以下、本発明の実施の形態による磁気センサについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、第1の実施の形態による磁気センサ1を示す。磁気センサ1は、磁性薄膜磁気抵抗素子からなるセンサ回路部2と、各種の演算を行う演算回路3とを備えている。
図2に示すように、センサ回路部2は、4個の磁気抵抗素子R1〜R4からなる第1のブリッジ回路5と、4個の磁気抵抗素子R5〜R8からなる第2のブリッジ回路6とを備える。磁気抵抗素子R1〜R8は、例えば互いに直交したX方向およびY方向に沿って広がる基板4の表面に形成される。
第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4は、長い短冊状パターンと、短い短冊状パターンとを交互に直交させて接続することで、ミアンダ状に形成される。
第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の長い短冊状パターンはY方向に沿って延び、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の長い短冊状パターンはX方向に沿って延びる。このため、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値は、X方向と平行な第1の方向D1の磁界が印加されると最も小さくなり、Y方向と平行な第2の方向D2の磁界が印加されると最も大きくなる。一方、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値は、第1の方向D1の磁界が印加されると最も大きくなり、第2の方向D2の磁界が印加されると最も小さくなる。すなわち、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の最大感磁方向は第1の方向D1であり、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の最大感磁方向は第2の方向D2である。
第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4は、基板4の表面に成膜された、例えば、磁気抵抗材料であるパーマロイ(NiFe)等の強磁性体薄膜を、フォトリソグラフィ技術等の微細加工技術を用いて所定形状に形成されたものである。磁気抵抗素子R1〜R4は、AMR(異方性磁気抵抗素子)であってもよく、GMR(巨大磁気抵抗素子)であってもよく、磁界強度に対して偶関数特性の電圧を出力する磁気検出素子であればいずれのものでもよい。なお、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の最大感磁方向である第1の方向D1と、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の最大感磁方向である第2の方向D2とが90度の角度をなす場合を例示したが、これに限られず、任意の角度θ1としてもよい。
第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4は、フルブリッジで接続され、第1のブリッジ回路5を構成する。具体的には、第1の磁気抵抗素子R1と第3の磁気抵抗素子R3とを第1の接続端P1を介して直列接続することにより、ハーフブリッジをなす第1の直列回路7を構成する。また、第2の磁気抵抗素子R2と第4の磁気抵抗素子R4とを第2の接続端P2を介して直列接続することにより、ハーフブリッジをなす第2の直列回路8を構成する。
第1の直列回路7の第1の磁気抵抗素子R1側と第2の直列回路8の第4の磁気抵抗素子R4側とを、共通接続端をなす第3の接続端P3を介して共通接続する。第1の直列回路7の第3の磁気抵抗素子R3側と第2の直列回路8の第2の磁気抵抗素子R2側とを、共通接続端をなす第4の接続端P4を介して共通接続する。これにより、第1の直列回路7と第2の直列回路8が並列接続され、ホイートストンブリッジをなす第1のブリッジ回路5が構成される。
そして、第3の接続端P3は、電源電圧Vccを供給するための電源電圧端子9が電気的に接続される。また、第4の接続端P4は、外部のグランドGNDに接続するためのグランド端子10が電気的に接続される。これにより、ブリッジ回路5には、第3の接続端P3および第4の接続端P4を介して第1の電源電圧Vccが印加される。
一方、第1の接続端P1は、第1の出力電圧Amを取り出すための第1の出力端子11と電気的に接続される。また、第2の接続端P2は、第2の出力電圧Apを取り出すための第2の出力端子12と電気的に接続される。これにより、ブリッジ回路5の第1の接続端P1と第2の接続端P2のそれぞれからは、第1の出力電圧Amと第2の出力電圧Apが取り出される。
具体的には、磁気センサ1に、例えば第1の方向D1の磁界を徐々に大きく可変して印加していくと、第1の出力電圧Amが増加すると共に、第2の出力電圧Apは減少する。一方、例えば第2の方向D2の磁界を徐々に大きく可変して印加していくと、第1の出力電圧Amが減少すると共に、第2の出力電圧Apは増加する。すなわち、第1の出力電圧Amおよび第2の出力電圧Apは、反相で変化する。
なお、磁気センサ1に印加される磁界強度がゼロ(0)[mT]の場合に、第1の出力電圧Amと第2の出力電圧Apとが同じ値になるように設定される。
第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8は、第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4と同様に形成される。但し、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の長い短冊状パターンは、X方向から反時計回りに45度回転させた方向に伸長するように形成される。また、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の長い短冊状パターンは、X方向から時計回りに45度回転させた方向に伸長するように形成される。このため、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値は、第1の方向D1を時計回りに角度45度回転させた第3の方向D3の磁界が印加されると最も小さくなり、第1の方向D1を反時計回りに角度45度回転させた第4の方向D4の磁界が印加されると最も大きくなる。一方、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値は、第3の方向D3の磁界が印加されると最も大きくなり、第4の方向D4の磁界が印加されると最も小さくなる。すなわち、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の最大感磁方向は第3の方向D3であり、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の最大感磁方向は第4の方向D4である。
なお、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の最大感磁方向である第3の方向D3と、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の最大感磁方向である第4の方向D4とが、第1の方向D1とそれぞれ45度の角度をなす場合を例示したが、これに限られず、第3の方向D3と第1の方向D1とは任意の角度θ2をなし、第4の方向D4と第1の方向D1とは任意の角度θ3をなすように、第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8を配置形成しても良い。
第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8は、フルブリッジで接続され、第2のブリッジ回路6を構成する。具体的には、第5の磁気抵抗素子R5と第7の磁気抵抗素子R7とを第5の接続端P5を介して直列接続することにより、ハーフブリッジをなす第3の直列回路13を構成する。また、第6の磁気抵抗素子R6と第8の磁気抵抗素子R8とを第6の接続端P6を介して直列接続することにより、ハーフブリッジをなす第4の直列回路14を構成する。
第3の直列回路13の第5の磁気抵抗素子R5側と第4の直列回路14の第8の磁気抵抗素子R8側とを、共通接続端をなす第7の接続端P7を介して共通接続する。第3の直列回路13の第7の磁気抵抗素子R7側と第4の直列回路14の第6の磁気抵抗素子R6側とを、共通接続端をなす第8の接続端P8を介して共通接続する。これにより、第3の直列回路13と第4の直列回路14が並列接続され、ホイートストンブリッジをなす第2のブリッジ回路6が構成される。
そして、第7の接続端P7は、電源電圧Vccを供給するための電源電圧端子15が電気的に接続される。また、第8の接続端P8は、外部のグランドGNDに接続するためのグランド端子16が電気的に接続される。これにより、ブリッジ回路6には、第7の接続端P7および第8の接続端P8を介して第2の電源電圧Vccが印加される。なお、第2の電源電圧は、第1の電源電圧と同じ電圧でも、異なる電圧でもよい。
一方、第5の接続端P5は、第3の出力電圧Bmを取り出すための第3の出力端子17と電気的に接続される。また、第6の接続端P6は、第4の出力電圧Bpを取り出すための第4の出力端子18と電気的に接続される。これにより、ブリッジ回路6の第5の接続端P5および第6の接続端P6のそれぞれからは、第3の出力電圧Bmと第4の出力電圧Bpとが取り出される。
具体的には、磁気センサ1に、例えば第3の方向D3の磁界を徐々に大きく可変して印加していくと、第3の出力電圧Bmが増加すると共に、第4の出力電圧Bpは減少する。一方、例えば第4の方向D4の磁界を徐々に大きく可変して印加していくと、第3の出力電圧Bmが減少すると共に、第4の出力電圧Bpは増加する。すなわち、第3の出力電圧Bmと第4の出力電圧Bpは、反相で変化する。
なお、磁気センサ1に印加される磁界強度がゼロ(0)[mT]の場合に、第3の出力電圧Bmおよび第4の出力電圧Bpは、第1の出力電圧Amおよび第2の出力電圧Apと同じ値になるように設定される。
図1に示すように、第1のブリッジ回路5の第1の出力端子11には、加算用スイッチ21を介して第1の流入電流源22が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第1の流出電流源24が接続される。第2の出力端子12には、加算用スイッチ21を介して第2の流入電流源25が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第2の流出電流源26が接続される。
また、第2のブリッジ回路6の第3の出力端子17には、加算用スイッチ21を介して第3の流入電流源27が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第3の流出電流源28が接続される。第4の出力端子18には、加算用スイッチ21を介して第4の流入電流源29が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第4の流出電流源30が接続される。
なお、流入電流源22,25,27,29および流出電流源24,26,28,30は、予め決められた一定の電流を流す定電流源によって構成される。また、加算用スイッチ21および減算用スイッチ23のON−OFFの切換制御は、スイッチ回路31によって行われる。
加算用スイッチ21をONすると、流入電流源22と磁気抵抗素子R1とが電気的に接続され、流入電流源22から磁気抵抗素子R1にソース電流が流れる。同様に、流入電流源25から磁気抵抗素子R4に、流入電流源27から磁気抵抗素子R7に、流入電流源29から磁気抵抗素子R6にソース電流が流れる。このため、第1の出力電圧Amに、流入電流源22からのソース電流に応じたオフセット電圧α1が加算される(Am+α1)。なお、オフセット電圧α1は、磁気抵抗素子R1,R3の抵抗値、電源電圧Vccの出力電圧値、流入電流源22の電流値によって定まる。
同様に、第2の出力電圧Apに、流入電流源25からのソース電流に応じた所定のオフセット電圧α2が加算される(Ap+α2)。第3の出力電圧Bmに、流入電流源27からのソース電流に応じた所定のオフセット電圧α3が加算される(Bm+α3)。第4の出力電圧Bpに、流入電流源29からのソース電流に応じた所定のオフセット電圧α4が加算される(Bp+α4)。すなわち、第1ないし第4の出力電圧Am,Ap,Bm,Bpは、オフセットされる。なお、オフセット電圧α2〜α4は、オフセット電圧α1と同様に定まる。
一方、減算用スイッチ23をONすると、流出電流源24と磁気抵抗素子R1とが電気的に接続され、流出電流源24から磁気抵抗素子R1にシンク電流が流れる。同様に、流出電流源26から磁気抵抗素子R4に、流出電流源28から磁気抵抗素子R7に、流出電流源30から磁気抵抗素子R6にシンク電流が流れる。このため、第1の出力電圧Amから、流出電流源24からのシンク電流に応じた所定のオフセット電圧α5が減算される(Am−α5)。なお、オフセット電圧α5は、磁気抵抗素子R1,R3の抵抗値、電源電圧Vccの出力電圧値、流出電流源24の電流値によって定まる。
同様に、第2の出力電圧Apから、流出電流源26からのシンク電流に応じた所定のオフセット電圧α6が減算される(Ap−α6)。第3の出力電圧Bmから、流出電流源28からのシンク電流に応じた所定のオフセット電圧α7が減算される(Bm−α7)。第4の出力電圧Bpから、流出電流源30からのシンク電流に応じた所定のオフセット電圧α8が減算される(Bp−α8)。すなわち、第1ないし第4の出力電圧Am,Ap,Bm,Bpは、オフセットされる。なお、オフセット電圧α6〜α8は、オフセット電圧α5と同様に定まる。
このように、加算用スイッチ21と、減算用スイッチ23と、流入電流源22,25,27,29と、流出電流源24,26,28,30とを組み合わせることで、第1ないし第4の出力電圧Am,Ap,Bm,Bpを所定の電圧値にオフセットするオフセット手段が構成される。
次に、図3を用いて、演算回路3の概略を説明する。なお、説明の便宜上、前述したオフセット電圧α1〜α8が、一定のオフセット電圧αの場合について説明する。演算回路3は、4個の比較器41〜44と判定回路となる1個のOR回路45とを有する。第1の比較器41の±入力端子のそれぞれには、第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1と第2の接続端P2とが接続される。第1の比較器41は、判断基準として、第1の出力電圧Amと、第2の出力電圧Apからオフセット電圧αだけ減算した電圧(Ap−α)とを比較し、電圧(Ap−α)が第1の出力電圧Amよりも大きい((Ap−α)>Am)ときに真となり、それ以外で偽となる第1の判定信号S1を出力する。なお、第1の出力電圧Amは、第1の流入電流源22に接続された加算用スイッチ21および第1の流出電流源24に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Ap−α)は、第2の流入電流源25に接続された加算用スイッチ21がOFF状態、第2の流出電流源26に接続された減算用スイッチ23がON状態で測定される。
第2の比較器42の±入力端子のそれぞれには、第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1と第2の接続端P2とが接続される。第2の比較器42は、判断基準として、第1の出力電圧Amと、第2の出力電圧Apからオフセット電圧αだけ加算した電圧(Ap+α)とを比較し、第1の出力電圧Amが電圧(Ap+α)よりも大きい(Am>(Ap+α))ときに真となり、それ以外で偽となる第2の判定信号S2を出力する。なお、第1の出力電圧Amは、第1の流入電流源22に接続された加算用スイッチ21および第1の流出電流源24に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Ap+α)は、第2の流入電流源25に接続された加算用スイッチ21がON状態、第2の流出電流源26に接続された減算用スイッチ23がOFF状態で測定される。
第3の比較器43の±入力端子のそれぞれには、第2のブリッジ回路6の第5の接続端P5と第6の接続端P6とが接続される。第3の比較器43は、判断基準として、第3の出力電圧Bmと、第4の出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ減算した電圧(Bp−α)とを比較し、電圧(Bp−α)が第3の出力電圧Bmよりも大きい((Bp−α)>Bm)ときに真となり、それ以外で偽となる第3の判定信号S3を出力する。なお、第3の出力電圧Bmは、第3の流入電流源27に接続された加算用スイッチ21および第3の流出電流源28に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Bp−α)は、第4の流入電流源29に接続された加算用スイッチ21がOFF状態、第4の流出電流源30に接続された減算用スイッチ23がON状態で測定される。
第4の比較器44の±入力端子のそれぞれには、第2のブリッジ回路6の第5の接続端P5と第6の接続端P6とが接続される。第4の比較器44は、判断基準として、第3の出力電圧Bmと、第4の出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ加算した電圧(Bp+α)とを比較し、第3の出力電圧Bmが電圧(Bp+α)よりも大きい(Bm>(Bp+α))ときに真となり、それ以外で偽となる第4の判定信号S4を出力する。なお、第3の出力電圧Bmは、第3の流入電流源27に接続された加算用スイッチ21および第3の流出電流源28に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Bp+α)は、第4の流入電流源29に接続された加算用スイッチ21がON状態、第4の流出電流源30に接続された減算用スイッチ23がOFF状態で測定される。
OR回路45の入力端子には、第1ないし第4の比較器41〜44の出力端子が接続される。OR回路45は、第1ないし第4の判定信号S1〜S4のうちのいずれかが真となるときに真(例えば、Highレベル)、全てが偽となるときに偽(例えば、Lowレベル)の検出信号Voutを出力する。
次に、図4ないし図12に示す、磁界強度と出力電圧Am,Ap,Bm,Bpの電圧値との関係を用いて、磁気センサ1の検出動作について説明する。なお、磁界方向は、基線であるY方向を、反時計回りに回転した角度θを正であらわし、時計回りに回転した角度θを負であらわす。また、磁界強度がプラス(+)の場合は、角度θの方向の磁界強度をあらわし、一方、磁界強度がマイナス(−)の場合は、角度θの方向と逆向きの方向、すなわち、角度(θ±180°)の方向の磁界強度をあらわす。
まず、図4を用いて、磁界方向の角度θが0度の場合(θ=0°)、すなわち、磁界方向が第2の方向D2の場合について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第1のブリッジ回路5を構成する第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値が減少する。一方、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2には第1の方向D1の磁界成分が印加されないので、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値は殆ど変化しない。このため、磁界強度が大きくなるにつれて、出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。すなわち、出力電圧Amおよび出力電圧Apは、反相で変化する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が一様に増加する。このため、第2のブリッジ回路6を構成する第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値は、一様に減少する。この結果、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bm,Bpは殆ど変化しない。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B0[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Amとクロスする((Ap−α)=Am)。
さらに、磁界強度が±B0[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Amよりも大きく((Ap−α)>Am)なり、第1の判定信号S1は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1は真、判定信号S2〜S4は偽となる。このため、OR回路45の検出信号Voutは±B0[mT]を閾値として偽から真(例えば、LowレベルからHighレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図5を用いて、磁界方向の角度θが0度から22.5度までの間の場合(0°<θ<22.5°)について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第1の方向D1および第2の方向D2の成分が増加する。なお、第1の方向D1の成分は、第2の方向D2の成分よりも小さい。このため、第1のブリッジ回路5の第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値が減少するが、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値の変化量は、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値の変化量よりも小さい。この結果、出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。なお、出力電圧Am,Apは、θ=0°の場合と比べて、反相で緩やかに変化する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が増加する。なお、第3の方向D3の成分は、第4の方向D4の成分よりも大きい。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値が減少するが、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値の変化量は、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。すなわち、出力電圧Bm,Bpは、反相で変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B1[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Amとクロスする((Ap−α)=Am)。なお、θ=0°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは緩やかに変化するため、|±B0[mT]|<|±B1[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B1[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Amよりも大きく((Ap−α)>Am)なり、第1の判定信号S1は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S2〜S4は偽となり、判定信号S1は真となる。このため、±B1[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図6を用いて、磁界方向の角度θが22.5度の場合(θ=22.5°)について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第1の方向D1および第2の方向D2の成分が増加する。なお、第1の方向D1の成分は、第2の方向D2の成分よりも小さい。このため、第1のブリッジ回路5の第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値が減少するが、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値の変化量は、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値の変化量よりも小さい。この結果、出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。なお、0°<θ<22.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で緩やかに変化する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が増加する。なお、第3の方向D3の成分は、第4の方向D4の成分よりも大きい。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値が減少するが、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値の変化量は、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、0°<θ<22.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、大きく変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B2[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Amとクロスし((Ap−α)=Am)、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmとクロスする((Bp+α)=Bm)。なお、0°<θ<22.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは緩やかに変化するため、|±B1[mT]|<|±B2[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B2[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Amよりも大きく((Ap−α)>Am)なり、第1の判定信号S1は偽から真に切り換わる。これに加えて、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmよりも小さく((Bp+α)<Bm)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S2およびS3は偽、判定信号S1およびS4は真となる。このため、±B2[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図7を用いて、磁界方向の角度θが22.5度から45度までの間の場合(22.5°<θ<45°)について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第1の方向D1および第2の方向D2の成分が増加する。なお、第1の方向D1の成分は、第2の方向D2の成分よりも小さい。このため、第1のブリッジ回路5の第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値が減少するが、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値の変化量は、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値の変化量よりも小さい。この結果、出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。なお、θ=22.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で緩やかに変化する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が増加する。なお、第3の方向D3の成分は、第4の方向D4の成分よりも大きい。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値が減少するが、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値の変化量は、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、θ=22.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、大きく変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B3[mT]に達すると、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmとクロスする((Bp+α)=Bm)。なお、θ=22.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは大きく変化するため、|±B2[mT]|>|±B3[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B3[mT]を超えると、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmよりも小さく((Bp+α)<Bm)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1〜S3は偽、判定信号S4は真となる。このため、±B3[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図8を用いて、磁界方向の角度θが45度の場合(θ=45°)、すなわち、磁界方向が第3の方向D3の場合について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第1の方向D1および第2の方向D2の成分が一様に増加する。このため、第1のブリッジ回路5を構成する第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値は、一様に減少する。この結果、第1のブリッジ回路5の出力電圧Am,Apは殆ど変化しない。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第2のブリッジ回路6を構成する第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値が減少する。一方、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8には第4の方向D4の成分が印加されないので、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値は殆ど変化しない。このため、磁界強度が大きくなるにつれて、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B4[mT]に達すると、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmとクロスする((Bp+α)=Bm)。なお、22.5°<θ<45°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは大きく変化するため、|±B4[mT]|<|±B3[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B4[mT]を超えると、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmよりも小さく((Bp+α)<Bm)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1〜S3は偽、判定信号S4は真となる。このため、±B4[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図9を用いて、磁界方向の角度θが45度から67.5度の場合(45°<θ<67.5°)について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、磁界強度の第1の方向D1および第2の方向D2の成分が増加する。しかしながら、第1の方向D1の成分は、第2の方向D2の成分よりも大きい。このため、第1のブリッジ回路5の第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値が減少するが、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値の変化量は、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が増加する。なお、第3の方向D3の成分は、第4の方向D4の成分よりも大きい。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値が減少するが、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値の変化量は、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、θ=45°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、緩やかに変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B5[mT]に達すると、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmとクロスする((Bp+α)=Bm)。なお、θ=45°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは穏やかに変化するため、|±B4[mT]|<|±B5[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B5[mT]を超えると、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmよりも小さく((Bp+α)<Bm)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1〜S3は偽、判定信号S4は真となる。このため、±B5[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図10を用いて、磁界方向の角度θが67.5度の場合(θ=67.5°)について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、磁界強度の第1の方向D1および第2の方向D2の成分が増加する。しかしながら、第1の方向D1の成分は、第2の方向D2の成分よりも大きい。このため、第1のブリッジ回路5の第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値が減少するが、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値の変化量は、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。なお、45°<θ<67.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で大きく変化する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が増加する。なお、第3の方向D3の成分は、第4の方向D4の成分よりも大きい。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値が減少するが、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値の変化量は、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、45°<θ<67.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、緩やかに変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B6[mT]に達すると、電圧(Ap+α)は出力電圧Amとクロスし((Ap+α)=Am)、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmとクロスする((Bp+α)=Bm)。なお、45°<θ<67.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは穏やかに変化するため、|±B5[mT]|<|±B6[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B6[mT]を超えると、電圧(Ap+α)は出力電圧Amよりも小さく((Ap+α)<Am)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。これに加えて、電圧(Bp+α)は出力電圧Bmよりも小さく((Bp+α)<Bm)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1およびS3は偽、判定信号S2およびS4は真となる。このため、±B6[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図11を用いて、磁界方向の角度θが67.5度から90度までの場合(67.5°<θ<90°)について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、磁界強度の第1の方向D1および第2の方向D2の成分が増加する。しかしながら、第1の方向D1の成分は、第2の方向D2の成分よりも大きい。このため、第1のブリッジ回路5の第1ないし第4の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値が減少するが、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値の変化量は、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値の変化量よりも大きい。この結果、出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。なお、θ=67.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で大きく増加する。
また、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が増加する。なお、第3の方向D3の成分は、第4の方向D4の成分よりも大きい。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値が減少するが、第5および第6の磁気抵抗素子R5,R6の抵抗値の変化量は、第7および第8の磁気抵抗素子R7,R8の抵抗値の変化量より大きい。この結果、出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、θ=67.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、緩やかに変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B7[mT]に達すると、電圧(Ap+α)と出力電圧Amとがクロスする((Ap+α)=Am)。なお、θ=67.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは大きく変化するため、|±B7[mT]|<|±B6[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B7[mT]を超えると、電圧(Ap+α)は出力電圧Amよりも小さく((Ap+α)<Am)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S2は真、判定信号S1,S3,S4は偽となる。このため、±B7[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは偽から真(例えば、LowレベルからHighレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図12を用いて、磁界方向の角度θが90度の場合(θ=90°)、すなわち、磁界方向が第1の方向D1の場合について説明する。磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第1および第2の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値は減少する。一方、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4には第2の方向D2の成分が印加されないので、第3および第4の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値は殆ど変化しない。このため、磁界強度が大きくなるにつれて、出力電圧Am,Apは反相で大きく変化する。
一方、磁界強度を徐々に大きく可変して磁気センサ1に印加していくと、第3の方向D3および第4の方向D4の成分が一様に増加する。このため、第2のブリッジ回路6の第5ないし第8の磁気抵抗素子R5〜R8の抵抗値は、一様に減少する。この結果、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bm,Bpは殆ど変化しない。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Amよりも小さく((Ap−α)<Am)なり、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Ap+α)は、出力電圧Amよりも大きく((Ap+α)>Am)なる。また、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Bp−α)は、出力電圧Bmよりも小さく((Bp−α)<Bm)なり、出力電圧Bpからオフセット電圧αだけ上昇した電圧(Bp+α)は、出力電圧Bmよりも大きく((Bp+α)>Bm)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B8[mT]に達すると、電圧(Ap+α)は出力電圧Amとクロスする((Ap+α)=Am)。なお、67.5°<θ<90°の場合と比べて、出力電圧Am,Apの変化が大きいため、|±B8[mT]|<|±B7[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B8[mT]を超えると、電圧(Ap+α)は出力電圧Amよりも小さく((Ap+α)<Am)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S2は真、判定信号S1,S3,S4は偽となる。このため、±B8[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは偽から真(例えばLowレベルからHighレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
以下同様に、磁気センサ1は、磁界方向の角度θが90度を超える場合にも、磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが67.5度から112.5度までの場合(67.5°≦θ≦112.5°)には、出力電圧Amと電圧(Ap+α)とがクロスする(Am=(Ap+α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Amが電圧(Ap+α)よりも大きくなると(Am>(Ap+α))、第2の判定信号S2が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが112.5度から157.5度までの場合(112.5°≦θ≦157.5°)には、出力電圧Bmと電圧(Bp−α)とがクロスする(Bm=(Bp−α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Bmが電圧(Bp−α)よりも小さくなると(Bm<(Bp−α))、第3の判定信号S3が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが157.5度から202.5度までの場合(157.5°≦θ≦202.5°)には、出力電圧Amと電圧(Ap−α)とがクロスする(Am=(Ap−α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Amが電圧(Ap−α)よりも小さくなると(Am<(Ap−α))、第1の判定信号S1が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが202.5度から247.5度までの場合(202.5°≦θ≦247.5°)には、出力電圧Bmと電圧(Bp+α)とがクロスする(Bm=(Bp+α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Bmが電圧(Bp+α)よりも大きくなると(Bm>(Bp+α))、第4の判定信号S4が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが247.5度から292.5度までの場合(247.5°≦θ≦292.5°)には、出力電圧Amと電圧(Ap+α)とがクロスする(Am=(Ap+α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Amが電圧(Ap+α)よりも大きくなると(Am>(Ap+α))、第2の判定信号S2が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが292.5度から337.5度までの場合(292.5°≦θ≦337.5°)には、出力電圧Bmと電圧(Bp−α)とがクロスする(Bm=(Bp−α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Bmが電圧(Bp−α)よりも小さくなると(Bm<(Bp−α))、第3の判定信号S3が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが337.5度(−22.5度)から22.5度までの場合(−22.5°≦θ≦22.5°)には、出力電圧Amと電圧(Ap−α)とがクロスする(Am=(Ap−α))磁界強度の閾値を超えて、出力電圧Amが電圧(Ap−α)よりも小さくなると(Am<(Ap−α))、第1の判定信号S1が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
前述した記載に基づく、磁界方向の角度θ(−90°≦θ≦90°)と、角度θにおいて磁気センサ1が磁界強度を検出する閾値との関係を、図13中に実線で示す。なお、比較例として、従来技術による磁気センサ101に係る角度θ(−90°≦θ≦90°)と、角度θにおいて磁気センサ101が磁界強度を検出する閾値との関係を破線で示す。磁気センサ101では、角度θの絶対値が0度から45度(|θ|≦45°)の範囲でしか磁界を検出できないのに比べ、磁気センサ1は、角度θの絶対値が0度から90度(|θ|≦90°)の範囲、すなわち、全ての磁気方向の磁界を検出することができる。
また、磁気センサ101では、角度θによって閾値の大きさが大きく異なるため、検出方向の異方性が大きい。しかしながら、磁気センサ1では、角度θが異なる場合でも、閾値の変化が小さいため、検出方向の異方性が小さくなる。
なお、第1の実施の形態では、説明の便宜上、加算あるいは減算されるオフセット電圧α1〜α8が一定のオフセット電圧αとして説明した。しかし、本発明では、オフセット電圧α1〜α8を互いに異なる値に設定し、第1の比較器は(Ap−α1)>Amを比較し、第2の比較器はAm>(Ap+α2)を比較し、第3の比較器は(Bp−α3)>Bmを比較し、第4の比較器はBm>(Bp+α4)を比較する構成としてもよく、同様に磁界を検出することができる。
また、第1の実施の形態の演算回路3における、第1の比較器41は、出力電圧Amと電圧(Ap−α)との大きさを比較し、第2の比較器42は、出力電圧Amと電圧(Ap+α)との大きさを比較し、第3の比較器43は、出力電圧Bmと電圧(Bp−α)との大きさを比較し、第4の比較器44は、出力電圧Bmと電圧(Bp+α)との大きさを比較した。このため、オフセット電圧が加算あるいは減算された出力電圧Amおよび出力電圧Bmは、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準に関与しない。従って、オフセット手段のうち、流入電流源22,27と、流出電流源24,28と、流入電流源22,27に接続された加算スイッチ21と、流出電流源24,28に接続された減算スイッチ23とは省いてもよい。なお、比較器の判断基準に関与しない、流入電流源と、流出電流源と、流入電流源に接続された加算スイッチと、流出電流源に接続された減算スイッチとを設けた場合には、回路構成を変えることなく、後述する他の判断基準に容易に切換えることができる。
また、第1の比較器41は、電圧(Ap−α)が出力電圧Amよりも大きいか否かを比較し((Ap−α)>Am)、第2の比較器42は、出力電圧Amが電圧(Ap+α)よりも大きいか否かを比較し(Am>(Ap+α))、第3の比較器43は、電圧(Bp−α)が出力電圧Bmよりも大きいか否かを比較し((Bp−α)>Bm)、第4の比較器44は、出力電圧Bmが電圧(Bp+α)よりも大きいか否かを比較する(Bm>(Bp+α))。これらの判断基準は、第1の比較器41は、出力電圧Apが電圧(Am+α)よりも大きいか否かを比較し(Ap>(Am+α))、第2の比較器42は、電圧(Am−α)が出力電圧Apよりも大きいか否かを比較し((Am−α)>Ap)、第3の比較器43は、出力電圧Bpが電圧(Bm+α)よりも大きいか否かを比較し(Bp>Bm+α))、第4の比較器44は、電圧(Bm−α)が出力電圧Bpよりも大きいか否かを比較((Bm−α)>Bp)することと数学的に等価である。従って、本発明は、前述した第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準に限られることなく、他の判断基準によっても磁界を検出することができる。
表1に、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準となりうるオフセット手段の構成の組み合わせを具体的に示す。なお、表1には、必須となる流入電流源および流出電流源の組み合わせのみを示し、加算用スイッチ21および減算用スイッチ23の表示は省略した。なお、流入電流源と流出電流源の両方を出力端子に接続する場合は、流入電流源と流出電流源とを切り換えるために、出力端子と流入電流源の間には加算用スイッチ21を、出力端子と流出電流源の間には減算用スイッチ23を接続する必要がある。一方、流入電流源のみを出力端子に接続する場合は、加算用スイッチ21を接続しても、しなくてもよい。また、流出電流源のみを出力端子に接続する場合は、減算用スイッチ23を接続しても、しなくてもよい。
これに伴い、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準として、例えば、このような組み合わせからなるオフセット手段を用いることにより、磁界を検出することができる。
また、第1の実施の形態における演算回路3は、第1ないし第4の比較器41〜44を有する。しかしながら、第1ないし第4の比較器41〜44を設けることなく、少なくとも1つの比較器を共用させて用いてもよい。この場合は、例えば、スイッチを交互に切換えて、判断基準の2つの電圧が順次選択される。比較器は、選択された2つの電圧に基づいて、判定信号を順次出力する。順次出力された判定信号は、メモリに格納される。OR回路は、メモリに格納された判定信号に基づいて、検出信号Voutを出力する。この結果、磁界が検出される。
次に、図14を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における第1の実施の形態との差異は、比較器の判断基準である。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略する。また、第1の実施の形態と同様、オフセット電圧α1〜α8が、一定のオフセット電圧αの場合について説明する。
第2の実施の形態において、演算回路3は、4個の比較器41〜44と1個のOR回路45とを有する。第1の比較器41の±入力端子のそれぞれには、第1のブリッジ回路5の第2の接続端P2と第2のブリッジ回路6の第5の接続端P5とが接続される。第1の比較器41は、判断基準として、第3の出力電圧Bmと、第2の出力電圧Apからオフセット電圧αだけ減算した電圧(Ap−α)とを比較し、電圧(Ap−α)が第3の出力電圧Bmよりも大きい((Ap−α)>Bm)ときに真となり、それ以外で偽となる第1の判定信号S1を出力する。なお、第3の出力電圧Bmは、第3の流入電流源27に接続された加算用スイッチ21および第3の流出電流源28に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Ap−α)は、第2の流入電流源25に接続された加算用スイッチ21がOFF状態、第2の流出電流源26に接続された減算用スイッチ23がON状態で測定される。
第2の比較器42の±入力端子のそれぞれには、第1のブリッジ回路5の第2の接続端P2と第2のブリッジ回路6の第6の接続端P6とが接続される。第2の比較器42は、判断基準として、第4の出力電圧Bpと、第2の出力電圧Apからオフセット電圧αだけ減算した電圧(Ap−α)とを比較し、電圧(Ap−α)が第4の出力電圧Bpよりも大きい((Ap−α)>Bp)ときに真となり、それ以外で偽となる第2の判定信号S2を出力する。なお、第4の出力電圧Bpは、第4の流入電流源29に接続された加算用スイッチ21および第4の流出電流源30に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Ap−α)は、第2の流入電流源25に接続された加算用スイッチ21がOFF状態、第2の流出電流源26に接続された減算用スイッチ23がON状態で測定される。
第3の比較器43の±入力端子のそれぞれには、第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1と第2のブリッジ回路6の第5の接続端P5とが接続される。第3の比較器43は、判断基準として、第3の出力電圧Bmと、第1の出力電圧Amからオフセット電圧αだけ減算した電圧(Am−α)とを比較し、電圧(Am−α)が第3の出力電圧Bmよりも大きい((Am−α)>Bm)ときに真となり、それ以外で偽となる第3の判定信号S3を出力する。なお、第3の出力電圧Bmは、第3の流入電流源27に接続された加算用スイッチ21および第3の流出電流源28に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Am−α)は、第1の流入電流源22に接続された加算用スイッチ21がOFF状態、第1の流出電流源24に接続された減算用スイッチ23がON状態で測定される。
第4の比較器44±入力端子のそれぞれには、第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1と第2のブリッジ回路6の第6の接続端P6とが接続される。第4の比較器44は、判断基準として、第4の出力電圧Bpと、第1の出力電圧Amからオフセット電圧αだけ減算した電圧(Am−α)とを比較し、電圧(Am−α)が第4の出力電圧Bpよりも大きい((Am−α)>Bp)ときに真となり、それ以外で偽となる第4の判定信号S4を出力する。なお、第4の出力電圧Bpは、第4の流入電流源29に接続された加算用スイッチ21および第4の流出電流源30に接続された減算用スイッチ23のいずれもがOFF状態で測定される。また、電圧(Am−α)は、第1の流入電流源22に接続された加算用スイッチ21がOFF状態、第1の流出電流源24に接続された減算用スイッチ23がON状態で測定される。
OR回路45の入力端子には、第1ないし第4の比較器41〜44の出力端子が接続される。OR回路45は、第1ないし第4の判定信号S1〜S4のうちのいずれかが真となるときに真(例えば、Highレベル)、全てが偽となるときに偽(例えば、Lowレベル)の検出信号Voutを出力する。
次に、図15ないし図23に示す、磁界強度と出力電圧Am,Ap,Bm,Bpの電圧値との関係を用いて、磁気センサ1の検出動作について説明する。なお、磁界方向は、基線であるY方向を、反時計回りに回転した角度θを正であらわし、時計回りに回転した角度θを負であらわす。また、磁界強度がプラス(+)の場合は、角度θの方向の磁界強度をあらわし、一方、磁界強度がマイナス(−)の場合は、角度θの方向と逆向きの方向、すなわち、角度(θ±180°)の方向の磁界強度をあらわす。
まず、図15を用いて、磁界方向の角度θが0度の場合(θ=0°)、すなわち、磁界方向が第2の方向D2の場合について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。一方、磁界強度が大きくなっても、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bm,Bpは殆ど変化しない。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B0[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bm,Bpとクロスする((Ap−α)=Bm,(Ap−α)=Bp)。
さらに、磁界強度が±B0[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bm,Bpよりも大きく((Ap−α)>Bm,(Ap−α)>Bp)なり、第1および第2の判定信号S1,S2は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1およびS2は真、判定信号S3およびS4は偽となる。このため、OR回路45の検出信号Voutは±B0[mT]を閾値として偽から真(例えば、LowレベルからHighレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図16を用いて、磁界方向の角度θが0度から22.5度までの間の場合(0°<θ<22.5°)について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。なお、θ=0°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で緩やかに変化する。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B1[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpとクロスする((Ap−α)=Bp)。なお、θ=0°の場合と比べて、出力電圧Apは緩やかに変化するため、|±B0[mT]|<|±B1[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B1[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Ap−α)>Bp)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1,S3,S4は偽となり、判定信号S2は真となる。このため、±B1[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図17を用いて、磁界方向の角度θが22.5度の場合(θ=22.5°)について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。なお、0°<θ<22.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で緩やかに変化する。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、0°<θ<22.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、大きく変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B2[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpとクロスする((Ap−α)=Bp)。なお、0°<θ<22.5°の場合と比べて、出力電圧Apは緩やかに変化するため、|±B1[mT]|<|±B2[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B2[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Ap−α)>Bp)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1,S3,S4は偽、判定信号S2は真となる。このため、±B2[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図18を用いて、磁界方向の角度θが22.5度から45度までの間の場合(22.5°<θ<45°)について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは減少し、出力電圧Apは増加する。なお、θ=22.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で緩やかに変化する。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、θ=22.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、大きく変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B3[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpとクロスする((Ap−α)=Bp)。なお、θ=22.5°の場合と比べて、出力電圧Bpは大きく変化するため、|±B2[mT]|>|±B3[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B3[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Ap−α)>Bp)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1,S3,S4は偽、判定信号S2は真となる。このため、±B3[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図19を用いて、磁界方向の角度θが45度の場合(θ=45°)、すなわち、磁界方向が第3の方向D3の場合について説明する。磁界強度が大きくなっても、第1のブリッジ回路5の出力電圧Am,Apは殆ど変化しない。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、22.5°<θ<45°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、大きく変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B4[mT]に達すると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpとクロスし((Ap−α)=Bp)、電圧(Am−α)は出力電圧Bpとクロスする((Am−α)=Bp)。なお、22.5°<θ<45°の場合と比べて、出力電圧Bpは大きく変化するため、|±B4[mT]|<|±B3[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B4[mT]を超えると、電圧(Ap−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Ap−α)>Bp)なり、第2の判定信号S2は偽から真に切り換わる。これに加えて、電圧(Am−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Am−α)>Bp)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1およびS3は偽、判定信号S2およびS4は真となる。このため、±B4[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図20を用いて、磁界方向の角度θが45度から67.5度の場合(45°<θ<67.5°)について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、θ=45°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、反相で緩やかに変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B5[mT]に達すると、電圧(Am−α)は出力電圧Bpとクロスする((Am−α)=Bp)。なお、θ=45°の場合と比べて、出力電圧Bpは穏やかに変化するため、|±B4[mT]|<|±B5[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B5[mT]を超えると、電圧(Am−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Am−α)>Bp)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1〜S3は偽、判定信号S4は真となる。このため、±B5[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図21を用いて、磁界方向の角度θが67.5度の場合(θ=67.5°)について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。なお、45°<θ<67.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で大きく変化する。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、45°<θ<67.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、反相で緩やかに変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B6[mT]に達すると、電圧(Am−α)は出力電圧Bpとクロスする((Am−α)=Bp)。なお、45°<θ<67.5°の場合と比べて、出力電圧Bpは穏やかに変化するため、|±B5[mT]|<|±B6[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B6[mT]を超えると、電圧(Am−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Am−α)>Bp)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1〜S3は偽、判定信号S4は真となる。このため、±B6[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは真(例えば、Highレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図22を用いて、磁界方向の角度θが67.5度から90度までの場合(67.5°<θ<90°)について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。なお、θ=67.5°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で大きく変化する。一方、磁界強度が大きくなるにつれて、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bmは増加し、出力電圧Bpは減少する。なお、θ=67.5°の場合と比べて、出力電圧Bm,Bpは、反相で緩やかに変化する。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B7[mT]に達すると、電圧(Am−α)と出力電圧Bpとがクロスする((Am−α)=Bp)。なお、θ=67.5°の場合と比べて、出力電圧Amは大きく変化するため、|±B7[mT]|<|±B6[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B7[mT]を超えると、電圧(Am−α)は出力電圧Bpよりも大きく((Am−α)>Bp)なり、第4の判定信号S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1〜S3は偽、判定信号S4は真となる。このため、±B7[mT]を閾値としてOR回路45の検出信号Voutは偽から真(例えば、LowレベルからHighレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
次に、図23を用いて、磁界方向の角度θが90度の場合(θ=90°)、すなわち、磁界方向が第1の方向D1の場合について説明する。磁界強度が大きくなるにつれて、第1のブリッジ回路5の出力電圧Amは増加し、出力電圧Apは減少する。なお、67.5°<θ<90°の場合と比べて、出力電圧Am,Apは、反相で大きく変化する。一方、磁界強度が大きくなっても、第2のブリッジ回路6の出力電圧Bm,Bpは殆ど変化しない。
従って、磁界強度が0[mT]付近では、出力電圧Apからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Ap−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Ap−α)<Bm,(Ap−α)<Bp)、また、出力電圧Amからオフセット電圧αだけ低下した電圧(Am−α)は、出力電圧Bm,Bpよりも小さく((Am−α)<Bm,(Am−α)<Bp)なる。このため、判定信号S1〜S4は全て偽となり、OR回路45の検出信号Voutは偽(例えば、Lowレベル)となる。
磁界強度が±B8[mT]に達すると、電圧(Am−α)は出力電圧Bm,Bpとクロスする((Am−α)=Bm,(Am−α)=Bp)。なお、67.5°<θ<90°の場合と比べて、出力電圧Amの変化が大きいため、|±B8[mT]|<|±B7[mT]|となる。
さらに、磁界強度が±B8[mT]を超えると、電圧(Am−α)は出力電圧Bm,Bpよりも大きく((Am−α)>Bm,(Am−α)>Bp)なり、第3および第4の判定信号S3,S4は偽から真に切り換わる。この結果、判定信号S1およびS2は偽、判定信号S3およびS4は真となる。このため、OR回路45の検出信号Voutは±B0[mT]を閾値として偽から真(例えば、LowレベルからHighレベル)に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
以下同様に、磁気センサ1は、磁界方向の角度θが90度を超える場合にも、磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが90度から135度までの場合(90°≦θ≦135°)には、電圧(Am−α)と出力電圧Bmとがクロスする((Am−α)=Bm)磁界強度の閾値を超えて、電圧(Am−α)が出力電圧Bmよりも大きくなると((Am−α)>Bm)、第3の判定信号S3が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが135度から180度までの場合(135°≦θ≦180°)には、電圧(Ap−α)と出力電圧Bmとがクロスする((Ap−α)=Bm)磁界強度の閾値を超えて、電圧(Ap−α)が出力電圧Bmよりも大きくなると((Ap−α)>Bm)、第1の判定信号S1が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが180度から225度までの場合(180°≦θ≦225°)には、電圧(Ap−α)と出力電圧Bpとがクロスする((Ap−α)=Bp)磁界強度の閾値を超えて、電圧(Ap−α)が出力電圧Bpよりも大きくなると((Ap−α)>Bp)、第2の判定信号S2が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが225度から270度までの場合(225°≦θ≦270°)には、電圧(Am−α)と出力電圧Bpとがクロスする((Am−α)=Bp)磁界強度の閾値を超えて、電圧(Am−α)が出力電圧Bpよりも大きくなると((Am−α)>Bp)、第4の判定信号S4が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが270度から315度までの場合(270°≦θ≦315°)には、電圧(Am−α)と出力電圧Bmとがクロスする((Am−α)=Bm)磁界強度の閾値を超えて、電圧(Am−α)が出力電圧Bmよりも大きくなると((Am−α)>Bm)、第3の判定信号S3が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
磁界方向の角度θが315度(−45度)から0度までの場合(−45°≦θ≦0°)には、電圧(Ap−α)と出力電圧Bmとがクロスする((Ap−α)=Bm)磁界強度の閾値を超えて、電圧(Ap−α)が出力電圧Bmよりも大きくなると((Ap−α)>Bm)、第1の判定信号S1が偽から真に信号レベルが切り換わり、磁気センサ1は磁界強度を検出することができる。
かくして、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、磁気印加方向に依存することなく、ほぼ一定の閾値で磁界強度を検出することができる。また、第1の流出電流源24および第2の流出電流源26に接続された減算用スイッチ23をONにすると共に、他の減算用スイッチ23および加算用スイッチ21をOFFにすることにより、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準に係る電圧を同時に検出することができる。このため、第1の実施の形態のように、加算用スイッチ21と減算用スイッチ23を切り換えながら磁界を検出する必要がないため、磁界の検出に必要な時間を短縮することができる。また、第2の実施の形態では、第1のブリッジ回路5による出力電圧Am,Apをオフセットした電圧(Am−α),(Ap−α)と、第2のブリッジ回路6による第3および第4の出力電圧Bm,Bpとを比較するから、磁界強度の閾値、すなわち、磁気感度の変動を小さくすることができる。
なお、第2の実施の形態では、説明の便宜上、加算あるいは減算されるオフセット電圧α1〜α8が一定のオフセット電圧αとして説明した。しかし、本発明では、オフセット電圧α1〜α8を互いに異なる値に設定し、第1の比較器は(Ap−α1)>Bmを比較し、第2の比較器は(Ap−α2)>Bpを比較し、第3の比較器は(Am−α3)>Bmを比較し、第4の比較器は(Am−α4)>Bpを比較する構成としてもよく、同様に磁界を検出することができる。
また、第2の実施の形態の演算回路3における、第1の比較器41は、出力電圧Bmと電圧(Ap−α)との大きさを比較し、第2の比較器42は、出力電圧Bpと電圧(Ap−α)との大きさを比較し、第3の比較器43は、出力電圧Bmと電圧(Am−α)との大きさを比較し、第4の比較器44は、出力電圧Bpと電圧(Am−α)との大きさを比較した。このため、オフセット電圧が加算された出力電圧Am,Ap、および、オフセット電圧が加算あるいは減算された出力電圧Bm,Bpは、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準に関与しない。従って、オフセット手段のうち、流入電流源22,25,27,29と、流出電流源28,30と、流入電流源22,25,27,29に接続された加算スイッチ21と、流出電流源28,30に接続された減算スイッチ23とは省いてもよい。なお、比較器の判断基準に関与しない、流入電流源と、流出電流源と、流入電流源に接続された加算スイッチと、流出電流源に接続された減算スイッチとを設けた場合には、回路構成を変えることなく、前述した、あるいは、後述する他の判断基準に容易に切換えることができる。
また、第1の比較器41は、電圧(Ap−α)が出力電圧Bmよりも大きいか否かを比較し((Ap−α)>Bm)、第2の比較器42は、電圧(Ap−α)が出力電圧Bpよりも大きいか否かを比較し((Ap−α)>Bp)、第3の比較器43は、電圧(Am−α)が出力電圧Bmよりも大きいか否かを比較し((Am−α)>Bm)、第4の比較器44は、出力電圧が電圧Bpよりも大きいか否かを比較した((Am−α)>Bp)。これらの判断基準は、第1の比較器41は、出力電圧Apが電圧(Bm+α)よりも大きいか否かを比較し(Ap>(Bm+α))、第2の比較器42は、出力電圧Apが電圧(Bp+α)よりも大きいか否かを比較し(Ap>(Bp+α))、第3の比較器43は、出力電圧Amが電圧(Bm+α)よりも大きいか否かを比較し(Am>(Bm+α))、第4の比較器44は、出力電圧Amが電圧(Bp+α)よりも大きいか否かを比較(Am>(Bp+α))することと数学的に等価である。従って、本発明は、第1の実施の形態における第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準に限られることなく、他の判断基準によっても磁界を検出することができる。
表2に、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準となりうるオフセット手段の構成の組み合わせを具体的に示す。なお、流入電流源と流出電流源の両方を出力端子に接続する場合は、流入電流源と流出電流源とを切り換えるために、出力端子と流入電流源の間には加算用スイッチ21を、出力端子と流出電流源の間には減算用スイッチ23を接続する必要がある。一方、流入電流源のみを出力端子に接続する場合は、加算用スイッチ21を接続しても、しなくてもよい。また、流出電流源のみを出力端子に接続する場合は、減算用スイッチ23を接続しても、しなくてもよい。
これに伴い、第1ないし第4の比較器41〜44の判断基準として、例えば、このような組み合わせからなるオフセット手段を用いることにより、磁界を検出することができる。
また、第1の実施の形態における演算回路3は、第1ないし第4の比較器41〜44を有する。しかしながら、第1ないし第4の比較器41〜44を設けることなく、少なくとも1つの比較器を共用させて用いてもよい。この場合は、例えば、スイッチを交互に切換えて、判断基準の2つの電圧が順次選択される。比較器は、選択された2つの電圧に基づいて、判定信号を順次出力する。順次出力された判定信号は、メモリに格納される。OR回路は、メモリに格納された判定信号に基づいて、検出信号Voutを出力する。この結果、磁界が検出される。
次に、図24を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略する。また、第1の実施の形態と同様、オフセット電圧α1〜α8が、一定のオフセット電圧αとして説明する。
センサ回路部51は、4個の磁気抵抗素子R1〜R4から構成される第1のブリッジ回路5と、4個の磁気抵抗素子R5〜R8から構成される第2のブリッジ回路6とを備える。また、第1のブリッジ回路5の第1の出力端子11には、加算用スイッチ21を介して第1の流入電流源52が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第1の流出電流源53が接続される。
第1のブリッジ回路5の第2の出力端子12には、加算用スイッチ21を介して第2の流入電流源54が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第2の流出電流源55が接続される。
第2のブリッジ回路6の第3の出力端子17には、加算用スイッチ21を介して第3の流入電流源56が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第3の流出電流源57が接続される。
第2のブリッジ回路6の第4の出力端子18には、加算用スイッチ21を介して第4の流入電流源58が接続されると共に、減算用スイッチ23を介して第4の流出電流源59が接続される。加算用スイッチ21と、減算用スイッチ23と、流入電流源52,54,56,58と、流出電流源53,55,57,59とを組み合わせて、第1ないし第4の出力電圧Am,Ap,Bm,Bpにオフセット電圧αを加算および減算のいずれかを行うオフセット手段が構成される。
また、第1のブリッジ回路5の電源電圧端子9および第2のブリッジ回路6の電源電圧端子15の共通接続端と、電源電圧Vccの間には、電流検出器60が接続される。電流検出器60は、電源電圧Vccから2つのブリッジ回路5,6に供給される電流Iallをモニタする。そして、電流Iallに比例したソース電流あるいはシンク電流を流す、流入電流源52,54,56,58および流出電流源53,55,57,59が、出力端子に接続される。
具体的には、流入電流源52,54,56,58および流出電流源53,55,57,59は、モニタ電流Iallと同じ向きの電流を複製するカレントミラー回路(図示せず)を用いて構成される。
このため、流入電流源52,54,56,58および流出電流源53,55,57,59に流れる電流値Iαは、第1および第2のブリッジ回路5,6に供給される電源電圧Vccと常に比例するため、電源電圧Vccが変動したときでも、電源電圧Vccの変動に応じてオフセット電圧αを変化させることができる。このため、磁気センサ1が磁界強度を検出する閾値が電源電圧Vccによって影響を受けないため、検出感度のバラツキを低減することができる。
なお、本発明の第3の実施の形態は、これに限られない。図25に、第3の実施の形態の第1の変形例であるセンサ回路部61を示す。センサ回路部61には、一定の基準電流Irefを供給する基準電流源62と、基準電流源62の基準電流Irefをモニタする電流検出器63とが設けられる。また、第1および第2のブリッジ回路5,6の電源電圧端子9,15には、基準電流Irefに比例した電源電流を供給する電流源64が接続される。また、流入電流源52,54,56,58および流出電流源53,55,57,59は、基準電流Irefに比例したソース電流あるいはシンク電流となる電流を流す。
また、電流源64、流入電流源52,54,56,58および流出電流源53,55,57,59は基準電流Irefと同じ向きの電流を複製する、例えばカレントミラー回路を用いて構成される。
また、図26に、第3の実施の形態の第2の変形例であるセンサ回路部71を示す。センサ回路部71には、電源電圧Vccをモニタする電圧検出器72が設けられる。流入電流源52,54,56,58および流出電流源53,55,57,59は、電圧検出器72によって検出されたモニタ電源電圧に応じた、ソース電流あるいはシンク電流となる電流を流す。
なお、前記各実施の形態では、演算回路3は、4個の比較器41〜44と判定回路となる1個のOR回路45とを有する構成とした。しかし、本発明はこれに限られない。図27に、第1の実施の形態の第1の変形例である演算回路81を示す。演算回路81は、4個の比較器41〜44と、比較器41〜44の出力端子にそれぞれ接続された反転器(NOT回路)82と、判定回路となる1個のNAND回路83とを有する。
演算回路81において、4個の比較器41〜44の+入力端子の接続と−入力端子の接続とを逆にした場合、反転器82を省くことができる。この場合、第1の比較器41の+入力端子には第1の接続端P1が接続され、第1の比較器41の−入力端子には第2の接続端P2が接続され、第2の比較器42の+入力端子には第2の接続端P2が接続され、第2の比較器42の−入力端子には第1の接続端P1が接続され、第3の比較器43の+入力端子には第5の接続端P5が接続され、第3の比較器43の−入力端子には第6の接続端P6が接続され、第4の比較器44の+入力端子には第6の接続端P6が接続され、第4の比較器44の−入力端子には第5の接続端P5が接続される。これらの構成は、第2および第3の実施の形態にも適用することができる。また、判定回路は、OR回路やNAND回路に限らず、比較器で比較する少なくとも一組の電圧値の大きさが逆転して信号レベルが切り換わる任意の回路が適用可能である。
また、前記第1の実施の形態では、第1の比較器41の+入力端子には第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1が、第1の比較器41の−入力端子には第1のブリッジ回路5の第2の接続端P2が接続される。一方、第2の比較器42の+入力端子には第1のブリッジ回路5の第2の接続端P2が接続され、第2の比較器42の−入力端子には第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1が接続される。
しかしながら、本発明の第1の実施の形態は、これに限られない。例えば、第1の比較器41と第2の比較器42とを共通化すると共に、第3の比較器43と第4の比較器44とを共通化してもよい。図28に、第1の実施の形態の第2の変形例である演算回路91を示す。演算回路91は、第1の比較器41と第2の比較器42とを共通化した比較器92と、第3の比較器43と第4の比較器44とを共通化した比較器93とを有する。
比較器92の+入力端子には第1のブリッジ回路5の第1の接続端P1を、比較器92の−入力端子には第1のブリッジ回路5の第2の接続端P2を接続する。比較器92の出力端を分岐させると共に、一方の分岐路には反転器94を接続する。これにより、反転器94を通さない場合は第1の比較器41として、反転器94を通す場合は第2の比較器42として機能させることができる。
比較器92と同様に、比較器93の+入力端子には第2のブリッジ回路5の第6の接続端P6を、比較器93の−入力端子には第2のブリッジ回路5の第5の接続端P5を接続する。比較器93の出力端を分岐させると共に、一方の分岐路には反転器94を接続する。これにより、反転器94を通さない場合は第3の比較器43として、反転器94を通す場合は第4の比較器44として機能させることができる。
この場合、比較器92の2つの分岐路には、第1,第2の判定信号S1,S2を保持するラッチ回路95がそれぞれ接続される。比較器93の2つの分岐路には、第3,第4の判定信号S3,S4を保持するラッチ回路95がそれぞれ接続される。4個のラッチ回路95の出力端子は、判定回路となるOR回路96の入力端子に接続される。
また、前記各実施の形態では、第1ないし第8の磁気抵抗素子R1〜R8は近接して平行に形成された複数本の線状パターンを先端部で互い違いに接続する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1本の線状パターンによって磁気抵抗素子R1〜R8を構成してもよい。
また、前記各実施の形態では、流入電流源22,25,27,29,52,54,56,58や流出電流源24,26,28,30,53,55,57,59を用いてオフセット手段を構成した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばオフセット電圧を発生させる定電圧源を用いてオフセット手段を構成してもよい。