以下、電子メールシステムの一実施形態について、図1〜図23に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態に係る電子メールシステム100が概略的に示されている。
本実施形態の電子メールシステム100は、図1に示すように、処理装置としてのサーバ10と、クライアント20と、を備える。サーバ10とクライアント20は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワーク80に接続されている。この電子メールシステム100は、クライアント20においてブラウザ上に表示されるWEBメールの画面(サーバ10から提供)内で利用者が入力や操作を行うことで、クライアント20間における電子メールのやり取りを可能にするシステムである。なお、本実施形態では、あるクライアント20の利用者が他のクライアントの利用者に対して電子メールを送信する場合、予め定められた承認者(上司等)による電子メールのチェックが行われるものとする。そして、承認者によって電子メールの送信が承認された場合にのみ、電子メールが送信先に送信されるものとする。なお、以下においては、電子メールを「メール」と略述するものとする。
図2(a)には、サーバ10のハードウェア構成が示されている。図2(a)に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(処理プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(処理プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、図3に示すメール処理部40としての機能が実現される。メール処理部40は、メールの送受信、承認処理に関する各種処理を実行する。なお、図3には、サーバ10のHDD96等に格納されている利用者認証DB(database)30、記憶部としてのメールDB32、承認DB34、コメントDB36も図示されている。なお、各DB30〜36の具体的なデータ構造等については後述する。
図2(b)には、クライアント20のハードウェア構成が示されている。図2(b)に示すように、クライアント20は、CPU190、ROM192、RAM194、記憶部(HDD)196、表示部193、入力部195、ネットワークインタフェース197、及び可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えており、クライアント20の構成各部は、バス198に接続されている。表示部193は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部195は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。クライアント20においては、CPU190がプログラムを実行することで、図3に示す表示処理部50及び入力処理部52としての機能が実現される。表示処理部50は、サーバ10のメール処理部40からの指示に応じて、クライアント20の表示部193上にメール作成、送受信に関する画面を表示したり、メールの承認に関する画面を表示したりする。入力処理部52は、クライアント20の利用者が入力部195を介して入力した情報を受け付け、当該情報をサーバ10のメール処理部40に対して送信する。
ここで、サーバ10が有する各種DBについて説明する。
図4には、利用者認証DB30のデータ構造の一例が示されている。利用者認証DB30は、利用者がログインする際の認証に用いる情報や、利用者に対して予め対応付けられている承認者の情報を格納するデータベースである。この利用者認証DB30は、図4に示すように、「利用者アドレス(利用者ID)」と、利用者IDに対応する「パスワード」及び「利用者名称」と、利用者に対して予め対応付けられている承認者のアドレス(「承認者アドレス」)及び「承認者名称」の各フィールドを有している。例えば、図4からは、利用者「田中」、「佐藤」、「鈴木」に対して承認者「山田」が定められていることがわかる。
図5、図6には、メールDB32のデータ構造の一例が示されている。メールDB32は、クライアント20間で送受信されたメールの情報を格納するデータベースであり、利用者ごとに用意される。なお、図5は、利用者「山田」に対応するメールDBであり、図6のメールDB32は、利用者「田中」に対応するメールDBである。
メールDB32は、図5、図6に示すように、「利用者ID」、「受送信」、「メッセージID」、「発信者アドレス(利用者アドレス)」、「宛先」、「最新承認依頼日時」、「発信日時(承認日時)」、「メール情報(件名、本文)」の各フィールドを有する。
「利用者ID」のフィールドには、メールの送信又は受信を行った利用者の利用者IDが入力される。「受送信」のフィールドには、メールが利用者IDに対応する利用者によって送信されたのか受信されたのかの情報が入力される。「メッセージID」のフィールドには、メール毎に定義されるユニークなIDが入力される。「発信者アドレス(利用者アドレス)」のフィールドには、メールの差出人のメールアドレスが入力される。なお、「受送信」のフィールドが「送信」である場合には、発信者アドレスとして利用者IDが入力される。「宛先」のフィールドには、メールの宛先のメールアドレスが入力される。なお、「受送信」のフィールドが「受信」である場合には、宛先に利用者IDが含まれることになる。「最新承認依頼日時」のフィールドには、メールの発信者がメールを送信するために承認者に対して承認依頼を出した日時(承認依頼が複数回出された場合には最新の承認依頼の日時)が入力される。「発信日時(承認日時)」は、メールが送信先に対して送信された日時であり、承認が必要なメールの場合には承認者によって承認された日時が入力される。「メール情報(件名、本文)」のフィールドには、メールの件名及び本文そのものが入力される。なお、本実施形態では、利用者ごとにメールDB32を作成し、管理することとしているが、これに限らず、1つのメールDBにて、複数の利用者の送受信メール情報を管理することとしてもよい。
図7には、承認DB34の一例が示されている。承認DB34は、メールの承認依頼が出された場合に、そのメールの情報や承認結果などを格納するためのデータベースである。なお、承認DB34は、承認者ごとに用意されるものとする(図7は、承認者「山田」の承認DB34を示している)。承認DB34は、「承認ID」、「メッセージID」、「証跡メッセージID」、「承認結果」、「発信者アドレス(利用者アドレス)」、「宛先」、「承認依頼日時」、「メール情報(件名、本文)」の各フィールドを有する。
「承認ID」のフィールドには、承認依頼ごとに定義されるユニークなIDが入力される。なお、図7の下から1行目と下から2行目には同一のメールに対する承認依頼の情報が格納されているが、承認IDは承認依頼ごとに定義されるIDであるので、これらの承認IDは異なっている。「メッセージID」のフィールドには、メール毎に定義されるユニークなIDが入力される。「証跡メッセージID」のフィールドには、メールの送信者が指定した、送信するメールに関連する関連メール(証跡メール)のメッセージIDが入力される。なお、送信者は証跡メールを複数指定することもあるので、「証跡メッセージID」のフィールドには、複数のメッセージIDが格納されることもある。また、送信者は証跡メールを指定しない場合もあるので、「証跡メッセージID」のフィールドに、何も格納されないこともある(図7では、「−」と記述されている)。「承認結果」のフィールドには、承認者によって承認される前か否か、承認されたか承認されなかったかが入力される。図7では、「承認結果」のフィールドに、「承認依頼中」、「送信可(承認可)」、「差し戻し(承認不可)」のいずれかが入力される。「発信者アドレス(利用者アドレス)」のフィールドには、メールの差出人のメールアドレスが入力される。「宛先」のフィールドには、メールの宛先のメールアドレスが入力される。「承認依頼日時」のフィールドには、メールの発信者がメールを送信するために承認者に対して承認依頼を出した日時が入力される。「メール情報(件名、本文)」のフィールドには、メールの件名及び本文そのものが入力される。
図8には、コメントDB36の一例が示されている。コメントDB36は、承認者によって承認不可とされたメールに対して入力されたコメント(承認者が承認不可とした理由や、修正すべき点など)が格納されるデータベースである。コメントDB36は、図8に示すように、「承認ID」、「承認者アドレス」、「メッセージID」、「コメント」の各フィールドを有する。「承認ID」のフィールドには、承認依頼ごとに定義されるユニークなIDが入力される。「承認者アドレス」のフィールドには、承認不可とした承認者のメールアドレスが入力される。「メッセージID」のフィールドには、メール毎に定義されるユニークなIDが入力される。「コメント」のフィールドには、承認者がクライアント20上で入力したコメントそのものが入力される。
次に、本実施形態におけるメール処理部40の処理について、図9〜図12のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
図9の処理では、まず、ステップS10において、メール処理部40は、メール利用要求をクライアント20から受信するまで待機する。クライアント20の利用者は、クライアント20の表示部193上に表示されているブラウザ上でWEBメールサービスのアドレスに対してアクセスすることによりメール利用要求を出すことができる。なお、メール利用要求は、クライアント20の入力処理部52から送信される。
メール処理部40は、入力処理部52から送信されてきたメール利用要求を受信すると(ステップS10の判断が肯定されると)、ステップS12に移行する。ステップS12では、メール処理部40は、利用者ID、パスワード入力画面のデータをクライアント20(表示処理部50)に対して送信する。この場合の利用者ID、パスワード入力画面は、図13(a)に示すような画面であるものとする。なお、クライアント20においては、表示処理部50が、利用者ID、パスワード入力画面を表示部193上に表示する。
次いで、ステップS14では、メール処理部40は、利用者ID、パスワードをクライアント20から受信するまで待機する。なお、利用者が利用者IDとパスワードを図13(a)の画面上で入力し、送信ボタンを押すと、入力処理部52は、利用者IDとパスワードをメール処理部40に送信する。
入力処理部52からメール処理部40に対して利用者IDとパスワードが送信されると(ステップS14の判断が肯定されると)、ステップS16に移行する。ステップS16では、メール処理部40が、利用者認証DB30(図4)を用いて認証を実行する。次いで、ステップS18では、メール処理部40が、認証がOKであったか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS20に移行し、メール処理部40、認証エラー画面(図13(b))をクライアント20(表示処理部50)に対して送信する。この場合、表示処理部50は、図13(b)の画面を表示部193上に表示する。なお、ステップS20の処理が行われた後は、図9の全処理を終了する。
一方、ステップS18の判断が肯定された場合、すなわち認証がOKであった場合には、ステップS22に移行する。ステップS22では、メール処理部40は、メールDB32(図5、図6)を用いて、入力された利用者IDに対応するメール表示画面のデータを作成して、クライアント20に送信する。この場合のメール表示画面は、図14(a)、図14(b)に示すような画面であるものとする。なお、図14(a)のメール表示画面が、図5のメールDB32(利用者が「山田」の場合)に対応し、図14(b)のメール表示画面が、図6のメールDB32(利用者が「田中」の場合)に対応している。クライアント20の表示処理部50は、データを受信した段階で、図14(a)や図14(b)のメール表示画面を表示部193上に表示する。
次いで、ステップS24では、メール処理部40は、メール(送信メール)の作成要求をクライアント20から受信したか否かを判断する。この場合、メール処理部40は、図14(a)、図14(b)のメール表示画面上の「メッセージ新規作成」ボタンが利用者によって押されたという情報を入力処理部52から受信したか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS26に移行するが、否定された場合には、ステップS26を経ずにステップS28に移行する。
ステップS26に移行した場合、メール処理部40は、メール送信処理(図10のフローチャートに沿った処理)を実行する。なお、メール送信処理の詳細については後述する。ステップS26の処理の後は、ステップS28に移行する。
ステップS28に移行すると、メール処理部40は、承認要求をクライアント20から受信したか否かを判断する。この場合、メール処理部40は、図14(a)のメール表示画面上の「承認処理」ボタンが利用者によって押されたという情報を入力処理部52から受信したか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS30に移行するが、否定された場合には、ステップS30を経ずにステップS32に移行する。なお、図14(a)、図14(b)のメール表示画面においては、図7の承認DBに「承認依頼中」のメールが存在している場合にのみ、「承認処理」のボタンが表示されるものとする。
ステップS30に移行した場合、メール処理部40は、承認処理(図11のフローチャートに沿った処理)を実行する。なお、承認処理の詳細については後述する。ステップS30の処理の後は、ステップS32に移行する。
ステップS32に移行すると、メール処理部40は、承認結果一覧表示要求を受け付けたか否かを判断する。この場合、メール処理部40は、図14(a)、図14(b)のメール表示画面上の「承認依頼状況閲覧」ボタンが利用者によって押されたという情報を入力処理部52から受信したか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS34に移行するが、否定された場合には、ステップS34を経ずにステップS36に移行する。
ステップS34に移行した場合、メール処理部40は、承認結果一覧表示処理(図12のフローチャートに沿った処理)を実行する。なお、承認結果一覧表示処理の詳細については後述する。ステップS34の処理の後は、ステップS36に移行する。
ステップS36に移行すると、メール処理部40は、ログアウト要求をクライアント20から受信したか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS24に戻り、ステップS24〜S36の処理・判断を繰り返す。
なお、これまでの説明からわかるように、図9の処理では、クライアント20の利用者が、図14(a)、図14(b)のメール表示画面上で「メッセージ新規作成」ボタンを押したタイミングで、ステップS26(メール送信処理(図10))の処理が実行される。また、利用者が「承認処理」ボタンを押したタイミングで、ステップS30(承認処理(図11))の処理が実行される。更に、利用者が「承認依頼状況閲覧」ボタンを押したタイミングで、ステップS34(承認結果一覧表示処理(図12))の処理が実行されることになる。そして、ステップS36の判断が肯定された場合、すなわち、利用者が図14(a)等の画面上で「ログアウト」ボタンを押したという情報を、メール処理部40が入力処理部52から受信した場合、図9の全処理が終了する。
以下、図10〜図12の各処理について、詳細に説明する。
(メール送信処理(図10))
図10に基づいて、メール送信処理について説明する。図10の処理では、まず、ステップS50において、メール処理部40が、メール送信画面(承認依頼画面)データを作成し、クライアント20(表示処理部50)に送信する。この場合、メール処理部40は、図15(a)に示すような画面のデータを作成し、クライアント20の表示処理部50に対して送信する。なお、表示処理部50は、表示部193上に図15(a)の画面を表示する。
次いで、ステップS52では、メール処理部40は、証跡メール添付要求をクライアント20から受信したか否かを判断する。この場合、メール処理部40は、クライアント20の入力処理部52から、利用者が図15(a)の「証跡メール添付」ボタンを押したという情報が送信されてきたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS64に移行するが、肯定された場合には、ステップS54に移行する。なお、本実施形態では、利用者は、「証跡メール添付ボタン」を押す前の段階において、図15(b)に示すように、メール送信画面(承認依頼画面)の宛先、件名、記事画面の欄に対する入力を完了しているものとする。
ステップS54に移行すると、メール処理部40は、「証跡メール添付」ボタンを押した利用者の受信メールの情報(差出人、件名の情報)をメールDB32から取得する。なお、メール処理部40は、メールDB32に格納されている全ての受信メールの情報を取得してもよいが、例えば、直近の所定件数の受信メールや、現在から所定期間の間に受信した受信メールなど、取得する受信メールの範囲を限定することとしてもよい。
次いで、ステップS56では、メール処理部40は、取得した情報から証跡メール一覧を作成し、その一覧をメール送信画面(承認依頼画面)に追加し、当該画面データをクライアント20に送信する。具体的には、メール処理部40は、図16に示すような画面のデータをクライアント20の表示処理部50に対して送信する。この場合、表示処理部50は、図16の画面を表示部193上に表示する。なお、証跡メール一覧に含まれるメールが多い場合には、画面にスクロール機能を持たせてもよい。
なお、クライアント20の利用者は、図16の証跡メール一覧において、図17に破線枠にて示すように、1又は複数のメールを証跡メールとして選択することができる。なお、証跡メールとは、現在作成中のメールの内容に関連するメール(メール作成の根拠となっているメール)であり、メールの内容の真偽を承認者が判断するために必要なメールであるものとする。利用者が証跡メールを1又は複数選択し、「証跡添付」ボタンを押すと、入力処理部52は、証跡メールを選択したという情報(本実施形態では証跡メールのメッセージID)をメール処理部40に対して送信する。
次いで、ステップS58では、メール処理部40は、添付する証跡メールのメッセージIDをクライアント20から受信するまで待機する。証跡メールのメッセージIDをメール処理部40が受信すると、ステップS60に移行し、メール処理部40は、選択された証跡メールのメッセージIDに対応する情報(本文等)をメールDB32から取得する。
次いで、ステップS62では、メール処理部40が、取得した情報から図18において太枠線で示すような証跡メール画面が添付されたメール送信画面を作成し、当該画面データをクライアント20(表示処理部50)に送信する。表示処理部50は、図18の画面を表示部193上に表示する。なお、利用者は、図18の画面において、証跡メールとして選択したメールが正しいかどうかや、証跡メールの内容と送信しようとしているメールの内容とが整合しているかどうか、などを確認することができる。利用者は、メールの内容を確認した後、図18の画面上において「送信(承認依頼)」ボタンを押すことで、承認者に対する承認依頼を出すことができる。この場合、入力処理部52は、承認依頼のあったメール(送信メール)の情報(宛先、件名、本文、発信者ID)や、証跡メールのメッセージID等をメール処理部40に対して送信する。
ステップS62の後、又はステップS52の判断が否定された後は、ステップS64に移行する。ステップS64では、メール処理部40が、送信メールの情報(宛先、件名、本文、発信者ID)や承認メールのメッセージID等をクライアント20から受信するまで待機する。そして、メール処理部40が受信した段階(ステップS64の判断が肯定された段階)で、ステップS66に移行する。ステップS66では、メール処理部40は、利用者認証DB30と利用者アドレス(ID)とを用いて、利用者に対応する(予め対応付けられている)承認者アドレスを取得する。
次いで、ステップS68では、メール処理部40が、送信メールに関するメッセージIDと承認IDとを生成する。次いで、ステップS70では、メール処理部40は、ステップS64において受信した情報に証跡メールのメッセージIDが含まれているか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合(ステップS54〜S62を経た場合)には、ステップS72に移行する。ステップS72では、メール処理部40は、承認ID,メッセージID,利用者アドレス(発信者アドレス)、宛先、件名、本文、証跡メールのメッセージID(証跡メッセージID)を、承認者アドレスに対応する承認DB34に記録する。一方、ステップS70の判断が否定された場合(ステップS54〜S62を経なかった場合)には、ステップS74に移行する。ステップS74では、メール処理部40が、承認ID,メッセージID,利用者アドレス(発信者アドレス)、宛先、件名、本文を、承認者アドレスに対応する承認DB34に記録する。なお、この場合には、図7の上から2行目のレコードのように証跡メッセージIDのフィールドを空欄「−」とする。
以上のようにして、ステップS72又はS74の処理が行われた後は、図10の全処理を終了し、図9のステップS28に移行する。なお、ステップS28に移行する前には、表示処理部50は、表示部193上に図14(a)や図14(b)のようなメール表示画面を表示するものとする。
本実施形態では、メール処理部40が図10の処理を実行することで、送信するメール本文に関連する関連メール(証跡メール)がある場合に、当該証跡メールのメッセージIDを送信するメールに対応付けて承認DB34に格納することができる。また、本実施形態では、証跡メールを設定する際に、クライアント20の表示部193上に証跡メール一覧が表示されるので(図16)、利用者は証跡メールの設定を簡易に行うことができるようになっている。
(承認処理(図11))
次に、図11のフローチャートに沿って、承認処理について説明する。図11の処理は、前述のように、図14(a)のメール表示画面において、「承認処理」ボタンが押された段階で実行される処理である。なお、以下の説明では、「承認処理」ボタンを押した利用者を「承認者」と呼ぶものとする。
図11の処理では、まず、ステップS100において、メール処理部40が、承認者の利用者アドレスに対応する承認DB34から、承認結果が承認依頼中となっている案件の発信者アドレス、発信日時、件名を取得する。
次いで、ステップS102では、メール処理部40が、取得した情報を用いて、承認一覧画面を作成し、当該画面のデータを承認者が利用するクライアント20(表示処理部50)に対して送信する。図7の承認DB34の場合、承認一覧画面としては、図19(a)に示すような画面が作成される。この場合、表示処理部50は、図19(a)の画面を表示部193上に表示する。
次いで、ステップS104では、メール処理部40が、メールの選択情報をクライアント20(入力処理部52)から受信するまで待機する。なお、利用者(承認者)は、図19(a)の画面において、承認処理を行うメールを入力部195を用いて選択する。そして、入力処理部52は、メールの選択情報をメール処理部40に対して送信する。
ステップS104の判断が肯定され、ステップS106に移行すると、メール処理部40は、選択されたメールのメッセージIDに対応する情報(本文等)を承認DB34から取得する。
次いで、ステップS108では、メール処理部40は、取得した情報に証跡メッセージIDが含まれているか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS110に移行する。ステップS110では、メール処理部40が、証跡メッセージIDに対応する情報(本文等)をメールDB32から取得し、ステップS112に移行する。なお、ステップS108の判断が否定された場合、すなわち、ステップS106において取得した情報に証跡メッセージIDが含まれていなかった場合には、ステップS110を経ずに、ステップS112に移行する。
ステップS112に移行した場合、メール処理部40は、選択したメールの承認画面を作成し、当該画面のデータをクライアント20(表示処理部50)に送信する。なお、ステップS108の判断が肯定された場合には、図20に示すような証跡メールの内容を含む承認画面が作成される。一方、ステップS108の判断が否定された場合には、図21に示すような証跡メールの内容を含まない承認画面が作成される。なお、利用者(承認者)は、図20や図21の承認画面を参照し、メール送信を承認する場合には、「送信(承認)」ボタンを押す。一方、メール送信を承認しない場合には、利用者(承認者)は、コメント入力画面にコメントを入力した後、又は入力せずに、「取り下げ(承認不可)」ボタンを押す。なお、利用者(承認者)がボタンを押した場合には、入力処理部52は、どのボタンが押されたかの情報(承認可否の情報)及びコメント(コメントが入力された場合のみ)をメール処理部40に対して送信する。
次いで、ステップS114では、メール処理部40が、承認可否の情報やコメントをクライアント20から受信するまで待機する。そして、受信した段階で、メール処理部40は、ステップS116において、承認可か否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合(承認可の場合)には、ステップS118において、メール処理部40は、承認DB34に送信可(承認可)情報を記録する。また、ステップS120において、メール処理部40は、宛先に対応するメールDB32に、メッセージID,宛先、件名、本文を記録する(この場合、メールを宛先に対して送信したことになる)。更に、ステップS122において、メール処理部40は、発信者のメールDB32の「受送信」フィールドが「送信」であるレコードに、メッセージID、件名、本文を記録する。
一方、ステップS116の判断が否定された場合、すなわち承認不可であった場合には、ステップS124に移行し、メール処理部40は、承認DB34に差し戻し(承認不可)情報を記録する。そして、ステップS126において、メール処理部40は、コメントDB36に、承認ID、メッセージID、承認者アドレス、コメントを記録する。
以上のように、ステップS122又はS126の処理が行われた段階で、図11の処理を終了し、図9のステップS32に移行する。なお、承認が完了すると、図19(b)に示すように、承認一覧画面から承認処理されたメールの情報が削除されることになる。
本実施形態では、メール処理部40が図11の処理を実行することで、承認者によるメールの承認処理が行われる際に、承認画面(図20)に証跡メールを表示することができる。これにより、承認者は、証跡メールを用いたメールの承認処理を行うことができるため、メールの承認を正確に行うことが可能となる。また、承認後において、証跡メールの内容をメールに添付して送信することはないため、証跡メールを宛先に送信してしまうことによる不都合の発生を防止することができる。
(承認結果一覧表示処理(図12))
次に、図12のフローチャートに沿って、承認結果一覧表示処理について説明する。図12の処理は、利用者が承認依頼を出したメールが承認されたか否かを確認するための画面を表示する処理である。なお、図12の処理は、前述のように、図14(a)のメール表示画面上で「承認依頼状況閲覧」ボタンが押された段階で実行される処理である。
図12の処理では、まず、ステップS152において、メール処理部40が、クライアント20の利用者に対応する承認者を利用者認証DB30から取得する。次いで、ステップS154では、メール処理部40が、承認者の承認DB34から、利用者が発信者である承認結果とメールの件名を取得し、承認依頼状況一覧画面を作成する。なお、承認依頼状況一覧画面は、図22に示すような画面である。
次いで、ステップS156では、メール処理部40は、承認依頼状況一覧画面(図22)のデータをクライアント20(表示処理部50)に対して送信する。なお、表示処理部50では、データ受信後、図22の画面を表示部193上に表示する。
次いで、ステップS158では、メール処理部40は、承認依頼状況一覧画面の中から1つのメールが選択されるまで待機する。この場合、メールが選択された段階で、ステップS160に移行する。ステップS160に移行すると、メール処理部40は、承認DB34内のメール情報を用いて、承認結果画面(図23)を作成し、ステップS162において、クライアント20(表示処理部50)に承認結果画面のデータを送信する。なお、表示処理部50では、データ受信後、図23の画面を表示部193上に表示する。
なお、承認結果が取り下げ(承認不可)であった場合には、メール処理部40は、コメントDB36を参照して、承認IDが一致するコメントが存在しているか否かを確認する。そして、承認IDが一致するコメントが存在していた場合には、メール処理部40は、図23の画面にコメントを追記した画面を生成する。
以上の処理により、図12の処理が終了すると、図9のステップS36に移行することになる。
本実施形態では、メール処理部40が図12の処理を実行することで、利用者は承認者による承認結果を閲覧することが可能となる。また、承認結果が取り下げ(承認不可)であった場合で、承認者によってコメントが残されている場合には、利用者は当該コメントを承認結果画面上において確認することができる。
なお、本実施形態では、メールを作成して送信する利用者が利用する端末が、第1の端末に相当し、メールの承認を行う利用者(承認者)が利用する端末が、第2の端末に相当する。すなわち、利用者の実行する処理に応じて同一の端末が第1の端末に相当したり、第2の端末に相当することになる。また、本実施形態では、サーバ10のメール処理部40が、受信部、情報送信部、メール送信部の機能を実現している。
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、サーバ10(メール処理部40)は、クライアント20から宛先に対して送信される送信メールの情報(本文等)及び当該送信メールに関連する関連メール(証跡メール)の識別情報(証跡メールのメッセージID)を受信し(S64)、受信したメールを記憶するメールDB32から、受信した証跡メールのメッセージIDに対応するメールの情報(本文等)を読み出し、読み出した証跡メールの情報と受信した送信メールの情報(本文等)を承認者が利用するクライアント20に対して送信し(S110,S112)、承認者が利用するクライアント20からメールの送信許可を示す情報(承認可の情報)を受信すると、証跡メールの情報(本文等)を宛先に送信せずに、送信メールの情報(本文)を宛先に送信する(S120)。このように、本実施形態では、証跡メールのメッセージIDに基づいて、承認者に対して証跡メールの本文等を提供することができるので、承認者は、証跡メールの本文等を用いてメールの承認処理を正確に行うことができる。また、証跡メールの本文等をメールに添付していないことから、証跡メールが添付された送信メールを宛先に対して送信することもない。これにより、証跡メールを宛先に送信してしまうことによる不都合の発生を防止することができる。このように、本実施形態では、送信メールの承認処理を適切に支援することができる。また、メール送信先のクライアント20とサーバ10の間で証跡メールの本文等のやり取りが発生しないため、クライアント20とサーバ10間における通信負荷を低減することができる。
また、本実施形態では、メール処理部40が、メールDB32に記憶されているメールの情報(件名など)に基づいて、クライアント20において受信したメールの一覧(証跡メール一覧(図17))を生成し、生成した証跡メール一覧をクライアント20に対して送信する。これにより、利用者は、証跡メールを一覧から選択すればよいため、証跡メールを決定する作業を簡素化することができる。
なお、上記実施形態では、ステップS52において、利用者がメールの件名や本文を入力した後に、証跡メールを決定する処理を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、利用者が証跡メールを決定した後に、当該証跡メールの本文に基づいて、メールの件名や本文を作成し、入力するようにしてもよい。
なお、上記実施形態の画面やデータベースは一例である。すなわち、画面の構成やデータベースのデータ構造等を種々変更してもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1の端末から送信される送信メールの情報及び前記送信メールに関連する関連メールの識別情報を受信し、
受信したメールを記憶する記憶部から、前記第1の端末から受信した前記関連メールの識別情報に対応する関連メールの情報を読み出し、読み出した前記関連メールの情報と受信した前記送信メールの情報を第2の端末に対して送信し、
前記第2の端末から前記送信メールの送信許可を示す情報を受信すると、前記関連メールの情報を前記送信メールの送信先に送信せずに、前記送信メールの情報を前記送信先に送信する、処理をコンピュータに実行させるメールに関する処理プログラム。
(付記2) 前記記憶部に記憶されているメールの情報に基づいて、前記第1の端末において受信したメールの一覧を生成し、
生成した前記メールの一覧を前記第1の端末に対して送信する処理を前記コンピュータに更に実行させ、
前記第1の端末において前記メールの一覧の中から選択されたメールの識別情報を前記関連メールの識別情報として受信することを特徴とする付記1に記載のメールに関する処理プログラム。
(付記3) 端末から送信される送信メールの情報及び前記送信メールに関連する関連メールの識別情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信したメールを記憶する記憶部と、
第1の端末から受信した前記関連メールの識別情報に対応する関連メールの情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記関連メールの情報と受信した前記送信メールの情報を第2の端末に対して送信する情報送信部と、
前記第2の端末から前記送信メールの送信許可を示す情報を受信した場合に、前記関連メールの情報を前記送信メールの送信先に送信せずに、前記送信メールの情報を前記送信先に送信するメール送信部と、を備えるメールに関する処理装置。
(付記4) 前記記憶部に記憶されているメールの情報に基づいて、前記第1の端末において受信したメールの一覧を生成する生成部と、
生成した前記メールの一覧を前記第1の端末に対して送信する一覧送信部と、を更に備え、
前記受信部は、前記第1の端末において前記メールの一覧の中から選択されたメールの識別情報を前記関連メールの識別情報として受信することを特徴とする付記3に記載のメールに関する処理装置。
(付記5) 第1の端末から送信される送信メールの情報及び前記送信メールに関連する関連メールの識別情報を受信する工程と、
受信したメールを記憶する記憶部から、前記第1の端末から受信した前記関連メールの識別情報に対応する関連メールの情報を読み出し、読み出した前記関連メールの情報と受信した前記送信メールの情報を第2の端末に対して送信する工程と、
前記第2の端末から前記送信メールの送信許可を示す情報を受信した場合に、前記関連メールの情報を前記送信メールの送信先に送信せずに、前記送信メールの情報を前記送信先に送信する工程と、をコンピュータが実行することを特徴とするメールに関する処理方法。
(付記6) 前記記憶部に記憶されているメールの情報に基づいて、前記第1の端末において受信したメールの一覧を生成する工程と、
生成した前記メールの一覧を前記第1の端末に対して送信する工程と、を前記コンピュータが更に実行し、
前記受信する工程では、第1の端末において前記メールの一覧の中から選択されたメールの識別情報を前記関連メールの識別情報として受信することを特徴とする付記1に記載のメールに関する処理方法。