JP5979320B2 - Ni−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管 - Google Patents

Ni−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管 Download PDF

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Description

本発明は、Ni−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管(seamless oil country tubular goods)に関する。より詳しくは、本発明は、熱間加工性および耐衝撃特性に優れるとともに、耐食性(中でも、温度が200℃を超えるような高温で、しかも、多量の硫化水素を含む環境での耐応力腐食割れ性)にも優れる、高強度Ni−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管に関する。
本明細書における「高強度」とは降伏強度(0.2%耐力)が965MPa(140ksi)以上であることを指す。なお、「油井管(oil country tubular goods)」とは、例えば、JIS G 0203(2009)の番号3514の「油井用鋼管(steel pipe for oil well casing, tubing and drilling)」の定義欄に記載されているように、油井またはガス井の掘削、原油または天然ガスの採取などに用いられるケーシング、チュービング、およびドリルパイプの総称である。「油井用継目無管」とは、例えば、油井またはガス井の掘削、原油または天然ガスの採取などに用いることができる継目無管である。
近年の原油価格の高騰に伴い、より高深度で苛酷な腐食環境下にある油井および天然ガス井の開発が進められている。このような厳しい環境下での石油および天然ガスの採掘に伴い、その採掘などに使用される油井管にも高強度で優れた耐食性が求められるようになってきている。
石油および天然ガス中には、二酸化炭素(CO2)、硫化水素(H2S)、および塩化物イオン(Cl-)などの腐食性物質が含まれる。そのため、石油または天然ガスの採掘に用いられる油井管の材料には、これらの腐食性物質に対する優れた耐食性が要求される。中でも150℃以上の高温であってかつ硫化水素を1atm以上と多く含んだ環境においては、油井管の主たる腐食要因は応力腐食割れである。したがって、高温、かつ硫化水素を含む環境で用いられる油井管の材料には、高い耐応力腐食割れ性が求められる。
さらに、石油および天然ガスのニーズの高まりは、これらを採掘するための油井およびガス井の高深度化および高温化をもたらしている。このような井戸で使用される油井管の材料に対しては、二酸化炭素、硫化水素、および塩化物イオンに対する耐食性の維持と同時に高強度化が要求される。そのため、近年では、降伏強度(0.2%耐力)が965MPa以上の高強度を備える高強度油井管に対する要望も大きくなっている。
低合金鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼および2相ステンレス鋼が適用できない上記のような厳しい腐食環境に対して、特許文献1〜3に開示されるようなNi−Cr合金材の使用が試みられてきた。
例えば、特許文献1の油井管用合金では、NiおよびCrの含有量を特定の範囲に調整するとともに、Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)およびMo(%)+(1/2)W(%)の値を特定の範囲に調整している。特許文献1には、上記の合金によれば、冷間加工材であっても温度が150℃以下であれば、「H2S−CO2−Cl-」環境での耐応力腐食割れ性が確保できることが開示されている。また、特許文献1には、質量%で、0.05〜0.30%の範囲でNを含有させ、かつ固溶化処理後に冷間加工を行うことにより、965MPa以上の0.2%耐力を実現できることが開示されている。
特許文献2の油井管用合金では、NiおよびCrの含有量を特定の範囲に調整するとともに、Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)およびMo(%)+(1/2)W(%)の値を特定の範囲に調整している。特許文献2には、上記の合金によれば、冷間加工材であっても、極めて腐食性の強い「H2S−CO2−Cl-」の環境下、特に150℃以下の悪環境での耐応力腐食割れ性が確保できることが開示されている。また、特許文献2には、質量%で、0.05〜0.25%の範囲でNを含有させることと、固溶化処理後の冷間加工および時効処理との併用により、965MPa以上の0.2%耐力を実現できることが開示されている。
特許文献3の油井管用合金では、Mn、Ni、およびCrの含有量を特定の範囲に調整するとともに、(1/2)Mn(%)+Ni(%)、Cr(%)+Mo(%)+(1/2)W(%)およびMo(%)+(1/2)W(%)の値を特定の範囲に調整している。特許文献3には、上記の合金によれば、冷間加工材であっても、極めて腐食性の強い「H2S−CO2−Cl-」の環境下、特に150℃以下の悪環境での耐応力腐食割れ性が確保できることが開示されている。また、特許文献3には、質量%で、0.1〜0.4%の範囲でNを含有させることと、固溶化処理後の冷間加工との併用により、940MPa程度の0.2%耐力を実現できることが開示されている。
なお、上述の特許文献1〜3のようにNの含有量を増加させて強化する場合、合金の熱間加工性が低下する問題が生じやすい。このため、特許文献1〜3には、Sの含有量を質量%で、0.0007%以下に低減したり、Ca、Mg、Ti、または希土類元素(以下、「REM」という。)を含有させたりして、熱間加工性を改善する手法が開示されている。
特許文献4の高Cr−高Ni合金材では、Cu、Ni、およびCrの含有量を特定の範囲に調整するとともに、Cu+0.4(Mo−1.4)2の値を特定の範囲に調整している。特許文献4には、上記の合金によれば、25%の冷間加工を施して0.2%耐力を861〜964MPa(87.75〜98.28kgf/mm2)のいわゆる「125ksi級」の強度レベルにした場合でも、「H2S−CO2−Cl-」の腐食環境下、良好な耐応力腐食割れ性を確保できることが開示されている。
なお、特許文献4にも、Sの含有量を質量%で、0.0007%以下に低減したり、Ca、Mg、またはREMを含有させたりして、熱間加工性を改善する手法が開示されている。
また、特許文献5には、Cr、Ni、Mo、Mn、およびNの含有量を特定の範囲に調整するとともに、Mg、Ca、およびCeなどの元素を含有させることによって、酸性環境および海水環境で優れた耐食性を有し、熱間加工性にも優れた超オーステナイトステンレス鋼が開示されている。
特許文献6のCr−Ni合金材では、Cu、Ni、Cr、Mo、N、Al、およびREMの含有量を特定の範囲に調整するとともに、N(%)×P(%)/REM(%)の値を特定の範囲に調整している。特許文献6には、上記の合金材によれば、良好な熱間加工性が確保できるとともに、断面減少率で40%の冷間圧延を施して941〜1176MPaの高い0.2%耐力を有する場合にも、H2S、Cl-など含む腐食環境下において、温度177℃で、良好な耐応力腐食割れ性を確保することができることが開示されている。
特許文献7には、Cr、Ni、Si、Mn、C、N、Mo、S、B、P、およびOの含有量を特定の範囲に調整した合金を用いたステンレス鋼の製造方法が開示されている。特許文献7には、上記のステンレス鋼は、強度および耐応力腐食割れ性に優れていることが記載されている。
特許文献8には、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、La、Al、Ca、O、P、およびSの含有量を特定の範囲に調整したオーステナイト合金が開示されている。特許文献8には、上記のオーステナイト合金は、硫化水素の存在する環境において高い割れ抵抗を有することが記載されている。
特開昭57−203735号公報 特開昭57−207149号公報 特開昭58−210155号公報 特開平11−302801号公報 特表2005−509751号公報 特開2009−84668号公報 特開平1−262048号公報 特開昭63−274743号公報
中島孝一ら:CAMP−ISIJ、17(2004)、396 G.K.Williamson and W.H.Hall:Acta Metall.、1(1953)、22 H.M.Rietveld:J. Appl. Cryst.、2(1969)、65
前述の特許文献1および2で開示された合金を用いれば、0.2%耐力が965MPa以上であっても、温度が150℃以下の場合には、硫化水素を含む腐食環境下で、良好な耐応力腐食割れ性を確保することができる。
また、前述の特許文献3で開示された合金を用いれば、0.2%耐力が940MPa程度であれば、硫化水素を含む腐食環境下でも、温度が150℃以下の場合に、良好な耐応力腐食割れ性を確保することができる。
さらに、前述の特許文献4で開示された合金を用いれば、確かに、0.2%耐力が861〜964MPaのいわゆる「125ksi級」の強度レベルの場合には、硫化水素を含む腐食環境下でも、良好な耐応力腐食割れ性を確保することができる。しかも、Moの含有量が、質量%で、1.5%以下の場合には、熱間加工性が著しく改善されて、マンネスマン製管法を適用しても何ら問題もなく製品管にすることができる。
同様に、前述の特許文献6で開示された合金を用いれば、確かに、硫化水素を含む腐食環境下でも、温度が177℃以下であれば、965MPa以上という高い0.2%耐力を有する場合であっても、良好な耐応力腐食割れ性を確保することができる。
しかしながら、特許文献1〜4および特許文献6で提案された合金を用いても、冷間加工して0.2%耐力を965MPa以上に高めた場合には、温度が200℃を超えるような高温域では、依然として、硫化水素を含む腐食環境下での良好な耐応力腐食割れ性を確保できないのが実状である。
さらに、オーステナイト系のNi−Cr合金といえども、冷間加工して0.2%耐力を965MPa以上に高めた場合には、必然的に靱性(耐衝撃特性)が低下する。このため、製品搬送時、あるいは使用中に際しても製品が破損する事態も想定される。
なお、特許文献3で提案された合金の場合、MnとPとの共偏析を避けるためもあって、Pの含有量は、質量%で、0.030%以下に制限されている。しかしながら、質量%で、3.0〜15.0%ものMnを含むため、Pの含有量を0.030%以下に制限してもなお、MnとPとが共偏析することを避け難い場合がある。そして、MnとPとの共偏析が生じると靱性の低下が生じるため、高強度化のため強冷間加工した場合には、例えば、上述のように製品搬送の際に支障をきたすことになりかねない。
また、特許文献5で提案された合金の場合には、高強度化のため加工度の高い冷間加工を行った場合は、延性および靱性の低下を伴うという問題がある。さらに、上記の合金の場合、質量%で、1.0〜6.0%、好ましくは2.0〜6.0%、より好ましくは3.0〜6.0%、極めて好ましくは4.0〜6.0%ものMnを含むにも拘わらず、Pの含有量について全く配慮されていない。このため、冷間加工量が低い場合であっても、MnとPとの共偏析による靱性の著しい低下を避け難い。また、特許文献5の合金は、特に、強冷間加工して0.2%耐力を965MPa以上に高めた場合には、硫化水素を含む腐食環境下で、温度が200℃を超えるような高温域での良好な耐応力腐食割れ性を安定して確保できるという合金ではない。
また、特許文献7のステンレス鋼では、冷間加工が考慮されていない。言い換えると、特許文献7には、強冷間加工して0.2%耐力を965MPa以上に高めた場合に、高温の腐食環境下で、良好な耐応力腐食割れ性を安定して確保できる合金成分についての記載はない。
また、特許文献8のオーステナイト合金において0.2%耐力を965MPa以上に高めるためにはNを含有させる必要があるが、特許文献8にはN含有量についての記載がない。また、特許文献8には、965MPa以上の高強度を実現でき、かつ高温の腐食環境下で優れた耐食性を発揮する合金組成に関しては言及されていない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、高強度化に伴う熱間加工性、耐食性、および靱性の低下を防止可能なNi−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管を提供することを目的とする。より詳しくは、本発明は、熱間加工性および靱性に優れるとともに、耐食性(より具体的には、温度が200℃を超えるような高温で、しかも、硫化水素を含む環境での耐応力腐食割れ性)にも優れる、降伏強度(0.2%耐力)が965MPa以上の高強度Ni−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために、まず、従来提案されているNi−Cr合金材をベースに、化学組成を種々に調整したNi−Cr合金材を用いて、降伏強度(0.2%耐力)向上のための基礎的な調査を実施した。その結果、下記(a)〜(e)の事項が確認できた。
(a)Ni−Cr合金材の降伏強度を増加させるためには、冷間加工率を高めて、合金材の転位密度を増加させること、あるいは、そのN含有量、中でも固溶状態でのN含有量を増加させることが有力な手段である。
(b)一方、Nを多量に含有させた場合には、靱性だけでなく熱間加工性も低下する。このため、例えば製管など製品加工の際、多量の疵が発生することを避け難い。また、Nを多量に含有させた場合、溶体化後にも組織中にCr窒化物が残存する場合がある。この場合、高温かつ高圧硫化水素環境下での耐食性が著しく低下する。
(c)熱間加工性の低下を抑止するには、900℃付近で起こるSの粒界への偏析を阻止することが有効である。
(d)冷間加工による転位密度の増加によっても、合金材の靱性が低下する。
(e)従来提案されているような窒素を含まないNi−Cr合金材の場合には、冷間加工率を高めて0.2%耐力が965MPa以上になると、200℃での硫化水素を含む環境での耐応力腐食割れ性が確保できなくなる。
次に、本発明者らは、特に窒素含有材における低温域での熱間加工性の低下、および冷間加工率を高めて高強度化した場合の靱性の低下を抑止するために、種々の検討を加えた。その結果、下記(f)〜(h)の知見を得た。
(f)従来のCaおよび/またはMgによる脱硫だけでは、低温域での熱間加工性の低下を安定して抑止することは難しい。一方、REMは、CaあるいはMgと同等またはそれ以上の脱硫作用を有するが、酸化されやすい。したがって、脱硫のための元素としてREMを単独で含有させた場合、十分な脱硫効果が発揮されず、低温域での熱間加工性の低下を安定して抑止することは難しい。
(g)REMをCaおよび/またはMgと複合含有させて脱硫することによって、低温域での熱間加工性の低下を安定して抑止することができる。
(h)但し、REMを含有させた場合には、介在物の量が多くなるので、冷間加工率を高めて高強度化すれば、合金材の靱性低下が顕著になる。
そこで、本発明者らがさらに詳細な検討を加えた結果、下記(i)の重要な事実が明らかになった。
(i)N含有量を特定の範囲に調整して、REMをCaおよび/またはMgと複合して含有させた場合、低温域での熱間加工性の低下を安定して抑止することができ、しかも、高強度、低温域での良好な靱性、および硫化水素を含む高温環境下での優れた耐応力腐食割れ性を備えたNi−Cr合金を実現できる。具体的には、965MPa以上の0.2%耐力、−10℃での衝撃値が63J/cm2を上回るという良好な低温靱性(耐衝撃特性)、および温度が200℃を超えるような高温かつ硫化水素を含む環境での優れた耐応力腐食割れ性を備えるNi−Cr合金が存在する。このような合金は、化学組成に加えて転位密度が特定の条件を満たしている。
本発明は、上記の内容に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記に示すNi−Cr合金材およびそれを用いた油井用継目無管にある。
(1)質量%で、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01%以上で1.0%未満、Cu:0.01%以上で1.0%未満、Ni:48%以上で52%以下、Cr:22〜28%、Mo:5.6%以上で7.0%未満、N:0.04〜0.16%、sol.Al:0.03〜0.20%、REM:0.01〜0.074%、W:0%以上で7.0%未満、およびCo:0〜1.0%と、
CaおよびMgの1種以上:合計で0.0003〜0.01%と、
Ti、Nb、Zr、およびVの1種以上:合計で0〜0.5%と、
残部がFeおよび不純物とからなり、
不純物中のC、P、S、およびOが、C:0.03%以下、P:0.03%以下、S:0.001%以下、およびO:0.01%以下である化学組成を有し、
さらに、転位密度が下記の式を満たす、Ni−Cr合金材。
7.0×1015≦ρ≦2.7×1016−2.67×1017×[REM(%)]
上記の式において、ρは、単位がm-2での転位密度、[REM(%)]は、質量%でのREMの含有量を意味する。
(2)質量%で、Wを0.1%以上で7.0%未満含有する、上記(1)に記載のNi−Cr合金材。
(3)質量%で、Ti、Nb、Zr、およびVの1種以上を合計で0.01〜0.5%含有する、上記(1)または(2)に記載のNi−Cr合金材。
(4)質量%で、Coを0.01〜1.0%含有する、上記(1)から(3)までのいずれかに記載のNi−Cr合金材。
(5)上記(1)から(4)までのいずれかに記載のNi−Cr合金材からなる、油井用継目無管。
本発明のNi−Cr合金材は、熱間加工性および靱性(耐衝撃特性)に優れる。また、本発明のNi−Cr合金材は、降伏強度(0.2%耐力)が965MPa以上の高強度であっても、温度が200℃を超えるような高温で、しかも、硫化水素を含む環境での、耐応力腐食割れ性に代表される耐食性にも優れる。このため、本発明のNi−Cr合金材は、高強度の油井用継目無管の素材として好適に用いることができる。
実施例で用いた合金において、REMの含有量と転位密度の変化によって、降伏強度および靱性が変化する様子を示す図であり、表2の結果を纏めたものである。ただし、実施例で用いた合金のうちで、合金1〜5および8〜13については、REM以外の少なくとも1種の元素の含有量が本発明の範囲外であるため、また、合金6については、熱間加工性自体が劣って靱性などの評価を行わなかったため、これらの合金の結果については除外している。なお、図中の直線は、ρ=2.7×1016−2.67×1017×[REM(%)]を表す。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)化学組成
Si:0.01〜0.5%
Siは、脱酸のために必要な元素であり、0.01%以上含有させる。Siの含有量が0.5%を超えると、熱間加工性が低下する傾向が見られる。したがって、Siの含有量を0.01〜0.5%とする。Si含有量の好ましい下限は0.05%であり、さらに好ましい下限は0.07%である。また、Si含有量の好ましい上限は0.40%であり、さらに好ましい上限は0.33%である。
Mn:0.01%以上で1.0%未満
Mnは、脱酸および/または脱硫剤として必要な成分であるが、その含有量が0.01%未満では効果が十分に発揮されない。一方、Mnの含有量が1.0%以上であると熱間加工性が低下する。したがって、Mnの含有量を0.01%以上で1.0%未満とした。Mn含有量の好ましい下限は0.10%であり、より好ましい下限は0.20%であり、さらに好ましい下限は0.24%である。また、Mn含有量の好ましい上限は0.80%であり、より好ましい上限は0.70%であり、さらに好ましい上限は0.66%である。
Cu:0.01%以上で1.0%未満
Cuは、Ni−Cr合金材表面に形成される不動態皮膜の安定化に効果があり、耐孔食性および耐全面腐食性を向上させるのに必要である。ただし、Cuの含有量が0.01%未満では効果が不十分であり、1.0%以上になると熱間加工性が低下する。このため、Cuの含有量を0.01%以上で1.0%未満とした。Cu含有量の好ましい下限は0.20%、さらに好ましい下限は0.55%である。また、Cu含有量の好ましい上限は0.85%であり、さらに好ましい上限は0.8%である。
Ni:48%以上で55%未満
Niは、オーステナイト安定化元素として含有させる。Niは、耐食性の観点から48%以上含有させるが、55%以上の含有はコストの増加および耐水素割れ性の低下を招く。このことから、Niの含有量を48%以上で55%未満とした。Ni含有量の好ましい下限は49%であり、さらに好ましい下限は49.2%である。また、Ni含有量の好ましい上限は52%であり、さらに好ましい上限は51.1%である。
Cr:22〜28%
Crは、耐応力腐食割れ性を著しく改善する成分であるが、含有量が22%未満ではその効果が十分ではない。一方、Crを28%を超えて含有させると熱間加工性の低下を招くとともに、シグマ相に代表されるTCP相を生じやすくなり、耐応力腐食割れ性が低下する。したがって、Crの含有量を22〜28%とした。Cr含有量の好ましい下限は23%であり、さらに好ましい下限は23.5%である。また、Cr含有量の好ましい上限は26%であり、さらに好ましい上限は25.7%である。
Mo:5.6%以上で7.0%未満
Moは、Cuと同様に、Ni−Cr合金材表面に形成される不動態皮膜の安定化に効果があり、耐孔食性および耐応力腐食割れ性を改善する効果がある。しかしながら、Moの含有量が5.6%未満では効果が不十分である。一方、Moを7.0%以上含有させると、オーステナイトの高温強度が増加されるとともに、合金の鋳込み時にシグマ相またはミュー相等の有害相の形成が促進される。これにより、熱間加工性を悪化させる。さらに、Moの過剰な含有は合金コストの増加を招く。したがって、Moの含有量を5.6%以上で7.0%未満とした。Mo含有量の好ましい下限は5.7%であり、さらに好ましい下限は5.8%である。また、Mo含有量の好ましい上限は6.8%であり、さらに好ましい上限は6.7%である。
N:0.04〜0.16%
Nは、本発明において重要な元素である。Nは、Ni−Cr合金の強度を高める作用があるが、その含有量が0.04%未満では所望の高強度を確保できず、また、転位密度の増加による耐応力腐食割れ性の急激な低下を招きやすくなる。一方、Nの含有量が0.16%を超えると、熱間での加工可能最高温度の低下、およびクロム窒化物の析出に伴う耐応力腐食割れ性の悪化を招く。このことから、Nの含有量を0.04〜0.16%とした。N含有量の好ましい下限は0.06%であり、より好ましい下限は0.08%であり、さらに好ましい下限は0.098%である。また、N含有量の好ましい上限は0.14%であり、さらに好ましい上限は0.125%である。
sol.Al:0.03〜0.20%
Alは、合金中のO(酸素)を固定し熱間加工性を改善するだけでなく、REMの酸化による効果の減少を防ぐ効果もある。REMを含有させて、Alを含有させないNi−Cr合金では、REMは大部分が酸化物として消費される。その結果、固溶Sの増大を招き、熱間加工性が大きく低下する。したがって、REMを含有させる場合には、Alを併せて含有させることが必須である。ただし、Alの含有量がsol.Alで0.03%未満ではその効果は十分ではない。一方、Alをsol.Alで0.20%を超えて含有させると却って熱間加工性を低下させる。したがって、Alの含有量をsol.Alで0.03〜0.20%とした。sol.AlでのAl含有量の好ましい下限は0.05%であり、より好ましい下限は0.07%であり、さらに好ましい下限は0.076%である。また、sol.AlでのAl含有量の好ましい上限は0.18%であり、より好ましい上限は0.14%であり、さらに好ましい上限は0.135%である。なお、「sol.Al」とはいわゆる「酸可溶性Al」を意味する。
REM:0.01〜0.074%
REMは、本発明において重要な元素である。すなわち、REMには、熱間加工性および耐応力腐食割れ性を改善する効果があるので含有させる。ただし、REMは酸化しやすいため、Alを共に含有させることが必須である。なお、REMをCaおよび/またはMgと複合して含有させた合金の場合は、低温域での熱間加工性の低下を安定して抑止することができるとともに、高強度、低温域での良好な靱性、および硫化水素を含む高温環境下での耐応力腐食割れ性を備えるものとなる。しかしながら、REMの含有量が0.01%未満では、上記の効果が十分ではなく、高強度化により耐応力腐食割れ性が低下する。一方、REMの含有量が0.074%を超えると、たとえCaおよび/またはMgと複合して含有させても、却って熱間加工性および靱性が低下する。したがって、REMの含有量を0.01〜0.074%とした。REM含有量の好ましい下限は0.015%であり、さらに好ましい下限は0.019%である。また、REM含有量の好ましい上限は0.06%であり、さらに好ましい上限は0.058%である。
本発明において「REM」とは、Sc、Y、およびランタノイドの合計17元素を指し、「REMの含有量」とは、REMが1種の場合はその含有量、2種以上の場合はそれらの合計含有量を指す。また、REMは一般的には複数種のREMの合金であるミッシュメタルとしても供給されている。このため、個別の元素を1種または2種以上添加してREMの量が上記の範囲となるように含有させてもよいし、例えば、ミッシュメタルの形で添加して、REMの量が上記の範囲となるように含有させてもよい。
CaおよびMgの1種以上:合計で0.0003〜0.01%
Caおよび/またはMgをREMと複合して含有させた合金の場合には、低温域での熱間加工性の低下を安定して抑止することができるとともに、高強度、低温域での良好な靱性、および硫化水素を含む高温環境下での耐応力腐食割れ性を備えるものとなる。上記の効果は、CaおよびMgの1種以上を合計で0.0003%以上含有することによって得られる。しかしながら、CaおよびMgの1種以上を合計で0.01%を超えて含有すると、たとえREMと複合して含有させても、却って熱間加工性の低下現象が生じる。したがって、CaおよびMgの1種以上の含有量を合計で0.0003〜0.01%とした。CaおよびMgの1種以上の合計含有量の好ましい下限は0.0005%であり、さらに好ましい下限は0.0007%である。また、CaおよびMgの1種以上の合計含有量の好ましい上限は0.005%であり、さらに好ましい上限は0.0042%である。
なお、CaとMgは複合して含有させる必要はない。Caを単独で含有させる場合には、Caの含有量が0.0003〜0.01%であればよく、Mgを単独で含有させる場合には、Mgの含有量が0.0003〜0.01%であればよい。
W:0%以上で8.0%未満
Wは、耐応力腐食割れ性を向上させる作用を有する。このため、必要に応じてWを含有させてもよい。しかしながら、Wを8.0%以上含有させると、熱間加工性および経済性が悪化する。したがって、含有させる場合のWの量を8.0%未満とする。含有させる場合のWの量は、7.0%未満とすることが好ましい。
一方、前記したWの耐応力腐食割れ性の向上効果を安定して発現させるためには、含有させる場合のWの量は、0.1%以上とすることが好ましい。
Ti、Nb、Zr、およびV:1種以上の合計で0〜0.5%
Ti、Nb、Zr、およびVはいずれも、結晶粒を微細化して、強度および延性を向上させる作用を有する。このため、必要に応じて、Ti、Nb、Zr、およびVを単独でまたは2種以上の複合で含有させてもよい。しかしながら、上記の元素を1種以上の合計で0.5%を超えて含有させると、熱間加工性を悪化させるとともに、介在物を多量に生じ、却って延性の低下現象が現れる。したがって、これらの元素を含有させる場合の量を、1種以上の合計で0.5%以下とする。これらの元素を含有させる場合の量は、1種以上の合計で0.3%以下とすることが好ましい。
一方、前記したTi、Nb、Zr、およびVの強度および延性の向上効果を安定して発現させるためには、含有させる場合の量を、1種以上の合計で0.01%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましい。
Co:0〜2.0%
Coは、オーステナイト相の安定化に寄与し、高温での耐応力腐食割れ性を向上させる作用を有する。このため、必要に応じてCoを含有させてもよい。しかしながら、Coの過剰な含有は合金価格の上昇を招き、経済性を著しく損なう。したがって、上限を設けて含有させる場合のCoの量を2.0%以下とする。含有させる場合のCoの量は、1.0%以下とすることが好ましい。
一方、前記したCoの高温での耐応力腐食割れ性の向上効果を安定して発現させるためには、含有させる場合のCoの量は、0.01%以上とすることが好ましい。
本発明のNi−Cr合金材は、上述の各元素と、残部がFeおよび不純物とからなり、不純物中のC、P、S、およびOが、C:0.03%以下、P:0.03%以下、S:0.001%以下、およびO:0.01%以下である化学組成を有する。
「不純物」とは、合金材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップまたは製造環境などから混入するものを指す。
C:0.03%以下
Cは、不純物として含有され、その含有量が0.03%を超えると、M236型炭化物(「M」は、Cr、Mo、および/またはFeなどの元素を指す。)の析出による粒界破壊を伴う応力腐食割れが生じやすくなる。したがって、Cの含有量を0.03%以下と定めた。不純物中のC含有量の好ましい上限は0.02%であり、より好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましい上限は0.012%である。
P:0.03%以下
Pは、合金中に含まれる不純物であり、熱間加工性および耐応力腐食割れ性を著しく低下させる。したがって、Pの含有量を0.03%以下とした。不純物中のP含有量の好ましい上限は0.025%であり、より好ましい上限は0.020%であり、さらに好ましい上限は0.019%である。
S:0.001%以下
SもPと同様、熱間加工性を著しく低下させる不純物である。熱間加工性の低下を防止する観点からSの含有量はできる限り低いことが望ましいので、上限を設けて0.001%以下とした。不純物中のS含有量の好ましい上限は0.0009%であり、より好ましい上限は0.0008%であり、さらに好ましい上限は0.0006%である。
O(酸素):0.01%以下
O(酸素)は合金中に含まれる不純物であり、熱間加工性を著しく低下させる。したがって、Oの含有量を0.01%以下とした。不純物中のO含有量の好ましい上限は0.009%であり、さらに好ましい上限は0.005%である。
(B)転位密度
上記(A)項に記載の化学組成を有する本発明のNi−Cr合金材の組織においては、転位密度が下記の式を満たしていなければならない。
7.0×1015≦ρ≦2.7×1016−2.67×1017×[REM(%)]
上記の式において、ρは、単位がm-2での転位密度、[REM(%)]は、質量%でのREMの含有量を意味する。
上述の化学組成を有するNi−Cr合金材において、組織の転位密度ρが7.0×1015-2未満の場合には、965MPa以上の0.2%耐力を得ることができない。一方、転位密度ρが〔2.7×1016−2.67×1017×[REM(%)]〕m-2を超える組織である場合には、靱性の低下をきたすことに加えて、200℃を超えるような高温、かつ硫化水素を含む環境での耐応力腐食割れ性の低下が生じる。したがって、転位密度が上記の式を満たす組織であることとした。
なお、転位密度ρは、好ましくは2.0×1016-2以下である。
本発明のNi−Cr合金材は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、電気炉、AOD炉、またはVOD炉などを用いて溶製し、化学組成を調整する。なお、REMと、Caおよび/またはMgとの複合による脱硫処理に際しては、予めAlなどで十分脱酸してからREMと、Caおよび/またはMgとを添加することが望ましい。
化学組成を調整した溶湯は、次に、インゴットに鋳造して、その後の鍛造など熱間加工によって、スラブ、ブルーム、またはビレットなどのいわゆる「合金片」に加工してもよい。また、上記溶湯を連続鋳造して、直接にスラブ、ブルーム、またはビレットなどのいわゆる「合金片」にしてもよい。
さらに、上記の「合金片」を素材として、板材または管材など所望の形状に熱間加工する。例えば、板材に加工する場合は、熱間圧延によってプレートまたはコイル状に熱間加工することができる。また、例えば、管材に加工する場合は、熱間押出製管法またはマンネスマン製管法によって管状に熱間加工することができる。
次いで、転位密度ρが前記の式を満たす組織となるように、板材の場合には、熱間圧延材に溶体化熱処理を施してから冷間圧延による冷間加工を施す。また、管材の場合には、熱間加工された素管に溶体化熱処理を施してから冷間引抜またはピルガー圧延などの冷間圧延による冷間加工を施す。
1回または複数回で行う上記の冷間加工は、合金の化学組成によっても異なるが、断面減少率で31〜50%程度の加工とすればよい。同様に、合金の化学組成によっても異なるが、所定のサイズへの加工のために、冷間加工後に中間熱処理を行い、その後さらに1回または複数回で冷間加工する場合には、中間熱処理後の断面減少率で31〜50%程度の加工とすればよい。
ただし、REM含有量が多い場合は、転位密度ρが前記の式で決定される値を超えないように、冷間加工時の断面減少率を制御する必要がある。また、N含有量が高い場合は、冷間加工時の断面減少率を抑制するのがよい。他方、REM含有量が少ない場合またはN含有量が少ない場合には、冷間加工時に高めの断面減少率を選定することが好ましい。
例えば、転位密度を7.0×1015-2以上とするためには、N含有量が0.04%付近では、冷間加工時の上述した断面減少率を42%以上とすることが好ましい。前記断面減少率は、N含有量が0.16%付近では、31%以上とすることが好ましい。なお、転位密度を7.0×1015-2以上とするためのN含有量は、N以外の他の元素の含有量との関係で変わることがある。
冷間加工時の上述した断面減少率の上限は、REM含有量およびN含有量に依存するが、概ね、断面減少率(%)を
〔{(1.78−17.78×[REM(%)])0.5−2×[N(%)]}/0.02〕の式(上記の式において、[REM(%)]と[N(%)]はそれぞれ、質量%での、REMとNの含有量を意味する。)で示される値以下とすれば、転位密度ρを本発明で規定する値を超えない範囲に制御することができる。なお、REM含有量が0.05%以上、かつN含有量が0.14%以上の合金材では、冷間加工時に許容される断面減少率の範囲は狭い。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す化学組成を有する合金を真空高周波溶解炉にて溶解し、50kgのインゴットに鋳造した。
表1における合金A〜Iは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある合金である。一方、合金1〜13は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた合金である。
Figure 0005979320
各インゴットは1200℃で3hの均熱処理を行った後、熱間鍛造して断面が50mm×50mmの角材に加工した。
このようにして得た角材を、さらに、1200℃で1h加熱した後、熱間圧延して厚さ14.2mmの板材に仕上げた。
次いで、上記の熱間圧延して得た厚さ14.2mmの板材の一部から、板材の圧延方向に平行な方向(以下、「L方向」という。)に、直径10mmで長さ130mmの試験片を採取し、グリーブル試験機によって熱間加工性を評価した。
なお、熱間加工性試験では、1200℃で3min加熱を行った上記の試験片を100℃/minの速度で冷却して、1100℃、1000℃、900℃、800℃、および700℃の温度の各温度に至った時点で、引張破断させた。
上記すべての試験温度において、引張破断後の断面減少率が60%以上である場合に、熱間加工性が良好と評価した。これは、上記の断面減少率が60%を下回る場合には、例えば、合金ビレットを素材として熱間製管する際に、多数の表面疵が発生したり、割れが生じたりするという経験に基づく。
表1に、上記の熱間加工性の試験結果を併記した。なお、熱間加工性欄における「○」は、すべての試験温度における引張破断後の断面減少率が60%以上で、熱間加工性が良好であったことを示す。一方、「×」は、少なくともいずれかの試験温度における引張破断後の断面減少率が60%を下回ったことを示す。
上記グリーブル試験の結果、熱間加工性が良好であった合金A〜I、1〜5、7、8、10、および13について、熱間圧延して得た厚さ14.2mmの板材の残りを用いて、1100℃で1hの溶体化処理を行い、引続き水冷処理を行って、FCC結晶構造を有するオーステナイトの単相組織を得た。
次いで、水冷処理を行った板材の一部を用いて冷間圧延し、厚さがそれぞれ、9.8mm、8.4mm、および7mmの3種類の板材に仕上げた。なお、合金10については、9.8mmの厚さおよび7mmの厚さの板材を作製しなかった。
次に、上記の厚さがそれぞれ、9.8mm、8.4mm、および7mmの3種類の冷間圧延材の厚さ方向における中央部から、縦横それぞれ20mm、厚み2mmの試験片を切り出した。そして、10%過塩素酸−酢酸溶液を電解液とし、10℃にて試験片表面を電解研磨し、電解研磨後の試験片を用いて転位密度を測定した。
なお、転位密度の測定は、非特許文献1で中島らが提案する非特許文献2に記載されたWilliamson−Hall法に基づいた評価法を用いて行った。
具体的には、X線回折プロファイルの測定には、陰極管にCo管球を用い、プロファイルはθ−2θ回折法を用いて、2θで40°から130°の範囲で測定を行った。そして、FCC結晶構造の{111}面、{220}面、および{311}面の各回折について、非特許文献3に記載されたRietveld法を用いてフィッテングして得られた半価幅を用いて、ひずみεを求めた。さらに、上記のひずみεとバーガースベクトルbとで表される
ρ=14.4ε2/b2
の式を計算して、単位がm-2での転位密度ρを求めた。
なお、測定装置由来のプロファイル計測には、それぞれの合金で、転位密度が非常に少ないと考えられる1100℃溶体化水冷材を用いた。また、上記のバーガースベクトルbの値には0.2545×10-9mを用いた。
さらに、上記のようにして得た厚さがそれぞれ、9.8mm、8.4mm、および7mmの3種類の冷間圧延材から試験片を切り出し、引張特性と靱性(耐衝撃特性)を調査した。
引張特性の調査では、各冷間圧延材から、平行部の直径が4mmで標点間距離が34mmの丸棒引張試験片を2本ずつ採取した。具体的には、各冷間圧延材について、平行部が上記L方向に対して平行となる試験片と、平行部が上記L方向に対して直角となる試験片とを採取した。これら2本の試験片に対して室温で引張試験して、降伏強度(0.2%耐力)を求めた。表2に示す降伏強度は、2本の試験片の降伏強度の平均値である。試験時の引張速度は、4.9×10-4/sのひずみ速度に対応する1.0mm/minとした。引張特性の調査では、2本の試験片の0.2%耐力の平均値が965MPa以上となった場合に、強度が十分に高いと判断した。本実施例では、965MPaを降伏強度の目標とした。
靱性の調査では、各冷間圧延材から、幅5mmのVノッチ付きサブサイズシャルピー衝撃試験片を2本ずつ採取した。具体的には、各冷間圧延材について、長手方向が上記L方向に対して平行となる試験片と、長手方向が上記L方向に対して直角となる試験片とを採取した。これら2本の試験片に対して、油井管の使用環境として考えうる−10℃においてシャルピー衝撃試験を行った。そして、吸収エネルギーをノッチ部の原断面積で除した値(以下、「衝撃値」という。)を求めた。表2に示す衝撃値は、2本の試験片の衝撃値の平均値である。靱性の調査では、2本の試験片の衝撃値の平均値が63J/cm2を超える場合に、耐衝撃特性が十分に高いと判断した。本実施例では、63J/cm2を衝撃値の目標とした。
さらに、上述の厚さがそれぞれ、9.8mm、8.4mm、および7mmの3種類の冷間圧延材から、試験片を切り出し、耐食性を調査した。
耐食性の調査では、各冷間圧延材から、NACE TM0198で規定された低ひずみ速度引張試験法に準拠して、平行部の直径が3.81mmで長さが25.4mmの低ひずみ速度引張試験片を採取した。具体的には、各冷間圧延材から、平行部が上記L方向に対して平行となるように試験片を採取した。そして、NACE TM0198に則った低ひずみ速度引張試験を行って、耐食性を評価した。
上記の低ひずみ速度引張試験における試験環境は、大気中および過酷油井環境を模擬した環境(H2S分圧:0.689MPa(100psi)、25%NaCl+0.5%CH3COOH、pH:2.8、温度:204℃)の2条件とした。いずれの環境においても、引張試験でのひずみ速度は4.0×10-6/sとした。
なお、耐食性の調査では、具体的には、各冷間圧延材から4本の低ひずみ速度引張試験片を採取した。上記4本の試験片のうち1本の試験片については、大気中での引張試験によって破断延性および破断絞りの値を求めた(以下、「破断延性の基準値」および「破断絞りの基準値」という。)。他の3本の試験片については、過酷油井環境を模擬した環境での引張試験によって破断延性および破断絞りの値を求めた(以下、「破断延性の比較値」および「破断絞りの比較値」という。)。すなわち、本実施例では、各冷間圧延材について、破断延性の基準値を1つ、破断延性の比較値を3つ、破断絞りの基準値を1つ、破断絞りの比較値を3つ求めた。
そして、各冷間圧延材について、破断延性の基準値と破断延性の3つの比較値との差をそれぞれ求めた(以下、それぞれの差を「破断延性の差」という。)。同様に、破断絞りの基準値と破断絞りの3つの比較値との差をそれぞれ求めた(以下、それぞれの差を「破断絞りの差」という。)。この調査では、「破断延性の差」の全てを「破断延性の基準値」の20%以下とし、かつ「破断絞りの差」の全てを「破断絞りの基準値」の20%以下とすることを、耐食性の目標とした。そして、上記目標をクリアできた場合を、耐食性が良好であると判断した。
表2に、上記の各調査結果を示す。各合金材について、符号1〜3はそれぞれ、厚さ9.8mm、8.4mmおよび7mmの冷間圧延材の調査結果であることを示す。「耐食性」欄における「○」は、上記耐食性の目標をクリアしたことを示し、「×」は、耐食性の目標をクリアできなかったことを示す。
また、表2の結果を纏めて、図1に、REMの含有量と転位密度の変化によって、降伏強度および靱性が変化する様子を示す。但し、合金1〜5および8〜13については、REM以外の少なくとも1種の元素の含有量が本発明の範囲外であるため、また、合金6については、熱間加工性自体が劣って靱性などの評価を行わなかったため、図1においては、これらの合金の結果については除外している。なお、図中の直線は、
ρ=2.7×1016−2.67×1017×[REM(%)]
を表す。
Figure 0005979320
表2から、本発明で規定する条件を満たす合金材は、熱間加工性および−10℃での靱性(耐衝撃特性)に優れることが明らかである。さらに、本発明で規定する条件を満たす合金材は、降伏強度(0.2%耐力)が965MPa以上の高強度であっても、耐食性(特に、温度が200℃を超えるような高温で、しかも、硫化水素を含む環境での耐応力腐食割れ性)に優れることが明らかである。
本発明のNi−Cr合金材は、熱間加工性および靱性(耐衝撃特性)に優れるとともに、降伏強度(0.2%耐力)が965MPa以上の高強度であっても、耐食性(特に、温度が200℃を超えるような高温で、しかも、硫化水素を含む環境での耐応力腐食割れ性)にも優れる。このため、本発明のNi−Cr合金材は、高強度の油井用継目無管の素材として好適である。

Claims (5)

  1. 質量%で、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01%以上で1.0%未満、Cu:0.01%以上で1.0%未満、Ni:48%以上で52%以下、Cr:22〜28%、Mo:5.6%以上で7.0%未満、N:0.04〜0.16%、sol.Al:0.03〜0.20%、REM:0.01〜0.074%、W:0%以上で7.0%未満、およびCo:0〜1.0%と、
    CaおよびMgの1種以上:合計で0.0003〜0.01%と、
    Ti、Nb、Zr、およびVの1種以上:合計で0〜0.5%と、
    残部がFeおよび不純物とからなり、
    不純物中のC、P、S、およびOが、C:0.03%以下、P:0.03%以下、S:0.001%以下、およびO:0.01%以下である化学組成を有し、
    さらに、転位密度が下記の式を満たす、Ni−Cr合金材。
    7.0×1015≦ρ≦2.7×1016−2.67×1017×[REM(%)]
    上記の式において、ρは、単位がm-2での転位密度、[REM(%)]は、質量%でのREMの含有量を意味する。
  2. 質量%で、Wを0.1%以上で7.0%未満含有する、請求項1に記載のNi−Cr合金材。
  3. 質量%で、Ti、Nb、Zr、およびVの1種以上を合計で0.01〜0.5%含有する、請求項1または2に記載のNi−Cr合金材。
  4. 質量%で、Coを0.01〜1.0%含有する、請求項1から3までのいずれかに記載のNi−Cr合金材。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載のNi−Cr合金材からなる、油井用継目無管。
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