JP5974886B2 - 過給機 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に好適に用いられ得る過給機に関する。
従来から、内燃機関(以下、単に「機関」とも称呼する。)の燃焼室からクランクケース内に漏出したブローバイガスを吸気通路に還流させることにより、クランクケース内の換気を行うシステムが知られている。係るシステムは、「ブローバイガス還流装置」、「PCV(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション)」又は「ブローバイガス通路」とも称呼される。
ところで、クランクケース内ではクランクシャフトが高速で回転するためにオイルパンに貯留されているオイルが飛散する。その結果、クランクケース内にオイルミスト(潤滑油の液体状微粒子)が形成される。このオイルミストがブローバイガス通路によりブローバイガスとともに吸気通路に還流されると、吸気通路を構成している部材(以下、「吸気通路構成部材」とも称呼する。)に付着する。即ち、吸気通路構成部材にデポジットが堆積する。
このデポジットは機関の特性上好ましくない。特に、吸気通路に過給機のコンプレッサ部が設けられている場合、コンプレッサ内のディフューザ部では、空気が圧縮され温度が上昇するため、煤を含んだオイルミスト(以下、「オイルミスト粒子」と称呼する。)の油分が蒸発し粘着性のオイルミスト粒子に変化し易くなる。従って、ディフューザ部にデポジットが堆積し易くなり、その結果、過給機の効率が低下する虞がある。
そのため、従来装置の一つは、ディフューザ部の壁面を冷却するための冷却通路を備える。これにより、オイルミスト粒子が粘着性のオイルミスト粒子へと変化し難くなる。よって、ブローバイガスに含まれるオイルミスト粒子がデポジットとして堆積する量を低減することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2010−209846号公報
しかしながら、上記従来装置によりディフューザ部を冷却しても、ディフューザ部のデポジットの堆積量を十分に低減することができないことが判明した。そこで、発明者は、ブローバイガスの還流によりディフューザ部にデポジットが堆積する現象につき検討した。その検討結果は次のとおりである。
オイルミスト粒子を含む空気がコンプレッサ部のインペラ翼を通過してディフューザ部に流入して来る時点において、前記空気は圧縮され高温になっている。そのため、従来装置のようにディフューザ部の壁面を冷却しても、すでに高温の空気中ではオイルミスト粒子の油分が蒸発をしている。すなわち、オイルミスト粒子はディフューザ部に流入して来る時点において、すでに粘着性のオイルミスト粒子へと変化を始めており、ディフューザ部の壁面に付着・堆積しやすい状態になっていることがわかった。
以上の分析から、発明者は、「ディフューザ部におけるデポジットの堆積量を低減するためには、ディフューザ部の壁面を冷却するのではなく、むしろディフューザ部よりも上流に位置し空気が流入する部分(シュラウド部)を冷却することが重要且つ効果的である。」との知見を得た。
従って、本発明の目的の一つは、空気がディフューザ部に流入する前の段階で空気の温度を低下させることによって、吸気通路構成部材、特にディフューザ部に堆積するデポジットの量を低減することが可能な内燃機関の過給機を提供することにある。
本発明による過給機は、コンプレッサインペラ翼と、前記コンプレッサインペラ翼の周囲に配置されるとともに同コンプレッサインペラ翼に沿う壁面を構成するシュラウド部と、前記コンプレッサインペラ翼及び前記シュラウド部を通過した空気を圧縮するように環状に形成されたディフューザ部と、前記シュラウド部内に形成され且つ前記シュラウド部の壁面を冷却するための流体を循環させる冷却材流路部を備える。
更に本発明による過給機は、前記ディフューザ部から前記冷却材流路部に伝達される熱量を低減するように同ディフューザ部から同冷却材流路部への熱伝達経路の少なくとも一部に断熱機能を有する断熱部を備える。
これによれば、断熱部によって、圧縮された空気の熱により加熱されたディフューザ部の壁面からの熱が、冷却材流路部に伝わり難くすることができる。
従って、冷却材流路部はディフューザ部の壁面からの熱を吸収し難くなるので、シュラウド部を効率よく冷却できるようになる。
よってこの過給機は、クランクケース内のブローバイガスを吸気通路に還流させるブローバイガス通路部を備える内燃機関に適用され、前記コンプレッサインペラ翼、前記シュラウド部及び前記ディフューザ部を含むコンプレッサが、前記吸気通路であって前記ブローバイガス通路と前記吸気通路との接続部よりも下流側に配設された場合、ブローバイガス通路部を通って入ってくるオイルミスト粒子の油分を蒸発し難くすることができる。従って、オイルミスト粒子が粘着性の粒子へと変化する割合を低下させることができるので、ディフューザ部へのデポジット堆積量を低減することができる。
本発明の一態様においては、前記冷却材流路部が環状であって、前記コンプレッサインペラ翼の回転軸と略同軸となるように形成されており、前記断熱部が、環状部材であって、前記コンプレッサインペラ翼の回転軸と略同軸に且つ前記冷却材流路部の外周側に配設されている。
これによれば、簡単な構成の断熱部を用いてディフューザ部(更には、ディフューザ部の外周側のスクロール部)から冷却材流路部へ伝達される熱量を低減することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る過給機及びその過給機が適用される内燃機関の概略図である。 図2は、図1に示した過給機のコンプレッサ部の断面図である。 図3は、コンプレッサ部の内部でオイルミスト粒子がデポジットとして堆積する原理を示した図である。 図4は、図1に示した過給機のコンプレッサ部の断面図であり、熱の伝達経路を模式的に示した図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係る過給機のコンプレッサ部の断面図である。 図6は、本発明の第1変形例に係る過給機のコンプレッサ部の断面図である。 図7は、本発明の第2変形例に係る過給機のコンプレッサ部の断面図である。
以下、本発明の各実施形態に係る過給機(ターボチャージャ)について図面を参照しながら説明する。本発明の過給機が適用される内燃機関は、ピストン往復動型・直列・多気筒(4気筒)・ディーゼル機関である。但し、本発明は他の形式の機関にも適用することができる。
<第1実施形態>
(構成)
図1に示したように、本発明の第1実施形態に係るターボチャージャ60は内燃機関(機関)10に適用される。機関10は、機関本体部20、吸気通路部30及び排気通路部40を備えている。
機関本体部20は、クランクケース21、オイルパン22、シリンダブロック23及びシリンダヘッド部24を含んでいる。
クランクケース21は、クランクシャフト21aを回転可能に支持している。
オイルパン22は、クランクケース21の下方においてクランクケース21に固定されている。オイルパン22は、クランクケース21とともに、クランクシャフト21a及び潤滑油(オイル)OLを収容する空間(以下、「クランクケース室」とも称呼する。)を形成している。
シリンダブロック23は、クランクケース21の上方においてクランクケース21に固定されている。シリンダブロック23は、アルミニウム製であって、中空円筒状のシリンダ(シリンダボア)23aを複数個(4気筒分)備えている。シリンダ23aの内周には鋳鉄製のシリンダライナ23bが嵌入されている。
シリンダ23aにはピストン23cが収容されている。
ピストン23cは略円筒形であり、側面に複数のピストンリングを備えている。複数のピストンリングのうちの最も下方(クランクケース21側)のリングは、所謂「オイルリングOR」である。オイルリングORは、シリンダ23aの内壁(即ち、シリンダライナ23bの内壁)を摺動しながら同内壁の潤滑油(油膜)をクランクケース21側に掻き落とすようになっている。ピストン23cは、コネクティングロッド23dによってクランクシャフト21aに連結されている。ピストン23cの上面(頂面)はシリンダライナ23bの内壁面及びシリンダヘッド部24の下面と共に燃焼室CCを形成している。
シリンダヘッド部24は、シリンダブロック23の上方においてシリンダブロック23に固定されている。シリンダヘッド部24には、燃焼室CCに連通する吸気ポート、及び、燃焼室CCに連通する排気ポートが形成されている。吸気ポートは吸気弁により開閉される。吸気弁は、シリンダヘッド部24に収容された「図示しないインテークカムシャフトのカム」により駆動される。排気ポートは排気弁により開閉される。排気弁は、シリンダヘッド部24に収容された「図示しないエグゾーストカムシャフトのカム」により駆動される。シリンダヘッド部24は、シリンダヘッドカバー24aにより覆われている。更に、シリンダヘッド部24内には図示しない燃料噴射弁が備えられている。
吸気通路部30は、吸気管31、インタークーラ32及びターボチャージャ60のコンプレッサ61を含んでいる。吸気管31は吸気ポートと接続されている。従って、吸気管31及び吸気ポートは吸気通路を構成している。
コンプレッサ61は吸気管31に介装されていて、吸入空気を圧縮するようになっている。インタークーラ32は、吸気管31であってコンプレッサ61よりも下流の位置に介装されていて、吸入空気を冷却するようになっている。なお、コンプレッサ61については後に詳述する。
排気通路部40は、排気管41及びターボチャージャ60のタービン62を含んでいる。排気管41は排気ポートと接続されている。従って、排気管41及び排気ポートは排気通路を構成している。
タービン62は排気管41に介装されていて、排ガスによりタービン62のインペラ翼が回転されるようになっている。この結果、タービン62のインペラ翼に連結されたコンプレッサ61のコンプレッサインペラ翼が回転し、それによりターボチャージャ60は過給を行うようになっている。
ブローバイガス還流装置50は、第1ガス通路部51と、第2ガス通路部52と、第3ガス通路部53と、を含む。
第1ガス通路部51はシリンダブロック23内に形成されている。第1ガス通路部51はクランクケース室をシリンダヘッド部24内の第2ガス通路部52に接続するようになっている。第2ガス通路部52は、シリンダヘッド部24内の所定の経路を通り、第3ガス通路部53の一端に接続されている。第3ガス通路部53は機関10本体の外部に設けられたガス管53aにより構成されている。第3ガス通路部53の他端は吸気管31であってコンプレッサ61よりも上流位置に接続されている。
以上の構成により、燃焼室CCからクランクケース室に漏出したブローバイガスは、第1ガス通路部51、第2ガス通路部52及び第3ガス通路部53を通って吸気通路部30へと還流(流入)させられる。なお、第3ガス通路部53には図示しない周知のPCVバルブが備えられてもよい。
クランクシャフト21aは、実際には、クランクケース21に回転可能に支持されたクランクジャーナルと、クランクピン、クランクアーム及びバランスウエイトと、を含んでいる。クランクピン、クランクアーム及びバランスウエイトは機関10が運転されているとき、高速で回転・運動する。更に、コネクティングロッド23dも機関10が運転されているとき、高速で運動する。従って、オイルリングORによりクランクケース室へと掻き落とされる潤滑油は、高速で回転・運動している部材(クランクピン、クランクアーム、バランスウエイト及びコネクティングロッド23d等)に落下しながら衝突して飛散する。加えて、ピストンリングとシリンダライナ23bの内壁面との間から燃焼室CC内のガスが噴出することによっても潤滑油が飛散する。よって、クランクケース室内に多量のオイルミスト(潤滑油の飛沫)が発生する。
一方、ブローバイガスには煤(soot)等の微粒子(パティキュレートマター、PM)が含まれている。パティキュレートマターPMの径は例えば0.1μm程度未満である。これに対し、クランクケース室内において発生しているオイルミストの粒径の平均は1μm〜5μm程度である。従って、複数のパティキュレートマターPMがオイルミスト内に取り込まれ、オイルミスト粒子となる。このオイルミスト粒子は第1〜第3ブローバイガス通路部51〜53を通してターボチャージャ60のコンプレッサ61に流入する。
ところで、ターボチャージャ60のコンプレッサ61は、図2に示したように、コンプレッサハウジング63と、図示しないベアリングハウジングの端部に設けられたシールプレート64と、コンプレッサハウジング63内に収容されるコンプレッサインペラ翼65と、を含む。コンプレッサハウジング63及びシールプレート64は、第1熱伝達率(第1熱伝導率)を有する金属(例えば、アルミニウム)から構成されている。
コンプレッサハウジング63は、コンプレッサインペラ翼65の周囲に形成され且つコンプレッサインペラ翼65に沿う壁面を構成する部分63aを有する。この部分はシュラウド部63aと称呼される。
更に、コンプレッサハウジング63は、コンプレッサインペラ翼65の回転によりシュラウド部63aから空気が送出される空間であるディフューザ部63bを形成している。即ち、ディフューザ部63bは、シールプレート64に対向するように形成されたコンプレッサハウジング63の一部と、シールプレート64と、により構成されている。このディフューザ部63bにおいて空気が圧縮される。
加えて、コンプレッサハウジング63は、シールプレート64とともに、ディフューザ部63bの外周にスクロール部63cを形成している。スクロール部63cは、ディフューザ部63bからディフューザ部63bの周方向に送出される空気を損失を小さくしながらインタークーラ32に接続された吸気管31へ導く機能を有する。
更に、コンプレッサハウジング63は、冷却材流路部63dと断熱部63eとを含む。
冷却材流路部63dは、コンプレッサハウジング63内に「冷却材(本例においては冷却水)の流路」を構成する。この冷却材は機関の冷却材(冷却水)又はインタークーラ32の冷却材(冷却水)である。冷却材流路部63dは、環状であって、コンプレッサインペラ翼65の回転軸Cと略同軸となるように、且つ、シュラウド部63aの壁面の近傍位置に形成されている。冷却材流路部63dの縦断面は略長方形である。従って、冷却材流路部63d内に冷却材が通流することにより、シュラウド部63aの壁面が冷却される。
断熱部63eは、第1熱伝達率よりも小さい第2熱伝達率(第2熱伝導率)を有する、即ち、断熱機能を有する部材(例えば、ポリウレタン等の合成樹脂及び空気等の気体を含む。)により構成されている。
断熱部63eは、環状部材であって、コンプレッサインペラ翼65の回転軸Cと略同軸となるように、且つ、冷却材流路部63dの外周側であって冷却材流路部63dとディフューザ部63bとの間に形成されている。断熱部63eの縦断面は略長方形である。従って、断熱部63eは、ディフューザ部63bから冷却材流路部63dに伝達される熱量を低減するように、ディフューザ部63bから冷却材流路部63dへの熱伝達経路の少なくとも一部に配設されていると言うことができる。
(作用)
次に、上述したように構成されたターボチャージャ60の作用について説明する。先ず、従来のターボチャージャにおいてデポジットが堆積する際のメカニズムについて、図3を参照しながら説明する。
第1〜第3ブローバイガス通路部51〜53を通ったオイルミスト粒子OMを含むブローバイガスは、コンプレッサ61の上流にて、吸気通路部30の吸気管31を通る空気と合流し、コンプレッサ61に流入する(図3の(A)を参照。)。流入した空気は、コンプレッサインペラ翼65とシュラウド部63aの壁面に挟まれた空間で、コンプレッサインペラ翼65の回転力により圧縮されるので、温度が上昇する。このとき、オイルミスト粒子OM中の油分の一部が周囲の熱で蒸発する。その結果、オイルミスト粒子OMが高粘度化する(図3の(B)を参照。)。高粘度化したオイルミスト粒子OMは壁面に付着し易い状態となる。ディフューザ部63bでは、高粘度化したオイルミスト粒子OMの一部がその壁面に付着し、他部は付着せずに下流へ流れる。ディフューザ部63b内の温度はシュラウド部63aよりも更に高くなるため、ディフューザ部63bに付着したオイルミスト粒子OMの油分が更に蒸発する(図3の(C)を参照。)。従って、図3の(C)〜(D)にかけて、ディフューザ部63bの壁面に付着したオイルミスト粒子OMは、その油分が蒸発してディフューザ部63bの壁面に固着・堆積する。この状態をデポジットが堆積すると言う。
以上から明らかなように、ディフューザ部63bを冷却したとしても、オイルミスト粒子OMはディフューザ部63bに流入する時点において既に粘着性を有しているので、ディフューザ部63bの壁面に付着するデポジットの堆積量を十分に低減することができない。むしろ、このデポジットの堆積量を低減するためには、シュラウド部63aの壁面(特に、コンプレッサインペラ翼65近傍の壁面)を十分に冷却する必要がある。係る知見に基づき、ターボチャージャ60のコンプレッサ61は、上述した冷却流路部63dと断熱部63eを備える。以下、ターボチャージャ60の作用について図4を参照しながら説明する。
図4の矢印H1により示したように、コンプレッサインペラ翼65からシュラウド部63aの壁面を介して冷却材流路部63dへと熱が伝達される。この熱の経路を構成している部分の熱伝達率は第1熱伝達率であるから、冷却材流路部63dを流れる冷却材はシュラウド部63aの壁面を効率よく冷却することができる。
これに対し、図4の矢印H2に示したように、空気の圧縮に伴って高温となっているディフューザ部63bからも冷却材流路部63dへと熱が伝達される。しかしながら、この熱伝達経路上には「第2熱伝達率を有する断熱部63e」が配設されている。従って、ディフューザ部63bから冷却材流路部63dへ伝達される熱量が低減する。
更に、図4の矢印H3に示したように、高温の空気に曝されて高温となっているスクロール部63cからも冷却材流路部63dへと熱が伝達される。しかしながら、この熱伝達経路上にも「第2熱伝達率を有する断熱部63e」が配設されている。従って、スクロール部63cから冷却材流路部63dへ伝達される熱量も低減する。
以上から明らかなように、ディフューザ部63b及びスクロール部63cから冷却材流路部63dへと伝達される熱量が低下するから、シュラウド部63aの壁面(及びコンプレッサインペラ翼65)は効率よく冷却される。従って、オイルミスト粒子OMがディフューザ部63bを通過する時点で粘着性を有するオイルミスト粒子OMへと変化し難くなる。その結果、ディフューザ部63bの壁面に堆積するデポジットの量を低減することができる。
なお、断熱部63eの「コンプレッサインペラ翼65の回転軸C方向の一の端部(上端部)」は、「冷却材流路部63dの回転軸C方向の一の端部(上端部)」よりも上方に位置し、且つ、断熱部63eの「回転軸C方向の他の端部(下端部)」は、「冷却材流路部63dの回転軸C方向の他の端部(下端部)」よりも下方(ディフューザ部63b側)に位置していることが好ましい。これによれば、ディフューザ部63b及びスクロール部63cから冷却材流路部63dへと伝達される熱の量を大きく低減することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るターボチャージャ(以下、「第2ターボチャージャ」とも称呼する。)について説明する。第2ターボチャージャのコンプレッサ61Aは、図5に示したように、コンプレッサハウジング63に蓋63fを備えている点のみにおいて、第1実施形態に係るターボチャージャのコンプレッサ61と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明する。
第2ターボチャージャのコンプレッサハウジング63には、ターボチャージャ60の冷却材流路部63dと同じ形状を有する第1環状溝が形成されている。この第1環状の溝の両端は接続されておらず、第1環状の溝の一の端部は図示しない「コンプレッサハウジング63の外部に連通する第1貫通孔」と連通し、第1環状の溝の他の端部は図示しない「コンプレッサハウジング63の外部に連通する第2貫通孔」と連通している。冷却材(冷却水)は第1貫通孔から第1環状溝に流入し、第2貫通孔を通って排出されるようになっている。
更に、第2ターボチャージャのコンプレッサハウジング63には、ターボチャージャ60の断熱部63eと同じ形状を有する第2環状溝が形成されている。この第2環状溝には第2熱伝達率を有する部材(例えば、ポリウレタン等の合成樹脂)が挿入されている。
加えて、第2ターボチャージャのコンプレッサハウジング63には、それら第1及び第2環状溝の上部(コンプレッサインペラ翼65の回転軸C方向であってコンプレッサインペラ翼65の先端部方向)に一つの第3環状溝が形成されている。第3環状溝もコンプレッサインペラ翼65の回転軸Cと同軸に形成される。この第3環状溝には第3環状溝と略同一形状を有し第1熱伝達率を有する蓋63fが圧入され、第1及び第2環状溝が封止される。この結果、ターボチャージャ60の冷却材流路部63d及び断熱部63eと同様の冷却材流路部及び断熱部が形成される。
この第2ターボチャージャは、ターボチャージャ60と同様の作用を発揮し、ターボチャージャ60と同様の効果(ディフューザ部63bの壁面のデポジット堆積量の低減効果)を奏することができる。更に、第2ターボチャージャは、コンプレッサハウジング63の上面から3種類の円環状の溝を形成することにより、冷却材流路部63d及び断熱部63eを形成することができるので、第2ターボチャージャの製造コストを低減することができる。
以上説明したように、本発明の各実施形態に係るターボチャージャによれば、シュラウド部が効果的に冷却されるので、ディフューザ部のデポジット堆積量を低減することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、冷却材流路部63d及び断熱部63eの断面形状は長方形に限ったものではなく、多角形、円形、その他の形状であっても構わない。特に、図6の第1変形例に示したように、断熱部63eが冷却材流路部63dの外周部だけでなく、冷却材流路部63dの下部(ディフューザ部63b側)に折り曲げられた形状であってもよい。これによれば、ディフューザ部63bからの熱伝達量を一層低減することができる。
上記第2ターボチャージャにおいては、コンプレッサハウジング63に、冷却材流路部63dと同じ形状を有する第1環状溝と、断熱部63eと同じ形状を有する第2環状溝と、これら2つの溝を同時に封止する蓋63fを圧入するための第3環状溝とが形成されたが、例えば、図7の第2変形例では、冷却材流路部63dと同径の第1環状溝及び断熱部63eと同径の第2環状溝が、コンプレッサインペラ翼65の回転軸Cと同軸に形成される。
ここで、前記第1環状溝の深さ(コンプレッサインペラ翼65の回転軸C方向の長さ)は、冷却材流路部63dの深さと冷却材流路部63dを封止する蓋63f1の深さとを合わせた深さである。また、前記第2環状溝の深さは、断熱部63eの深さと断熱部63eを封止する蓋63f2の深さとを合わせた深さである。このように形成された溝に対し、第1環状溝には第1熱伝達率を有する蓋63f1が圧入され、冷却材流路部63dが封止される。また、第2環状溝には第1熱伝達率よりも小さい第2熱伝達率を有する部材(例えば、ポリウレタン等の合成樹脂)が挿入され、更にその上部に第1熱伝達率を有する蓋63f2が圧入され、断熱部63eが封止される。この結果、第2ターボチャージャの冷却材流路部63d及び断熱部63eと同様の冷却材流路部及び断熱部が形成される。
上記第2変形例のターボチャージャは、ターボチャージャ60と同様の作用を発揮し、ターボチャージャ60と同様の効果(ディフューザ部63bの壁面のデポジット堆積量の低減効果)を奏することができる。更に、上記第2変形例のターボチャージャは、コンプレッサハウジング63の上面から2種類の円環状の溝を形成することにより、冷却材流路部63d及び断熱部63eを形成することができるので、第2変形例ターボチャージャの製造コストを低減することができる。
なお、第1実施形態(図2を参照。)、第2実施形態(図5を参照。)及び第1変形例(図6を参照。)においては、冷却材流路部63dと断熱部63eの間に間隙を設けているが、これら2つの部材が互いに接している構成であってもよい。
断熱部63eに用いる断熱材の合成樹脂は、ポリウレタンだけでなく、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド及びメラミン樹脂等の合成樹脂であってもよい。
また、上記合成樹脂の代わりにグラスウールを用いてもよい。
また、断熱材が空気の場合は、更に断熱材挿入用溝の表面を鏡面化することにより、断熱効果を高めることが可能である。ここで鏡面とは、表面粗さRa(算術平均粗さ)が0.01μm程度のものを言う。
また、断熱部63eの内部を真空としてもよい。真空とすることにより、さらに断熱効果が高まるからである。
10…内燃機関、20…機関本体部、21…クランクケース、21a…クランクシャフト、22…オイルパン、23…シリンダブロック、23a…シリンダ、23c…ピストン、24a…シリンダヘッドカバー、30…吸気通路部、31…吸気管、40…排気通路部、41…排気管、50…ブローバイガス還流装置、51…第1ガス通路部、52…第2ガス通路部、53…第3ガス通路部、53a…ガス管、60…ターボチャージャ、61…コンプレッサ、62…タービン、63…コンプレッサハウジング、63a…シュラウド部、63b…ディフューザ部、63c…スクロール部、63d…冷却材流路部、63e…断熱部、63f…蓋、64…シールプレート、65…コンプレッサインペラ翼、OM…オイルミスト、PM…パティキュレートマター。

Claims (3)

  1. コンプレッサインペラ翼と、
    前記コンプレッサインペラ翼の周囲に配置されるとともに同コンプレッサインペラ翼に沿う壁面を構成するシュラウド部と、
    前記コンプレッサインペラ翼及び前記シュラウド部を通過した空気を圧縮するように環状に形成されたディフューザ部と、
    前記シュラウド部内に形成され且つ前記シュラウド部の壁面を冷却するための流体を循環させる冷却材流路部を備える過給機であって、
    前記ディフューザ部から前記冷却材流路部に伝達される熱量を低減するように同ディフューザ部から同冷却材流路部への熱伝達経路の少なくとも一部に断熱機能を有する断熱部を備えたことを特徴とする過給機。
  2. 請求項1に記載の過給機であって、
    クランクケース内のブローバイガスを吸気通路に還流させるブローバイガス通路部を備える内燃機関に適用され、
    前記コンプレッサインペラ翼、前記シュラウド部及び前記ディフューザ部を含むコンプレッサが、前記吸気通路であって前記ブローバイガス通路と前記吸気通路との接続部よりも下流側に配設されている、過給機。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の過給機において、
    前記冷却材流路部は、環状であって前記コンプレッサインペラ翼の回転軸と略同軸となるように形成されており、
    前記断熱部は、環状部材であって、前記コンプレッサインペラ翼の回転軸と略同軸に且つ前記冷却材流路部の外周側に配設されている過給機。
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