JP5981716B2 - 梅酢含有化粧料、及び梅酢を有効成分とする薬効剤 - Google Patents
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梅酢は飽和に近い高い塩分を含有するため、直接利用が限られており、大部分が廃棄されている。梅酢の化粧品への応用に関しては、化粧水や入浴剤への配合による保温効果(特許文献3参照)、養毛料への応用(特許文献4参照)が既に知られているものの、美白・抗糖化などの効果は全く知られていない。また、特許文献5には、化粧料用梅水及びその製造方法について開示されているが、美白・抗糖化などの効果は全く知られていない。
具体的には、本発明によれば、梅酢を含有した新規な美白化粧料及び抗糖化化粧料を提供することができる。また、本発明によれば、梅酢を有効成分とする美白剤、抗糖化剤、メラニン生成抑制剤、メイラード反応抑制剤及びメイラード反応生成物分解促進剤を提供することができる。
本発明は、梅酢を含有する美白化粧料及び抗糖化化粧料、並びに梅酢を有効成分とする種々の薬効剤に関する。
梅酢は、梅の実を塩漬けにして得られる梅の実からでてくる汁であり、酸味の強い酢である。この酢は白梅酢(しろうめず)とも呼ばれている。白梅酢の他、これに、塩もみしたアカジソの葉を加え、赤色になった、赤梅酢(あかうめず)あるいは紅梅酢(こうばいず)と呼ばれるものもあり、いずれも用いることができる。
このような加熱梅酢の市販品としては、梅エキス−D 70、梅エキス−D 80(いずれもサンアクティス社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[例1:梅酢1の製造]
完熟した梅(和歌山産)10Kgに1.5Kgの塩を均一にまぶし、容器に均一充填した。2Kgの重石をして冷暗所に1週間保存後約1Kgの梅酢を得た。本品の乾燥固形分濃度は25%、塩分は19.5%であった。
[例2:脱塩梅酢の製造]
プラムサワータイプB(サンアクティス社製)をそのまま用いた。本品の乾燥固形分濃度は44%、塩分は0.1%であった。
[例3:加熱脱塩梅酢の製造]
例2の脱塩梅酢を90℃で8時間加熱し黒色の加熱脱塩梅酢を得た。本品の乾燥固形分濃度は86%、塩分は0.5%であった。
[例4(比較例):梅果汁の製造]
市販の生梅を冷凍し、解凍したものから種を除き、搾汁後ろ過することで梅果汁を得た。本品の乾燥固形分濃度は7%であった。
[例5(比較例):梅抽出物の製造]
市販の未成熟果実(青梅)から種を除いた果肉1Kgを細切し、95%エタノール水溶液5Kgに浸漬した。1週間冷暗所に静置した後、ろ過したろ液から溶媒除去して梅抽出物35gを得た。
得られた梅酢、及び比較例用梅果汁又は梅抽出物について、以下の種々の項目について評価した。具体的には、(イ)美白評価、(ロ)メラニン生成抑制率及びメラニン定量、(ハ)メイラード反応阻害効果、及び(二)メイラード反応生成物分解促進効果の評価を、それぞれ下記の方法で実施し、評価した。また、(ホ)安定性の評価については、ゲル製剤に配合した際の安定性を以下の通り測定して、評価した。
マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を使用し、細胞培養による美白効果を評価した。2枚の6穴シャーレに、B16メラノーマ細胞を播種し、温度37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。翌日、乾燥固形物重量の最終濃度が0(対照)、25、50、100、250、500μg/mLとなるように検体調製液を添加し、混和した。培養4日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。
(判定基準)
+++:コウジ酸200μg/mLと同等またはそれ以上の白色である。
++ :コウジ酸100μg/mLと同等の白色である。
+ :コウジ酸20μg/mLと同等の白色である。
− :コウジ酸10μg/mL以下の白色である。
また、残りの1枚のシャーレについて、細胞をホルマリン固定後、1%クリスタルバイオレット溶液に添加し染色した。各検体濃度に対する生存細胞率をモノセレーター(オリンパス社製)で測定し、生存率70%未満の濃度については評価対象外とした。以上の結果を表1に示す。梅酢は梅果汁より美白効果が高く、配合量を多くすることによって、コウジ酸と同等の美白効果を達成できることがわかった。
マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を使用し、10cmシャーレに播種し、温度37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。翌日、乾燥固形物重量の最終濃度が0(対照)、50、100、500μg/mLとなるように検体調製液を添加し、混和した。培養4日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。
メラニン定量:
培地を除去後、PBSで洗浄し、トリプシン/EDTA液を用いて細胞を剥離した。この剥離細胞を、PBSに懸濁させ、チューブに回収し、細胞数測定装置を用いて細胞数を計測した。
回収した細胞を、5%TCA溶液に懸濁し、得られた酸不溶性画分にジエチルエーテル/EtOH溶液を添加し、粗メラニン画分を得た。粗メラニン画分に0.85M KOH溶液を1.0mL添加し、得られたメラニン溶液と検量線用の合成メラニン溶液を400nmの吸光度(OD400)で測定し、OD400の検量線からメラニン量を算出した。
メラニン生成抑制率(%)=(A−B)/A×100
A:サンプル無添加時(陰性コントロール)の細胞当たりのメラニン量
B:サンプル添加時の細胞当たりのメラニン量
結果を下記表2に示す。
上記の結果から、梅酢には梅果汁よりも高いメラニン生成抑制作用による美白効果があり、美白剤として知られるL−アスコルビン酸2−グルコシドと同等レベルかあるいはそれ以上に高い美白効果があることが理解できる。
上記方法にて、例2の脱塩梅酢及び例5の梅抽出物の各サンプルを添加した検体について、生成したメラニン量をそれぞれ定量した。結果を下記表、及び図1のグラフにそれぞれ示す。
上記の結果から、梅酢を添加すると、梅果実抽出物又は美白剤として公知のL−アスコルビン酸2−グルコシドを添加した場合と比較して、生成されるメラニン量が顕著に低下し、梅酢には、高いメラニン生成抑制効果があることが理解できる。
Poly−L−lysine hydrobromide(PLL)とブドウ糖をそれぞれ7.2mg/ml及び180mg/mlでPBS(−)に溶解させた後に、それらを1:1の割合で混合する。混合液に1%濃度で梅酢を添加し、60℃で2〜3日間メイラード反応を促進させ、蛍光強度(Ex360nm,Em450nm)で測定することで梅酢添加に伴いどれだけメイラード反応が抑制されたかを評価する。
また、本発明の効果を検証するため、メイラード反応が進まない低温(5℃)に放置したものと、梅酢の代わりに精製水を用いたものをコントロールとし、5℃に比べて60℃でどれだけ蛍光強度が高くなったかを評価した。結果を下記表3及び図2に示す。
Poly−L−lysine hydrobromide(PLL)及びブドウ糖をそれぞれ7.2mg/mL及び180mg/mLでPBS(−)に溶解させた後に、それらを1:1の割合で混合し、60℃に3日間放置した。これによりメイラード反応生成物を調製した。
例2の脱塩梅酢を添加したサンプルの蛍光強度は、無添加サンプルの蛍光強度の約90%(=232377/258349×100)であった。この結果から、本発明の実施例の梅酢には、メイラード反応生成物に対する分解促進作用があることが理解できる。
例1の梅酢及び例2の脱塩梅酢のそれぞれについて、塩を除いた有効成分の濃度が一定になるよう調整し、下記に示すカルボキシビニルポリマーと水酸化ナトリウムからなるゲル製剤に、下記表の有効成分質量でそれぞれ添加した。それぞれについてB型粘度計を用いて粘度(25℃)を測定した。その結果を、下記表4及び図2に示す。
[実施例1:化粧水]
(成分) (%)
1.グリセリン 5
2.1,3−ブチレングリコール 5
3.乳酸 0.05
4.乳酸ナトリウム 0.1
5.例2の梅酢 0.0002
6.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
7.エチルアルコール 8
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.香料 0.05
10.精製水 残量
A:成分6〜9を混合溶解する。
B:成分1〜5及び10を混合溶解する。
C:BにAを添加混合し、化粧水を得た。
(成分) (%)
1.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1
2.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.5
3.グリセリルモノステアレート 1
4.ステアリン酸 0.5
5.ベヘニルアルコール 0.5
6.スクワラン 8
7.カルボキシビニルポリマー 0.1
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.水酸化ナトリウム 0.05
10.例3の加熱脱塩梅酢 0.1
11.精製水 残量
12.エタノール 5.0
13.香料 0.05
A:成分1〜6を70℃で均一に混合する。
B:成分7〜11を70℃で均一に混合する
C:BにAを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:成分12、13を加えて均一に混合し、乳液を得た。
(成分) (%)
1.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注1) 0.5
2.トリエタノールアミン 1.5
3.精製水 残量
4.グリセリン 5
5.パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6.1,3―ブチレングリコール 5
7.水素添加大豆リン脂質 0.5
8.酸化チタン 5
9.ベンガラ 0.1
10.黄酸化鉄 1
11.黒酸化鉄 0.05
12.ステアリン酸 0.9
13.モノステアリン酸グリセリン 0.3
14.セトステアリルアルコール 0.4
15.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17.パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5
18.例1の梅酢 0.1
19.香料 0.02
(注1)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
A:成分1〜5を70℃で均一に混合する。
B:成分6〜17を加え70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
D:Cに成分18、19を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
(成分) (%)
1.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
2.ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
3.精製水 残量
4.ジプロピレングリコール 10
5.硫酸マグネシウム 0.5
6.アスコルビルリン酸マグネシウム 3
7.シリコーン化合物(注2) 3
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 20
9.イソノナン酸イソトリデシル 5
10.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8
11.脱塩梅酢(注3) 0.1
12.ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
(注2)KF−6028(信越化学工業社製)
(注3)プラムサワータイプA(サンアクティス社製)(塩分濃度0.1%)
A:成分1〜6を均一に分散する。
B:成分7〜12を均一に分散する。
C:Bを攪拌しながら徐々にAを加えて乳化し、油中水型クリーム状日焼け止め化粧料を得た。
(成分) (%)
1.ステアリン酸 18
2.セタノール 4
3.酢酸dl−α―トコフェロール(注3) 0.2
4.トリエタノールアミン 2.5
5.グリセリン 5.0
6.グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
7.加熱脱塩梅酢(注4) 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.精製水 残量
(注3)エーザイ社製
(注4)梅エキス−D 70(サンアクティス社製)(塩分濃度0.5%)
A.成分1〜3を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分4〜9を混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加え、軟膏剤を得た。
(成分) (%)
1.エタノール 8.0
2.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
3.グリセリン 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 6.5
5.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
6.加熱脱塩梅酢(注6) 1.0
7.精製水 残量
(注6)梅エキス−D 80(サンアクティス社製)(塩分濃度0.5%)
A.成分1、2を混合溶解する。
B.成分3〜7を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
(処方) (%)
1.ポリビニルアルコール 20
2.グリセリン 5
3.精製水 残量
4.エタノール 20
5.カオリン 6
6.脱塩梅酢(注7) 0.1
7.防腐剤 0.2
8.香料 0.1
(注7)プラムサワータイプC(サンアクティス社製)(塩分濃度3.5%)
B.成分4〜8を混合する。
C.AにBを加えパックを得た。
Claims (8)
- 脱塩梅酢を有効成分とし、脱塩梅酢を乾燥固形分として0.01〜0.5質量%、およびカルボキシビニルポリマーを含有する、美白化粧料。
- 脱塩梅酢を有効成分とし、カルボキシビニルポリマーとともに化粧料に用いるための、美白剤。
- 脱塩梅酢を有効成分とし、カルボキシビニルポリマーとともに化粧料に用いるための、メラニン生成抑制剤。
- 前記脱塩梅酢の塩濃度が0〜10質量%である請求項1に記載の化粧料。
- ゲル状である、請求項1または4に記載の化粧料。
- 前記脱塩梅酢が濃縮脱塩梅酢である、請求項1、4または5に記載の化粧料。
- 前記脱塩梅酢が濃縮脱塩梅酢である、請求項2または3に記載の剤。
- 請求項1および4〜6のいずれかに記載の化粧料または請求項2もしくは3に記載の剤の製造方法であって、前記脱塩梅酢が加熱脱塩梅酢であり、脱塩梅酢を加熱処理して加熱脱塩梅酢を得る工程を含む、製造方法。
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