JP5970155B2 - 木材防黴組成物 - Google Patents

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Description

本発明は製材に黴が発生することを防止するために用いられる木材防黴組成物に関するものである。
製材は長期間屋外に静置される場合が多く、静置中に様々な微生物や昆虫の生育場所となるため、生物劣化の被害を受けやすい。例えば、担子菌類による木材腐朽やコウジカビ、クロカビ、アオカビ等の不完全菌類による着色や表面汚染は、木材そのものの強度劣化や美観を損ねたりするのみならず、黴の胞子飛散によってアレルギーを引き起こす原因にもなっている。
従来、このような微生物被害を防ぐ手段として、用途に応じて各種防黴剤を組み合わせて抗菌スペクトルを広げたり、防黴効果の改良が試みられている。
例えば、テブコナゾールとプロピコナゾールの混合物(特許文献1)、ベンゾイミダゾール系化合物とイソチアゾリン系化合物およびヨード系化合物の組み合せ(特許文献2)、ベンゾイミダゾール系化合物とイソチアゾリン系化合物の合剤が開示されている(特許文献3)。またアゾール化合物、イソチアゾリン系化合物、ピリジン系化合物、ヨード系化合物、チオシアネート系化合物および4級アンモニウム塩からなる木材防黴剤も提案されている(特許文献4)。
特開平2−293303号 特開昭61−97204号 特開平03−251508号 特開平19−254321号
しかしこれらの木材防黴剤は、抗菌スペクトルが狭く黴の発生を十分に抑制できないこと、また人体への影響、環境汚染が懸念されるという問題点があった。従ってより抗菌スペクトルが広く、様々な黴に対して優れた効果を有し、人体への影響および環境に配慮した新しい木材防黴剤が要求されている。
本発明は、従来の木材防黴剤の組み合わせでは十分な効果が得られなかった広範囲の黴類に有効な木材防黴組成物を提供するものである。
この目的は、有効成分としてテブコナゾール、プロピコナゾール並びに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種類を含有することを特徴とする木材防黴組成物により達成される。
本発明の木材防黴組成物を調製するためには、いったん数種類以上の有効成分を含有した木材防黴剤予備組成物を調製し、それを添加しても良いし、初めから有効成分を別々に添加しても良い。
本発明の有効成分であるプロピコナゾール、テブコナゾール、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールはいずれも市販されており、容易に入手できる。本発明の木材防黴組成物中におけるプロピコナゾール濃度は通常1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。本発明の木材防黴組成物中におけるテブコナゾール濃度は通常1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%である。本発明の木材防黴組成物中における4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールの合計濃度は通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
本発明の木材防黴組成物中の全有効成分濃度は(下記に挙げる公知の防黴剤を含有する場合にはそれらも含めて)5重量%以上が好ましい。更に好ましくは10重量%以上である。また、全有効成分濃度は通常55重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、もっとも好ましくは20重量%以下である。
更に必要に応じて公知の防黴剤、例えば3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール等のヨード系化合物、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、n−ブチルー1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジウム等の4級アンモニウム塩も追加して混合できる。
本発明の木材への処理方法は公知であり、塗布処理、浸漬処理、加圧処理などが挙げられる。その処理方法または添加対象物に適したように製剤化することが好ましい。
製剤化にあたっては特に限定されるものではなく、公知の剤型の中から、組み合わせる化合物の特徴に応じて、また使用目的に応じて適宜選択が可能であるが、一般的には溶液、油剤、乳剤、懸濁剤などの製剤として使用される。製剤化する際に用いられる溶媒、界面活性剤などは公知であり、特に限定はない。
本発明の組成を有する木材防黴組成物には、例えば水および/または有機溶媒が適宜使用できる。好ましい有機溶媒としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール類が挙げられる。
更にこの他に界面活性剤、例えばポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアミノエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤や脂肪酸ナトリウム、硫酸アルキル塩、硫酸ポリオキシエチレン塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アミドアミノ酸塩等の両性界面活性剤やコハク酸やクエン酸、酒石酸等の有機酸やその塩、公知のキレート剤、消泡剤等の添加剤を使用することができる。
本発明の木材防黴組成物は、製剤化したものをそのまま使用することもできるし、水や有機溶剤に希釈して使用することもできる。
本発明組成物は木材に発生する黴に対して優れた防カビ効果を示し、木材防黴剤として製材、合板等に利用できる。
以下、製剤例、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。実施例、比較例中の「%」は「重量%」を表す。
以下実施例は、本発明の木材防黴組成物の防黴効果を示すものである。以下比較例は、その他の木材防黴組成物の組み合わせによる防黴効果を示すものである。
表1に示す配合割合で木材防黴組成物1,2,3を調製した。尚、表1中の化合物の記号の意味は下記の通りである。
A:プロピコナゾール
B:テブコナゾール
C:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
D:2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール
E:3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート
F:エチレングリコールモノメチルエーテル
Figure 0005970155
表1の木材防黴組成物1,2,3を水で125倍希釈し調製液1,調製液2,調製液3を作成し、調製液1,2,3の防黴効果を調べた。
(実施例1)
ラジエタパイン製材を約5cm角にカットし84℃、7時間乾燥させた。
乾燥した木材片を調製液1に1分間浸漬した。浸漬後、1週間室温で放置したものを評価用試験片として使用した。
(実施例2)
調製液2を使った以外は実施例1と同様に行った。
(実施例3)
調製液3を使った以外は実施例1と同様に行った。
尚、防黴効果の確認は、下記の方法に従った。
(評価基準)
バーミュキライトを敷きつめたプラスチック容器に評価用試験片を並べ、現場から採取したTerchoderma類、Rhizopus類の2種類のカビを各試験片に接種し、その後蓋をして28℃のインキュベーターに保管した。1週間ごとにTerchoderma類、Rhizopus類を接種し、5週間後の2種類の黴発生の状態を目視観察した。
評価基準は、試験片表面全体にカビの生育が観察された場合は、防黴効果不良(×)、カビの生育が観察されなかった場合は防黴効果良好(○)とした。また試験片の一部にカビの生育が観察されたものを防黴効果不十分(△)として判定した。
(比較例1〜6)
表2に示したように比較例1〜6の木材防黴組成物を水で125倍希釈して、実施例1と同じようにその防黴効果を調べた。結果を表3に示した。尚、比較例中の化合物の記号の意味は下記の通りである。
A:プロピコナゾール
B:テブコナゾール
E:3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート
F:エチレングリコールモノメチルエーテル
G:n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン
H:2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル
I:2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル
J:オキシン銅
K:2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン
(比較例)
Figure 0005970155
Figure 0005970155
表3より
有効成分としてテブコナゾール、プロピコナゾール並びに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種類を含有する実施例1〜3の木材防黴組成物は、比較例1〜6の木材防黴組成物に比べて、優れた防黴効果を有することが分かる。
本発明組成物は木材に発生する黴に対して優れた防カビ効果を示し、木材防黴剤として製材、合板等に利用できる。

Claims (1)

  1. 有効成分としてテブコナゾール、プロピコナゾール及び4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンのみを含有することを特徴とする木材防黴組成物。
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