以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1には本発明を適用したクローラ型のパワーショベル1を示し、図2にはこのパワーショベル1の油圧作動装置の作動制御を行うための油圧回路を示している。これら図1および図2を参照しながら、まずパワーショベル1の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、図1に示す矢印方向を前後、左右および上下と定義して説明を行う。
パワーショベル1は、図1に示すように、平面視略H字状の走行台車2の左右に走行機構3,3を備えて構成される走行装置4と、走行台車2の後部に上下に揺動自在に設けられたブレード5と、走行台車2の上部に旋回自在に設けられた旋回台6と、旋回台6の前部に設けられたショベル機構7と、旋回台6の上部に立設されたオペレータ搭乗用のオペレータキャビン8とを備えて構成される。
左右一対の走行機構3,3は、走行台車2の左右前部に設けられた駆動用スプロケットホイール9と、走行台車2の左右後部に設けられたアイドラホイール10と、駆動用スプロケットホイール9とアイドラホイール10との間に巻き掛けられた履帯11とから構成される。左右一対の走行機構3,3のうち、走行台車2の右側に設けられた走行機構3には、駆動用スプロケットホイール9を駆動する油圧駆動式の右走行モータ9Rが備えられている。走行台車2の左側に設けられた走行機構3には、駆動用スプロケットホイール9を駆動する油圧駆動式の左走行モータ9Lが備えられている。ブレード5は、油圧駆動式のブレードシリンダ26(図2参照)により揺動作動される。旋回台6は、油圧駆動式の旋回モータ25(図2参照)により、走行装置4に対して旋回作動される。
ショベル機構7は、図1に示すように、旋回台6の前部に揺動自在に枢結されたブーム12と、ブーム12の先端部にブーム12の揺動面内で上下に揺動自在に枢結されたアーム13と、アーム13の先端に上下に揺動自在に枢結されたバケット14とを備える。旋回台6の前部とブーム12とに跨って油圧駆動式のブームシリンダ15が設けられており、このブームシリンダ15によりブーム12が揺動作動される。ブーム12とアーム13とに跨って油圧駆動式のアームシリンダ16が設けられており、このアームシリンダ16によりアーム13が揺動作動される。アーム13とバケット14とに跨って油圧駆動式のバケットシリンダ17が設けられており、このバケットシリンダ17によりバケット14が揺動作動される。
オペレータキャビン8は、略矩形箱状に形成されており、内部にオペレータが前方に向いて着座するためのオペレータシート18が設けられている。オペレータシート18の左右には、ブレード5、旋回台6およびショベル機構7等の作動操作を行うための右作業操作レバー19と左作業操作レバー20とが設けられている。また、オペレータシート18の前方には、走行装置4の作動操作を行うための右走行操作レバー21と左走行操作レバー22とが設けられている。右走行操作レバー21は、右走行モータ9Rを操作するための操作レバーであり、左走行操作レバー22は、左走行モータ9Lを操作するための操作レバーである。
このように構成されるパワーショベル1においては、オペレータがオペレータシート18に着座して、右作業操作レバー19および左作業操作レバー20を前後左右に傾動操作したり、右走行操作レバー21および左走行操作レバー22を前後に傾動操作することによって、走行装置4によりパワーショベル1を前後に走行させたり、ショベル機構7等を作動させて掘削等の作業をさせることができる。
具体的には、右作業操作レバー19を前後に傾動操作することにより、ブーム12を上下起伏揺動させ、左右に傾動操作することにより、バケット14を上下に掘削揺動させる。左作業操作レバー20については、前後に傾動操作することによりアーム13を上下に屈伸揺動させ、左右に傾動操作することにより旋回台6を左右に旋回作動させる。また、右走行操作レバー21を前方向に傾動操作することにより、右走行モータ9Rを正転駆動して右走行機構3を前進方向に駆動し、後方向に傾動操作することによりこれを逆転駆動して後進方向に駆動する。同様に、左走行操作レバー22を前方向に傾動操作することにより、左走行モータ9Lを正転駆動して左走行機構3を前進方向に駆動し、後方向に傾動操作することによりこれを逆転駆動して後進方向に駆動する。
以上ここまで、パワーショベル1の構成について説明した。次に、このパワーショベル1において、各操作レバー19〜22の操作に応じて、上述した作動を行わせるために、ブームシリンダ15等の油圧アクチュエータを作動させる油圧制御装置の構成について、図2および図3を参照しながら説明する。なお、各操作レバー19〜22が上述のように前後もしくは左右に操作されると、その操作方向および操作量に対応する操作信号が出力される構成となっている。
ショベル油圧制御ユニット29は、図2に示すように、各操作レバー19〜22からの操作信号が入力される制御装置23と、制御装置23により作動制御されて油圧アクチュエータへの作動油の供給制御を行う油圧制御装置24と、エンジンEにより回転駆動されるメイン油圧ポンプ30およびパイロット油圧ポンプ90と、ブームシリンダ15等の油圧アクチュエータへの作動油供給を行う制御バルブ群28とを備える。メイン油圧ポンプ30およびパイロット油圧ポンプ90は、作動油タンク99内の作動油を油圧制御装置24に供給する。油圧制御装置24は、パイロット油圧ポンプ90からの供給油からパイロット圧Ppを作り出して、このパイロット圧Ppを用いて制御バルブ群28の作動制御を行う。
制御バルブ群28としては、右走行モータ9Rへの作動油供給制御を行う右走行制御バルブ40、左走行モータ9Lへの作動油供給制御を行う左走行制御バルブ50、ブームシリンダ15への作動油供給制御を行うブーム制御バルブ60、アームシリンダ16への作動油供給制御を行うアーム制御バルブ70、バケットシリンダ17への作動油供給制御を行うバケット制御バルブ80、旋回モータ25への作動油供給制御を行う旋回制御バルブ87、ブレードシリンダ26への作動油供給制御を行うブレード制御バルブ88、および付加アクチュエータ27への作動油供給制御を行う付加アクチュエータ制御バルブ89を有する。付加アクチュエータ27とは、作業に応じてパワーショベル1に追加して搭載される油圧アクチュエータである。
図3に、左右走行モータ9L,9R、ブームシリンダ15、アームシリンダ16およびバケットシリンダ17の作動制御を行う構成を例にして、油圧制御装置24の油圧回路構成を示している。このため、図3に示す油圧制御装置24においては、左右走行モータ9L,9Rへの作動油供給制御を行う右および左走行制御バルブ40,50と、ブームシリンダ15への作動油供給制御を行うブーム制御バルブ60と、アームシリンダ16への作動油供給制御を行うアーム制御バルブ70と、バケットシリンダ17への作動油供給制御を行うバケット制御バルブ80を示している。さらに、油圧制御装置24は、メイン油圧ポンプ30の吐出口に繋がるメイン油路31と、メイン油路31の途中に設けられた開度調整バルブ34と、パイロット油圧ポンプ90の吐出口に繋がるパイロット油路91および後述するパイロット制御バルブ群100とを備える。
メイン油圧ポンプ30は、斜板式の可変容量タイプの油圧ポンプであり、エンジンEにより回転駆動されて、作動油タンク99に貯留された作動油を吸い上げてメイン油路31に吐出する。メイン油圧ポンプ30における斜板の傾斜角度は、油圧アクチュエータでの負荷圧の変動に拘らず油圧アクチュエータへの作動油の供給量が維持されるように、図示しないポンプレギュレータにより制御される。ポンプレギュレータには、メイン油圧ポンプ30のポンプ圧と、複数の油圧アクチュエータのうちで最も高い負荷圧(最高負荷圧)とが入力される。ポンプレギュレータは、入力されたこれらの圧力を基にして、ポンプ圧が最高負荷圧よりも所定圧だけ高くなるように、メイン油圧ポンプ30における斜板の傾斜角度を制御して吐出量を制御する(いわゆる「ロードセンシング制御」される)。このようにポンプレギュレータによりロードセンシング制御されることにより、油圧アクチュエータでの負荷圧が変動しても油圧アクチュエータへの作動油の供給量が維持され、油圧アクチュエータの作動速度が確保される。
パイロット油圧ポンプ90は固定容量型の油圧ポンプであり、エンジンEにより回転駆動されて、作動油タンク99に貯留された作動油を吸い上げてパイロット油路91に吐出する。パイロット油路91は、パイロット油路ポンプ90の吐出口に繋がる第1パイロット油路92と、この第1パイロット油路92から分岐した第2パイロット油路93と、第3パイロット油路94と、第4パイロット油路95とから構成される。第1パイロット油路92にはパイロット圧調整バルブ96が設けられており、パイロット油路91に供給される油圧をパイロット油圧Ppに調圧する。
第1パイロット油路91からはさらに、第5パイロット油路110が分岐しており、第5パイロット油路110には、制御バルブ群28を構成する各制御バルブに供給するパイロット制御圧を作り出すパイロット制御バルブ群100が繋がって設けられている。このパイロット制御バルブ群100の構成は図示していないが、操作レバー19〜22の操作信号を受けてその操作に対応するパイロット油圧Ppを制御バルブ群28に供給してその作動を制御する。具体的な作動制御については後述する。
右走行制御バルブ40は、接続油路32を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油を右走行モータ9Rに供給する制御が行われる。右走行制御バルブ40の左右端部にパイロットポート41a,41bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成する右走行用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。右走行用パイロットバルブは、右走行操作レバー21の操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート41a,41bに作用させる。これにより、メイン油路31から接続油路32を介して供給されるメイン油圧ポンプ30からの作動油が、右走行制御バルブ40により供給制御され、右走行操作レバー21の操作に応じた供給方向および供給量で右走行モータ9Rに供給される。この結果、右走行モータ9Rは、右走行操作レバー21の操作方向および操作量に対応した回転方向および回転速度で回転駆動される。
右走行制御バルブ40はさらに、パイロット制御部42を備える。パイロット制御部42は、右走行制御バルブ40による右走行モータ9Rへの作動油供給制御作動に応じて、第2パイロット油路93を開放させる開放位置43と、第2パイロット油路93を閉止させる左右の閉止位置44a,44bとに切り換えられる構成となっている。具体的には、右走行操作レバー21が中立位置(非操作位置)で右走行制御バルブ40も中立位置となって右走行モータ9Rへの作動油供給を行わせないときに、パイロット制御部42は開放位置43に位置して第2パイロット油路93をタンク側に開放する。右走行操作レバー21が中立位置から前後いずれかに操作され右走行制御バルブ40により右走行モータ9Rへの作動油供給を行わせてこれを回転駆動するときには、パイロット制御部42は左右いずれかの閉止位置44a,44bに位置して第2パイロット油路93を閉止する。
左走行制御バルブ50も右走行制御バルブ40と同様な構成であり、接続油路33を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油を左走行モータ9Lに供給する制御が行われる。左走行制御バルブ50の左右端部に設けられたパイロットポート51a,51bに、パイロット制御バルブ群100を構成する左走行用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。このパイロット圧は、左走行操作レバー22の操作方向および操作量に対応し、左走行制御バルブ50は、メイン油圧ポンプ30からの作動油を、左走行操作レバー22の操作に応じた供給方向および供給量で左走行モータ9Lに供給させる。この結果、左走行モータ9Lは、左走行レバー22の操作方向および操作量に対応した回転方向および回転速度で回転駆動される。
左走行制御バルブ50もパイロット制御部52を備える。なお、パイロット制御部42および52は、第2パイロット油路93に直列配置されている。パイロット制御部52は、左走行制御バルブ50の作動に応じて、第2パイロット油路93を開放させる開放位置53と、第2パイロット油路93を閉止させる左右の閉止位置54a,54bとに切り換えられる。これにより、左走行操作レバー22が中立位置(非操作位置)で左走行モータ9Lを駆動させないときに、パイロット制御部52は開放位置53に位置して第2パイロット油路93をタンク側に開放する。左走行操作レバー22が中立位置から前後いずれかに操作され左走行モータ9Lを回転駆動するときには、パイロット制御部52は左右いずれかの閉止位置54a,54bに位置して第2パイロット油路93を閉止する。
ブーム制御バルブ60は、接続油路37を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をブームシリンダ15に供給する制御が行われる。ブーム制御バルブ60の左右端部にもパイロットポート61a,61bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するブーム用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。ブーム用パイロットバルブは、右作業操作レバー19の前後傾動操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート61a,61bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御され、右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でブームシリンダ15に供給される。この結果、ブームシリンダ15は、右作業操作レバー19の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動される。
ブーム制御バルブ60もパイロット制御部62を備える。パイロット制御部62は、ブーム制御バルブ60の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置63と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置64a,64bとに切り換えられる。これにより、右作業操作レバー19が前後方向に中立位置(非操作位置)でブームシリンダ15を作動させないときに、パイロット制御部62は開放位置63に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放する。右作業操作レバー19が中立位置から前後いずれかに揺動操作されブームシリンダ15を伸縮作動させるときには、パイロット制御部62は左右いずれかの閉止位置64a,64bに位置して第3パイロット油路94を閉止する。
アーム制御バルブ70は、接続油路38を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をアームシリンダ16に供給する制御が行われる。アーム制御バルブ70の左右端部にもパイロットポート71a,71bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するアーム用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。アーム用パイロットバルブは、左作業操作レバー20の前後傾動操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート71a,71bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、アーム制御バルブ70により供給制御され、左作業操作レバー20の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でアームシリンダ16に供給される。この結果、アームシリンダ16は、左作業操作レバー20の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動される。
アーム制御バルブ70もパイロット制御部72を備える。なお、パイロット制御部62および72は、第3パイロット油路94に直列配置されている。パイロット制御部72は、アーム制御バルブ70の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置73と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置74a,74bとに切り換えられる。これにより、左作業操作レバー20が前後方向に中立位置(非操作位置)でアームシリンダ16を作動させないときに、パイロット制御部72は開放位置73に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放する。左作業操作レバー20が中立位置から前後いずれかに揺動操作されアームシリンダ16を伸縮作動させるときには、パイロット制御部72は左右いずれかの閉止位置74a,74bに位置して第3パイロット油路94を閉止する。
バケット制御バルブ80は、接続油路39を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をバケットシリンダ17に供給する制御が行われる。バケット制御バルブ80の左右端部にもパイロットポート81a,81bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するバケット用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。バケット用パイロットバルブは、右作業操作レバー19の左右傾動操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート81a,81bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、バケット制御バルブ80により供給制御され、右作業操作レバー19の左右傾動操作に応じた供給方向および供給量でバケットシリンダ17に供給される。この結果、バケットシリンダ17は、右作業操作レバー19の左右傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動される。
バケット制御バルブ80もパイロット制御部82を備える。なお、パイロット制御部62、72および82は、第3パイロット油路94に直列配置されている。パイロット制御部82は、バケット制御バルブ80の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置83と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置84a,84bとに切り換えられる。これにより、右作業操作レバー19が左右方向に中立位置(非操作位置)でバケットシリンダ17を作動させないときに、パイロット制御部82は開放位置83に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放する。右作業操作レバー19が中立位置から左右いずれかに揺動操作されバケットシリンダ17を伸縮作動させるときには、パイロット制御部82は左右いずれかの閉止位置84a,84bに位置して第3パイロット油路94を閉止する。
図3には図示しないが、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70およびバケット制御バルブ80と同様に構成される旋回制御バルブ87、ブレード制御バルブ88および付加アクチュエータ制御バルブ89が、図3におけるメイン油路31の右側(下流側)に繋がって設けられている。これら旋回制御バルブ87、ブレード制御バルブ88および付加アクチュエータ制御バルブ89もそれぞれパイロット制御部を第3パイロット油路94内に直列に設けられている。これにより、操作レバーの操作等による旋回作動、ブレード作動、付加アクチュエータ作動が行われるときに、第3パイロット油路94を閉止する構成となっている。
開度調整バルブ34は、メイン油路31における接続油路33の分岐部と接続油路37の分岐部との間に配設されている。開度調整バルブ34は、第4パイロット油路95に供給されるパイロット圧に応じて作動され、メイン油路31を開放させる開口面積を設定する開放位置35と、この開放位置35で設定される開口面積よりも小さな開口面積を設定する絞り位置36とに切り換えられる。このため、開度調整バルブ34には第4パイロット油路95を介してパイロット油路91内の作動油圧が入力されるパイロットポート34aが設けられている。
上述のように、第2パイロット油路93および第3パイロット油路94は、左右の走行制御バルブ40,50、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80、旋回制御バルブ87、ブレード制御バルブ88および付加アクチュエータ制御バルブ89に設けられたパイロット制御部により開閉制御される。この開閉制御により第2パイロット油路93および第3パイロット油路94の少なくともいずれか一方が開放されてタンクに連通する状態のときには、パイロットポート34aから開度調整バルブ34に作用する第4パイロット油路95のパイロット圧は低圧となる。この結果、パイロットポート34aの反対側に設けられた圧縮ばね34bによる押圧力を受けて開度調整バルブ34は開放位置35に保持される。一方、第2パイロット油路93および第3パイロット油路94がともに閉止された状態のときには、第4パイロット油路95内の油圧はパイロット圧調整バルブ96により調圧された所定パイロット圧となり、この所定パイロット圧がパイロットポート34aに作用し、圧縮ばね34bによる押圧力に抗して開度調整バルブ34は絞り位置36に移動される。
以上、パワーショベル1の油圧制御装置の構成について説明したが、次に、操作レバーの操作に対する油圧制御装置による作動制御について説明する。パワーショベル1は、オペレータキャビン8に搭乗したオペレータが、左右の作業操作レバー19,20、左右の走行操作レバー21,22等を操作してその作動が制御される。そこでまず、いずれか一つのレバー操作のみが行われる、単動作動制御の場合について説明する。
まず、右作業操作レバー19を前後に傾動操作することにより、ブーム12を上下起伏揺動させる場合の制御について説明する。前述のように、右作業操作レバー19を前後に傾動操作すると、その傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23はブーム用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧をブーム制御バルブ60のパイロットポート61a,61bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御され、右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でブームシリンダ15に供給される。この結果、ブームシリンダ15は、右作業操作レバー19の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動され、ブーム12が右作業操作レバー19の前後傾動操作に対応して作動する。
このようにブーム制御バルブ60が作動されると、パイロット制御部62はいずれかの閉止位置64a,64bに位置し、第3パイロット油路94が閉止される。ところが、他の操作は行われていない状態であるため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60に供給される。
左作業操作レバー20を前後に傾動操作してアーム13を上下に屈伸揺動させる場合および右作業操作レバー19を左右に傾動操作してバケット14を上下に掘削揺動させる場合の制御は、上述した右作業操作レバー19の前後に傾動操作によりブーム12を上下起伏揺動させる場合の制御と同様である。すなわち、各レバー操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23はパイロット制御バルブ群100を構成する各パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧をアーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80に作用させ、これらの作動制御を行う。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、各操作レバー操作に応じた供給方向および供給量でアームシリンダ16,バケットシリンダ17に供給され、アーム13およびバケット14の作動が制御される。
なお、このようにアーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80のいずれかが単独作動された場合においても、パイロット制御部72もしくは82により第3パイロット油路94が閉止される。ところが、この場合も他の操作は行われていない状態であるため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくアーム制御バルブ70またはバケット制御バルブ80に供給される。
次に、左右いずれかの走行操作レバー21,22が操作された場合の作動制御を説明する。例えば、右走行操作レバー21を前後に傾動操作すると、その傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23は右走行用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧を右走行制御バルブ40のパイロットポート41a,41bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、右走行制御バルブ40により供給制御され、右走行操作レバー21の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量で右走行モータ9Rに供給される。この結果、右走行モータ9Rは、右走行操作レバー21の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で回転駆動され、右走行機構3が走行駆動される。
このように右走行制御バルブ40が作動されると、パイロット制御部42はいずれかの閉止位置44a,44bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。ところが、他の操作は行われていない状態であるため、第3パイロット油路94上に位置するブーム制御バルブ60等、全ての制御バルブのパイロット制御部62等は開放位置63等に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60側にも供給される状態となっている。
左走行操作レバー22を前後に傾動操作する場合も上記と同様に作動制御される。すなわち、左走行操作レバー22の傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23によりレバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧を左走行制御バルブ50のパイロットポート51a,51bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、左走行制御バルブ50により供給制御され、左走行操作レバー22の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量で左走行モータ9Lに供給される。この結果、左走行モータ9Lは、左走行操作レバー22の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で回転駆動され、左走行機構3が走行駆動される。
このように左走行制御バルブ50が作動されると、パイロット制御部52はいずれかの閉止位置54a,54bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。ところが、他の操作は行われていない状態であるため、第3パイロット油路94上に位置するブーム制御バルブ60等、全ての制御バルブのパイロット制御部62等は開放位置63等に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60側にも供給される状態となっている。
なお、走行制御は、左右の走行操作レバー21,22を同時に操作して行われる。例えば、パワーショベル1を前進走行させるときには、左右の走行操作レバー21,22を同時に前方に傾動操作し、左右の走行機構3をともに前進方向に駆動させる。逆に後進走行するときには、左右の走行操作レバー21,22を同時に後方に傾動操作する。また、左右の走行操作レバー21,22の操作量を相違させると、左右の走行機構3の駆動速度が相違し、その相違に応じて旋回走行させることができる。このように、左右の走行操作レバー21,22を同時に操作した場合、上記説明から分かるように、左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52はともにいずれかの閉止位置44a,44b,54a,54bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。ところが、このときに、他の操作は行われていない状態であれば、第3パイロット油路94上に位置するブーム制御バルブ60等、全ての制御バルブのパイロット制御部62等は開放位置63等に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60側にも供給される状態となっている。
次に、複数の操作レバーを同時操作する場合について説明する。まず、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)を複数同時に操作する場合を考える。この場合には、複数操作された操作信号が制御装置23に送られ、これら複数の操作信号に対応して対応する制御バルブが駆動制御され、対応する油圧アクチュエータが同時作動される。このため、複数の油圧アクチュエータに作動油が同時供給され、単動作動の場合に較べて多くの作動油量が必要となる。この場合において、メイン油圧ポンプ30からの供給油量が、複数のレバー操作による複動作動に必要とされる油量より多いときには何ら支障ないが、少ないときには、レバー操作量に比例して油量配分がなされ、アクチュエータ作動が遅くなる。このように、ブーム12、アーム13、バケット14の作動や、旋回台6の旋回作動を複数同時に行わせる場合、各操作レバーの操作量によってはメイン油圧ポンプ30からの供給油量が要求量より少ない場合が生じる。この場合には、各操作レバーの操作量に比例した油量配分に応じて各作動速度を遅くする制御が行われる。
このようにブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80等が複数同時作動された場合には、パイロット制御部62、72、82により第3パイロット油路94が閉止される。ところが、この場合に左右の走行操作レバー21,22の操作が行われていなければ、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60等に供給される。
次に、左右の走行操作レバー21,22の操作と、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)のいずれかもしくは複数とを同時に操作する場合を考える。この場合にも、各レバー操作に応じた操作信号が制御装置23に送られ、これら複数の操作信号に対応して対応する制御バルブが駆動制御され、対応する油圧アクチュエータが同時作動される。
但し、この場合には、左右の走行操作レバー21,22の操作が行われているため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52の少なくともいずれかは閉止位置44a,44b,54a,54bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。さらに、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80等のいずれかも同時作動されているので、パイロット制御部62、72、82のいずれかにより第3パイロット油路94も閉止される。すなわち、第2および第3パイロット油路93,94がともに閉止され、この結果、第4パイロット油路95内の油圧はパイロット調整バルブ96により調整される所定のパイロット圧となる。この所定パイロット圧は開度調整バルブ34のパイロットポート34aに作用し、開度調整バルブ34は絞り位置36に位置する。
このような開度調整バルブ34の作動により、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油は、メイン油路31における開度調整バルブ34より上流側で分岐する接続油路32および33には支障なく供給されるが、開度調整バルブ34より下流側には絞り位置36に設けられた絞りにより制限されて供給されることとなる。
この結果、左右の走行操作レバー21,22の操作に対応して左右油圧モータ9R,9Lの回転駆動制御は行われるが、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)に対しては、開度調整バルブ34により絞られて供給される作動油量に対応した速度での作動が行われる。
このため、走行装置4を走行させるレバー操作と、ブーム12やアーム13等を作動させるレバー操作とが同時に行われるときに、ブーム12やアーム13等の作動速度がレバー操作に対応する作動速度よりも遅くなることは許容しても、走行装置4をレバー操作に対応する走行速度で走行させたいという要求を満たすことができる。なお、これとは反対に、走行装置4の走行速度がレバー操作に対応する走行速度よりも遅くなることは許容しても、ブーム12やアーム13等をレバー操作に対応する作動速度で作動させたいという要求を満たす場合には、ブーム12やアーム13等に対応する制御バルブ60,70等を開度調整バルブ34の上流側でメイン油路31に接続し、左右の走行制御バルブ40,50を開度調整バルブ34の下流側でメイン油路31に接続すれば良い。
以下においては、開度調整バルブ34を開放位置35から絞り位置36に切り換えて作動油を供給する効果を、図4を参照しながら、2つの油圧アクチュエータ(第1および第2アクチュエータ)を同時に作動させる場合を想定して説明する。なお、図4においては、開度調整バルブ34よりも上流側でメイン油路31に接続された油圧アクチュエータを第1アクチュエータとし、開度調整バルブ34よりも下流側でメイン油路31に接続された油圧アクチュエータを第2アクチュエータとしている。また、レバー操作量(10)のときに供給量(10)の作動油が供給されると、レバー操作量に対応した速度で油圧アクチュエータが作動されるものとする。また、メイン油圧ポンプから、吐出量(15)の作動油が吐出される場合を想定する。
図4に示すように、第1および第2アクチュエータをそれぞれレバー操作量(10)で同時に作動させる場合に、第1および第2アクチュエータのそれぞれに供給量(10)の作動油を供給できれば、レバー操作量に対応した速度で作動させることができる。このためには、メイン油圧ポンプから供給量(20)の作動油を吐出させる必要があるが、この例では供給量(15)の作動油しか吐出されていないので、供給量(5)だけ作動油が不足する。このような場合、開度調整バルブ34を備えない従来の油圧制御装置では、レバー操作量に応じて作動油が分配されて、第1および第2アクチュエータのそれぞれに供給量(7.5)の作動油が供給されていた。このため、第1および第2アクチュエータのどちらも、レバー操作量に対応した速度よりも遅い速度でしか作動させることができなかった。
これに対して、本発明に係るパワーショベル1は、開度調整バルブ34を備えて油圧制御装置24が構成されるので、レバー操作量(10)に対応した供給量(10)の作動油を第1アクチュエータに優先的に供給することができ、レバー操作量(10)に対応した速度で第1アクチュエータを作動させることができる。一方、第1アクチュエータに供給量(10)の作動油が供給され、その残りの供給量(5)の作動油が第2アクチュエータに供給されるので、第2アクチュエータは、レバー操作量に対応した速度よりも遅い速度で作動される。この油圧制御装置24による作動制御は、第1および第2アクチュエータを同時に作動させる場合であって、例えば第1アクチュエータについては単独で作動させる場合と同様の作動速度を確保したいが、第2アクチュエータについては単独で作動させる場合よりも作動速度が遅くても構わないような場合に、特に有効である。
上述の実施形態では、第4パイロット油路95のパイロット圧を開度調整バルブ34のパイロットポート34aに作用させて、開放位置35から絞り位置36に切り換える構成を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えばレバー操作を電気的に検出する構成を採用し、右走行モータ9Rおよび左走行モータ9Lの少なくとも一方と、残りの油圧アクチュエータの少なくともいずれかとを同時に作動させるレバー操作が電気的に検出された場合に、開度調整バルブ34を電気的に制御して開放位置35から絞り位置36に切り換えるように構成しても良い。
また、上記のレバー操作を電気的に検出する構成を基にして、以下のような制御を行うことも可能である。すなわち、各操作レバーにおけるレバー操作量を合計した合計値(要求作動油量)が、メイン油圧ポンプ30における単位時間当たりの吐出量を下回る場合には、開度調整バルブ34を電気的に制御して開放位置35に維持し、一方、上記合計値が、メイン油圧ポンプ30の吐出量を上回る場合には、開度調整バルブ34を電気的に制御して絞り位置36に切り換えるように構成しても良い。
さらに、上述の実施形態では、開放位置35と絞り位置36とに切り換え可能な開度調整バルブ34を例示したが、例えば開口面積を異ならせた複数段(2段、3段以上、または無段階)の絞り位置を備えた構成としても良い。この複数段の絞り位置を備えた開度調整バルブを用いる場合、上記合計値がメイン油圧ポンプ30の吐出量を上回るときに、その上回る程度に応じて段階的に開口面積が小さくなるように、絞り位置を切り換える制御を行うことが好ましい。
上述の実施形態では、複数の油圧アクチュエータを同時に作動させるレバー操作が行われるときに、走行装置4の走行速度を確保できる構成を例示して説明したが、この構成は本発明の一例であって、本発明はこの構成に限定されるものではない。複数の油圧アクチュエータを同時に作動させるレバー操作が行われるときに、例えば付加アクチュエータ27の作動速度を確保できるように構成するためには、図3に示す油圧制御装置24において、右走行制御バルブ40および左走行制御バルブ50を開度調整バルブ34の下流側においてメイン油路31に接続し、付加アクチュエータ制御バルブ89を開度調整バルブ34の上流側においてメイン油路31に接続することで構成できる。
上述の実施形態では、可変容量型のメイン油圧ポンプ30を用いた構成例を説明したが、可変容量型の油圧ポンプの代わりに固定容量型の油圧ポンプを用いても良い。
本発明は、上述した実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改良可能である。例えば、上述の実施形態においては、エンジンEを駆動源として搭載するパワーショベル1に本発明を適用した例について説明したが、エンジンEに代えて電動モータを駆動源として搭載するパワーショベルにも本発明を適用可能である。
上述の実施形態では、本発明をクローラ型のパワーショベル1に適用した例について説明したが、本発明はクローラ型のパワーショベルに限定して適用されるものではなく、例えばホイール型のパワーショベルやショベルローダ等の他の油圧駆動式機械にも適用可能である。