JP5972022B2 - ビニルエーテル系樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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前記ビニルエーテルモノマー(A)と前記化合物(B)との質量比は、ビニルエーテルモノマー(A)/化合物(B)=35/65〜90/10の範囲であることを特徴とするビニルエーテル系樹脂組成物。
ジエチレングリコールジビニルエーテル、及びトリエチレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つであるエチレン系ビニルエーテルと、
ジプロピレングリコールジビニルエーテル、及びトリプロピレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つであるプロピレン系ビニルエーテルと、
を含有し、
前記エチレン系ビニルエーテルと前記プロピレン系ビニルエーテルとの質量比は、エチレン系ビニルエーテル/プロピレン系ビニルエーテル=10/40〜40/10の範囲である前記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のビニルエーテル系樹脂組成物。
また、式(1)及び(2)中、l、m、nは正の整数を表す。)
本発明のビニルエーテル系樹脂組成物は、少なくとも、ビニルエーテル基を2つ以上有するビニルエーテルモノマー(A)と、ウレタン骨格を有するとともに末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、を含み、ビニルエーテルモノマー(A)と化合物(B)との質量比が、ビニルエーテルモノマー(A)/化合物(B)=35/65〜90/10の範囲にある。
さらに、光重合開始剤の作用によりビニルエーテルモノマー(A)に含まれるビニルエーテル基と、化合物(B)に含まれるビニルエーテル基とが、反応した結合があるため、本発明のビニルエーテル系樹脂組成物は、優れた接着力を発現する。
ビニルエーテルモノマー(A)の分子量は、蒸留精製による製造の容易さの点と薄膜化に対応するには低粘度であることが必要であるため、300以下が好ましい。
また、本発明に用いるビニルエーテルモノマー(A)は、ビニルエーテル系樹脂組成物を調製した際に、光重合開始剤(C)が溶解しやすく、光重合開始剤が経時で析出せず、ビニルエーテル系樹脂組成物の貯蔵安定性が優れるため、ジエチレングリコールジビニルエーテル及びトリエチレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つがより好ましい。
ジエチレングリコールジビニルエーテル、及びトリエチレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つからなるエチレン系ビニルエーテルと、
ジプロピレングリコールジビニルエーテル、及びトリプロピレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つからなるプロピレン系ビニルエーテルと、
を含有し、
エチレン系ビニルエーテルとプロピレン系ビニルエーテルとの質量比が、エチレン系ビニルエーテル/プロピレン系ビニルエーテル=10/40〜40/10の範囲にあることがより好ましい。
ビニルエーテルモノマー(A)が、エチレン系ビニルエーテルとプロピレン系ビニルエーテルとを含み、その質量比がエチレン系ビニルエーテル/プロピレン系ビニルエーテル=10/40〜40/10の範囲内にあることで、ビニルエーテル系樹脂組成物の接着力はより一層向上し、かつ貯蔵安定性も良好となる。
また、化合物(B)は、上記反応物を一種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、化合物(B)は、ビニルエーテル基を2つ以上有してもよい。
また、式(1)中、l、mは1〜200が好ましく、製造の容易さの観点より、より好ましくは1〜50である。また、式(2)中、nは1〜700が好ましく、製造の容易さの観点より、より好ましくは1〜100である。
尚、ビニルエーテル系樹脂組成物の低臭気性及び硬化性の観点より、本発明に用いる光重合開始剤(C)は、サンアプロ社製のCPI−100P、CPI−110P(ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート)、又は三和ケミカル社製のTS−91(トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスファート)が好ましい。
また、光重合開始剤(C)の含有量は、ビニルエーテルモノマー(A)と化合物(B)との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜8質量部の範囲である。光重合開始剤(C)の含有量が0.1質量部未満では、未反応物のビニルエーテルモノマー(A)と化合物(B)とが残存し接着力が低下する可能性があり、また、10質量部を超える範囲では、光重合開始剤(C)が経時により析出するため、ビニルエーテル系樹脂組成物の貯蔵安定性が劣る可能性がある。
さらに、ビニルエーテルモノマー(A)と化合物(B)との質量比は、ビニルエーテルモノマー(A)/化合物(B)=35/65〜60/40の範囲にあることがより好ましい。質量比がこの範囲内であれば、ビニルエーテル系樹脂組成物の接着力はより一層向上することができる。
〔下記構造式(1)で表されるウレタン骨格を有するとともに−X1−、−X2−がともに−C4H8−であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B1は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=2050であった。
〔下記構造式(2)で示されるウレタン骨格を有するとともに−X3−、−X4−がともに−C4H8−であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B2は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=4040であった。
〔下記構造式(1)で表されるウレタン骨格を有するとともに−X1−、−X2−がともに−C2H4OC2H4−であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B3は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=1930であった。
〔下記構造式(2)で示されるウレタン骨格を有するとともに−X3−、−X4−がともに−C2H4OC2H4−であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B4は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=3840であった。
〔下記構造式(1)で表されるウレタン骨格を有するとともに−X1−、−X2−がともに−C3H6OC3H6−であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B5のGPC測定を行ったところ、Mw=2160であった。
〔下記構造式(2)で示されるウレタン骨格を有するとともに−X3−、−X4−がともに−C3H6OC3H6−であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B6は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=3860であった。
〔下記構造式(1)で表されるウレタン骨格を有するとともに−X1−、−X2−がともに下記構造式(3)で表される置換基であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B7は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=2070であった。
〔下記構造式(2)で示されるウレタン骨格を有するとともに−X3−、−X4−がともに下記構造式(3)で表される置換基であり、末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)の合成〕
尚、反応終了は、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm−1のピークが消失したことにより確認した。化合物B8は、GPCを用いて測定を行ったところ、Mw=3870であった。
上記合成例によって得られた化合物B1〜B8と、各種のビニルエーテルモノマーと、各種の光重合開始剤(C)とを、それぞれ組み合わせて混合し、ビニルエーテル系樹脂組成物の各試験の評価を行った。実施例及び比較例の各処方と、溶解性試験、硬化性試験及び接着強度試験の各評価結果とを、表1、表2及び表3にそれぞれまとめた。
「ビニルエーテルモノマー(A)」
・エチレン系ビニルエーテル
A1:ジエチレングリコールジビニルエーテル[日本カーバイド工業社製]
A2:トリエチレングリコールジビニルエーテル[日本カーバイド工業社製]
・プロピレン系ビニルエーテル
A3:ジプロピレングリコールジビニルエーテル[日本カーバイド工業社製]
A4:トリプロピレングリコールジビニルエーテル[日本カーバイド工業社製]
・モノビニルエーテル
A5:シクロヘキシルビニルエーテル[日本カーバイド工業社製]
「光重合開始剤(C)」
C1:トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスファート(下記構造式(5))[三和ケミカル社製、製品名 TS−91]
溶解性試験は、各ビニルエーテル系樹脂組成物における光重合開始剤の溶解性を評価することでおこなった。ビニルエーテル系樹脂組成物の調製時、光重合開始剤が経時で析出しなければ、貯蔵安定性に優れる。室温下で調製した時に溶解しないものを「×」、配合調製直後は溶解しているが、2時間室温下にて静置後に不溶化物が析出するものを「△」、2時間室温下にて静置後でも溶解しているものを「○」とそれぞれ評価した。
塗布膜厚7μmのアプリケーターを用いて、PETフィルム上に、各ビニルエーテル系樹脂組成物の塗膜(膜厚30μm)を形成させ、照射強度160Wの高圧水銀ランプを用いて、ランプ高さ22cm、コンベア速度8m/分の条件で1回照射を行った。その1回の照射量は170mJ/cm2であった。照射量170mJ/cm2で硬化したものを「○」と、硬化不十分なものを「×」とそれぞれ評価した。
尚、上記溶解性試験で溶解せず「×」と評価したビニルエーテル系樹脂組成物は、硬化性試験を実施しなかった。
接着強度試験は、下記の硬化方法で得られた試験片を硬化24時間後、JIS K 6854−2に準じ、引張速度を300mm/分の条件で180度剥離させその強度を測定することで行った。
剛性被着体には、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サン・トックス社製、商品名:OPPフィルム PA21 厚み50μm コロナ処理面)を用い、たわみ性被着体には、無延伸ポリプロピレンフィルム(サン・トックス社製、商品名:CPPフィルム LU02 厚み40μm コロナ処理面)を用いた。
硬化方法は以下のとおりである。被着体同士に挟み込まれる各ビニルエーテル系樹脂組成物の厚みは、上記硬化性試験と同様に、膜厚30μmとした。上記硬化性試験と同様に、照射強度160Wの高圧水銀ランプにて170mJ/cm2を照射して、各ビニルエーテル系樹脂組成物を硬化させた。
尚、上記の溶解性試験で溶解せず「×」と評価、または硬化性試験で硬化が不十分なため「×」と評価したビニルエーテル系樹脂組成物は、接着強度試験を実施しなかった。
また、上記溶解性試験において「△」と評価し、かつ上記硬化性試験において「○」と評価した実施例17及び26のビニルエーテル系樹脂組成物は、配合を調整して不溶化物が析出する前に、接着強度試験を実施した。
すなわち、本発明のビニルエーテル系樹脂組成物は、ポリオレフィン等の難接着性材料に対して優れた接着力を有することが確認された。
さらに、ビニルエーテルモノマー(A)と化合物(B)との質量比がビニルエーテルモノマー(A)/化合物(B)=35/65〜60/40の範囲にある、実施例3〜6及び9〜12の各ビニルエーテル系樹脂組成物は、実施例1、2、7、8及び各比較例と比べて、いずれも約2倍以上の接着力を有しているため、より優れていることが確認された。
すなわち、ビニルエーテルモノマー(A)が、エチレン系ビニルエーテル(A1およびA2)とプロピレン系ビニルエーテル(A3およびA4)とを含み、その質量比がエチレン系ビニルエーテル/プロピレン系ビニルエーテル=10/40〜40/10の範囲にある本発明のビニルエーテル系樹脂組成物は、ポリオレフィン等の難接着性材料に対して優れた接着力を有し、かつ貯蔵安定性に優れる。
なお、表1に記載の実施例4と表2に記載の実施例33は同一のものである。
なお、表1に記載の実施例4と表3に記載の実施例49、および表1に記載の実施例10と表3に記載の実施例50は、それぞれ同一のものである。
Claims (6)
- ビニルエーテル基を2つ以上有するビニルエーテルモノマー(A)と、下記構造式(1)及び(2)で表される化合物の少なくとも一つである、ウレタン骨格を有するとともに末端にビニルエーテル基を有する化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有し、
前記ビニルエーテルモノマー(A)と前記化合物(B)との質量比は、ビニルエーテルモノマー(A)/化合物(B)=35/65〜90/10の範囲であることを特徴とするビニルエーテル系樹脂組成物。
また、式(1)及び(2)中、l、m、nは正の整数を表す。)
- 前記ビニルエーテルモノマー(A)と前記化合物(B)との質量比は、ビニルエーテルモノマー(A)/化合物(B)=35/65〜60/40の範囲である請求項1に記載のビニルエーテル系樹脂組成物。
- 前記ビニルエーテルモノマー(A)は、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、及びトリプロピレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つである請求項1又は2に記載のビニルエーテル系樹脂組成物。
- 前記ビニルエーテルモノマー(A)は、
ジエチレングリコールジビニルエーテル、及びトリエチレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つであるエチレン系ビニルエーテルと、
ジプロピレングリコールジビニルエーテル、及びトリプロピレングリコールジビニルエーテルの少なくとも一つであるプロピレン系ビニルエーテルと、
を含有し、
前記エチレン系ビニルエーテルと前記プロピレン系ビニルエーテルとの質量比は、エチレン系ビニルエーテル/プロピレン系ビニルエーテル=10/40〜40/10の範囲である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のビニルエーテル系樹脂組成物。 - 前記光重合開始剤(C)は、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスファート、及びジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファートの少なくとも一つである請求項1乃至4のいずれか一項に記載のビニルエーテル系樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のビニルエーテル系樹脂組成物の硬化物。
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