JP5359403B2 - ターボチャージャ - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給するターボチャージャに関する。
従来から、エンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給するターボチャージャが用いられている。
ターボチャージャは、タービンとコンプレッサとを有している。エンジンから排出された排気ガスがタービンに導入され、タービンの内部に設けられたタービンインペラを回転させる。タービンインペラは、コンプレッサの内部に設けられたコンプレッサインペラと一体的に連結されており、タービンインペラの回転によりコンプレッサインペラが回転する。コンプレッサの吸気口から導入された空気は、コンプレッサインペラが回転することにより圧縮され、該コンプレッサインペラの外側に位置するディフューザ流路に送り出される。圧縮された空気がコンプレッサからエンジンに供給されることで、エンジンの性能が向上する。
コンプレッサにおける吸気口の上流側には、エンジン等から排出されるブローバイガスの導入口が設けられている。ブローバイガスとは、エンジンのピストン及びシリンダの隙間等から漏出したガスのことであり、その中には潤滑用のオイルや燃料等が含まれ、汚染の原因となることからそのまま外部に排出することはできない。
ここで、特許文献1には、コンプレッサを介してブローバイガスをエンジンに供給し、燃焼により処理する装置が開示されている。
ブローバイガスは所定の箇所に集められ、オイルセパレータによって液状のオイル等が除去された後に、上記導入口及び吸気口を介してコンプレッサ内に導入される。ブローバイガスは、空気と共にコンプレッサにより圧縮され、再びエンジンに供給されて燃料と共に燃焼される。
特開2005−264918号公報(第9頁、第1図)
ところで、コンプレッサ内に導入されたブローバイガスにはオイルセパレータで除去できなかった霧状のオイル等が含まれており、このオイル等がディフューザ流路の壁面に付着した後、固化して堆積するという現象が見られた。空気はコンプレッサインペラで圧縮されて高温となるために、空気が流動するディフューザ流路の壁面も高温となる。さらに、上記オイル等は所定の温度(例えば165℃)で固化する性質を有しているため、ディフューザ流路の壁面でオイル等が固化して堆積していた。
そして、オイル等が堆積することで、ディフューザ流路の幅が縮小してしまい、ターボチャージャの性能や動作特性が変化してしまうという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンプレッサハウジングにおけるディフューザ流路の壁面にオイル等が固化して堆積することを防止でき、長期に亘り安定した性能や動作特性を維持できるターボチャージャを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明のターボチャージャは、コンプレッサハウジングの内部に設けられた回転翼と、回転翼を囲んで略環状を呈するディフューザ流路とを備え、少なくともディフューザ流路のタービンハウジングと逆側の壁面はコンプレッサハウジングに形成されているターボチャージャであって、コンプレッサハウジングにおける壁面近傍に形成され、回転翼を囲んで略環状を呈し、かつ、壁面を冷却するための流体を流動させる冷却用流路を有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、上記流体が流動することによりディフューザ流路の壁面が冷却され、その温度が低下する。
また、本発明のターボチャージャは、冷却用流路が少なくともディフューザ流路の壁面における外周縁部近傍に設けられるという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、上記流体が流動することにより上記壁面の外周縁部が冷却され、その温度が低下する。
また、本発明のターボチャージャは、回転翼を中心にして略渦巻状に形成されたコンプレッサスクロール流路が冷却用流路の径方向外側に形成されており、冷却用流路の流路径は、コンプレッサスクロール流路の流路径に応じて変化しているという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、コンプレッサスクロール流路の流路径が狭くなれば冷却用流路の流路径が広がるため、ディフューザ流路の壁面は広い範囲で冷却される。
また、本発明のターボチャージャは、冷却用流路が回転翼の回転軸周りに巻回されて周方向で重ねられるという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、周方向に関して冷却用流路が全周に亘り形成されているため、ディフューザ流路の壁面は全周に亘り冷却される。
また、本発明のターボチャージャは、冷却用流路が環形状を複数に分割した形状に形成されているという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、ディフューザ流路における壁面が効率よく冷却され、また、上記壁面の温度が周方向に関して均一化される。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明によれば、ディフューザ流路の壁面にオイル等が固化して堆積することを防止できるという効果がある。したがって、本発明によれば、ディフューザ流路の流路幅が変化しないことから、ターボチャージャの性能や動作特性を長期に亘り安定化できるという効果がある。
本実施形態に係るターボチャージャ1の全体構成を示す概略図である。 図1のA−A線視断面図である。 本実施形態における冷却用流路53の第1の変形例を示す概略図である。 本実施形態における冷却用流路53の第2の変形例を示す概略図である。 本実施形態における冷却用流路53の第3の変形例を示す概略図である。 本実施形態における冷却用流路53の第4の変形例を示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るターボチャージャ1の構成を、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るターボチャージャ1の全体構成を示す概略図である。図2は、図1のA−A線視断面図である。上記図内の矢印Fは前方向を示す。
ターボチャージャ1は、不図示のエンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給する装置である。
図1に示すように、ターボチャージャ1は、タービンハウジング2と、軸受けハウジング3と、シールプレート4と、コンプレッサハウジング5とが前方より順次配置され一体的に設けられた構成となっている。
軸受けハウジング3内部には、前後方向で延びるインペラ軸6が、複数の軸受け31を介して回転自在に設けられている。
インペラ軸6の両端には、回転する翼であるタービンインペラ7及びコンプレッサインペラ(回転翼)8がそれぞれ一体的に連結されている。タービンインペラ7及びコンプレッサインペラ8は、いずれも複数の翼が回転軸周りに等間隔で配設された構成となっている。タービンインペラ7は、タービンハウジング2の略中央部に配置され、コンプレッサインペラ8は、コンプレッサハウジング5の略中央部に配置されている。
タービンハウジング2は、タービンインペラ7を囲み前後方向に直交する面に沿って略渦巻状に形成されるタービンスクロール流路21と、排気ガスの排出口であるタービンハウジング出口22とを有している。
タービンスクロール流路21は、エンジンから排出された排気ガスが導入される不図示のガス流入口に連通している。また、タービンスクロール流路21は、タービンインペラ7の設置箇所を介して、タービンハウジング出口22に連通している。タービンハウジング出口22は、不図示の排気ガス浄化装置に接続されている。
コンプレッサハウジング5はアルミ等の金属材料からなり、後方に開口し不図示のエアクリーナに接続される吸気口51と、コンプレッサインペラ8を中心として前後方向に直交する面に沿って略渦巻状に形成されるコンプレッサスクロール流路52と、コンプレッサスクロール流路52の内側でコンプレッサインペラ8を囲み前後方向に直交する面に沿って略環状に形成される冷却用流路53と、圧縮された空気を排出する排気口54(図2参照)とを有している。
シールプレート4とコンプレッサハウジング5との間には、空気を圧縮して昇圧させるディフューザ流路41がコンプレッサインペラ8を囲んで略環状に形成されている。
吸気口51は、コンプレッサインペラ8の設置箇所を介してディフューザ流路41に連通しており、ディフューザ流路41は、コンプレッサスクロール流路52に連通している。コンプレッサスクロール流路52は、排気口54に連通している(図2参照)。
吸気口51と上記エアクリーナとの間には、エンジン等から排出されるブローバイガスの導入口(図示せず)が設けられている。なお、上記導入口から導入されるブローバイガスは、不図示のオイルセパレータによって液状のオイルが除去されたものである。
ディフューザ流路41のタービンハウジング2と逆側の壁面41aは、コンプレッサハウジング5に形成されている。
冷却用流路53は、ディフューザ流路41に沿いつつ壁面41aの近傍に設けられている。
図2に示すように、冷却用流路53は逆C字状を呈しており、冷却用流路53の2つの端部である第1端部53a及び第2端部53bには、各々図示しない供給用流路及び排出用流路が接続されている。該供給用流路及び該排出用流路には、不凍液等を用いた冷却用の液体(流体)を循環して流動させるための循環装置(図示せず)が接続されている。なお、該循環装置は、上記液体を冷却するための冷却機(図示せず)を有している。
続いて、本実施形態におけるターボチャージャ1の動作を説明する。
まず、ターボチャージャ1の過給動作、すなわち、不図示のエンジンから排出される排気ガスの運動エネルギーを利用して、エンジンに空気を過給する動作について説明する。
エンジンの排気口から排出された排気ガスは、タービンハウジング2のガス流入口を介してタービンスクロール流路21に導入される。排気ガスは、タービンスクロール流路21内をタービンインペラ7周りで回転するように流動しつつ、タービンインペラ7に導入される。この排気ガスの導入により、タービンインペラ7が回転する。タービンインペラ7を回転させた後、排気ガスはタービンハウジング出口22から排出され、排気ガス浄化装置によって浄化された後に大気に放出される。
タービンインペラ7は、インペラ軸6を介してコンプレッサインペラ8と一体的に連結されているため、タービンインペラ7が回転することでコンプレッサインペラ8も回転する。
コンプレッサインペラ8の回転により、コンプレッサハウジング5の吸気口51から導入された空気がディフューザ流路41に送り出される。送り出された空気は、ディフューザ流路41内を流動することで昇圧される。昇圧された空気は、コンプレッサスクロール流路52を通り排気口54を介してエンジンに供給される。エンジンに圧縮された空気が供給されることで、エンジンの性能を向上させることができる。
以上で、ターボチャージャ1の過給動作が終了する。
次に、ターボチャージャ1に導入されるブローバイガス及びブローバイガスに含まれるオイルの処理について説明する。
吸気口51の上流側に設けられた不図示の導入口より、オイルセパレータによって液状のオイル等が除去されたブローバイガスが導入される。ブローバイガスは、エアクリーナを介して外部から導入された空気と混合され、吸気口51を介して空気と共にコンプレッサハウジング5内に導入される。その後、ブローバイガスは、コンプレッサインペラ8及びディフューザ流路41によって空気と共に圧縮され、コンプレッサスクロール流路52及び排気口54を介してエンジンに供給される。エンジンに供給されたブローバイガスは、燃料と共に燃焼される。
ブローバイガスには、オイルセパレータによっても除去できない霧状のオイル等(オイルミスト)が含まれている。ブローバイガスがコンプレッサハウジング5内に導入されると、このオイル等はコンプレッサインペラ8の翼部、ディフューザ流路41の壁面41a等に付着する。なお、上記オイル等は所定の温度(凡そ165℃)になると固化する性質を有している。
ここで、コンプレッサインペラ8は高速で回転していることから、その翼部にオイルが付着しても回転により径方向外側に飛ばされる。よって、オイル等はコンプレッサインペラ8の翼部に堆積しない。
一方、ディフューザ流路41内で空気が圧縮され高温となるために、ディフューザ流路41の壁面41aも高温となる。空気の圧力を高めていくと、ディフューザ流路41内の空気の温度は更に上昇する。
ここで、冷却用の液体を流動させる循環装置を作動させ、上記液体を冷却用流路53内に流動させる。循環装置には、上記液体を冷却するための冷却機が備えられているため、液体を所定の温度以下に維持することができる。この液体が冷却用流路53内を流動することで、冷却用流路53の周辺部が冷却される。さらに、コンプレッサハウジング5は、アルミ等の金属材料から形成されているため熱伝導性がよく、冷却用流路53のさらに広い周辺部、すなわちディフューザ流路41の壁面41aまで冷却することができる。したがって、この冷却により壁面41aの温度をオイル等が固化する温度以下に維持することができる。
壁面41aに付着したオイル等は、オイル等が固化する温度に壁面41aが達していないため、ディフューザ流路41内を流動する空気と共に下流側に移動し、エンジン内部に導入され燃料と共に燃焼される。よって、オイル等は壁面41aに堆積しない。
以上で、ターボチャージャ1に導入されるブローバイガス及びブローバイガスに含まれるオイル等の処理が終了する。
したがって、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、ディフューザ流路41の壁面41aにオイル等が固化して堆積することを防止できるという効果がある。したがって、本実施形態によれば、ディフューザ流路41の流路幅が変化しないことから、ターボチャージャ1の性能や動作特性を長期に亘り安定化できるという効果がある。
なお、前述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、図1に示すように、上記実施形態では冷却用流路53の幅方向での断面形状は略楕円形に形成されていたが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、図3に示すような幅方向での断面形状となっていてもよい。
図3は、本実施形態における冷却用流路53の第1の変形例を示す概略図である。
図3に示すように、冷却用流路53の第1の変形例では、冷却用流路53は少なくとも壁面41aにおける外周縁部41bの近傍に設けられている。ディフューザ流路41内の空気は外周縁部41b側に向かうに従い温度が高まるため、外周縁部41bにおいてオイル等が固化しやすい傾向にある。そこで、この変形例を採用することにより外周縁部41bを冷却することができるため、外周縁部41bにおけるオイル等の固化を防止することができる。
また、図2に示すように、上記実施形態では冷却用流路53の流路径は略一定であったが、図4に示すような流路径となっていてもよい。
図4は、本実施形態における冷却用流路53の第2の変形例を示す概略図である。
図4に示すように、冷却用流路53の第2の変形例では、冷却用流路53の流路径をコンプレッサスクロール流路52の流路径に応じて変化させ、例えばコンプレッサスクロール流路52の流路径が狭い箇所では冷却用流路53の流路径を広げている。この変形例では、ディフューザ流路41の壁面41a(図1参照)を広い範囲で冷却でき、広い範囲でのオイル等の固化を防止することができる。
また、冷却用流路53の配置を図5に示すような配置としてもよい。
図5は、本実施形態における冷却用流路53の第3の変形例を示す概略図である。
図5に示すように、冷却用流路53の第3の変形例では、冷却用流路53はコンプレッサインペラ8の回転軸周りに巻回されて周方向で重ねられている。この変形例では、周方向に関して冷却用流路53が全周に亘り形成されているため、壁面41a(図1参照)は全周に亘り冷却され、オイル等の固化を全周に亘り防止することができる。また、図5に示す冷却用流路53はコンプレッサインペラ8の径方向で重ねられているが、回転軸方向で重ねられていてもよい。
また、図2に示すように、上記実施形態では冷却用流路53は1つの流路として形成されていたが、図6に示すような複数の流路となっていてもよい。
図6は、本実施形態における冷却用流路53の第4の変形例を示す概略図である。
図6に示すように、冷却用流路53の第4の変形例では、冷却用流路53は環形状を複数に分割した形状(第1流路55及び第2流路56)に形成されている。この変形例では、壁面41aを効率よく冷却することができ、壁面41aの温度を周方向に関してより均一化することができる。
また、上記実施形態では、冷却用の流体として不凍液等の液体を使用しているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、冷却用の流体として気体を使用してもよい。
1…ターボチャージャ、41…ディフューザ流路、41a…壁面、41b…外周縁部、5…コンプレッサハウジング、52…コンプレッサスクロール流路、53…冷却用流路、8…コンプレッサインペラ(回転翼)、

Claims (1)

  1. コンプレッサハウジングの内部に設けられた回転翼と、前記回転翼を囲んで環状を呈するディフューザ流路とを備え、少なくとも前記ディフューザ流路のタービンハウジングと逆側の壁面は前記コンプレッサハウジングに形成されているターボチャージャであって、
    前記コンプレッサハウジングにおける前記壁面近傍に形成され、前記回転翼を囲んで環状を呈し、かつ、前記壁面を冷却するための流体を流動させる冷却用流路を有し、
    前記冷却用流路の径方向外側には、前記回転翼を中心にして渦巻状に形成されたコンプレッサスクロール流路が形成されており、
    前記コンプレッサスクロール流路は、前記壁面の面方向における流路径が、前記コンプレッサスクロール流路の上流側において、上流から下流に向かうに連れて漸次広くなるように形成され、
    前記冷却用流路の、前記壁面の面方向における流路径前記コンプレッサスクロール流路の上流側において、前記コンプレッサスクロール流路の流路径が狭い箇所では広く、該コンプレッサスクロール流路の流路径が広い箇所では狭くなるように、前記コンプレッサスクロール流路の流路径に応じて変化していることを特徴とするターボチャージャ。



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