JP2017075565A - 潤滑構造 - Google Patents

潤滑構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2017075565A
JP2017075565A JP2015203397A JP2015203397A JP2017075565A JP 2017075565 A JP2017075565 A JP 2017075565A JP 2015203397 A JP2015203397 A JP 2015203397A JP 2015203397 A JP2015203397 A JP 2015203397A JP 2017075565 A JP2017075565 A JP 2017075565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
crankshaft
crankcase
guide rib
piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015203397A
Other languages
English (en)
Inventor
彰 古屋
Akira Furuya
彰 古屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Heavy Industries Ltd filed Critical Fuji Heavy Industries Ltd
Priority to JP2015203397A priority Critical patent/JP2017075565A/ja
Publication of JP2017075565A publication Critical patent/JP2017075565A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)

Abstract

【課題】オイルパンの潤滑油を効率的に飛散させる。【解決手段】エンジン1の潤滑構造17は、ピストン8と、ピストンに小端部2aが連結されたコンロッド2と、コンロッドの大端部が連結されたクランクシャフト3と、クランクシャフトが回転自在に収容され、底部に潤滑油が貯留されるオイルパン9が形成されたクランクケース5と、クランクケースのオイルパンに貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態で回転自在に設けられ、回転によって潤滑油をクランクケース内に飛散させる回転体(ガバナギヤ11)と、クランクシャフトの回転中心とピストンとの間であって、コンロッドとクランクシャフトが連結される連結部(クランクピン3a)までクランクシャフトの回転軸方向に延在して設けられ、ガバナギヤから飛散してクランクケースの内壁5aを伝う潤滑油を、コンロッドに滴下させるガイドリブ18と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、クランクケース内に潤滑油を飛散させるエンジンの潤滑構造に関する。
エンジンにおいては、潤滑油によってエンジン内部の潤滑および冷却がなされている。例えば、特許文献1、2に記載のエンジンでは、クランクケース内にはオイルパンが形成されており、クランクシャフトの回転力を利用してスクレーパを回動させてオイルパンに貯留された潤滑油を掻き揚げ、ピストン、コンロッド、クランクシャフトなどのエンジンの構成部材に飛散させる。
例えば、発電機等の各種機器を駆動する汎用エンジンにおいては、ピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドの下部から突出したスクレーパや、クランクシャフトと同期して回転するガバナ機構のギヤ等の回転部品によって、クランクケース下部に貯留されたオイルを掻き上げて飛散させる飛沫潤滑が行われる。
また、特許文献3に記載のエンジンでは、カム軸のギヤを介してクランクシャフトと連結されたギヤが、オイルパンの潤滑油に一部浸漬されており、ギヤが回転することで潤滑油を掻き揚げる構成となっている。
さらに、レシプロエンジン及びこれに類似した構造を有する機器の飛沫潤滑に関する従来技術として、例えば、特許文献4には、レシプロ式の空気圧縮機において、連接棒の大端部の側面に凹部を形成し、はねかけ部により飛散された油滴を凹部内に溜めて大端部の軸受部に導入することが記載されている。
特許文献5には、エンジンの潤滑性能を確保する目的で、コンロッドの大端部に形成され軸受面にオイルを導入するオイル供給孔の角度を、治具を用いて測定することが記載されている。
実開昭59−160805号公報 実開昭61−122312号公報 実開昭57−10405号公報 特開平11−210623号公報 特開平 6−147217号公報
上記の特許文献3に記載のように、オイルパンの潤滑油に一部が浸漬された回転体を回転させることで潤滑油を飛散させる構成において、クランクシャフトやピストンに対する回転体の位置によっては、潤滑油の多くがクランクケースの内壁に付着してそのままオイルパンまで滴下してしまい、ピストンやコンロッドへの潤滑油の供給量が低下してしまうおそれがある。そのため、潤滑油による潤滑および冷却の効率を向上する技術の開発が希求されている。
そこで、本発明は、オイルパンの潤滑油を効率的に飛散させることができる潤滑構造を提供することを目的としている。
また、上述した飛沫潤滑を行うエンジンにおいて、コンロッドの大端部においてクランクピンを支持する軸受面のオイル供給量を増加させ、潤滑状態をさらに改善することが要望されている。
特に、シリンダライナの中心軸に対してクランク回転中心軸がオフセットして配置されたエンジンにおいては、クランクピン軸受面へのオイル供給が不足する傾向があることがわかっており、対策が求められている。
上述した問題に鑑み、本発明の他の課題は、簡単な構成によりクランクピンの潤滑を改善したエンジンの潤滑構造を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のエンジンの潤滑構造は、ピストンと、ピストンに一端が連結されたコンロッドと、コンロッドの他端が連結されたクランクシャフトと、クランクシャフトが回転自在に収容され、底部に潤滑油が貯留されるオイルパンが形成されたクランクケースと、クランクケースのオイルパンに貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態で回転自在に設けられ、回転によって潤滑油をクランクケース内に飛散させる回転体と、クランクシャフトの回転中心とピストンとの間であって、少なくともコンロッドとクランクシャフトが連結される連結部までクランクシャフトの回転軸方向に延在して設けられ、回転体から飛散してクランクケースの内壁を伝う潤滑油を、コンロッドに滴下させるガイドリブと、を備えたことを特徴とする。
ガイドリブのうち、潤滑油の滴下方向の先端部は、クランクシャフトの回転軸方向における位置が、回転体側からコンロッド側に近づくほど、クランクシャフトの回転中心に近づく方向に傾斜していてもよい。
ピストンの径方向中心は、クランクシャフトの回転軸中心に対してオフセットしていてもよい。
ガイドリブは、クランクケースの内壁のうち、ピストンの径方向中心を境にして排気ポート側に設けられてもよい。
クランクシャフトは、回転軸方向における位置が、連結部と回転体との間となる範囲に設けられるクランクウェブを備え、ガイドリブは、少なくともクランクウェブから連結部に亘って、クランクシャフトの回転軸方向に延在していてもよい。
回転体は、エンジンの回転数の過剰な上昇を抑制するガバナ機構のギヤであってもよい。
また、本発明のエンジンの潤滑構造は、クランクシャフトを収容するクランクケースと、前記クランクケースから上方へ突出して配置されたシリンダと、前記シリンダに挿入されるピストンと、前記ピストンに設けられるピストンピン及び前記クランクシャフトに設けられるクランクピンを連結するコンロッドと、前記コンロッドの外表面部に設けられた入口部から前記クランクピンを支持する軸受面にオイルを導入するオイル供給穴とを備えるエンジンの潤滑構造であって、前記クランクケースの上面部から下方に突出するとともに前記クランクシャフトの軸方向にほぼ沿って延在するガイドリブと、前記クランクシャフトの回転に応じて前記クランクケース下部に貯留されたオイルを前記クランクケースの上面部に掻き上げて前記ガイドリブに供給するオイル搬送手段と、前記ガイドリブの一部から下方に突出して形成され、下端に設けられた突端部が前記クランクシャフトの回転時に前記オイル供給穴の前記入口部が通過する軌跡に対して鉛直方向上方に配置され、前記ガイドリブを伝って流れるオイルを前記オイル供給穴に滴下させるオイル滴下部材とを備えることを特徴とする。
これによれば、ガバナギヤ等のオイル搬送部材によってガイドリブに供給され、ガイドリブを伝って流れるオイルの一部は、オイル滴下部材からオイル供給穴の直上に滴下され、高い確率でオイル供給穴に導入されるため、簡単な構成によってクランクピンの軸受部へのオイル供給量を増加させてクランクピンの潤滑状態を改善することができる。
ここで、オイル搬送部材として、例えばガバナギヤ及びガバナギヤから飛散して付着したオイルを遠心力により再飛散させるクランクウェブ等を用いることができる。
前記オイル滴下部材は、前記クランクシャフトの軸方向における位置が前記オイル供給穴の前記入口部と一致する箇所に配置されかつ前記ガイドリブから少なくとも下方に張り出して形成された壁部を有し、前記ガイドリブは、前記オイル滴下部材の前記壁部の一方の面部に実質的に突き当てて配置された端面を有する構成としてもよい。
これによれば、ガイドリブを伝って流れるオイルを、壁部が堰き止めて下方へ確実に流下させることにより、突端部からのオイルの滴下量をさらに増加して上述した効果を確実に得ることができる。
前記オイル滴下部材の前記突端部に隣接する端縁部は、前記エンジンの使用時に想定される最大傾斜角まで傾斜した場合であっても前記突端部が前記オイル滴下部材の最下部に位置するよう前記エンジンの非傾斜時における水平方向に対して傾斜して配置される構成としてもよい。
これによれば、エンジンの使用時に傾斜が生じた場合であってもオイル滴下部材を流下するオイルを確実に突端部に案内することが可能となり、オイル供給穴にオイルを適切に滴下させることができる。
前記クランクシャフトの軸方向における前記オイル滴下部材の前記突端部近傍における厚さを、前記オイル供給穴の前記入口部の直径に対して小さくした構成としてもよい。
これによれば、クランクシャフトの軸方向においてオイルが滴下される範囲を、オイル供給穴の入口部に対して小さい範囲に集約させることによって、より高い確率でオイル供給穴にオイルを滴下させ、上述した効果をさらに高めることができる。
前記ガイドリブは前記クランクケースと一体に形成され、前記オイル滴下部材は、前記クランクケースとは別部品として形成され前記クランクケースに固定される構成としてもよい。
これによれば、鋳造及び機械加工によりクランクケースを形成する際の工程を煩雑化させることなく、容易な製造工程により上述した効果を得ることができる。
本発明において、オイル滴下部材は、例えば、板金部材や樹脂成型品とすることができる。
本発明によれば、オイルパンの潤滑油を効率的に飛散させることができる。
また、本発明によれば、簡単な構成によりクランクピンの潤滑を改善することができる。
エンジンの潤滑構造の第1実施形態を説明するための概略断面図である。 図1のII‐II線断面である。 図1のIII‐III線断面である。 本発明を適用した潤滑構造の第2実施形態を有するエンジンの断面図であって、クランクシャフトの軸方向から見た図である。 第2実施形態のエンジンの断面図であって、シリンダ及びクランクシャフトの径方向から見た図である。 第2実施形態のエンジンのクランクケース上部の拡大断面図であって、クランクシャフトの軸方向から見た図である。 図6のVII−VII部矢視断面図である。 第2実施形態のエンジンのオイル滴下部材の二面図である。 本発明の比較例であるエンジンのクランクケース上部の拡大断面図であって、クランクシャフトの軸方向から見た図である。 図9のX−X部矢視断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
<第1実施形態>
図1は、エンジン1を説明するための概略断面図であり、図2は、図1のII‐II線断面である。ここでは、理解を容易とするため、図2ではクランクシャフト3および後述するガバナ機構10の一部の図示を省略する。図1、図2中、破線矢印は潤滑油の流れ方向を示す。
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロック4とクランクケース5とが一体に形成された筐体6を有する。シリンダブロック4の内部にはシリンダ7が形成されており、シリンダ7内にピストン8が収容されている。クランクケース5の内部にはクランクシャフト3が回転自在に収容されている。
シリンダブロック4のうち、図1中、上側にはシリンダヘッド(不図示)が配され、シリンダ7内において、シリンダヘッドおよびピストン8で囲繞された空間が燃焼室となり、燃焼室内で燃料の燃焼が行われる。
ピストン8には、図2に示すコンロッド2の小端部2a(一端)が連結されており、コンロッド2の大端部2b(他端)には、図1に示すクランクシャフト3のクランクピン3a(連結部)が連結されている。燃焼室で燃料が燃焼し、その膨張圧を受けてピストン8がシリンダ7内を往復移動すると、ピストン8の動力がコンロッド2を介してクランクシャフト3に伝達されてクランクシャフト3を回転させる。
クランクケース5の下部にはガバナ機構10が設けられている。ガバナ機構10は、エンジン1の回転数の過剰な上昇を抑制する機構である。ガバナ機構10のガバナギヤ11(回転体)は、クランクケース5内において回転自在に設けられ、クランクシャフト3と一体回転するギヤ12と噛合しており、クランクシャフト3の回転に伴ってギヤ12を介して回転する。
ガバナギヤ11は、図1中、左側が開口し右側が閉塞する中空形状となっている。ガバナギヤ11の内部には、フライウェイト13がガバナギヤ11の回転軸を中心としてガバナギヤ11の周方向に複数配されており、フライウェイト13がガバナギヤ11と一体回転する。スリーブ14は、複数のフライウェイト13に支持されている。
エンジン1の回転数が上昇しフライウェイト13の一端部13aが遠心力によってスリーブ14の径方向外側に広がると、フライウェイト13の他端部13bに押圧されて、スリーブ14が図1中、左側に移動する。スリーブ14の先端は、不図示のスロットルバルブを開閉する開閉機構に当接しており、スリーブ14が図1中、左側に移動すると、スロットルバルブを閉じることで、エンジン1の回転数が過剰に上昇することを抑制する。
これらのピストン8、コンロッド2、クランクシャフト3、ギヤ12、および、ガバナギヤ11の潤滑や、ピストン8およびシリンダ7の冷却などの目的から、クランクケース5の底部にはオイルパン9が形成され、図1、図2中、クロスハッチングで示すように、オイルパン9に潤滑油が貯留されている。
図2に示すように、スクレーパ15は、コンロッド2の大端部2bと一体形成されており、ピストン8の往復移動に伴ってクランクシャフト3が回転すると、クランクシャフト3の回転に伴って、オイルパン9に貯留された潤滑油中に浸漬されたり、潤滑油の液面16上方に退避したりする。こうして、潤滑油がクランクケース5内に飛散することとなる。
エンジン1の潤滑および冷却をさらに効率的に遂行するため、エンジン1にはスクレーパ15の他に潤滑構造17を備える。以下、潤滑構造17について詳述する。
本実施形態の潤滑構造17は、ガバナギヤ11とガイドリブ18を備える。図1に示すように、ガバナギヤ11は、オイルパン9に貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態となっている。そして、オイルパン9の潤滑油が、ガバナギヤ11の回転によって掻き揚げられて、ガバナギヤ11とギヤ12との噛合部分に至る。
クランクシャフト3におけるクランクウェブ3bは、クランクシャフト3の回転軸方向における位置が、クランクピン3aとガバナギヤ11との間となる範囲に設けられており、ガバナギヤ11とギヤ12から飛散した潤滑油は、クランクシャフト3のクランクウェブ3bに向かう。そして、クランクウェブ3bに飛散した潤滑油の一部は、クランクウェブ3bの遠心力によってピストン8側に飛散し、ピストン8やシリンダ7を潤滑および冷却する。
また、クランクウェブ3bから飛散した潤滑油の一部は、図2に示すように、クランクケース5の内側の壁面に衝突して、壁面に沿ってシリンダ7側に向かって流れる。ここでは、クランクケース5の内側の壁面のうち潤滑油が飛散する内壁5aが、オイルパン9(下方)からシリンダ7(上方)に向かうにつれて、シリンダ7の径方向内側(図2中、左側)に近づく向きに傾斜している。すなわち、内壁5aは、クランクシャフト3の回転軸に垂直な断面(図2に示す断面)において、鉛直上側ほどシリンダ7側に向かって傾斜している(クランクケース5の内部が鉛直上側に向かって狭くなっている)ことから、潤滑油が効率的にシリンダ7側に導かれることとなる。
上記内壁5aには、ガイドリブ18が設けられている。ガイドリブ18は、図1に示すように、クランクシャフト3の回転中心とピストン8との間に位置している。詳細には、ガイドリブ18は、クランクシャフト3の回転軸方向に延在し、クランクシャフト3の回転軸方向においてシリンダ7が延在する範囲よりも広範囲に位置している。
また、ガイドリブ18は、図2に示すように、コンロッド2の揺動軌跡範囲の鉛直上方に位置しており、ガバナギヤ11から飛散してクランクケース5の内壁5aを伝う潤滑油を、コンロッド2に滴下させる。コンロッド2に滴下した潤滑油は、コンロッド2の揺動によってピストン8やシリンダ7に飛散する。
ガイドリブ18が設けられていない場合、図1に示すように、クランクウェブ3bからクランクシャフト3の径方向に飛散した潤滑油の一部は、図1中、左側に向かうことなくクランクケース5の内壁5aをクランクシャフト3の回転方向に流動して、オイルパン9に戻ってしまう。ここでは、ガイドリブ18を設けることで、図1中、潤滑油を左側に導き、コンロッド2に滴下させてピストン8やシリンダ7側に飛散させることで、潤滑油による潤滑および冷却の効果を向上させることが可能となる。
また、図1に示すように、ガイドリブ18のうち、潤滑油の滴下方向(図1、図2中、下側)の先端部18aは、図1中、左側ほど、滴下方向(鉛直下側)に向かう方向に傾斜している。換言すれば、先端部18aは、クランクシャフト3の回転軸方向における位置が、ガバナギヤ11側からコンロッド2側に近づくほど、クランクシャフト3の回転中心(コンロッド2とクランクシャフト3との連結部)に近づく方向に傾斜している。
そのため、ガイドリブ18に飛散した潤滑油は、重力に従って鉛直下側に滴下しながら、先端部18aに沿って、図1中、左側に移動する。その結果、潤滑油がクランクウェブ3bからクランクピン3a側に向かい易くなり、潤滑油をコンロッド2に滴下させてピストン8やシリンダ7側に飛散させることで、潤滑油による潤滑および冷却の効果を向上させることが可能となる。
また、エンジン1では、図2に白抜き矢印で示すように、ピストン8の径方向中心が、クランクシャフト3の回転軸中心Yに対して、図2中、左側にオフセットしている。このように、ピストン8とクランクシャフト3がオフセットして配置されているエンジン1では、スクレーパ15が図2中、右側に配置される結果、スクレーパ15がピストン8やシリンダ7から右側に離れてしまい、潤滑油がピストン8やシリンダ7に到達し難い。
このようなオフセット配置のエンジン1では、スクレーパ15だけでは不足しがちな潤滑油のピストン8やシリンダ7への供給量を、上記の潤滑構造17によって十分に確保でき、潤滑構造17を好適に適用可能となる。
また、不図示のシリンダヘッドにおいて排気ポートは、ピストン8の径方向中心よりも、図2中、右側に配置されている。その結果、ピストン8の径方向中心よりも、図2中、右側の方が左側よりも高温となる。ここでは、ガイドリブ18を、クランクケース5の内壁のうち、ピストン8の径方向中心を境にして排気ポート(図2中、右側)側の内壁5aに設けている。そのため、ガイドリブ18に飛散した潤滑油による冷却効果を向上することが可能となる。
図3は、図1のIII‐III線断面である。図3中、破線矢印は潤滑油の流れ方向を示す。図3では、理解を容易とするため、ピストン8およびコンロッド2の図示を省略している。図3に示すように、ガイドリブ18は、クランクシャフト3の回転軸方向のガバナギヤ11側ほど(先端側ほど)細く形成されている。すなわち、ガイドリブ18は、先細り形状となっている。そのため、例えば、ガイドリブ18をクランクケース5と鋳造などで一体形成する場合、ガイドリブ18を鋳型から取り出し易く、製造が容易に行える。
<第2実施形態>
以下、本発明を適用したエンジンの潤滑構造の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のエンジンは、例えば、ポータブル発電機に発電体の駆動用動力源として搭載される4ストロークOHC直立単気筒の空冷ガソリンエンジンである。
図4は、第2実施形態のエンジンの断面図であって、クランクシャフトの軸方向から見た図である。
図5は、第2実施形態のエンジンの断面図であって、シリンダ及びクランクシャフトの径方向(水平方向)から見た図である。
図6は、第2実施形態のエンジンのクランクケース上部の拡大断面図であって、クランクシャフトの軸方向から見た図である。
図6は、図1のIV部拡大図であって、図4のIV−IV部矢視図である。
図7は、図6のVII−VII部矢視断面図である。
エンジン100は、クランクケース110、シリンダ120、クランクシャフト130、ピストン140、コンロッド(コネクティングロッド)150、ガバナ機構160、オイル滴下部材170等を有して構成されている。
クランクケース110は、クランクシャフト130を収容する容器状の部分である。
クランクケース110は、メインベアリング111,112、オイル貯留部113、ガバナ機構基部114、側面部115、上面部116、ガイドリブ117等を有して構成されている。
メインベアリング111,112は、クランクシャフト130の両端部近傍に形成されたジャーナル部131,132をそれぞれ回転可能に支持する軸受である。
メインベアリング111,112は、クランクケース110にカップ状の凹部として形成されたハウジング部に、例えば圧入などによって取り付けられた図示しない転がり軸受を有する。
オイル貯留部113は、クランクケース110の下部に設けられ、エンジン100の潤滑油であるオイルが貯留される部分である。
オイル貯留部113内に貯留されるオイルの油面は、クランクシャフト130の回転時にクランクウェブ134,135等が干渉しない程度の間隔を隔ててクランクシャフト130に対向して配置さている。また、この油面は、ガバナ機構160のガバナギヤの一部がオイルに浸かり、かつクランクシャフト130の回転時にスクレーパ154がオイルを掻き上げることが可能なよう設定されている。
ガバナ機構基部114は、メインベアリング111の下方に設けられ、ガバナ機構160のガバナギヤ163等を、クランクケース110に対して、クランクシャフト130の回転中心軸と並行な軸回りに回動可能に支持するものである。
図4に示すように、側面部115は、クランクシャフト130の側方に配置されて上下方向にほぼ沿って延在する。
側面部115における上端部近傍の領域は、上方でクランクケース110の幅が狭まるように、鉛直方向に対して傾斜して配置されている。
上面部116は、シリンダ120の下端部から外径側に張り出して形成されている。側面部115の上端部は、上面部116の側端部に接続されている。
ガイドリブ117は、上面部116におけるシリンダ120に隣接する領域から下方に突出するとともに、クランクシャフト130の回転中心軸方向にほぼ沿って形成されている。
図5に示すように、ガイドリブ117が下方に突出する高さは、中央部において段状に変化し、中央部よりもメインベアリング111側のほうがメインベアリング112側よりも大きくなっている。
ガイドリブ117は、中央部において段状に突出量が変化するよう構成される結果、中央部にクランクシャフト130の回転中心軸と実質的に直交する平面状の端面117aが形成される。
端面117aは、クランクシャフト130の軸方向における位置が、シリンダ120の中心軸と隣接して配置される。
端面117aは、オイル滴下部材170の壁部171に実質的に突き当てた状態で配置される。この点については、後に詳しく説明する。
ガイドリブ117の端面117aよりもメインベアリング111側の領域においては、ガイドリブ117の下縁部は、端面117a側が低くなるように水平に対して傾斜して形成され、この領域でガイドリブ117に付着したオイルは、自重により端面117a側へ流下するように構成されている。
シリンダ120は、クランクケース110の上部から上方へ突出して形成された筒状の部分であって、その本体部はクランクケース110の上部と一体にアルミニウム系合金を鋳造後、所定の機械加工を施して形成されている。
シリンダ120のクランクケース110側とは反対側の端部は機械加工によって実質的に平面状に形成され、図示しないシリンダヘッドがヘッドガスケットを介して締結される。
シリンダヘッドは、燃焼室、吸排気ポート、吸排気バルブ、動弁駆動系、点火栓などを有して構成され、吸排気ポートには、キャブレタ等の混合気形成手段、及び、排気装置がそれぞれ接続される。
シリンダ120は、スリーブ121、チェーン室122、フィン123等を有する。
スリーブ121は、シリンダ120の内径側に挿入される円筒状の部材である。
スリーブ121は、例えば鋼系材料を鋳造した後にシリンダボア部等を機械加工して仕上げられ、シリンダ120の本体をクランクケース110とともにアルミニウム系合金によって鋳造する際に鋳込まれている。
スリーブ121の内周面であるシリンダボア面は、ピストン140のスカート部や各リングと摺動する摺動面部となっている。
スリーブ121の中心軸は、クランクシャフト130の回転中心軸に対して、水平方向における一方(図4における左側)にオフセットして配置されている。
チェーン室122は、シリンダ120内でスリーブ121の外径側の領域におけるメインベアリング111側に、シリンダ120の軸方向にほぼ沿って形成された空洞部である。
チェーン室122は、シリンダヘッドに設けられたカムシャフトをクランクシャフト130と同期して回転駆動するタイミングチェーンCの中間部が収容される部分である。
フィン123は、シリンダ120の冷却のため外面に突出して設けられ、シリンダ軸線方向に沿って複数配列されている。
フィン123には、クランクシャフト130の一方の端部に固定されたファンを有する図示しないブロワ装置が発生する冷却風が供給される。
クランクシャフト130は、エンジン100の出力軸となる回転軸であって、外部機器等との接続に用いられる両端部を除いた主要部分は、クランクケース110の内部に収容されている。
クランクシャフト130の回転中心軸(ジャーナル部131,132の中心軸)は、実質的に水平に配置されている。
クランクシャフト130は、ジャーナル部131,132、クランクピン133、クランクウェブ134,135、クランクスプロケット136、ガバナ駆動ギヤ137等を有して構成されている。
ジャーナル部131,132は、クランクシャフト130の両端部近傍に形成された軸部であって、クランクケース110のメインベアリング111,112によって回転可能に支持されている。
クランクピン133は、クランクシャフト130の中間部分に設けられ、ジャーナル部131,132に対して偏心して配置された軸部である。
クランクピン133には、コンロッド150の大端部151が揺動可能に連結される。
クランクピン133の外周面は、大端部151に形成された軸受面部によって支持され、この軸受面部にはオイル供給穴155からオイルが供給され、油膜が形成される。
クランクウェブ134,135は、クランクピン133とジャーナル部131,132とを連結するクランクアーム、及び、エンジン1の振動を抑制するため設けられるバランスウェイトを一体に形成した部分である。
バランスウェイトは、クランクアームに対してクランクシャフト130の回転中心軸を挟んだ反対側に張り出して形成されている。
クランクウェブ134は、ジャーナル部131とクランクピン133との間に設けられている。
クランクウェブ135は、ジャーナル部132とクランクピン133との間に設けられている。
クランクウェブ134には、後述するガバナギヤ163が掻き上げるオイル飛沫が付着する。なお、各図において、オイル飛沫のおおよその分布及び進行方向を破線矢印及び模式的な油滴シンボルによって図示し、符号Oを付す。
クランクウェブ134に付着したオイルは、遠心力によって再度飛散し、クランクケース110の側面部115や上面部116に付着する。
クランクスプロケット136は、タイミングチェーンCが巻き回され、クランクシャフト130からタイミングチェーンCに動力を伝達するものである。
クランクスプロケット136は、ジャーナル部131とクランクウェブ134との間に配置されている。
ガバナ駆動ギヤ137は、ガバナ機構160のガバナギヤ163と噛合わされ、クランクシャフト130からガバナ機構160へ動力を伝達するものである。
ガバナ駆動キア137は、クランクスプロケット136のクランクウェブ134側に隣接して配置される。
ピストン140は、シリンダ120のスリーブ121内に挿入され、シリンダ120の内部を往復運動する部材である。
ピストン140は、図示しないシリンダヘッドと対向して設けられ燃焼室の一部を構成する冠面、及び、冠面の外周縁部からクランクケース110側へ延在しスリーブ121の内周面と対向するスカート部を有する。
スカート部の冠面側の端部近傍には、ピストンリング、オイルリングなどがそれぞれ挿入されるリング溝が形成され、各リングが嵌め込まれている。
ピストン140は、ピストンピン141を介してコンロッド150の小端部152が揺動可能に連結されている。
コンロッド150は、クランクシャフト130のクランクピン133と、ピストン140のピストンピン141とを連結し、ピストン140の往復運動とクランクシャフト130の回転運動とを連動させる連結稈である。
コンロッド150は、大端部151、小端部152、連結部153、スクレーパ154、オイル供給穴155等を有する。
大端部151は、クランクピン133の外周面部を支持する軸受面部を有する。
大端部151は、クランクピン133の中心軸回りにクランクシャフト130に対して揺動可能に連結されている。
大端部151の小端部152側とは反対側の半部は、コンロッド150の本体部に対して別部品として構成され、本体部に締結固定されるキャップ部151aとなっている。
小端部152は、ピストンピン141が挿入される開口を有する。
小端部152は、ピストンピン141の中心軸回りにピストン140に対して揺動可能に連結されている。
連結部153は、大端部151と小端部152とを連結する部分である。
スクレーパ154は、大端部151のキャップ部151aの下端部から下方へ突出して形成され、クランクシャフト130の回転時にオイル貯留部113内のオイルを上方へ掻き上げる部材である。
オイル供給穴155は、図6等に示すように、大端部151の外表面部からクランクピン133を支持する軸受面部まで連通して形成された貫通孔である。
オイル供給穴155は、クランクピン133の径方向にほぼ沿って実質的にストレートに形成されている。
オイル供給穴155の入口部は、大端部151のガイドリブ117に近接する側の肩部に配置され、クランクシャフト130の回転時に、ガイドリブ117に近接しかつオイル滴下部材170の壁部171の直下を通過するよう構成されている。
オイル供給穴155の入口部は、上流側(大端部151の表面側)が拡径するようテーパ穴状に形成されている。
オイル供給穴155の入口部における直径は、例えば4乃至5mm程度に設定される。
オイル供給穴155の出口部は、クランクピン133を支持する軸受面に開口している。
ガバナ機構160は、エンジン100の回転速度増加に連動して図示しないスロットルバルブを閉方向へ駆動することによって、エンジン100の回転速度を所定の目標回転速度近傍に維持する遠心式調速機構である。
ガバナ機構160は、シャフト161、スリーブ162、ガバナギヤ163、ウェイト164等を有して構成されている。
シャフト161は、クランクケース110のガバナ機構基部114から突出して設けられた軸部である。
シャフト161は、クランクシャフト130の回転中心軸と実質的に平行に配置されている。
スリーブ162は、円筒状に形成され、内径側にシャフト161が挿入されている。
スリーブ162は、シャフト161に対して軸方向に相対移動可能とされている。
スリーブ162の動きは、図示しないガバナレバー及びガバナロッド等のリンク機構を介して、図示しないスロットルレバーに伝達される。
ガバナギヤ163は、シャフト161の外径側に同心に配置され、シャフト161の中心軸回りに回動可能とされた部材である。
ガバナギヤ163は、ガバナ機構基部114側と反対側が開口したカップ状に形成されるとともに、外周面部にはガバナ駆動ギヤ137と噛合うギヤが形成されている。
スリーブ162は、ガバナギヤ163の内径側に配置されている。
ガバナギヤ163の外周面の一部は、エンジン100の通常使用時において、オイル貯留部113に貯留されたオイルの油面より下方に配置されている。
ガバナギヤ163は、ガバナ駆動ギヤ137によって駆動されることにより、クランクシャフト130の回転速度と比例する回転速度で回転する。
ガバナギヤ163は、回転時にオイル貯留部113内のオイルをギヤ間の凹部によってすくい上げ、遠心力等により上方に飛沫として飛散させてクランクウェブ134等に付着させる。
ガバナギヤ163は、クランクウェブ134と協働して、本発明にいうオイル搬送手段として機能する。
ウェイト164は、ガバナギヤ163の内部に所定の回転軸回りに揺動可能に設けられるとともにガバナギヤ163とともに回転する部材である。
ウェイト164は、ガバナギヤ163の回転速度向上に応じて、遠心力によって重心が外径側に変位するように変位し、これと連動してスリーブ162をシャフト161の先端側へ変位させる。
オイル滴下部材170は、ガイドリブ117の下縁部を伝って流下するオイルを、コンロッド150の大端部151に設けられたオイル供給穴155の直上に滴下させるものである。
図8は、第2実施形態のエンジンにおけるオイル滴下部材の二面図である。
図8(a)は、エンジンへの固定時におけるクランクシャフト130の軸方向から見た図であり、図8(b)は、図8(a)のb−b部矢視図である。
オイル滴下部材170は、例えば鋼板等の板金部材を所定形状に打ち抜いた後に、曲げ加工を施すことによって、壁部171、締結部172、連結部173を一体に形成したものである。
壁部171は、クランクシャフト130の回転中心軸と直交する平面に実質的に沿って配置された平板状の部分である。
壁部171の一方の面部は、ガイドリブ117の端面117aと、各部品の寸法公差等に起因して不可避的に設けられる隙間を隔てて、実質的に突き当てて配置されている。
図6に示すように、壁部171の下部及びシリンダ120側とは反対側の側部は、クランクシャフト130の回転中心軸方向から見たときに、ガイドリブ117(及び端面117a)に対してそれぞれ下方及び側方に張り出して形成されている。
壁部171の端面117aと対向しない側の面部は、クランクケース110内に開放されている。これによって、壁部171の下端部まで達したオイルが再度壁部171を上って反対側のガイドリブ117に戻ることがないようになっている。
図8に示すように、壁部171の下部は、下窄みの逆三角形状に形成されている。
壁部171の下端部には、下方へ突起状に突出した突端部171aが形成されている。
突端部171aは、ガイドリブ117の端面117aの下端部に対して、例えば2mm以上突出していることが好ましい。
突端部171aに対してシリンダ側及び反シリンダ側に配置された壁部171の下縁部171b、171cは、図8(a)に示すように、エンジン100を水平に設置した状態において、水平に対してそれぞれ角度θ1、θ2だけ傾斜して配置されている。
ここで、角度θ1、θ2は、エンジン100の使用時に想定される最大傾斜角よりも大きく設定されている。
その結果、突端部171aは、エンジン100の使用中、常時壁部171の最下端部に位置するようになっている。
壁部171は、その厚さ方向の中央部におけるクランクシャフト130の軸方向における位置が、コンロッド150のオイル供給穴155の中央部と実質的に一致するように配置され、クランクシャフト130の回転時にオイル供給穴155の中心が突端部117aの直下を通過するように配置されている。
ここで、突端部117aは、クランクシャフト130の回転時にコンロッド150と干渉しない範囲内において、極力オイル供給穴155の入口部の移動軌跡に近付けて配置することが好ましい。
壁部171の厚さは、オイル供給穴155の直径よりも小さいことが好ましく、特にオイル供給穴155の入口部の直径に対して1/3乃至1/5程度とすることが好ましい。
第2実施形態においては、壁部171の板厚を例えば1mm程度に設定している。
締結部172は、例えばビス等の機械的締結手段によってクランクケース110の内面に締結される部分である。
締結部172は、壁部171と実質的に平行な平板状に形成され、クランクシャフト130の軸方向における位置がメインベアリング112側にオフセットして配置されている。
連結部173は、壁部171の上端部と締結部172の上端部との間を連結する帯板状の部分であって、クランクシャフト130の軸方向にほぼ沿って延在している。
壁部171、締結部172は、連結部173の両端部から下方に張り出して形成されている。
連結部173は、ガイドリブ117における端面117aよりもメインベアリング112側の領域の下縁部に実質的に沿って配置されている。
以下、第2実施形態の効果を、以下説明する本発明の比較例と対比して説明する。
比較例の説明において、第2実施形態と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図9は、本発明の比較例であるエンジンのクランクケース上部の拡大断面図であって、クランクシャフトの軸方向から見た図である。
図10は、図9のX−X部矢視断面図である。
比較例のエンジン100においては、オイル滴下部材170は設けられておらず、ガイドリブ117は、端面117aを持たず、全長にわたってほぼ一定の断面形状を有している。
比較例においては、スクレーパ154が掻き上げたオイル飛沫がシリンダ120の内部に侵入し、スリーブ121とピストン140との摺動面やピストンピン141と小端部152との摺動面等を潤滑する。
また、ガバナギヤ163が飛沫状に掻き上げたオイルは、クランクウェブ134の表面に一旦付着し、その後遠心力によってクランクウェブ134からクランクケース110の側面部115及び上面部116まで飛散する。
クランクケース110の側面部115及び上面部116に付着したオイルの一部は、壁面に沿って流れ、ガイドリブ117に達する。
ガイドリブ117に達したオイルは、自重によって流下し、ガイドリブ117の下縁部に沿ってシリンダ120のセンター側へ(図10における左側から右側へ)流れつつ、ガイドリブ117の各所から下方へ滴下する。
ガイドリブ117から滴下したオイルの一部は、コンロッド150のオイル供給穴155に流入し、クランクピン133を支持する軸受面の潤滑(油膜形成)に利用される。
上述した比較例においては、ガイドリブ117からのオイル滴下箇所がランダムかつ広範囲に分布しており、ガイドリブ117からオイル供給穴155へのオイル滴下量が少なく、クランクピン133の表面部の油膜切れが生じるなどして潤滑状態が悪化し、凝着摩耗(いわゆるかじり)等の損傷が発生することが懸念される。
これに対し、第2実施形態においては、ガイドリブ117の下縁部を伝って流下し、端面117a近傍まで到達したオイルの実質的に全量がオイル滴下部材170の壁部171に沿って流下し、突端部171aから鉛直方向下方に滴下する。
一方、コンロッド150のオイル供給穴155の入口部は、クランクシャフト130の一回転ごとに必ず突端部171aの直下を通過することから、突端部171aから滴下されるオイルは比較例に対して高い確率でオイル供給穴155に入り、クランクピン133を支持する軸受面に供給される。
これによって、クランクピン133の潤滑状態が改善し、かじり等の発生を防止して耐久性、信頼性を確保することができる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ガバナギヤ163及びクランクウェブ134によってガイドリブ117に供給されたオイルを、オイル滴下部材170の壁部171から下方へ滴下させることによって、ガイドリブ117の下縁部を伝って流れるオイルの一部をコンロッド150のオイル供給穴155の直上に滴下させることができる。
これにより、高い確率でオイル供給穴155に導入されるため、簡単な構成によってクランクピン133の軸受部へのオイル供給量を増加させることができ、クランクピン133の潤滑状態を改善することができる。
(2)オイル滴下部材170がガイドリブ117の端面117aが突き当てられ、かつ、ガイドリブ117に対して下方に張り出した壁部171を有するため、ガイドリブ117を伝って流れるオイルを壁部171が堰き止めることにより、オイルの滴下量をさらに増加して上述した効果を確実に得ることができる。
(3)壁部171における突端部171aと隣接する下縁部171b、171cを、エンジン100の最大傾斜角以上に傾斜させて形成したことによって、エンジン100の使用時に傾斜が生じた場合であっても、オイル滴下部材170を流下するオイルを確実に突端部171aに案内することが可能となり、オイル供給穴155にオイルを適切に滴下させることができる。
(4)壁部171の厚さをオイル供給穴155の入口部の直径に対して小さくしたため、オイルが滴下される範囲をオイル供給穴155の入口部に対して小さい範囲に集約させることによって、より高い確率でオイル供給穴155にオイルを滴下させることができる。
(5)ガイドリブ117をクランクケース110と一体に形成し、オイル滴下部材170を板金製の別部品とすることによって、鋳造及び機械加工によりクランクケース110を形成する際の工程を煩雑化させることなく、容易な製造工程により上述した効果を得ることができる。
<変形例>
上述した第1実施形態では、ガイドリブ18は、クランクシャフト3の回転軸方向に延在し、クランクシャフト3の回転軸方向においてシリンダ7が延在する範囲よりも広範囲に位置している場合について説明した。しかし、ガイドリブ18は、少なくともコンロッド2に連結されるクランクピン3aまでクランクシャフト3の回転軸方向に延在していればよい。
ただし、ガイドリブ18は、少なくともクランクウェブ3bからクランクピン3aに亘って、クランクシャフト3の回転軸方向に延在していれば、クランクウェブ3bから飛散した潤滑油をクランクピン3a側に導き、ピストン8やシリンダ7側にさらに飛散させて、潤滑および冷却の効果を向上させることが可能となる。
また、上述した第1実施形態では、オイルパン9に貯留される潤滑油に一部が浸漬された回転体がガバナギヤ11である場合について説明したが、ガバナギヤ11とは別に、オイルパン9に貯留される潤滑油に一部が浸漬された回転体を設けてもよい。ただし、ガバナギヤ11を回転体として用いることで、新たに回転体を設ける必要がなく、部品点数を削減してコストを低減できる。
また、上述した第1実施形態では、ピストン8の径方向中心Xが、クランクシャフト3の回転軸中心Yに対してオフセットしている場合について説明したが、ピストン8の径方向中心は、図2中、左右方向の位置が、クランクシャフト3の回転軸中心Xと同じであってもよい。
また、上述した第1実施形態では、ガイドリブ18は、クランクケース5の内壁のうち、ピストン8の径方向中心を境にして排気ポート側に設けられる場合について説明したが、ガイドリブ18は、ガバナギヤ11からの潤滑油の飛散方向に位置する内壁に設けられていればよい。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
(1)エンジンの構成や用途は、上述した実施形態に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、実施形態のエンジンはOHCの単気筒エンジンであるが、OHVのエンジンや複数気筒を有するエンジンにも本発明を適用することが可能である。
さらに、ガソリン以外の燃料を用いる4ストロークエンジンにも本発明を適用することが可能である。
(2)実施形態のエンジンは一例としてポータブル発電機に搭載されるものであるが、例えばポンプ、建設機械、ガーデニング機器、車両等、他のセット機器に組み合わされるエンジンにも本発明を適用することが可能である。
(3)実施形態のエンジンはシリンダが実質的に直立して配置されているが、シリンダがクランクシャフトに対して斜め上方側に配置されたエンジンにも本発明を適用することが可能である。
(4)実施形態において、オイル滴下部材は、例えば板金製の部材として構成しているが、これに限らず、樹脂系材料のインジェクション成形品としてもよい。また、製造上可能であればオイル滴下部材をクランクケースと一体に形成してもよい。
(5)本発明は、クランクシャフトの回転中心軸に対してシリンダ軸線がオフセットされたエンジンに好適であるが、このようなオフセットがないエンジン(クランクシャフトの回転中心軸とシリンダ軸線とが実質的に一点で交差するエンジン)にも適用することは可能である。
本発明は、クランクケース内に潤滑油を飛散させるエンジンの潤滑構造に利用できる。
1 エンジン(第1実施形態) 2 コンロッド
2a 小端部(一端) 2b 大端部(他端)
3 クランクシャフト 3a クランクピン(連結部)
3b クランクウェブ 5 クランクケース
5a 内壁 8 ピストン
9 オイルパン 10 ガバナ機構
11 ガバナギヤ(回転体) 17 潤滑構造
18 ガイドリブ 18a 先端部
100 エンジン(第2実施形態) 110 クランクケース
111,112 メインベアリング 113 オイル貯留部
114 ガバナ機構基部 115 側面部
116 上面部 117 ガイドリブ
117a 端面 120 シリンダ
121 スリーブ 122 チェーン室
C タイミングチェーン 123 フィン
130 クランクシャフト 131,132 ジャーナル部
133 クランクピン 134,135 クランクウェブ
136 クランクスプロケット 137 ガバナ駆動ギヤ
140 ピストン 141 ピストンピン
150 コンロッド 151 大端部
151a キャップ部 152 小端部
153 連結部 154 スクレーパ
155 オイル供給穴 160 ガバナ機構
161 シャフト 162 スリーブ
163 ガバナギヤ 164 ウェイト
170 オイル滴下部材 171 壁部
171a 突端部 171b,171c 下縁部
172 締結部 173 連結部

Claims (11)

  1. ピストンと、
    前記ピストンに一端が連結されたコンロッドと、
    前記コンロッドの他端が連結されたクランクシャフトと、
    前記クランクシャフトが回転自在に収容され、底部に潤滑油が貯留されるオイルパンが形成されたクランクケースと、
    前記クランクケースのオイルパンに貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態で回転自在に設けられ、回転によって該潤滑油を該クランクケース内に飛散させる回転体と、
    前記クランクシャフトの回転中心と前記ピストンとの間であって、少なくとも前記コンロッドと該クランクシャフトが連結される連結部まで該クランクシャフトの回転軸方向に延在して設けられ、前記回転体から飛散して前記クランクケースの内壁を伝う潤滑油を、前記コンロッドに滴下させるガイドリブと、
    を備えたことを特徴とするエンジンの潤滑構造。
  2. 前記ガイドリブのうち、前記潤滑油の滴下方向の先端部は、前記クランクシャフトの回転軸方向における位置が、前記回転体側から前記コンロッド側に近づくほど、該クランクシャフトの回転中心に近づく方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの潤滑構造。
  3. 前記ピストンの径方向中心は、前記クランクシャフトの回転軸中心に対してオフセットしていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの潤滑構造。
  4. 前記ガイドリブは、前記クランクケースの内壁のうち、前記ピストンの径方向中心を境にして排気ポート側に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
  5. 前記クランクシャフトは、回転軸方向における位置が、前記連結部と前記回転体との間となる範囲に設けられるクランクウェブを備え、
    前記ガイドリブは、少なくとも前記クランクウェブから前記連結部に亘って、該クランクシャフトの回転軸方向に延在していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
  6. 前記回転体は、エンジンの回転数の過剰な上昇を抑制するガバナ機構のギヤであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
  7. クランクシャフトを収容するクランクケースと、
    前記クランクケースから上方へ突出して配置されたシリンダと、
    前記シリンダに挿入されるピストンと、
    前記ピストンに設けられるピストンピン及び前記クランクシャフトに設けられるクランクピンを連結するコンロッドと、
    前記コンロッドの外表面部に設けられた入口部から前記クランクピンを支持する軸受面にオイルを導入するオイル供給穴と
    を備えるエンジンの潤滑構造であって、
    前記クランクケースの上面部から下方に突出するとともに前記クランクシャフトの軸方向にほぼ沿って延在するガイドリブと、
    前記クランクシャフトの回転に応じて前記クランクケース下部に貯留されたオイルを前記クランクケースの上面部に掻き上げて前記ガイドリブに供給するオイル搬送手段と、
    前記ガイドリブの一部から下方に突出して形成され、下端に設けられた突端部が前記クランクシャフトの回転時に前記オイル供給穴の前記入口部が通過する軌跡に対して鉛直方向上方に配置され、前記ガイドリブを伝って流れるオイルを前記オイル供給穴に滴下させるオイル滴下部材と
    を備えることを特徴とするエンジンの潤滑構造。
  8. 前記オイル滴下部材は、前記クランクシャフトの軸方向における位置が前記オイル供給穴の前記入口部と一致する箇所に配置されかつ前記ガイドリブから少なくとも下方に張り出して形成された壁部を有し、
    前記ガイドリブは、前記オイル滴下部材の前記壁部の一方の面部に実質的に突き当てて配置された端面を有すること
    を特徴とする請求項7に記載のエンジンの潤滑構造。
  9. 前記オイル滴下部材の前記突端部に隣接する端縁部は、前記エンジンの使用時に想定される最大傾斜角まで傾斜した場合であっても前記突端部が前記オイル滴下部材の最下部に位置するよう前記エンジンの非傾斜時における水平方向に対して傾斜して配置されること
    を特徴とする請求項7又は請求項8に記載のエンジンの潤滑構造。
  10. 前記クランクシャフトの軸方向における前記オイル滴下部材の前記突端部近傍における厚さを、前記オイル供給穴の前記入口部の直径に対して小さくしたこと
    を特徴とする請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
  11. 前記ガイドリブは前記クランクケースと一体に形成され、
    前記オイル滴下部材は、前記クランクケースとは別部品として形成され前記クランクケースに固定されること
    を特徴とする請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
JP2015203397A 2015-10-15 2015-10-15 潤滑構造 Pending JP2017075565A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015203397A JP2017075565A (ja) 2015-10-15 2015-10-15 潤滑構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015203397A JP2017075565A (ja) 2015-10-15 2015-10-15 潤滑構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017075565A true JP2017075565A (ja) 2017-04-20

Family

ID=58551187

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015203397A Pending JP2017075565A (ja) 2015-10-15 2015-10-15 潤滑構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017075565A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111396443A (zh) * 2020-05-11 2020-07-10 重庆宗申通用动力机械有限公司 一种发动机连杆
CN111502982A (zh) * 2020-04-29 2020-08-07 泉州市朗利工业设计有限公司 一种耐腐蚀化工泵的连接结构
CN114245640A (zh) * 2021-12-16 2022-03-25 安徽庆宇光电科技有限公司 一种可展开式机箱结构及其空气质量检测仪

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111502982A (zh) * 2020-04-29 2020-08-07 泉州市朗利工业设计有限公司 一种耐腐蚀化工泵的连接结构
CN111396443A (zh) * 2020-05-11 2020-07-10 重庆宗申通用动力机械有限公司 一种发动机连杆
CN111396443B (zh) * 2020-05-11 2024-05-28 重庆宗申通用动力机械有限公司 一种发动机连杆
CN114245640A (zh) * 2021-12-16 2022-03-25 安徽庆宇光电科技有限公司 一种可展开式机箱结构及其空气质量检测仪

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100216246B1 (ko) 4 사이클 엔진의 윤활장치
US8281758B2 (en) Engine lubrication method
JP2002534629A (ja) 機械効率と省燃料化と汚染制御とに優れた低コストで新規な内燃機関
JPH10131733A (ja) エンジンの動弁機構潤滑装置
JP2017075565A (ja) 潤滑構造
JP4934589B2 (ja) レシプロ/ロータリーピストンエンジン
CN101832252B (zh) 汽车水冷空气压缩机
CN201671797U (zh) 汽车水冷空气压缩机
US8813715B2 (en) Vertical engine
GB2572253A (en) Main bearing for crankshaft of internal combustion engine
WO2007132847A1 (ja) 内燃機関
US20150000633A1 (en) Vertical and Horizontal Engine
JP2000045747A (ja) エンジンのブリーザ装置
JP2014228020A (ja) 内燃機関のバランサボディ
CN201367927Y (zh) 四冲程强制润滑通用汽油发动机
US8763569B2 (en) Vertical, multi-link, adjustable-stroke type engine
US8701623B2 (en) Multi-link, adjustable-stroke type engine
JP2019215039A (ja) 内燃機関の潤滑構造
JPH08177441A (ja) Ohc型エンジンの潤滑装置
US20070137597A1 (en) Valve-operating mechanism
JP5814744B2 (ja) エンジン
JP2009062996A (ja) 機械効率と省燃料化と汚染制御とに優れた低コストで新規な内燃機関
JP4443214B2 (ja) エンジンのコンロッド大端部周りの潤滑構造
JP2006177270A (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP2016138491A (ja) 潤滑構造