第1実施例から第4実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、各実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプを備える。詳細は各実施例で説明するが、大入賞口内には、遊技球の通過が利益状態への移行条件となる特定領域が設けられる。遊技者は、特別遊技中に特定領域への遊技球の通過を狙うことで、利益状態の獲得を目指す遊技性となる。
(第1実施例)
第1実施例のぱちんこ遊技機は、第1の遊技と第2の遊技で共通して用いられる1つの大入賞口を備える。そして大入賞口内に、遊技球の通過が確率変動状態への移行条件となる所定の領域(以下、「確変特定領域」とも称する。)と、確変特定領域への遊技球の入球可否を切り替える機構(以下、「確変特定領域機構」とも称する。)を設ける。確変特定領域は、特別遊技終了後の確変を獲得するための確変作動領域と言え、確変用Vゾーンとも言える。確変特定領域機構は、確変特定領域への遊技球の入球を可能にした状態と、不可能にした状態との間で切り替わる機構である。
ところで、ぱちんこ遊技機では、射倖性が高くなりすぎないことが望ましく、単位時間あたりの出玉の量も偏りすぎないことが望ましい。ここで、特別遊技ごとに確変特定領域機構の状態が変わると、特別遊技ごとに確変の獲得容易性が異なる結果となり、出玉の偏りが大きくなって、出玉設計も困難になることが考えられる。そのため、確変特定領域機構の制御パターンは単一となることが望ましいと言える。より具体的には、確変特定領域機構は、特別遊技の各ラウンドにおける大入賞口の開放後、同じ態様で動作することが望ましいと言える。
このように、確変特定領域機構の制御パターンを単一とすることをぱちんこ遊技機の制約とした結果、確変特定領域への入球可否の状態も単一のパターンで推移することになる。したがって、大入賞口の開閉パターンを1つとすると、全ての特別遊技の少なくとも一部の期間では、大入賞口内の確変特定領域を遊技球が通過しうる状態が生じることとなり、確変特定領域を遊技球が通過し得ない状態の特別遊技を設けることが困難になる。そこで本実施例のぱちんこ遊技機は、大入賞口の開閉パターンを複数種類設ける。そして確変特定領域機構の単一の制御パターンと、大入賞口の複数種類の開閉パターンを組み合わせることで、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の特別遊技と、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の特別遊技の両方を、1つの大入賞口を用いて実現する。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、第1始動入賞口(以下「第1始動口」という)62、第2始動入賞口(以下「第2始動口」という)63、センター飾り64、大入賞口91、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動口62と第2始動口63とは、遊技領域52のセンター飾り64の下方位置に上下に並ぶように配置されている。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、第1始動口62または第2始動口63へ入球があるたびに実行される。
第1始動口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動口63は、始動入賞検出装置75と、拡開機構である普通電動役物65(いわゆる電動チューリップ)と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。
普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動口63への入球容易性が高まる。普通電動役物65の1回の開放時間は、通常状態においては0.2秒程度の短時間であるが、入球容易状態においては普通電動役物65の1回の開放時間が6秒程度と通常入球状態よりも長く設定されるので、遊技球は第2始動口63に入球しやすくなる。
なお、本実施例では、図示のように普通電動役物65が拡開していない状態においては第2始動口63がその直上の第1始動口62によって遮蔽され、その入球が規制される態様となる。また、入球容易状態でない限り普通電動役物65の拡開頻度は低いため、第2始動口63への入球はほぼ期待できない。このように、入球容易状態でない場合、第2始動口63へ入球させることは第1始動口62へ入球させるより困難となる。一方、入球容易状態になると、普通電動役物65が高頻度で、かつ、長く拡開されることにより第2始動口63への入球容易性が高められ、第1始動口62へ入球させるよりもむしろ第2始動口63へ入球させる方が容易となる。このため、第2始動口63の入球容易性が低い状態においては主に第1始動口62へ入球させ、第2始動口63の入球容易性が高められた状態においては主に第2始動口63へ入球させる遊技性となる。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口91は、第1の遊技および第2の遊技に共通の大入賞口として設けられ、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置77(不図示)と、大入賞口91を拡開させるための大入賞口ソレノイド78を備える。入賞検出装置77は、大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口91は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口91は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口91の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口91を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口91の入賞検出装置77は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。大入賞口91の詳細な構成は後述する。
遊技領域52の左下方に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが左右に並設され、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動が表示される。遊技領域52の略中央には演出表示装置60が設けられ、第1特別図柄192または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
第1特別図柄192は、第1始動口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の判定結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の判定結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。本実施例においてセグメントの組合せで表される第1特別図柄192および第2特別図柄193は、必ずしも文字や数字の体をなしておらず、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってよい。これらの記号が高速で次々に入れ替わって第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71へ表示されることにより、第1特別図柄192および第2特別図柄193の図柄変動表示が実現される。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の第1特別図柄192および第2特別図柄193を表現してもよい。
演出表示装置60は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、第1特別図柄192および第2特別図柄193で示される抽選の判定結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
作動口68は、遊技盤50の右側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は普通電動役物65を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の判定結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常入球状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。普通電動役物65の開放時間は、例えば通常状態では0.2秒間であり、入球容易状態では6秒間である。普通図柄の変動時間は、例えば通常状態では30〜60秒間であり、入球容易状態では2秒間である。
なお、上述の通り普通図柄の当り確率の変動、普通電動役物65の開放時間の延長、普通図柄の変動時間の短縮の3つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める構成を本実施例では採用する。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動口63への入球容易性を高めることは可能である。また、後述の通り本実施例ではいわゆる「時短」と呼ばれる特別図柄の変動時間短縮機能を入球容易状態においてさらに実施する仕様とするが、変形例では入球容易状態において特別図柄の時短を実施しない仕様としてもよい。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、第1特別図柄保留表示装置20および第2特別図柄保留表示装置21が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1特別図柄表示装置70の下方には第1の遊技に対応する第1特別図柄保留表示装置20が設けられ、第2特別図柄表示装置71の下方には第2の遊技に対応する第2特別図柄保留表示装置21が設けられている。第1特別図柄保留表示装置20は2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第1の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第1特別図柄保留表示装置20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動口62へ入賞した抽選値の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特別図柄保留表示装置21も2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第2の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第2特別図柄保留表示装置21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動口63へ入賞した抽選値の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
普通図柄保留表示装置22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄195の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄195の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や第1始動口62、第2始動口63、大入賞口91の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
第1始動口62または第2始動口63に入球すると、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71および演出表示装置60において第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。第1特別図柄192および第2特別図柄193は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって第1特別図柄192および第2特別図柄193が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
特別遊技には通常特別遊技と短縮特別遊技の2種類があり、それぞれ獲得賞球による利益に大きな差が生じる。通常特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口91が開放され、その開放時間の合計が約30秒(本実施例では29秒)に達した後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口91の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口91の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって通常特別遊技が終了される。通常特別遊技においては、1回の単位遊技あたり9球以上の入球が十分に期待でき、15回分の単位遊技によって十分な賞球(これを「出玉」ともいう)を獲得でき、大きな利益が得られる。15回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「15R大当り」「15R特別遊技」とも称する。また、8回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「8R大当り」「8R特別遊技」とも称する。
本実施例のぱちんこ遊技機10では、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の15R特別遊技、8R特別遊技と、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の15R特別遊技、8R特別遊技を設けている。前者の特別遊技では、大入賞口が開放中に、確変特定領域への入球が可能な状態となる。その一方、後者の特別遊技は、大入賞口が開放中に、確変特定領域への入球が不可能な状態が維持される。
一方、短縮特別遊技は、開始デモ時間および終了デモ時間もなく、1回の単位遊技で大入賞口91を0.2秒間だけ開放させる。この単位遊技を2回繰り返して短縮特別遊技が終了される。短縮特別遊技では、ごく短時間の大入賞口91の開放を2回繰り返すだけであるため、大入賞口91にはほとんど入球し得ず、実質的に出玉がほぼゼロに等しい特別遊技である。2回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「2R大当り」とも称する。本実施例のぱちんこ遊技機10では2R大当りは発生しないこととする。ただし変形例として2R大当りが発生する構成であってもよい。
停止時の第1特別図柄192または第2特別図柄193および装飾図柄190が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、大入賞口91が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。
特別遊技が終了した後の通常遊技において特定遊技の一つである入球容易状態が開始される。入球容易状態においては、開放抽選が当りになる確率を通常より高め、普通図柄の変動時間を通常状態より短縮するとともに、普通電動役物65の拡開時間を通常状態よりも長くする、いわゆる開放延長を実行する。このように、入球容易状態では一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動口63への入球容易性も増すため、第2始動口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、入球容易状態では第2始動口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさないか、あるいは少しずつ持ち玉を増やしながら遊技し続けることが可能となる。入球容易状態においては、さらに第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数(本実施例では50回とする)の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば入球容易状態もいったん終了する。入球容易状態において第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
本実施例では、特別遊技中に大入賞口91へ入球した遊技球が大入賞口91内の確変特定領域を通過した場合に、特別遊技終了後の通常遊技において、特定遊技の一つである確変がさらに開始される。確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。ただし、特別遊技終了後の通常遊技において所定回数(本実施例では50回とする)の図柄変動表示が終了するまでに次の大当りが発生しない場合、その時点で確変は終了する。すなわち本実施例のぱちんこ遊技機10は回数切り確変の遊技性を提供するいわゆるST機である。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40は、ぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動口62、第2始動口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による判定結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、第1実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動口62、第2始動口63、大入賞口91、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段129、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技制御手段122、開閉制御手段124、特図調整手段152を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口91に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、当否抽選手段として機能する。第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114を含み、第1始動口62への入球に対応する当否抽選として第1の抽選を実行する。第1の抽選の判定結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119を含み、第2始動口63への入球に対応する当否抽選として第2の抽選を実行する。第2の抽選の判定結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の判定結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。例えば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1当否抽選値、第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを複数保持する。複数の当否判定テーブルには、大当りおよび外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、通常確率状態においては通常の当り確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動状態においては通常確率より大当り確率が高くなる当否テーブルを参照する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと8R大当りのいずれとなるかは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図3に戻り、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による判定結果は、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71において第1特別図柄192および第2特別図柄193の形で変動表示される。また、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定の結果と別途取得する図柄抽選値に基づいて、特別図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する図柄判定テーブルを保持する。
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に第1当否判定手段113が参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が大当りであった場合に第2当否判定手段117が参照するテーブルである。図5(c)は当否判定結果が外れであった場合に、第1当否判定手段113と第2当否判定手段117の両方が参照するテーブルであり、図5(d)は当否判定結果が小当りであった場合に、第1当否判定手段113と第2当否判定手段117の両方が参照するテーブルである。第1当否判定手段113は、図柄判定において本図の(a)(c)(d)の図柄判定テーブルを参照し、第2当否判定手段117は、図柄判定において本図の(b)(c)(d)の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、特別図柄の種類を示す「0」〜「10」、「A」〜「E」の番号・記号と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」〜「9」が大当りに対応し、「A」〜「E」が小当りに対応し、「10」が外れに対応する。各種類には複数の特別図柄、すなわちセグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号が複数割り当てられている。
図5(a)に示す通り、第1特別図柄192の種類「0」〜「4」が大当りに対応付けられている。そのうち種類「0」は、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の15R特別遊技が実行される15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜59」に対応付けられる。種類「1」「2」は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の15R特別遊技が実行される15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「60〜119」に対応付けられる。種類「3」は、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の8R特別遊技が実行される8R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「120〜189」に対応付けられる。種類「4」は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の8R特別遊技が実行される8R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「190〜255」に対応付けられる。
図5(b)に示す通り、第2特別図柄193の種類「5」〜「9」が大当りに対応付けられている。そのうち種類「5」は、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の15R特別遊技が実行される15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜109」に対応付けられる。種類「6」「7」は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の15R特別遊技が実行される15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「110〜169」に対応付けられる。種類「8」は、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の8R特別遊技が実行される8R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「170〜239」に対応付けられる。種類「9」は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の8R特別遊技が実行される8R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「240〜255」に対応付けられる。
図5(a)(b)に示すように、図柄抽選値の範囲の大きさによって、第1特別図柄192および第2特別図柄193の種類が定まり、第1特別図柄192による大当り種類、第2特別図柄193による大当り種類が決まる。第2特別図柄193による大当りの場合、第1特別図柄192による大当りのときよりラウンド数が多い特別遊技を高確率で実行し、その結果、高確率で出玉が多くなる。また第2特別図柄193による大当りの場合、第1特別図柄192による大当りのときより高確率で後述の確変開閉パターンを選択し、その結果、確変を獲得しやすくなる。すなわち実施の形態では、第1の遊技での第1特別図柄192の大当りによる確変突入率より、第2の遊技での第2特別図柄193の大当りによる確変継続率の方が大きくなるよう設定している。図5の例では、確変突入率として、第1特別図柄192による大当りの場合に確変開閉パターンを選択する確率は約50%となる。その一方、確変継続率として、第2特別図柄193による大当りの場合に確変開閉パターンを選択する確率は約70%となる。
変形例として、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は共通の図柄判定テーブルを参照してもよい。言い換えれば、第1特別図柄192と第2特別図柄193のいずれによる大当りでも、同確率でラウンドを振分け、同じ開閉パターンを同確率で選択してもよい。
図5(c)に示す通り、種類「10」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
図5(d)に示す通り、特別図柄の種類「A」〜「E」が小当りに対応付けられている。種類「A」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、種類「B」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。種類「C」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、種類「D」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、種類「E」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
図3に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得するパターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得するパターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルをそれぞれ複数保持する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
図6は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りまたは8R大当りのときは図6(b)に示される15R大当りおよび8R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が小当りのときは図6(c)に示される小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する。
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図7は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
第1欄212には、特図保留手段144による第1の抽選の保留数または第2の抽選の保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、特図保留手段144による第1の抽選の保留数または第2の抽選の保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲よりやや小さい。また、第3欄216では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなり、第4欄218にて「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさはまたさらに小さくなっている。
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
図3に戻り、普図抽選手段129は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値(以下「普図抽選値」ともいう)を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段129が参照する当否テーブルには、当りまたは外れの判定結果と普図抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。入球容易状態では250/256程度の高確率で当たるよう設定され、作動口68を遊技球が通過するとほぼ確実に第2始動口63が拡開される。逆に通常状態では1/256程度の低確率に設定される。普図抽選手段129による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄195の形で変動表示される。普図抽選手段129は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄195の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。その図柄範囲テーブルには普図抽選値と普通図柄195の対応関係が定められており、普図抽選手段129は、普通図柄195の停止図柄を図柄範囲テーブルを参照して決定する。
普図抽選手段129は、また、普通図柄195の変動時間を決定するために参照すべき時間決定テーブルを保持し、内部状態に応じて普通図柄195の変動時間を選択する。普図抽選手段129は、通常状態における普通図柄195の変動表示において30秒から60秒の間で比較的長い変動時間をランダムに選択する。一方、入球容易状態においては2秒と通常状態よりも相当短い変動時間を選択する。時間決定テーブルには、このような内部状態と普通図柄195の変動時間との対応関係が定められており、普図抽選手段129は、普通図柄195の変動時間を時間決定テーブルを参照して決定する。
普通図柄195について決定された停止図柄が所定の図柄となった場合、普通図柄195が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄195の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、特図保留手段144、普図保留手段147を含む。特図保留手段144は、新たに第1の抽選または第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選または第2の抽選に対する図柄変動の開始を保留し、その当否抽選値を対応する図柄の変動表示開始まで記憶する。本実施例では第1の抽選について4個を上限に当否抽選値を記憶し、第2の抽選について4個を上限に当否抽選値を記憶する。普図保留手段147は、普図抽選手段129により取得された普図抽選値を保留球として記憶する。これらの保留数がそれぞれ第1特別図柄保留表示装置20、第2特別図柄保留表示装置21、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。特図保留手段144による保留の数は表示領域194にも表示される。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の判定結果に対応して決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の判定結果に対応して決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段148は、特図保留手段144により第2の抽選の当否抽選値が記憶されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、特図保留手段144により第1の抽選の当否抽選値が記憶されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1の抽選と第2の抽選の双方に抽選値が保留されていた場合、第2の抽選で保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2の抽選の保留数が0になるまでは第1の抽選で保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、判定ないし決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段129による抽選の判定結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。特図調整手段152は、第1始動口62および第2始動口63のうちいずれに遊技球が入球したかの順序に関係なく、第2始動口63への入球に基づく第2特別図柄193の変動表示を、第1始動口62への入球に基づく第1特別図柄192の変動表示より優先させる。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、つねに第2当否抽選値を優先的に消化させ、第2特別図柄193を連続的に変動表示させる。これにより、出玉の獲得が期待できない第1始動口62への入球よりも、出玉の獲得が期待できる第2始動口63への入球に基づく図柄変動が優先的に実行されるため、遊技者の期待に添った遊技の進行が実現される。
なお、変形例における特図調整手段152は、第1特別図柄192の変動表示と第2特別図柄193の変動表示とを、第1始動口62および第2始動口63への入球順序にしたがって選択的に変動表示させてもよい。例えば、第1始動口62、第1始動口62、第2始動口63の順序で入球したときは、第1特別図柄192、第1特別図柄192、第2特別図柄193の順序で変動表示される。この場合、特図調整手段152は保留制御手段116を監視して当否抽選値の保留順序を記憶する。どちらの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順、すなわち保留制御手段116における当否抽選値の保留順序にしたがって決定されるので、遊技者は変動の順序を視覚的に把握しやすい。
別の変形例における特図調整手段152は、第1特別図柄192の変動表示と第2特別図柄193の変動表示とを、入球順序にかかわらず予め定められた消化順序にて表示させてもよい。例えば、第1特別図柄192の変動表示と第2特別図柄193の変動表示とを交互に表示することを優先してもよい。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、第1特別図柄192と第2特別図柄193とが交互に変動表示される。いずれの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順に関係なく単純に交互に入れ替わるので、遊技者は変動の順序を感覚的に把握しやすい。
特図調整手段152は、また、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方が当り態様で停止されたときは他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。
特別遊技は、大入賞口91の開閉動作を複数回連続して継続する遊技であり、1回以上の開閉を単位とした複数回の単位遊技(以下、「ラウンド」とも称する。)で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、単位遊技を8回繰り返す8R大当りがある。特別遊技制御手段120は、15R大当りおよび8R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口91を原則として約29秒間開放させる。変形例として2R大当りが発生する場合は、2R特別遊技の1回の単位遊技において大入賞口91を約0.5秒間だけ開放させてもよい。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当り、8R大当りと同様の開放態様で大入賞口91を開放させてもよい。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
特定遊技制御手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技制御手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、特別遊技において大入賞口内の確変特定領域を遊技球が通過した場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、本実施例では50回に達するまで継続される。同様に、確変状態も、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、本実施例では50回に達するまで継続される。なお、時短状態および入球容易状態の継続期間と、確変状態の継続期間とは一致しなくてもよく、一方が他方より長く継続されてもよい。
時短状態においては、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選値の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄195の時短、普通図柄195の確変、第2始動口63の開放延長が実施される。なお、本明細書において特に断り無く単に「時短」と呼ぶ場合、入球容易状態も含むこととする。一方、確変状態の間は第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
開閉制御手段124は、第2始動口63の普通電動役物65や大入賞口91の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄195が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、入球容易状態においては普通電動役物65を通常状態に比べて長い時間作動させ、第2始動口63を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。第2始動口63の入球容易性を高め、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。開閉制御手段124は、特別遊技においては特別遊技制御手段120からの指示に応じて、大入賞口ソレノイド78に開放指示を送り、大入賞口91を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の判定結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の判定結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、読み出した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、第1抽選手段126または第2抽選手段128による抽選の判定結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
装飾図柄の変動パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当り図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動パターンを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の判定結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の判定結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の判定結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否抽選の判定結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄190を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったことと、それ以前の第1の抽選および第2の抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
演出表示制御手段134は、第2の抽選の当否抽選値が記憶されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保し、第1の抽選の当否抽選値が記憶されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1の抽選と第2の抽選の双方について抽選値が保留されていた場合は第2の抽選で保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2の抽選の保留数が0になるまでは第1の抽選で保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動表示を含む図柄変動演出を演出表示装置60に表示させる。
本実施例のぱちんこ遊技機10の特徴的な構成を以下説明する。
大入賞口91は、入賞検出装置77と、大入賞口ソレノイド78に加えて、排出経路160と、アタッカー162と、確変特定領域機構164と、確変通過検出装置166と、確変機構ソレノイド168を含む。
図8は、大入賞口91の構成を詳細に示す。アタッカー162は、大入賞口ソレノイド78の制御に応じて、大入賞口91の入口を開閉する電動役物である。大入賞口ソレノイド78は、アタッカー162を開放状態に制御する、すなわち大入賞口91の入口を開くようにアタッカー162を動作させることで、大入賞口91を開放状態にして大入賞口91への遊技球の流入を可能な状態とする。また大入賞口ソレノイド78は、アタッカー162を閉鎖状態に制御する、すなわち大入賞口91の入口を塞ぐようにアタッカー162を動作させることで、大入賞口91を閉鎖状態にして大入賞口91への遊技球の流入が不可能な状態とする。大入賞口91内に入球した遊技球は、一旦右方向へ流れて、典型的には1球ずつ通過可能な入球口から大入賞口91の下部エリアへ流入する。入賞検出装置77は、大入賞口91への遊技球の入球を検出し、具体的には大入賞口91の下部エリアへの入球口にて遊技球を検出する。
排出経路160は、大入賞口91へ入球した遊技球を大入賞口91の外部へ排出するための経路である。大入賞口91へ入球した遊技球は排出経路160を通って、典型的にはぱちんこ遊技機10の外部へ排出される。大入賞口91内には、入球した遊技球が排出経路160に至る流路の途中に、確変特定領域を設けている。確変特定領域は、通常は確変特定領域機構164により閉鎖され、遊技球が通過し得ない領域であり、具体的には確変特定領域機構164の下の領域が該当する。
確変特定領域機構164は、確変特定領域への遊技球の通過が可能な状態と、不可能な状態とで切り替える機構であり、例えば、確変機構ソレノイド168の制御に応じてスライドする蓋機構である。確変機構ソレノイド168は、確変特定領域機構164を開放状態に制御する、すなわち確変特定領域への流路を開くように確変特定領域機構164を動作させることで、確変特定領域への遊技球の通過が可能な状態にする。また確変機構ソレノイド168は、確変特定領域機構164を閉鎖状態に制御する、すなわち確変特定領域への流路を塞ぐように確変特定領域機構164を動作させることで、確変特定領域への遊技球の通過が不可能な状態にする。
確変通過検出装置166は、確変特定領域機構164の下位置に設けられ、確変特定領域における遊技球の通過を検出するセンサであり、確変特定領域を遊技球が通過した場合にその通過を示す確変通過情報を生成する。入球判定手段110は、確変通過情報を受け取ると、遊技球が確変特定領域を通過したと判定し、その旨を特定遊技制御手段122へ通知する。特定遊技制御手段122は、確変特定領域を遊技球が通過した旨が通知されると、特別遊技終了後に確変状態へ移行させる。なお、確変特定領域の開放状況や、確変特定領域への入球状況が遊技者から確認可能なように、大入賞口91の前面は、透明な部材(ガラスやプラスチック等)で構成されてよい。他の実施例における大入賞口も同様である。
図3に戻り、特別遊技制御手段120は、大入賞口制御手段180と確変機構制御手段182を含む。確変機構制御手段182は、特別遊技において確変特定領域機構164を開放状態に制御するタイミングおよび閉鎖状態に制御するタイミングを定めた単一の制御パターンを保持する。確変機構制御手段182は、大当りを示す特別図柄の種類(すなわち特別遊技の種類)にかかわらず、特別遊技の各ラウンドで、単一の制御パターンにしたがって、確変特定領域機構164の状態を制御する。具体的には、開閉制御手段124を介して確変機構ソレノイド168へ開閉を指示することにより、確変特定領域機構164を開放状態とし、また閉鎖状態とする。
単一の制御パターンは、特別遊技の種類にかかわらず、また、特別遊技の各ラウンドで共通して用いられる。具体的に、この制御パターンは、特別遊技の各ラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放されてから(すなわちアタッカー162が最初に開放状態になってから)、所定の待機期間が経過するまで確変特定領域機構164を閉鎖状態に維持することを定めている。また、待機時間が経過すると確変特定領域機構164を開放状態とし、各ラウンドにおいて大入賞口91が最終的に閉鎖されるまで(すなわちラウンドの終了まで)開放状態を維持することを定めている。なお本明細書における「単一の制御パターン」は、確変特定領域機構164(第2実施例以降の時短特定領域機構170)の動作規則が1つであることを意味し、すなわち、どの特別遊技の、どのラウンドであるかにかかわらず、確変特定領域機構164が同じ動作をすることを保証するよう定められた制御用データであれば、実際のデータ構造は問わない。
確変特定領域機構164の閉鎖状態が維持される待機期間は、1つのラウンドにおいて大入賞口91を開放する合計時間として許容される予め定められた規定時間(本実施例では29秒)より長く設定される。言い換えれば、待機期間は、大入賞口91を最初に開放してから大入賞口91の開放状態を連続して継続する場合の制限時間(本実施例では29秒)より長く設定される。本実施例での待機期間は34秒である。
大入賞口制御手段180は、特別遊技において大入賞口91を開放するタイミングおよび閉鎖するタイミングを定めた開閉パターンを複数種類保持する。大入賞口制御手段180は、大当りを示す第1特別図柄192および第2特別図柄193の種類に応じて、複数種類の開閉パターンの中から1つの開閉パターンを選択する。そして、選択した開閉パターンにしたがって大入賞口91の開閉を制御する。具体的には、開閉制御手段124を介して大入賞口ソレノイド78へ開閉を指示することにより、大入賞口91のアタッカー162を開放状態とし、また閉鎖状態とする。
複数種類の開閉パターンには、15R確変開閉パターン、8R確変開閉パターン、15R非確変開閉パターン、8R非確変開閉パターンが含まれる。15R確変開閉パターン、8R確変開閉パターン(この2つを総称して「確変開閉パターン」とも称する。)は、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の15R特別遊技、8R特別遊技における大入賞口91の開閉パターンである。具体的には、特別遊技中の少なくとも一部の期間において、大入賞口91に入球した遊技球が高い確率で確変特定領域機構164を通過するように、大入賞口91を開放状態とするタイミングを、確変特定領域機構164が開放状態のタイミングと重複するよう定めた開閉パターンである。
15R非確変開閉パターン、8R非確変開閉パターン(この2つを総称して「非確変開閉パターン」とも称する。)は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の15R特別遊技、8R特別遊技における大入賞口91の開閉パターンである。具体的には、特別遊技中の少なくとも一部の期間において、大入賞口91に入球した遊技球が確変特定領域機構164を通過することが困難(実質的に不可能)なように、大入賞口91を開放状態とするタイミングを、確変特定領域機構164が開放状態のタイミングと重複しないよう定めた開閉パターンである。
大入賞口制御手段180は、第1特別図柄192の大当り図柄種類が「0」であるとき、15R確変開閉パターンを選択し、第1特別図柄192の大当り図柄種類が「1」「2」であるとき、15R非確変開閉パターンを選択する。また、第1特別図柄192の大当り図柄種類が「3」であるとき、8R確変開閉パターンを選択し、第1特別図柄192の大当り図柄種類が「4」であるとき、8R非確変開閉パターンを選択する。また大入賞口制御手段180は、第2特別図柄193の大当り図柄種類が「5」であるとき、15R確変開閉パターンを選択し、第2特別図柄193の大当り図柄種類が「6」「7」であるとき、15R非確変開閉パターンを選択する。また、第2特別図柄193の大当り図柄種類が「8」であるとき、8R確変開閉パターンを選択し、第2特別図柄193の大当り図柄種類が「9」であるとき、8R非確変開閉パターンを選択する。
ここで、本実施例における大入賞口91の開閉パターンでは、特別遊技の特定のラウンド(以下、「特定ラウンド」とも呼ぶ。)において、他のラウンドと異なり、確変特定領域への遊技球の通過が容易になる可能性を示唆する態様で大入賞口91を開閉させることを定めている。本実施例では15R特別遊技における特定ラウンドは15ラウンド目とし、8R特別遊技における特定ラウンドは8ラウンド目とする。ただし、最終ラウンド以外を特定ラウンドとしてもよく、また、複数のラウンドを特定ラウンドとしてもよい。
非確変開閉パターンは、特定ラウンド以外のラウンドにおいては、大入賞口91を29秒連続して開放することを定める。特定ラウンドにおいては、大入賞口91を1秒開放した後、2秒間閉鎖することを10回繰り返し、最後に大入賞口91の閉鎖状態を4秒間維持した後に、ラウンドを終了することを定める。その一方、確変開閉パターンは、特定ラウンド以外のラウンドにおいては、大入賞口91を29秒連続して開放することを定める。特定ラウンドにおいては、大入賞口91を1秒開放した後、2秒間閉鎖することを10回繰り返し、大入賞口91の閉鎖状態を4秒間維持した後に、大入賞口91を19秒間連続して開放することを定める。したがって、非確変開閉パターンと確変開閉パターンは、特定ラウンドの最後に大入賞口91の19秒間連続開放がなされるか否かで異なる。
図9は、特別遊技における大入賞口91内の各機構の状態を示すタイミングチャートである。同図は、大入賞口91の開閉パターンとして非確変開閉パターンが選択された場合の状態変化を、左から時系列で示している。非確変開閉パターンと確変開閉パターンのいずれが選択された場合でも、特定ラウンド以外のラウンド、すなわち15R特別遊技における第15ラウンド、8R特別遊技における第8ラウンド以外のラウンドでは、大入賞口91は29秒間連続開放となる。なおラウンド間には、大入賞口91の閉鎖状態が維持される微少の待機時間であるラウンド間時間260が設けられている。
特定ラウンドにおいて大入賞口91は、30秒間に亘り短期開放を断続的に繰り返す。そして大入賞口91の最初の開放から34秒が経過すると特定ラウンドを終了する。なお、特定ラウンドにおいて34秒より前に、大入賞口91へ規定数の入球がなされると、その時点で特定ラウンドを終了する。確変特定領域機構164は、常に、各ラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放してから34秒間は閉鎖状態を維持し、34秒が経過して初めて開放状態へ制御される。したがって、非確変開閉パターンが選択された場合、大入賞口91が開放中に、確変特定領域機構164が開放状態となることはない。その結果、特別遊技期間中、確変特定領域への遊技球の通過が困難な状態、実質的には通過不可能な状態が維持される。
なお特定ラウンドでは、大入賞口91を最初に開放してから28秒経過後に大入賞口91の開放を終了させており、大入賞口91を最初に開放してから34秒後の、確変特定領域機構164の開放タイミングまでに余裕時間(マージン)を設けている。この余裕時間は、大入賞口91内へ入球した遊技球が、大入賞口91から排出されるまでに要すると想定される時間以上に設定される。余裕時間を設けることで、大入賞口91を最初に開放してから28秒が経過する直前に大入賞口91へ入球した遊技球が、確変特定領域へ入球してしまうことを防止する。
図10も、特別遊技における大入賞口91内の各機構の状態を示すタイミングチャートである。同図は、大入賞口91の開閉パターンとして確変開閉パターンが選択された場合の状態変化を、左から時系列で示している。特定ラウンドにおいて大入賞口91は、30秒間に亘り短期開放を断続的に繰り返し、4秒のインターバルの後、大入賞口91を19秒間長期開放する。そして大入賞口91の最初の開放から53秒が経過すると特定ラウンドを終了する。
確変特定領域機構164は、常に、各ラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放してから34秒間は閉鎖状態を維持し、34秒が経過して初めて開放状態となる。したがって、特定ラウンドでは、大入賞口91が最初に開放してから34秒が経過すると、以降、確変特定領域への遊技球の通過が容易な状態へ切り替わる。すなわち、大入賞口91内へ流入した遊技球が高い確率で確変特定領域を通過する状態へ移行する。例えば、大入賞口91内へ流入した遊技球が、ほぼ100%の確率で確変特定領域を通過するよう大入賞口91内の遊技球の流路が構成されてもよい。
演出決定手段132は、特別遊技の特定ラウンドにおける演出として、確変の獲得チャンスが訪れることを示唆する演出であり、言い換えれば、確変特定領域が開放されて遊技球の通過が可能になる可能性を示唆する演出(以下、「特定ラウンド演出)とも呼ぶ」)を選択する。演出表示制御手段134は、特別遊技の特定ラウンドにおける大入賞口91の短期開放期間中、例えば図9および図10において特定ラウンドの開始から34秒の間に特定ラウンド演出を演出表示装置60に表示させ、また特定ラウンド演出に対応する音声をスピーカ18から出力させる。
特定ラウンド演出は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態に制御される15R特別遊技、8R特別遊技用の非確変特定ラウンド演出と、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態に制御される15R特別遊技、8R特別遊技用の確変特定ラウンド演出を含む。演出決定手段132は、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態に制御される15R特別遊技(すなわち大当り図柄が「1」「2」「6」「7」の場合)、8R特別遊技(すなわち大当り図柄が「4」「9」の場合)が特定ラウンドに達すると、非確変特定ラウンド演出を選択する。また、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態に制御される15R特別遊技(すなわち大当り図柄が「0」「5」の場合)、8R特別遊技(すなわち大当り図柄が「3」「8」の場合)が特定ラウンドに達すると、確変特定ラウンド演出を選択する。
非確変特定ラウンド演出には、確変の獲得チャンスにならなかったこと、言い換えれば、確変特定領域が開放されないことを最終的に示唆する内容が定められる。例えば、非確変特定ラウンド演出は、味方キャラクタと敵キャラクタとのバトル演出でもよく、最終的に味方キャラクタの敗北を示す内容であってもよい。その一方、確変特定ラウンド演出には、確変の獲得チャンスが訪れたこと、言い換えれば、確変特定領域が開放されることを最終的に示唆する内容が定められる。例えば、確変特定ラウンド演出は、味方キャラクタと敵キャラクタとのバトル演出でもよく、最終的に味方キャラクタの勝利を示す内容であってもよい。これにより、特定ラウンドでのバトル演出が味方キャラクタの勝利を示す結果となると、あたかも勝利の特典として、確変特定領域機構164への遊技球の通過が容易な状態になるかのように見せることができる。言い換えれば、特定ラウンド演出の内容が、確変特定領域機構164の開閉状態と連動するかのような遊技性を提供できる。
また演出決定手段132は、特定ラウンドにおいて、大入賞口91の特定領域を遊技球が通過すると、確変を獲得したことを報知する内容の確変報知演出を選択する。演出表示制御手段134は、確変報知演出を演出表示装置60に表示させ、確変報知演出に対応する音声をスピーカ18から出力させる。
第1実施例のぱちんこ遊技機10によると、遊技盤50上に配置された大入賞口は1つでありながら、単一の制御パターンにしたがって確変特定領域機構164を制御し、複数種類の開閉パターンのうち大当りの種類に応じたパターンにしたがって大入賞口91の開閉を制御する。これにより、確変特定領域機構164への遊技球の通過が相対的に容易な状態の特別遊技と、相対的に困難な状態の特別遊技を1つの大入賞口を用いて選択的に実行する。この態様によると、遊技盤50上に確保すべき大入賞口の個数を抑制でき、盤面設計の自由度を高めやすくなる。また、大入賞口に入球した遊技球を排出するための構成を簡素化できる。例えば、遊技球の排出部材(排出経路等)の共通化を促進でき、盤面の背面構成の複雑さを低減できる。
また、特別遊技の単位遊技における確変特定領域機構164の動作態様は一定(制御パターンは単一)という制約の下で、大入賞口91の複数種類の開閉パターンとの組み合わせにより、確変特定領域への遊技球の通過容易性が異なる特別遊技を実現できる。また、大入賞口91の開放合計時間が制限される制約の下、特定ラウンドの前半では大入賞口91を短期開放することで、1)確変特定領域を開放するまでの時間計測の開始トリガを与えることができる、2)大入賞口91の短期開放の間に閉鎖期間を設けるため、確変特定領域を開放するまでの大入賞口91の開放時間を抑制でき、確変特定領域開放後の、大入賞口91の開放時間を確保できる、3)短期開放のため入球は困難であり、確変特定領域開放までに入球数の制限で特定ラウンドが終了することを抑制しやすくなる。
以上の構成による動作および制御の過程を以下説明する。
図11は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動口62、第2始動口63、一般入賞口72、大入賞口91、確変特定領域などへ入賞した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、図柄変動などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、小当り遊技の制御処理を実行する(S17)。その後、S10の入賞処理においてセットされた賞球数にて各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図12は、図11におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。第1始動口62または第2始動口63に入球があった場合(S20のY)、始動入賞口に対応する賞球数をセットする(S22)。第1始動口62への入球であれば特図保留手段144における第1の抽選の保留数が4未満であるか否かを参照し、第2始動口63への入球であれば特図保留手段144における第2の抽選の保留数が4未満であるか否かを参照し、それぞれにさらなる保留が可能な状態であれば(S24のY)、当否抽選値を取得する(S26)。そして当否抽選値を特図保留手段144に保留する(S30)。S20において第1始動口62または第2始動口63への入球がない場合はS22からS30までの処理をスキップする(S20のN)。S24において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS26およびS30の処理をスキップする(S24のN)。以上のS20からS30までの処理が始動入賞口への入球に対する入賞処理である。
一般入賞口72に入球があった場合は(S32のY)、一般入賞口72に対応する賞球数をセットし(S34)、一般入賞口72への入球がないときはS34をスキップする(S32のN)。大入賞口91に入球があった場合は(S36のY)、大入賞口91に対応する賞球数をセットし(S38)、大入賞口91への入球がないときはS38をスキップする(S36のN)。また、大入賞口91内の確変特定領域を遊技球が通過した場合は(S40のY)、入球判定手段110はRAM内の特定遊技移行フラグをオンに設定する(S42)。確変特定領域で遊技球の通過がなければ(S40のN)、S42をスキップする。
図13は、図11におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行と(S152)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行とが(S154)、繰り返し処理されることとなる。
図14は、図13におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、特図保留手段144により第2の抽選の抽選値の保留がなされている場合(S62のY)、第2当否判定手段117が特図保留手段144から第2の抽選の抽選値を読み出して第2特別図柄193の当否を判定し(S64)、第2当否判定手段117が第2特別図柄193を決定し(S66)、第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し(S68)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第2特別図柄193の図柄変動を開始する(S77)。
特図保留手段144により第2の抽選の抽選値の保留がなされていない場合であって(S62のN)、第1の抽選の抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、第1当否判定手段113が特図保留手段144から第1の抽選の抽選値を読み出して第1特別図柄192の当否を判定し(S72)、第1当否判定手段113が第1特別図柄192を決定し(S74)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定し(S76)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第1特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。特図保留手段144により第1の抽選の抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。
すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動をあらかじめ決定された停止図柄にて停止する(S82)。このときの遊技状態が、確変状態・時短状態・入球容易状態を含む特定遊技状態であり(S84のY)、大当りが発生しないまま図柄変動表示回数が予め定められた特定遊技状態の継続上限回数に達した場合(例えば50回の図柄変動が終了した場合)(S86のY)、特定遊技制御手段122は特定遊技状態を終了して遊技状態を通常状態へ戻す(S88)。特定遊技状態でなく(S84のN)、または、図柄変動表示回数が継続上限回数に達していなければ(S86のN)、S88をスキップする。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82からS88までの処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
図15は、図13におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S180のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S182)、変動演出パターンを決定し(S184)、予告演出パターンを決定する(S192)。その後、装飾図柄の変動表示と予告演出の表示を開始する(S196)。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS182からS196をスキップする(S180のN)。
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S198のY)、その図柄変動や予告演出の表示処理を実行し(S200)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S202のY)、S182で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止する(S204)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS204をスキップし(S202のN)、変動表示が開始済みでないときはS200からS204をスキップする(S198のN)。
図16は、図11におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、特別遊技がまだ開始済でない場合(S92のN)、大入賞口91の開閉パターンを選択して(S93)、特別遊技を開始するとともに(S94)、あらかじめ選択された大当り演出の態様にて開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口91が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口91の開放処理を開始するとともに(S100)、単位遊技(ラウンド)ごとの演出として設定されたラウンド演出の表示を開始する(S103)。S103において、特定ラウンドに至った場合、確変特定領域への遊技球の通過が容易となる特別遊技では確変特定ラウンド演出を表示し、確変特定領域への遊技球の通過が困難な特別遊技では非確変特定ラウンド演出を表示する。また特定ラウンドでは、大入賞口91の最初の開放から短期開放、閉鎖が繰り返される間は、確変特定ラウンド演出または非確変特定ラウンド演出を継続する。
大入賞口91が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口91の閉鎖処理を実行し(S102)、確変特定領域の開閉処理を実行する(S310)。大入賞口91が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。
S106においては、特別遊技のデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。なお、終了デモ演出は特別遊技の終了演出として設定された演出である。デモ演出中でなければ(S106のN)、特別遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、特別遊技終了条件が満たされることになる。特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了する(S118)。
確変特定領域を遊技球が通過したことにより特定遊技移行フラグがオンに設定されている場合は、特定遊技制御手段122は、特別遊技終了後の通常遊技における遊技状態を特定遊技状態へ移行させ、特定遊技移行フラグをオフに戻す(S120)。確変特定領域を遊技球が通過せず、特定遊技移行フラグがオフであれば、特定遊技状態への移行はなされない。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降の処理をスキップする。
図17は、図16におけるS93の開閉パターン選択処理を詳細に示すフローチャートである。特別図柄の停止態様が、確変特定領域への入球が相対的に容易な状態の特別遊技と対応づけられた大当り図柄であった場合(S300のY)、大入賞口制御手段180は確変開閉パターンを選択する(S302)。その一方、特別図柄の停止態様が、確変特定領域への入球が相対的に困難な状態の特別遊技と対応づけられた大当り図柄であった場合(S300のN)、大入賞口制御手段180は非確変開閉パターンを選択する(S304)。なお確変機構制御手段182は、大当りの種類にかかわらず、常に同じ制御パターンを選択する。
図18は、図16におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。大入賞口制御手段180により選択された開閉パターンに基づく大入賞口91の開放タイミング、すなわち2回目以降の単位遊技であれば単位遊技ごとに定められたラウンド間時間260が経過したタイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、長開放または短開放の開放時間といった開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口91を開放させる(S126)。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
図19は、図16におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口91を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口91を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、後述のS320へ進む。
なお、この特別遊技における入球数による終了条件は大入賞口91への9球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口91の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。長開放特別遊技であれば大入賞口91の開放開始から29秒の経過であり、短開放特別遊技であれば大入賞口91の開放開始から0.2秒の経過である。このとき、単位遊技の繰り返し数が継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。この継続上限回数は15R大当りであれば15回であり、8R大当りであれば8回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、後述のS320へ進む。
S320において、ラウンド途中の閉鎖タイミングであれば(S320のY)、大入賞口91を閉鎖する(S322)。これは、大入賞口91の開閉パターンにおいてラウンドの終了前に閉鎖タイミングが定められていた場合であり、本実施例では、特定ラウンドにおける複数回の短期開放それぞれの終了タイミングでの処理となる。ラウンド途中の閉鎖タイミングでなければ(S320のN)、S322をスキップする。
図20は、図16におけるS310の特定領域開閉処理を詳細に示すフローチャートである。確変機構制御手段182は、ラウンド開始からの経過時間、すなわちラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放されてからの経過時間を計測する。確変機構制御手段182は、確変特定領域を閉鎖中、すなわち確変特定領域機構164を閉鎖状態に制御中に(S330のN)、ラウンド開始から34秒が経過したことを検出すると(S332のY)、確変特定領域機構164を開放状態へ制御することにより、確変特定領域への遊技球の入球が可能な状態へ切り替える(S334)。34秒が未経過であれば(S332のN)、S334をスキップする。
確変機構制御手段182は、確変特定領域を開放中、すなわち確変特定領域機構164を開放状態に制御中に(S330のY)、ラウンドが終了した場合、すなわち大入賞口91が最終的に閉鎖された状態になったときに(S336のY)、確変特定領域機構164を閉鎖状態へ制御することにより、確変特定領域への遊技球の入球が不可能な状態へ切り替える(S338)。ラウンドが継続中であれば(S336のN)、S338をスキップする。
図21は、図11におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S220のY)、小当り遊技がまだ開始済みでない場合は(S222のN)、小当り遊技を開始し(S224)、小当り遊技の導入演出として設定された開始デモ演出の表示を開始し(S226)、本処理を一旦終了する。すでに小当り遊技が開始済みであって(S222のY)、大入賞口91が開放済でなければ(S228のN)、大入賞口91の開放処理を実行し(S230)、開放済みであれば(S228のY)、大入賞口91の閉鎖処理を実行する(S232)。そして、大入賞口91が閉鎖状態になっていれば(S235のY)、S236へ移行する。閉鎖状態でなければ(S235のN)、S236以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。
S236においては、小当り遊技のデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。なお、終了デモ演出は小当り遊技の終了演出として設定された演出である。デモ演出中でなければ(S236のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S240のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S242)、終了デモ演出の表示を開始する(S244)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S240のN)、本処理を一旦終了する。
S236にてデモ演出中であると判定され(S236のY)、終了デモ演出が終了した場合(S246のY)、小当り遊技を終了する(S248)。終了デモ演出が終了していない場合には(S246のN)、S248以降の処理をスキップする。小当りでない場合は(S220のN)、S222以降のフローをスキップする。
図22は、図21におけるS230の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の開放タイミング、すなわち2回目以降の開放であれば所定の微少待機期間が経過したタイミングとなったとき(S250のY)、開閉制御手段124は、短開放の開放時間といった開閉パターンの動作を設定し(S252)、大入賞口91の開放を開始する(S254)。開放タイミングでないときは(S250のN)、S252およびS254の処理をスキップする。
図23は、図21におけるS232の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の終了タイミングとなったとき(S260のY)、終了フラグをオンにし(S262)、大入賞口91を閉鎖する(S264)。なお、この閉鎖タイミングは、例えば、大入賞口91の開放開始から0.2秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S260のN)、S262およびS264の処理をスキップする。
(第2実施例)
第2実施例のぱちんこ遊技機は、第1の遊技と第2の遊技で共通して用いられる1つの大入賞口内に、確変特定領域と確変特定領域機構を設けた点で第1実施例と同じであるが、その大入賞口内にさらに、時短特定領域と時短特定領域機構を設けた点で第1実施例と異なる。時短特定領域は、遊技球の通過が時短状態(特別図柄の変動時間短縮と第2始動口63の入球容易状態の両方を含む)への移行条件となる所定の領域である。また時短特定領域機構は、時短特定領域への遊技球の入球可否を切り替える機構である。時短特定領域は、特別遊技終了後の時短を獲得するための時短作動領域と言え、時短用Vゾーンとも言える。これまで、大入賞口内に時短特定領域を設けた遊技機はなかった。第2実施例では、1つの大入賞口内に確変特定領域と時短特定領域の両方を備え、特別遊技中、遊技者に確変および時短の利益獲得を狙わせることで、これまでにない斬新な遊技性を実現する。以下、第1実施例と同じ構成は適宜説明を省略し、主に差分を説明する。
本実施例では、大当りを示す特別図柄の態様が「0」〜「4」の場合、すなわち第1特別図柄192による大当りの場合、各単位遊技において大入賞口91の短期開放(本実施例では1秒開放)が連続してなされる8R特別遊技(以下、「短期開放8R特別遊技」とも呼ぶ。)または4R特別遊技(以下、「短期開放4R特別遊技」とも呼ぶ。)が実行される。その一方、大当りを示す特別図柄の態様が「5」〜「9」の場合、すなわち第2特別図柄193による大当りの場合、各単位遊技において大入賞口91の長期開放(18秒開放)がなされる15R特別遊技(以下、「長期開放15R特別遊技」とも呼ぶ。)または8R特別遊技(以下、「長期開放8R特別遊技」とも呼ぶ。)が実行される。また、特別遊技の各ラウンドでは、確変特定領域機構の2秒開放が3回繰り返され、それとは異なるタイミングで時短特定領域機構の2秒開放が3回繰り返される。
第1特別図柄192の大当りに伴う短期開放8R特別遊技、短期開放4R特別遊技ではでは、大入賞口91への入球は容易でないため出玉の獲得は期待できず、確変や時短の利益を得ることが主な目的となる。これに対して、第2特別図柄193の大当りに伴う長期開放15R特別遊技、長期開放8R特別遊技では、大入賞口91への入球が容易な状態になる。第2実施例のぱちんこ遊技機10では、まず第1特別図柄192を大当りさせて確変や時短を獲得し、確変や時短の継続期間中に、第2特別図柄193を大当りさせて出玉を獲得しつつ、確変や時短の継続を狙う遊技性となる。
図24は、第2実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。大入賞口91は、第1実施例での機能ブロックに加えて、時短特定領域機構170、時短通過検出装置172、時短機構ソレノイド174を備える。特別遊技制御手段120は、第1実施例での機能ブロックに加えて、時短機構制御手段184を備える。
図5(a)(b)に示した当否判定結果が大当りの場合の図柄判定テーブルについて説明する。本実施例でも、第1特別図柄192の種類「0」〜「4」と、第2特別図柄193の種類「5」〜「9」が大当りに対応付けられている。第1特別図柄192の種類「0」「1」「2」は、短期開放8R特別遊技が実行される8R大当りを示す。また第1特別図柄192の種類「3」「4」は、短期開放4R特別遊技が実行される4R大当りを示す。その一方、第2特別図柄193の種類「5」「6」は、長期開放15R特別遊技が実行される15R大当りを示す。また第2特別図柄193の種類「7」「8」「9」は、長期開放8R特別遊技が実行される8R大当りを示す。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となり、第1特別図柄192が「0」「1」「2」を示す態様で停止された場合に、短期開放8R特別遊技を実行する。第1特別図柄192が「3」「4」を示す態様で停止された場合に、短期開放4R特別遊技を実行する。また特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となり、第2特別図柄193が「5」「6」を示す態様で停止された場合に、長期開放15R特別遊技を実行する。第2特別図柄193が「7」「8」「9」を示す態様で停止された場合に、長期開放8R特別遊技を実行する。
特定遊技制御手段122は、特別遊技中に大入賞口91へ入球した遊技球が大入賞口91内の確変特定領域を通過した場合に、特別遊技終了後の通常遊技の遊技状態を、特定遊技の一つである確変へ移行させる。また、特別遊技中に大入賞口91へ入球した遊技球が大入賞口91内の時短特定領域を通過した場合に、特別遊技終了後の通常遊技の遊技状態を、特定遊技の一つである時短へ移行させる。すなわち、特定遊技制御手段122は、確変特定領域と時短特定領域それぞれへの遊技球の通過有無にもとづいて、確変への移行と時短への移行を独立して制御する。なお第1実施例と同様に、特定遊技制御手段122は、特別遊技終了後の通常遊技において50回の図柄変動表示が終了するまでに次の大当りが発生しない場合、その時点で確変を終了させる。また時短の継続回数も、第1実施例と同様に、50回の図柄変動表示が終了するまでとする。
したがって遊技者は、特別遊技中に複数の遊技球を大入賞口91へ入球させ、少なくとも1つの遊技球が確変特定領域を通過し、かつ、少なくとも1つの別の遊技球が時短特定領域を通過してはじめて、特別遊技終了後に確変と時短両方の利益を得ることができる。また、確変特定領域と時短特定領域のいずれか一方のみ遊技球が通過しただけで特別遊技が終了すると、遊技球が通過した特定領域に対応する利益のみを得ることになる。さらにまた、確変特定領域と時短特定領域のいずれも遊技球が通過することなく特別遊技が終了すると、確変と時短のいずれの利益も得ることはできない。
図25は、大入賞口91の詳細を示す。大入賞口91内には、入球した遊技球が排出経路160に至る流路の途中に、確変特定領域とともに時短特定領域を設けている。時短特定領域は、通常は時短特定領域機構170により閉鎖され、遊技球が通過し得ない領域であり、具体的には時短特定領域機構170の下の領域が該当する。大入賞口91内に流入した遊技球は、確変特定領域機構164が開放状態であれば、高い確率で確変特定領域を通過することとなり、確変特定領域機構164が閉鎖状態で、かつ、時短特定領域機構170が開放状態であれば、高い確率で時短特定領域を通過する。なお大入賞口91内の遊技球の流路において、確変特定領域よりも時短特定領域を上流(大入賞口91の入球口により近い位置)に配置してもよいことはもちろんである。
時短特定領域機構170は、時短特定領域への遊技球の通過が可能な状態と、不可能な状態とで切り替える機構であり、例えば、時短機構ソレノイド174の制御に応じてスライドする蓋機構である。時短機構ソレノイド174は、時短特定領域機構170を開放状態に制御する、すなわち時短特定領域への流路を開くように時短特定領域機構170を動作させることで、時短特定領域への遊技球の通過が可能な状態にする。また時短機構ソレノイド174は、時短特定領域機構170を閉鎖状態に制御する、すなわち時短特定領域への流路を塞ぐように時短特定領域機構170を動作させることで、時短特定領域への遊技球の通過が不可能な状態にする。
時短通過検出装置172は、時短特定領域機構170の下位置に設けられ、時短特定領域における遊技球の通過を検出するセンサであり、時短特定領域を遊技球が通過した場合にその通過を示す時短通過情報を生成する。入球判定手段110は、時短通過情報を受け取ると、遊技球が時短特定領域を通過したと判定し、その旨を特定遊技制御手段122へ通知する。特定遊技制御手段122は、時短特定領域を遊技球が通過した旨が通知されると、特別遊技終了後に時短状態へ移行させる。
図24に戻り、特別遊技制御手段120の時短機構制御手段184は、特別遊技において時短特定領域機構170を開放状態に制御するタイミングおよび閉鎖状態に制御するタイミングを定めた単一の制御パターンを保持する。時短機構制御手段184は、大当りを示す特別図柄の種類(すなわち特別遊技の種類)にかかわらず、特別遊技の各ラウンドで、単一の制御パターンにしたがって、時短機構制御手段184の状態を制御する。具体的には、開閉制御手段124を介して時短機構ソレノイド174へ開閉を指示することにより、時短特定領域機構170を開放状態とし、また閉鎖状態とする。
ここで、第2実施例における確変特定領域機構164の単一の制御パターン、時短特定領域機構170の単一の制御パターン、大入賞口91の複数種類の開閉パターンについて説明する。確変特定領域機構164の単一の制御パターンは、特別遊技の種類にかかわらず、また、特別遊技の各ラウンドで共通して用いられる。具体的に、この制御パターンは、特別遊技の各ラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放されると、その直後から確変特定領域機構164を2秒間開放することを3回繰り返して、以降、確変特定領域機構164を閉鎖状態に維持することを定める。
時短特定領域機構170の単一の制御パターンも、特別遊技の種類にかかわらず、また、特別遊技の各ラウンドで共通して用いられる。具体的に、この制御パターンは、特別遊技の各ラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放されてから、所定の待機期間(本実施例では9秒)が経過するまで時短特定領域機構170を閉鎖状態に維持することを定める。また、待機時間が経過すると時短特定領域機構170を2秒間開放することを3回繰り返すことを定める。このように本実施例では、特別遊技において、確変特定領域への遊技球の通過を可能な状態に制御している間は、時短特定領域への遊技球の通過を不可能な状態に制御する。逆に、時短特定領域への遊技球の通過を可能な状態に制御している間は、確変特定領域への遊技球の通過を不可能な状態に制御する。
大入賞口91の複数種類の開閉パターンは、8R短期開閉パターン、4R短期開閉パターン、15R長期開閉パターン、8R長期開閉パターンを含む。8R短期開閉パターンと4R短期開閉パターン(この2つを総称して「短期開閉パターン」とも称する。)は、特別遊技の初回ラウンドから最終ラウンドまでのそれぞれで、大入賞口91のアタッカー162を1秒間開放状態とし、2秒間閉鎖状態とすることを6回繰り返すことを定める。大入賞口制御手段180は、第1特別図柄192の大当り図柄種類が「0」「1」「2」であるとき8R短期開閉パターンを選択し、第1特別図柄192の大当り図柄種類が「3」「4」であるとき4R短期開閉パターンを選択する。
15R長期開閉パターンと8R長期開閉パターン(この2つを総称して「長期開閉パターン」とも称する。)は、特別遊技の初回ラウンドから最終ラウンドまでのそれぞれで、大入賞口91のアタッカー162を18秒間連続して開放状態とすることを定める。言い換えれば、1回のラウンド中で、大入賞口91を継続して開放させることを定めたパターンである。大入賞口制御手段180は、第2特別図柄193の大当り図柄種類が「5」「6」であるとき15R長期開閉パターンを選択し、第2特別図柄193の大当り図柄種類が「7」「8」「9」であるとき8R長期開閉パターンを選択する。
図26は、特別遊技における大入賞口91の各機構の状態を示すタイミングチャートである。同図は、大入賞口91の開閉パターンとして短期開閉パターンが選択された場合の1ラウンドでの状態変化を、左から時系列に示している。特別遊技の各ラウンドにおいて、大入賞口91は、1秒開放と2秒閉鎖を6回繰り返す。また確変特定領域機構164は、2秒開放と1秒閉鎖を3回繰り返し、以降、閉鎖状態となる。また時短特定領域機構170は、ラウンド開始から9秒間は閉鎖状態を維持し、以降、2秒開放と1秒閉鎖を3回繰り返す。
短期開閉パターンでは、大入賞口91が1秒開放と2秒閉鎖を繰り返すため、大入賞口91への入球は容易ではない。ただし、大入賞口91の開放期間と、確変特定領域機構164および時短特定領域機構170の開放期間は重複するため、大入賞口91へ入球した遊技球は、その入球タイミングに応じて、比較的高い確率で確変特定領域または時短特定領域を通過することとなる。すなわち、短期開放8R特別遊技と短期開放4R特別遊技では、各ラウンドの前半、すなわち大入賞口91の短期開放1回目〜3回目が確変獲得のチャンスとなる。また各ラウンドの後半、すなわち大入賞口91の短期開放4回目〜6回目が時短獲得のチャンスとなる。
図27も、特別遊技における大入賞口91の各機構の状態を示すタイミングチャートである。同図は、大入賞口91の開閉パターンとして長期開閉パターンが選択された場合の1ラウンドでの状態変化を、左から時系列に示している。特別遊技の各ラウンドにおいて、大入賞口91は、18秒間継続して開放状態となる。確変特定領域機構164は、2秒開放と1秒閉鎖を3回繰り返し、以降、閉鎖状態となる。また時短特定領域機構170は、ラウンド開始から9秒間は閉鎖状態を維持し、以降、2秒開放と1秒閉鎖を3回繰り返す。
長期開閉パターンでは、大入賞口91が18秒間連続開放となるため、大入賞口91への入球は容易であり、十分な出玉の獲得が容易である。また、大入賞口91の開放期間と、確変特定領域機構164および時短特定領域機構170の開放期間は重複するため、大入賞口91へ入球した遊技球は、その入球タイミングに応じて、比較的高い確率で確変特定領域または時短特定領域を通過することとなる。すなわち、長期開放15R特別遊技と長期開放8R特別遊技でも、各ラウンドの前半が確変の獲得チャンスとなり、ラウンドの後半が時短の獲得チャンスとなる。
ただし、ラウンドの前半で大入賞口91への入球数が規定数である9に達すると、その時点でラウンドは終了し、大入賞口91は閉鎖される。そのため、長期開放15R特別遊技および長期開放8R特別遊技において時短も獲得するためには、ラウンド後半にも大入賞口91へ入球させる必要がある。すなわち、大入賞口91への入球タイミングを遊技者自身で調整する必要がある。そこで変形例として、大入賞口91をラウンドの開始から終了まで連続開放させることに代えて、確変特定領域の開放期間中(本実施例ではラウンド前半)と、時短特定領域の開放期間中(本実施例ではラウンド後半)に分けて、連続開放させる場合よりも短い所定時間だけ大入賞口91を開放させるよう長期開閉パターンが定められてもよい。
具体的には、確変特定領域の開放期間中に、遊技球が規定数に到達しない程度に大入賞口91へ入球すると想定される時間、例えば5秒間、大入賞口制御手段180は大入賞口91を開放させてもよい。同様に、時短特定領域の開放期間中に、遊技球が規定数に到達しない程度に大入賞口91へ入球すると想定される時間、例えば5秒間、大入賞口制御手段180は大入賞口91を開放させてもよい。本実施例のように、ラウンド前半を確変特定領域の開放期間とし、ラウンド後半を時短特定領域の開放期間とする場合は、ラウンド前半のみ大入賞口91の開放時間を上記のように調整し、ラウンド後半は大入賞口91を9秒間連続開放としてもよい。
なお、図26および図27のタイミングチャートには不図示であるが、第2実施例においても、図9および図10のタイミングチャートで示したようにラウンド間にラウンド間時間260を設けてよいことはもちろんである。
以下、第2実施例のぱちんこ遊技機10の動作について、第1実施例との差分を説明する。図28は、第1実施例の図12に対応し、図11におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。S38を実行もしくはスキップし、大入賞口91内の確変特定領域を遊技球が通過した場合は(S40のY)、入球判定手段110はRAM内の確変移行フラグをオンに設定する(S42)。確変特定領域で遊技球の通過がなければ(S40のN)、S42をスキップする。大入賞口91内の時短特定領域を遊技球が通過した場合は(S44のY)、入球判定手段110はRAM内の時短移行フラグをオンに設定する(S46)。時短特定領域で遊技球の通過がなければ(S44のN)、S46をスキップする。不図示であるが、図16のS120において、特定遊技制御手段122は、確変移行フラグがオンに設定されている場合に確変状態へ移行させ、確変移行フラグをオフに戻す。また、時短移行フラグがオンに設定されている場合に時短状態および入球容易状態へ移行させ、時短移行フラグをオフに戻す。
図29は、第1実施例の図17に対応し、図16におけるS93の開閉パターン選択処理を詳細に示すフローチャートである。大当りを示す特別図柄の種類が「0」「1」「2」「3」「4」のいずれかの場合、すなわち第1の遊技における第1特別図柄192の変動表示で大当りになった場合(S340のY)、大入賞口制御手段180は、短期開閉パターン(8R短期開閉パターンまたは4R短期開閉パターン)を選択する(S342)。その一方、大当りを示す特別図柄の種類が「5」「6」「7」「8」「9」のいずれかの場合、すなわち第2の遊技における第2特別図柄193の変動表示で大当りになった場合(S340のN)、大入賞口制御手段180は、長期開閉パターン(15R長期開閉パターンまたは8R長期開閉パターン)を選択する(S344)。
図30は、第1実施例の図20に対応し、図16におけるS310の特定領域開閉処理を詳細に示すフローチャートである。確変機構制御手段182は、ラウンド開始からの経過時間、すなわちラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放されてからの経過時間を計測する。確変機構制御手段182は、確変特定領域を閉鎖中、すなわち確変特定領域機構164を閉鎖状態に制御中に(S350のN)、確変特定領域機構164に対する単一の制御パターンが定める開放タイミングに達したことを検出すると(S352のY)、確変特定領域機構164を開放状態へ制御することにより、確変特定領域への遊技球の入球が可能な状態へ切り替える(S354)。開放タイミングに到達していなければ(S352のN)、S354をスキップする。確変機構制御手段182は、確変特定領域を開放中、すなわち確変特定領域機構164を開放状態に制御中に(S350のY)、上記制御パターンが定める閉鎖タイミングに達したことを検出すると(S356のY)、確変特定領域機構164を閉鎖状態へ制御することにより、確変特定領域への遊技球の入球が不可能な状態へ切り替える(S358)。閉鎖タイミングに到達していなければ(S356のN)、S358をスキップする。
時短機構制御手段184は、ラウンド開始からの経過時間、すなわちラウンドにおいて大入賞口91が最初に開放されてからの経過時間を計測する。時短機構制御手段184は、時短特定領域を閉鎖中、すなわち時短特定領域機構170を閉鎖状態に制御中に(S360のN)、時短特定領域機構170に対する単一の制御パターンが定める開放タイミングに達したことを検出すると(S362のY)、時短特定領域機構170を開放状態へ制御することにより、時短特定領域への遊技球の入球が可能な状態へ切り替える(S364)。開放タイミングに到達していなければ(S362のN)、S364をスキップする。時短機構制御手段184は、時短特定領域を開放中、すなわち時短特定領域機構170を開放状態に制御中に(S360のY)、上記制御パターンが定める閉鎖タイミングに達したことを検出すると(S366のY)、時短特定領域機構170を閉鎖状態へ制御することにより、時短特定領域への遊技球の入球が不可能な状態へ切り替える(S368)。閉鎖タイミングに到達していなければ(S366のN)、S368をスキップする。
第2実施例のぱちんこ遊技機10によると、1つの大入賞口91へ入球した遊技球が確変特定領域と時短特定領域のそれぞれを通過しうる特別遊技を実行する。これにより、1つの大入賞口91で、遊技者に確変獲得と時短獲得のそれぞれを狙わせる遊技性を実現できる。例えば、確変特定領域および時短特定領域の通過の有無によって、確変有り・時短有りの第1パターン、確変有り・時短無しの第2パターン、確変無し・時短有りの第3パターン、および確変無し・時短無しの第4パターンのいずれかに移行する可能性を有する特別遊技を実現できる。また、特定領域の通過させるために必要な遊技者の技術介入的要素を取り入れて、遊技者の興趣をわかせることができる。設計者にとっては、1つの特別図柄に対応する特別遊技で、上記4つのパターンに移行しうるように容易に設計でき、4つのパターンに移行する特別遊技のデータ量も、それぞれ4つの特別遊技を設計する場合と比べて抑えることができる。
また、第1実施例と同様に、遊技盤50上に確保すべき大入賞口の個数を抑制でき、盤面設計の自由度を高めやすくなる。また、大入賞口に入球した遊技球を排出するための構成を簡素化できる。例えば、遊技球の排出部材(排出経路等)の共通化を促進でき、盤面の背面構成の複雑さを低減できる。また第2実施例のぱちんこ遊技機10は、特別遊技において遊技者がいわば自力で確変および時短を獲得しうる構成であり、特に第2特別図柄193での大当りの場合、高確率で確変および時短を獲得できる。したがって回数切り確変と組み合わせることは好適である。
また、確変特定領域と時短特定領域の一方への遊技球の通過が可能な状態であれば、他方への遊技球の通過は不可能な状態に制御する。そして特別遊技の各ラウンドにおいて、ラウンド開始からの時間経過に応じて確変を獲得しやすい状態の特別遊技と、時短を獲得しやすい状態の特別遊技を切り替える。これにより、1つの大入賞口91への入球タイミングに応じて、確変特定領域と時短特定領域のいずれかを遊技球が通過しうることとなり、大入賞口91への入球タイミングに応じた利益を遊技者が獲得する遊技性を実現できる。言い換えれば、遊技者が大入賞口91への入球タイミングを調整し、複数種類の利益の中から所望の利益を獲得する遊技性を実現できる。
また、特別遊技の単位遊技における確変特定領域機構164と時短特定領域機構170それぞれの動作態様は一定(制御パターンは単一)という制約の下で、大入賞口91の複数種類の開閉パターンとの組み合わせにより、特別遊技の遊技性の単調化を防止し、多彩な遊技性を実現できる。例えば、1つの大入賞口を用いて、確変を獲得しやすい状態の特別遊技と、時短を獲得しやすい状態の特別遊技の両方を実現できる。すなわち、大入賞口91への入球により獲得できる利益態様が異なる特別遊技を実現できる。また、1つの大入賞口91を用いて、確変と時短の少なくとも一方を獲得しやすい状態の特別遊技と、確変と時短の少なくとも一方の獲得が困難な状態の特別遊技の両方を実現できる。すなわち、大入賞口91への入球による利益の獲得容易性が異なる特別遊技を実現できる。
第2実施例の第1変形例を説明する。
上記第2実施例では、大入賞口91の開閉パターンとして、確変の獲得容易性と時短の獲得容易性が同等の開閉パターンを説明した。言い換えれば、大入賞口91の開放期間と確変特定領域機構164の開放期間との重複期間と、大入賞口91の開放期間と時短特定領域機構170の開放期間との重複期間が同等になるよう設定した。変形例として、大入賞口制御手段180は、確変の獲得が相対的に容易な一方、時短の獲得が相対的に困難な態様の開閉パターン(以下、「確変用開閉パターン」とも称する。)と、確変の獲得が相対的に困難な一方、時短の獲得が相対的に容易な態様の開閉パターン(以下、「時短用開閉パターン」とも称する。)をさらに保持してもよい。
確変用開閉パターンは、大入賞口91の開放期間と確変特定領域機構164の開放期間との重複期間が、大入賞口91の開放期間と時短特定領域機構170の開放期間との重複期間より長くなるよう大入賞口91の開閉態様を定める。大入賞口91の開放期間と時短特定領域機構170の開放期間とが重複しないよう大入賞口91の開閉態様を定めてもよく、実質的に時短特定領域への遊技球の通過が不可能になるよう大入賞口91の開閉態様を定めてもよい。また、時短用開閉パターンは、大入賞口91の開放期間と時短特定領域機構170の開放期間との重複期間が、大入賞口91の開放期間と確変特定領域機構164の開放期間との重複期間より長くなるよう大入賞口91の開閉態様を定める。大入賞口91の開放期間と確変特定領域機構164の開放期間とが重複しないよう大入賞口91の開閉態様を定めてもよく、実質的に確変特定領域への遊技球の通過が不可能になるよう大入賞口91の開閉態様を定めてもよい。
また大入賞口制御手段180は、短期開閉パターンとしての確変用開閉パターンと時短用開閉パターンを保持してもよく、これらと第2実施例の短期開閉パターンの中からいずれかを、第1特別図柄192の大当り図柄種類に応じて選択してもよい。また大入賞口制御手段180は、長期開閉パターンとしての確変用開閉パターンと時短用開閉パターンを保持してもよく、これらと第2実施例の長期開閉パターンの中からいずれかを、第2特別図柄193の大当り図柄種類に応じて選択してもよい。
例えば、短期開閉パターンとしての確変用開閉パターンは、ラウンド前半において大入賞口91の1秒開放と2秒閉鎖を3回繰り返した後、ラウンドが終了するまでの11秒間、大入賞口91の閉鎖状態を維持することを定めてもよい。また短期開閉パターンとしての時短用開閉パターンは、ラウンド開始時に大入賞口91を一度1秒開放した後、大入賞口91を閉鎖状態に維持し、時短特定領域機構170の開放を開始するタイミング、すなわちラウンド開始から9秒後に、大入賞口91の短期開放を再開することを定めてもよい。
また長期開閉パターンとしての確変用開閉パターンは、ラウンド前半において大入賞口91を7秒間連続開放させた後、ラウンドが終了するまでの11秒間、大入賞口91の閉鎖状態を維持することを定めてもよい。また長期開閉パターンとしての時短用開閉パターンは、ラウンド開始時に大入賞口91を一度1秒開放した後、大入賞口91を閉鎖状態に維持し、時短特定領域機構170の開放を開始するタイミング、すなわちラウンド開始から9秒後から、大入賞口91を7秒間連続開放させることを定めてもよい。
この変形例によると、確変を獲得しやすい特別遊技と、時短を獲得しやすい特別遊技と、大入賞口91への入球タイミングに応じて確変、時短のいずれかもしくは両方を獲得できる特別遊技のそれぞれを、1つの大入賞口91で選択的に実行することができる。
第2実施例の第2変形例を説明する。
上記第2実施例では、特別遊技中の確変特定領域の開放期間と、時短特定領域の開放期間とが重複しないように、確変特定領域機構164の制御パターンと、時短特定領域機構170の制御パターンを定めた。変形例として、特別遊技中の確変特定領域の開放期間と、時短特定領域の開放期間とは重複してもよい。言い換えれば、確変特定領域機構164と時短特定領域機構170とが同時に開放状態になるよう確変特定領域機構164の制御パターンと、時短特定領域機構170の制御パターンを定めてもよい。
この変形例において、好適には、大入賞口91内に流入した遊技球を確変特定領域または時短特定領域へ振分け、または、いずれかへ誘導する機構(例えばクルーン等の回転体であってもよく、以下、「誘導機構」とも称する。)が大入賞口91内に設けられてもよい。
また別の態様として、大入賞口91に複数の入球口を設け、大入賞口91は、一方の入球口から入球した遊技球は確変特定領域へ入球しやすいよう構成され、他方の入球口から入球した遊技球は時短特定領域へ入球しやすいよう構成されてもよい。図31は、変形例での大入賞口91の構成を詳細に示す。同図の大入賞口91は、上部右端と上部左端の両方に入球口を備える。上部右端の入球口から入球した遊技球は、確変特定領域機構164が開放状態であれば確変特定領域を高確率で通過する。また上部左端の入球口から入球した遊技球は、時短特定領域機構170が開放状態であれば時短特定領域を高確率で通過する。図31の大入賞口91が用いられる場合、遊技者が確変獲得を狙うときは、遊技球を比較的強く打ち出して、大入賞口91の上部右端の入球口への入球を狙う遊技性となる。その一方、時短獲得を狙うときは、遊技球を比較的弱く打ち出して、大入賞口91の上部左端の入球口への入球を狙う遊技性となる。
第2実施例の第3変形例を説明する。
上記第2実施例では特に言及していないが、演出決定手段132は、特別遊技の各ラウンドにおける演出として、ラウンド前半には、確変の獲得チャンスであることを示す演出であり、言い換えれば、確変特定領域が開放されて遊技球の通過が可能であることを示唆する内容の演出を選択して表示させてもよい。その一方、ラウンド後半には、時短の獲得チャンスであることを示す演出であり、言い換えれば、時短特定領域が開放されて遊技球の通過が可能であることを示唆する内容の演出を選択して表示させてもよい。これにより、遊技者が所望する利益を獲得することを支援できる。また演出決定手段132は、特別遊技中に、確変特定領域を遊技球が通過した場合に、確変を獲得したことを報知する内容の確変報知演出を選択して表示させてもよい。同様に、特別遊技中に、時短特定領域を遊技球が通過した場合に、時短を獲得したことを報知する内容の時短報知演出を選択して表示させてもよい。
第2実施例の第4変形例を説明する。
第2実施例の構成に、第1実施例の特徴を組み合わせてもよい。具体的には、確変特定領域の開放の前に所定の待機時間(例えば11秒)を設けてもよい。そして、特別遊技の複数のラウンドの中に、遊技者に確変および時短の利益獲得を狙わせるべき特定ラウンドを設けてもよい。特定ラウンドにおいては、待機時間の間に1回以上、大入賞口91を短期開放(例えば1秒開放)させてもよい。また上記ラウンド以外のラウンドにおいては、待機時間の経過前に大入賞口91の開放を終了させてもよく、例えば大入賞口91を10秒間連続開放してラウンドを終了してもよい。この変形例によると、第1実施例と同様に、第2実施例でも特別遊技の特定ラウンドを、確変および時短獲得のための特定ラウンドする遊技性を実現できる。例えば、特定ラウンドにおいて待機時間以降に大入賞口91を開放させる開閉パターン(第1実施例の確変開閉パターンに相当)と、待機時間以降は大入賞口91を閉鎖状態とする開閉パターン(第1実施例の非確変開閉パターンに相当)を設け、大当り図柄に応じて選択することで、確変および時短獲得が相対的に容易な状態の特別遊技と、確変および時短獲得が相対的に困難な状態の特別遊技とを1つの大入賞口91を用いて選択的に実行することができる。
第1実施例と第2実施例のいずれにも適用可能な変形例を説明する。
大入賞口91は、大入賞口91内に流入した遊技球を誘導する機構、言い換えれば、遊技球の流路を振分ける電動の誘導機構をさらに備えてもよい。誘導機構はクルーンや風車等の回転体であってもよい。メイン基板102(例えば特別遊技制御手段120)は、誘導機構の動作を制御する誘導機構制御手段をさらに備えてもよい。この誘導機構は、第1実施例では確変特定領域側または排出経路160側へ遊技球を誘導するものであってよく、第2実施例では確変特定領域側、時短特定領域側、または排出経路160側へ遊技球を誘導するものであってよい。誘導機構制御手段は、特別遊技の各ラウンドの開始、すなわち大入賞口91の最初の開放時点から誘導機構に所定の動作を行なわせ、大入賞口91へ遊技球が入球したときの誘導機構の動作状態により、遊技球の誘導先を変化させる。
誘導機構は、各ラウンドにおける大入賞口91の最初の開放時点から常に同じ動作を行う必要がある。そこで誘導機構制御手段は、あるラウンドにおいて誘導機構を予め定められた初期位置および初期状態から動作させた(変化させた)場合に、そのラウンドの終了後、次のラウンドが開始されるまでの間に、誘導機構を上記初期位置および初期状態へ戻す制御を実行する。そのため、この変形例では、特別遊技におけるラウンド間時間260を、誘導機構を上記初期位置および初期状態へ復帰させるために要する時間(以下、「初期位置復帰制御時間」とも称する。)より長く設定する。これにより、ラウンド間時間260の中で、初期位置復帰制御時間を担保でき、誘導機構を、各ラウンドにおける大入賞口91の最初の開放時点から同態様で動作させることができる。別の態様として、特別遊技制御手段120は、あるラウンドの終了後、誘導機構を初期位置および初期状態へ復帰させる誘導機構制御手段の処理が完了したことを条件として、次のラウンドを開始してもよい。確変特定領域機構164、時短特定領域機構170、および本変形例の誘導機構は、特別遊技制御手段120の制御により、大入賞口内に入球した遊技球を、特定領域を通過させる経路と、特定領域を通過させない経路とへ分配する分配機構とも言える。
(第3実施例)
第3実施例のぱちんこ遊技機は、第1の遊技と第2の遊技で用いられる第1大入賞口および第2大入賞口(これらを区別しない場合、「大入賞口」という)を備える。そして第1大入賞口内に、遊技球の通過が確率変動状態への移行条件となる第1の特定領域(以下、「確変特定領域」とも称する。)が設けられ、第2大入賞口内に、遊技球の通過が入球容易状態への移行条件となる第2の特定領域(以下、「時短特定領域」とも称する。)が設けられる。
この構成により、確変特定領域および時短特定領域(これらを区別しない場合、「特定領域」という)の通過の有無によって、確変有り・時短有りの第1パターン、確変有り・時短無しの第2パターン(いわゆる潜伏確変)、確変無し・時短有りの第3パターン、および確変無し・時短無しの第4パターンのいずれかに移行する可能性を有する特別遊技を設計できる。特定領域の通過させるために必要な遊技者の技術介入的要素を取り入れて、遊技者の興趣をわかせることができる。設計者にとっては、1つの特別図柄に対応する特別遊技で、上記4つのパターンに移行しうるように容易に設計でき、4つのパターンに移行する特別遊技のデータ量も、それぞれ4つの特別遊技を設計する場合と比べて抑えることができる。
なお、第3実施例の説明において、図面の説明において第1の実施例と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、第3実施例では第1実施例と相違する構成を主に説明し、第1実施例と同様の構成の説明を適宜省略する。なお、第3実施例のぱちんこ遊技機10は、第1実施例と同様にST機である。
図32は、第3実施例のぱちんこ遊技機10の前面側における基本的な構造を示す図である。第1大入賞口302は、遊技者から見て遊技領域52の右側下部の位置に設けられ、遊技球の入球が賞球払い出しの契機となり、入球可能な状態へ変化するよう作動可能である。第2大入賞口304は、遊技者から見て遊技領域52の右側下部の位置に設けられ、遊技球の入球が賞球払い出しの契機となり、入球可能な状態へ変化するよう作動可能である。
第1大入賞口302は、第2大入賞口304の下側に位置し、上下に並んで配置される。遊技者は、特別遊技中に、遊技球を遊技領域52の右側へ移動するようにいわゆる右打ちをすれば、第1大入賞口302または第2大入賞口304へ入球させることが可能である。
第1大入賞口302は、遊技球の入球を検出するための第1入賞検出装置306と、第1大入賞口302を拡開させるための第1大入賞口ソレノイド308を備える。第1入賞検出装置306は、第1大入賞口302への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口302は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口304も、第1大入賞口302の第1入賞検出装置306および第1大入賞口ソレノイド308と同様に機能する第2入賞検出装置320および第2大入賞口ソレノイド322を備える。第1大入賞口302および第2大入賞口304の詳細な構成は後述する。
図33は、第3実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。また、図34は、第1大入賞口302および第2大入賞口304の機能ブロックを詳細に示す図である。なお、第1大入賞口302および第2大入賞口304の構造は、図8に示す大入賞口91の構造と同様である。まず、図33および図34に示す第1大入賞口302および第2大入賞口304について説明する。
図8に示す構成に対して、第1大入賞口302の第1入賞検出装置306は入賞検出装置77に対応し、第1大入賞口ソレノイド308は大入賞口ソレノイド78に対応し、第1排出装置310は排出経路160に対応し、第1アタッカー312はアタッカー162に対応し、確変特定領域機構314は確変特定領域機構164に対応し、確変通過検出装置316は確変通過検出装置166に対応し、確変機構ソレノイド318は確変機構ソレノイド168に対応し、それぞれ図8に対応する構成と同じ機能を有する。確変特定領域機構314は、第1大入賞口302内において確変特定領域への遊技球の通過が可能な状態と不可能な状態とで切り替える機構である。
第2大入賞口304の第2入賞検出装置320、第2大入賞口ソレノイド322、第2排出装置324、第2アタッカー326は、第1大入賞口ソレノイド308、第1排出装置310、第1アタッカー312のそれぞれと同様の機能を有する。時短特定領域機構328は、時短特定領域への遊技球の通過が可能な状態と、不可能な状態とで切り替える機構であり、例えば、時短機構ソレノイド332の制御に応じてスライドする蓋機構である。時短機構ソレノイド332は、時短特定領域機構328を開放状態に第2大入賞口304を動作させることで、時短特定領域への遊技球の通過が可能な状態にする。また確変機構ソレノイド318は、時短特定領域機構328を閉鎖状態に制御する、すなわち確変特定領域への流路を塞ぐように時短特定領域機構328を動作させることで、確変特定領域への遊技球の通過が不可能な状態にする。
時短通過検出装置330は、時短特定領域機構328の下位置に設けられ、時短特定領域における遊技球の通過を検出するセンサであり、時短特定領域を遊技球が通過した場合にその通過を示す時短通過情報を生成する。入球判定手段110は、確変通過情報を受け取ると、遊技球が確変特定領域を通過したと判定し、その旨を特定遊技制御手段122へ通知し、時短通過情報を受け取ると、遊技球が時短特定領域を通過したと判定し、その旨を特定遊技制御手段122へ通知する。
図33に戻る。特別遊技制御手段120は、第1大入賞口制御手段334、第2大入賞口制御手段336、確変機構制御手段338および時短機構制御手段340を備える。特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口302および第2大入賞口304を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口302および第2大入賞口304を開放させることにより特別遊技を実行する。
特別遊技は、大入賞口の開閉動作を複数回連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。1回の単位遊技において、第1大入賞口302および第2大入賞口304の一方のみが開かれ、同時に開かれることはない。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、単位遊技を8回だけ繰り返す8R大当りがある。特別遊技制御手段120は、15R大当りおよび8R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口を1秒間以上、最大で約29秒間開放させる。変形例として2R大当りが発生する場合は、2R特別遊技の1回の単位遊技において大入賞口を約0.5秒間だけ開放させてもよい。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当り、8R大当りと同様の開放態様で大入賞口を開放させてもよい。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
第1大入賞口制御手段334は、特別遊技において第1大入賞口302を開放するタイミングおよび閉鎖するタイミングを定めた、単位遊技での第1単位開閉パターンを複数種類保持し、特別遊技において第2大入賞口304を開放するタイミングおよび閉鎖するタイミングを定めた、単位遊技での第2単位開閉パターンを複数種類保持する。第1単位開閉パターンと第2単位開閉パターン(これらを区別しない場合、単位開閉パターンという)を15R分または8R分組み合わせて特別遊技での大入賞口の開閉パターンが構成される。
第1大入賞口制御手段334は、大当りを示す第1特別図柄192および第2特別図柄193の停止態様の種類に応じて、複数種類の開閉パターンの中から1つの開閉パターンを選択する。そして、選択した開閉パターンにしたがって第1大入賞口302および第2大入賞口304の開閉を制御する。具体的には、開閉制御手段124を介して第1大入賞口ソレノイド308へ開閉を指示することにより、第1大入賞口302の第1アタッカー312を開放状態とし、また閉鎖状態とし、第2大入賞口ソレノイド322へ開閉を指示することにより、第2アタッカー326を開放状態とし、また閉鎖状態とする。
確変機構制御手段338は、特別遊技において確変特定領域機構314を開放状態に制御するタイミングおよび閉鎖状態に制御するタイミングを定めた単一の制御パターンを保持する。確変機構制御手段338は、大当りの種類(すなわち特別遊技の種類)にかかわらず、特別遊技のラウンドで、単一の制御パターンにしたがって、確変特定領域機構314の状態を制御する。具体的には、開閉制御手段124を介して確変機構ソレノイド318へ開閉を指示することにより、確変特定領域機構314を開放状態とし、また閉鎖状態とする。
時短機構制御手段340は、特別遊技において時短特定領域機構328を開放状態に制御するタイミングおよび閉鎖状態に制御するタイミングを定めた単一の制御パターンを保持する。時短機構制御手段340は、大当りの種類にかかわらず、特別遊技のラウンドで、単一の制御パターンにしたがって、時短特定領域機構328の状態を制御する。具体的には、開閉制御手段124を介して時短機構ソレノイド332へ開閉を指示することにより、時短特定領域機構328を開放状態とし、また閉鎖状態とする。
単一の制御パターンは、大当りの種類にかかわらず、また、特別遊技の各ラウンド(単位遊技)で共通して用いられる。具体的に確変特定領域機構314の制御パターンは、特別遊技の各ラウンドにおいて第1大入賞口302が最初に開放されてから(すなわち第1アタッカー312が最初に開放状態になってから)、所定の待機期間が経過するまで確変特定領域機構314を閉鎖状態に維持することを定める。また、待機時間が経過すると確変特定領域機構314を開放状態とし、ラウンドが終了するまで開放状態を維持することを定める。第2大入賞口304内でも同様に、時短特定領域機構328の制御パターンは、特別遊技の各ラウンドにおいて第2大入賞口304が最初に開放されてから、所定の待機期間が経過するまで時短特定領域機構328を閉鎖状態に維持することを定めている。また、待機時間が経過すると時短特定領域機構328を開放状態とし、ラウンドが終了するまで開放状態を維持することを定めている。なお、「単一の」とは、特定領域機構の動作規則が1つであることを意味し、どの特別遊技のラウンドであっても、特定領域機構は同じ動作規則で制御されることを示す。この単一の制御パターンに従った結果、特定領域機構の開放時間はラウンドによって変化する場合がある。
確変特定領域を有する第1大入賞口302と、時短特定領域を有する第2大入賞口304を設けたことにより、確変特定領域および時短特定領域の通過の有無によって、確変有り・時短有りの第1パターン、確変有り・時短無しの第2パターン(いわゆる潜伏確変)、確変無し・時短有りの第3パターン、および確変無し・時短無しの第4パターンのいずれかに移行する可能性を有する特別遊技を設計できる。
特定遊技制御手段122は、特別遊技中に遊技球が第1大入賞口302内の第1特定領域を通過したか否かに応じて、特別遊技終了後に確率変動状態へ移行させるか否かを決定し、特別遊技中に遊技球が第2大入賞口304内の第2特定領域を通過したか否かに応じて、特別遊技終了後に入球容易状態および時短状態へ移行させるか否かを決定する。
特定遊技制御手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技制御手段122は、特別遊技において第2大入賞口304内の時短特定領域を遊技球が通過した場合、特別遊技の終了後に、遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。また、特定遊技制御手段122は、特別遊技において第1大入賞口302内の確変特定領域を遊技球が通過した場合、特別遊技の終了後に、遊技状態を確率変動状態へ移行させる。逆に、特定遊技制御手段122は、特別遊技において時短特定領域を遊技球が通過しなければ、遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させず、確変特定領域を遊技球が通過しなければ、遊技状態を確率変動状態へ移行させない。
時短状態および入球容易状態は、第1特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、第3実施例では50回に達するまで継続される。この終了条件回数を入球容易期間といい、特定遊技制御手段122は、時短状態および入球容易状態において実行された当否抽選が次の特別遊技への移行を示す結果となる場合、所定終了条件回数に達する前に時短状態および入球容易状態を終了させる。
同様に、確率変動状態も、第1特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、第3実施例では50回に達するまで継続される。この終了条件回数を確率変動期間といい、特定遊技制御手段122は、確率変動状態において実行された当否抽選が次の特別遊技への移行を示す結果となる場合、所定終了条件回数に達する前に確率変動状態を終了させる。なお、時短状態および入球容易状態の継続期間と、確変状態の継続期間とは一致しなくてもよく、一方が他方より長く継続されてもよい。
ところで、確変特定領域機構314および時短特定領域機構328は、単一の制御パターンで動作しており、特別遊技の各ラウンドにおける大入賞口の開放後、同じ態様で動作する必要がある。この制約に対して、大入賞口の開閉パターンを複数種類設け、特定領域機構の単一の制御パターンと、大入賞口の複数種類の開閉パターンとを組み合わせることで、第1特定領域への通過容易性および第2特定領域への通過容易性の少なくとも一方が変化し得る複数種類の特別遊技を提供できる。ここで、各ラウンドでの単位開閉パターンについて説明する。
図35は、各ラウンドでの大入賞口の単位開閉パターンを説明するためのタイミングチャートである。なお、図35では、第1大入賞口302および第2大入賞口304のいずれにも用いることができるため、単に大入賞口、その大入賞口内の特定領域機構として説明する。また、図35では、大入賞口の開放開始から5秒経過後から特定領域機構が開放され、そのラウンドが終了するまで(大入賞口が閉鎖されるまで)特定領域機構の開放が維持されるという、単一の制御パターンを有する。大入賞口の開放開始から5秒経過する前にラウンドが終了すれば、特定領域機構は開放されない。
図35(a)は、遊技球が特定領域を通過不可能な第1単位開閉パターンを示す。時刻t1から大入賞口が開放されてラウンドが始まり、1秒後の時刻t2において大入賞口が閉鎖され、そのラウンドが終わる。このラウンドでは大入賞口の開放時間が1秒間であるため、特定領域機構が開放されず、特定領域への遊技球の通過が不可能な状態のままとなる。時刻t2から時刻t3までは大入賞口の閉鎖状態が維持されるラウンド間時間が設けられ、時刻t3から大入賞口が開放され、新たなラウンドが開始される。また、このラウンドでは、遊技球の大入賞口への入球による賞球の獲得が困難であり、期待される出玉は非常に少ない。
図35(b)は、遊技球が特定領域を通過できる可能性がある第2単位開閉パターンを示す。時刻t4から大入賞口が開放されてラウンドが始まり、6秒後の時刻t6において大入賞口が閉鎖され、そのラウンドが終わる。大入賞口の開放開始から5秒経過した時刻t5において、特定領域機構が開放され、時刻t6において特定領域機構が閉鎖されるまで特定領域への遊技球の通過が可能な状態となる。第2単位開閉パターンでは、特定領域への遊技球の通過が可能な状態が1秒間であり、遊技球が特定領域を通過できる可能性は低確率である。第2単位開閉パターンのラウンドは、特定領域(Vゾーン)の通過容易性が低く、確変獲得または時短獲得の可能性がある低確率V通過ラウンドである。特定領域の通過容易性が低いと遊技球が特定領域を通過し難く、通過容易性が高いと通過し易い。また特定領域の通過容易性は、大入賞口の開放と特定領域機構の開放が重なる時間に依存する。
なお、不図示の第3単位開閉パターンでは、大入賞口の開放時間が第2単位開閉パターンの6秒間より少しだけ長くし、8秒間に設定される。第3単位開閉パターンでは、特定領域への遊技球の通過が可能な状態を3秒間確保でき、遊技球が特定領域を通過できる可能性は高確率になる。このような第3単位開閉パターンのラウンドは、特定領域の通過容易性が高く、確変獲得または時短獲得が期待できる高確率V通過ラウンドである。
図35(c)は、遊技球が特定領域をほぼ通過できる第4単位開閉パターンを示す。このラウンドでは時刻t7から時刻t9までの大入賞口の開放時間は最大の29秒間である。大入賞口の開放開始から5秒経過した時刻t8において、特定領域機構が開放され、時刻t9において特定領域機構が閉鎖されるまで特定領域への遊技球の通過が可能な状態となる。特定領域への遊技球の通過が可能な状態が時刻t8から時刻t9までの24秒間あるため、遊技者が遊技球を大入賞口に狙って遊技すれば、ほぼ100%の確率で遊技球を特定領域へ通過させることができる。この第4単位開閉パターンのラウンドは、特定領域の通過容易性はきわめて高く、V通過確定ラウンドとなる。このように、確変特定領域機構314および時短特定領域機構328の制御パターンが単一の制御パターンに固定されている場合に、設計者は確変特定領域への通過容易性と時短特定領域への通過容易性の調整を、第1大入賞口302および第2大入賞口304の開閉タイミングを異ならせることで容易に調整することができる。大入賞口の開閉タイミングは、大入賞口の開放および閉鎖のタイミングを定める。
このような複数種類の単位開閉パターンを組み合わせて、複数種類の開閉パターンが構成される。つまり、特別遊技制御手段120は、第1大入賞口302および第2大入賞口304の少なくとも一方の単位遊技ごとの開放時間を、少なくとも一の単位遊技において他の単位遊技とは異なる開放時間のうちいずれかに定めた複数種類の開閉パターンを保持する。開閉パターンの例について詳細に説明する。
図36は、特別遊技における大入賞口の開閉パターンを説明するためのタイミングチャートである。この特別遊技は第1特別図柄192での8R大当りである。第1ラウンドおよび第2ラウンドは、第1大入賞口302の開閉動作が図35(a)に示す第1単位開閉パターンにもとづいて制御され、確変特定領域機構314は閉鎖したままであるため確変特定領域は通過不可能な状態に維持される。第2ラウンドでは、次回以降のラウンドで確変獲得を遊技者に期待させるような演出が演出表示装置60に表示される。
第3ラウンドでは、第1大入賞口302の開閉動作が図35(b)に示す第2単位開閉パターンにもとづいて制御され、1秒間だけ遊技球が確変特定領域を通過できる状態になる。第1ラウンドおよび第2ラウンドより第1大入賞口302の開放時間が長いため、遊技者に確変獲得を少し期待させるが、1秒間だけでは通過させることは困難である。演出表示制御手段134は演出表示装置60に確変獲得のチャンスであることを表示し、遊技球が確変特定領域を通過しなければ「確変獲得失敗」と表示し、通過すれば「確変獲得成功」と表示する。「確変獲得失敗」と表示されれば、遊技者は次のラウンドに期待する。
第4ラウンドでは、第1大入賞口302の開閉動作が図35(c)に示す第4単位開閉パターンにもとづいて制御され、24秒間も確変特定領域を通過できる状態になり、遊技球が確変特定領域を通過する。遊技球が確変特定領域を通過すると、演出表示装置60に「確変獲得成功」と表示される。遊技者は、確変獲得のうれしさを得る一方で、時短獲得には至ってないため次回以降のラウンドでの時短獲得を期待し、遊技に集中する。
第5ラウンドおよび第6ラウンドでは、第2大入賞口304の開閉動作が図35(a)に示す第1単位開閉パターンにもとづいて制御され、時短特定領域機構328が閉鎖したままであるため確変特定領域は通過不可能な状態に維持される。第6ラウンドでは、次回以降のラウンドで時短獲得を遊技者に期待させるような演出が演出表示装置60に表示される。
第7ラウンドでは、第2大入賞口304の開閉動作が図35(b)に示す第2単位開閉パターンにもとづいて制御され、1秒間だけ遊技球が時短特定領域を通過できる状態になる。第6ラウンドより第2大入賞口304の開放時間が長いため、遊技者に時短獲得を少し期待させる。演出表示制御手段134は演出表示装置60に時短獲得のチャンスであることを表示し、遊技球が時短特定領域を通過しなければ「時短獲得失敗」と表示し、通過すれば「時短獲得成功」と表示する。この場合「時短獲得失敗」と表示され、遊技者は次のラウンドに期待する。
第8ラウンドでは、第2大入賞口304の開閉動作が図35(c)に示す第4単位開閉パターンにもとづいて制御され、24秒間も時短特定領域を通過できる状態になる。遊技球が時短特定領域を通過すると、演出表示装置60に「時短獲得成功」と表示される。このように、第1大入賞口302の第4単位開閉パターン、第2大入賞口304の第4単位開閉パターンを含む開閉パターンは、確変および時短をほぼ確実に獲得できる。また、この開閉パターンでは、第1単位開閉パターンおよび第2単位開閉パターンを多く含むため大入賞口の入球から期待される出玉は少ない。
このように特別遊技中のラウンドごとに、確変特定領域または時短特定領域の通過容易性を変化させることができ、確変移行の可能性および時短移行の可能性をラウンドごとに自由に設計できる。これにより、特別遊技の序盤に通過容易性を低くして終盤に通過容易性が高まる態様など、バリエーションに富んだ特別遊技を設計できる。遊技者は特別遊技の序盤で特定領域を通過しない状態が続けば確変や時短が獲得できないため、獲得できないままラウンドの終盤に進むにつれて期待感と不安感が交錯する特別遊技を遊技者に提供できる。
なお、開閉パターンの種類が異なっても、ラウンド数と開閉する大入賞口の関係は同じである。すなわち、図36に示す態様では、第1から第4ラウンドまでは第1大入賞口302が開閉制御され、第5から第8ラウンドまで第2大入賞口304が開閉制御されるが、開閉パターンが異なってもこの関係は共通である。
他の開閉パターンについて説明する。大当りを示す第1特別図柄192に対応する開閉パターンでは、期待される出玉が少ない単位開閉パターンで構成される。大当りを示す第1特別図柄192にもとづく特別遊技では、確変および時短の獲得の有無を主な遊技性とし、獲得できる出玉は期待できない。一方、大当りを示す第2特別図柄193に対応する開閉パターンでは、全て第4単位開閉パターンで実行される。すなわち、大当りを示す第2特別図柄193にもとづく特別遊技では、確変および時短の獲得はほぼ確実であり、かつ大入賞口の入球による出玉も最大限期待できる。なお、ぱちんこ遊技機10はST機であるため、第2特別図柄193の大当りが連続して、獲得できると予想される合計出玉が必要以上に増えることを抑えられている。このように第1特別図柄192での大当りと第2特別図柄193での大当りとで、選択される開閉パターンの傾向が異なるように設計される。
他の開閉パターンには、図36に示す開閉パターンの第4ラウンドを第2単位開閉パターンまたは第3単位開閉パターンに変更し、第8ラウンドを第2単位開閉パターンまたは第3単位開閉パターンに変更した態様がある。この態様では、開閉パターンにほぼ確実に特定領域を通過できる第4単位開閉パターンを含まなくなるため、遊技次第で確変特定領域および時短特定領域の通過の有無がそれぞれ異なる結果となる。これにより、確変有り・時短有り、確変有り・時短無し、確変無し・時短有り、および確変無し・時短無しのいずれの状態にも移行し得る特別遊技を設計できる。これによりそれらの4つの結果にそれぞれ対応した4種類の特別遊技を設計するより、容易に設計でき、データ量も抑えることができる。また、特別遊技に遊技者の技術介入的要素を取り入れて、遊技者の興趣をわかせることができる。
他の開閉パターンには、図36に示す開閉パターンの第4ラウンドのみを第2単位開閉パターンまたは第3単位開閉パターンに変更した態様や、図36に示す開閉パターンの第8ラウンドのみを第2単位開閉パターンまたは第3単位開閉パターンに変更した態様がある。これにより、確変の獲得はほぼ確実である一方、時短の獲得は特別遊技中の遊技次第で異なる結果となる特別遊技や、時短の獲得はほぼ確実である一方、確変の獲得は遊技次第で異なる結果となる特別遊技を設計できる。
第1大入賞口制御手段334は、大当りを示す第1特別図柄192の種類が「0」であるとき、全て第1単位開閉パターンで構成された開閉パターンを選択する。また、大当りを示す第1特別図柄192の種類が「1」であるとき、第1単位開閉パターンおよび第2単位開閉パターンにより構成された開閉パターンを選択する。大当りを示す第1特別図柄192の種類が「2」「3」であるとき、第1単位開閉パターン、第2単位開閉パターンおよび第3単位開閉パターンにより構成された開閉パターンを選択する。大当りを示す第1特別図柄192の種類が「4」であるとき、図36に示す第1単位開閉パターン、第2単位開閉パターンおよび第4単位開閉パターンにより構成された開閉パターンを選択する。
第1大入賞口制御手段334は、大当りを示す第2特別図柄193の種類が「0」「1」「2」「3」「4」であるとき、第4単位開閉パターンにより構成された開閉パターンを選択する。
特別遊技制御手段120は、確変特定領域機構314の制御パターンおよび時短特定領域機構328の制御パターンと、大入賞口の複数種類の開閉パターンのいずれかとの組み合わせにより、確変特定領域への通過容易性および時短特定領域への通過容易性の少なくとも一方が変化し得る特別遊技を実行する。
以下、第3実施例のぱちんこ遊技機10の動作について、第1実施例との差分を説明する。第1実施例の図12に示すS10の入賞処理は、第2実施例の図28に示すS10の入賞処理を示すフローチャートに変更され、第3実施例のぱちんこ遊技機10は第2実施例の図28に示すフローチャートの動作を行う。
図37は、第1実施例の図16に対応する。特別遊技開始済でなければ(S92のN)、特別遊技制御手段120は第1大入賞口302および第2大入賞口304の開閉パターンを選択する(S193)。特別遊技制御手段120は、第1特別図柄192の停止態様が大当りを示す結果となった場合、その第1特別図柄192の種類に応じて大入賞口の開閉パターンを選択する。また特別遊技制御手段120は、第2特別図柄193の停止態様が大当りを示す結果となった場合、その第2特別図柄193の種類に応じて大入賞口の開閉パターンを選択する。特別遊技制御手段120は開閉パターンを選択すると、特別遊技を開始する(S94)。
第3実施例では、第1実施例の図20に示すS310の特定領域開閉処理は、第2実施例の図30に示す特定領域開閉処理を示すフローチャートに変更され、第3実施例のぱちんこ遊技機10は、第2実施例の図30に示すフローチャートの動作を行う。
第3実施例の第1変形例について説明する。
確変特定領域に確変特定領域機構314を設け、時短特定領域に時短特定領域機構328を設ける態様を示したが、この態様に限られない。確変特定領域機構314および時短特定領域機構328の少なくとも一方が設けられない態様であってよい。つまり、第3実施例の第1変形例では大入賞口内に入球すれば蓋機構により、遊技球の特定領域の通過が妨げられることがない。特定領域は大入賞口内の所定の位置に小さく設けられる。大入賞口内には大入賞口に入球した遊技球が特定領域を通過しない排出経路と、特定領域を通過する排出経路が設けられる。遊技球が大入賞口に入球しても特定領域に必ず入るわけでなく、特定領域に入らない場合もある。第3実施例の第1変形例によれば、特定領域への通過容易性は、単純に大入賞口の開放時間に比例する。この態様によれば、大入賞口の構成を簡素化でき、製造コストを抑えることができる。
第3実施例の第2変形例について説明する。
第1大入賞口302および第2大入賞口304の少なくとも一方は、大入賞口内に流入した遊技球を誘導する機構、言い換えれば、遊技球の流路を振分ける電動の誘導機構をさらに備えてもよい。誘導機構はクルーンや風車等の回転体であってもよい。メイン基板102(例えば特別遊技制御手段120)は、誘導機構の動作を制御する誘導機構制御手段をさらに備えてもよい。この誘導機構は、特定領域側または排出経路側へ遊技球を誘導するものである。誘導機構制御手段は、特別遊技の各ラウンドの開始、すなわち大入賞口の最初の開放時点から誘導機構に所定の動作を行なわせ、大入賞口へ遊技球が入球したときの誘導機構の動作状態により、遊技球の誘導先を変化させる。
誘導機構は、各ラウンドにおける大入賞口の最初の開放時点から常に同じ動作を行なう必要がある。そこで誘導機構制御手段は、あるラウンドにおいて誘導機構を予め定められた初期位置および初期状態から動作させた(変化させた)場合に、そのラウンドの終了後、次のラウンドが開始されるまでの間に、誘導機構を上記初期位置および初期状態へ戻す制御を実行する。そのため、この変形例では、特別遊技におけるラウンド間時間を、誘導機構を上記初期位置および初期状態へ復帰させるために要する時間(以下、「初期位置復帰制御時間」とも称する。)より長く設定する。これにより、ラウンド間時間の中で、初期位置復帰制御時間を担保でき、誘導機構を、各ラウンドにおける大入賞口の最初の開放時点から同態様で動作させることができる。別の態様として、特別遊技制御手段120は、あるラウンドの終了後、誘導機構を初期位置および初期状態へ復帰させる誘導機構制御手段の処理が完了したことを条件として、次のラウンドを開始してもよい。確変特定領域機構314、時短特定領域機構328および誘導機構は、特別遊技制御手段120の制御により、大入賞口内に入球した遊技球を、特定領域を通過させる経路と、特定領域を通過させない経路とへ分配可能な分配機構である。
(第4実施例)
第4実施例のぱちんこ遊技機は、第3実施例のぱちんこ遊技機と同様に、第1の遊技と第2の遊技で用いられる第1大入賞口および第2大入賞口、第1大入賞口内に確変特定領域、第2大入賞口内に時短特定領域を有し、第3実施例の図32から図34に示す構成と同様の構成を有する。第4実施例のぱちんこ遊技機は、第3実施例のぱちんこ遊技機の機能に加えて、時短回数の振り分け機能を有する。
第4実施例では、確率変動状態の大当り確率は1/99であり、通常状態の大当り確率は1/100に設定される。つまり、確変状態と通常状態で大当り確率の差があるものの、それらの状態の違いに応じて期待される利益の差は非常に小さい。
図38は、確変特定領域および時短特定領域の通過の有無に応じた時短回数の振り分けを説明するための図である。第4実施例では、特定遊技制御手段122は、確率変動状態となれば、遊技球の時短特定領域の通過がなくとも時短状態および入球容易状態を伴うように制御する。
時短状態および入球容易状態は、第1特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、第4実施例では100回に達するまで継続される。すなわち、大当り時に決定された入球容易回数(時短回数)は100回である。一方、確率変動状態は、第1特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、200回に達するまで継続される。すなわち、大当り時に決定された確率変動回数は200回である。
特定遊技制御手段122は、大当りを示す第1特別図柄192または第2特別図柄193の停止態様の種類に応じて、時短回数および確率変動回数を定めた特定遊技パターンを保持する。特定遊技パターンは特別図柄の種類に応じて選択される。なお確率変動回数は、200回以外に、100回や次回大当りまで継続、など複数種類ある。また、時短回数は、100回以外に、50回や70回など複数種類ある。時短回数には、次回大当りまで継続する態様は含まれない。特別図柄「7」で大当りとなった場合に、特定遊技制御手段122は、時短回数100回、確変回数200回と定められた特別遊技を実行する。この特別遊技において、遊技球が確変特定領域を通過すれば、時短200回継続し得る特定遊技に移行する。
図38に示す特別遊技における特定領域の通過結果1では、時短特定領域および確変特定領域ともに非通過であるため、特別遊技終了後、特定遊技が開始されず通常の遊技が開始される。
特別遊技における特定領域の通過結果2では、時短特定領域を非通過、確変特定領域を通過であるため、特定遊技制御手段122は特別遊技終了後に、確率変動状態、時短状態および入球容易状態になるよう特定遊技を実行する。特定遊技制御手段122は、特定遊技パターンを参照して確率変動回数200回を取得し、特定遊技の終了条件回数を200回にする。
特別遊技における特定領域の通過結果3では、時短特定領域を通過、確変特定領域を非通過であるため、特定遊技制御手段122は特別遊技終了後に、確率変動状態を伴わず、時短状態および入球容易状態になるよう特定遊技を実行する。特定遊技制御手段122は、特定遊技パターンを参照して、特定遊技の終了条件回数を100回にする。つまり、確変回数が200回と定められた図柄「7」の確変大当りとなったにも関わらず、確変特定領域を遊技球が通過しなかったことで、時短回数が100回になる。
特別遊技における特定領域の通過結果4では、時短特定領域を通過、確変特定領域を通過であるため、特定遊技制御手段122は特別遊技終了後に、確率変動状態、時短状態および入球容易状態になるよう特定遊技を実行する。特定遊技制御手段122は、特定遊技パターンを参照して、特定遊技の終了条件回数を200回にする。遊技球が時短特定領域を通過した後、確変特定領域を通過した場合、時短特定領域を通過した際に演出表示装置60に「時短回数100回獲得」と表示し、確変特定領域を通過した際に「時短回数100回上乗せ」もしくは「時短回数200回獲得」と表示する。時短回数が2段階に増加した特別遊技では遊技者に対して2回のうれしさが与えることができる。
このように特定遊技制御手段122は、通過結果4に示すように特別遊技中に確変特定領域および時短特定領域へともに通過した場合、時短状態を終了させる回数として確率変動回数を選択し、通過結果3に示すように特別遊技中に時短特定領域へのみ通過した場合、時短状態を終了させる期間として時短回数を選択する。これにより、同じ特別図柄の大当りであっても、確変特定領域および時短特定領域の通過の有無により時短回数を変化させることができる。設計者側としては、異なる時短回数をそれぞれ有する2種類の特別遊技を設計する場合と比べて、時短回数の振り分けを1種類の特別遊技で実現でき、時短回数の振り分けの種類を増やすことができる。
第3実施例の構成に、第4実施例の特徴を組み合わせてもよい。具体的には、第3実施例のぱちんこ遊技機において、特定遊技制御手段122は、確率変動状態となれば、遊技球の時短特定領域の通過がなくとも時短状態および入球容易状態を伴うように制御する。そして、特定遊技制御手段122は、特別遊技中に確変特定領域および時短特定領域へともに通過した場合、時短状態を終了させる回数として確率変動回数を選択し、特別遊技中に時短特定領域へのみ通過した場合、時短状態を終了させる期間として時短回数を選択する。
第3実施例および第4実施例に共通の変形例について説明する。
第4実施例では遊技球の時短特定領域の通過により時短回数100回を獲得した場合に、「時短回数100回獲得」と演出表示装置60に表示する態様を示したが、この態様に限られない。たとえば、遊技球の時短特定領域の通過により時短回数100回を獲得した場合に、そのラウンドでは「時短回数50回獲得」と演出表示装置60に表示し、次以降のラウンドにて時短特定領域の通過に関わらず「時短回数50回獲得」と表示してよい。つまり、特定領域の通過により得られた時短回数を、そのラウンドに限らず複数ラウンドに渡って分割して遊技者に報知する。これにより、複数のラウンドに渡って遊技者の興趣をわかせることができる。
なお、特定領域の通過容易性が高い場合に、演出表示装置60はラウンド開始前およびラウンド中の演出として「時短獲得チャンス」と表示する。ここで、獲得した時短回数を複数のラウンドに渡って報知する場合、演出表示装置60はそれらのラウンドごとに「時短獲得チャンス」と表示させる。つまり、100回の時短を獲得した特別遊技において、遊技者には「時短獲得チャンス」と5回のラウンドで表示し、それらのラウンドでたとえば「時短20回獲得」と表示する。このように特別遊技中の時短獲得用演出を複数のラウンドに渡って表示することで、複数のラウンドに渡って遊技者の興趣をわかせることができる。
以上、本発明を各実施例をもとに説明した。これらの実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。