(第1の実施形態)
以下、パチンコ遊技機の第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10の機体の外郭をなす外枠Y1の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠Y2が開放及び着脱自在に組み付けられているとともに、中枠Y2の前面側には前枠Y3が開閉及び着脱自在に組み付けられている。前枠Y3は、中枠Y2に重なるように組み付けられている。前枠Y3は、遊技球を貯留可能な上皿Y4を一体成形した構成とされている。また、中枠Y2の前面側であって前枠Y3の下部には、上皿Y4から溢れ出た遊技球を貯留する下皿Y5が装着されているとともに、下皿Y5の右方には、遊技球を遊技盤YBに発射させる際に遊技者によって回動操作される遊技球発射用の発射ハンドルHD(発射操作手段)が装着されている。
遊技者が発射ハンドルHDを把持して回動操作すると、上皿Y4に貯留されている遊技球が1球ずつ機内部に取り込まれ、遊技盤YBに向けて発射される。遊技盤YBに向けて発射される遊技球は、発射ハンドルHDの回動量に応じて発射の強弱が設定される。具体的に言えば、発射ハンドルHDの回動量が大きくなるにしたがって発射強度が増加し、遊技球は、遊技盤YBの右方領域に到達し易くなる。一方、発射ハンドルHDの回動量が小さくなるにしたがって発射強度が減少し、遊技球は、遊技盤YBの左方領域に到達し易くなる。
次に、図2に従って、遊技盤YBの構成を詳しく説明する。
図2に示すように、遊技盤YBの前面には、発射ハンドルHDの操作によって発射された遊技球を誘導し、かつパチンコ遊技の主体となるほぼ円形の遊技領域10aを形成する誘導レールYRが円形渦巻き状に敷設されている。この誘導レールYRによって遊技盤YBには、該遊技盤YBの左下方から左上方に向かって延びる遊技球の発射レールとしての誘導路YRaが形成されるとともに、誘導レールYRの内側に遊技領域10aが形成される。また、遊技盤YBの前面であって誘導レールYRの外側となる遊技領域10a外は、パチンコ遊技に直接関与しない非遊技領域10bとされている。
パチンコ遊技機10の遊技盤YBのほぼ中央には、各種の表示装置や各種の飾りを施した表示枠体(センター役物)HWが装着されている。表示枠体HWの略中央には、正面視矩形に開口するセット口HWaが形成されており、当該セット口HWaに整合して表示枠体HWには液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する演出表示装置11が装着されている。
また、演出表示装置11の左下方には、7セグメント型の特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、特別図柄(以下、「特図」と示す)を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特図は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)又は小当りか否かの内部抽選(小当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。以下、特別図柄表示装置12の図柄変動ゲームを「特図変動ゲーム」と示す。
特別図柄表示装置12には、複数種類の特図の中から、大当り抽選及び小当り抽選の抽選結果に応じて選択された特図が、特図変動ゲームの終了によって確定停止表示される。特図は、大当りを認識し得る図柄となる大当り図柄(大当り表示結果)と、小当りを認識し得る図柄となる小当り図柄(小当り表示結果)と、はずれを認識し得る図柄となるはずれ図柄(はずれ表示結果)とに分類される。大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。また、小当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、小当り遊技が付与される。大当り遊技及び小当り遊技については後で詳細に説明する。
また、演出表示装置11には、図柄列毎に複数種類の飾り図柄(飾図)が表示される。そして、各図柄列は、図柄変動ゲームが開始すると、所定の変動方向に図柄の変動(縦スクロール変動)が開始される。
演出表示装置11は、特別図柄表示装置12に比較して大きい表示領域で構成されるとともに、飾図は特図に比較して遥かに大きく表示される。このため、遊技者は、演出表示装置11に確定停止表示された飾図から、大当り、小当り又ははずれを認識し得る。そして、演出表示装置11には、特図変動ゲームの表示結果に応じた表示結果が表示される。特図変動ゲームで大当り図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも大当り図柄が確定停止表示される。本実施形態において、飾図による大当り図柄は、全列の図柄が同一図柄となる図柄組み合わせ([222],[777]など)とされている。
また、特図変動ゲームではずれ図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にもはずれ図柄が確定停止表示される。本実施形態において、飾図によるはずれ図柄は、全列の図柄が異なる図柄となる図柄組み合わせ([135],[246]など)、又は1列の図柄が他の2列の図柄とは異なる図柄となる図柄組み合わせ([151],[767]など)とされている。
また、特別図柄表示装置12に小当りを認識し得る小当り図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも小当り図柄が確定停止表示される。本実施形態において、飾図による小当り図柄は、はずれの図柄組み合わせの中でも、特定の図柄組み合わせ([121]や[232]など、はずれリーチの図柄組み合わせと同一の図柄組み合わせ)が該当する。
また、演出表示装置11では、遊技者側から見て左列→右列→中列の順に図柄列の変動が停止するとともに、変動停止によって図柄列毎に飾図が一旦停止表示される。そして、本実施形態では、特定の複数列(左右の2列)の図柄が同一図柄となる図柄組み合わせが、リーチの図柄組み合わせとなる。図柄の変動が停止するとは、演出表示装置11において図柄が停止表示されている状態を示す。そして、停止表示には、図柄がゆれ変動状態で表示されている一旦停止表示と、図柄が確定停止している確定停止表示とがある。本実施形態では、複数の図柄列のうち左列が第1停止列、右列が第2停止列、中列が第3停止列(最終停止列)となり、左列及び右列がリーチを形成するリーチ形成列となる。
また、図2及び図3に示すように、演出表示装置11の右下方には、遊技球の入球口を有する第1始動入賞口13が形成されている。第1始動入賞口13は普通電動役物とされ、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う開閉羽根14を備えている。第1始動入賞口13は、開閉羽根14の開動作により入口が拡大されて遊技球が入球し易い開状態とされる一方で、開閉羽根14の閉動作により入口が拡大されずに遊技球が入球し難い閉状態とされる。そして、第1始動入賞口13の奥方には入球した遊技球を検知する始動口スイッチSW1(図5に示す)が配設されている。第1始動入賞口13は、入球した遊技球を始動口スイッチSW1で検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
また、第1始動入賞口13の下方には、遊技球の入球口を有する始動入球口としての第2始動入賞口15が形成されている。第2始動入賞口15は、常時開口している。また、第2始動入賞口15の奥方には入球した遊技球を検知する第2始動口スイッチSW2(図5に示す)が配設されている。第2始動入賞口15は、入球した遊技球を第2始動口スイッチSW2で検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
また、第1始動入賞口13の左方には、図示しないアクチュエータの作動により開放動作を行う上大入賞口扉16aを備えた上大入賞口16(特別入賞手段)が形成されている。上大入賞口16の奥方には、入球した遊技球を検知する上カウントスイッチSW3(図5に示す)が配設されている。本実施形態のパチンコ遊技機10では、上カウントスイッチSW3で上大入賞口16に入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の遊技球を賞球として払い出す。なお、上大入賞口16は、小当り抽選に当選した場合に開放される。
また、上大入賞口16の下方には、図示しないアクチュエータの作動により開放動作を行う下大入賞口扉17aを備えた下大入賞口17が形成されている。下大入賞口17の奥方には、入球した遊技球を検知する下カウントスイッチSW4(図5に示す)が配設されている。本実施形態のパチンコ遊技機10では、下カウントスイッチSW4で下大入賞口17に入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の遊技球を賞球として払い出す。なお、下大入賞口17は、大当り抽選に当選した場合に開放される。
また、特別図柄表示装置12の右方には、複数個の特図保留発光部を備えた特別図柄保留表示装置Raが配設されている。特別図柄保留表示装置Raは、機内部で記憶した特図変動ゲーム用の始動保留球の記憶数を遊技者に報知する。以下、特図変動ゲーム用の始動保留球の記憶数を「保留記憶数」と示す。保留記憶数は、始動口スイッチSW1,SW2で遊技球が検知されることで「1」加算される一方で、特図変動ゲームの開始により「1」減算される。したがって、特図変動ゲーム中に始動口スイッチSW1,SW2で遊技球が検知されると、保留記憶数は更に加算されるとともに、所定の上限数(本実施形態では「4」)まで累積される。保留記憶数は、実行保留中の特図変動ゲームの回数を示す。
また、特別図柄保留表示装置Raの下方には、普通図柄表示装置Rbが配設されている。普通図柄表示装置Rbでは、複数種類の普通図柄(以下、「普図」と示す)を変動させて表示する普通図柄変動ゲーム(以下、「普図ゲーム」と示す)が行われる。普図は、普通当りか否かの内部抽選(普図当り抽選)の抽選結果を示す報知用の図柄である。また、普図ゲームは、普図当り抽選の抽選結果を導出するために行われる。そして、普図当り抽選に当選すると、開閉羽根14が開放されることで第1始動入賞口13へ遊技球を入球させ易くなる。
また、第1始動入賞口13の右上方には、作動ゲートGが配設されている。作動ゲートGの奥方には、通過した遊技球を検知するゲートスイッチSW5(図5に示す)が配設されている。作動ゲートGは、通過した遊技球をゲートスイッチSW5で検知することにより、普図ゲームの始動条件を付与し得る。
また、遊技盤YBにおいて下大入賞口17の左下方には、始動入賞口13,15、及び大入賞口16,17を含む各種入球口に入球しない遊技球を機外へ排出する排出口としてアウト口18が設けられている。
また、図1及び図2に示すように、演出表示装置11の右方には、遊技球の流下方向における下流側に遊技球を振り分ける振分機構Fが形成されている。振分機構Fは、機械式の第1振分装置F1、機械式の第2振分装置F2、機械式の第3振分装置F3、及び機械式の第4振分装置F4を構成要素に含む。
図3に示すように、振分機構Fを構成する振分装置F1〜F4は、遊技球の流下方向となる上下方向(略上下方向)に沿って一列に並設されている。また、振分機構Fは、第1振分装置F1の上方に形成され、常時開口して遊技球を入球可能に構成された入球口Faを構成要素に含む。また、振分機構Fは、遊技球を下流側に誘導する誘導部材24を構成要素に含む。
次に、図3に従って、振分機構Fを構成する振分装置F1〜F4について説明する。なお、振分装置F1〜F4は略同一構成のため、ここでは第1振分装置F1を中心に説明する。
第1振分装置F1は、遊技盤YBの表面に沿って配設された略半円板状のベース板21から筒状の軸受20(回動軸)が突設されるとともに、該軸受20の内部に遊技盤YBの表面から突出する軸芯20aが挿通されることで、回動自在に支持されている。また、軸受20の外周面には、複数(本実施形態では3つ)の振分片22a,22b,22cが周方向に対して略等間隔で配置され、ベース板21から遊技盤YBの前方に向かって延びるように形成されている。より詳しくは、振分片22bの左側に振分片22aが配置される一方で、振分片22bの右側に振分片22cが配置されており、振分片22aと振分片22bとの間隔、及び振分片22bと振分片22cとの間隔が、それぞれ略90度となっている。また、以下の説明では、振分片22a,22b,22cを纏めて「振分片22」と示すことがある。
また、ベース板21と振分片22a,22bとによって、振分片22bの左側に遊技球を受け止め可能な球受け部23aが区画形成される。同様に、ベース板21と振分片22b,22cとによって、振分片22bの右側に遊技球を受け止め可能な球受け部23bが区画形成される。
また、軸受20の下方には、誘導部材24が配設されている。誘導部材24は、第1振分装置F1の回動範囲を規制する回動規制部25を有している。回動規制部25は、所定範囲内で軸受20を回動可能となるように湾曲形成されている。回動規制部25の右端面(一端)は、振分片22cと接触して第1振分装置F1の右方向への許容範囲を超えた回動を規制する第1規制面25aとして機能する。また、回動規制部25の左端面(他端)は、振分片22aと接触して第1振分装置F1の左方向への許容範囲を超えた回動を規制する第2規制面25bとして機能する。
さらに、誘導部材24は、遊技球を下流側に誘導する誘導片26を有している。誘導片26によって、第1振分装置F1の左側に左転動路Lが区画形成される一方で、第1振分装置F1の右側に右転動路Rが区画形成される。
また、本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1規制面25aと、該第1規制面25aに接触する振分片22cに磁石Jが埋設されている。同様に、第2規制面25bと、該第2規制面25bに接触する振分片22aに磁石Jが埋設されている。第1規制面25aと振分片22cに埋設された磁石Jが、互いの引力によって引き付け合うことで、第1規制面25aと振分片22cが接触する。同様に、第2規制面25bと振分片22aに埋設された磁石Jが、互いの引力によって引き付け合うことで、第2規制面25bと振分片22aが接触する。
本実施形態では、第1規制面25a及び第2規制面25bが、規制手段として機能する。また、第1規制面25aと振分片22cとに埋設された磁石Jが、互いの引力によって引き付け合う。同様に、第2規制面25bと振分片22aとに埋設された磁石Jが、互いの引力によって引き付け合う。よって、磁石Jも、振分装置F1〜F4の回動を規制する規制手段として機能する。
そして、図4(a)に示すように、振分片22cが第1規制面25aに接触した状態では、遊技球Yが球受け部23aで受け止められる。その後、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が左方向(第1方向)に回動し、遊技球Yが左転動路Lに誘導される。本実施形態では、図4(b)に示すように第1振分装置F1が左側に傾いた状態が、第1振分状態に相当する。一方、図4(b)に示すように、振分片22aが第2規制面25bに接触した状態では、遊技球Yが球受け部23bで受け止められる。その後、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が右方向(第2方向)に回動し、遊技球Yが右転動路Rに誘導される。本実施形態では、図4(a)に示すように第1振分装置F1が右側に傾いた状態が、第2振分状態に相当する。
このように、第1振分装置F1は、360度回転するのではなく、1回転の中で回動範囲が制限されている。また、第1振分装置F1は、パチンコ遊技機10による電気的制御によってその振分状態が切り替えられるのではなく、あくまで「遊技球の通過」を受けて機械的に振分状態が切り替えられる。
そして、このような第1振分装置F1の左右方向への回動により、左転動路Lと右転動路Rとが、入球口Faと交互に連通状態とされるため、入球口Faに入球した遊技球は、第1振分装置F1によって、交互に左転動路Lと右転動路Rに振り分けられることになる。
また、本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1振分装置F1の右下方に第2振分装置F2が、第2振分装置F2の右下方に第3振分装置F3が、第3振分装置F3の右下方に第4振分装置F4がそれぞれ配設されている。これにより、第2振分装置F2は、第1振分装置F1によって右転動路Rに振り分けられた遊技球を、第3振分装置F3は、第2振分装置F2によって右転動路Rに振り分けられた遊技球を、第4振分装置F4は、第3振分装置F3によって右転動路Rに振り分けられた遊技球をそれぞれ受け入れる。つまり、1つ下流側(遊技球の流下方向における下流側)に配設された振分装置は、1つ上流側(遊技球の流下方向における上流側)に配設された振分装置から受け入れた遊技球を左方向又は右方向に振り分けることになる。
そして、遊技球は、振分装置F1〜F4によって振り分けられた方向に基づき、最終的に、複数の振分ルートのうちいずれかのルートに振り分けられる。本実施形態では、振分機構Fによって振分可能な振分ルートとして、第1振分ルートW1、第2振分ルートW2、第3振分ルートW3、第4振分ルートW4、及び第5振分ルートW5が設定されている。
以下、図3に従って、各振分ルートW1〜W5について説明する。
最初に、第1振分ルートW1について説明する。
第1振分ルートW1は、振分機構Fの右側に設定されている。第1振分ルートW1上には、作動ゲートGが形成されるとともに、該作動ゲートGよりも下流側に、第2始動入賞口15が形成されている。
次に、第2振分ルートW2について説明する。
第2振分ルートW2は、振分機構Fの左側に設定されている。第2振分ルートW2上には、第1始動入賞口13が形成されるとともに、第1始動入賞口13よりも下流側に、下大入賞口17が形成されている。
次に、第3振分ルートW3について説明する。
第3振分ルートW3は、振分機構Fの左側に設定されている。第3振分ルートW3上には、第1始動入賞口13が形成されるとともに、第1始動入賞口13よりも下流側に、下大入賞口17が形成されている。
次に、第4振分ルートW4について説明する。
第4振分ルートW4は、振分機構Fの左側に設定されている。第4振分ルートW4上には、第1始動入賞口13が形成されるとともに、第1始動入賞口13よりも下流側に、下大入賞口17が形成されている。
次に、第5振分ルートW5について説明する。
第5振分ルートW5は、振分機構Fの左側に設定されている。第5振分ルートW5上には、上大入賞口16が形成されている。
また、図2に示すように、振分機構F、第1始動入賞口13、第2始動入賞口15、上大入賞口16、下大入賞口17、及び作動ゲートGは、遊技盤YBの右方領域に配設されている。さらに、遊技盤YBの左方領域や振分機構Fの下方には遊技釘Kが植設されているが、遊技盤YBの上方である通路T上には遊技釘Kが植設されていない。これにより、発射ハンドルHDの回動量を大きくして遊技盤YBの右方領域を狙った際、通路Tには遊技釘Kが植設されていないことから、誘導路YRaから発射された全ての遊技球は、原則、入球口Faに入球する。そして、入球口Faに入球した遊技球は、各振分装置F1〜F4によって左転動路L又は右転動路Rに必ず振り分けられる。このため、振分ルートW1〜W5のうちいずれかを遊技球が転動したのであれば、転動した振分ルートW1〜W5上に設けられたいずれかの入球箇所に遊技球が入球可能となる。
次に、大当り遊技について説明する。
大当り遊技は、特別図柄表示装置12に大当り図柄が確定停止表示された後、開始される。大当り遊技が開始すると、演出表示装置11にて大当り遊技用のオープニング演出が行われる。また、オープニング演出の終了後は、下大入賞口17が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技中に下大入賞口17は、規定個数(入球上限個数)の遊技球が入球するまでの間、又は規定時間(ラウンド遊技時間)が経過するまでの間、開放する。また、ラウンド遊技中は、演出表示装置11にて所定のラウンド演出が行われる。そして、予め定めた規定ラウンド数のラウンド遊技の終了後には、演出表示装置11にて大当り遊技用のエンディング演出が行われる。
次に、小当り遊技について説明する。
小当り遊技は、特別図柄表示装置12に小当り図柄が確定停止表示された後、開始される。小当り遊技が開始すると、演出表示装置11にて小当り遊技用のオープニング演出が行われる。また、オープニング演出の終了後は、上大入賞口16が所定回数開放される。小当り遊技中に上大入賞口16は、規定個数(入球上限個数)の遊技球が入球するまでの間、又は所定の開放時間が経過するまでの間、開放する。そして、小当り遊技は、上大入賞口16の開放後に演出表示装置11にて小当り遊技用のエンディング演出が行われて終了する。
次に、図5に基づき、パチンコ遊技機10の制御構成について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機10の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御基板30が配設されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御指令(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、演出制御基板31が配設されている。演出制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、演出表示装置11の動作を制御する。
ここで、主制御基板30及び演出制御基板31の具体的構成について以下に説明する。
まず、主制御基板30について説明する。
図5に示すように、主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aのメイン制御プログラムを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cが設けられている。そして、主制御用CPU30aには、各種スイッチSW1〜SW5が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、各種表示装置12,Ra,Rbが接続されている。
また、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数、リーチ判定用乱数、及び普図当り判定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。当り判定用乱数は、大当り抽選(大当り判定)及び小当り抽選(小当り判定)で用いる乱数である。リーチ判定用乱数は、大当り抽選で大当りに当選せず、かつ小当り抽選で小当りに当選しなかった場合、すなわちはずれの場合にリーチを形成するか否かのリーチ抽選(リーチ判定)で用いる乱数である。普図当り判定用乱数は、普図当り抽選で用いる乱数である。
主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。
主制御用ROM30bには、メイン制御プログラム、各種の判定値(大当り判定値、小当り判定値、リーチ判定値、普図当り判定値など)が記憶されている。大当り判定値は、大当り抽選で用いる判定値であり、当り判定用乱数の取り得る数値の中から定められている。小当り判定値は、小当り抽選で用いる判定値であり、当り判定用乱数の取り得る数値の中から、大当り判定値と重複しないように定められている。リーチ判定値は、リーチ抽選で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る数値の中から定められている。普図当り判定値は、普図当り抽選で用いる判定値であり、普図当り判定用乱数の取り得る数値の中から定められている。
また、主制御用ROM30bには、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、図柄(特図及び飾図)の変動が開始してから図柄(特図及び飾図)が確定停止表示されるまでの間の演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンであって、図柄変動ゲームの変動内容(演出内容)及び変動時間(演出時間)を特定し得る。本実施形態において、複数種類の変動パターンは、大当り変動パターン、小当り変動パターン、はずれリーチ変動パターン、及びはずれ変動パターンに分類される。
大当り変動は、大当り抽選に当選した場合に行われる変動である。そして、大当り変動では、特図変動ゲームにおいて最終的に大当り図柄を確定停止表示させる。一方、大当り変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、最終的に大当り図柄を確定停止表示させる。なお、飾図による図柄変動ゲームでは、リーチ演出を経て、大当り図柄を導出させる。
小当り変動は、小当り抽選に当選した場合に行われる変動である。そして、小当り変動では、特図変動ゲームにおいて最終的に小当り図柄を確定停止表示させる。一方、小当り変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、最終的に小当り図柄を確定停止表示させる。なお、飾図による図柄変動ゲームでは、リーチ演出を経て、小当り図柄を導出させる。
はずれリーチ変動は、大当り抽選及び小当り抽選に当選せずに、リーチ抽選に当選した場合に行われ、特図変動ゲームにおいて最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。一方、はずれリーチ変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。
はずれ変動は、大当り抽選、小当り抽選及びリーチ抽選の何れにも当選しなかった場合に行われ、特図変動ゲームにおいて最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。一方、はずれ変動では、飾図による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経ないで、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。なお、特図変動ゲームでは、特図の変動が開始されると、リーチ演出を行うことなく、変動時間の経過時まで特図の変動が継続される。
以下、図6に従って、本実施形態のパチンコ遊技機10に定められた変動パターンの種類について説明する。
はずれ変動パターンとして、変動パターンP1,P2が設定されている。はずれ変動パターンP1は変動内容として「通常変動」を特定するとともに、変動時間として「時間T1」を特定する変動パターンである。一方、はずれ変動パターンP2は変動内容として「短縮変動」を特定するとともに、変動時間として「時間T2」を特定する変動パターンである。「通常変動」では、図柄変動ゲームの開始後、各図柄列の図柄(飾図)が予め定めた変動停止順(本実施形態では、左列→右列→中列)に従って変動が停止されて図柄が導出される。また、「短縮変動」では、図柄変動ゲームの開始後、各図柄列の変動がほぼ同一のタイミングで停止されて各図柄列に図柄が導出される。本実施形態では、保留記憶数が多いほど、はずれ変動パターンP1よりもはずれ変動パターンP2の方が選択され易くなっている。
はずれリーチ変動パターンとして、変動パターンP3が設定されている。はずれリーチ変動パターンP3は変動内容として「リーチ」を特定するとともに、変動時間として「時間T3」を特定する変動パターンである。
大当り変動パターンとして、変動パターンP4が設定されている。大当り変動パターンP4は変動内容として「リーチ」を特定するとともに、変動時間として「時間T4」を特定する変動パターンである。
小当り変動パターンとして、変動パターンP5が設定されている。小当り変動パターンP5は変動内容として「リーチ」を特定するとともに、変動時間として「時間T5」を特定する変動パターンである。本実施形態では、時間T2、時間T1、時間T3、時間T5、時間T4の順に変動時間が長くなるように設定されている。
次に、演出制御基板31について説明する。
図5に示すように、演出制御基板31には、制御動作を所定の手順で実行する演出制御用CPU31aと、演出制御用CPU31aの制御プログラムを格納する演出制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用RAM31cが設けられている。また、演出制御用RAM31cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。また、演出制御用CPU31aは、各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を演出制御用RAM31cの設定領域に記憶(設定)することで更新前の値を書き換えており、乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。そして、演出制御用CPU31aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。また、演出制御用CPU31aには、演出表示装置11が接続されている。また、演出制御用ROM31bには、各種の画像データ(図柄、背景、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。
以下、主制御基板30の主制御用CPU30aが、メイン制御プログラムに基づき実行する特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理について説明する。本実施形態において主制御用CPU30aは、所定の制御周期(例えば、4ms)毎に特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理を実行する。特別図柄開始処理は、特別図柄入力処理の終了後に実行される。
まず、主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1,SW2から検知信号を入力しているか否かに基づき、第1始動入賞口13又は第2始動入賞口15に遊技球が入球したか否かを判定する。この判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。第1始動入賞口13又は第2始動入賞口15に遊技球が入球したか否かの判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が上限数の4未満であるか否かを判定する。この判定結果が否定(保留記憶数が4未満でない)の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。一方、保留記憶数が4未満である場合、主制御用CPU30aは、保留記憶数を+1(1加算)する。すなわち、主制御用CPU30aは、第1始動入賞口13又は第2始動入賞口15で入球検知された遊技球を始動保留球として主制御用RAM30cに記憶させる。保留記憶数を更新(1加算)した主制御用CPU30aは、更新後(加算後)の保留記憶数を表示するように特別図柄保留表示装置Raの表示内容を制御する。
次に、主制御用CPU30aは、各種乱数の値を主制御用RAM30cから読み出して取得し、該値を保留記憶数に対応する主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。
次に、特別図柄開始処理について説明する。
まず、主制御用CPU30aは、図柄変動ゲームの実行中、又は当り遊技中(大当り遊技又は小当り遊技)か否かの実行条件判定を実行する。この実行条件判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
一方、実行条件判定の判定結果が否定(図柄変動ゲーム中ではなく、かつ当り遊技中ではない)の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が「0(零)」よりも大きいか否かを判定する。保留記憶数が「0(零)」の場合、保留中の図柄変動ゲームが存在しないため、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
一方、保留記憶数が1以上の場合、主制御用CPU30aは、保留中の図柄変動ゲームが存在するので、保留記憶数を−1(1減算)する。また、主制御用CPU30aは、保留記憶数を1減算した際、1減算後の保留記憶数を表すように特別図柄保留表示装置Raの表示内容を制御する。
そして、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、当該大当り判定値と一致するか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、特図の大当り図柄を特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図として決定する。また、大当りを決定した主制御用CPU30aは、大当り変動パターンを選択する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
一方、大当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数の値と小当り判定値を比較し、当該小当り判定値と一致するか否かの小当り判定(小当り抽選)を行う。小当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、特図の小当り図柄を特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図として決定する。また、小当りを決定した主制御用CPU30aは、小当り変動パターンを選択する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
一方、大当り判定及び小当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数の値が大当りとなる値及び小当りとなる値ではないことからはずれを認識する。そして、主制御用CPU30aは、保留記憶数に対応付けられたリーチ判定用乱数の値を読み出すとともに、リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値を比較してリーチか否かのリーチ判定(リーチ抽選)を行う。リーチ判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、リーチ抽選でリーチに当選したことから、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図としてはずれ図柄を決定する。また、リーチ抽選でリーチに当選したことから、主制御用CPU30aは、はずれリーチ変動パターンを選択する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
また、リーチ判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図としてはずれ図柄を決定する。また、リーチ抽選でリーチに当選しなかったことから、主制御用CPU30aは、はずれ変動パターンを選択する。このとき、主制御用CPU30aは、保留記憶数を確認し、該保留記憶数に従ってはずれ変動パターンを選択する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
本実施形態では、大当り抽選、小当り抽選、又はリーチ抽選に当選する確率よりも、これらの抽選に当選しない確率の方がはるかに高い。したがって、本実施形態のパチンコ遊技機10では、大当り変動パターンやリーチ変動パターンに比してはずれ変動パターンP1,P2が選択され易いことになる。
そして、特別図柄開始処理において特図及び変動パターンを決定した主制御用CPU30aは、決定事項にしたがって生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に出力する。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU30aは、確定停止図柄を指定する特図指定コマンドを出力する。そして、主制御用CPU30aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(図柄の確定停止)を指示する全図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力する。
そして、主制御用CPU30aは、大当り抽選に当選している場合、前述したような開放パターンで下大入賞口17を開放させるように、下大入賞口扉17aを開閉動作させるソレノイドを制御し、大当り遊技を付与する。一方、主制御用CPU30aは、小当り抽選に当選している場合、前述したような開放パターンで上大入賞口16を開放させるように、上大入賞口扉16aを開閉動作させるソレノイドを制御し、小当り遊技を付与する。
次に、演出制御基板31の演出制御用CPU31aが演出制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容(変動内容)をもとに、画像データを選択する。また、演出制御用CPU31aは、特図指定コマンドを入力すると、当該コマンドにしたがって演出表示装置11に確定停止表示させる飾図を決定する。特図として大当り図柄が指示されている場合、演出制御用CPU31aは、大当りを認識し得る大当りの図柄組み合わせ(例えば、[777])を決定する。その一方で、特図として小当り図柄が指示されている場合、演出制御用CPU31aは、小当りを認識し得る小当りの図柄組み合わせ(例えば、[121])を決定する。
また、特図としてはずれ図柄が指示されている場合、演出制御用CPU31aは、飾図としてはずれの図柄組み合わせを決定する。このとき、はずれリーチ変動パターンが指示されている場合、演出制御用CPU31aは、飾図として、リーチ図柄を含むはずれの図柄組み合わせを決定する。その一方、はずれ変動パターンが指示されている場合、演出制御用CPU31aは、飾図として、リーチ図柄を含まないはずれの図柄組み合わせを決定する。そして、演出制御用CPU31aは、画像データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。その後、図柄変動ゲーム中に全図柄停止コマンドを入力すると、演出制御用CPU31aは、決定した飾図を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる。
以下、図7及び図8に従って、各振分ルートW1〜W5を遊技球が転動する流れについて、その作用とともに説明する。なお、以下の説明では、入球口Faに入球して第1振分ルートW1に振り分けられた遊技球を「1球目」とし、以降、入球口Faに遊技球が入球する度に「2球目」、「3球目」…として計数する。そして、一度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられた場合、その遊技球を、再度、「1球目」として計数するものとする。本実施形態では、各振分装置F1〜F4における左転動路L又は右転動路Rへの振り分けの組み合わせによって、遊技球が各振分ルートW1〜W5に振り分けられる。
まず、図7(a)に従って、第1振分ルートW1に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
1球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置F1によって受け入れられる。このとき、遊技球Yが第1振分装置F1の球受け部23bで受け止められたとすると、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が右方向に回動し(第2振分状態)、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第2振分装置F2によって受け止められる。
なお、第1振分装置F1が右方向に回動した状態では、振分片22cと第1規制面25aに埋設された磁石Jが、互いの引力により引っ張り合うため、振分片22cと第1規制面25aが接触する。そして、磁石Jの引力により、遊技球Yの重み以外の作用により、第1振分装置F1の左方向への回動が規制される。本実施形態では、振分装置F1〜F4の回動が規制されている状態、すなわち、振分装置F1〜F4の振分状態が変更されていない状態が、「振分装置F1〜F4が維持されている状態」に相当する。
そして、遊技球Yが第2振分装置F2の球受け部23bで受け止められたとすると、遊技球Yの重さによって第2振分装置F2が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第3振分装置F3によって受け止められる。
このとき、遊技球Yが第3振分装置F3の球受け部23bで受け止められたとすると、遊技球Yの重さによって第3振分装置F3が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第4振分装置F4によって受け止められる。
このとき、遊技球Yが第4振分装置F4の球受け部23bで受け止められたとすると、遊技球Yの重さによって第4振分装置F4が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第1振分ルートW1に振り分けられる。
このように、各振分装置F1〜F4がそれぞれ左側に傾いている第1誘導状態A1(図7(a))で遊技球Yが各振分装置F1〜F4を転動した際に、遊技球Yは、第1振分ルートW1に振り分けられる。
次に、図7(b)に従って、第2振分ルートW2に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
1球目の遊技球Yが第1振分ルートW1に振り分けられた後の状態では、第1振分装置F1は右方向に傾いている。したがって、2球目の遊技球Yは、第1振分装置F1の球受け部23aで受け止められ、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が左方向に回動し(第1振分状態)、遊技球Yが左転動路Lに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第2振分ルートW2に振り分けられる。また、第2振分ルートW2には、連続して発射された2球目の遊技球の他、連続して発射された4,6,8,10,12,14,16球目の遊技球が振り分けられるようになっている。
このように、第1振分装置F1が右側に傾いている第2誘導状態A2(図7(b))で遊技球Yが第1振分装置F1を転動した際に、遊技球Yは、第2振分ルートW2に振り分けられる。
次に、図7(c)に従って、第3振分ルートW3に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
2球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第1振分装置F1は左方向に傾いている。したがって、3球目の遊技球Yは、第1振分装置F1の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第2振分装置F2によって受け止められる。
2球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第2振分装置F2は右方向に傾いている。したがって、3球目の遊技球Yは、第2振分装置F2の球受け部23aで受け止められ、遊技球Yの重さによって第2振分装置F2が左方向に回動し、遊技球Yが左転動路Lに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第3振分ルートW3に振り分けられる。また、第3振分ルートW3には、連続して発射された3球目の遊技球の他、連続して発射された7,11,15球目の遊技球が振り分けられるようになっている。
このように、第1振分装置F1が左側に、第2振分装置F2が右方向にそれぞれ傾いている第3誘導状態A3(図7(c))で遊技球Yが振分装置F1,F2を転動した際に、遊技球Yは、第3振分ルートW3に振り分けられる。
次に、図8(a)に従って、第4振分ルートW4に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
4球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第1振分装置F1は左方向に傾いている。したがって、5球目の遊技球Yは、第1振分装置F1の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第2振分装置F2によって受け止められる。
4球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第2振分装置F2は左方向に傾いている。したがって、5球目の遊技球Yは、第2振分装置F2の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第2振分装置F2が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第3振分装置F3によって受け止められる。
4球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第3振分装置F3は右方向に傾いている。したがって、5球目の遊技球Yは、第3振分装置F3の球受け部23aで受け止められ、遊技球Yの重さによって第3振分装置F3が左方向に回動し、遊技球Yが左転動路Lに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第4振分ルートW4に振り分けられる。また、第4振分ルートW4には、連続して発射された5球目の遊技球の他、連続して発射された13球目の遊技球が振り分けられるようになっている。
このように、振分装置F1,F2が左側に、第3振分装置F3が右方向にそれぞれ傾いている第4誘導状態A4(図8(a))で遊技球Yが振分装置F1〜F3を転動した際に、遊技球Yは、第4振分ルートW4に振り分けられる。
次に、図8(b)に従って、第5振分ルートW5に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
8球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第1振分装置F1は左方向に傾いている。したがって、9球目の遊技球Yは、第1振分装置F1の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第1振分装置F1が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第2振分装置F2によって受け止められる。
8球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第2振分装置F2は左方向に傾いている。したがって、9球目の遊技球Yは、第2振分装置F2の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第2振分装置F2が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第3振分装置F3によって受け止められる。
8球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第3振分装置F3は左方向に傾いている。したがって、9球目の遊技球Yは、第3振分装置F3の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第3振分装置F3が右方向に回動し、遊技球Yが右転動路Rに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第4振分装置F4によって受け止められる。
8球目の遊技球Yが第2振分ルートW2に振り分けられた後の状態では、第4振分装置F4は右方向に傾いている。したがって、9球目の遊技球Yは、第4振分装置F4の球受け部23aで受け止められ、遊技球Yの重さによって第4振分装置F4が左方向に回動し、遊技球Yが左転動路Lに振り分けられる。そして、その遊技球Yは、第5振分ルートW5に振り分けられる。
このように、振分装置F1〜F3が左側に、第4振分装置F4が右方向にそれぞれ傾いている第5誘導状態A5(図8(b))で遊技球Yが振分装置F1〜F4を転動した際に、遊技球Yは、第5振分ルートW5に振り分けられる。
そして、振分機構Fは、連続して発射された10球目以降、入球口Faに遊技球が入球する度に、振分装置F1〜F4を左方向又は右方向に回動させて、振分ルートW1〜W5に遊技球を振り分ける。つまり、振分機構Fにおいて、振分装置F1〜F4は、第2振分状態(左方向に振り分ける状態)をとっている状態で遊技球を受け入れると、該遊技球を振分ルートW2〜W5の何れかに振り分ける。一方、振分機構Fにおいて、振分装置F1〜F4は、第1振分状態(右方向に振り分ける状態)をとっている状態で遊技球を受け入れると、該遊技球を1つ下流に配設された振分装置又は第1振分ルートW1に振り分けるようになっている。
なお、連続して発射された17球目の遊技球が入球口Faに入球すると、該遊技球は第1振分装置F1によって受け入れられる。ところで、16球目の遊技球が第2振分ルートW2に振り分けられた場合、振分装置F1〜F4は、それぞれ左方向に傾いている。つまり、図7(a)を用いて説明したように、連続して発射された17球目の遊技球が入球口Faに入球した時点における振分装置F1〜F4の振分状態は、1球目の遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられるときの振分装置F1〜F4の振分状態と同一となっている。したがって、連続して発射された17球目の遊技球は、再度、第1振分ルートW1に振り分けられることになる。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10において振分機構Fは、入球口Faに入球した遊技球を第1振分ルートW1に振り分けた後、続けて入球する規定個数(この例では15球)の遊技球を、その他の振分ルートW2〜W5のいずれかに振り分ける単位振分動作を繰り返し行う。つまり、連続して発射された遊技球が全て入球口Faに入球すると、16球に1球の割合で遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられる。また、1回の単位振分動作には、入球口Faに入球した遊技球を第1振分ルートW1に振り分けてから、続けて入球する特定個数目(実施形態では8球目)の遊技球を上大入賞口16が配設された第5振分ルートW5に振り分ける特定動作が含まれている。
本実施形態では、第2始動入賞口15が配設された第1振分ルートW1が、特定ルートに相当する。また、振分ルートW2〜W5が、非特定ルートに相当する。また、非特定ルートの中でも、大当り遊技中に開放される下大入賞口17が配設された振分ルートW2〜W4が特別ルートに相当し、小当り遊技中に開放される上大入賞口16が配設された第5振分ルートW5が特殊ルートに相当する。
次に、図7〜図9に従って、はずれ変動パターンに基づく図柄変動ゲームと、各振分ルートW1〜W5に遊技球Yを振り分ける流れについて、その作用とともに説明する。
図7(a)に示すように、1球目の遊技球Yが入球口Faに入球し、該遊技球Yが第1振分ルートW1に振り分けられると、第2始動入賞口15に入球し得る。そして、第2始動入賞口15に遊技球が入球したのであれば、図柄変動ゲームが開始される。このとき、大当り抽選、小当り抽選、及びリーチ抽選の何れにも当選しなかったことにより、はずれ変動パターンP2が選択されたとする。
図9に示すように、遊技球が第1振分ルートW1を転動して第2始動入賞口15に入球するまでに所定時間を有する。このため、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられるタイミングと図柄変動ゲームが開始されるタイミングはずれる。
なお、本実施形態において、はずれ変動パターンP1に定められた変動時間「時間T1」、及びはずれ変動パターンP2に定められた変動時間「時間T2」は、以下のような時間に設定されている。すなわち、遊技球が連続して発射され、かつ連続して発射された遊技球が全て入球口Faに入球した場合において、一度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられるまでに要する時間以内に設定されている。「遊技球が連続して発射される」とは、遊技者が発射ハンドルHDを操作することで、遊技球が一定間隔で発射されることを指す。本実施形態では、発射ハンドルHDの回動状態を保持することにより、例えば1分間に100個の遊技球を連続的に発射可能とされており、この場合、0.6秒間隔で遊技球が発射される。
また、各単位振分動作において、同一の振分ルートに遊技球が振り分けられる場合、振分機構F内を通過する時間にほぼ差はない。ただし、本実施形態では、遊技球の流下方向を変更させるための遊技釘Kが植設されているため、振分ルートW1〜W5に振り分けられてから入球箇所に入球するまでに要する時間は、毎回変動する可能性がある。
その後、図7(b)に示すように、連続して発射された2球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図9に示すように、はずれ変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームは、2球目の遊技球Yが第1振分装置F1によって受け入れられた時点では継続して行われている。つまり、図柄変動ゲームの進行と遊技球の発射は別々に進行する。そして、2球目の遊技球Yは、第2振分ルートW2に振り分けられる。
その後、図7(c)に示すように、連続して発射された3球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図9に示すように、はずれ変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームは、3球目の遊技球Yが第1振分装置F1によって受け入れられた時点では継続して行われている。そして、3球目の遊技球Yは、第3振分ルートW3に振り分けられる。
その後、図7(b)に示すように、連続して発射された4球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図9に示すように、はずれ変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームは、「時間T2」が経過したことにより、4球目の遊技球が第1振分装置F1によって受け入れられた時点では終了しているものとする。そして、4球目の遊技球Yは、第2振分ルートW2に振り分けられる。
その後、図8(a)に示すように、連続して発射された5球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。そして、5球目の遊技球Yは、第4振分ルートW4に振り分けられる。その後、連続して発射された6〜8球目の遊技球Yが入球口Faに夫々入球し、6,7,8球目の遊技球Yは、第2振分ルートW2、第3振分ルートW3、第2振分ルートW2にそれぞれ振り分けられる。前述したように、振分ルートW2〜W4は、遊技球を第1始動入賞口13又は下大入賞口17に誘導可能に構成されている。ただし、第1始動入賞口13は、普図当り抽選に当選しない限り開放されないとともに、下大入賞口17は、大当り遊技中にしか開放されない。したがって、振分ルートW2〜W4を遊技球が通過したとしても、普図当り抽選に当選していなかったり、大当り遊技中でなければ、第1始動入賞口13又は下大入賞口17に遊技球が入球せず、アウト口18に遊技球が誘導される。
その後、図8(b)に示すように、連続して発射された9球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。そして、9球目の遊技球Yは、第5振分ルートW5に振り分けられる。前述したように、第5振分ルートW5は、遊技球を上大入賞口16に誘導可能に構成されている。ただし、上大入賞口16は、小当り遊技中にしか開放されない。したがって、第5振分ルートW5を遊技球が通過したとしても、小当り遊技中でなければ、上大入賞口16に遊技球が入球せず、アウト口18に遊技球が誘導される。
以降、連続して発射された10球目〜16球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。そして、10球目〜16球目の遊技球Yは、振分ルートW2〜W4のうちいずれかに振り分けられる。
その後、連続して発射された17球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、再度、第1振分ルートW1に振り分けられる。前述したように、第1振分ルートW1は、第2始動入賞口15に遊技球を誘導可能に構成されている。このため、1回の単位振分動作終了後、再度、第1振分ルートW1に入球した遊技球が第2始動入賞口15に入球したのであれば、図柄変動ゲームが開始される。ただし、前述したように、はずれ変動パターンP2に定められた変動時間「時間T2」は、一度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられるまでに要する時間以内に設定されている。
したがって、単位振分動作終了後、再度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられた時点では、1球目の遊技球が第2始動入賞口15に入球したことにより開始された図柄変動ゲームが終了している。このような時間設定により、図柄変動ゲーム実行中にゲームの始動条件が保留されるという事態が起こり難くなり、図柄変動ゲームの実行間隔が不均一となることを抑制することができる。また、はずれ変動パターンP1に定められた「時間T1」及びはずれ変動パターンP2に定められた「時間T2」は、1回の単位振分動作が開始してから終了するまでに要する時間よりもはるかに短い。これにより、始動保留球が1球も記憶されていない状態、又は図柄変動ゲームの非実行中に第2始動入賞口15に遊技球が入球し易くなり、図柄変動ゲーム実行中に始動保留球が記憶されるということが起こり難い。
ちなみに、「一度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられるまでに要する時間」としては、例えば、以下のような時間を設定できる。前述したように、本実施形態では、遊技球を1球発射させるために要する時間が「0.6秒」に設定されている。また、各振分ルートW1〜W5又は1つ下流に位置する振分装置に遊技球を振り分ける場合にも所定の時間を要する。したがって、はずれ変動パターンP1に定められた変動時間「時間T1」及びはずれ変動パターンP2に定められた変動時間「時間T2」は、0.6秒×16=9.6秒よりも長いことが好ましい。かつ、はずれ変動パターンP1に定められた変動時間「時間T1」及びはずれ変動パターンP2に定められた変動時間「時間T2」は、前述した所定の時間に「9.6秒」を加算した値よりも短いことが好ましい。なお、計算式中に登場した「16」という数字は、1回の単位振分動作の終了に必要な遊技球の個数を示している。
次に、図7、図8、及び図10に従って、小当り変動パターンに基づく図柄変動ゲームと、各振分ルートW1〜W5に遊技球Yを振り分ける流れについて、その作用とともに説明する。
図7(a)に示すように、1球目の遊技球Yが入球口Faに入球し、該遊技球Yが第1振分ルートW1に振り分けられると、第2始動入賞口15に入球し得る。そして、第2始動入賞口15に遊技球が入球したのであれば、図柄変動ゲームが開始される。このとき、小当り抽選に当選したことにより、小当り変動パターンP5が選択されたとする。
図10に示すように、遊技球が第1振分ルートW1を転動して第2始動入賞口15に入球するまでに所定時間(図中、「Taと示す」)を有する。このため、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられるタイミングと図柄変動ゲームが開始されるタイミングはずれる。
なお、本実施形態において、小当り変動パターンP5に定められた変動時間「時間T5」は、以下のような時間に設定されている。すなわち、「時間T5」は、遊技球が連続して発射され、かつ連続して発射された遊技球が全て入球口Faに入球した場合において、第1振分ルートW1に振り分けられた遊技球が第2始動入賞口15に入球してから、同じ単位振分動作において第5振分ルートW5に振り分けられた別の遊技球が上大入賞口16に到達する時間よりも短い。かつ、「時間T5」は、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームの終了に伴って付与された小当り遊技における上大入賞口16の最後の開放が終了するまでに、遊技球が上大入賞口16に到達可能な時間に設定されている。
その後、図7(b)に示すように、連続して発射された2球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図10に示すように、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームは、2球目の遊技球Yが第1振分装置F1によって受け入れられた時点では継続して行われている。そして、2球目の遊技球Yは、第2振分ルートW2に振り分けられる。
その後、図7(c)に示すように、連続して発射された3球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図10に示すように、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームは、3球目の遊技球Yが第1振分装置F1によって受け入れられた時点では継続して行われている。そして、3球目の遊技球Yは、第3振分ルートW3に振り分けられる。
その後、図7(b)に示すように、連続して発射された4球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図10に示すように、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームは、4球目の遊技球が第1振分装置F1によって受け入れられた時点では継続して行われている。そして、4球目の遊技球Yは、第2振分ルートW2に振り分けられる。
その後、図8(a)に示すように、連続して発射された5球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。
図10に示すように、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームは、5球目の遊技球Yが第1振分装置F1によって受け入れられた時点では継続して行われている。そして、5球目の遊技球Yは、第4振分ルートW4に振り分けられる。その後、連続して発射された6〜8球目の遊技球Yが入球口Faに夫々入球し、6,7,8球目の遊技球Yは、第2振分ルートW2、第3振分ルートW3、第2振分ルートW2にそれぞれ振り分けられる。
図10に示すように、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームは、「時間T5」が経過したことにより、8球目の遊技球が第1振分装置F1によって受け入れられた時点では終了しているものとする。
その後、図8(b)に示すように、連続して発射された9球目の遊技球Yが入球口Faに入球する。そして、9球目の遊技球Yは、第5振分ルートW5に振り分けられる。
前述したように、「時間T5」は、第1振分ルートW1に振り分けられた遊技球が第2始動入賞口15に入球してから、同じ単位振分動作において第5振分ルートW5に振り分けられた別の遊技球が上大入賞口16に到達する時間よりも短く設定されている。さらに、「時間T5」は、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームの終了に伴って付与された小当り遊技における上大入賞口16の最後の開放が終了するまでに、遊技球が上大入賞口16に到達可能な時間に設定されている。そして、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームでは、該図柄変動ゲームの終了後に小当り遊技が開始され、該小当り遊技において上大入賞口16が開放するようになっている。つまり、小当り遊技の進行と遊技球の発射は別々に進行する。
したがって、図10に示すように、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲーム中も遊技球を連続して発射させ続けていれば、第5振分ルートW5に振り分けられた遊技球が、上大入賞口16が開放しているタイミングで到達し得る。これにより、小当り遊技中、賞球を獲得させる機会を与えることができる。
なお、「遊技球が第2始動入賞口15に入球してから別の遊技球が上大入賞口16に到達する時間よりも短く、かつ小当り遊技における上大入賞口16の最後の開放が終了するまでに、遊技球が上大入賞口16に到達可能な時間」としては、例えば、以下のような時間を設定できる。
前述したように、本実施形態では、遊技球を1球発射させるために要する時間が「0.6秒」に設定されている。また、各振分ルートW1〜W5又は1つ下流に位置する振分装置に遊技球が振り分ける場合にも所定の時間を要する。したがって、小当り変動パターンP5に定められた変動時間「時間T5」は、0.6秒×9=5.4秒よりも長いことが好ましい。かつ、小当り変動パターンP5に定められた変動時間「時間T5」は、前述した所定の時間に「5.4秒」を加算した値よりも短いことが好ましい。なお、計算式中に登場した「9」という数字は、単位振分動作が開始してから第5振分ルートW5に遊技球を振り分けるために必要な遊技球の個数を示している。
また、「時間T5」は、以下に示す第1時間、第2時間、第3時間の合算時間よりも短いとも言い換えることができる。第1時間は、遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられてから第2始動入賞口15に到達するまでに要する時間である。第2時間は、第2始動入賞口15に入球した後、別の遊技球が第5振分ルートW5に振り分けられるまでに要する時間である。第3時間は、第5振分ルートW5に振り分けられてから、上大入賞口16の開放中に上大入賞口16に到達するまでに要する時間である。
また、時間T5は、第2始動入賞口15に遊技球が入球してから上大入賞口16に遊技球が到達するまでに要する時間TAよりも短い。時間TAは、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられてから第5振分ルートW5に別の遊技球が振り分けられるまでに要する時間Tbと、第5振分ルートW5に遊技球が振り分けられてから上大入賞口16に遊技球が到達するまでに要する時間Tcとを合算した値から、第1振分ルートW1に遊技球が振り分けられてから該遊技球が第2始動入賞口15に入球するまでに要する時間Taを引いた値である。また、時間Tbと時間Tcの合算値は、時間Taと、時間T5と、小当り遊技の時間Tdとの合算値よりも短い。
本実施形態では、第5振分ルートW5に振り分けられた遊技球が、丁度、上大入賞口16が開放しているタイミングで上大入賞口16に到達し得るように、小当り変動パターンに基づく変動時間が設定されていれば良い。つまり、第5振分ルートW5に遊技球が振り分けられたが、小当り変動パターンに基づく図柄変動ゲーム中であることによって、上大入賞口16が開放しておらず、遊技球が上大入賞口16に入球し得ないという事態が起こらなければ良い。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)振分機構Fは、入球口Faに入球した遊技球を第1振分ルートW1に振り分けた後、続けて入球する規定個数(実施形態では15球)の遊技球を振分ルートW2〜W5のいずれかに振り分ける単位振分動作を繰り返し行う。これによれば、単位個数毎に遊技球を第2始動入賞口15に誘導させることが可能となるため、第2始動入賞口15への入球が確保され、第2始動入賞口15への遊技球の入球を安定化させることができる。そして、第2始動入賞口15に遊技球が入球すると、該入球に基づいて図柄変動ゲームが開始されることになる。ただし、最も変動時間が短い図柄変動ゲーム(実施形態では変動パターンP2に基づく図柄変動ゲーム)の変動時間を、一度、遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられてから、再度、遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられるまでに要する時間以内に設定した。これにより、ゲーム中に図柄変動ゲームの始動条件が保留されるということが起こり難くなり、図柄変動ゲームの実行間隔が不均一となることを抑制することができる。
(2)また、変動パターンP1,P2に基づく図柄変動ゲームの変動時間を、一度、遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられてから、再度、遊技球が第1振分ルートW1に振り分けられるまでに要する時間以内に設定した。これにより、ゲーム中に図柄変動ゲームの始動条件が保留されるということがさらに起こり難くなる。したがって、パチンコ遊技機10で行われる大半の図柄変動ゲームの実行間隔が不均一となることを抑制することができる。
(3)振分機構Fは、入球口Faに入球した遊技球を、下大入賞口17が配設された振分ルートW2〜W4又は上大入賞口16が配設された第5振分ルートW5に振分可能である。これによれば、入球口Faに遊技球が入球しさえすれば、上大入賞口16又は下大入賞口17に遊技球を入球させることが可能となる。よって、第2始動入賞口15を狙う場合に比して発射ハンドルHDの回動量を大きく変更しなくても、上大入賞口16又は下大入賞口17に遊技球を入球させることが可能となる。
(4)振分機構Fは、単位振分動作において、入球口Faに入球した遊技球を第1振分ルートW1に振り分けてから、続けて入球する特定個数目(実施形態では8個目)の遊技球を第5振分ルートW5に振り分ける特定動作を行うようになっている。そして、小当り抽選に当選した場合に行われる図柄変動ゲームの変動時間を次のような時間に設定した。すなわち、第1振分ルートW1に振り分けられた遊技球が第2始動入賞口15に入球してから、同じ単位振分動作において第5振分ルートW5に振り分けられた別の遊技球が上大入賞口16に到達する時間よりも短くなるような時間に設定した。また、小当り抽選に当選した場合に行われる図柄変動ゲームの変動時間は、図柄変動ゲームの終了に伴って付与された小当り遊技における上大入賞口16の最後の開放が終了するまでに、遊技球が上大入賞口16に到達可能な時間でもある。これによれば、第2始動入賞口15への遊技球の入球を契機に開始された図柄変動ゲーム中も連続して遊技球を発射させたのであれば、振分機構Fによって、上大入賞口16が開放している期間中に上大入賞口16に遊技球が到達可能となる。よって、小当り遊技中、賞球を獲得させる機会を与えることが可能となり、打ち出される遊技球と払い出される遊技球との差分(ベース)を安定化させることができる。
(5)発射ハンドルHDの発射強度を最大強度まで調節して遊技球を打ち出すと、打ち出した全ての遊技球が、入球口Faに入球可能となる。よって、入球口Faに入球しさえすれば良いことになり、発射ハンドルHDの簡単な操作だけで、第2始動入賞口15への遊技球の入球を安定化させることができる。
(6)2方向への振分を行う比較的簡便な構成の機械式の振分装置F1〜F4を組み合わせただけで様々な振分ルート(振分ルートW1〜W5)への振り分けが可能となり、ルートの多様化に貢献し得る。
(7)磁石Jによって振分装置F1〜F4の過剰な回動が規制されるため、遊技球の重み以外の作用による振分装置F1〜F4の回動が規制される。つまり、振分装置F1〜F4において、第1振分状態(振分装置F1〜F4の右方向へ遊技球を振り分ける状態)及び第2振分状態(振分装置F1〜F4の左方向へ遊技球を振り分ける状態)を維持させることができる。
(第2の実施形態)
次に、図11に従って、第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同一構成、及び同一制御には、同一の符号を付すなどしてその説明を省略又は簡略化する。
図11に示すように、本実施形態の振分機構Fは、機械式の第1振分装置G1及び機械式の第2振分装置G2を構成要素に含む。さらに、本実施形態の振分機構Fは、遊技球を入球可能に構成された入球口Faを構成要素に含む。また、本実施形態の振分機構Fは、遊技球を下流側に誘導する誘導部材24を構成要素に含む。
以下、図11に従って、振分機構Fを構成する振分装置G1,G2について説明する。なお、振分装置G1,G2は略同一構成のため、ここでは第1振分装置G1を中心に説明する。
振分機構Fにおいて、入球口Faの下方に第1振分装置G1が配設されている一方で、第2振分装置G2は、第1振分装置G1よりもやや左下方に位置するように配設されている。なお、本実施形態の入球口Faは、表示枠体HW上方に形成された通路Tと繋がっており、該通路Tを通過する遊技球を受け入れるようになっている。
第1振分装置G1を構成する軸受20の外周面には、複数(本実施形態では3つ)の振分片22a,22b,22cが周方向に所定間隔を空けて配置され、ベース板21から遊技盤YBの前方に向かって延びるように形成されている。より詳しくは、振分片22bの左側に振分片22aが配置される一方で、振分片22bの右側に振分片22cが配置されている。そして、振分片22bと振分片22cは、鈍角をなすように配置される一方で、振分片22aと振分片22cは、鋭角をなすように配置されている。振分片22a,22bによって、振分片22bの左側に球受け部23aが区画形成される。同様に、振分片22b,22cによって、振分片22bの右側に球受け部23bが区画形成される。また、振分片22bは、その他の振分片22a,22cに比して長く形成されている。また、第1振分装置G1の後面及び該第1振分装置G1と対向する遊技盤YBの表面には、互いの引力によって引き付けあうことで、第1振分装置G1の振分状態を維持する磁石(図示せず)が配設されている。
また、振分装置G1,G2の下方であって、第1振分装置G1寄りには、誘導部材24が配設されている。誘導部材24によって、第1振分装置G1の左側に左転動路Lが区画形成される一方で、第1振分装置G1の右側に右転動路Rが区画形成される。一方、第2振分装置G2の左側に左転動路Lが形成される一方で、第2振分装置G2の右側に右転動路Rが形成される。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10では、左方向又は右方向に夫々遊技球を振分可能な2つの振分装置G1,G2を用いているが、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なるように配設している。つまり、第1振分装置G1の左転動路Lと第2振分装置G2の右転動路Rを共通化することにより、単に振分装置G1,G2を並設しただけでは想起し得ない数の振分ルートを設定することができる。なお、「単に振分装置G1,G2を並設する」とは、第1振分装置G1の左転動路Lと第2振分装置G2の右転動路Rが共通化されないように並設することを指す。
本実施形態では、振分機構Fによって振分可能な振分ルートとして、第1振分ルートX1a(第1ルート)、第1振分ルートX1b(第2ルート)、及び第2振分ルートX2(第3ルート)が設定されている。また、以下の説明では、第1振分ルートX1aと第1振分ルートX1bを合わせて「第1振分ルートX1」と示す場合がある。
以下、図11に従って、各振分ルートX1,X2について説明する。
まず、第1振分ルートX1aについて説明する。
図11(a)に示すように、第1振分ルートX1aは、振分機構Fの左側に設定されている。第1振分ルートX1a上には、第1始動入賞口13及び下大入賞口17が形成されている。また、第1振分ルートX1aには、振分機構F内において第2振分装置G2の左側に設定された第1振分通路t1を介して遊技球が振り分けられる。
次に、第1振分ルートX1bについて説明する。
図11(b)に示すように、第1振分ルートX1bは、振分機構Fの左側に設定されている。第1振分ルートX1b上には、第1始動入賞口13及び下大入賞口17が形成されている。また、第1振分ルートX1bには、振分機構F内において第1振分装置G1と第2振分装置G2の間に設定された第2振分通路t2を介して遊技球が振り分けられる。本実施形態では、第1振分ルートX1aと第1振分ルートX1bは同一のルートとされる一方、第1振分ルートX1a又は第1振分ルートX1bに遊技球を振り分けるまでの振分機構F内の振分通路(振分通路t1,t2)が異なっている。
次に、第2振分ルートX2について説明する。
図11(c)に示すように、第2振分ルートX2は、振分機構Fの右側に設定されている。第2振分ルートX2上には、第2始動入賞口15が形成されている。また、第2振分ルートX2には、振分機構F内において第1振分装置G1の右側に設定された第3振分通路t3を介して遊技球が振り分けられる。
以下、図11に従って、各振分ルートX1,X2を遊技球が転動する流れについて、その作用とともに説明する。なお、以下の説明では、入球口Faに入球して第1振分ルートX1aに振り分けられた遊技球を「1球目」とし、以降、入球口Faに遊技球が入球する度に「2球目」、「3球目」…として計数する。そして、一度、第1振分ルートX1aに遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートX1aに遊技球が振り分けられた場合、その遊技球を、再度、「1球目」として計数するものとする。
まず、図11(a)に従って、第1振分ルートX1aに遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
1球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置G1の球受け部23aで受け止められる。このとき、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なっている。この重なりにより、第2振分装置G2によって第1振分装置G1の左方向への回動が規制される。また、振分装置G1,G2の後面及び振分装置G1,G2と対向する遊技盤YBの表面に磁石がそれぞれ配設されていることで、第1振分装置G1の左方向への回動が規制された状態が維持される。
したがって、1球目の遊技球Yが第1振分装置G1の左側を転動したしても、該第1振分装置G1が回動しないことで、第1振分装置G1の振分状態(遊技球が振り分けられる方向)が切り替わらず、第1振分装置G1の振分状態が維持される。
ただし、遊技球Yが第2振分装置G2の振分片22aを転動した場合、遊技球Yの重さによって第2振分装置G2が左方向に回動するため、第2振分装置G2の振分状態が第2振分状態から第1振分状態に切り替わる。そして、その遊技球Yは、第1振分通路t1を通過して第1振分ルートX1aに振り分けられるとともに、第1振分装置G1の維持と第2振分装置G2の回動により、第2誘導状態B2に移行する。
このように、振分装置G1,G2がそれぞれ右側に傾いているとともに、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なっている第1誘導状態B1(図11(a))で遊技球が振分装置G1,G2を転動した際に、第1振分ルートX1aに振り分けられる。
次に、図11(b)に従って、第1振分ルートX1bに遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
2球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置G1の球受け部23aによって受け止められる。このとき、第1振分装置G1の振分片22aと第2振分装置G2の振分片22bが重なっていない。これにより、第1振分装置G1の振分片22aによって受け止められた遊技球Yの重さによって第1振分装置G1が左方向に回動するため、第1振分装置G1の振分状態が第2振分状態から第1振分状態に切り替わる。遊技球Yは、第2振分装置G2の球受け部23bで受け止められ、遊技球Yの重さによって第2振分装置G2が右方向(第2方向)に回動するため、第2振分装置G2の振分状態が第1振分状態から第2振分状態に切り替わる。そして、その遊技球Yは、第2振分通路t2を通過して第1振分ルートX1bに振り分けられるとともに、振分装置G1,G2の回動により、第3誘導状態B3に移行する。
このように、第1振分装置G1が右側に、第2振分装置G2が左側にそれぞれ傾いているとともに、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なっていない第2誘導状態B2(図11(b))で遊技球が振分装置G1,G2を転動した際に、第1振分ルートX1bに振り分けられる。
次に、図11(c)に従って、第2振分ルートX2に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
3球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置G1の球受け部23bによって受け入れられる。このとき、第1振分装置G1の振分片22aと第2振分装置G2の振分片22bが重なっていない。これにより、第1振分装置G1の振分片22cによって受け止められた遊技球Yの重さによって第1振分装置G1が右方向に回動するため、第1振分装置G1の振分状態が第1振分状態から第2振分状態に切り替わる。遊技球Yは、第1振分装置G1の右側を通過するため、第2振分装置G2が回動しないことで、第2振分装置G2の振分状態が切り替わらず、第2振分装置G2の振分状態が維持される。そして、その遊技球Yは、第3振分通路t3を通過して第2振分ルートX2に振り分けられるとともに、第1振分装置G1の回動と第2振分装置G2の維持により、第1誘導状態B1に移行する。つまり、第1振分装置G1の回動により、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に接触することで、再度、第1誘導状態B1に戻ることになる。
このように、第1振分装置G1が左側に、第2振分装置G2が右側にそれぞれ傾いているともに、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なっていない第3誘導状態B3(図11(c))で遊技球が振分装置G1,G2を転動した際に、第2振分ルートX2に振り分けられる。
そして、振分機構Fは、遊技球を二方向に振り分ける第1振分装置G1と第2振分装置G2の組み合わせによって、各誘導状態B1〜B3を生起させることができる。また、振分機構Fは、各誘導状態B1〜B3を3球に1球の割合で必ず生起させることが可能となるため、各振分ルートX1,X2へ遊技球を安定して振り分けることができる。具体的には、1球目の遊技球を第1振分ルートX1aに、2球目の遊技球を第1振分ルートX1bに、3球目の遊技球を第2振分ルートX2に夫々振り分けることができる。ただし、第1振分ルートX1aと第1振分ルートX1bは同一のルートであるため、第1振分ルートX1に遊技球が2回振り分けられた後、第2振分ルートX2に遊技球が振り分けられることになる。よって、3球に1球の割合で、遊技球を必ず第2振分ルートX2に振り分けることができる。これにより、各振分ルートX1,X2への遊技球の振り分けについて再現性を有しているとともに、特定の振分ルートへの遊技球の振分率を安定化させることができる。なお、「特定の振分ルートへの遊技球の振分率」とは、「入球口Faに入球した全遊技球に占める特定の振分ルートに振り分けられた遊技球の個数」を指す。
そして、本実施形態では、第2振分ルートX2上に第2始動入賞口15を配設しているため、振分機構Fによって、各誘導状態B1〜B3を3球に1球の割合で必ず生起させることで、図柄変動ゲームの始動条件を一定の割合で、かつ再現性を持って成立させることが可能となる。本実施形態では、第1の実施形態における第1振分ルートW1を第2振分ルートX2に読み替える一方で、振分ルートW2,W3を第1振分ルートX1a,X1bに読み替えることができる。この場合、図柄変動ゲーム実行中にゲームの始動条件が保留されるという事態が起こり難くなり、図柄変動ゲームの実行間隔が不均一となることを抑制するという、第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。
したがって、本実施形態では、第1の実施形態の効果(1)〜(3),(5)〜(7)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)二つの振分状態(振分装置が左方向又は右方向に傾いている状態)に移行させて遊技球を二方向に振り分ける第1振分装置G1と第2振分装置G2の組み合わせによって、各誘導状態B1〜B3を生起させることができる。また、振分機構Fは、各誘導状態B1〜B3を均等な間隔、すなわち所定球毎(実施形態では、3球に1球)に必ず生起させることが可能となることで、各誘導状態を均等な間隔で必ず生起させることが可能となるため、所定ルートへ遊技球を安定して振り分けることができる。
(9)遊技球を二方向に振り分けるだけの比較的簡便な構成を持つ第1振分装置G1と第2振分装置G2を用いているが、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なり得るように配設した。これにより、振分装置G1,G2を重ねることなく単に振分装置G1,G2を並設しただけでは設定できない3状態(誘導状態B1〜B3)への切り替えが可能となる。
(10)第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なる第1誘導状態B1と、第1振分装置G1の振分片22aが第2振分装置G2の振分片22bの下方に重ならない第2誘導状態B2及び第3誘導状態B3に誘導状態を切り替え可能とした。これらの誘導状態の切り替わりにより、遊技球の振分ルートを全て異ならせることができる。
(11)第3誘導状態B3での第2振分ルートX2への遊技球の振り分けにより、第1振分装置G1が回動して該第1振分装置G1の振分状態が切り替わり、該第1振分装置G1の振分片22aが、第2振分装置G2の振分片22bの下方に重なる。これによれば、第1誘導状態B1で遊技球が振分機構F内を通過した際、第1振分装置G1及び第2振分装置G2によって、振分装置G1,G2の間に位置する第2振分通路t2が塞がれるため、第1振分ルートX1aに繋がる第1振分通路t1以外の振分通路を遊技球が転動してしまうことを防止することができる。
(12)また、第1振分装置G1と第2振分装置G2の回動及び回動時における第1振分装置G1の振分片22aと第2振分装置G2の振分片22bの接触により、第1誘導状態B1を生起させることができるため、第1誘導状態B1を生起させるために特別な制御(例えば、電気的な制御)を行わなくて済む。
(第3の実施形態)
次に、図12に従って、第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同一構成、及び同一制御には、同一の符号を付すなどしてその説明を省略又は簡略化する。
図12に示すように、本実施形態の振分機構Fは、機械式の第1振分装置H1と、機械式の第2振分装置H2を構成要素に含む。さらに、本実施形態の振分機構Fは、遊技球を入球可能に構成された入球口Faを構成要素に含む。また、本実施形態の振分機構Fは、遊技球を下流側に誘導する誘導部材24を構成要素に含む。
以下、振分機構Fを構成する振分装置H1,H2について詳細に説明する。なお、振分装置H1,H2は同一構成のため、ここでは第1振分装置H1を中心に説明する。
振分機構Fにおいて、入球口Faの下方に第1振分装置H1が配設されている一方で、第2振分装置H2は、第1振分装置H1よりもやや左下方に位置するように配設されている。なお、本実施形態の入球口Faは、表示枠体HW上方に形成された通路Tと繋がっており、該通路Tを通過する遊技球を受け入れるようになっている。
第1振分装置H1を構成する軸受20の外周面には、複数(本実施形態では3つ)の振分片22a,22b,22cが周方向に所定間隔を空けて配置されている。より詳しくは、振分片22bの左側に振分片22aが配置される一方で、振分片22bの右側に振分片22cが配置されている。振分片22a,22bによって、振分片22bの左側に球受け部23aが区画形成される。同様に、振分片22b,22cによって、振分片22bの右側に球受け部23bが区画形成される。また、振分片22bは、その他の振分片22a,22cに比して長く形成されている。また、振分装置H1の後面及び該第1振分装置H1と対向する遊技盤YBの表面には、互いの引力によって引き付けあうことで、第1振分装置H1の振分状態を維持する磁石(図示せず)が配設されている。
また、第1振分装置H1において軸受20の下方には、誘導部材24が配設されている。誘導部材24は、第1振分装置H1の回動範囲を規制する回動規制部25を有している。回動規制部25の右側は、振分片22cと接触して第1振分装置H1の右方向への許容範囲を超えた回動を規制する第1規制面25aとして機能する。また、回動規制部25の左側は、振分片22aと接触して第1振分装置H1の左方向への許容範囲を超えた回動を規制する第2規制面25bとして機能する。
さらに、誘導部材24は、遊技球を下流側に誘導する誘導片26を有している。誘導片26によって、第1振分装置H1の左側に左転動路Lが区画形成される一方で、第1振分装置H1の右側に右転動路Rが区画形成される。
また、第2振分装置H2の下方には、回動規制部28が形成されている。回動規制部28の右側は、振分片22cと接触して第2振分装置H2の右方向への許容範囲を超えた回動を規制する第1規制面28aとして機能する。また、回動規制部28の左側は、振分片22aと接触して第2振分装置H2の左方向への許容範囲を超えた回動を規制する第2規制面28bとして機能する。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1振分装置H1が回動した際、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なるように配設されている。つまり、第1振分装置H1の左転動路Lと第2振分装置H2の右転動路Rを共通化することにより、単に振分装置H1,H2を並設しただけでは想起し得ない数の振分ルートを設定することができる。本実施形態では、振分機構Fによって振分可能な振分ルートとして、第1振分ルートZ1(第1ルート)、第2振分ルートZ2(第2ルート)、及び第3振分ルートZ3(第3ルート)が設定されている。
以下、図12に従って、各振分ルートZ1〜Z3について説明する。
まず、第1振分ルートZ1について説明する。
図12(a)に示すように、第1振分ルートZ1は、振分機構Fの左側に設定されている。第1振分ルートZ1上には、第1始動入賞口13及び下大入賞口17が形成されている。
次に、第2振分ルートZ2について説明する。
図12(b)に示すように、第2振分ルートZ2は、第1振分装置H1及び第2振分装置H2の間に設定されている。第2振分ルートZ2上には、第1始動入賞口13及び下大入賞口17が形成されている。
次に、第3振分ルートZ3について説明する。
図12(c)に示すように、第3振分ルートZ3は、振分機構Fの右側に設定されている。第3振分ルートZ3上には、第2始動入賞口15が形成されている。
以下、図12に従って、各振分ルートZ1〜Z3を遊技球が転動する流れについて、その作用とともに説明する。なお、以下の説明では、入球口Faに入球して第1振分ルートZ1に振り分けられた遊技球を「1球目」とし、以降、入球口Faに遊技球が入球する度に「2球目」、「3球目」…として計数する。そして、一度、第1振分ルートZ1に遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートZ1に遊技球が振り分けられた場合、その遊技球を、再度、「1球目」として計数するものとする。
まず、図12(a)に従って、第1振分ルートZ1に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
1球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置H1の球受け部23aで受け止められる。このとき、第1振分装置H1は僅かに右方向に傾いているとともに、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なっている。この重なりにより、第1振分装置H1を転動した遊技球Yが第2振分ルートZ2に振り分けられることなく、第2振分装置H2の球受け部23aで受け止められる。即ち、第1振分装置H1は、球受け部23aで受け止めた遊技球Yの重さによって左方向へ回動しようとするものの、振分片22aの下方に接触する第2振分装置H2の振分片22bによって支持され、その左方向への回動が規制される。
また、振分装置H1,H2の後面及び振分装置H1,H2と対向する遊技盤YBの表面に磁石がそれぞれ配設されていることで、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なっている状態が維持される。
ただし、遊技球Yが第2振分装置H2の振分片22aを通過した場合、遊技球Yの重さによって第2振分装置H2が左方向(第1方向)に回動するため、第2振分装置H2の振分状態が第2振分状態から第1振分状態に切り替わる。また、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なっているため、第2振分装置H2の回動により、第2振分装置H2の振分片22bが第1振分装置H1の振分片22aを跳ね上げることになる。これにより、第1振分装置H1が右方向(第2方向)に回動するため、第1振分装置H1の振分状態が第1振分状態から第2振分状態に切り替わる。そして、その遊技球Yは、第1振分ルートZ1に振り分けられるとともに、振分装置H1,H2の回動により、第2誘導状態C2に移行する。
このように、第1振分装置H1が左側に、第2振分装置H2が右側にそれぞれ傾いているとともに、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なっている第1誘導状態C1(図12(a))で遊技球が振分装置H1,H2を転動した際に、第1振分ルートZ1に振り分けられる。
次に、図12(b)に従って、第2振分ルートZ2に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
2球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置H1の球受け部23aによって受け入れられる。このとき、第1振分装置H1の振分片22aと第2振分装置H2の振分片22bが重なっていない。これにより、第1振分装置H1の振分片22aによって受け止められた遊技球Yの重さによって第1振分装置H1が左側に回動するため、第1振分装置H1の振分状態が第2振分状態から第1振分状態に切り替わる。
第2振分装置H2の振分片22aが第2規制面28bに接触していることにより、第1振分装置H1の振分片22aと第2振分装置H2の振分片22cが近接した状態となる。ただし、第1振分装置H1の振分片22aと第2振分装置H2の振分片22cは接触していないが、その間隔は遊技球Yの直径よりも短いため、第1振分装置H1の振分片22aを通過した遊技球Yは、第2振分装置H2の球受け部23bで受け止められる。そして、遊技球Yの重さによって第2振分装置H2が右方向に回動するため、第2振分装置H2の振分状態が第1振分状態から第2振分状態に切り替わる。そして、その遊技球Yは、第2振分ルートZ2に振り分けられるとともに、振分装置H1,H2の回動により、第3誘導状態C3に移行する。
このように、第1振分装置H1が右側に、第2振分装置H2が左側にそれぞれ傾いているとともに、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なっていない第2誘導状態C2(図12(b))で遊技球が振分装置H1,H2を転動した際に、第2振分ルートZ2に振り分けられる。
次に、図12(c)に従って、第3振分ルートZ3に遊技球Yを振り分ける流れについて説明する。
3球目の遊技球Yが入球口Faに入球すると、該遊技球Yは、第1振分装置H1の球受け部23bによって受け入れられる。これにより、第1振分装置H1の振分片22cによって受け止められた遊技球Yの重さによって第1振分装置H1が右方向に回動するため、第1振分装置H1の振分状態が第1振分状態から第2振分状態に切り替わる。このとき、第2振分装置H2は、該第2振分装置H2の振分片22bが右方向に回動しようとする第1振分装置H1の振分片22aと接触(係合)するため、左方向に回動される。しかしながら、第1振分装置H1の振分片22aと第2振分装置H2の振分片22cとの接触は、第2振分装置H2が完全に左方向へ回動するより前に解除される。さらに、第2振分装置H2は、前述した磁石Jの引力によって右方向へ再び回動し、結果的に振分状態が切り替わらず、第2振分装置H2の振分状態が維持される。そして、その遊技球Yは、第3振分ルートZ3に振り分けられる。また、第1振分装置H1が右方向に回動した後、反動で左方向に回動し、第1振分装置H1の振分片22aが、第2振分装置H2の振分片22bの上方に再び接触し、再び第1誘導状態C1に移行する。
このように、第1振分装置H1が左側に、第2振分装置H2が右側に傾いているとともに、第1振分装置H1の振分片22aが第2振分装置H2の振分片22bの上方に重なっていない第3誘導状態C3(図12(c))で遊技球が振分装置H1,H2を転動した際に、第3振分ルートZ3に振り分けられる。
本実施形態の振分機構Fにおいても、遊技球を二方向に振り分ける第1振分装置H1と第2振分装置H2の組み合わせによって、各誘導状態C1〜C3を生起させることができる。また、振分機構Fは、各誘導状態C1〜C3を3球に1球の割合で必ず生起させることが可能となるため、各振分ルートZ1〜Z3へ遊技球を安定して振り分けることができる。具体的には、1球目の遊技球を第1振分ルートZ1に、2球目の遊技球を第2振分ルートZ2に、3球目の遊技球を第3振分ルートZ3に夫々振り分けることができる。よって、3球に1球の割合で、遊技球を必ず第3振分ルートZ3に振り分けることができる。これにより、各振分ルートZ1〜Z3への遊技球の振り分けについて再現性を有しているとともに、特定の振分ルートへの遊技球の振分率を安定化させることができる。
そして、本実施形態では、第3振分ルートZ3上に第2始動入賞口15を配設しているため、振分機構Fによって、各誘導状態C1〜C3を3球に1球の割合で必ず生起させることで、図柄変動ゲームの始動条件を一定の割合で、かつ再現性を持って成立させることが可能となる。本実施形態では、第1の実施形態における第1振分ルートW1を第3振分ルートZ3に読み替える一方で、振分ルートW2,W3を振分ルートZ1,Z2に読み替えることができる。この場合、図柄変動ゲーム実行中にゲームの始動条件が保留されるという事態が起こり難くなり、図柄変動ゲームの実行間隔が不均一となることを抑制するという、第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。
したがって、本実施形態では、第1,第2の実施形態の効果(1)〜(3),(5)〜(12)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(13)第2振分装置H2の振分片22bが第1振分装置H1の振分片22aを跳ね上げることで振分装置H1,H2が回動して第2誘導状態C2に移行する。つまり、第2振分装置H2の回動を利用して第1振分装置H1を回動させることが可能となるため、第2誘導状態C2を生起させるために特別な制御(例えば、電気的な制御)を行わなくて済む。
なお、上記各実施形態は以下のように変更しても良い。
・第1の実施形態において、発射ハンドルHDの操作によって発射された遊技球が、全て入球口Faに入球しなくても良い。このような構成とする場合、振分機構Fの配設箇所は遊技盤YBの右方領域に限られない。遊技盤YBの中央領域などに振分機構Fを配設する場合、遊技釘Kなどによって遊技球の流下経路が変更されることがあるため、発射された全ての遊技球が入球口Faに入球するとは限らないことになる。
・第1の実施形態において、小当り遊技中に上大入賞口16が開放する回数はどのような回数であっても良い。例えば、上大入賞口16が複数回開放する場合、小当り遊技における1回目の開放中に第5振分ルートW5を転動した遊技球が上大入賞口16に入球し得るよう、小当り変動パターンP5に基づく変動時間を設定しても良い。また、小当り遊技における最終回の開放中に第5振分ルートW5を転動した遊技球が上大入賞口16に入球し得るよう、小当り変動パターンP5に基づく変動時間を設定しても良い。つまり、小当り変動パターンP5に定める変動時間は、上大入賞口16が開放しているタイミングで遊技球が上大入賞口16に入球し得るのであれば、どのような長さであっても構わない。
・第1の実施形態において、振分ルートW1〜W5に配設する各種入球箇所を異ならせても良い。例えば、第1振分ルートW1上に第2始動入賞口15を配設する一方で、第2振分ルートW2上に上大入賞口16を配設しても良い。そして、振分ルートW3〜W5上に第1始動入賞口13及び下大入賞口17を配設するなどしても良い。このような場合、第2始動入賞口15に遊技球が入球してから、別の遊技球が小当り抽選当選時に開放する上大入賞口16が配設された第2振分ルートW2に遊技球が振り分けられるまでの間隔が、実施形態における間隔に比して短くなるため、小当り変動パターンP5で特定される変動時間も変更する必要がある。ただし、実施形態における振分ルートW1,W5など、対応付けられた入球箇所が全振分ルートにおいてそれぞれ1種類しか設定されていない振分ルートを対象として、振分ルートに配設する入球箇所を異ならせることが好ましい。また、特定ルートと非特定ルートは、それぞれ1個ずつでも構わないし、それぞれ複数個ずつ設定されていても良い。
・第1の実施形態において、振分機構Fを構成する振分装置の個数を変更しても良い。この場合、振分装置の個数を1個としても良いが、複数個とした方が振分ルートのバリエーションが増加するため、複数個とすることが好ましい。
・第1の実施形態の振分装置F1〜F4は、1つの振分装置によって3方向以上に遊技球を振分可能な振分装置としても良い。また、全ての振分装置F1〜F4が同一構成である必要はなく、2方向に遊技球を振分可能な振分装置と、3方向に遊技球を振分可能な振分装置を組み合わせて振分機構Fを構成しても良い。
・各実施形態において、振分片の形状を変更しても良い。例えば、下流に位置する振分装置では、振分片のうちいずれか一片を、右側に倒れ難い形状かつ右側に倒れ難い角度を持つ振分片としても良い。
・第2の実施形態において、第3の実施形態のように、振分ルート毎に振分通路が異なっていても良い。
・第3の実施形態において、第2の実施形態のように、振分通路は夫々異なるが、2つの振分ルートが共通化されていても良い。
・第2,第3の実施形態において、第1誘導状態において第1振分装置を転動した遊技球が、第1振分装置と第2振分装置の間に位置する振分ルートに振り分けられることがないようにできるのであれば、第1振分装置の振分片22aと第2振分装置の振分片22bの接触状態を問わない。
・第2,第3の実施形態において、振分機構Fを構成する振分装置の個数を変更しても良い。
・第2,第3の実施形態において、振分機構Fを構成する第1振分装置及び第2振分装置を1セットとし、該1セットとなる第1振分装置及び第2振分装置を、下流側に1セットずつ配置するようにしても良い。このようにすれば、下流側に配置された1セットの第1振分装置及び第2振分装置に関しても、各振分ルートへの遊技球の振り分けについて再現性を有しているとともに、特定の振分ルートへの遊技球の振分率を安定化させることができる。
・第2,第3の実施形態において、何れかの振分ルート上に上大入賞口16を配設しても良い。このような場合、第1の実施形態における第5振分ルートW5に対応する振分ルートを設定することで、小当り変動パターンP5に基づく図柄変動ゲーム中も遊技球を連続して発射させ続けていれば、第5振分ルートW5に振り分けられた遊技球が、上大入賞口16が開放しているタイミングで到達し得ることになる。そして、小当り遊技中、賞球を獲得させる機会を与えることができるという、第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。
・第1の実施形態において、振分機構Fを構成する振分装置F1〜F4のうち、連続して配設されている任意の2つの振分装置を、第2の実施形態における振分装置G1,G2に変更しても良い。このようにすれば、振分ルートのバリエーションを増加させることができる。
・第1の実施形態において、振分機構Fを構成する振分装置F1〜F4のうち、連続して配設されている任意の2つの振分装置を、第3の実施形態における振分装置H1,H2に変更しても良い。このようにすれば、振分ルートのバリエーションを増加させることができる。
・各実施形態において、はずれリーチ変動パターンP3に定められた変動時間を、「一度、第1振分ルートに遊技球が振り分けられてから、再度、第1振分ルートに遊技球が振り分けられるまでに要する時間以内」に設定しても良い。つまり、はずれリーチ変動パターンとして定められた全ての変動パターン、又ははずれリーチ変動パターンとして定められた変動パターンのうち、少なくとも最も変動時間が短い変動パターンについて、上記時間以内となる変動時間を設定しても良い。
・各実施形態において、はずれ変動パターンP1,P2及びはずれリーチ変動パターンP3に定められた変動時間を、「一度、特定ルートに遊技球が振り分けられてから、再度、特定ルートに遊技球が振り分けられるまでに要する時間以内」に設定しても良い。つまり、当り抽選に当選しなかったときに選択可能な全ての変動パターン、又は当り抽選に当選しなかったときに選択可能な変動パターンのうち、少なくとも最も変動時間が短い変動パターンについて、上記時間以内となる変動時間を設定しても良い。
・各実施形態において、はずれ変動パターンP1,P2に定められた変動時間を、「一度、特定ルートに遊技球が振り分けられてから、再度、特定ルートに遊技球が振り分けられるまでに要する時間以内」に設定しても良い。つまり、はずれ変動パターンとして定められた全ての変動パターン、又ははずれ変動パターンとして定められた変動パターンのうち、少なくとも最も変動時間が短い変動パターンについて、上記時間以内となる変動時間を設定しても良い。
・各実施形態において、はずれ変動パターンP1,P2に定められた変動時間を、「一度、特定ルートに遊技球が振り分けられてから、再度、特定ルートに振り分けられるまでに要する時間」に、「特定ルートに振り分けられた遊技球が第2始動入賞口15に入球するまでの時間」を合算した時間よりも短い時間となるように設定しても良い。
・各実施形態において、大当り抽選当選時に開放する大入賞口と、小当り抽選当選時に開放する大入賞口を兼用しても良い。
・各実施形態では、大当り判定と小当り判定を同時に行っても良い。つまり、大当り判定で大当り判定と判定されなかった場合に小当り判定を実行するのではなく、当り判定において大当りと判定されるか、又は小当りと判定されるかを判定しても良い。
・各実施形態では、小当り抽選を行わなくても良い。
・各実施形態において、常時開放している始動入賞口の個数を変更しても良い。つまり、始動入賞口に遊技球を入球可能な振分ルートの個数を変更しても良い。
・各実施形態における規制手段としては、磁石や回動規制部を用いなくても良く、例えば、振分片が嵌合するような凹部を設け、振分片が凹部に嵌合することを利用して、振分装置における振分状態を維持させるようにしても良い。
・各実施形態において、磁石Jの斥力により振分装置における振分状態を維持させるようにしてもよい。
・各実施形態は、入球率向上機能を搭載したパチンコ遊技機に採用しても良い。入球率向上機能は、大当り遊技終了後に、単位時間あたりの第1始動入賞口13への遊技球の入球確率を向上させる入球率向上状態を付与する機能である。入球率向上状態は、単位時間あたりの第1始動入賞口13への遊技球の入球確率が増加することで、大当り抽選の権利を獲得し易くなることから、遊技者にとって有利な状態となり得る。このような場合、第1始動入賞口13に遊技球を振分可能な振分ルートも、特定ルートとして機能することになる。
・各実施形態では、演出表示装置11の下方に、第2始動入賞口15とは異なる、常時開口した始動入賞口を形成しても良い。そして、入球率向上状態が付与されていないときには、演出表示装置11の下方に形成された始動入賞口を狙って遊技球を発射させる一方、入球率向上状態が付与されているときには、第1始動入賞口13又は第2始動入賞口15を狙って遊技球を発射させる遊技性としても良い。
・各実施形態において、作動ゲートGを省略しても良い。また、作動ゲートGの省略に伴い、普図当り抽選も実行しなくても良い。
・各実施形態では、演出表示装置11を液晶式としたが、ドットマトリクス式や7セグメントLED式の演出表示装置としても良いし、ドラム式などの機械式の演出表示装置としても良い。
・各実施形態は、特図と飾図を用いるパチンコ遊技機に具体化したが、特図のみを用いるパチンコ遊技機に具体化しても良い。
次に、各実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)上記遊技機において、前記第1ルート、前記第2ルート、及び前記第3ルートのうち少なくとも何れかのルート上に、遊技球を入球可能な入球口が配設されていても良い。
(ロ)上記遊技機において、前記入球口は、入球を契機に図柄変動ゲームの始動条件を付与する始動入球口であっても良い。
(ハ)上記遊技機において、前記第1振分装置及び前記第2振分装置は、前記第1振分装置及び前記第2振分装置が維持されている状態において、前記第1振分装置及び前記第2振分装置の回動を規制する規制手段を有していても良い。
(ニ)上記遊技機において、前記第1ルート、前記第2ルート、及び前記第3ルートのうち少なくとも何れか1つのルート上には、入球を契機に図柄変動ゲームの始動条件を付与する始動入球口が配設されており、前記始動条件の成立を契機に実行される当りか否かの当り抽選に当選しなかった場合に行われる図柄変動ゲームのうち、少なくとも最も変動時間が短い図柄変動ゲームの変動時間は、遊技球が連続して発射され、かつ連続して発射された遊技球が全て前記入球口に入球した場合において、前記特定ルートに遊技球が振り分けられてから、再度、前記特定ルートに振り分けられるまでに要する時間以内に設定されていても良い。