JP2014013729A - 非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1−1)で表される構造、又は、下記式(1−2)で表される構造を有し、最低空分子軌道エネルギーが−3.0〜0.4eVであり、標準生成エンタルピーが−220〜−40kcal/molであり、かつ、加水分解反応に伴うエンタルピー変化が−5〜5kcal/molである化合物からなる非水電解液用添加剤。
式(1−1)及び式(1−2)中、Aは、CmH(2m−n)Znを示し、mは1〜6の整数であり、nは0〜12の整数であり、Zは置換されていてもよいアルキル基、シリル基、ホスホン酸エステル基、アシル基、シアノ基、又は、ニトロ基を示す。
【選択図】なし
Description
また、特許文献10〜13には、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートを含有する電解液が開示されており、特許文献14、15では1,3−プロパンスルトン及びブタンスルトンを含有する電解液が開示されている。
例えば、特許文献10〜15に記載されているビニレンカーボネート系化合物や1,3−プロパンスルトン等のスルトン系化合物を添加剤として用いた電解液は、負極表面上に電気化学的還元分解を生じて生成したSEIによって、不可逆的な容量低下を抑制することが可能となっている。しかし、これらの添加剤によって形成されたSEIは電極を保護する性能に優れるものの、リチウムイオンのイオン伝導性が低いため、内部抵抗を低下させる性能は小さかった。更に、形成されたSEIは、長期間の使用に耐える強度がなく、使用中にSEIが分解したり、SEIに亀裂が生じたりすることによって負極表面が露出し、電解液溶媒の分解が生じて電池特性が低下するといった問題点があった。
本発明は、保存安定性に優れ、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、前記「LUMO(最低空分子軌道)エネルギー」は、半経験的分子軌道計算法:PM3と密度汎関数法:B3LYP法とを組み合わせて算出される。具体的に本発明では、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア)を用いて算出された値を用いる。
なお、前記「標準生成エンタルピー」は、半経験的分子軌道計算法:PM3法に基づき算出される。具体的に本発明では、Cambridge Soft Corporation社製のCS Chem3D(R)Version4.0中に搭載されている富士通社製のMOPAC計算ソフト、MOPAC97(分子軌道計算ソフト)によって算出された値を用いる。
なお、前記「加水分解反応に伴うエンタルピー変化」とは、下記式で表され、半経験的分子軌道計算法:PM3と密度汎関数法:B3PW91法とを組み合わせて算出される。具体的に本発明では、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア)を用いて算出された値を用いる。
「加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)」=「加水分解による生成系のエンタルピー」−「加水分解前の反応系のエンタルピー」
本発明の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含有する非水電解液もまた、本発明の1つである。
更に、該非水電解液用添加剤と共に、必要に応じて、非水電解液にビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3−プロパンスルトン(PS)等のその他の一般的な添加剤を混合してもよい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等が挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル等が挙げられる。
前記ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。
前記スルホンとしては、例えば、スルホラン等が挙げられる。
前記ハロゲン誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、複数種を混合してもよい。
これらの非水溶媒は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等に好ましく用いられる。
図1において、非水電解液二次電池1は、正極集電体2の一方面側に正極活物質層3が設けられてなる正極板4、及び、負極集電体5の一方面側に負極活物質層6が設けられてなる負極板7を有する。正極板4と負極板7とは、本発明の非水電解液8と非水電解液8中に設けたセパレータ9を介して対向配置されている。
また、負極活物質として、リチウム金属、及び、リチウムと合金を形成することができる金属材料を用いることもできる。前記リチウムと合金を形成することができる金属としては、例えば、Cu、Sn、Si、Co、Mn、Fe、Sb、Ag等が挙げられ、これらの金属とリチウムを含む2元又は3元からなる合金を用いることもできる。
これらの負極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(メタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)(化合物1)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−フェニルアミン10.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)5.0g(0.015モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して30.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(フェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.62(s、2H)、7.28−7.45(m、10H)、4.28(s、2H)
(メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物2)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)11.1g(0.031モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して62.5%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.30−7.41(m、10H)、4.32(s、2H)、3.46(s、6H)
(メタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)(化合物3)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ベンジルメチルアミン13.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液し、得られた有機層より溶媒を25℃で減圧留去した。引き続きトルエン40.0gを添加した後、メタノール10.0gを滴下することにより、結晶を析出させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)2.5g(0.007モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して13.1%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CD3CN)δ(ppm):7.33−7.44(m、10H)、4.66(s、2H)、4.41(s、4H)、2.82(s、6H)
(メタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)(化合物4)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ジベンジルアミン21.7g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら50分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、50分間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液し、得られた有機層より溶媒を25℃で減圧留去した。引き続き、メタノール35.0gを添加し、結晶を析出させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)10.2g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して38.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(ジベンジルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.27−7.33(m、20H)、4.40(s、8H)、4.15(s、2H)
(メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)(化合物5)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−(4−フルオロフェニル)アミン12.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を11時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)9.6g(0.027モル)を得た。メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して53.0%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4−フルオロフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.34−7.39(m、4H)、7.26(s、2H)7.08−7.14(m、4H)、4.21(s、2H)
(メタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)(化合物6)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−(2−フルオロフェニル)アミン12.2g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き、同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)4.6g(0.013モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して25.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2−フルオロフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.52−7.58(m、2H)、7.49(d、2H)7.14−7.28(m、6H)、4.51(s、2H)
(メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)(化合物7)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N−(4−フルオロベンジル)アミン13.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン150.0g、水80.0g及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)5.6g(0.014モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して28.7%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4−フルオロベンジルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:Acetone−D6)δ(ppm):7.43−7.50(m、4H)、7.20−7.27(m、4H)、6.9(s、2H)、4.79(s、2H)、4.39(d、4H)
(1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物8)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させた1,1−エタンジスルホニルクロライド11.4g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)4.6g(0.013モル)を取得した。1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、1,1−エタンジスルホニルクロライドに対して25.1%であった。
なお、得られた1,1−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.30−7.41(m、10H)、4.68(q、1H)、2.75(s、6H)、1.72(d、3H)
(1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)(化合物9)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−ベンジルメチルアミン13.3g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させた1,1−エタンジスルホニルクロライド11.4g(0.05モル)を、0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)5.4g(0.014モル)を取得した。1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)の収率は、1,1−エタンジスルホニルクロライドに対して27.0%であった。
なお、得られた1,1−エタンジスルホン酸ビス(ベンジルメチルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.06−7.14(m、10H)、4.67(q、1H)、3.81(s、4H)、2.69(s、6H)、1.70(d、3H)
(1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物10)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させた1,2−エタンジスルホニルクロライド11.4g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)6.0g(0.016モル)を取得した。1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、1,2−エタンジスルホニルクロライドに対して32.3%であった。
なお、得られた1,2−エタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.19−7.26(m、10H)、3.97(d、4H)、2.80(s、6H)
(2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)(化合物11)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、実施例2と同様の方法で得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)17.9g(0.05モル)及びジクロロメタン70.0gを仕込み、60質量%水素化ナトリウム2.2g(0.055モル)を0℃で添加した。1時間保持した後、引き続き同温度に維持しながら、トリエチルアミン10.6g(0.10モル)及びジクロロメタン20.0gに溶解させたアセチルクロライド0.5g(0.06モル)をそれぞれ1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン50.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)3.9g(0.010モル)を取得した。2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)に対して19.5%であった。
なお、得られた2−オキソプロパン−1,1−ジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.89−7.27(m、10H)、5.35(s、1H)、2.81(s、6H)、2.09(s、3H)
(α,α−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトフェノン(化合物12)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、実施例2と同様の方法で得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)17.9g(0.05モル)及びジクロロメタン70.0gを仕込み、60質量%水素化ナトリウム2.2g(0.055モル)を0℃で添加した。1時間保持した後、引き続き同温度に維持しながら、トリエチルアミン10.6g(0.10モル)及びジクロロメタン20.0gに溶解させたベンゾイルクロライド8.4g(0.06モル)をそれぞれ1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン50.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、α,α−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトフェノン6.0g(0.013モル)を取得した。α,α−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトフェノンの収率は、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)に対して26.3%であった。
なお、得られた(α,α−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトフェノンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.84−7.86(m、15H)、6.10(s、1H)、2.79(s、6H)
(2,2−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトニトリル(化合物13)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、続いてシアノ酢酸0.85g(0.1モル)を1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留を行い、シアノメタンジスルホニルクロライド14.2gを得た。
次に撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたシアノメタンジスルホニルクロライド11.9g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、2,2−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトニトリル5.4g(0.014モル)を取得した。2,2−ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)アセトニトリルの収率は、シアノメタンジスルホニルクロライドに対して28.5%であった。
なお、得られた2,2−ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)アセトニトリルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.93−7.24(m、10H)、5.50(s、1H)、2.78(s、6H)
(ビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)ニトロメタン(化合物14)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、続いてニトロ酢酸10.5g(0.1モル)を1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留を行い、ニトロメタンジスルホニルクロライド15.5gを得た。
次に撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、N,N−メチルフェニルアミン11.8g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたニトロメタンジスルホニルクロライド12.9g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)ニトロメタン5.1g(0.013モル)を取得した。ビス(メチルフェニルアミノスルホニル)ニトロメタンの収率は、ニトロメタンジスルホニルクロライドに対して25.4%であった。
なお、得られたビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)ニトロメタンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.88−7.15(m、10H)、5.89(s、1H)、2.77(s、6H)
(トリメチルビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)メチルシラン(化合物15)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、実施例2と同様の方法で得られたメタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)17.9g(0.05モル)及びジクロロメタン70.0gを仕込み、60質量%水素化ナトリウム2.2g(0.055モル)を0℃で添加した。1時間保持した後、引き続き同温度に維持しながら、トリエチルアミン10.6g(0.10モル)及びジクロロメタン20.0gに溶解させたトリメチルシリルクロライド6.5g(0.06モル)をそれぞれ1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン50.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、トリメチルビス(メチルフェニルアミノスルホニル)メチルシラン4.5g(0.011モル)を取得した。トリメチルビス(メチルフェニルアミノスルホニル)メチルシランの収率は、メタンジスルホン酸ビス(メチルフェニルアミド)に対して20.1%であった。
なお、得られたトリメチルビス((メチルフェニルアミノ)スルホニル)メチルシランは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.99−7.27(m、10H)、5.85(s、1H)、2.74(s、6H)、0.00(s、9H)
(メタンジスルホン酸ビス(エチルアミド)(化合物16)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、エチルアミン5.0g(0.11モル)及び1,2−ジメトキシエタン70.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン20.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.7g(0.05モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン20.0gに混合させたトリエチルアミン10.6g(0.10モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(エチルアミド)2.5g(0.011モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(エチルアミド)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して21.4%であった。
(メタンジスルホン酸ビス(n−プロピルアミド)(化合物17)の作製)
比較例1において、エチルアミン5.0g(0.11モル)に代えて、n−プロピルアミン6.5g(0.11モル)を用いた以外は比較例1と同様にして、メタンジスルホン酸ビス(n−プロピルアミド)4.3g(0.017モル、収率33.4%)を取得した。
(メタンジスルホン酸ビス(イソプロピルアミド)(化合物18)の作製)
比較例1において、エチルアミン5.0g(0.11モル)に代えて、ジイソプロピルアミン11.1g(0.11モル)を用いた以外は比較例1と同様にして、メタンジスルホン酸ビス(イソプロピルアミド)5.1g(0.015モル、収率30.0%)を取得した。
(メタンジスルホン酸ビス(n−ブチルアミド)(化合物19)の作製)
比較例1において、エチルアミン5.0g(0.11モル)に代えて、n−ブチルアミン8.0g(0.11モル)を用いた以外は比較例1と同様にして、メタンジスルホン酸ビス(n−ブチルアミド)4.2g(0.015モル、収率29.1%)を取得した。
リチウムイオン電池等の添加剤として一般的に用いられる、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を非水電解液用添加剤として用意した。
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例1〜15で得られた化合物1〜15、及び、比較例1〜4で得られた化合物16〜19について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表1、2に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例1〜15で得られた化合物1〜15、及び、比較例1〜4で得られた化合物16〜19について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表1、2に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例1〜15で得られた化合物1〜15、及び、比較例1〜4で得られた化合物16〜19について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表1、2に示した。
一方、表2より、化合物16〜19は約0.48eVから約0.63eVと高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。従って、化合物16〜19は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
表1より、化合物1〜15の標準生成エンタルピー(H)は約−56.2kcal/molから約−102.8kcal/molである。すなわち、化合物1〜15は、非水電解液に含有された際の保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表1より、化合物1〜15の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−1.7kcal/molから約−4.7kcal/molである。すなわち、化合物1〜15は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物1〜15は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
実施例1〜15で得られた化合物1〜15、比較例1〜4で得られた化合物16〜19、及び比較例5のフルオロエチレンカーボネート(FEC)について、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿下で90日間の保存試験を行った。各化合物の分解を1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)で測定し、評価した。結果を表3に示す。
〇:保存前後で1H−NMRのピーク変化なし
△:保存前後で1H−NMRのわずかなピーク変化を確認
×:保存前後で1H−NMRの明らかなピーク変化を確認
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例の化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表4に示した。
表5〜8に記載の正極活物質、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例の化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)を表5〜8に示した。
なお、「200サイクル後の放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。
(2,5−Diphenyl−[1,6,2,5]dithiadiazepane 1,1,6,6−tetraoxide(化合物20)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた300mL容の4つ口フラスコに、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン4.25g(0.020モル)及びジクロロメタン120.0gを仕込み、ジクロロメタン40.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド4.26g(0.020モル)を、0℃に維持しながら1時間かけて滴下した。引き続き、同温度に維持しながら、ジクロロメタン40.0gに溶解させたトリエチルアミン4.5g(0.044モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン200.0g及び水100.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥した。この結晶をジクロロメタン及びヘプタンを用いて再結晶し、ろ過して得られた結晶を乾燥して化合物20を1.8g(0.005モル)取得した。得られた化合物20の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して25.0%であった。
なお、得られた化合物20は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.63−7.65(m、4H)、7.45−7.49(m、4H)7.41−7.42(m、2H)、5.20(s、2H)、4.18(s、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):351
(5,9−Dihydro−6,8−dithia−5,9−diaza−benzocycloheptene 6,6,8,8−tetraoxide(化合物21)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、1,2−ジメトキシエタン140.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン80.0gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド21.3g(0.10モル)及び1,2−ジメトキシエタン80.0gに溶解させたo−フェニレンジアミン11.9g(0.11モル)を、−20℃に維持しながら1時間かけて同時に滴下した。引き続き、同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン50.0gに溶解させたトリエチルアミン21.3g(0.21モル)を、1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン200.0g及び水100.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒を25℃で減圧留去し、析出した結晶をジクロロメタン200.0gでリパルプ後、結晶をろ過、乾燥した。続いて、この結晶をメタノール及びトルエンで再結晶し、ろ過して得られた結晶を乾燥して化合物21を4.8g(0.019モル)取得した。化合物21の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して19.1%であった。
なお、得られた化合物21は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CD3CN)δ(ppm):8.05(s、2H)、7.36−7.37(m、2H)、7.26−7.27(m、2H)、5.03(s、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):247
1,3−プロパンスルトン(PS)(アルドリッチ社製)を化合物22とした。
(エチレンメタンジスルホネート(化合物23)の作製)
N,N’−ジフェニルエチレンジアミン4.25g(0.020モル)に代えて、エチレングリコール1.24g(0.020モル)を用いた以外は実施例16と同様にして化合物23(エチレンメタンジスルホネート)1.11g(0.0055モル)を取得した。化合物23の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して27.5%であった。
(2,3−Dimethyl−[1,4,2,3]dithiadiazolidine 1,1,4,4−tetraoxide(化合物24)の作製)
N,N’−ジフェニルエチレンジアミン4.25g(0.020モル)に代えてN,N’−ジメチルヒドラジン1.20g(0.020モル)を用いた以外は実施例16と同様にして化合物24(2,3−Dimethyl−[1,4,2,3]dithiadiazolidine 1,1,4,4−tetraoxide)0.88g(0.0044モル)を取得した。化合物24の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して22.0%であった。
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物20〜24について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表9に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物20〜24について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表9に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物20〜24について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表9に示した。
一方、従来用いられている1,3−プロパンスルトン(PS)(化合物22)、エチレンメタンジスルホネート(化合物23)、及び、化合物24は約−0.12eVから約0.97eVと比較的高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。即ち、化合物22〜24は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
表9より、化合物20、21の標準生成エンタルピー(H)は約−56.2kcal/molから約−129.4kcal/molである。すなわち、化合物20、21は、非水電解液に含有された際の保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表9より、化合物20、21の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−2.7kcal/molから約−4.7kcal/molである。すなわち、化合物20、21は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物20、21は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例における化合物20〜24を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例2として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表10に示した。
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lで溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例及び各比較例の化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例2として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表11に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
また、実施例で得られた環状ジスルホン酸アミド化合物を含む非水電解液は、参考例2の非水電解液及び比較例の化合物を含む非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
(化合物25の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温にあげ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gを仕込み、次いでクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去し、油状反応物25gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコにジメトキシエタン70g及びN,N’−ジエチルメチレンジアミン10.2g(0.1モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、トリエチルアミン30.4g(0.3モル)を2時間かけて滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過した後、トルエン100g、及び水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表12に示した化合物25を5g取得した。化合物25の収率は、ブロモ酢酸に対して14%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物25を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
「非水電解液の調製」において、化合物25の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例18と同様にして非水電解液を調製した。
(化合物26の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温にあげ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gを仕込み、次いでクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去し、油状反応物25gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ジメトキシエタン70g及びメチレンジアニリド19.8g(0.10モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、トリエチルアミン22.3g(0.22モル)を2時間滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過した後、トルエン100g、及び水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表12に示した化合物26を5g取得した。化合物26の収率は、ブロモ酢酸に対して11%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物26を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(化合物27の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温にあげ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gを仕込み、次いでクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去し、油状反応物25gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ジメトキシエタン70g及びメチルフェニルアミン21.4g(0.20モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、トリエチルアミン22.3g(0.22モル)を2時間滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過した後、トルエン100g、及び水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表12に示した化合物27を7g取得した。化合物27の収率は、ブロモ酢酸に対して14%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物27を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(化合物28の作製)
実施例21において、メチルフェニルアミン21.4g(0.20モル)に代えて、ベンジルメチルアミン24.2g(0.20モル)を用いた以外は実施例21と同様にして、表12に示した化合物28を6g取得した。化合物28の収率は、ブロモ酢酸に対して12%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物28を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
化合物25を用いなかったこと以外は、実施例18と同様にして非水電解液を調製した。
化合物25に代えて1,3−プロパンスルトン(PS)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして非水電解液を調製した。
化合物25に代えてビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして非水電解液を調製した。
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例11と同様にして非水電解液を調製した。
化合物25に代えてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いたこと以外は、実施例19と同様にして非水電解液を調製した。
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例13と同様にして非水電解液を調製した。
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物25〜28について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表12に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物25〜28について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表12に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物25〜28について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表12に示した。
表12より、化合物25〜28の標準生成エンタルピー(H)は約−187.9kcal/molから約−207.6kcal/molである。すなわち、化合物25〜28は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表12より、化合物25〜28の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−3.7kcal/molから約−4.3kcal/molである。すなわち、化合物25〜28は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物25〜28は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表13に示した。なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
(メタンジスルホン酸ビスピロリジン(化合物29)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ピロリジン7.3g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスピロリジン6.0g(0.021モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスピロリジンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して45.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスピロリジンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):1.58ppm(dt、8H)、2.80ppm(t、8H)、5.55ppm(s、2H)
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として表14に示した化合物29を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
「(非水電解液の調製)」において、化合物29の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(メタンジスルホン酸ビスピペリジン(化合物30)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ピペリジン8.8g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスピペリジン4.5g(0.014モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスピペリジンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して30.8%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスピペリジンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):1.47ppm(dt、8H)、1.51ppm(dt、4H)、2.66ppm(t、8H)、5.73ppm(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物30を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(メタンジスルホン酸ビスモルホリン(化合物31)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、モルホリン9.0g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスモルホリン8.6g(0.027モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスモルホリンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して58.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスモルホリンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):3.25(t、8H)、3.64(t、8H)、5.12(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物31を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(メタンジスルホン酸ビスチオモルホリン(化合物32)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、チオモルホリン10.6 g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0 g(0.047 モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.112モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビスチオモルホリン5.3g(0.015モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビスチオモルホリンの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して32.5%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビスチオモルホリンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):3.33(t、8H)、3.66(t、8H)、5.13(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物32を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(メタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)(化合物33)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、1−メチルピペラジン10.3g(0.103モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン11.4g(0.113モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)6.7g(0.020モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して41.9%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(1−メチルピペラジン)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):3.32(s、6H)3.55(t、8H)、3.67(t、8H)、5.11(s、2H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物33を含有割合が1.0質量%となるよう用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
(1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリン(化合物34)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、モルホリン8.4g(0.097モル)及び1,2−ジメトキシエタン100gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させた1,2−エタンジスルホニルクロライド10.0g(0.044モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10gに溶解させたトリエチルアミン10.7g(0.106モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリン7.6g(0.023モル)を取得した。1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリンの収率は、1,2−エタンジスルホニルクロライドに対して52.6%であった。
なお、得られた1,2−エタンジスルホン酸ビスモルホリンは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):3.34(t、8H)、3.65(t、8H)、5.02(s、4H)
「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、化合物34を含有割合が1.0質量%となるよう用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29を用いなかったこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、1,3−プロパンスルトン(PS)を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、ビニレンカーボネート(VC)を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例17と同様にして非水電解液を調製した。
実施例23の「(非水電解液の調製)」において、化合物29に代えて、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含有割合が1.0質量%となるようにして用いたこと以外は、実施例23と同様にして非水電解液を調製した。
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例19と同様にして非水電解液を調製した。
実施例で得られた化合物29〜34、及び、実施例及び比較例で得られた非水電解液について、以下の評価を行った。
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物29〜34について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表14に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物29〜34について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表14に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物29〜34について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表14に示した。
表14より、化合物29〜34の標準生成エンタルピー(H)は約−125.8kcal/molから約−213.5kcal/molである。すなわち、化合物29〜34は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表14より、化合物29〜34の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−1.8kcal/molから約−3.5kcal/molである。すなわち、化合物29〜34は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物29〜34は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
実施例で得られた化合物29〜34、及び、一般的に用いられるフルオロエチレンカーボネート(FEC)について、温度40±2℃、湿度75±5%の恒温恒湿下で90日間の保存試験を行った。各化合物の分解を1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)で測定し、評価した。結果を表15に示した。
〇:保存前後で1H−NMRのピーク変化なし
×:保存前後で1H−NMRのピーク変化を確認
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表16に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
また、実施例の非水電解液は、比較例の非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール9.4g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して75.2%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CD3CN)δ(ppm):5.39(s、2H)、4.83(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):339
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール10.7g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)13.4g(0.036モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して77.4%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.78(q、2H)、5.53(s、2H)、1.49(d、6H)
LC/MS(m/z[M−H]+):367
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール10.7g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)12.8g(0.035モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して74.4%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.53(s、2H)、3.53(d、4H)2.00(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):367
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノール12.0g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)16.2g(0.041モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して87.2%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.52(s、2H)、3.55(d、4H)、1,81(dd、4H)、1,48(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):395
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール4.7g(0.047モル)及び1,2−ジメトキシエタン20.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン5.0gに混合させたトリエチルアミン4.8g(0.047モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。さらに0℃にてフェノール4.4g(0.047モル)及び1,2−ジメトキシエタン20.0gを20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン5.0gに混合させたトリエチルアミン4.8g(0.047モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステル12.7g(0.038モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して80.8%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.33(d、2H)、7.25(s、1H)、7.21(m、2H)、5.53(s、2H)、4.05(d、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):333
(メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステル(化合物35)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例1と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液56.0mL(0.15モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステル6.5g(0.020モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルの収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)に対して57.1%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.36(dd、1H)、4.93(s、2H)、4.72(dd、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):319
(メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)(化合物36)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例1と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)7.0g(0.023モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)に対して66.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.38(dd、2H)、4.92(s、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):299
(メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)(化合物37)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例2と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)12.9g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)8.5g(0.026モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)に対して74.3%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.53(s、2H)、1.71(s、6H)
LC/MS(m/z[M−H]+):327
(メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)(化合物38)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例3と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)12.8g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン、水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル及びヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル7.0g(0.021モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステルの収率は、メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)に対して60.0%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.53(s、2H)、4.47(dd、2H)、4.20(d、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):327
(メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)(化合物39)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例4と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)13.9g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン、水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル及びヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)6.8g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)に対して54.3%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.52(s、2H)、4.28(dd、2H)、3.57(d、4H)、2.15(d、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):355
(メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステル)(化合物40)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例5と同様にして得られたメタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステル11.7g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液56.0mL(0.15モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステル6.0g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステルの収率は、メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルに対して54.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.34(d、2H)、7.25(s、1H)、7.20(m、2H)、5.52(s、2H)、3.80(d、1H)
LC/MS(m/z[M−H]+):313
(メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)(化合物41)の作製)
製造例1と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)を取得した。
(メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)(化合物42)の作製)
2,2,2−トリフルオロエタノール9.4g(0.094モル)に代えて、2,2,2−トリクロロエタノール14.0g(0.094モル)を用いたこと以外は製造例1と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)13.0g(0.029モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して63%であった。
(メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)(化合物43)の作製)
製造例3と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル10.0g(0.027モル)を取得した。
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物35〜43について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表17に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物35〜43について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表17に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例及び比較例で得られた化合物35〜43について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表17に示した。
一方、化合物41〜43は約−0.37eVから約−0.21eVと比較的高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。即ち、化合物41〜43は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
表17より、化合物35〜40の標準生成エンタルピー(H)は約−189.3kcal/molから約−215.3kcal/molである。すなわち、化合物35〜40は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表17より、化合物35〜40の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−3.4kcal/molから約−4.2kcal/molである。すなわち、化合物35〜40は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物35〜40は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例3として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表18に示した。
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lで溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例及び各比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例3として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表19に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
また、実施例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液は、参考例3の非水電解液及び比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
(化合物44の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温に上げ、一晩撹拌したのち、水及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を仕込み、引き続き前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留(2torr、160℃)を行い、油状反応物25gを得た。
次に、得られた油状反応物25gに水50gを添加し、100℃で12時間撹拌した。反応終了後、減圧留去により水を除去し、反応物20gを得た。続いて、得られた反応液20gにスルホラン120gを添加し、100℃まで昇温した。その後、酸化リン28g(0.2モル)とパラホルムアルデヒド6g(0.2モル)を交互に添加し、10時間撹拌しながら保温した。反応終了後、室温まで冷却し、水30g、及びアセトニトリル100gを添加し、分液を行った。減圧留去によりアセトニトリルを除去した後、0℃まで冷却し、水160gを滴下した。析出した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥することにより、表20に示した化合物44を6g取得した。化合物44の収率は、ブロモ酢酸に対して19%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物44を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
「非水電解液の調製」において、化合物44の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例36と同様にして非水電解液を調製した。
(化合物45の作製)
亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)に代えて、亜リン酸トリプロピル20.8g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例37と同様にして、表20に示した化合物45を8g取得した。化合物45の収率は、ブロモ酢酸に対して23%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物45を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(化合物46の作製)
撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、ブロモ酢酸13.9g(0.1モル)及びジメトキシエタン70.0gを仕込み、ジメトキシエタン20.0gに混合させた亜リン酸トリエチル16.6g(0.1モル)を、0℃で2時間かけて滴下した。温度を徐々に室温に上げ、一晩撹拌したのち、水、及び飽和食塩水で洗浄後、ジメトキシエタンを留去し、反応物30gを得た。
次に、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、塩化ホスホリル46gに混合させたクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、続いて前記で得られた反応物30gを1時間かけて滴下した。その後、2時間かけて100℃まで昇温し、同温度にて20時間撹拌を行った。その後、常圧留去により塩化ホスホリルを除去した後、減圧蒸留(2torr、160℃)を行い、油状反応物25gを得た。
次に、200mL容4つ口フラスコにジメトキシエタン70g及びエタノール13.8g(0.3モル)を仕込み0℃に冷却した。これに前記で得られた油状反応物25gを2時間かけて滴下したのち、引き続きトリエチルアミン41g(0.4モル)を2時間かけて滴下した。更に10時間撹拌を続け、反応終了後、反応液をろ過することにより無機塩を除去した後、トルエン100g、水25gを添加して分液し、得られた有機層から減圧留去によりトルエンを除去した。続いて、0℃に冷却し、メタノール40gを3時間かけて滴下することで結晶を析出させた。結晶をろ過したのち、減圧乾燥することにより、表20に示した化合物46を10g取得した。化合物46の収率は、ブロモ酢酸に対して26%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物46を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
(化合物47の作製)
エタノール13.8g(0.3モル)に代えて、フェノール28.2g(0.3モル)を用いたこと以外は実施例39と同様にして、表20に示した化合物47を8g取得した。化合物47の収率は、ブロモ酢酸に対して18%であった。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として作製した化合物47を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
化合物44を用いなかったこと以外は、実施例36と同様にして非水電解液を調製した。
化合物44に代えて1,3−プロパンスルトン(PS)を用いたこと以外は、実施例37と同様にして非水電解液を調製した。
化合物44に代えてビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は、実施例37と同様にして非水電解液を調製した。
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例26と同様にして非水電解液を調製した。
化合物44に代えてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いたこと以外は、実施例37と同様にして非水電解液を調製した。
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例28と同様にして非水電解液を調製した。
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物44〜47について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表20に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物44〜47について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表20に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、実施例で得られた化合物44〜47について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表20に示した。
表20より、化合物44〜47の標準生成エンタルピー(H)は約−156.3kcal/molから約−178.9kcal/molである。すなわち、化合物44〜47は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表20より、化合物44〜47の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−2.8kcal/molから約−3.8kcal/molである。すなわち、化合物44〜47は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物44〜47は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
各実施例、各比較例で得られた非水電解液を用いた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表21に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として表22に示した化合物48を、含有割合が0.5質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
化合物48の含有割合を1.0質量%となるようにしたこと以外は、実施例41と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えて表22に示した化合物49を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えて表22に示した化合物50を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えて表22に示した化合物51を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えて表22に示した化合物52を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えて表22に示した化合物53を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48を用いなかったこと以外は、実施例41と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えて1,3−プロパンスルトン(PS)を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えてビニレンカーボネート(VC)を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
ビニレンカーボネート(VC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例32と同様にして非水電解液を調製した。
化合物48に代えてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いたこと以外は、実施例42と同様にして非水電解液を調製した。
フルオロエチレンカーボネート(FEC)の含有割合を2.0質量%となるようにしたこと以外は、比較例34と同様にして非水電解液を調製した。
(LUMOエネルギー、標準生成エンタルピー(H)、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH))
Gaussian03ソフトウェアにより、表22に示した化合物48〜53について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを導出し、結果をそれぞれ表22に示した。
また、MOPAC97ソフトウェアにより、化合物48〜53について、標準生成エンタルピー(H)を導出し、結果をそれぞれ表22に示した。
更に、Gaussian03ソフトウェアにより、化合物48〜53について、加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)を導出し、結果をそれぞれ表22に示した。
表22より、化合物48〜53の標準生成エンタルピー(H)は約−178.7kcal/molから約−210.2kcal/molである。すなわち、化合物48〜53は、非水電解液に含有された際、保存安定性に優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
また、表22より、化合物48〜53の加水分解反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)は、約−3.7kcal/molから約−4.8kcal/molである。すなわち、化合物48〜53は、水分に対する安定性にも優れ、かつ、該非水電解液を二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電気化学的還元分解により電極上にSEIが形成され、電解液中の溶媒分子の分解を抑制することができる。
以上より、化合物48〜53は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、さらに非水電解液用添加剤として非水電解液に含有された際の保存安定性、及び、水分に対する安定性にも優れ、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
各実施例、各比較例で得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。
各実施例及び各比較例で得られた非水電解液を用い、得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)と内部抵抗比を表23に示した。なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
2 正極集電体
3 正極活物質層
4 正極板
5 負極集電体
6 負極活物質層
7 負極板
8 非水電解液
9 セパレータ
Claims (9)
- 請求項1記載の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含むことを特徴とする非水電解液。
- 非水溶媒は、非プロトン性溶媒であることを特徴とする請求項2記載の非水電解液。
- 非プロトン性溶媒は、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載の非水電解液。
- 電解質は、リチウム塩を含有することを特徴とする請求項2、3又は4記載の非水電解液。
- リチウム塩は、LiAlCl4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、及び、LiSbF6からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の非水電解液。
- 請求項2、3、4、5又は6記載の非水電解液、正極、及び、負極を備えたことを特徴とする蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウムイオン電池であることを特徴とする請求項7記載の蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする請求項7記載の蓄電デバイス。
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