電解質の濃度のより好ましい下限は0.5mol/L、より好ましい上限は1.5mol/Lである。
本発明の非水電解液、正極、及び、負極を備えた蓄電デバイスもまた、本発明の1つである。蓄電デバイスとしては、非水電解液二次電池や電気二重層キャパシタ等がある。これらの中でもリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタが好適である。
図1は、本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池の一例を模式的に示した断面図である。
図1において、非水電解液二次電池1は、正極集電体2の一方面側に正極活物質層3が設けられてなる正極板4、及び、負極集電体5の一方面側に負極活物質層6が設けられてなる負極板7を有する。正極板4と負極板7とは、本発明の非水電解液8と非水電解液8中に設けたセパレータ9を介して対向配置されている。
本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池において、正極集電体2及び負極集電体5としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属からなる金属箔を用いることができる。
本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池において、正極活物質層3に用いる正極活物質としては、リチウム含有複合酸化物が好ましく用いられ、例えば、LiMnO、LiFeO、LiCoO、LiMn、LiFeSiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiFePO等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池において、負極活物質層6に用いる負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵、放出することができる材料が挙げられる。このような材料としては、黒鉛、非晶質炭素等の炭素材料や、酸化インジウム、酸化シリコン、酸化スズ、酸化亜鉛、及び、酸化リチウム等の酸化物材料等が挙げられる。
また、負極活物質として、リチウム金属、及び、リチウムと合金を形成することができる金属材料を用いることもできる。前記リチウムと合金を形成することができる金属としては、例えば、Cu、Sn、Si、Co、Mn、Fe、Sb、Ag等が挙げられ、これらの金属とリチウムを含む2元又は3元からなる合金を用いることもできる。
これらの負極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池において、セパレータ9としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等からなる多孔質フィルムを用いることができる。
本発明によれば、保存安定性に優れ、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することができる。また、本発明によれば、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することができる。
本発明の蓄電デバイスにかかる非水電解液二次電池の一例を模式的に示した断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(メタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)(化合物1)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−フェニルアミン10.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)5.0g(0.015モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して30.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.62(s、2H)、7.28−7.45(m、10H)、4.28(s、2H)
(実施例2)
(メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物2)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)11.1g(0.031モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して62.5%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.30−7.41(m、10H)、4.32(s、2H)、3.46(s、6H)
(実施例3)
(メタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)(化合物3)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ベンジルメチルアミン13.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液し、得られた有機層より溶媒を25℃で減圧留去した。引き続きトルエン40.0gを添加した後、メタノール10.0gを滴下することにより、結晶を析出させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)2.5g(0.007モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して13.1%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCN)δ(ppm):7.33−7.44(m、10H)、4.66(s、2H)、4.41(s、4H)、2.82(s、6H)
(実施例4)
(メタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)(化合物4)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ジベンジルアミン21.7g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら50分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、50分間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液し、得られた有機層より溶媒を25℃で減圧留去した。引き続き、メタノール35.0gを添加し、結晶を析出させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)10.2g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して38.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.27−7.33(m、20H)、4.40(s、8H)、4.15(s、2H)
(実施例5)
(メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)(化合物5)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−(4−フルオロフェニル)アミン12.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を11時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)9.6g(0.027モル)を得た。メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して53.0%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.34−7.39(m、4H)、7.26(s、2H)7.08−7.14(m、4H)、4.21(s、2H)
(実施例6)
(メタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)(化合物6)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−(2−フルオロフェニル)アミン12.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き、同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)4.6g(0.013モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して25.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.52−7.58(m、2H)、7.49(d、2H)7.14−7.28(m、6H)、4.51(s、2H)
(実施例7)
(メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)(化合物7)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−(4−フルオロベンジル)アミン13.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン150.0g、水80.0g及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)5.6g(0.014モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して28.7%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:Acetone−D)δ(ppm):7.43−7.50(m、4H)、7.20−7.27(m、4H)、6.9(s、2H)、4.79(s、2H)、4.39(d、4H)
(実施例8)
(1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物8)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させた1,1−エタンジスルホニルクロライド11.4g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)4.6g(0.013モル)を取得した。1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、1,1−エタンジスルホニルクロライドに対して25.1%であった。
なお、得られた1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.30−7.41(m、10H)、4.68(q、1H)、2.75(s、6H)、1.72(d、3H)
(実施例9)
(1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)(化合物9)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ベンジルメチルアミン13.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させた1,1−エタンジスルホニルクロライド11.4g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)5.4g(0.014モル)を取得した。1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)の収率は、1,1−エタンジスルホニルクロライドに対して27.0%であった。
なお、得られた1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.06−7.14(m、10H)、4.67(q、1H)、3.81(s、4H)、2.69(s、6H)、1.70(d、3H)
(実施例10)
(1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物10)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させた1,2−エタンジスルホニルクロライド11.4g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)6.0g(0.016モル)を取得した。1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、1,2−エタンジスルホニルクロライドに対して32.3%であった。
なお、得られた1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.19−7.26(m、10H)、3.97(d、4H)、2.80(s、6H)
(実施例11)
(2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物11)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、実施例2と同様の方法で得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)17.9g(0.05モル)及びジクロロメタン70.0gを仕込み、60質量%水素化ナトリウム2.2g(0.055モル)を0℃で添加した。1時間保持した後、引き続き同温度に維持しながら、トリエチルアミン10.6g(0.10モル)及びジクロロメタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド0.5g(0.06モル)をそれぞれ1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン50.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)3.9g(0.010モル)を取得した。2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)に対して19.5%であった。
なお、得られた2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.89−7.27(m、10H)、5.35(s、1H)、2.81(s、6H)、2.09(s、3H)
(実施例12)
(α,α−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトフェノン(化合物12)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、実施例2と同様の方法で得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)17.9g(0.05モル)及びジクロロメタン70.0gを仕込み、60質量%水素化ナトリウム2.2g(0.055モル)を0℃で添加した。1時間保持した後、引き続き同温度に維持しながら、トリエチルアミン10.6g(0.10モル)及びジクロロメタン20.0gに溶解させたベンゾイルクロライド8.4g(0.06モル)をそれぞれ1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン50.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、α,α−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトフェノン6.0g(0.013モル)を取得した。α,α−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトフェノンの収率は、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)に対して26.3%であった。
なお、得られた(α,α−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトフェノンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.84−7.86(m、15H)、6.10(s、1H)、2.79(s、6H)
(実施例13)
(2,2−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトニトリル(化合物13)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、続いてシアノ酢酸0.85g(0.1モル)を1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留を行い、シアノメタンジスルホニルクロライド14.2gを得た。
次に撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたシアノメタンジスルホニルクロライド11.9g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、2,2−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトニトリル5.4g(0.014モル)を取得した。2,2−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトニトリルの収率は、シアノメタンジスルホニルクロライドに対して28.5%であった。
なお、得られた2,2−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトニトリルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.93−7.24(m、10H)、5.50(s、1H)、2.78(s、6H)
(実施例14)
(ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)ニトロメタン(化合物14)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、続いてニトロ酢酸10.5g(0.1モル)を1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留を行い、ニトロメタンジスルホニルクロライド15.5gを得た。
次に撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたニトロメタンジスルホニルクロライド12.9g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)ニトロメタン5.1g(0.013モル)を取得した。ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)ニトロメタンの収率は、ニトロメタンジスルホニルクロライドに対して25.4%であった。
なお、得られたビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)ニトロメタンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.88−7.15(m、10H)、5.89(s、1H)、2.77(s、6H)
(実施例15)
(トリメチルビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)メチルシラン(化合物15)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、実施例2と同様の方法で得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)17.9g(0.05モル)及びジクロロメタン70.0gを仕込み、60質量%水素化ナトリウム2.2g(0.055モル)を0℃で添加した。1時間保持した後、引き続き同温度に維持しながら、トリエチルアミン10.6g(0.10モル)及びジクロロメタン20.0gに溶解させたトリメチルシリルクロライド6.5g(0.06モル)をそれぞれ1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン50.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、トリメチルビス(メチルフェニルアミノスルホニル)メチルシラン4.5g(0.011モル)を取得した。トリメチルビス(メチルフェニルアミノスルホニル)メチルシランの収率は、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)に対して20.1%であった。
なお、得られたトリメチルビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)メチルシランは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.99−7.27(m、10H)、5.85(s、1H)、2.74(s、6H)、0.00(s、9H)
(比較例1)
(メタンジスルホン酸ビス(エチルアミド)(化合物16)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、エチルアミン5.0g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに混合させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(エチルアミド)2.5g(0.011モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(エチルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して21.4%であった。
(比較例2)
(メタンジスルホン酸ビス(n−プロピルアミド)(化合物17)の作製)
比較例1において、エチルアミン5.0g(0.11モル)に代えて、n−プロピルアミン6.5g(0.11モル)を用いた以外は比較例1と同様にして、メタンジスルホン酸ビス(n−プロピルアミド)4.3g(0.017モル、収率33.4%)を取得した。
(比較例3)
(メタンジスルホン酸ビス(イソプロピルアミド)(化合物18)の作製)
比較例1において、エチルアミン5.0g(0.11モル)に代えて、ジイソプロピルアミン11.1g(0.11モル)を用いた以外は比較例1と同様にして、メタンジスルホン酸ビス(イソプロピルアミド)5.1g(0.015モル、収率30.0%)を取得した。
(比較例4)
(メタンジスルホン酸ビス(n−ブチルアミド)(化合物19)の作製)
比較例1において、エチルアミン5.0g(0.11モル)に代えて、n−ブチルアミン8.0g(0.11モル)を用いた以外は比較例1と同様にして、メタンジスルホン酸ビス(n−ブチルアミド)4.2g(0.015モル、収率29.1%)を取得した。
(比較例5)
リチウムイオン電池等の添加剤として一般的に用いられる、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を非水電解液用添加剤として用意した。
<評価>
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例1〜15で得られた化合物1〜15、及び、比較例1〜4で得られた化合物16〜19について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表1、2に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例1〜15で得られた化合物1〜15、及び、比較例1〜4で得られた化合物16〜19について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表1、2に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例1〜15で得られた化合物1〜15、及び、比較例1〜4で得られた化合物16〜19について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表1、2に示した。
Figure 0005982202
Figure 0005982202
表1より、化合物1〜15のLUMOエネルギーは負の値を示す約−0.45eVから約−2.84eVであり、これらのジスルホン酸アミド化合物は、低いLUMOエネルギーを有していることがわかる。そのため、化合物1〜15を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)よりも先に化合物1〜15の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
一方、表2より、化合物16〜19は約0.48eVから約0.63eVと高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。従って、化合物16〜19は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
表1より、化合物1〜15の標準生成エンタルピー(H)は約−56.2kcal/molから約−102.8kcal/molである。すなわち、化合物1〜15は、非水電解液に含有された際の保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表1より、化合物1〜15の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−1.7kcal/molから約−4.7kcal/molである。すなわち、化合物1〜15は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物1〜15は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(安定性の評価)
実施例1〜15で得られた化合物1〜15、比較例1〜4で得られた化合物16〜19、及び比較例5のフルオロエチレンカーボネート(FEC)について、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿下で90日間の保存試験を行った。各化合物の分解をH−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で測定し、評価した。結果を表3に示す。
〇:保存前後でH−NMRのピーク変化なし
△:保存前後でH−NMRのわずかなピーク変化を確認
×:保存前後でH−NMRの明らかなピーク変化を確認
Figure 0005982202
表3に示したように、比較例5として用いたフルオロエチレンカーボネート(FEC)は、一部加水分解されていると考えられ、安定性が劣るものであった。一方、実施例1〜15で得られたジスルホン酸アミド化合物は、ほとんど変化が見られず、安定性に優れるものであった。
(LSV(リニアスウィープボルタンメトリー)の測定)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例の化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表4に示した。
Figure 0005982202
表4から、実施例で得られたジスルホン酸アミド化合物を含む非水電解液は、比較例の化合物を含む非水電解液と比較して還元開始電圧が高いことがわかる。従って、実施例で得られたジスルホン酸アミド化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、参考例1の非水電解液及び比較例の化合物を含む非水電解液より先に本発明にかかるジスルホン酸アミド化合物の電気化学的還元が起こり、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極表面上に安定なSEIを形成し易いことがわかる。
(電池の作製)
表5〜8に記載の正極活物質、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例の化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)を表5〜8に示した。
なお、「200サイクル後の放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。
Figure 0005982202
Figure 0005982202
Figure 0005982202
Figure 0005982202
表5〜8から、実施例1〜15で得られたジスルホン酸アミド化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池は、参考例1の非水電解液及び比較例の化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較してサイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、実施例で得られたジスルホン酸アミド化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、参考例1の非水電解液及び比較例の化合物を含む非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極表面上に充放電サイクルに対する安定性の高いSEIが形成していることがわかる。
(実施例16)
(2,5−Diphenyl−[1,6,2,5]dithiadiazepane 1,1,6,6−tetraoxide(化合物20)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた300mL容の4つ口フラスコに、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン4.25g(0.020モル)及びジクロロメタン120.0gを仕込み、ジクロロメタン40.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド4.26g(0.020モル)を、0℃に維持しながら1時間かけて滴下した。引き続き、同温度に維持しながら、ジクロロメタン40.0gに溶解させたトリエチルアミン4.5g(0.044モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン200.0g及び水100.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥した。この結晶をジクロロメタン及びヘプタンを用いて再結晶し、ろ過して得られた結晶を乾燥して化合物20を1.8g(0.005モル)取得した。得られた化合物20の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して25.0%であった。
なお、得られた化合物20は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.63−7.65(m、4H)、7.45−7.49(m、4H)7.41−7.42(m、2H)、5.20(s、2H)、4.18(s、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):351
(実施例17)
(5,9−Dihydro−6,8−dithia−5,9−diaza−benzocycloheptene 6,6,8,8−tetraoxide(化合物21)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、1,2−ジメトキシエタン140.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン80.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド21.3g(0.10モル)及び1,2−ジメトキシエタン80.0gに溶解させたo−フェニレンジアミン11.9g(0.11モル)を、−20℃に維持しながら1時間かけて同時に滴下した。引き続き、同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン50.0gに溶解させたトリエチルアミン21.3g(0.21モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン200.0g及び水100.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒を25℃で減圧留去し、析出した結晶をジクロロメタン200.0gでリパルプ後、結晶をろ過、乾燥した。続いて、この結晶をメタノール及びトルエンで再結晶し、ろ過して得られた結晶を乾燥して化合物21を4.8g(0.019モル)取得した。化合物21の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して19.1%であった。
なお、得られた化合物21は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCN)δ(ppm):8.05(s、2H)、7.36−7.37(m、2H)、7.26−7.27(m、2H)、5.03(s、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):247
(比較例6)
1,3−プロパンスルトン(PS)(アルドリッチ社製)を化合物22とした。
(比較例7)
(エチレンメタンジスルホネート(化合物23)の作製)
N,N’−ジフェニルエチレンジアミン4.25g(0.020モル)に代えて、エチレングリコール1.24g(0.020モル)を用いた以外は実施例16と同様にして化合物23(エチレンメタンジスルホネート)1.11g(0.0055モル)を取得した。化合物23の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して27.5%であった。
(比較例8)
(2,3−Dimethyl−[1,4,2,3]dithiadiazolidine 1,1,4,4−tetraoxide(化合物24)の作製)
N,N’−ジフェニルエチレンジアミン4.25g(0.020モル)に代えてN,N’−ジメチルヒドラジン1.20g(0.020モル)を用いた以外は実施例16と同様にして化合物24(2,3−Dimethyl−[1,4,2,3]dithiadiazolidine 1,1,4,4−tetraoxide)0.88g(0.0044モル)を取得した。化合物24の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して22.0%であった。
<評価>
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物20〜24について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表9に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物20〜24について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表9に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物20〜24について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表9に示した。
Figure 0005982202
表9より、化合物20、21のLUMOエネルギーは負の値を示す約−0.65eVから約−1.01eVであり、これらの環状ジスルホン酸アミド化合物は、低いLUMOエネルギーを有していることがわかる。そのため、化合物20、21を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)よりも先に化合物20、21の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
一方、従来用いられている1,3−プロパンスルトン(PS)(化合物22)、エチレンメタンジスルホネート(化合物23)、及び、化合物24は約−0.12eVから約0.97eVと比較的高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。即ち、化合物22〜24は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
表9より、化合物20、21の標準生成エンタルピー(H)は約−56.2kcal/molから約−129.4kcal/molである。すなわち、化合物20、21は、非水電解液に含有された際の保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表9より、化合物20、21の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−2.7kcal/molから約−4.7kcal/molである。すなわち、化合物20、21は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物20、21は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(LSV(リニアスウィープボルタンメトリー)の測定)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例における化合物20〜24を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例2として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表10に示した。
Figure 0005982202
表10から、実施例のジスルホン酸アミド化合物を含む非水電解液は、比較例の化合物を含む非水電解液や参考例2の非水電解液と比較して還元開始電圧が高いことがわかる。従って、実施例16、17で得られた環状ジスルホン酸アミド化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、参考例2の非水電解液の溶媒及び比較例6〜8の化合物を含む非水電解液より先に本発明にかかる環状ジスルホン酸アミド化合物の電気化学的還元が起こり、非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成し易いことがわかる。
(電池の作製)
正極活物質としてLiMn、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lで溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例及び各比較例の化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例2として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
(放電容量維持率及び内部抵抗比の測定)
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表11に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
Figure 0005982202
表11から、実施例で得られた環状ジスルホン酸アミド化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池は、比較例の化合物を含む非水電解液及び参考例2の非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較してサイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、実施例16、17で得られた環状ジスルホン酸アミド化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等に用いた場合、参考例2の非水電解液及び比較例6〜8の化合物を含む非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の電極表面上に充放電サイクルに対して安定性の高いSEIが形成していることがわかる。
また、実施例で得られた環状ジスルホン酸アミド化合物を含む非水電解液は、参考例2の非水電解液及び比較例の化合物を含む非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
(実施例18)
(化合物25の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温にあげ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gを仕込み、次いでクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去し、油状反応物25gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコにジメトキシエタン70g及びN,N’−ジエチルメチレンジアミン10.2g(0.1モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、トリエチルアミン30.4g(0.3モル)を2時間かけて滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過した後、トルエン100g、及び水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表12に示した化合物25を5g取得した。化合物25の収率は、ブロモ酢酸に対して14%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物25を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例19)
「非水電解液の調製」において、化合物25の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例18と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例20)
(化合物26の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温にあげ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gを仕込み、次いでクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去し、油状反応物25gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ジメトキシエタン70g及びメチレンジアニリド19.8g(0.10モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、トリエチルアミン22.3g(0.22モル)を2時間滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過した後、トルエン100g、及び水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表12に示した化合物26を5g取得した。化合物26の収率は、ブロモ酢酸に対して11%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物26を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例21)
(化合物27の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温にあげ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gを仕込み、次いでクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去し、油状反応物25gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ジメトキシエタン70g及びメチルフェニルアミン21.4g(0.20モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、トリエチルアミン22.3g(0.22モル)を2時間滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過した後、トルエン100g、及び水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表12に示した化合物27を7g取得した。化合物27の収率は、ブロモ酢酸に対して14%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物27を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例22)
(化合物28の作製)
実施例21において、メチルフェニルアミン21.4g(0.20モル)に代えて、ベンジルメチルアミン24.2g(0.20モル)を用いた以外は実施例21と同様にして、表12に示した化合物28を6g取得した。化合物28の収率は、ブロモ酢酸に対して12%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物28を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(比較例9)
化合物25を用いなかったこと以外は、実施例18と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例10)
化合物25に代えて1,3−プロパンスルトン(PS)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例11)
化合物25に代えてビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例12)
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例11と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例13)
化合物25に代えてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例14)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例13と同様にして非水電解液を調製した。
<評価>
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物25〜28について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表12に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物25〜28について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表12に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物25〜28について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表12に示した。
Figure 0005982202
表12より、化合物25〜28のLUMOエネルギーは負の値を示す約−0.14eVから約−0.86eVであり、これらのリン含有スルホン酸アミド化合物は、低いLUMOエネルギーを有していることがわかる。そのため、化合物25〜28を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)よりも先に化合物25〜28の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
表12より、化合物25〜28の標準生成エンタルピー(H)は約−187.9kcal/molから約−207.6kcal/molである。すなわち、化合物25〜28は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表12より、化合物25〜28の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−3.7kcal/molから約−4.3kcal/molである。すなわち、化合物25〜28は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物25〜28は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(電池の作製)
正極活物質としてLiMn、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
(放電容量維持率及び内部抵抗比の測定)
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表13に示した。なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
Figure 0005982202
表13から、実施例のリン含有スルホン酸アミド化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池は、比較例の非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較して、サイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、実施例のリン含有スルホン酸アミド化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等に用いた場合、比較例の非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の電極表面上に充放電サイクルに対して安定なSEIを形成していることがわかる。また、実施例のリン含有スルホン酸アミド化合物を含む非水電解液は、内部抵抗比が各比較例の非水電解液に比べて、低い値を維持することが可能で、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
(実施例23)
(メタンジスルホン酸ビスピロリジン(化合物29)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ピロリジン7.3g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスピロリジン6.0g(0.021モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスピロリジンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して45.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスピロリジンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.58ppm(dt、8H)、2.80ppm(t、8H)、5.55ppm(s、2H)
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として表14に示した化合物29を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例24)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例25)
(メタンジスルホン酸ビスピペリジン(化合物30)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ピペリジン8.8g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスピペリジン4.5g(0.014モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスピペリジンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して30.8%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスピペリジンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.47ppm(dt、8H)、1.51ppm(dt、4H)、2.66ppm(t、8H)、5.73ppm(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物30を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例26)
(メタンジスルホン酸ビスモルホリン(化合物31)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、モルホリン9.0g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスモルホリン8.6g(0.027モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスモルホリンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して58.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスモルホリンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):3.25(t、8H)、3.64(t、8H)、5.12(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物31を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例27)
(メタンジスルホン酸ビスチオモルホリン(化合物32)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、チオモルホリン10.6 g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0 g(0.047 モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスチオモルホリン5.3g(0.015モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスチオモルホリンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して32.5%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスチオモルホリンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):3.33(t、8H)、3.66(t、8H)、5.13(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物32を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例28)
(メタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)(化合物33)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、1−メチルピペラジン10.3g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.113モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)6.7g(0.020モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して41.9%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):3.32(s、6H)3.55(t、8H)、3.67(t、8H)、5.11(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物33を含有割合が1.0質量%となるよう用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例29)
(1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリン(化合物34)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、モルホリン8.4g(0.097モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させた1,2−エタンジスルホニルクロライド10.0g(0.044モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン10.7g(0.106モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリン7.6g(0.023モル)を取得した。1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリンの収率は、1,2−エタンジスルホニルクロライドに対して52.6%であった。
なお、得られた1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリンは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):3.34(t、8H)、3.65(t、8H)、5.02(s、4H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物34を含有割合が1.0質量%となるよう用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例15)
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29を用いなかったこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例16)
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、1,3−プロパンスルトン(PS)を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例17)
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、ビニレンカーボネート(VC)を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例18)
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例17と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例19)
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例20)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例19と同様にして非水電解液を調製した。
<評価>
実施例で得られた化合物29〜34、及び、実施例及び比較例で得られた非水電解液について、以下の評価を行った。
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物29〜34について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表14に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物29〜34について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表14に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物29〜34について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表14に示した。
Figure 0005982202
表14より、化合物29〜34のLUMOエネルギーは約0.15eVから約0.36eVであり、これらのジスルホン酸アミド化合物は、一般的に用いられる非水電解液の溶媒よりも低いLUMOエネルギーを有していることがわかる(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)。そのため、化合物29〜34を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒よりも先に化合物29〜34の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
表14より、化合物29〜34の標準生成エンタルピー(H)は約−125.8kcal/molから約−213.5kcal/molである。すなわち、化合物29〜34は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表14より、化合物29〜34の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−1.8kcal/molから約−3.5kcal/molである。すなわち、化合物29〜34は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物29〜34は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(安定性の評価)
実施例で得られた化合物29〜34、及び、一般的に用いられるフルオロエチレンカーボネート(FEC)について、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿下で90日間の保存試験を行った。各化合物の分解をH−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で測定し、評価した。結果を表15に示した。
〇:保存前後でH−NMRのピーク変化なし
×:保存前後でH−NMRのピーク変化を確認
Figure 0005982202
(電池の作製)
正極活物質としてLiMn、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
(放電容量維持率及び内部抵抗比の測定)
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表16に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
Figure 0005982202
表16から、実施例の非水電解液を用いた円筒型二次電池は、比較例の非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較してサイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、実施例の非水電解液を非水電解液二次電池等に用いた場合、比較例の非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の電極表面上に充放電サイクルに対して安定性の高いSEIが形成していることがわかる。
また、実施例の非水電解液は、比較例の非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
(製造例1)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール9.4g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して75.2%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCN)δ(ppm):5.39(s、2H)、4.83(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):339
(製造例2)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール10.7g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)13.4g(0.036モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して77.4%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):5.78(q、2H)、5.53(s、2H)、1.49(d、6H)
LC/MS(m/z[M−H]+):367
(製造例3)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール10.7g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)12.8g(0.035モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して74.4%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):5.53(s、2H)、3.53(d、4H)2.00(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):367
(製造例4)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノール12.0g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)16.2g(0.041モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して87.2%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):5.52(s、2H)、3.55(d、4H)、1,81(dd、4H)、1,48(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):395
(製造例5)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール4.7g(0.047モル)及び1,2−ジメトキシエタン20.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン5.0gに混合させたトリエチルアミン4.8g(0.047モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。さらに0℃にてフェノール4.4g(0.047モル)及び1,2−ジメトキシエタン20.0gを20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン5.0gに混合させたトリエチルアミン4.8g(0.047モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステル12.7g(0.038モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して80.8%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.33(d、2H)、7.25(s、1H)、7.21(m、2H)、5.53(s、2H)、4.05(d、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):333
(実施例30)
(メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステル(化合物35)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例1と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液56.0mL(0.15モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステル6.5g(0.020モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルの収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)に対して57.1%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.36(dd、1H)、4.93(s、2H)、4.72(dd、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):319
(実施例31)
(メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)(化合物36)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例1と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)7.0g(0.023モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)に対して66.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):6.38(dd、2H)、4.92(s、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):299
(実施例32)
(メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)(化合物37)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例2と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)12.9g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)8.5g(0.026モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)に対して74.3%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):5.53(s、2H)、1.71(s、6H)
LC/MS(m/z[M−H]+):327
(実施例33)
(メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)(化合物38)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例3と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)12.8g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン、水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル及びヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル7.0g(0.021モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステルの収率は、メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)に対して60.0%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):5.53(s、2H)、4.47(dd、2H)、4.20(d、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):327
(実施例34)
(メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)(化合物39)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例4と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)13.9g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン、水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル及びヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)6.8g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)に対して54.3%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):5.52(s、2H)、4.28(dd、2H)、3.57(d、4H)、2.15(d、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):355
(実施例35)
(メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステル)(化合物40)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例5と同様にして得られたメタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステル11.7g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液56.0mL(0.15モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステル6.0g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステルの収率は、メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルに対して54.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl)δ(ppm):7.34(d、2H)、7.25(s、1H)、7.20(m、2H)、5.52(s、2H)、3.80(d、1H)
LC/MS(m/z[M−H]+):313
(比較例21)
(メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)(化合物41)の作製)
製造例1と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)を取得した。
(比較例22)
(メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)(化合物42)の作製)
2,2,2−トリフルオロエタノール9.4g(0.094モル)に代えて、2,2,2−トリクロロエタノール14.0g(0.094モル)を用いたこと以外は製造例1と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)13.0g(0.029モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して63%であった。
(比較例23)
(メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)(化合物43)の作製)
製造例3と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル10.0g(0.027モル)を取得した。
<評価>
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物35〜43について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表17に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物35〜43について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表17に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物35〜43について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表17に示した。
Figure 0005982202
表17より、化合物35〜40のLUMOエネルギーは負の値を示す約−1.00eVから約−1.17eVであり、これらのハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物は、低いLUMOエネルギーを有していることがわかる。そのため、化合物35〜40を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)よりも先に化合物35〜40の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
一方、化合物41〜43は約−0.37eVから約−0.21eVと比較的高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。即ち、化合物41〜43は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
表17より、化合物35〜40の標準生成エンタルピー(H)は約−189.3kcal/molから約−215.3kcal/molである。すなわち、化合物35〜40は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表17より、化合物35〜40の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−3.4kcal/molから約−4.2kcal/molである。すなわち、化合物35〜40は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物35〜40は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(LSV(リニアスウィープボルタンメトリー)の測定)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例3として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表18に示した。
Figure 0005982202
表18から、実施例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液は、参考例3の非水電解液及び比較例で得られた化合物を含む非水電解液と比較して還元開始電圧が高いことがわかる。従って、実施例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、参考例3の非水電解液及び比較例で得られた化合物41〜43を含む非水電解液より先に本発明にかかるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物の電気化学的還元が起こり、非水電解液二次電池等の電極表面上に安定なSEIを形成し易いことがわかる。
(電池の作製)
正極活物質としてLiMn、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lで溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例及び各比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例3として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
(放電容量維持率及び内部抵抗比の測定)
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表19に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
Figure 0005982202
表19から、実施例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池は、参考例3の非水電解液及び比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較してサイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、実施例30〜35で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等に用いた場合、比較例21〜23で得られた化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液及び参考例3の非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の電極表面上に充放電サイクルに対して安定性の高いSEIが形成していることがわかる。
また、実施例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液は、参考例3の非水電解液及び比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
(実施例36)
(化合物44の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温に上げ、一晩撹拌したのち、水及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を仕込み、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留(2torr、160℃)を行い、油状反応物25gを得た。
次に、得られた油状反応物25gに水50gを添加し、100℃で12時間撹拌した。反応終了後、減圧留去により水を除去し、反応物20gを得た。続いて、得られた反応液20gにスルホラン120gを添加し、100℃まで昇温した。その後、酸化リン28g(0.2モル)とパラホルムアルデヒド6g(0.2モル)を交互に添加し、10時間撹拌しながら保温した。反応終了後、室温まで冷却し、水30g、及びアセトニトリル100gを添加し、分液を行った。減圧留去によりアセトニトリルを除去した後、0℃まで冷却し、水160gを滴下した。析出した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥することにより、表20に示した化合物44を6g取得した。化合物44の収率は、ブロモ酢酸に対して19%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物44を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例37)
「非水電解液の調製」において、化合物44の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例36と同様にして非水電解液を調製した。
(実施例38)
(化合物45の作製)
亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)に代えて、亜リン酸トリプロピル20.8g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例37と同様にして、表20に示した化合物45を8g取得した。化合物45の収率は、ブロモ酢酸に対して23%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物45を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例39)
(化合物46の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温に上げ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、続いて前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留(2torr、160℃)を行い、油状反応物25gを得た。
次に、200mL容4つ口フラスコにジメトキシエタン70g及びエタノール13.8g(0.3モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、引き続きトリエチルアミン41g(0.4モル)を2時間かけて滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過することにより無機塩を除去した後、トルエン100g、水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表20に示した化合物46を10g取得した。化合物46の収率は、ブロモ酢酸に対して26%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物46を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(実施例40)
(化合物47の作製)
エタノール13.8g(0.3モル)に代えて、フェノール28.2g(0.3モル)を用いたこと以外は実施例39と同様にして、表20に示した化合物47を8g取得した。化合物47の収率は、ブロモ酢酸に対して18%であった。
(非水電解液の調製)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物47を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(比較例24)
化合物44を用いなかったこと以外は、実施例36と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例25)
化合物44に代えて1,3−プロパンスルトン(PS)を用いたこと以外は、実施例37と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例26)
化合物44に代えてビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は、実施例37と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例27)
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例26と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例28)
化合物44に代えてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いたこと以外は、実施例37と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例29)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例28と同様にして非水電解液を調製した。
<評価>
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物44〜47について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表20に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物44〜47について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表20に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物44〜47について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表20に示した。
Figure 0005982202
表20より、化合物44〜47のLUMOエネルギーは負の値を示す約−0.21eVから約−0.88eVであり、これらのリン含有スルホン酸エステル化合物は、低いLUMOエネルギーを有していることがわかる。そのため、化合物44〜47を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)よりも先に化合物44〜47の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
表20より、化合物44〜47の標準生成エンタルピー(H)は約−156.3kcal/molから約−178.9kcal/molである。すなわち、化合物44〜47は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表20より、化合物44〜47の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−2.8kcal/molから約−3.8kcal/molである。すなわち、化合物44〜47は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物44〜47は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(電池の作製)
正極活物質としてLiMn、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
(放電容量維持率及び内部抵抗比の測定)
各実施例、各比較例で得られた非水電解液を用いた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表21に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
Figure 0005982202
表21から、実施例のリン含有スルホン酸エステル化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池は、比較例の非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較して、サイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、実施例のリン含有スルホン酸エステル化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等に用いた場合、比較例の非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の電極表面上に充放電サイクルに対して安定なSEIを形成していることがわかる。また、実施例のリン含有スルホン酸エステル化合物を含む非水電解液は、比較例の非水電解液に比べて、内部抵抗比が低い値を維持することが可能で、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
参考例41)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として表22に示した化合物48を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
参考例42)
化合物48の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、参考例41と同様にして非水電解液を調製した。
参考例43)
化合物48に代えて表22に示した化合物49を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
参考例44)
化合物48に代えて表22に示した化合物50を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
参考例45)
化合物48に代えて表22に示した化合物51を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
参考例46)
化合物48に代えて表22に示した化合物52を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
参考例47)
化合物48に代えて表22に示した化合物53を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例30)
化合物48を用いなかったこと以外は、参考例41と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例31)
化合物48に代えて1,3−プロパンスルトン(PS)を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例32)
化合物48に代えてビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例33)
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例32と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例34)
化合物48に代えてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いたこと以外は、参考例42と同様にして非水電解液を調製した。
(比較例35)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例34と同様にして非水電解液を調製した。
<評価>
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、表22に示した化合物48〜53について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表22に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、化合物48〜53について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表22に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、化合物48〜53について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表22に示した。
Figure 0005982202
表22より、化合物48〜53のLUMOエネルギーは約−1.89eVから約−2.38eVであり、これらのシリルスルホン酸エステル化合物は、低いLUMOエネルギーを有していることがわかる。そのため、化合物48〜53を非水電解液用添加剤として非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合、非水電解液の溶媒(例えば、環状カーボネートや鎖状カーボネート:LUMOエネルギー約1.2eV)よりも先に化合物48〜53の電気化学的還元が起こり、電極上にSEIが形成されるため電解液中の溶媒の分解を抑制することができる。その結果、高い抵抗を示す、溶媒の分解被膜が電極上に形成されにくくなり電池特性の向上が期待される。
表22より、化合物48〜53の標準生成エンタルピー(H)は約−178.7kcal/molから約−210.2kcal/molである。すなわち、化合物48〜53は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表22より、化合物48〜53の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−3.7kcal/molから約−4.8kcal/molである。すなわち、化合物48〜53は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物48〜53は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
(電池の作製)
正極活物質としてLiMn、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
参考例、各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
(放電容量維持率及び内部抵抗比の評価)
参考例及び各比較例で得られた非水電解液を用い、得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)と内部抵抗比を表23に示した。なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
Figure 0005982202
表23から、参考例のシリルスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液を用いた円筒型二次電池は、比較例の非水電解液を用いた円筒型二次電池と比較して、サイクル試験時における放電容量維持率が高いことが分かる。従って、参考例のシリルスルホン酸エステル化合物からなる非水電解液用添加剤を含む非水電解液を非水電解液二次電池等に用いた場合、比較例の非水電解液を用いた場合と比較して、非水電解液二次電池等の電極表面上に充放電サイクルに対して安定なSEIを形成していることがわかる。また、参考例のシリルスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液は、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
本発明によれば、保存安定性に優れ、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することができる。また、本発明によれば、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することができる。
1 非水電解液二次電池
2 正極集電体
3 正極活物質層
4 正極板
5 負極集電体
6 負極活物質層
7 負極板
8 非水電解液
9 セパレータ

Claims (9)

  1. 下記式(1−1)で表される構造、又は、下記式(1−2)で表される構造を有し、
    準生成エンタルピーが−220〜−40kcal/molであり、かつ、加水分解反応に伴うエンタルピー変化が−5〜5kcal/molである化合物からなり、
    下記式(1−1)で表される構造を有する化合物は、最低空分子軌道エネルギーが−1.5〜0.4eVであり、下記式(1−2)で表される構造を有する化合物は、最低空分子軌道エネルギーが−3.0〜0.4eVである
    ことを特徴とする非水電解液用添加剤。
    Figure 0005982202
    式(1−1)及び式(1−2)中、Aは、C(2m−n)を示し、mは1〜6の整数であり、nは0〜12の整数であり、Zは置換されていてもよいアルキル基、シリル基、ホスホン酸エステル基、アシル基、シアノ基、又は、ニトロ基を示す。
  2. 請求項1記載の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含むことを特徴とする非水電解液。
  3. 非水溶媒は、非プロトン性溶媒であることを特徴とする請求項2記載の非水電解液。
  4. 非プロトン性溶媒は、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載の非水電解液。
  5. 電解質は、リチウム塩を含有することを特徴とする請求項2、3又は4記載の非水電解液。
  6. リチウム塩は、LiAlCl、LiBF、LiPF、LiClO、LiAsF、及び、LiSbFからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の非水電解液。
  7. 請求項2、3、4、5又は6記載の非水電解液、正極、及び、負極を備えたことを特徴とする蓄電デバイス。
  8. 蓄電デバイスがリチウムイオン電池であることを特徴とする請求項7記載の蓄電デバイス。
  9. 蓄電デバイスがリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする請求項7記載の蓄電デバイス。
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