JP2016138491A - 潤滑構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルパンの潤滑油を効率的に飛散させる。
【解決手段】エンジン1の潤滑構造17は、ピストン8と、ピストンに小端部2aが連結されたコンロッド2と、コンロッドの大端部が連結されたクランクシャフト3と、クランクシャフトが回転自在に収容され、底部に潤滑油が貯留されるオイルパン9が形成されたクランクケース5と、クランクケースのオイルパンに貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態で回転自在に設けられ、回転によって潤滑油をクランクケース内に飛散させる回転体(ガバナギヤ11)と、クランクシャフトの回転中心とピストンとの間であって、コンロッドとクランクシャフトが連結される連結部(クランクピン3a)までクランクシャフトの回転軸方向に延在して設けられ、ガバナギヤから飛散してクランクケースの内壁5aを伝う潤滑油を、コンロッドに滴下させるガイドリブ18と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランクケース内に潤滑油を飛散させるエンジンの潤滑構造に関する。
エンジンにおいては、潤滑油によってエンジン内部の潤滑および冷却がなされている。例えば、特許文献1、2に記載のエンジンでは、クランクケース内にはオイルパンが形成されており、クランクシャフトの回転力を利用してスクレーパを回動させてオイルパンに貯留された潤滑油を掻き揚げ、ピストン、コンロッド、クランクシャフトなどのエンジンの構成部材に飛散させる。
また、特許文献3に記載のエンジンでは、カム軸のギヤを介してクランクシャフトと連結されたギヤが、オイルパンの潤滑油に一部浸漬されており、ギヤが回転することで潤滑油を掻き揚げる構成となっている。
実開昭59−160805号公報 実開昭61−122312号公報 実開昭57−10405号公報
上記の特許文献3に記載のように、オイルパンの潤滑油に一部が浸漬された回転体を回転させることで潤滑油を飛散させる構成において、クランクシャフトやピストンに対する回転体の位置によっては、潤滑油の多くがクランクケースの内壁に付着してそのままオイルパンまで滴下してしまい、ピストンやコンロッドへの潤滑油の供給量が低下してしまうおそれがある。そのため、潤滑油による潤滑および冷却の効率を向上する技術の開発が希求されている。
そこで、本発明は、オイルパンの潤滑油を効率的に飛散させることができる潤滑構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のエンジンの潤滑構造は、ピストンと、ピストンに一端が連結されたコンロッドと、コンロッドの他端が連結されたクランクシャフトと、クランクシャフトが回転自在に収容され、底部に潤滑油が貯留されるオイルパンが形成されたクランクケースと、クランクケースのオイルパンに貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態で回転自在に設けられ、回転によって潤滑油をクランクケース内に飛散させる回転体と、クランクシャフトの回転中心とピストンとの間であって、少なくともコンロッドとクランクシャフトが連結される連結部までクランクシャフトの回転軸方向に延在して設けられ、回転体から飛散してクランクケースの内壁を伝う潤滑油を、コンロッドに滴下させるガイドリブと、を備えたことを特徴とする。
ガイドリブのうち、潤滑油の滴下方向の先端部は、クランクシャフトの回転軸方向における位置が、回転体側からコンロッド側に近づくほど、クランクシャフトの回転中心に近づく方向に傾斜していてもよい。
ピストンの径方向中心は、クランクシャフトの回転軸中心に対してオフセットしていてもよい。
ガイドリブは、クランクケースの内壁のうち、ピストンの径方向中心を境にして排気ポート側に設けられてもよい。
クランクシャフトは、回転軸方向における位置が、連結部と回転体との間となる範囲に設けられるクランクウェブを備え、ガイドリブは、少なくともクランクウェブから連結部に亘って、クランクシャフトの回転軸方向に延在していてもよい。
回転体は、エンジンの回転数の過剰な上昇を抑制するガバナ機構のギヤであってもよい。
本発明によれば、オイルパンの潤滑油を効率的に飛散させることができる。
エンジンの潤滑構造を説明するための概略断面図である。 図1のII‐II線断面である。 図1のIII‐III線断面である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、エンジン1を説明するための概略断面図であり、図2は、図1のII‐II線断面である。ここでは、理解を容易とするため、図2ではクランクシャフト3および後述するガバナ機構10の一部の図示を省略する。図1、図2中、破線矢印は潤滑油の流れ方向を示す。
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロック4とクランクケース5とが一体に形成された筐体6を有する。シリンダブロック4の内部にはシリンダ7が形成されており、シリンダ7内にピストン8が収容されている。クランクケース5の内部にはクランクシャフト3が回転自在に収容されている。
シリンダブロック4のうち、図1中、上側にはシリンダヘッド(不図示)が配され、シリンダ7内において、シリンダヘッドおよびピストン8で囲繞された空間が燃焼室となり、燃焼室内で燃料の燃焼が行われる。
ピストン8には、図2に示すコンロッド2の小端部2a(一端)が連結されており、コンロッド2の大端部2b(他端)には、図1に示すクランクシャフト3のクランクピン3a(連結部)が連結されている。燃焼室で燃料が燃焼し、その膨張圧を受けてピストン8がシリンダ7内を往復移動すると、ピストン8の動力がコンロッド2を介してクランクシャフト3に伝達されてクランクシャフト3を回転させる。
クランクケース5の下部にはガバナ機構10が設けられている。ガバナ機構10は、エンジン1の回転数の過剰な上昇を抑制する機構である。ガバナ機構10のガバナギヤ11(回転体)は、クランクケース5内において回転自在に設けられ、クランクシャフト3と一体回転するギヤ12と噛合しており、クランクシャフト3の回転に伴ってギヤ12を介して回転する。
ガバナギヤ11は、図1中、左側が開口し右側が閉塞する中空形状となっている。ガバナギヤ11の内部には、フライウェイト13がガバナギヤ11の回転軸を中心としてガバナギヤ11の周方向に複数配されており、フライウェイト13がガバナギヤ11と一体回転する。スリーブ14は、複数のフライウェイト13に支持されている。
エンジン1の回転数が上昇しフライウェイト13の一端部13aが遠心力によってスリーブ14の径方向外側に広がると、フライウェイト13の他端部13bに押圧されて、スリーブ14が図1中、左側に移動する。スリーブ14の先端は、不図示のスロットルバルブを開閉する開閉機構に当接しており、スリーブ14が図1中、左側に移動すると、スロットルバルブを閉じることで、エンジン1の回転数が過剰に上昇することを抑制する。
これらのピストン8、コンロッド2、クランクシャフト3、ギヤ12、および、ガバナギヤ11の潤滑や、ピストン8およびシリンダ7の冷却などの目的から、クランクケース5の底部にはオイルパン9が形成され、図1、図2中、クロスハッチングで示すように、オイルパン9に潤滑油が貯留されている。
図2に示すように、スクレーパ15は、コンロッド2の大端部2bと一体形成されており、ピストン8の往復移動に伴ってクランクシャフト3が回転すると、クランクシャフト3の回転に伴って、オイルパン9に貯留された潤滑油中に浸漬されたり、潤滑油の液面16上方に退避したりする。こうして、潤滑油がクランクケース5内に飛散することとなる。
エンジン1の潤滑および冷却をさらに効率的に遂行するため、エンジン1にはスクレーパ15の他に潤滑構造17を備える。以下、潤滑構造17について詳述する。
本実施形態の潤滑構造17は、ガバナギヤ11とガイドリブ18を備える。図1に示すように、ガバナギヤ11は、オイルパン9に貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態となっている。そして、オイルパン9の潤滑油が、ガバナギヤ11の回転によって掻き揚げられて、ガバナギヤ11とギヤ12との噛合部分に至る。
クランクシャフト3におけるクランクウェブ3bは、クランクシャフト3の回転軸方向における位置が、クランクピン3aとガバナギヤ11との間となる範囲に設けられており、ガバナギヤ11とギヤ12から飛散した潤滑油は、クランクシャフト3のクランクウェブ3bに向かう。そして、クランクウェブ3bに飛散した潤滑油の一部は、クランクウェブ3bの遠心力によってピストン8側に飛散し、ピストン8やシリンダ7を潤滑および冷却する。
また、クランクウェブ3bから飛散した潤滑油の一部は、図2に示すように、クランクケース5の内側の壁面に衝突して、壁面に沿ってシリンダ7側に向かって流れる。ここでは、クランクケース5の内側の壁面のうち潤滑油が飛散する内壁5aが、オイルパン9(下方)からシリンダ7(上方)に向かうにつれて、シリンダ7の径方向内側(図2中、左側)に近づく向きに傾斜している。すなわち、内壁5aは、クランクシャフト3の回転軸に垂直な断面(図2に示す断面)において、鉛直上側ほどシリンダ7側に向かって傾斜している(クランクケース5の内部が鉛直上側に向かって狭くなっている)ことから、潤滑油が効率的にシリンダ7側に導かれることとなる。
上記内壁5aには、ガイドリブ18が設けられている。ガイドリブ18は、図1に示すように、クランクシャフト3の回転中心とピストン8との間に位置している。詳細には、ガイドリブ18は、クランクシャフト3の回転軸方向に延在し、クランクシャフト3の回転軸方向においてシリンダ7が延在する範囲よりも広範囲に位置している。
また、ガイドリブ18は、図2に示すように、コンロッド2の揺動軌跡範囲の鉛直上方に位置しており、ガバナギヤ11から飛散してクランクケース5の内壁5aを伝う潤滑油を、コンロッド2に滴下させる。コンロッド2に滴下した潤滑油は、コンロッド2の揺動によってピストン8やシリンダ7に飛散する。
ガイドリブ18が設けられていない場合、図1に示すように、クランクウェブ3bからクランクシャフト3の径方向に飛散した潤滑油の一部は、図1中、左側に向かうことなくクランクケース5の内壁5aをクランクシャフト3の回転方向に流動して、オイルパン9に戻ってしまう。ここでは、ガイドリブ18を設けることで、図1中、潤滑油を左側に導き、コンロッド2に滴下させてピストン8やシリンダ7側に飛散させることで、潤滑油による潤滑および冷却の効果を向上させることが可能となる。
また、図1に示すように、ガイドリブ18のうち、潤滑油の滴下方向(図1、図2中、下側)の先端部18aは、図1中、左側ほど、滴下方向(鉛直下側)に向かう方向に傾斜している。換言すれば、先端部18aは、クランクシャフト3の回転軸方向における位置が、ガバナギヤ11側からコンロッド2側に近づくほど、クランクシャフト3の回転中心(コンロッド2とクランクシャフト3との連結部)に近づく方向に傾斜している。
そのため、ガイドリブ18に飛散した潤滑油は、重力に従って鉛直下側に滴下しながら、先端部18aに沿って、図1中、左側に移動する。その結果、潤滑油がクランクウェブ3bからクランクピン3a側に向かい易くなり、潤滑油をコンロッド2に滴下させてピストン8やシリンダ7側に飛散させることで、潤滑油による潤滑および冷却の効果を向上させることが可能となる。
また、エンジン1では、図2に白抜き矢印で示すように、ピストン8の径方向中心が、クランクシャフト3の回転軸中心Yに対して、図2中、左側にオフセットしている。このように、ピストン8とクランクシャフト3がオフセットして配置されているエンジン1では、スクレーパ15が図2中、右側に配置される結果、スクレーパ15がピストン8やシリンダ7から右側に離れてしまい、潤滑油がピストン8やシリンダ7に到達し難い。
このようなオフセット配置のエンジン1では、スクレーパ15だけでは不足しがちな潤滑油のピストン8やシリンダ7への供給量を、上記の潤滑構造17によって十分に確保でき、潤滑構造17を好適に適用可能となる。
また、不図示のシリンダヘッドにおいて排気ポートは、ピストン8の径方向中心よりも、図2中、右側に配置されている。その結果、ピストン8の径方向中心よりも、図2中、右側の方が左側よりも高温となる。ここでは、ガイドリブ18を、クランクケース5の内壁のうち、ピストン8の径方向中心を境にして排気ポート(図2中、右側)側の内壁5aに設けている。そのため、ガイドリブ18に飛散した潤滑油による冷却効果を向上することが可能となる。
図3は、図1のIII‐III線断面である。図3中、破線矢印は潤滑油の流れ方向を示す。図3では、理解を容易とするため、ピストン8およびコンロッド2の図示を省略している。図3に示すように、ガイドリブ18は、クランクシャフト3の回転軸方向のガバナギヤ11側ほど(先端側ほど)細く形成されている。すなわち、ガイドリブ18は、先細り形状となっている。そのため、例えば、ガイドリブ18をクランクケース5と鋳造などで一体形成する場合、ガイドリブ18を鋳型から取り出し易く、製造が容易に行える。
上述した実施形態では、ガイドリブ18は、クランクシャフト3の回転軸方向に延在し、クランクシャフト3の回転軸方向においてシリンダ7が延在する範囲よりも広範囲に位置している場合について説明した。しかし、ガイドリブ18は、少なくともコンロッド2に連結されるクランクピン3aまでクランクシャフト3の回転軸方向に延在していればよい。
ただし、ガイドリブ18は、少なくともクランクウェブ3bからクランクピン3aに亘って、クランクシャフト3の回転軸方向に延在していれば、クランクウェブ3bから飛散した潤滑油をクランクピン3a側に導き、ピストン8やシリンダ7側にさらに飛散させて、潤滑および冷却の効果を向上させることが可能となる。
また、上述した実施形態では、オイルパン9に貯留される潤滑油に一部が浸漬された回転体がガバナギヤ11である場合について説明したが、ガバナギヤ11とは別に、オイルパン9に貯留される潤滑油に一部が浸漬された回転体を設けてもよい。ただし、ガバナギヤ11を回転体として用いることで、新たに回転体を設ける必要がなく、部品点数を削減してコストを低減できる。
また、上述した実施形態では、ピストン8の径方向中心Xが、クランクシャフト3の回転軸中心Yに対してオフセットしている場合について説明したが、ピストン8の径方向中心は、図2中、左右方向の位置が、クランクシャフト3の回転軸中心Xと同じであってもよい。
また、上述した実施形態では、ガイドリブ18は、クランクケース5の内壁のうち、ピストン8の径方向中心を境にして排気ポート側に設けられる場合について説明したが、ガイドリブ18は、ガバナギヤ11からの潤滑油の飛散方向に位置する内壁に設けられていればよい。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
本発明は、クランクケース内に潤滑油を飛散させるエンジンの潤滑構造に利用できる。
1 エンジン
2 コンロッド
2a 小端部(一端)
2b 大端部(他端)
3 クランクシャフト
3a クランクピン(連結部)
3b クランクウェブ
5 クランクケース
5a 内壁
8 ピストン
9 オイルパン
10 ガバナ機構
11 ガバナギヤ(回転体)
17 潤滑構造
18 ガイドリブ
18a 先端部

Claims (6)

  1. ピストンと、
    前記ピストンに一端が連結されたコンロッドと、
    前記コンロッドの他端が連結されたクランクシャフトと、
    前記クランクシャフトが回転自在に収容され、底部に潤滑油が貯留されるオイルパンが形成されたクランクケースと、
    前記クランクケースのオイルパンに貯留される潤滑油に一部が浸漬された状態で回転自在に設けられ、回転によって該潤滑油を該クランクケース内に飛散させる回転体と、
    前記クランクシャフトの回転中心と前記ピストンとの間であって、少なくとも前記コンロッドと該クランクシャフトが連結される連結部まで該クランクシャフトの回転軸方向に延在して設けられ、前記回転体から飛散して前記クランクケースの内壁を伝う潤滑油を、前記コンロッドに滴下させるガイドリブと、
    を備えたことを特徴とするエンジンの潤滑構造。
  2. 前記ガイドリブのうち、前記潤滑油の滴下方向の先端部は、前記クランクシャフトの回転軸方向における位置が、前記回転体側から前記コンロッド側に近づくほど、該クランクシャフトの回転中心に近づく方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの潤滑構造。
  3. 前記ピストンの径方向中心は、前記クランクシャフトの回転軸中心に対してオフセットしていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの潤滑構造。
  4. 前記ガイドリブは、前記クランクケースの内壁のうち、前記ピストンの径方向中心を境にして排気ポート側に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
  5. 前記クランクシャフトは、回転軸方向における位置が、前記連結部と前記回転体との間となる範囲に設けられるクランクウェブを備え、
    前記ガイドリブは、少なくとも前記クランクウェブから前記連結部に亘って、該クランクシャフトの回転軸方向に延在していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
  6. 前記回転体は、エンジンの回転数の過剰な上昇を抑制するガバナ機構のギヤであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108194160A (zh) * 2017-12-28 2018-06-22 金华市隆泰动力有限公司 发动机缸内的拨油润滑机构

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